sorry,Japanese only

平成19年5月31日

 

 第109号 

NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会

 109号 目次

 梅雨の季節にも 
 ASC招待行事
    「ボウリング大会」のご案内
 勉強会の報告・お知らせ
    「母の想いを話す会」
 支援者養成講座 報告・ご案内
 AAO・サッカークラブ・水泳教室 お知らせ
 私のお薦め本コーナー
    「自閉症のすべてがわかる本
 近隣の講演会等のご案内
 自閉症児のためのプレ修学旅行の旅 案内
 事務局だより

6月というと雨の季節、梅雨の季節ですね。
お洗濯が乾かないし、どことなく外が湿っぽいと気持ちまで湿っぽくなりそうです。
そこでジメジメを吹き飛ばす方法を考えました。なんでも考え方一つで、気持ちまで変わってくるもんです。
その方法は「いいとこ探し」をするんです。梅雨の季節に、いいことなんてあるの?と思うでしょ。でも探せばあるんですよ。
梅雨時はジメジメとして湿気が多いから、乾燥しがちなお肌にとってはとってもいい季節です。なにより湿度はお肌には特効薬。潤ってきたお肌を見て、なんだか若返ったかしら?なんて思ったりします。
雨に煙る緑の山々は新緑も際立って美しいではありませんか。水枯れ状態だった田畑も潤して、田植えの準備も整ってきます。やっぱり私たちには梅雨って必要なんですよね。
さて、そんな私は自閉症の子の親です。
初めて自閉症って病院で告げられたのは、息子が2才と8ヶ月。今から17年ぐらい前のことです(それからずいぶん経ちました)。
はじめは、「自閉症の親になんかなりたくな〜い」と、泣いて騒いで、くやしくて、情けなくて・・・七転八倒でした。絶対に認めたくなくて、告知した医者をヤブ医者呼ばわりして「自閉症なんかであるものか。きっと良くなる。治してみせる!」そんな戦いの日々の後、やがて諦めから、落ち込んでしまう時期もありました。
でも、私の中でこのままでいたくないという気持ちがムクムクと立ち上がってきました。
息子との生活の中で、幸せを探したい。喜びを見つけたい。そんなことを考えました。私は息子との生活の中で良いことを見つけだしたかったんです。「いいとこ探し」です。
“不幸な障害者の母親”という、世間から付けられたレッテルをバリンと剥がして、力強くたくましく、元気で明るい、元の美千子さんに戻りたかったのです
思い出してみると、多動で一瞬のスキをついて外へ走りでていく息子を追って、しかたなく追いかけて出た景色の美しいこと、赤い夕陽に照らされて野辺を走っていく息子の後ろ姿の愛おしさ。寝ない子をあやしながら見上げたオリオン星座のまたたき、凍てつく寒さを忘れるような美しい冬の夜。どれもこれも、この子がいてくれたから目にした感動の時間でした。
この一瞬を愛おしみたい。
そんな風に思いつつ。日々の暮らしの中のちょっとした事の中に、子どもとの毎日の喜びを見つけようとしていた時期でした。
小さい小さい喜びをつなぎ合わせて、やっとやっと生きていたあの頃。でもそんな細い喜びの糸も、より合わせているうちに次第に太い紐に、綱になってきたように思います。
また、こんな事も考えました
自閉症の子は1万人に2人か3人しか生まれてこない(当時はそんな風に本に書いてありました。今では100人に1人でしょうか)。その子が生まれるのにもっとも良い家庭はどこにあるかな、と神様は天上から見下ろして、「この家族にしよう!」と決められた。
私は選ばれた母親、この子を育てられるほど優しい特別な家庭なんだ、そんな風に考えようと思いました。
不幸に見える事の中に、本当は喜びにつながる道がある。
辛く厳しい冬の後には、必ず暖かい春が巡ってきます。深く暗い闇の後には、必ず明るく輝く朝の光が差し込んできます。
「明けない夜はない」辛いこと、苦しいことがあってこそ、人はより大きな喜びを見出すことができると思えるのです。
なかなか成長してくれない子どもとの生活は、少しの成長が喜べる生活ということです。ほんのチョットが喜べるということは、たくさんたくさん喜びのある人生を送っているということです。息子との生活の中に、こんなにも喜びをたくさん見つけられるようになったのは、小さい頃からの幸せ探しをずーっと続けてきたからかもしれませんね。
少々長い話になりますが、梅雨時の過ごし方わかっていただけましたでしょうか?

さて、元気にこの季節を乗り切れば、明るい夏がやってきます。
夏といえば、育てる会恒例の夏旅行があります。今回は育てる会設立10年記念ということで、これまでと趣向を変えて、8月21日・22日の一泊二日で、大阪・奈良・京都を巡るという、そうです修学旅行のコースです。
自閉症という、団体行動が苦手な子ども達ですが、いつかは必ず経験しなければならない修学旅行や団体旅行。家族旅行とは違うバスでの旅行、広い宴会場での食事、みんなと時間を守っての行動など、数え上げれば気になることだらけの心配の種がいっぱいです。でも一度体験していれば、安心できるのもこの子たちです。それを親子で経験してみようという企画です。
こんなおもしろい事、考えつくのはさすが育てる会ですね。皆様、ふるってご参加ください。参加資格は、正会員のお子さんと親です。
ただ、幼児期にバスでの一泊旅行は酷かもしれませんので、本人としては小学生以上の方を考えています。この企画、これからも5年に一度くらいは実施したいと考えていますので、小さいお子さんはその時までお待ちください。また大きい方にとっては、うまく行かなかった修学旅行のリベンジ、今度はなつかしくて楽しめることでしょう。
それでは、楽しい夏の思い出を一緒に作りましょう。
〈 なお、この企画はサン基金から18万円の助成をいただきました 〉

さて、話は変わって、先日「母の想いを語る会」を参加者12人で行いました。
当日の感想などは別コーナーで紹介していますので、どうぞ読んでください。
今年度、初めての座談会です。初めて会った人同士の方も多いので、みんなの気持ちを一つにするため、読書をしたいと私は考えました。
選んだのは中川信子:著「心をことばにのせて」(ぶどう社)の巻頭の詩です。
思い出してみてください。
病院で、障害がなおらないと言いわたされて泣き明かした、あの日。
せめて、このくらいはできるようになってほしいと望み、
やっぱり、できるようにはならないのかとあきらめた、あの日。
三歳になってやっと歩いたことを、
お赤飯を炊いて祝い、笑いにあふれた、あの日。
いくつもの“あの日”たち。
障害のあるわが子と共に生きてきた“あの日”たち。
でも、ふりかえってみれば、心に残る“あの日”たちを彩っていたのは、
いつも同じ、たくさんの平凡なできごとのつらなり。
思い出してみてください。
子どもの手をひいて歩く道ばたに見つけた、たんぽぽ。
障害宣告に、ぼうぜんとして立ちつくす病院の玄関で、
ほほをやさしくなでてくれた風。
輝くような新緑を吹きすぎてくる風。
健康な子どもと混じって、わが子が遊ぶ砂場の横を、行列して進んでゆく蟻。
思いまどいながら閉める雨戸の向こうに、今まさに沈もうとする、真っ赤な夕日。
障害を理由に幼稚園の入園を断られて、とぼとぼ歩く帰り道、
見知らぬ人にかけられた「ずいぶん大きくなったね」というひと言。
涙の出るような、やさしいことば
平凡なことの中にこそ、宝物がかくされています。
小さなできごとの中に、大きな真実がかくされています。
目に見えないほどの小さな発達は、
何ものにも代えがたい、大きな喜びにもなりえます。
それを発見する、視点をもつことさえできれば。
みんなで読んだ後、私は「それではこれから、それぞれ一番辛かった告知を受けたばかりの頃のことを思い出してみましょう」と言いました。
酷なようですが、私たちは自閉症の子を持った母親ばかりです。同じ苦しみや悲しみを乗り越えて、今ここにいます。お互いの想いを出しあうことで、苦しみから本当の意味で解き放たれる必要があるように思ったからです。「共感」の2時間半は、アッという間でした。一人ひとりが、自分の記憶の中に封じ込めていた、あの辛かった過去。そしてまだその渦中にいる人。その思いを、それぞれがみんなの前で語りました。決して涙を流すことは悲しいばかりではないのです。自分の辛かった記憶が仲間の中で浄化され、そして昇華されていくような、そんな心地よい優しさに満たされた時間でした。
始まる前はお互い知らない同士だったのに、帰るときにはもう親友のようになれました。私たちは自閉症という障害を持つ子どもの母として、強い連帯感と、仲間の中にいるやすらぎを感じることができたように思います。
あ〜、育てる会っていい会だなぁー。こんな会なんだ、育てる会って。私、つくづくそう思いました。10年間の苦労(もちろん苦労ばっかりではなかったのですが)が意味あると思える瞬間を、こんな風に感じさせていただいて、こんな会の代表をさせていただいて本当に幸せです。
「がんばって、これからもこの育てる会をやっていこう!」と思いました。次回の「母の想いを語る会」もっとたくさんのみなさんと想いを語っていきたいと思いますので、参加お待ちしています。

さて1ヶ月は色んなことがあります。ありすぎて、いつも何から書こうかと迷ってばかりです。まとめるのが苦手な私は話がアチコチ飛んでしまいますが、お許しください。
5月15日、スペシャルオリンピックス日本の名誉理事長である細川佳代子さんが、講演のため岡山にいらっしゃいました。先月号に案内も同封させていただいていたのでお話を聞かれた方も多いと思います。その講演会の前のお忙しい時間ですが、細川さんからお声がかかって、私と会いたいと言ってくださいました。
実は、以前「エイブル」の上映会の際に、その会場で感動をお伝えしたいと思い、細川さんに声をかけさせていただきました。その時も話がはずんで、それから育てる会の会報をず〜と送らさせていただいています。細川さん、その会報を読んでいてくださり、哲平の就職もご存知で、岡山に来た機会にまたぜひ会いたいとおっしゃってくださいました。
スケジュールの間を縫って、それでも30分ほど二人だけでお話しさせていただきました。
正直なところ、緊張と感激で舞い上がってしまし、今思い返しても、私の方からは何を話したのか・・・ほとんど覚えていない状態です、なんていう事でしょう。
でも、細川さんからのお話しの数々は今もたくさん心に残っています。
その中でも一番印象に残っている言葉は「この障害を持っている人たちが、その障害を意識しないでもすむような社会の実現のため、自分(細川さん)は今後活動をして行きたいと思っている」と言われました。そしてその目標の日を“8年後”と決められているそうです。
その話をお聞きして、夢を現実のものとするためには、目標とそして年月を決めることがなにより大切なんだな、と教わりました。「この日まで全力投球をしよう」自ら期限を限って、その日に向けて努力を続けることが、一番力を発揮できるように思います。細川さんの目指す、その目標に向けて私も全面協力していこうと思いました。
「障害を意識しないでも暮らしていける社会。それが当たり前になる社会」
その目標は私たち親にとっても究極の目標だからです。この心優しい、疑うことを知らない純な息子たち、娘たちを残して、私たち親はいつかは旅立っていかなければなりません。それはとても心残りで悲しいことですが、逃れようのない自然の摂理でもあります。でも、社会が、地域が、障害があっても生きていける場になっていたら、安心して子どもを託していけると思うのです。
そんな日が一日も早く来るよう、まずは8年後に目標を決めて、一歩ずつ頑張って歩いていきたいと思います。

さて、6月30日には、待望の新澤伸子先生のセミナーがあります。はじめて自閉症の子を担任された先生方には、特に自閉症の理解につながる大切なお話しです。どう支援するかばかりが、そのノウハウばかりが(それももちろん大切なのですが)クローズアップされがちですが、まずは理解から始めようという「はじめの一歩」です。
自閉症は私たちとは違う文化を持っていると言われます。私たちの感覚で考えるのでは理解できない世界が広がっているということです。その文化の違いを理解していないと、コミュニケーション自体も成立しません。まずは自閉症を知ることからはじめてみてください。障害特性を理解することができれば、おのずと支援方法も見えてくるというものです。まずは知るところから始めてください。
担任の先生と同じ講演を聴くことで、今後の話が通じやすくなると思いますので、ぜひ先生もお誘いして一緒においでください。そしてできれば午後の「具体的支援策」だけでなく、午前の「特性理解」も一緒に聴いてくださいね。ここが一番大切なところです。お待ちしています。

最後にいつもの我が家のニュースです。
5月13日に桃太郎スタジアムで障害者スポーツ大会がありました。高等部までは学校からの参加でしたが、社会人になってからは赤磐市からの個人参加です。種目は高等部時代と同じ1500m走です。桃太郎夢クラブやスペシャルオリンピックスの陸上で練習してきた成果がでたのでしょう。なんと自己最高の5分15秒で堂々2位の成績でした。
そして1位は、中学部時代からのライバルでどうしても勝てないいつものK君。彼は自らの持つ県記録を今回も更新しての4分54秒、ダントツの優勝でした。
実は哲平とK君、桃太郎夢クラブでは天満屋陸上部の武冨監督に一緒に個人指導していただくという、これ以上はないくらいの恵まれたトレーニングを受けての参加でした。
大勢のみなさんに支えられての表彰台です。みなさんに感謝です。
ただ、今年もあいかわらずの哲平です。一昨年も誰かのフライングのあと、止まることを知らずに一人でスタート前に一周走ってしまった哲平ですが、今年はゴールした後、それと知らずにまたもう1周走ってしまいました。なにしろ2位だったのでゴールテープもありませんし、周りにはまだ周回遅れの人たちもいっぱい走っています。どこまで走ればいいのかわからなかったのでしょう。そして余分に一周走った後も、まだ更に走り続けようとする哲平です。
「誰か、その子を止めて!」思わずスタンドから叫んでしまった母でした。
本当にケロッとして、まだ何周でも走れそうな哲平です。
今月の我が家のニュースをもう一つ報告しましょう。
「光とともに・・・」の第11巻に娘の紗代の文章が掲載されました。あとがきを書いてほしいと、作者の戸部けい子さんから頼まれて書いたものです。題して「自閉症児の弟を持つ姉として」です。きょうだいの立場で書いたものですが、よかったら読んでやってください。
それでは・・・。
育てる会 代表  鳥羽 美千子

勉強会の報告・お知らせ

 「母の想いを話す会」

5月23日(水)開催された第一回目は、12人のお母さんが参加されました。
参加された方からの感想をいただきましたので一部ご紹介します。

今日の皆さんのお話を聞いて、一番勉強になったことは、「子どもをよく見て、その子に合ったサポートをする」ことです。このことは、今までも講演や本などで知っていたことなのですが、自分に反映されていませんでした。そのことにも気づいていませんでした。が、皆さんの話の中でそれらに気づくことができました。会話の力ってスゴイですね〜。同じような気持ちを抱えたお母さん方と長い時間話せること自体もあまりないし、得るものもたくさんありました。育てる会の会員さんで知っている方が少ない中での参加は少し勇気もいりましたが、参加して良かったです。本当にありがとうございました。
勉強会に参加して、育てる会のお母さん方と知り合い、お話する機会ができて良かったなぁと思いました。今回は「子どもと共に歩んできた道」や「苦悩したこと(していること)」などを皆さんがそれぞれ語られましたが、辛い思いを抱えているのに、それを吐き出せる場がないことを感じました。この会がそんな辛さや悩みを打ち明けられる場になれば気持ちが楽になるような気がします。今後もお互いに色々な話ができたらいいなと思います。
私は最近「支援よりも理解が必要」という言葉を自分自身に言い聞かせていますが、その言葉を何気なく言ったら、代表に「理解するためには勉強し続けることよ」といわれました。本当にその通りだなぁと思いました。
自閉症であるわが子のありのままを分かってやるには、やはり自閉症について勉強して、そして勉強し続けなければと思いました。そしてわが子のために、わが子の理解と支援につながっていくような勉強をしていきたいなぁと強く思いました。また今日の勉強会では、久しぶりに自分の思いを吐き出させていただきました。その場に集まった色んな思いを持ちつつ一生懸命頑張っておられる他のお母さん方に、自分とわが子の今までを聞いてもらえて、すっきりした気持ちになりました。吐き出すことはいいことですね。また次回の勉強会で、今日出会ったお母さん方と共に勉強していけることが楽しみです。共に頑張りましょう。ありがとうございました。
わが子の障害の告知を受けた頃、私は息子のことを他人に話す気になれませんでした。障害の子どもを持たない人に同情されるのが嫌だったし、同じ苦しみに悩む者同士が傷を舐めあうような惨めな気持ちになる気がしたのです。自閉症協会や他の親の会の加入を促されても、寝ているとき以外ひと時も目を離せないほど大変な息子を置いて勉強会などに行ける余裕もなく、ただ毎日が必死でした。
今思えば、半分は私の世間体だったのかもしれません。数年の時を経て、少しずつですが成長してきた息子を見ながら、自分の気持ちにちょっとずつ余裕ができてきたことを感じます。他人には言えなかった辛かった日々のことを今なら話せる。分かってくれる人がいることで安心し、心が癒される。お互いに支えあうことは、傷を舐めあうことではなく、明日への力を生み出すのだと、やっと思えるようになりました。こんな風に思えるようになるまでには、本当に長い時間がかかりました。
1回目の「母の想いを話す会」に参加して、他の方もそれぞれに悩み苦しみながら今日まで過ごしてきたことを語り合い、これからはお互いに支え合える仲間だということを確認できたような気がします。子どもたちの明日のために、1人でも多くの方が勇気づけられる会になればなぁと思います。どうかこれからもよろしくお願いします。

支援者養成講座 報告

19年度も、重松孝治先生に「自閉症児への支援:実践編」を講義と演習のセットでお願いしています。
即!実践につなげることのできる先生対象の講座です。
初回の5月11日(金)は、受付時間よりも皆さんずいぶん早く集まってくださいました。熱気溢れる勉強会のスタートです。今年は昨年度も参加してくださった方は勿論、それ以上に、昨年参加された方が「ぜひ同じ学校の先生にも聞いてもらいたい!」と紹介してくださったり宣伝してくださったりしたケースが多かったようです。そのおかげで、一つの学校から15名もの参加者がある学校もありました。
第一回目は「自閉症の理解」というテーマで、自閉症とはどういう障害なのか。感じ方の違いなどのお話をしていただいた後、自閉症の人の得意なこと・苦手なことはどのようなものがあるのか(得意:見て理解すること、具体的な内容の理解。苦手:聞いて理解すること、抽象的な内容の理解)を踏まえた上で、例えば「もっと早く歩きなさい」を具体的に見て分かる形に自閉症に伝えるためにはどんな工夫ができますか?というように質問&答え形式で、参加されている先生方が考えていく講義をしていただきました。
また、最後に、世界的に有名な高機能自閉症であるテンプル・グランディンさんとドナー・ウィリアムズさんの自伝からの有名な一文を紹介していただきました。
「表面が滑らかな、白い、平らな、薄い、四角いものという、解読された情報を集め、解釈してからやっと“一枚の紙”という認識になる」
「私は一度に一つの感覚しか使えない。だから話をしながら、自分の話している内容を追いかけて確認することが難しい」
世界的に成功しておられるような高機能自閉症の方でも、こんなに毎日の暮らしに困難さ・不便さを持っていることを、理解してほしいとのお話に、参加者一同、ハッとしたような表情で講義を終えました。
次回も先生のお話をお聞きしながら、皆で学びあう時間にしたいと思います。
  日 時 : 第2回は平成19年6月15日(金)19:00〜21:00
             会場は生涯学習センター大研修室です。
  問合先 : 育てる会事務局(086-955-6758)

 事務局だより
昼間の暑さが嘘のよう。涼しくて過ごしやすい赤磐の夜には蛍が舞い踊ります。
皆さん、6月10日ぐらいまでが見ごろですよ。ぜひ赤磐市へお越しください。
さて、代表が巻頭文にも書いていますが・・・。
この度、恥ずかしながら「光とともに」11巻のあとがきを作者の戸部けいこさんに依頼され「兄弟として」の視点で書かせていただきました。
締切りギリギリまで書き出せず、結局1週間ほどで書き上げた原稿でした。
書きたいことは山のようにあるのに、それをうまく言葉にできず、また文字数が決まっている中で書くというのは、なかなか大変で。ご期待に応えられたかが、かなり不安です。
今、自閉症本人とその兄弟がいらっしゃるご家庭へ向けて、また、私と同じような兄弟自身に対して何か伝えられることがあればと思って書きました。
「○○ちゃんは自閉症なんだから、お兄ちゃん我慢しなさい」
「○○ちゃんのお世話で大変だから、あなたは1人で遊んでいてね」
そんな風に言われ続けたら、兄弟がいても楽しくないと思います。
また、「○○ちゃんがいて、お兄ちゃんは辛いよね」「ごめんね、いつもいつも」と、まるで障害を持つ本人を邪魔者扱いするような言動ばかり聞いていたら、兄弟としてその家族を大切にできなくなるようにも思います。
私は、うちの家族が今のように仲がいいのは、哲平の障害があって「家族皆でそのことに立ち向かっていかなければ!」と思い、結束力を高めてくれたおかげだと思います。
自閉症があろうとなかろうと。哲平は我が家の大切な家族です。
そして、哲平と私の間の弟も、私も、父も、母も、皆皆、かけがえのない我が家の大切な家族です。
できることなら、私もこんな家族を大切な人と一緒に作っていきたいと思います。
・・・いつになることやら、ですけど。(笑)
読んでくださった方が「すごく良かったですよ」「泣いちゃいました」「わが子にももっとやさしい声かけしたいと思いました」など、直接やメールなどでたくさんの声援をいただき、
なんだか私の方が嬉しくて幸せな気持ちいっぱいになってしまいました。
皆さんありがとうございました。
さて、6月末には、アクトおおさかセンター長:新澤伸子先生の講演会があります。
今回先生にお願いしているのは「自閉症支援 はじめの一歩」。
まだ告知されて間もない保護者の方や、自閉症児を担任することになったばかりでどう支援したらいいか悩んでおられる学校の先生方へ、彼らの障害特性の理解と、どのような視点で支援をすればうまくいくのかというお話をお願いしています。
こういうと「うちはもう大きい年齢だからいいわ」とか「もう僕は自閉症支援を随分しているから」とかいう意見も多く寄せられますが、新澤先生のお話は、何度聞いても心動かされ、明日からの支援への姿勢をもう一度考えさせられるお話です。
実際私も先生のお話を伺うことで、毎回毎回新たな発見がありますし、普段忘れてしまいがちな「彼らの立場にたっての視点」を何度も見つめ直すいいきっかけにもなっています。ぜひ皆様ご参加ください。
また、8月19日(日)には、川崎医療福祉大学TEACCH部の重松孝治先生を、10月8日(月・祝)には、川崎市の明石洋子さんをお招きする予定になっています。(会場はどちらも岡山ふれあいセンター)皆様こちらも今からスケジュールに入れておいてくださいね。
(事務局:鳥羽 紗代)

以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
会の行事の予定は育てる会の「
今月の予定」に、近隣の講演会等の案内は「近隣の講演会等の案内板」に、載せるようにしています。
容量は小さくなりましたが、ご覧いただければ幸いです。
なお会報は正会員・賛助会員の方へは郵送でお届けしています。
もしご希望の方がおられましたら、ぜひ賛助会員に申し込みをお願いします。年会費 3000円です。
応援よろしくお願いします。
申込み方法の詳細は「
育てる会 HP」に記載しています。

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