株高速取引に国際規制

乱高下の連鎖防ぐ

(日経新聞2011111614版 経済2面)

【記事抜粋】

日米欧など世界の証券当局で構成する証券監督者国際機構(IOSCO)はコンピューターで自動発注を繰り返す高速取引を規制する検討に入った。

株式相場の乱高下を抑える取引停止ルールなどを市場横断で確立するほか、証券会社以外の専門業者も監視対象に加える。

技術革新で市場の価格変動リスクが高まっている点に対応する。

(以下略)

 

【コメント】

記事の解説によれば、高速取引とは1000分の1秒単位で株式を売買するものです。

当然のことながら、人間が電話など音声で注文を伝えたり、コンピューターに注文を手入力したりするのでは追いつきません。

高性能のコンピューターを使って、独自のプログラムが自動的に注文を繰り返すことで初めて可能な株式取引の方法です。

 

売値や買値などプログラムの条件を設定しておけば、あとはコンピューターが超高速で売買注文を自動的に送信してくれます。

1回の売買で1円の利益であっても、1秒間に数百回の売買が成立すれば、1秒で数百円の利益に増大するわけです。

ただし、このようなプログラム取引は文字通り「機械的」に相場を判定するため、価格の騰落に一定の方向性が出始めると、それに拍車をかけてしまうという側面も持っています。

いわゆる「慣性」が働きやすく、相場の乱高下を誘発してしまう点もしばしば指摘されてきました。

 

今回そのような高速取引について、値幅や注文のルールで一定の規制をかけることを検討する方向のようです。

一般的に規制の検討はその対象が今後さらに拡大することの表れともいえます。

このような傾向を考えると、個人の資産運用としてのデイ・トレードは今後どんどん太刀打ちできなくなってくるかもしれません。

むしろ超高速取引が乱高下を繰り返しながらも騰落の方向性を示しているのを見極めて運用する、本来的な「長期投資」の姿勢こそ、過度の価格変動リスクを軽減する効果が高いといえます。

 

【今日のポイント】

人間にはできない超高速取引に対応するため、人間ならできる「あえて注文しない」という判断も含めた長期投資の姿勢を持つことに勝機を見いだそう。

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