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平成23年11月30日

 

 第163号 

NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会

 163 目次

     冬の足音

     支援者養成セミナー 報告
         「服巻智子先生 講演会」

     即実践講座のご案内

     18歳の春を目指す親子療育クラブ・母の思いを語る会のお知らせ

     OHAの会、しばし休会のお知らせ

     キッズルーム・吉備国招待行事の報告

     クリスマス会・水泳教室・サッカークラブのお知らせ

     投稿のページ
        「きょうだいコラム」
        「お母さんコラム」

     私のお薦め本コーナー
        『イラスト版  子どものソーシャルスキル 』   

     近隣の講演会等のお知らせ

     赤磐ぐんぐんだより

     支援センターNEWS

暖かい日が続くと急に寒い日があって、着実に季節は冬へと進んでいきます。
冬の足音が聞こえてきそうな今日この頃、いかがお過ごしでしょうか?
風邪など召されていませんか?
私は、幸いにして、寒い時にはマフラーをするので、あまり風邪はひきません。
歳をとると首筋のところがなんだかスースーして、首のところを触ると冷たくなっているのです。血行が悪くなるのでしょうか?
それで何年か前からマフラーを首に巻くことにしています。そうすると、ほんわか暖かくって風邪にかかりにくいようです。
そういえば、私が子どもの頃、実家のおばあちゃんがネッカチーフというシホンのスカーフをいつも首に巻いていたのを覚えています。明治24年生まれの当時のおばあちゃんは、ずいぶんな年寄りに見えましたが、私の記憶の中のおばあちゃんの年齢は、数えてみると65歳くらいだったのに気が付きました。私もその歳に近づいてきたということでしょうか?
自分ではまだまだ若いつもりでおりましたが、首筋は歳を表すのでしょうか・・・?
皆さまも、季節の変わり目は、気をつけてくださいね。

さて、いよいよ今年も残すところ一か月となりました。
大掃除や年賀状など、年末にやらなければならないことが、山積みで何かと気ぜわしい日々が始まります。
ところが、我が家は年賀状はまだですが、大掃除は一応済ませた状態です。
「まぁ〜、お掃除が苦手な鳥羽さんにしてはめずらしい〜」
なんて誰かに言われそうですね。
実は、先日我が家は台所と居間のリフォームをしたので、どこもかしこも今のところすっきりしているのです。
リフォームをきっかけに、たくさんのものにあふれていた居間や台所のものを随分減らすことが出来ました。何しろ片付けないことには、リフォームはできません。
私片づけながら思いました。なんていらないものをたくさん抱えている事だろう。
そしてたくさんのものを持ちながら、捜しものばかりしている自分に嫌気がさしてきました。必要な時に見つからない捜しものなら、ないのも同じ・・・。そう思うと、何でも捨てられそうに思いました。
たくさんあった本や、参考になるかも・・と思って残しておいた参考資料、記録用のVHSテープなど大量にあります。料理の本もどっさり、聖書が3冊もありました。家庭の医学書なんかも本棚の大きなスペースを取っていました。今は、病気はインターネットで調べた方が早いし、新しい情報が見られます。
これから使わないものや、多分見ないと思うものは、思い切ってどんどんゴミ箱へ放り込んで行きました。
ただ、昔の自分が書いた原稿や育てる会の事務局をしていた頃の色んな人からいただいたお手紙などは、捨てられませんでした。そういった書類がまだたくさんあります。
また、哲平と一緒に作った備前焼の食器もたくさんあります。
使うには、ごつごつしていて、重いうえにお皿の真ん中には、しっかりと「鳥羽哲平」なんて書いてあったりするのです。
捨てるのには偲びがたく、やっぱり元の棚に戻したりしてしまいました。
こんな事だから、まだまだ片づける物は多いのですが、居間と台所だけは、随分捨てることが出来て、大満足です。このままの状態をキープ出来れば、お正月は、ばっちり綺麗なまま迎えられることでしょう。
片づけられない私が、片づけを始めました。それには、二人の方の影響があります。
ぐんぐんスタッフのお母様が、家中の不要なものを処分されたと聞きました。
老前整理と言って、まだ若いうちにすっきりと物の整理をして、少ないもので暮らすということなんだそうです。年老いてからでは、整理もおぼつかなくなるし、決断力も無くなるかもしれません。また、死んだあと若い人たちに迷惑をかけない為にも、大切なことと考えられたそうです。
もう一人は、9月に講演会に来て下さった桑原綾子先生のお話からでした。先生は御引越しをきっかけに、物を減らすことに取り組みはじめられたとか・・・。結果、テレビまで必要ないとすっぱり捨ててしまわれたそうです。そんな先生の朝は、ヨガと読書からはじまるそうです。
なんて素敵な暮らしでしょう。
私には、とてもまねが出来そうにありませんが、自分も少しずつ変わっていきたいと思います。
何かを変えようと思えば、まずは自分で動くしかないのではと思いました。

さて、今月は、キッズルームと吉備国際大学の招待行事がありました。
共に学生さんたちが中心になって私たちの子どもたちの為に企画運営をしてくださっている活動です。
思い返せば、初めてのキッズルームは、平成12年2月の事でした。
そして、初めての吉備国際大学から招待をいただいたのも平成12年10月の事でした。
共に、12年が経ちました。
そんなキッズルームと吉備国際大学の招待行事の報告が後のページにあります。
楽しかった二日間を皆さまにご紹介しますね。どうぞご覧ください。
また、母の想いの見学会は、ベネッセのビジネスメイトの見学でした。
これも後のページに報告がありますので、よろしくお願いします。

続いて、我が家の哲平君の話題を二つほどさせてもらいましょう。
先にも書きましたが、我が家はリフォームをしました。台所の流し台やガスコンロがすっかり撤去された台所を見て、「あ〜ぁ、壊しちゃった」と一言。
昔は壊れることや変化がとても苦手だったのですが、この一言で、何も言わず、洗面所を使っての洗いものにも混乱を見せず、淡々と台所が使えない一週間ほどの窮屈で不便な生活を過ごしました。
そして、リフォーム完成後のガスに変わったIHヒーターを、説明書も見ずに使いこなす哲平に驚きました。私は、どうやるんだったかなとか、どれくらいの火力にしようかなと、色々迷いつつやっている料理も、哲平は平気でどんどんやります。
電動のつり戸棚が上がったり下がったりして、びっくりするかなと思って試しに哲平の前で急におろしてみましたが、「なんだ 便利だね・・」くらいの反応で、がっかりでした。
なんでも平然と使いこなしている哲平に不思議な気がします。機械に強いというか、何にでもすぐ順応していく力が付いていて、頼もしく思います。
さてもう一つの話題は、休日出勤を会社からお願いされたお話をしたいと思います。
哲平の通う夢工房は、最近とても忙しいようです。それで先日初めて哲平に休日だけれど、出勤をして欲しいとお話がありました。
多分お金さえ、たくさんもらえるなら大丈夫だろうと、私は多寡をくくっておりました。
お願いされた日にちを言って、哲平にお願いすることにしました。
「11月12日の土曜日、お仕事があります。哲平に来てほしいそうです。」
「行きますか?行けばおカネがもらえるよ。」
「行きますか?休みますか?」
するといつもの調子で 「はい12日、お仕事行きます。頑張ります」としっかり答えてくれました。
でもそのあとすぐに、 「お仕事しない!!」と言いだして、「土日はゆっくり休んでください!」と連呼し始めました。
実は、その12日は、太陽の家でバーベキューがあったり、前から楽しみにしていた映画を見にいく約束があったり、SOのボウリングもありました。
急なお願いと、数々の楽しみにしていた行事に行けないことが解り、混乱したようでした。
私は、お金さえもらえたら、そんな行事は気にしないのではないかと、安直に考えていました。
でも、思ったより休日出勤のハードルは高く、本人は受け入れられませんでした。
もっと早くから計画して、お休み返上をカレンダーにも書き込んでおくと予定も入らないし、うまくいくかもしれません。
そう思うのですが・・・それももしかしたら私の楽観的な考えなのかもしれません。
会社は、急にお仕事が入って忙しくなったり、そうでも無かったりします。
早くから言ってくださいといっても、そうもいかないことでしょう。
こんなことが、これからも日常的にあるのかもしれません。
入社して6年目です。色々ありましたが、会社の皆さんのご支援のお蔭で、何とかここまでお勤めが続いております。ありがたいことです。
今回も、様子を話すと、哲平の特性をよく理解してくれている会社の方は「まあ、仕方ありませんね」という調子で、笑って認めてくださいました。
・・・苦笑いでしょうね。ホントに申し訳ありません。
自閉症である哲平にとってのこの仕事の予定変更は、将来に向けての大きな課題のようです。
また一つ、取り組むべき課題が見えてきました。まだまだ、安心できない日々です。
でも、取り組むべきことが見つかると、実は私はワクワクするのです。
最近は、色々小さいことはあるものの、とてもいい子なので、何にも問題は感じません。
安定して色々なことに取り組んでいます。親としては、言うことなし状態でした。
でも、ここへきてこの問題です。無理はさせないにしても、少しずつ“お仕事とは”、“お金をもらうということとは”、ということを改めて教えるチャンスだと思っています。
冬が日ごとに近づいていますが、山は、紅葉で一番いい季節です。お天気のいい日は、色づくもみじや楓の中、散歩もいいですね。
年末へ向けて、忙しい毎日が続くと思いますが、どうぞ、お身体気をつけてくださいね。
次は、2012年の年の初めの会報でお会いいたしましょう。
(育てる会 代表 鳥羽 美千子)

支援者養成セミナー 報告

平成23年10月22日(土)、佐賀より服巻智子先生をお招きして、第3回自閉症児の自立を果たすための支援者養成セミナーを開催いたしました。
テーマは「自閉症児支援の最前線 T 〜思春期・学齢期の対人関係の支援〜」ということで、次第に成長していく自閉症スペクトラムを持つ子に合わせた、適切な支援の方法についてのお話しをお聴きしました。
ユーモアを交えた楽しい雰囲気の中で、具体的な支援の方法をビデオなどを拝見しながら分かりやすくお話しいただき、みんな明日からの希望をもつことのできた明るい講演会でした。
また、来年3月には、「自閉症児支援の最前線 U」と題して、服巻先生に、今度は性についてのお話を中心にセミナーを予定しています
それでは、当日の報告を利守先生にお願いいたしましたのでご覧ください。
また、大勢のみなさんからアンケートや感想をいただきましたので、その一部ですが紹介いたします。

先日は、服巻先生のお話を聞くことができ、また新たな支援へのエネルギーをいただくことができました。
服巻先生が演壇におられると、華やかで明るい希望に満ちた雰囲気になります。私も一支援者として、周りにいる人が明るい気持ちになれるような人になりたいと感じました。
今回は「自閉症児支援の最前線T」というテーマでお話ししていただきました。世の中に出ている本を読んで勉強することも大切ですが、いち早く、フレッシュな情報を耳にすることができるのが、セミナーに参加する醍醐味です。発生率、脳画像診断や、重複診断、支援方法などについての最新の話題をうかがうことができました。
お話ししてくださる服巻先生を拝見しながら、私は服巻先生から支援者としての在り方を教わっているようにも感じました。
まず、服巻先生は常に勉強をし続けておられます。いつも最新の情報を、海外にまで足を運んで学びに行かれています。先生ほどのすごい人が、学び続けているのですから、私たちが自閉症についての勉強を修了する日などきっと来ないのだとわかります。先生が遠い海外からの最新の知見を岡山に住む私たちの目の前に届けてくださっていると思うと、聞かせていただけることがとてもありがたいです。
例えば、以前は自閉症の人は人との楽しみを共有することが難しい、とだけ言われていましたが、ESDMという生後9カ月から「相手との楽しみを共有することを教える」アプローチが開発され、実際に効果があることが証明されています。
佐賀で実施しているビデオを見せていただき、早期発見をし、療育を始めることで、症状の軽減が実現できる時代が来ていることを実感しました。
次に、服巻先生から学んだ支援者の在り方として、服巻先生は学んだことを実践なさっているということを感じました。いくら勉強して知識を身につけても、実践しなければ何の意味もありません。服巻先生は想像を絶する忙しい日々を送っておられるのではないかと思いますが、実際に様々な支援や事業を実現されておられ、そのお話はいくら時間があっても足りないくらいでした。私たちも、「誰かがやってくれないかしら」「鳥羽代表がやってくれないかしら」と手をこまねいたり、現実を嘆いたりするだけではなく、学んだことを生かし、気付いたことを改善していくアクションを起こすことが大切だと痛感しました。服巻先生はいつも、「行政の方たちは良い人たちです」と笑顔でおっしゃいます。学校の先生たちもきっとそうです。どんなに窓口が閉ざされて見えても、「きっといい人なんだ、わかってくれるはずだ」と信じて、必要な支援や環境を実現させていきたいと思いました。一度で伝わらない時は、何事も自閉症支援と同じで、「どうすれば伝わるのか」を考え、相手が気持ちよく動けるように自分が工夫し立ちまわることで、身の回りから世の中を変えていきたいです。

それから、もう一つ、支援者の在り方のお手本として、服巻先生は自閉症の人たちを心底大好きなのが視覚的にわかる域に達しておられるということを感じました。といっても、ただ自閉症の人が好きなだけでは適切な支援はできません。
しっかり特性や支援について勉強し、観察し、思い込みを捨て、実態に合った支援をしていくことが大前提です。でもその中で、根底にしっかりと流れているべきなのは、相手との違いを認め、尊敬し、愛する気持ちなのだと感じました。そのためには、支援する側の人間の人格や価値観を高めていくことが必要です。先生は、「人として生まれ、生きていくうえでの基本中の基本として「自閉症」をどう思っているのか、が問われる」「違っていることは悪いことではない」「違っていることを治そうとしたり「フツー」にしようとしたりする考え方を自閉症の人たちは嫌だと思っている」ということをおっしゃいました。私も支援している時に実感しています。子どもたちは、たとえ表情や気持ちを推察するのが苦手であっても、私がその子どもをどう受け止めているかを確実に感じ取っています。私がその子にどう向き合っているのか、が透けて見えているようです。だから私は常に透視されてもいい心情でいられるように心掛けています。心底大好きだと言えるようになるためには勉強と実践が必要ですし、それを続ければ続けるほど、自分自身の人格が磨かれていくような気がします。
今回のサブタイトルは「思春期・学齢期の対人関係の支援」でしたが、「失業保険の付く雇用をされるように」というのは、支援の方向性として具体的でわかりやすいと思いました。自閉症の人が成人期に追い込まれやすい状態としてキレやすさや引きこもり、働けない、うつや強迫神経症、ゴミ屋敷などが挙げられました。これらの状態には、日常の接し方、日常集団が深く関連しているそうです。将来幸せに暮らせるようにするためには、思春期、苦しんでいる子どもを否定することなく、環境を整え、仕切りなおして支援していくことが大切だということを改めて感じました。何かを一度教える、という一時的なことでなく、常日頃から周りの人が本人に対して辛抱強く人間関係のモデルを見せることの積み重ねが必要で、そのためには支援する側が視覚支援(TEACCH)やソーシャルストーリーズなどの適切な支援技術を用い、「自閉症」に対する自分の思いを見つめなおして関わるという当たり前のことが重要だと思いました。
支援への示唆として、「一時期良く見えても、それが一生の安定を約束しない」と言われました。誰でも子どもが辛い状態にある時には懸命に支援をしますが、少し安定するともう大丈夫と勘違いし、支援が手薄になっている状態を目にすることがあります。「本当の支援者はどんなにうまくいっていてもその人に障害があることを忘れない」そうです。先生は「(自閉症児・者にとって、)本人がどのような状況下になっても、理解者が身近にいるということが社会適応を維持するための鍵である」とも言われました。私もいつか、自閉症の人本人と、家族の方たちにとってのそういう存在になりたいと思いました。
服巻先生に一歩でも近づき、良い支援をしていけるよう、日常的な心がけから実践をしていきたいです。
自閉症についての謎はどんどん解明されていて、新しい知識を入れていかないと子どもたちの実情や時代に追いつけません。たくさんインプットしても、実際自分の技術として使えるようになるまでには時間がかかりますが、勉強し続けて始めて実践できることが増えるのだと思います。
育てる会のセミナーはいつも日本の自閉症支援を代表するような方々が講師をしてくださいます。アメリカやイギリス、東京まで行かなくても、岡山で最新の知識が学べることに感謝し、チャンスを見逃したくないといつも思います。今回のテーマは「自閉症支援の最前線T」ですから、次回のUも見逃したくないです。服巻先生ありがとうございました。
利守 愛子

【 保護者 アンケート 】

○ 思春期に入る前にやっておいたほうがいいことについて、具体的な例を教えていただけたので良かった。支援者自身が感情的にならない、というところで日々の生活を反省しました。 子どものためにもどっしりと構えてがんばりたいです。
○ いつものように、全て勉強になりました。構造化した支援を考える時、こちらから一方的に提示するものにならないよう、あらためて反省することばかりでした。一時期安定していても、特性そのものは生涯もっているもので、そのとき、そのときの発達にみあった支援を常に考えるということを、あらためて自分に言いきかせました。
○ 早期療育のお話、興味があったので今回聞けてよかったです。ビデオを見させていただいてわかりやすかったです。毎回、とてもユーモアあるお話で服巻先生大好きです。最後の先生のことば「どんなに良好な時でも、その人が自閉症であることを忘れないこと」そういう人であり続けたいと思います。また先生にお会いできるのを楽しみに、日々楽しい生活を送りたいと思います。
○ 向き合う姿勢について、改めて思い直す機会をいただけて良かったです。最新の情報を教えていただけ、早期からの診断が可能なことに驚きました。成人期にどんな生活を送っていってほしいかを念頭において、今からしっかり準備していきたいと思います。
○ 良かったコト、服巻先生に思春期を迎える前に教え始めることを教えてもらったコト!3つ組の障がいの基本も思いだせたコト! 自閉症児の周りにいる人がどう接するかで全てきまっていくという言葉と、差別をしない大人になるという言葉が印象に残りました。差別というのには“大変”とか“かわいそう”とかも入ると言われて・・・我が身を反省しています。親自身の感情をコントロールできるようになって、大丈夫と安心してもらえる親になりたいです。

【 教育・保育関係者 アンケート 】

○ 行政の立場、保護者の立場、支援者の立場、教育の立場、いろいろな立場を尊重しながら、でも、基本的には「子どものために」ということがはっきりしていて、ストレートに心に響きました。「人を育てる」という発想、大切ですね。(小学校 教諭)
○ 早期教育の効果の大切さ。ビデオを見せていただいたのですが、目線や人とのやりとりの変化が見られてとても驚きました。うまくいっている時に、つい安心してしまうこともありますが、本人に合った支援体制はしっかり考えていきたいと思いました。(中学校 教諭)
○ 思春期を迎える前に教え始めること、具体的に教えていただけて分かってきました。担任している子ども達にしなくてはいけないことに、改めて気づかされました。帰ってさっそく取り組みます。(支援学校 教諭)
○ 日頃の悩みの解決に繋がる部分がたくさんありました。また、日々の生活を振り返り、しっかり反省しました。しんぼう強く、感情のコントロールを上手にして、おだやかに指導をしなければと、改めて強くおもいました。(小学校 教諭)

【 その他の方からのアンケート 】

○ 自閉症の子の特徴をあげて、こうしてあげたらいいということを具体的に教えていただけたので、現場でもすぐに臨床に活かしていこうと思いました。たくさんの情報をいただいたので、これを自分の物にできるように勉強したいと思います。(作業療法士)
○ 自閉症の子どもも日々変化していて、昨年通りにしていくのではなく、少しずつ成長に合わせて変化させていくことが必要だという事、支援する者がもう少しきちんと勉強していかなければいけないことが分かり良かったです。(支援員)
○ 先生の自閉症の方に対する理解と愛情が感じられるお話だったので、心地よく聴かせていただけました。現在の最新の状況、話のひきだしが多く飽きないお話で、次は何? と興味深く勉強できました。 (指導員)
○ 思春期を迎える前にどう支援・療育していかなければならないか、10項目にわたる内容がとても分かりやすくて、改めて支援に活かしていこうと思いました。やはり自閉症児にとって、終わりの切りかえは、大きな課題ですね。 (支援員)

教師・保育士対象 即実践講座

 【即実践講座 基礎編】

☆第7回☆ 平成23年12月9日(金) 19:00〜20:45
           「余暇支援」
           岡山県生涯学習センター 大研修室
  対 象 : 教職員・保育士やそれを志す方、施設・福祉関係職員の方 対象。
         (申し訳ありませんが、保護者対象ではありません)

 【即実践講座 アドバンス(上級編)】

☆第7回☆ 平成23年12月15日(木) 19:00〜20:45 
           「余暇支援」
           岡山県生涯学習センター 大研修室
   対 象 : 過去の重松孝治先生の即実践講座を受講したことのある人。
どちらの講座も参加費・申込先は一緒です。
   参加費 : 全10回分 賛助会員17,000円 ・ 一般20,000円(賛助会費含む)
         途中参加の方には、それまでの講義のDVDをお貸しします。
   申込先 : 育てる会事務局(086-955-6758)

 《予告》

来年2月16日(木)の第9回 アドバンス(上級)編の会場と
3月9日(金)の第10回 基礎講座の会場が、いつもの部屋と変更になります。
同じ、岡山県生涯学習センターですが、1階の視聴覚室で開催されます。
ご注意ください。

「18歳の春を目指す 親子療育クラブ」

日時  平成23年12月 9日(金) 9:30〜13:00(受付9:20〜)
場所  きらめきプラザ2F 研修室
内容  @ 9:30〜10:00 ツール展示・本やグッズなどの情報交換  
     A10:00〜12:00 武蔵博文先生(香川大学教育学部教授)の講演
     B12:00〜13:00 ツール相談会(座談会)
                紹介したツールについての感想や日常生活で困っていることについて話し合いましょう。
準備物 今までに作ったツール、情報交換の本やグッズなど
※座談会には武蔵先生にも入っていただきますので、良いアドバイスも期待できると思います。
  初めての方もぜひご参加下さい。

「母の想いを語る会」

岡山市南方にあるベネッセ本社ビルの中に、障害のある人たちが働くベネッセビジネスメイトという特例子会社があります。
今回、11月8日(火)には、ここを20人のお母さん達と共に見学させていただきました。
南方にあるベネッセの本社ビルは、玄関アプローチからロビーまで広々として、さすがは岡山きっての大社屋ビルです、威風堂々としていて・・思わず尻ごみしそうになるほどでした。
お洒落でシンプルな会社の中は、機能的で窓の配置や階段の位置まで良く考えられて素敵で、従業員の方にとっても働きやすい会社のようでした。
さて、このビルでどんな風に障害のある人たちが働いておられるのか、興味津津で、エレベーターで階上の会議室へ案内されました。
ベネッセの概要説明をしていただいた後、いよいよ二つの班に分かれて、会社の中を見学です。クリーンサービス・メールサービス・OAセンターというのがあり、合計で31人もの障害のある方が働いておられました。
何より感心したのは、働く皆さんが明るいことでした。
働いておられる人が、自分たちの仕事の内容を説明して下さいました。その姿が、生き生きしていて、楽しげで・・・、ここがよい職場であることが、その明るさから滲み出ているようでした。
説明して下さる方に、私は質問しました。
「ここに働きに来る前は、どんなところで働いておられましたか? そして、その職場との違いは、どんなことですか?」
すると、
「前に働いていた所よりここの職場の方が、私には解りやすいです。誰にもわかるようにマニュアルがあって、皆が働きやすいです」
そう言われました。
素晴らしいですね。マニュアルは、たくさんたくさん作ってありました。
自閉症の人ではなくても、マニュアルや見て解る支援がどれほど必要かが、よく解る答えだと思いました。
ベネッセは、私の子どもが、3人とも子どもチャレンジを購読していたので、とてもなじみのある企業でした。でも、今ベネッセビジネスメイトを見せていただいて、その企業のイメージが一段と高くなったように思います。
こんなに考えて障害者の雇用を行っている会社だということが、もっともっとPRされていいと思いました。
障害者の一人ひとりの個性を考えて、作ってくださったマニュアルや道具の配置にも環境にも、配慮が細部にまでありました。
お掃除は、ピカピカで、おトイレの鏡まで曇り一つなくきれいに磨きあげられてありました。
細かく細かく、丁寧に丁寧に指導された様子が、随所に感じられました。
ベネッセビジネスメイトは、私の想像をはるかに超えて、素晴らしい取り組みをされている会社でした。一人ひとりを見つめ考えるところから支援があることを、改めて教えてもらった見学会でした。
私たちが、みんなでいろんなところを見せてもらうのは、就労へむけて、子どもに今何を教えて行けばいいのかを、考える元にしたいからです。
働く場が、ベネッセビジネスメイトであればいいけれど、そんなに大勢の人をひとつの会社で雇える訳ではありません。どのようなスキルが働く大人になる為に必要なのか、また、どんな制度や改正が障害者の雇用にとって必要になるのか・・・。まだ小さい子どもの親たちには、いろんな可能性が広がっています。
まだまだ時間はあるのです。色々な事を、模索し考えていくことで、子どもたちの将来を明るく変えていけるのではないでしょうか?
あきらめないで頑張りましょう。
我が子が小さかった20年前には、岡山では自閉症の大人になった人たちは、病院や施設の中で、悲しく辛い生活をされる方の方が多かったのです。地域の中で、働く人はほとんど見かけませんでした。
今の岡山は、全然違います。たくさんの障害のある人が、仕事を得て、生き生き働いておられます。こんな風に岡山が変わるなんて、信じられないくらいです。
これからもどんどん障害のある人たちが、社会の中で普通に生きられるように制度も変わっていくことでしょう。これからの20年でどれほど岡山が変わっていくか想像できないことです。きっと変わっていく、それを信じて、私たちは子どもを育てて行きましょう。

☆ 次回の母の想いを語る会

さて、次回は、今田恒子さんは都合で来られませんが、きらめきプラザで、懇談会を行いたいと思います。
次回以降のことや、気づいたことや、様々な悩みも持ち寄って、久しぶりに「母の想いを語る」会、ゆっくりお話をしましょう。
日 時:12月13日火曜日 10時〜12時
場 所:きらめきプラザ2階 小会議室1
参加費:300円   定員:12名 (定員に達したら 締め切ります)
申 込:12月12日(月)までに必ず電話かメールでお願いします。
それでは、一緒にベネッセビジネスメイトを見学したお母さんからの感想です。

見学の前に、代表が一言、「早目にどういうことに気をつけて育てていくか?・・・」というように言われていたので、それに、気がつけたらいいなあと思いながら、見学をさせていただきました。
見学を終えて、思ったことは、我が子には、チェックをすることができていないなあと思いました。どんなお仕事をすることになるにしても、相手の方が、希望する内容が、きちんとできていなければお仕事にはなりません。ベネッセの方のお話の中に、一生懸命、自分はしているけれど、汚れている。そこに待ったが入る。なぜ、やりなおさなければいけないのか?(混乱)我が子の将来を想像しても、ありそうなことだと思いました。
また、働くということは、常に、ほめられるわけではありません。自分は、一生懸命しているのに、お客様は、何も言ってくれない。(混乱)
これも、ありそうなこと。考え方や行動の修正に、柔軟性がもてるまでに、育てていないといけないなあとも思いました。他にも、色々、気づかせていただきました。やはり、百聞は一見にしかずという言葉通り、働いている方の姿やお話が、一番、気づきの勉強になりますね。本当に、見学をさせていただけてよかったです。ありがとうございました。 (N)

ベネッセビジネスメイトで障害者の方が働いている部署の見学をして、印象に残っていることは、みなさんとても気持ちの良いあいさつをしてくれることでした。また、落ち着いて仕事に取り組んでいる様子・私たちの質問にも快く答えてくれる様子などから、支援が行き届いていて、働きやすい環境づくりがなされていることがよく分かりました。この会社では就職して仕事を覚えてそれで満足するのではなく、ビジネスマナーやコミュニケーションの研修などを定期的に行い、さらにアビリンピック(障害者技能競技大会)にも積極的に参加し、個々のレベルアップも考えられていて本当に理想的な企業という感じです。このような理解のある企業がもっと増えてほしいなあと思いました。 (S)

先日はベネッセビジネスメイトさんの見学ではお世話になりました。
クリーン、メール、OAのお仕事の様子を見せていただきました。お仕事の説明をして下さった皆さんの明るいお顔が大変印象的でした。
わかりやすい作業手順書や相談しやすい体制が整っていたりと羨ましい限りでした。
ただ、見学させていただいて思ったことは、息子のような典型的なタイプの自閉症者には、こちらでのお仕事は向いていないのかな・・・ということです。
こだわりや「先着一名様」的なところやイレギュラーが苦手、音が気になる等、大変難しいなと思いました。このような特性を抱えていても働ける職場はどこだろう?できる仕事は何だろう?考えて、必ず見つけていこうと思います。  (T)

「OHAの会 休会のお知らせ」

OHAの会は高機能自閉症・アスペルガー症候群の子どもを持つお母さんのための会です。
これまでは、臨床心理士の利守愛子先生にアドバイザーをお願いして、知的障害がないからこその悩みや将来への想いなど、同じ立場のお母さん同士で想いを語り合ってきましたが、利守先生のご都合で、今までの形でのOHAの会については、11月から少し休会とさせていただきます。
今後のOHAの会につきましては、少し形を変えて行うのか、あるいは利守先生の都合が良くなって改めて再開するのか、みなさんのご希望を聞きながら考えていきたいと思っております。
ご意見を事務局までお寄せください(Tel.086‐955‐6758、Fax.086‐955-6748)

「キッズルーム」

11月20日(日)、今年2回目のキッズルームが岡山大学第2体育館で開かれました。
大勢の児童文化部のお兄さんやお姉さんが待ち受ける中、もう顔見知りになったボランティアさんを見つけて走り寄る子、初めての参加でちょっと緊張気味の子、もうすっかりベテランでボランティアさんより年上になった23才のTくんまで
・・・今回も、それぞれボラさんといっしょにキッズルームを楽しんでいました。
大きな流れはいつも同じにしていただいているので、一度でも参加した子ども達は安心して遊べる会になっています。
今回も笑顔の報告を載せていますので、参加できなかった方も楽しい雰囲気を味わってください。

上の子が5歳の頃から参加し続けて、もう5年になります。
毎回楽しみにしていて、だいたいいつ頃あるか覚えているので、息子の方から参加申し込みをするようせっつかれるほどです。
(学校行事と重なった場合は学校休むと言われて大変です!)
大きな流れや雰囲気はずっと変わりません。ですから安心して参加できます。
人形劇の中で、息子にとって苦手なシーンがあるのですが、分かっているので前もって段ボールハウスの中などに避難していられる、それが許される環境はとてもありがたいです。
ボランティアさんたちの中で引き継ぎもしっかりしてくださっているので、誰がついてくれても安心して任せています。
大きな変化はなくても、マイナーチェンジは少しずつされています。たとえば正面のスケジュールは、注目しやすいようなものを工夫して手作りされています。一時期それが魅力的すぎて、息子が触るばかりしていたのですが、またそこから少し変えて動かしにくいものにかえてくれています。
リトミックも昔のとは少し変わっているように感じます。わかりやすい動きで、みんなが参加できるのはとてもいいなあと思います。
「次は2月かな」と(勝手に)話している息子たち。
彼らもいつかは卒業していくのでしょうが、今小さい子どもたちやこれからの子どもたちのためにも、キッズルームがずっと続くといいなと思います。

「吉備国際大学ボランティア部 招待行事」報告

今年も11月19日(土)に、吉備国際大学ボランティア部のみなさんが、子ども達を高梁市まで招いてくれて、「やってきました! 秋のワクワク運動会」と題しての招待行事を開いてくださいました。
育てる会ができてまもなくの頃、平成12年から続いているこの招待行事も、もう12回目ですね。
毎年入れ替わりのある大学生のみなさんが、先輩から後輩へと引き継いでいただいて、子どもたちも楽しみにしてくれている行事の一つです。
今年は、あいにくの雨となりましたが、午後からはこやみになって予定通りの流れで行うことができました。
それでは、参加された方からの、楽しい報告を紹介します。

昨年に引き続き参加させていただきました。
朝から激しい雨・・・会場への道もうろ覚え・・・
少し不安な状態で向かったのですが、会場近くで吉備国大のボランティアさんが大雨の中立って待ってくれているのを見て、安心しました。
感謝しながらのスタートです。
会場に車を停めるやいなや、上の子は私をおいて担当ボランティアさんと会場施設の中へ入ります。
去年の記憶もあるので安心して中へ入っていきます。
午前中は、進化じゃんけん、風船リレー、ペットボトルホッケーを行いました。上の子は進化じゃんけんが楽しかったと言っていました。ねずみ→犬→人間と勝つたびに進化して(負けると1つもどって)人間になってもう1回勝つと「あがり」です。今回は参加者が少なかったのですが、ボランティアさんたちも加わったので、わかりやすく・楽しくできたようです。
下の子はペットボトルホッケーが楽しかったようです。ゲームセンターにあるエアホッケーみたいで、他の子にも人気でした。見ている方もおもしろくてとても盛り上がりました。息子は後の自由時間にも何回もしていました。
午後は、ポイントシールラリーです。天気が心配でしたが、この頃になると雨はほぼやんで、予定通り行うことができました。シールを探していくのですが、地図のような手がかりがあるともっといいかなあと思いました。
今年は親がついて行かず、ボラさんと子どもだけで行いましたが、無事に全部のシールを集めて帰ってこられて、ボラさんに感謝するとともに、息子たちの成長を感じました。
帰りの車の中で、息子たちは早くも来年も行くと言っていました。上の子は年に1回ではなく、回数を増やしてほしいとまで言っていました(笑)
来年はどんな遊びがあるのかな? 今から楽しみにしています。吉備国大の皆さん、ありがとうございました。

「クリスマス会」

日 時:平成23年12月11日(日) 13:00〜15:00 
場 所:岡山大学第2体育館
参加費:500円
今年も岡山大学児童文化部のみなさんのご協力をいただいて、クリスマス会を開きます。
参加者のみなさんには、詳しい内容を同封いたしますが、体育館を使っての催しとなりますので(キッズルームと同じ会場です)、防寒対策はしっかり用意してお越しください。

水泳教室のお知らせ

日 時 : 平成23年12月18日(日) 15:30〜17:30
場 所 : OSKスポーツクラブ岡山 3階ロビー(岡山市北区絵図町1-50)
          ※プールは育てる会水泳教室 貸切で行っています。
連絡先 : 育てる会事務局
★新たに参加されたい方、体験されたい方は事務局までお問い合わせください。
体験は1回2000円(保険代込み)です。
★欠席される方は、必ず12月13日(火)までに事務局に連絡してください。
★当日の急なキャンセルなどは 水泳教室担当に直接連絡ください。
(水泳担当:S & H)

サッカークラブのお知らせ

日 時 : 平成23年12月23日(金・祝) 10:00〜12:00 (9:45集合)
場 所 : 岡山市内グラウンド
持ち物 : マイボール、ゼッケン(ボラさんの分も)、ハチマキと名札
       お茶(ボラさんの分も)、個人ノート、出席カード
       親リーダーはグループノート
※ 活動日前日、当日のいずれかに雨が降った場合、活動は中止となります。
  中止の場合は、メールでお知らせします。
※ 体験、見学の申し込み・お問い合わせ・欠席の連絡は担当までご連絡下さい。
(サッカークラブ担当:M & S)

投稿コラム

今月はいつものAくんのお母さんと、ごきょうだいの方からご寄稿をいただきました。
特に、ご兄弟の方から寄せられた文には、成人したあとの子どもたちの暮らしのスタイルを考えさせられました。
自閉症をもつ、今はかわいいだけの子どもたちも、自閉症をもつ青年になり、おっちゃん・おばちゃんになり、おじいちゃん・おばあちゃんになっていきます。そのとき周りの人たちが、どのように生活を支えていくか、支えていける体制を作っていけるか・・・家族も含めて考えていかなければならない課題ですね。

『 きょうだいコラム 』

私の二人いる弟のうち上の弟は障害者です。
自閉症で、知能指数は3,4歳と低く、一人で自活することは全く不可能です。性格も祖父譲りの頑固な性格で、自分がこれと決めたことでは両親や私がいくら止めさせようとしても、頑として聞き入れません。
最も弟がこだわるのは、長時間手を洗い続けたり、風呂場の出口に何枚もタオルを敷くことだったりと、他愛もないといえばそうかもしれませんが、一種の強迫観念からくる行為を延々と傍でするのを見ていると、うんざりして、ついつい声を荒げてしまうことも間々あります。
実際弟の障害から出る奇矯な振る舞いや行動は、今に始まったことではなく、両親と私にとって四十五年間ずっと悩みの種でもありました。
しかし、そんな弟も四十路の半ばに至り、両親も七十歳を過ぎて、親が亡くなった後に弟の面倒をどうするかといったことを、私もそろそろ真剣に考えなければならない時期に来ています。
結論から先に言えば、私は弟を公的な施設に預けることなしに、できれば兄弟二人で生きていきたいと考えています。
その理由はなぜかと問われれば、それはやはり私たちが兄弟だからでしょう。少なくとも私にはそんなふうにしか答える術がありません。
障害者の子供を持つ親は健常者の兄弟姉妹に対して、お前には迷惑はかけない。自分たちが何とかする。好きなように生きればいい、と述べるのが常なのでしょうか。私の両親もご多聞に漏れずそんなことを私に言ってきましたが、それを言葉通りに実行すれば、弟を半ば縁を切る形で公的施設に入所させる運びとなるでしょう。
もちろん、人が思うことは様々ですから、親子や兄弟も所詮は他人と割り切ることを非難はできませんし、実際私自身そんな選択肢がちらっと頭を過ぎることがありますから、非難などするつもりはありません。
それは人が個人として下す人生の選択なので、良いも悪いもないからです。
ただ、私には脳裏にこびりついた古い記憶があって、
それは弟が小学生の時に養護学校の寄宿舎に入所した当時のものですが、その日、いつも後ろを付き纏い、時には煩わしく思っていた弟のいないボロ家のガランとした空気が妙に寒々しく思えたことを今でも憶えています。
幼児や少年時代の印象というのは、案外と大人になっても、その人の感受性やものの考え方を縛っているものです。
もしかしたら私はこの体験をいまだに払拭できずにいるのかもしれません。ともあれ、障害者の弟と同居する生活は波乱万丈で視界不良、これから先も何があるかはわかりませんが、年を取って自分一人しかいない部屋で、自分の人生はなんだったのかと思いにふけるよりは思い煩うことや、心を砕くことが絶えないのは請け合いです。
両親がいなくなった後はどうかといえば、退屈する暇もないことでしょう。それを吉と思うか、凶と思うか私もその都度、兄弟として暮らした過去を振り返って考えていきたいと思います。
今田 雄吾

『 お母さんコラム 』

 「お母ちゃんがイライラして○○○○になってしまうよー!!」

先日は、小6になったAの最後の学習発表会でした。3年生まで、楽しい合唱曲が多くて、Aは指揮の先生のマネをしながら身体を揺らして歌っていました。
4年生から、合唱の仕方も本格的になり、静かな曲の雰囲気に合わせて歌詞の分かるところを大きい口を開けて歌うようになっていきました。
また、今年の合奏曲は「シング、シング、シング」でした。ジャズの大人っぽい名曲をキーボードで一生懸命演奏するAの姿に目頭が熱くなるのでした。5歳から習ってきたリズムの先生の指導とそれを取り入れて「色つき音符」でキーボード演奏させてくださった、特別支援クラスの先生の指導のおかげと、Aに関わる人達のおかげでした。交流クラスの児童たちの励ましや声かけが連絡帳を通して毎日あったことも大きかったと感じています。発表会が終わって連絡帳を届けてくれたBさんも「Aちゃん、すごくがんばっていたね!」と、言ってくれたそうで、何より嬉しいことでした。
10月の運動会でも感じられました。リレーでタラタラと走っているように見えたのですが、同級生のお母さんが「Aくん、楽しんで走ったから、それも良い思い出じゃあないの。」と言ってくれました。
「一つ一つの行事に見ることができたAの成長も6年間の積み重ねがあってこそだなぁ。このS小で6年間を過ごせてほんとうに良かったなぁ。」と、心から思えるのでした。だから、とても幸せです。
さて、先日の吉備国際大学「秋のわくわく大運動会」で、お母さんたちと虐待の話になりました。「反抗期に入った息子にほんとにキレそうになる。」と・・・
私もAがなかなかお風呂に入らず「早く入るんだよー!!」と、キレていたら、ややあって、Aが「あー早くお風呂へ入らんと、お母ちゃんがイライラして○○○○になっちゃうよー!たいへんだー」と、言ったので思わず大笑いしてしまいました。
(恥ずかしながら、○○○○は、「怪人ベラ」でした。妖怪人間ベラは、マントを脱いだら怪人に変身しているのです。まぁ、美女だから許そう!(笑)(笑)
キレそうになること、キレてしまうこと、子育てでも日常茶飯事です。でも、こんな(笑)のある出来事や周りの人達との繋がりがある生活。それが、最悪の「虐待の事態」から救ってくれるように思います。これからもAのおかげで繋がっている人達との繋がりを大事にして、親としても成長していきたい。
「Aよ 生まれてきてくれて、ありがとう。」です。
今ね、 別の部屋からAがかけってきて「ねぇ、ねぇ、お母ちゃん AKB48が、サンタさんの格好して出てたよ。あー、AKB48は、サンタさんの格好を
してても、すごーくカワイイよね。 ????」と・・・
とても、デレデレしちゃって・・・ ちょっと、ヤキモチやいてしまいました。
Aの母

赤磐ぐんぐんだより

もうすぐ12月。
9月に作成した支援プログラムに基づく療育も、3ヶ月が経過しました。
赤磐ぐんぐんでは、親御さんの希望を聞き、お子さんの現状や興味関心・優先順位などに基づき、一人ひとりに合わせて半年間の目標を立て、それに基づき月間目標を作成し、スモールステップを設定して、日々の療育を行っています。
そして、赤磐ぐんぐんでの目標と共に、家庭での支援プログラム(目標)も親御さんと一緒に立てます。ぐんぐんでの療育は週に一度、1時間半のみ。その短い時間だけでは、効果はなかなか上がりません。家庭でも同じ目標に基づいて支援をしていただくことで、目標も達成しやすくなります。親御さんとのやりとりに使っている連絡帳には、家庭での目標にどう取り組んだか、どんなところで躓いたかなども詳しく書いていただき、アドバイスさせていただいています。
この家庭での取り組みは、お子さんの目標達成を早めるということだけを目的にしている訳ではありません。
ぐんぐんは、一生お子さんのそばにいることはできません。もちろんできる限り続けて療育をしたいと思っておりますが、いつかは卒業する日がやってきます。そしてそれはぐんぐんだけでなく、保育園や幼稚園の先生、小学校の先生、中学校や高等学校の先生も同じです。そのお子さんにずーっと寄り添っていけるのは、親御さんだけです。
親御さんが、お子さんに対する自分で支援を考え、実施していくためには、自閉症の子どもと同じく「成功体験」を積み、「自信」を持ち、「自立」していくことが大切だと私は考えています。そのために、家庭で取り組んでいくやり方・ステップの設定の仕方・目標達成したときの喜びを一緒に体験していきたいと思っています。
支援した結果見えてくる、子どもの伸びた力や育った心を見つけたときの、お母さんたちの笑顔を見たとき、私たちは自分たちがぐんぐんで支援をして伸びた力を見たとき以上の、大きな喜びを感じます。お母さんたちに自閉症の支援って楽しい!この子たちって面白い!そう思ってもらえるようになった時、「あぁ、この仕事をしてきて本当に良かった」と嬉しく思うのです。
親御さんと一緒に考え、悩み、相談し、お母さんたちが子どもと前向きに未来を見据えて支援していけるよう、微力ではありますが、これからも日々頑張っていきたいと思っています。
どうぞこれからも赤磐ぐんぐんを、よろしくお願いいたします。
(赤磐ぐんぐん スタッフ:松田 紗代 )

支援センターNEWS☆

支援センターNEWSでは5月号ぶりの登場となります。相談員の山田です。
赤磐ぐんぐんだよりも書いているので、なんだか久しぶりな気がしませんが。
支援センターに配属されて8ヶ月目に入ろうとしています。
当初は、赤磐市の地名さえもわからなかった私ですが、今や町名もわかるようになってきました!
小学校や、幼稚園、保育園にも巡回相談に行っているので、すっかり自分の住んでいる地域よりも詳しくなりました(自分の住んでいるところが地元じゃないもので、全然詳しくありません・・・!それはそれで問題ですよねぇ。)
各園を回っていると、子どもたちのための様々な工夫を目にします。
今日の園で行う内容をホワイトボードに貼って示していたり、はさみをいれるところにははさみの絵を貼った箱が設置されていたり、手洗い場には手洗いの手順が書かれている写真が貼ってあったり等、本当に各園によって様々な工夫がなされています。
ある園ではトイレのスリッパを置くところに、足型を貼って「目で見ただけで、どこにスリッパを置いたらいいか分かる」工夫をしている園がありました。
手洗い場には勿論手洗いの手順も書いていましたが、ハンカチで手を拭いている男の子の絵と「手をちゃんと拭いて出ましょう。」という文字が書かれたものが隣に掲示してありました。
療育現場だとこういった工夫をしているところも多いのですが、園で取り組まれているところは巡回している中でも珍しかったので「凄いなぁ。」と思わず呟いていました。
その園では、他にも素晴らしい工夫がたくさんされていました。おもちゃの置くべき場所が絵カードを貼って示されていました。教室も必要なものだけを掲示していて、非常にシンプルな教室でしたが刺激が少なく落ち着いて過ごすための工夫がされていました。
大人のためにも、分かりやすい工夫がされていました。また、トイレでのエピソードなのですが「水が流れすぎるので必ずレバーが降りたか確認してください」とレバーのそばに紙が貼ってあって、更に扉にも同様の指示が貼ってありました。
扉に貼ってあったら必ず目がいきますよね。私は「なんて素晴らしい注意喚起なんだろう!」と思いました。
その園の先生に素晴らしい環境設定だったので、物理的構造化について何かお勉強をされて取り組まれたのか聞いてみると、聞いたことはあるけど本格的に勉強をしたわけではないとのことでした。個人的にはちょっと残念でしたが・・・ですが、「子どもたちにあれこれ言わなくても自分で分かって取り組める方がいいと思ったので、こういった工夫をしているんですよ。」と先生は言われました。自然と構造化を取り入れて行っていることに素晴らしさを感じました。
本当にそうなんですよね。誰だってあれこれ言われてするのは煩わしいけど、一人出来た方が達成感がありますものね。
「見ただけで分かる」ということは自閉症の人たちにとって分かりやすいけれど、私たちにとっても分かりやすいものであるという視点を持つと、色々な場所(園や学校)で構造化が取り入れやすいのだなと改めて感じた一件でした。
(あかいわ発達障害支援センター 相談員:山田 陽子)
以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
なお会報は正会員・賛助会員の方へは郵送でお届けしています。
もしご希望の方がおられましたら、ぜひ賛助会員に申し込みをお願いします。年会費 3000円です。
なお、岡山県内の保護者の方でしたら、途中で正会員への変更もできます。その場合は賛助会費を入会金に充てますのでお得になっています (^_^)
申込み方法の詳細は「
育てる会 HP」に記載しています。

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