スペイン・ベルギー国債

「グロソブ」

すべて売却

(日経新聞2011112213版 経済1面)

【記事抜粋】

国内最大の投資信託「グローバル・ソブリン・オープン」(グロソブ、運用会社は国際投信投資顧問)で財政懸念が強まる欧州の国債売却が進んでいる。

今月に入りイタリア国債を売却したほか、新たにスペインとベルギーの国債もすべて売却した。日本国債などへの資金シフトを急いでいる。

(以下略)

 

【コメント】

10月末日基準のマンスリーレポートによれば、イタリア、スペイン、ベルギーの国債については9月から10月の1カ月において債券価格そのものは下落した一方、為替が円安ユーロ高に振れたことによって、トータルとしては基準価格の上昇に寄与した結果となっています。

しかし、ユーロ圏における財政不安の連鎖から、今後さらに債券価格の下落が懸念される一方、通貨そのものへの信用不安もあいまって、ユーロ安=円高になれば為替差益も期待できないことから、3カ国の国債売却という判断にいたったのだと思います。

 

グロソブの大きな特徴は、毎月分配型の投資信託であることです。

再投資による複利効果が減殺される反面、一定程度の分配金という目に見える果実を得られることから、高齢者を中心に保有されています。

 

ただし、投資信託の分配金には2種類あります。

純粋に運用利益から分配される「普通分配金」と、運用元本を取り崩して分配する「特別分配金」です。

前者は収益の配当ですから税金がかかる一方、後者は元々自分のお金を返還された形となるので税金はかかりません。

当然のことながら前者の形が本来の資産運用の形態ですが、お金に色はついていないので単純に「分配金」とだけ示されて受け取る場合、厳密な意味はどちらになるのか判然としません。

 

そこで、運用会社が発行する報告書やレポートに目を通す必要があります。

運用成績として「基準価格」あるいは「課税前分配金込み基準価格」の推移が示されているはずです。

価格の推移を示すグラフが右肩下がりの場合、元本を取り崩して“とりあえず”配当する「特別分配金」である可能性があり、注意を要します。

 

【今日のポイント】

投資信託とは「何もかもお任せ」というものではない。

毎回分配金を受け取っていることだけではなく、運用収益からの分配金かどうか、きちんとレポートを分析して把握しよう。

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