貸会議室利用
10分から可能
TKP
(日経新聞2011年11月28日12版 企業面)
【記事抜粋】
貸会議室大手のティーケーピー(TKP、東京・中央)は10分から利用できる貸会議室サービスを始める。
全国初のサービスといい、急な会議や打ち合わせ、勉強会などの需要を狙う。
第1弾として東京都千代田区にある貸会議室で開始、将来は全国展開する。
(以下略)
【コメント】
デフレ経済が常態化してしまった観のある日本ですが、低価格化に歯止めのかかる様子はないようです。
雑貨店で購入していた日用品の多くが100円均一ショップで手に入るようになり、海外旅行の航空運賃もLCC(格安航空会社)の登場によって1万円札でもお釣りが来るようになりました。
家電メーカーにとって高付加価値商品と期待された薄型テレビでさえも、基本的な性能を備えたクラスは今や画面サイズ1インチ当たり1,000円程度の価格帯が一般的となってきました。
デフレ化の初期にはいずれの業界でも企業間の体力勝負、一種の消耗戦の様相を帯びた価格競争が展開されましたが、最近の低価格商品やサービスに見られるポイントは、「効率化」あるいは「小口化」というキーワードに代表されます。
「効率化」の代表例はLCCです。
快適性を大きく損なわない程度に同一機体内の座席数を増やすことで、単価を下げても総収益を確保するよう工夫されています。
その一方、法令で義務づけられたり全員に必要とされたりはしていないサービスは、廃止したり希望者だけに有償提供したりすることで合理的なコストダウンを図っています。
また、「小口化」の一例に挙げられるのが今日の記事にあるような「単位の細分化」です。
3時間以上が「常識」だった貸会議室を10分単位で貸し出すことで、10分当たりでは割高であっても、必要な時間だけ利用することで、最終的な支払額は合理的で納得できるものとなることが狙いです。
同様のサービスとして最低6時間の利用料金が設定されていたレンタカーを10分100円で提供するビジネスも登場しています。
別の事例としては、年齢を問わず単身世帯が増えていることから、1斤(6枚)1パックの食パンを半斤(3枚)の食べきれる量で販売するケースも挙げられます。
現在もいわゆる「業務用スーパー」の人気は健在です。
すなわち数量をまとめることで単価を割安にする方式で、耐久材や保存性の高い食品などを購入する場合に有効です。
一方で生鮮品や総支払額の合理性を求める場合には、小口販売の方式を選択することが賢明です。
【今日のポイント】
「大量だが割安」と「割高だが使い切り」はどちらも利点と難点がある。
生活スタイルや日持ちのよさ、現金ではなく「モノ」で保存される期間や金額の許容度などを考慮して、両方を上手に使い分けよう。