扇風機、冬場もファンつかむ

消費の現場

(日経新聞201111月9日12版 消費面)

【記事抜粋】

冬場も「扇風機」が必需品に。

今夏に需要が急拡大した扇風機や送風機「サーキュレーター」が、10月以降も家電量販店で売れている。

部屋の空気を拡散させて電気暖房を効率化するもので、消費者の節電意識の高まりが後押ししている。

(以下略)

 

【コメント】

GfKジャパンの調査によれば、10月の扇風機とサーキュレーターの販売台数は前年同月比3.2倍にも達したそうです。

室内の空気を対流させることによって上下の温度差をなだらかにし、空調効率を高めることが浸透しつつあるようです。

住宅関連商品でもシーリングファンの販売が伸びているとの情報も以前報じられました。

 

扇風機といえば、エアコンが普及する以前は「冷房」の代表でした。

いわゆる典型的な夏物商品というイメージです。

それが、最近の原油高による光熱費高騰から節約意識が芽生え、エアコンと扇風機の併用によって電気代の節約効果が高いことが生活情報として広まり、さらに東日本大震災以降の電力不足によってさらに全国的に広がりました。

夏の冷気を上部へ循環させることで効果があるならば、冬の暖気を下部へ循環させることでも効果があると考えるべきでしょう。

したがって、「夏物」の扇風機が冬にも売れるという結果が想定できます。

 

固定化したイメージとは違った売れ方をする商品の事例は身の回りに少なくありません。

食品を冷蔵庫に収納するのは「冷やすため」が当たり前と考えがちですが、極寒地では「凍らないため」に冷蔵庫で保管するそうです。

歯科医院は日中の診療が普通ですが、いわゆる歓楽街に立地する歯科医院では診療時間を深夜に限定したことで、競合もなく多くの患者を受け入れているところがあります。

いずれも「常識」という固定観念からいったん離れて、自分を取り巻く環境を素直にとらえ考えたことから得られたチャンスだといえます。

 

【今日のポイント】

常識や「当たり前」は、時間も空間も限界のある自分の経験が作った固定観念に過ぎないかもしれない。

固定観念から離れてみると、ほかの人にとっての「当たり前」が見えてくるかもしれない。

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