鶏卵、需要期でも横ばい
卸値
加工会社、輸入増やす
前年比では2割安
(日経新聞2011年12月15日12版 商品面)
【記事抜粋】
年末の最大需要期にもかかわらず、鶏卵価格が異例の長期横ばいとなっている。
指標となるJA全農たまご(東京・新宿)のMサイズの東京・卸価格は14日時点で1キロ195円と、11月上旬に5円上昇した後、動いていない。
前年同期比では2割弱安い。輸入品に需要がシフトし、国産品の消費が低迷している。
(以下略)
【コメント】
記事によれば、卵の輸入先としてアメリカやポーランドが増えたそうです。
農林水産省の輸出入統計によれば、鳥卵・卵黄の輸入先上位はアメリカ、オランダ、イタリアです。
輸送距離の近いアジアは殻を割った後の「液卵」での輸入が多く、液卵輸入上位はアメリカ、タイ、中国となります。
年間で12月に最も多く卵が消費される要因は「冬」と「クリスマス」が挙げられます。
気候が寒くなれば、日本の代表的な料理は「鍋物」といえます。おでんやすき焼きなどでは定番食材として卵が使用されますし、他の鍋物でも、いわゆる「シメの雑炊」に卵が使用されます。
また、クリスマスのケーキではスポンジケーキやカスタードクリームに卵は欠かせません。
今年は安価な輸入品の流通量が増加したこともあり、昨年に比べて価格が2割程度安く取引されているようです。
今年が1キロあたり195円であるところ、昨年は1キロ240円程度で取引されていたようです。
卸相場が割安で取引されているということは、小売価格にも安値の影響が及ぶといっていいでしょう。
ところで、消費者である多くの人々は、卵をどのような単位で購入しているでしょうか。
食肉類の価格を確認する場合は「100グラム何円」とラベルを確認するでしょう。それでは卵の値札はどのように確認しているでしょうか。
たぶん「1パック何円」で購入するかどうかを判断することが大半でしょう。
1パックには10個の卵が入っています。
そしてMサイズはおおむね55〜65グラムの鶏卵が仕分けされます。
中間値の60グラムをMサイズ鶏卵の平均とすれば、1パックは600グラムと考えれば計算しやすいでしょう。
つまり、卸価格が公表される場合の「1キロ何円」を0.6倍すれば、店頭で購入するMサイズのパック卵の「卸値」がだいたいつかめるということになります。
卵に限らず、卸売価格や業者間取引価格の情報は、小売店にとっての「仕入れ価格」ということになります。
この数値はお店すなわちプロにとって重要な情報ではあります。
しかし、品物それ自体に大きな差別化要因のない汎用品の場合、消費者がこのような卸価格情報を知ることは、価格交渉の際に有力な材料として活用できる場合も少なくないので、ぜひとも注目してもらいたい情報のひとつと考えます。
【今日のポイント】
商品情報=原材料価格は、消費者にとっても「賢い買い物」に役立つ情報である。
それを活用するためには、日常購入する際の単位に変換して計算することと、値動きのトレンドを把握することが大きなポイントとなる。