伝わる提案書

作成法を指南

リンクアンドモチベーション

(日経新聞2011111812版 企業2面)

【記事抜粋】

人事コンサルティングのリンクアンドモチベーションは12月から顧客に伝わりやすい提案書の作成ノウハウを指導するビジネスパーソン向け講座を始める。

子会社でパソコン教室大手のアビバ(名古屋市)を通じて、提案書の内容の立案から具体的な資料作成までを一貫指導する。

(以下略)

 

【コメント】

企画書や提案書を作成する際、最近は作成ソフトが格段に進歩したおかげで手軽に美しい書類を作成することができるようになりました。

特に多くの人が使用しているソフトはマイクロソフト社のパワーポイントかもしれません。

パワーポイントの普及によって、提案書などの配布資料とプレゼンテーション用のスライド資料を同時進行で作成することが、誰でも簡単にできるようになりました。

しかもパワーポイントでは、アニメーション機能などを使って躍動感のあるスライド画面にするという操作も難しくありません。

誰もが目を引くプレゼン資料を作ることができる時代になりました。

 

しかし、簡単にできることでむしろ過剰な演出も目につくようになってしまいます。

プレゼンや講演の場で、あまりに色や動きの多いスライドを多用することで、聴衆が画面を目で追うことに疲れてしまい、ひいては伝えたいことも伝わらない結果となってしまいます。

話し手の側がいろいろできることを盛り込みすぎたため、プレゼンの目的が情報提供から自己満足へとすり替わってしまうという落とし穴を防ぐことが、今回の記事に取り上げられた講座の目的でもあると推測されます。

 

企画や提案、講演など、相手に何かを伝えるプレゼンテーションの場で注意すべきポイントは、

「伝えるべき重点項目は3つ以内に絞り込む」

「資料やスライドはシンプルなデザインにして伝えるべき焦点を明確にする」

といったことが強調されます。

プレゼンでいろいろ伝えたい、カラフルな資料で注目させたい、という思いは、結局のところ伝えるべき情報について多くを知っている自分だからこそ伝えるべきポイントがわかるだけに過ぎず、事前に何の情報も与えられていない聞き手の側に立てば、盛りだくさんの情報はかえって何を受け取ればよいのか困惑するばかりであるということは、自分が聞き手となったときに少なからず経験した思いではないでしょうか。

 

【今日のポイント】

企画、提案、講演などプレゼンテーションの目的は相手に適切な情報を提供し、場合によっては意思決定してもらうことである。

そのためには話し手の自分がどれだけ伝えるか、ではなく、聞き手の立場に立って、どれだけ見聞きしやすく、汲み取りやすく伝えるか、という視点で全体を構成するように心がけよう。

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