合同体育の一日
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今まで、小学校に入学して4年間、いろいろありましたが、特に今年の春、この5月はとても大変で、そして私にとって大切な思い出の一つになった月でした。
今日、5月18日は子供の通っている小学校の「合同体育」の日でした。学年別でする小運動会のようなものです。種目はリレー、二人三脚、フォークダンスです。どれも満足にできるものはなく、1週間前に内容がきまってから練習を始めたのですが、いずれも“何とか・・・”という程度。
先生方は、交流学級の先生も、特殊の先生も、お二人とも「子供たちは、リレーを見て、一周も差がついても『Tちゃん、速く走るようになったネ』、と言ってますよ。」と励ましてくださいました。
それはとてもありがたかったのですが・・。
当日、いつもはそういう行事の時は、「お母さんも行くから、がんばって走ろうね。」と声かけをするのに、今日に限ってすっかり忘れていました。
たくさんの見物人を前に、すっかり縮みあがった息子はリレーの順番がきても、かたまってまったく走れません。先生に手をとられながら、いやいや走って、チームは2〜3周も差がついてしまいました。
見ていた私は気が気でなく、頭の中で一生懸命、「走れ・、走れっ・・、」と言っていましたが・・、どうしようもありませんでした。
・・・・・・・
全部、競技が終わり、先生のご挨拶が全体に向けてありました。
どんな話か聞く気力もなく、ボーッとしていました。その時、主任の先生のお話が聞こえてきました。
「・・みんながんばった。先生が一番良かったと思うことは、たとえ遅い子がいても、みんなで一生懸命、応援できたことです。リレーは競争だけれども、そういうみんなの思いこそ大事だと思います・・」
今まで入学してから、“
T君のせいで、他の子がつらい思いをしている”などと言われたこともありました。
・・そんな私にとって、5年生全員がいる前で、しかもお母さん方もおられる所で、そんなふうに言っていただけたことはとてもありがたいことでした。
そして、解散後、特殊の先生のところへご挨拶に行くと、
「回りの子供たちも『T君、いつもはちゃんと走れるのに、今日はどうしたんかなあ』と心配してくれてましたよ。」
「状況がいつもと違うから走れなかったんだよね。今度はきっと大丈夫!」と言ってくださいました。
帰っている途中でも、出会ったお母さん方が、
「T君がんばっとったね。」「でも二人三脚はちゃんとできてよかったね。」「ダンスはいい顔して踊ってたね」
・・などと、言ってくださって、涙の出る思いでした。
成功した時よりも、支えてくださる回り人たちの温かさを感じて、忘れられない一日となりました。これからもがんばろうという気力を回りの人たちからいただきました。
「会報13号」(1999.5)