19歳はリフト無料

全国85のスキー場で

リクルート、若者呼び込む

(日経新聞201111月8日12版 企業2面)

【記事抜粋】

リクルートは万座温泉スキー場(群馬県)や雫石スキー場(岩手県)など全国85カ所のスキー場と組み、19歳の来場客のリフト代を無料にする共同キャンペーンを実施する。

利用回数に制約は設けず、期間は今シーズンの終わりまで。

若者客をゲレンデに呼び戻し、スキー人口の減少に歯止めをかける狙いだ。

(以下略)

 

【コメント】

「雪マジ!19」と名づけられたこのキャンペーンは、公式サイトから会員登録したときに発行される会員番号と免許証などの写真つき身分証明書を対象スキー場で提示すれば、無料でリフト券が受け取れるというものです。

 

対象となるのは今年3月の高校卒業に相当する年齢の人です。

記事ではキャンペーンの狙いをスキー客の拡大としていますが、最近は当然スノーボードの愛好者が増えていますから、これも含めたスキー場利用者の拡大にあるでしょう。

また、19歳前後ならば今までは家族旅行での来場が主だったのが、高校の卒業旅行や大学での旅行といった同年代でのグループ利用に移行する時期といえます。

つまり「親のサイフ」から「自分のサイフ」で利用機会を意思決定できるようになり、頻度の増加が期待できることから重点ターゲットと定めた思惑も感じられます。

 

家計の自立に関連した顧客へのアプローチとしてイメージしやすい大学生(19歳〜22歳前後)ではなく、あえて19歳と1年齢に限定したところに、このキャンペーンの注目ポイントがあります。

対象顧客層(マーケット)を地域や性別、年代や所得、学歴や職種などさまざまなテーマで細分化していきますが、それでも特定のテーマの範囲ではある程度の幅を持たせるのが一般的です。

セグメントを限定しすぎるとストライクゾーンが狭くなり、ボールが多くなる=機会損失が発生しやすいというリスクも高まると考えるためです。

しかし、むしろピンポイントで対象者を絞り込むことが話題を呼び、特定対象者層の中でヒットする確率が高まれば、「母数×獲得率」の結果である購買客数は、大市場であっても低確率の購買客数と比べても遜色のない収益性を期待できるでしょう。

 

【今日のポイント】

想定顧客層をピンポイントで細分化するメリットは次のとおり。

1.話題性が高まる

2.ターゲットとされた顧客自身が狙いを理解しやすい

3.キャンペーン内容によっては「選ばれた存在」という自尊心を刺激する

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