sorry,Japanese only

平成11年6月17

第 14 号

岡山県自閉症児を育てる会


目次

夏季合宿のお知らせ
ボランティア 研修&交流会へのお誘い
7月例会のお知らせ (水泳教室・勉強会 etc.)
近隣の講演会等のご案内
NPO申請にむけて
片倉信夫先生の講演会に参加して
『自閉症を生きる』
私見ですが・・・(つづきです)
教育相談
自閉と向き合う 6
自閉症の息子と共に育ちたい

 あじさいが日増しに色を深めてまいりました。
梅雨に入ったにしては、雨が少なくすごしやすい毎日です。皆さまいかがお過ごしでしょうか?
 5月の片倉信夫先生の「自閉症を生きる」の講演会、6月の佐熊正史先生の「障害のある子の歯を守るために」の講演会と、講演会が続きましたが、いかがでしたでしょうか?
また感想等お寄せいただければ幸いです。
 さて、今号はいよいよボランティア研修&交流会へのお誘いと、夏季合宿への募集を掲載いたしますので、よく見てお間違いのないようにお願いいたします。
 夏の合宿は8月21日〜22日なのですが、参加者の年令や状況が決まり次第、ボランティアさんの人数や合宿内容の調整をはかる必要があるため、早目の募集となりました。
 みんなでの合宿形式は初めてですので、今世話人で内容、スケジュール等、相談中です。
「育てる会」が行なう合宿ですから、その第一目的はもちろん言うまでもなく“療育”です。子どもたちを一人前(いちにんまえ)の大人に育てるために、私たちは今、どのような夏合宿を行うべきか・・?
 皆で集まるからには、集まるからこそできる療育があるはずです。大きい人から小さい人まで集まるのですから、内容もよ〜く吟味しなければなりません。本気で子ども達の事を考える集まりでありたいと願っております。
 参加条件は、一緒に苦労の出来る人です。
 一人ひとりが、お客様ではなく、この合宿に関わっていただける。そういう方の参加を、お待ちいたします。
 そして、合宿の終わった後、子ども達の中に明日に繋がる可能性の芽が、一つでも生まれてくることが私達の願いです。

NPO(特定非営利団体)申請へむけて

安田火災記念財団より、NPO法人化の為の費用の助成を受けられることになりました。
いよいよ育てる会も、法人化へ向けて活動を開始する事になりました。
詳しくは、次号に譲りますが、福祉団体が法人格を取得すると言う事は、社会的な信用を高め、活動が行い易くなると言う事でもあるわけです。詳しい申請までのスケジュールは、世話人会で詰めて行きたいと考えておりますので、しばらくお待ち下さい。

私見ですが・・・(つづきです)

H.Y
 前号の『 私見ですが・・・』、妙に中途半端で申し訳ありませんでした。
「 で、どうすればいいのよ 」と、思われた方もいらっしゃったのではないかと思います。
 “きずな作りの第一歩、子どもを一人にしないこと”
簡単なようで、これがけっこう難しいのです。お母さんが働いていれば、なおさらです。
可能な限り、と付け加えた方がいいのかもしれません。
 家事はできるだけ省エネで、お父さんや兄弟にも協力を求め、お風呂や、食事、着替えなど生活上の雑事も利用して・・、
ひたすら、話しかけ ―― 意識していないと、ふだんの生活の中では思ったほど話をしていないものです ―― 働きかけます。
 家の中に、体を動かせるスペースを確保し、0〜2才児ぐらいの子が喜ぶような、体を使った遊びを中心に、子どもの興味のある事をくみ合わせます。
  • 赤なら、「赤よ」、だけでなく『 赤よ。リンゴの色、イチゴの色、リンゴおいしいね。○○くんはイチゴも好きだよね。赤よ、あ、信号も赤があるね。』と。
  • ※ 話かけは、できるだけいろいろな物ごとを連想して、
      同じことでもいいから何度でもくりかえす。
      “どうせ わからない”では、いつまでたってもわかりません。
      千回でだめでも、五千回で理解できるかも・・というぐらいの気持ちで。
      話かけの時には、発語のある子でも、子どもに問いかけて言わせるのは
      やめましょう。
      ただし子どもが自分で言ってくれた時は、すかさず同意してあげましょう。
  • と、延々と遊びます。切り替えが良くない時は、まず体を使った遊びを何種類か集中して、そのあと座って集中して、とか、子どもにあった方法をさがして下さい。
     一日に何度も同じことをやると、やってるほうはあきるのですが、子どもにとってはそうではないと思います。
     ただ、“何度もやる、繰り返す”というのは、“いつまでも、同じ事”というのとは違います。ボール転がしでも、いつまでも50cmの距離で転がすのではなくて、だんだんと間を離していく必要があります。そのあたり、お母さんは子どもをよく見て、子どもの力をしっかり把握して下さい。
     療育内容というのは、子どもの年令、成長、環境などで変わっていくものではないでしょうか。子どもの様子をよく見て、いろいろな情報の中から、我が子にあうものを探していくのは、親のつとめのようだと思います。                         

    教 育 相 談

    ペンネーム 松山 千春(教師)

     若かりし頃のこと・・・
     教室においでになった母親と立ち話をしているうちに、
    「うちの子は、夜、寝ないんです。朝もなかなか起きませんし、朝ご飯もあまり食べません。ことばでも自分が思うことを言えませんし、どうしたらいいんですか。・・・」
    と半時間にわたって、家でできないことを並びたてた話をうかがうことになってしまいました。話の間にコメントや意見をさしはさむこともできません。
     家でできることのうち、最大で最高のことは生活のリズムを確立することだと考えていた私は、母親が大きな息継ぎをとったところで、“反撃”にでました。
     「子どもの寝るリズムにも決まりがあるんですよ。寝る前に子どもに水を1杯飲ませていますか。新陳代謝を促しますよ。寝る時には豆球もつけず、暗闇の中で寝かしてください。・・・・」
    今度は私が延々と生活リズムに関して親ができることを小1時間にわたって話ました。
    “家でできることはこれだけあるんですよ。”とばかりに、ありったけの知識を駆使して一所懸命に話しました。
     私の話がひとくぎりついた時、その母親は、
    「ちょっとすみません。」
    と、少し離れた用水のところまで歩き、ゲーゲーと嘔吐してしまいました。
    「だいじょうぶですか。」
    と声をかけたものの、体調が芳しくなかったための嘔吐なのか、私の“反撃”により追い詰められたための嘔吐なのか、わかりませんでした。
     みなさんも、子育てについて相談をすることがあると思います。
     最近、ハンディキャップがある子どものための相談を受ける場は徐々に増えつつあるようです。そういう場所をたくさん紹介している冊子もあります。そんな場で、話す内容を共感して聞いてもらえることは大切ですね。
     しかし、たくさんある場で必ずしも同じような示唆を与えられるわけではありませんし、相談したいことに応じた内容がかたられないことさえあるでしょう。相談の場は、その数の問題ではないはずです。場があることよりも、そこに「人」がいることの方が大切ですよね。「人」のいない場での相談によって、いろいろ言われて迷うという結果だけが残るのもおかしなことです。
     相談を受ける側である私自身は、若かりし頃におかした一方的な話しをしてしまうというようなことはないよう心がけていますし、
    「そんなの気にしない、気にしない。明るくいきましょうよ。」
    ばかりののんきな相談相手じゃいけないと思っています。
    「わかりません。」ばかりじゃ、頼りないことこの上ないと恥ずかしくなってしまいます。
    だからといって即解決が見えるような話もなかなかできるものではありませんが・・。
    相談にのるということは本当に難しいことです。
     相談する側は、わからないことがあったり、解決できない問題があったり、迷ったりしたことを誰かに話します。子どもとの日々の生活で見えなかったものを見つけるヒントがあればラッキーですし、話した後で、混沌とした自分の頭の中の考えが整理され、収束されるところまでいけば最高でしょう。
     相談は、すべてを教えてもらうということではありません。子どもの姿に照らし合わせながら、真綿が水を吸い込むように話すことを受け取り、受け取りながらも、余分なものは上手に絞り出していく。
     相談を受ける立場からすると、親御さんが、ふだん見ている日常の出来事を整理し、ご自分の考えをまとめようとされる方だと話しがしやすく感じます。
    「先生と話していて気がついたんですけど、うちの子が○○するのも、それと同じことなんですね。」
    とか、
    「今うかがったことのほかにも、私が家でできることはこんなことがあるのですね。」
    とか言っていただけると、本望というところでしょうか。
     先日、ゲーゲー吐いたお母さんと10数年ぶりに話しをしました。子どもは、成人していますが変わらない様子のようでした。歳月は人を変えると言いますが、歳月とともに育つ子育てをしたいですね。

    自閉症の息子と共に育ちたい

    M.K
    先月、保育所の園外保育の時のことです。近くの公園で遊んでいたところ、五歳の息子が道路に出ようとして、担任の先生が慌てて止めに行こうとしたのですが、息子の近くにいた四歳の女の子が「危ないよ」と息子を後ろから抱きとめてくれたそうです。

     息子は自閉症で、人とのコミュニケーションが取りにくく、特に子ども同士では接触を拒むことが多かったのですが、園での生活の中で少しずつ友達の言葉にも耳を傾けることができるようになってきました。
     園長先生、担任の先生、諸先生方に温かく丁寧に指導していただいています。
    また、その姿を子どもたちがしっかり見ているのでしょうね。

    「お部屋に帰ろうよ」
    「まだ片付けてないよ」
    「そっちに行ったら危ないよ」

    できないことは手伝ってくれます。
    忘れていたら教えてくれます。
    危険なことは身をもって知らせてくれます。

     こんな小さな子どもたちがわが子を理解してくれていると思うと、思わず涙が込み上げ、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
    一緒に生活をしていく中で、わが子はもちろん、私たち周りの人間も共に育っていきたいものです


    これまで「育てる会会報」はHPに全文をUPしていましたが、容量等の事情により、一部抜粋とさせていただいています。

    今後は、会報は会員の方への郵送でお届いたしますので、ご希望の方は賛助会員に申し込みをお願いします。
    詳細は「
    育てる会 HP」に記載しています。

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