石油ストーブ、中小に特需
「節電」で出荷5割増
工場フル稼働、採用増も
大手撤退 背景に
(日経新聞2011年11月21日14版 新興・中小企業面)
【記事抜粋】
節電意識の高まりを背景に、電気を使わない石油ストーブの売れ行きが好調だ。
例年なら需要期ではない9月初旬から出荷が増加、出荷量は例年より5割多い状態が続いている。
生産の大半を担うのが中堅・中小企業。不完全燃焼や火災など事故で、大手が軒並み撤退したためだ。
もっとも一過性の需要増と見ている企業が多く、増産に向けた追加投資には慎重な姿勢を崩していない。
(以下略)
【コメント】
灯油を使った暖房器具といえば、現在は石油ファンヒーターが一般的でしょう。
しかし、燃料は灯油でも着火は電気によるため、停電時に使用することができません。
電気がなくても暖をとることができる石油ストーブが改めて注目されることになったわけです。
今夏もエアコンに比べて消費電力の少ない扇風機が大きく売り上げを伸ばしました。
石油ストーブも扇風機も、エアコンが普及した現在の日本ではあまり売れない、いわば「斜陽」商品といえます。
その大きな理由は、エアコンの室温を快適な状態に整える機能が優れているところにあります。
多くの人が「消費電力」や「電気代」というモノサシよりも「快適さ」というモノサシで評価してきたことが現在のエアコン普及率につながっています。
ところが、震災や原発事故をきっかけとして「節電」や「停電リスクへの対応」といった課題も注目されるようになりました。
つまり、人によって評価をはかるモノサシが1つでなくなったわけです。
モノサシの多様化はニーズの多様化を示すことであり、複数のマーケットが発生することでもあります。
今までのマーケットでは必ずしも優位に立てなかったとしても、別のマーケットでは大きな支持を得る可能性が広がるかもしれません。
そのためにはまず、自社の商品やサービスの強みを改めて棚卸しして、磨きをかける部分を把握することが重要となります。
そして、現在世の中にはどのようなモノサシ=ニーズがあるのか、自分に有利に働いてくれるモノサシは何か、そのモノサシを使う人が多いマーケットはどこにあるのかを探し出し、接点を持つことでビジネスチャンスが広がります。
【今日のポイント】
もう流行らない、ニーズがないというのはたった1つのモノサシで計った結果に過ぎない。
別のモノサシで計れば、大きな可能性に気がつくこともある。