AKIRAとともに
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自閉症児を育てる会に入会して3年。AKIRAはA養護学校の4年生になりました。
その間、私の勉強も少しずつすすみ TEACCH
についても少しわかってきました。AKIRAとカ−ドでやりとりすることもできるようになってきました。またそうじきかけや、お皿洗い、お風呂掃除などお手伝いも上手になってきました。
そこで先日からおやつにラーメン作りをさせることにしました。
まずはカードの作成です。AKIRAが学校に行っている間に、簡単な絵カードを何枚か作りました。
鍋とラーメンの絵、コップが2つの絵、ガスレンジの絵、調味料を入れる絵、どんぶりと箸の絵。
AKIRAはこれまでにも、いたずらでガスレンジをさわっていましたので、お鍋をガスレンジに乗せたら火をつけることはできるだろうと思って、その部分は絵カードを作りませんでした。
ラーメンはAKIRAと買い物に行ったときに、「おやつにしていいよ。」と言って買っておきました。
学校から帰り、かたづけが済んだら、「おやつにラーメンを作ろう。」といってとりかかりました。
鍋とラーメンの絵カードを見せると大張り切りでラーメンの袋をおやつ入れからとってきました。
「鍋をとってちょうだい。」というと、流しの下からいろいろな鍋を出してきました。
あれは違う、これも違うと何度か注意するうちに、絵カードに描いた雪平鍋が出せるようになりました。
コップの絵カードを見せながら、「水を入れよう。」と指示しました。
初めのうちは、コップに半分くらいしか水を入れなかったり、3杯も入れたりしていましたが、絵カードを示しながら、「2杯よ、2杯。」と繰り返すうちに、きちんと入れることができるようになってきました。
ガスレンジの絵カードですぐに鍋をレンジに乗せましたが、ここらあたりは学校の調理学習が生きているのかなと感じました。でも火をつけるのは思っていたより難しかったようです。つまみを押して回すというのがなかなかできなくて、今でも一回ではつかないことがあります。
鍋を火に掛けたら、ラーメンの袋を開けて、お湯が沸いてから鍋に入れます。
このあたりも絵カードにはしませんでした。
袋をはさみで切って開けることは得意技ですが、お湯が沸くのを待つのは、いつまで待ったらよいのかわかりにくいようでした。泡がでるまで待つように言うのですが、袋を開けるとすぐに鍋に入れてしまいます。
でもこの後、自分でお箸を取り出して、混ぜたのにはびっくりしました。
ついでに煮すぎてすっかりのびた頃、おどんぶりの絵カードをみて、お気に入りのアンパンマンのおどんぶりを出します。箸も用意して、大満足でラーメンを食べます。
4月に家庭訪問がありました。お兄ちゃんの先生がこられたときも、ラーメン作りの真っ最中でした。
できたラーメンをどうするかと思ってみていたところ、なんと2つに分けて、一つを先生の前に置いたのです。
先生はおにいちゃんのいつもすわる席に座っておられたので、AKIRAとしてはお兄ちゃんとはんぶんこしたつもりだったのかもしれません。お箸を出し忘れたせいもあって、先生はラーメンを召し上がりませんでした。すると彰はそれをとって、自分で食べ始めてしまいました。
絵カードのおかげで、おやつにラーメンは作れるようになったけれど、礼儀作法はまだまだだね、AKIRA。
「会報37号」(2001.5)