sorry,Japanese only
平成24年1月31日
第165号
NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会
165号 目次
心なしか・・
支援者養成セミナー 報告
「中山清司先生 講演会」
「即実践講座 」案内
「18歳の春を目指す親子療育クラブ」 お知らせ
「母の想いを語る会」・「キッズルーム」 報告とご案内
「水泳教室」・「サッカークラブ」 お知らせ
私のお薦め本コーナー
『 発達障害 工夫しだい 支援しだい 』
すすむっち レポート
赤磐ぐんぐんだより
支援センター NEWS
まだまだ寒さが厳しい毎日が続いておりますが、心なしか日が長くなったように感じます。
春の訪れが待ち遠しいですが、皆さんお元気でしょうか?
1月早々に我が家では、久しぶりに親子三人での旅行、「沖縄ツアー」に申し込みました。
早朝、飛行場までの道すがら、哲平に聞いてみました。
「前にバスツアーに行ったのは、いつだったかなぁ〜」
するとすかさず
「2011年4月10日日曜日大阪!」と答えてくれました。
哲平は、いつ何があったか、何をしたかをしっかり覚えている人で、こちらが忘れていてもバッチリ教えてくれるのです。そういえば大阪に「浪速クルーズ」、日帰りの旅に哲平と二人で行ったことを思い出しました。
哲平は日にちの記憶が鮮明で、私もよく助かっています。
例えば、「この前デオデオでテレビを買ったのはいつ?」とか、「吉井先生で鼻の薬をもらったのは、何月何日だった?」なんて言う細かいこともうっかり忘れてしまう私は、手帳で調べるよりよく解るし、早いので聞くといつも教えてくれるのです。
カレンダーに関しては、特別に記憶力が強く、とても便利です。
哲平の記憶によれば、前に飛行機に乗ったのは、2010年5月24日月曜日、それ以来の空の旅だそうです。
そんな飛行機に搭乗して、さぁ〜、出発です。
搭乗口からバックしながら滑走路へ移動する飛行機に、「バックオーライオーライ」と言いました。苦手のはずの飛行機ですが、少しいつもとは違う哲平です。
今回も三人並んだ真ん中に哲平を挟んで父・哲平・母の順で出発時は腕を組んで眉を寄せて・・・。
飛行機は、あっという間に離陸して、今回は何と言うこともなく哲平も落ち着いているようでした。
ところが、組んでいた手をほどこうとして、ふと触れた手のひらにびっくりです。掌がぐっしょり濡れているのです。
まさに手に汗握るとは、この事でしょう。
「汗びっしょりになったね」と言うと、恥ずかしそうに手をこすりながら、ニコッと笑いました。
冬のまだ早い便だったせいか、山間の谷間には霧が立ち込めて、とても幻想的です。
瀬戸内海の島々の上を飛行してしまなみ海道の橋の上をあっという間に通過しました。
瀬戸内の島には、一つ一つの島に人が住んでいることのように道がウネウネと続きます。
広島か山口かは解らないけれど山の頂に雪がかかっています。ここが豊後水道だと思える海の上を飛び、いよいよ九州の上空です。眼下に九重連山や阿蘇山の上もひとっ飛びです。
「海がきれいだね〜」とか、「ほらほらあれが阿蘇山だよ。煙が出ているね〜」と私がいくら言っても、「あっそ〜」という感じで興味もない感じです。
しばらく雲の上を飛んで、岡山から約2時間で気温20度の沖縄です。海の色がコバルトブルーでとっても綺麗です。
さぁ〜、沖縄の三日間の旅を写真で紹介しましょう。
いかがでしたか?
こんな風に、親子でのんびり旅が出来るようになるなんて、ありがたいことです。
小さい頃の大変さが、嘘のような、のんびりゆったりと、哲平のお蔭で楽しい旅を楽しませてもらいました。
今は、大変な子育ての中にいる皆さん、決してそのままではありません。
きっと、私のようにゆっくり旅が出来るそんな日が、皆さんにも来ることを信じて、子どもを育てて行きましょう。
ガンバ!!
と、こんな風に気楽だった今月号の会報は、急転直下、大変な事態が起こりました。
沖縄から無事に帰り、会社にも元気に通っていた哲平が、通勤の途中、自動車に跳ねられて入院したのは、1月20日の事でした。
朝、6時40分。いつものように自転車で出掛けて行く哲平を見送りながら、悪天候で雲が多いせいか「今日はやけに、あたりが暗いなぁ〜」と思ったのを覚えています。
7時30分頃、携帯電話が鳴った時、私は朝シャンの最中でした。
警察からの事故の知らせに、父さんが、大急ぎで事故現場に一人で駆けつけてくれました。
私は、「落ち着け〜、落ち着け〜、大丈夫だよ、きっと」と言いながら、泡ブクブクの髪の毛を流しました。
それから、その日の研修会の予定をキャンセルする為に、友人に電話をかけたり、湿気とりに風呂の窓を開けておいたりと、割と冷静な私でした。(でも、風呂の窓は開いているのに、湯船にはお湯が残ったままだったとか・・・冷静なようでも、やはりダメでしたね)
やがて、主人から電話が入り、「今、救急車で病院へ向かっているから、大丈夫。 大したことはなさそうだから、予定通り今日の研修会には行っておいで〜」と言われました。
一年に一度しかないその研修会は、実はこれからの育てる会の運営にとっても、とても大切な日でした。それで、心配しつつ、研修会場へと急ぎました。
病院からの主人の電話では、手の骨が折れているだけで、頭の方は大丈夫だと言われたという事で、ひと安心しました。私はてっきりそのまま家に帰れるものと思っていたのですが、何を聞き間違えたのか、入院することになったことを知ったのは、研修も終わった4時過ぎでした。大急ぎで病院へ向かいました。
私が着いた時には、まだ手術も始まらず、痛い痛いと言いながら点滴を受けておりました。
不思議に、お父さんと二人の時には「痛い」と訴えなかったそうです。甘えるのはお母さん専門で、お父さんには男同士、弱みを見せたくないんでしょうか。
腕は骨が折れた時の特徴でしょう、大きく腫れあがってていました。右の腕、上腕骨の骨折でした。
手術は、2時間以上もかかり、ようやく終わったのは、夜の10時を過ぎておりました。
レントゲンを見せていただいたその腕には、チタン合金だというボルトが5本もはめ込まれて痛々しいものでした。でも、命さえ助かればもう何もいらないとその時は、正直思えました。
でも少しずつ元気になってくると人間って贅沢なものですね、後遺症が残らないといいな、とか、お仕事にはいつから行けるのかしら〜とか、色々思ってしまいます。
そんな時、家に帰ってみると見慣れないビニール袋が置いてあることに気がついて、中を見てびっくりしました。
お父さんが壊れた自転車などといっしょに持ち帰っていた、哲平が当日かぶっていたヘルメットが入っていて、そのヘルメットの耳の上の部分が、バキッと大きく壊れて無くなっているのです。このヘルメットが哲平の命を救った事をその時はじめて知りました。
信号無視の赤信号で突っ込んできたワンボックスカーに、10メートルもはね飛ばされた哲平は、もしこのヘルメットをかぶっていなければきっと脳挫傷になっていたに違いありません。何という幸運でしょう。
「やっぱり哲平には、神さんついてくれたはる」そう思いました。
前に育てる会に講演に来て下さった篁一誠先生が、「自閉症の人の交通事故は、交差点の中で起こる事がほとんどです」と講演の中で言われていたのを思い出しました。
「なぜなら、自閉症の人は、信号機のない交差点では、自動車が来てないか注意するのに、信号機のある交差点では信号だけを見て、青になったら、渡ろうとします。」そんな風に言われました。
私たちは、信号機があっても青になってからも、向こうからスピード出して車が来ていたら、止まります。
でも、自閉症の人は、目の前にある信号機が最優位なのでしょうね。普通はそれでいいのです。
でも、時々だけれど信号無視の車も来ることもあるなんてことは、律儀でルールに誠実な自閉症の人には、考えも及ばないことなのでしょうね。
これからも、こんなことで命を落とされてはかないませんから、信号機がある交差点でも、「右見て左見て、車が来ていなければ渡ります」と教えなければなりません。
皆さんも、ご用心ですぞ!!
哲平は、現在入院して今日で16日です。若いせいか日に日に元気になって、リハビリも頑張っています。
入院生活は順調ですが、心配症の父と母は、困ったときにも意志の疎通が難しい哲平のそばを片時も離れられずに、替わり合って付き添いをしております。
つきそいの家政婦さんも頼むことは出来るかもしれませんが、自閉症の哲平の事を解っていただけるような家政婦さんは、多分簡単には見つからないでしょう。そういう訳で、過保護な両親だなと病院から思われているかもしれませんが、できるだけのことは、したいと思う私たちです。
この会報が届く頃には、多分哲平も退院している頃でしょう。
とても長く我が家のお話ばかりをして申し訳ありませんでした。
ここからは、育てる会のお話です。
1月は14日に中山清司先生においでいただき、「自閉症児・者の問題行動への対応」という講演会を岡山ふれあいセンターで行いました。
当日は、お正月明けのあわただしい時期にも関わらず、多くの方に参加いただいて講演会を行うことが出来ました。
詳しくは、当日の報告と、参加された方からの感想が後のページにありますからご覧ください。
次回の講演会は、今回の会報にも同封させていただいておりますように、服巻智子先生の「自閉症児支援最前線U 〜大人になっていく自閉症児たちへ・性教育の大切さ〜」というテーマで3月17日に山陽新聞社本社で行う予定です。
思春期の最大の難問は、性についての悩みと言っても過言ではないでしょう。正しい性教育を行うには、私たちの偏見や誤解を取り除かなければなりません。それだけではなく、障害特性に合わせた本人の理解出来る形での性教育でなければならないでしょう。そういった分野でも先進的な取り組みをされている服巻先生をお招きすることになりました。多くの方のご参加をお待ちいたしております。
さて、お話変わって、赤磐市に「赤磐ぐんぐん」につづいて二つ目の児童デイサービスの事業所がスタートします。いつも、ないものは、作っていこうとの想いで、がんばっている育てる会です。
ぐんぐんが大好きな子どもたちや、小学校に入ってもぐんぐんを卒業させたくない親たちの為の場所が、やっと出来ました。
名前を「ぐんぐんキッズ」と決めました。赤磐市立川に3月末に開設予定です。
山陽インターチェンジからも近く、便利のいいところにあります。これで子どもたちが小学校へあがっても支援が続けられるようになります。出来れば、子どもたちをずーっと支援し続けていけたら、どんなにいいでしょう。
これまでは、療育の待機待ちをしている幼い子どもたちのために、小学校の1年生、2年生ぐらいで、お母さんたちにこれからの課題を卒業レポートにして、後に続く後輩たちのために、ぐんぐんを “卒業” してもらっていた子どもたちです。もちろん、その後の小学校でも、継続した支援があれば良かったのですが・・・なかなか難しいために、私たち育てる会でも支援者養成セミナーや、教師の方たちのための即実践講座などで、側面からのサポートを続けています。
でも、できたら目の前の子どもたちのために、小学校に入っても・・・中学校、高校、そして就労して、社会にでてからも一貫した支援ができたら・・・それが親の願いですね。
そんな夢に向けての、まずは第一歩です。
わくわく、どきどきのぐんぐんキッズですが、心配もあります。実は、お金が足りません。
昔から自慢じゃないけれど、お金には縁がない育てる会ですから、リフォームの費用もままならず、という状態です。
つきましては皆さんにご寄付をお願いできないかと思いまして、この会報で呼びかけさせていただきます。
どうかどうか、よろしくお願いいたします。
なんと目標額は、150万円です。聴覚過敏のお子さんやカームダウンが必要なお子さんの為の、お部屋も作りたいので、少々改装費がかさみます。
一口 5000円です。何口でも結構です。どうか、よろしくお願いいたします。
ぐんぐんキッズ 開設寄付金 募集のお願い! 子どもたちが引き続き適切な療育を受けられるために、 どうか篤志の寄付をよろしくお願いします。 振込先:中国銀行 赤磐支店 (普)1321755 名義 岡山県自閉症児を育てる会 ぐんぐんキッズの改装費にあてるため、いつもの会費 やセミナー参加費の振込口座とは別にしています。 |
さて、長々と色々なことを書きましたが、赤磐市での報告をひとつさせていただきましょう。
あかいわ発達障害支援センターと岡山県知的障害者更生相談所との共催で、「赤磐ドリームプロジェクト」という事業が行われました。
自閉症の人たちが、社会へ出て行く前段階で、様々な社会的なルールや、常識を教えて行くことはとても重要です。今回は、その試行的な試みとして、3人の自閉症の青年たちに協力してもらって、3回シリーズで、挨拶の仕方などを学びました。
こんな時にどうすればいいか?適切な言葉は?また、態度は?など、彼らの障害特性に合わせて、行いました。色々な取り組みを、やりながら、頑張っております。
子どもたちが地域で暮らしていくためのステップとして、これからも進めて行けたらと願っています。
赤磐市は、小さな町ですが、育てる会の事務局のある町です。
この小さな町から、自閉症の支援を広げて行きたいそんな大きな夢を抱いています。
3月18日には、赤磐市の中央公民館大会議室にて、保健師対象の講演会を行います。
講師は何と、服巻智子先生です。「早期発見と早期療育」が、自閉症の支援の要と言っても過言ではありません。では、早期発見とは、いつごろ可能なのでしょう。服巻先生は言われました。「1歳半なら、知的遅れのない言葉の遅れもないアスペルガータイプの子どもでも、発見できます。その方法があるのです」と・・・。
それはぜひ教えてください。という訳で、育てる会のセミナーの翌日まで、先生にもう一日岡山に残っていただいてとお話がまとまりました。
服巻先生には二日連続での長時間の講演となり、申し訳ないのですが、岡山での発達障害の子どもを一日でも早く救うためにと、無理をお願いしました。
皆さんの町の保健師さんが、早期に自閉症を発見して下されば、親の負担も後手後手に回っている支援も、ずいぶん減ることでしょう。
早くに見つかれば対策が立てやすくなります。どうぞ、皆さんご期待下さい。
多くの保健師さんたちのお力になる事が出来たら、嬉しく思いますとともに、悲しい親子をもうこれ以上増やしたくないとの思いからの開催です。
参加資格は、保健師さん及び行政職の方です。
保護者の方は、参加できませんので、ご容赦ください。
各市町村の保健師さんへの広報にご協力くださいますよう、よろしくお願いいたします。
巷では、学級閉鎖が相次ぎ、インフルエンザが猛威をふるっているようですが、皆さま、インフルエンザは手洗いとうがいをしっかりすることと、マスクの着用で、ほとんど防げるそうです。病院の看護師さんに聞きましたので、確かですよ。
早速、実行実行ですよ。
お蔭で、この忙しい暮らしの中、今のところインフルエンザにはかかっていません。
病院と、様々な事業のある中、風邪をひいてはおれません。
さぁ〜、元気を出して頑張りましょう。また、来月号でお目にかかりましょう。
(育てる会 代表 鳥羽 美千子)
支援者養成セミナー 報告
平成24年1月14日(土)、岡山ふれあいセンターにて、NPO法人自閉症eサービス代表の中山清司先生をお招きして第4回自閉症児の自立を果たすための支援者養成セミナーを開催いたしました。
今回は「自閉症児・者の問題行動への対応 〜問題行動はなぜ起こる、どう防ぐ〜」というテーマでしたので、いつもの講演会より施設関係者の方が多かったように思います。
昔に比べると、幼児期からの適切な療育方法も分かってきたおかげで、“軽くなった”と言われることもある自閉症ですが、やはりまだ入所施設などでは、問題行動の原因が分からず苦慮されていることも多いようです。
また一方で、近年多く診断されるようになった高機能自閉症やアスペルガー症候群の場合は、“わかっているはずなのに、どうして・・”と、その行動が周りに理解されないケースも耳にします。今回のセミナーでは、自閉症という障害特性から行動を捉えなおすということを、ビデオでの実例を交えてわかりやすくお話しいただきました。
(中山先生を囲んで 育てる会スタッフ一同です)
それでは、当日の参加者からの報告と、アンケートの感想です。
1月14日(土)に開催された自閉症eサービスの中山清司先生の問題行動についての講演会に参加してきました。
自閉症児者への支援をしていて、保護者の方からよく言われるのが「困った問題行動をどうしたらやめさせられますか」というお話です。
水遊びが止められない、ビデオで繰り返し同じところばかり見る、メガネをかけている人が許せない、決まった道順でないと泣き叫ぶ、ピンク色の服しか着ない、ご飯を口いっぱいに頬張る、朝の支度に時間がかかりすぎる、お友達が他の子と話していると叩きに行く、運動会で自分のチームが勝てないと怒る・・・聞いていると本当にたくさんの保護者の方を悩ます「問題行動」がそれぞれの家庭であります。
保護者の方の支援も「全力で止めています。鬼になっています」「10カウントすればやめられるのでやらせています」「お父さんとか怖い先生の前ではやらないんですけど、私ももっと怖くなれるよう努力中です」「『我慢』を教えているところです」など、家庭によって様々です。
普段の支援では、危険だったり他者への危害を加えるようなもの以外の場合、保護者の方や子どもさんの様子を聞いたり実際の目の前の様子からアドバイスしていましたが、何となく場当たり的というか自分の中でなかなかしっくりこず、一貫性のある支援のアイディアを教えていただけたらと思い参加しました。
まず最初に基礎中の基礎であり、何よりも大切な「自閉症の理解」についてのお話でした。
「私たちと違っているんだという視点に立つこと」「自分たちが優れていて、自閉症者がうまくいかない人たちなのだという考えを払拭すること」をもう一度教えていただきました。
分かっているつもりでも、「分からないという子にどう指導していけばいいか」「うまくできないものをどうできるようにしていくか」は、支援者の私たちのどこか頭の片隅にあるように思います。それがそもそも間違いであり、どうしたって違いによってできないものを子どもに無理強いするしんどさを改めて反省しました。
できないのだから諦めるのではなく、できるやり方を工夫する、アイディアを出す。その子の強みを見つけ、伸ばすことを大切にしていかなくてはと感じました。また自閉症の3つ組でもある「こだわりと想像力の問題」では、「こだわりやすいのが自閉症の特性であり、こだわらない人は自閉症ではない」「何にならこだわってもOKかを明確にして、正しいやり方を積極的に伝えていく」などのお話も目から鱗でした。
午後からは実際に問題行動と呼ばれる行動の原因や解決方法についてのお話がありました。
困った行動に見えるものは、その子たった一人で単発では起こりにくく、何らかの環境ややりとりが現在(もしくは過去)にあり、その結果として問題行動に見える行動が引き起こされているそうです。
相互作用と呼ばれるお互いの関係によって悪くなる問題行動ですが、逆に考えれば支援者側の支援を考え直し、接し方を変えていけば改善するものなのです。
また自閉症の人へのスパルタ・全面的需要などの関わり方、場当たり的支援がいかに彼らの行動を悪化させてしまうのかというお話も胸を突く思いで聞きました。
支援を考える中で大切なポイントとして「評価」のスキルを正しく持つことをお話されました。ビデオが上映され、入所施設の一人の女性の問題行動と呼ばれる行動を紹介され、なぜこのような行動になっているかを正しい評価に基づいて考える場面が流されました。
「できない人」「困った人」「スケジュールも何度も間違える」など、支援者側の誤った支援や怠慢、分からないなりに頑張ろうとしている自閉症の方の報われていない姿に涙が止まりませんでした。人事ではない、「こういう人だよね」などの思い込みや「頑張ってやっている」なんていう自分のエゴをなくし、正しい評価の力をつけ、その人の持つ可能性をどうやって広げていけるかを真剣に考えていきたいと思いました。
問題行動と呼ばれる行動はたくさんあります。その行動の原因や経緯、その行動による本人への刺激、周りへの影響は何万通りもあることでしょう。私たちはついつい「例えばこんな時どういう風に支援したらいいんでしょうか?」などと安易な答えを求めがちです。今回のセミナーでも、そういうお話がたくさん聞けるのかなと思っていた面もありました。
でも、自閉症の人のことを知らない人に伝える時、私たちは「一言で自閉症と言っても、千差万別なんですよ」と言います。「その人その人で関わり方も違うので、まずはその人をよく知ってください」と言います。そんな風に人それぞれ違うことを強調するくせに、いざ目の前にいる人への支援を考えるときには、オールマイティーに使える支援をほしがるなんて、なんておこがましい考え方だったのかと反省するばかりでした。
もちろん、引き出しは多い方が支援のアイディアも出しやすいです。「こういうお子さんにはこういう支援をしたらうまくいったケースがある」というのは説得力があることもあります。でも、だからといって、それが目の前のお子さんへ当てはまるかは分かりません。情報を集め、評価し、仮説を立て、実際にやってみる大切さを教えていただきました。
また、先生のお話の最後に「ベストを尽くしてください」とのお話がありました。物理的に場所がない、職員間で協力してもらえない、うまく教えられない・・・そんな色々な「できない」に対して、問題行動が起きてしまった事後処理に追われるよりも、最初に力や資金はいるかもしれないけれど、物理的に場所を用意したり活動を工夫したり人材を育成したりする方がどれだけ有益であり、自閉症の方の豊かな暮らしにつながるか、もう一度教えていただきました。
日々の支援を反省するとともに、新しい私になれた気がします。いつもセミナーに参加すると本当に頭がスッキリ整理され、元気とやる気と熱意が一段とアップする気がします。中山先生ありがとうございました。そして、中山先生のような素晴らしい先生を岡山にお招きされ、私たちに勉強の機会をくださった育てる会に感謝します。ありがとうございました。
赤磐ぐんぐん療育スタッフ 松田紗代
次は保護者の方や支援者のみなさんからのアンケートの抜粋です。
・ 自閉症の特性を詳しくお話していただけたので、自分なりに理解していたことをもう一度確認することができました。途中でビデオを見ながらお話していただけたのでとても分かりやすかったです。わが子のことを理解しているつもりでも、どこかで自分たちに合わせようとしている自分もいるなと感じ、反省しました。問題行動をしている時は、本人が一番困っているんだということを心にとめ、これからもどうすればうまくいくのか、私も変わりながら関わっていきたいと思いました。(保護者)
・ 深かったです。小学校の支援学級の先生全てに聞かせたい!
私自身、担任とバトルして何度も自閉症の困り方と支援方法を訴えてきたのですが、より専門的で分かりやすかったです。ありがとう。子どもを預けてでも聞きに来て良かったです!(保護者)
・ ビデオで一人の方への対応を、時間を追って見せていただけたのは興味深かったです。改善されていく様子を見ていくのも良かったですが、実は素直さなどがあることが見られて、支援をやめずに対応していこうという気持ちにさせてくれました。(保護者)
・ 先生のお話の中で、問題行動をやっている本人を止めるのではなく、周りの支援している人が変わらなければ本人も変わらないというお話が印象的でした。普段から落ち着いた生活をすることも忘れてはいけないなと思いました。(保護者)
・ 問題行動そのものばかりに目を向けて本人のことを見るのではなく、その前後の背景に何を必要として何が本人にとって困っていることなのかをよく観察することが大切なんだなぁと改めて思いました。本人を叱ってばかりで毎日こちらもイライラすることも多いけれど、本当の気持ちを探ってやり、寄り添っていくことが一番どんな手助けよりも大事だと思いました。そして理解して無理をさせないようにしないことは絶対にやっていこうと思っています。(保護者)
・ 相互作用のお話。問題行動は私たちとの関係の中で悪化していくことも、関わり次第でうまくいくこともあるということ。そもそもの問題行動のきっかけをつきとめるのは、遡って思い出してみても思い当たらなかったり、本人が答えられなかったりする場合、どうしたらいいのか・・・まずは仮説を立てて色々やってみます。(保護者)
・ 生活の中に起こりやすい事柄を具体的にお話していただき、自分の家庭と学校をダブらせて聞くことができました。すごく胸につまる思いです。子どもを追い込んでいる先生方に聞いてもらいたいです。(保護者)
・ 問題行動を起こす原因はどこにあるのかというと、私たちの理解の仕方・対応の仕方に問題があるのではないか、仮説を立てて対応し、評価していくサイクルを心がけたいです。スパルタ的・放任・場当たり的な対応をしていると、問題行動を結果的に繰り返してしまうし、悪化させてしまうんですね。対応の仕方をどのように変えていけばいいか、とても参考になりました。自分たちが変わらなければ、子どもの力が伸びないんだといつも実感しています。(保護者)
・ 当事者の立場に立って考えること。評価から支援計画を作っていくこと。家族や先輩職員からも学ぶ姿勢を大切にすること。相互作用の視点。客観的科学的検証。オープンにすること・・・全ての子どもに必要な対応だと思いました。(家族)
・ 行動をカウントして仮説を立て、支援の手がかりにしていきたいです。正しいことを積極的に伝え、間違ったことはする前にさりげなく回避する大切さを知りました。分かりやすい授業場の設定を常に意識した授業展開をしていきたいです。
生徒たちとの日々のふれあいの中で「あ!これはあった!」ということがポンポン出てきます。指導支援の際、「分かるって嬉しい!気持ちいい!」と感じる授業や日常を提供できるよう頑張ります。(特別支援学校講師)
・ 問題行動は自閉症児者の周囲の人との関わりに相互関係があるということを痛感させていただいたことが良かったです。自閉症の人たちの暮らしやすい生活を支援していくことの大切さを感じました。(特別支援学校教諭)
・ DVDを通して分かりやすく、支援の適切な場合とそうでない場合の自閉症の人の反応の劇的な違いを見せていただき、中山先生のお話の裏打ちがよく分かった気がします。思い込みや場当たり的な自分たちの関わり方のまずさを反省し、どういう接し方が自閉症の人のより良い生活に生かされるものになるか、本気で考えて生きたいと思います。本を読んだりセミナーに参加するたび、目から鱗で頭がスッキリして、やる気がいっぱい出てきます。これからも中山先生のような素晴らしい先生を岡山にお招きしてください。育てる会に本当に日々感謝しています。ありがとうございます。(介護支援専門員)
・ 問題行動が先ではないというお話には目から鱗でした。見つからなかったパズルのピースが見つかった思いです。
今日得た知識をこれからの支援に生かしていきます。(介護支援専門員)
・ 途中で使われた佐々木先生のビデオも分かりやすかったです。中山先生のお話はとても分かりやすく、学び続けることの大切さを改めて感じました。支援の状況をビデオで紹介してくださったので、より具体的に説得力がありました。「支援者の側に問題行動が」という点に胸が痛みました。保育現場でも反省させられる点がたくさんあります。勇気を出して職員研修に力を入れていかねばと心を新たにさせていただきました。本当にありがとうございました。(保護者・保育士)
・ 実際の事例が多く紹介され、映像もあったので聞きやすかったです。自分の行動を振り返りながら聞き、改善点が見えてきました。日々クラス運営に追われてしまっているので、発達障害の子への「PLAN−DO−SEE」を丁寧にしていかなくてはと改めて思いました。ありがとうございました。(保育士)
自閉症支援のスタンダード Ver.1 発売中! 講演会でも紹介のあった、中山先生の自閉症eサービスの公式テキスト 「自閉症支援のスタンダード Ver.1」を事務局で販売しています。 80Pのフルカラーで、イラスト・写真満載の、自閉症支援者必携のテキストです。 講演会に参加された方にも、都合で参加できなかった方にも、ぜひお買い求め いただきたいと思います。 1冊、1500円です。 自閉症eサービスへ直接注文される場合は、3冊単位で送料500円で、 1500×3 + 500= 5000円となります。 http://bonnet.blog.ocn.ne.jp/bonnet/files/etext201107.pdf 育てる会事務局では、1冊単位で販売し、しかも送料も節約できますので、 グッとお得です。事務局まで来られない方のためには、これからのセミナー の会場でも販売していきたいと思っていますので、その際にご購入ください。 |
教師・保育士対象 即実践講座
【即実践講座 基礎編】
☆第9回☆ 平成24年2月24日(金) 19:00〜20:45
「行動の理解と支援」
岡山県生涯学習センター 大研修室
対 象 : 教職員・保育士やそれを志す方、施設・福祉関係職員の方 対象。
(申し訳ありませんが、保護者対象ではありません)
【即実践講座 アドバンス(上級編)】
☆第9回☆ 平成24年2月16日(木) 19:00〜20:45
「行動の理解と支援」
岡山県生涯学習センター 1F 視聴覚室
対 象 : 過去の重松孝治先生の即実践講座を受講したことのある人。
どちらの講座も参加費・申込先は一緒です。
参加費 : 全10回分 賛助会員17,000円 ・ 一般20,000円(賛助会費含む)
途中参加の方には、それまでの講義のDVDをお貸しします。
申込先 : 育てる会事務局(086-955-6758)
今回の第9回 アドバンス(上級)編と、来月3月9日(金)の第10回基礎編の会場は、いつもの部屋と変更になります。 同じ岡山県生涯学習センターですが、1階の視聴覚室で開催されます。 ご注意ください。
「18歳の春を目指す 親子療育クラブ」
日時 平成24年2月10日(金) 10:00〜13:00(受付9:45〜)
場所 きらめきプラザ2F 研修室(正会員:限定)
内容 @リラックスグッズやサポートブックの展示
A今の悩みや新年度に向けての準備などを話し合いましょう。
※3月予定だった、武蔵博文先生(香川大学教育学部 教授)をお呼びしてのツールの発表会は、2月28日に変更になりました。
今回の2月10日は発表会前ですので、ツール作りの悩みなども話し合いましょう。
日時 平成24年2月28日(火) 9:30〜13:00(受付9:20〜)
場所 きらめきプラザ2F 研修室(正会員:限定)
内容 @ 9:30〜10:00 持ち寄ったツール展示・本やグッズなどの情報交換
A10:00〜12:00 ツールの発表会
B12:00〜13:00 座談会
発表会の感想や武蔵先生に聞いてみたいこと、また今の悩み等を自由に 話し合いましょう。※尚、武蔵先生のツールも展示しますので、終了後に見せていただく時間を設けています。
各自の都合に合わせて見て帰って下さい。
(昼食の準備は必要に応じて各自でお願いします。)
「母の想いを語る会」
1月は、吉備中央町の国立吉備リハビリテーションセンターの見学をさせていただきました。さすが、国立だけのことはある大きく素晴らしい規模の施設でした。
それでは、参加者の感想をどうぞ。
以前から興味のあった吉備高原職業リハビリテーションセンターは、とても立派な建物で、まず、その外観に驚かされました。そして、中の様子にますます驚かされました。訓練の場というよりも、企業の一室といった雰囲気でした。会社のような雰囲気を出すことを狙っているとのことで、なるほどと思いました。いろいろな部屋を見せていただき、そのうちいくつかでは、実際に障がいをもたれている方々が訓練をされていたのですが、とても静かで、この中に賑やかな我が子がいたならば…と考えずにはいられませんでした。
入所にあたっては選考があり、働きたいという意欲があること、毎日通所できること、体力のあることなど、就労に対する準備ができていることが求められるとのお話がありました。必要なことはどの場でも同じなのだと、改めて思いました。
こちらへは西日本各地から入所の希望が寄せられ、宿舎も備わっているそうです。日々の生活する力は勿論のこと、自由時間をどう過ごすかも、我が子の大きな課題だと思いました。
2月の母の想いを話す会は、ホープ就労・生活支援センターの見学をさせていただきます。
ホープは、就労継続支援A型の事業所です。
以前見せていただいた市役所近くのしょうが屋さんと同じNPO法人が運営をされている事業所です。
古くから障害者の雇用に取り組まれているところです。岡山は、全国でも有数のA型事業所の多いところだそうです。岡山でのA型事業所の草分け的な事業所とお聞きしております。ホープ事業所とサニー事業所のそれぞれで、おしめや美容院のタオルのクリーニングとたたみ作業がお仕事です。
二つの事業所は、近くそれぞれ30名ずつの方が働いておられるそうです。
日時:2月14日(火)10時〜12時(集合は、サニー事業所駐車場へ9時50分)
場所:サニー事業所 岡山市北区富田522‐6(電話086-237-6600)
ホープ事業所(車は、サニーの方へ置いて、ホープへは徒歩で3分位です)
車で岡山方面から向かい日赤病院の近くの大日亭の交差点を右折するとすぐ
参加費:300円
申込:事務局へ2月13日(月)までに(正会員:限定)
「キッズルームのご案内」
今年度最後のキッズルームのご案内です。
いつものように、岡山大学児童文化部のお兄さん、お姉さんたちが待っていてくれます。
遅れないように申し込んでくださいね。
日 時:平成24年2月19日(日) 13:00〜15:00
場 所;岡山大学 第2体育館 定員:20名 申込締切:2月9日(金) (正会員:限定)
参加費:本人 500円、きょうだい 400円
水泳教室のお知らせ
日 時 : 平成24年2月19日(日) 15:30〜17:30
場 所 : OSKスポーツクラブ岡山 3階ロビー(岡山市北区絵図町1-50)
※プールは育てる会水泳教室 貸切で行っています。
連絡先 : 育てる会事務局
★新たに参加されたい方、体験されたい方は事務局までお問い合わせください。(正会員:限定)
体験は1回2000円(保険代込み)です。
★欠席される方は、必ず2月14日(火)までに事務局に連絡してください。
★当日の急なキャンセルなどは 水泳教室担当に直接連絡ください。
(水泳担当:S & H)
サッカークラブのお知らせ
日 時 : 平成24年2月26日(日) 10:00〜12:00(9:45集合)
場 所 : 岡山市内グラウンド
持ち物 : マイボール、ゼッケン(ボラさんの分も)、ハチマキと名札
お茶(ボラさんの分も)、個人ノート、出席カード
親リーダーはグループノート
※ 活動日前日、当日のいずれかに雨が降った場合、活動は中止となります。
中止の場合は、メールでお知らせします。
※ 体験、見学の申し込み・お問い合わせ・欠席の連絡は担当までご連絡下さい。(正会員:限定)
(サッカークラブ担当:M & S)
アメリカから帰国したすすむっちの2年間
ひさかたぶりの “すすむっちのMom” さんからの報告です。
育てる会の会報でも、2003年から「すすむっち report from Lincoln」でアメリカでの自閉症事情などをレポートしていただいていました。
その頃からの会員の方には懐かしく読んでいただけると思います。
そのすすむっちくんも、今は帰国してお隣の鳥取県で中学生です。
アメリカと日本、そして岡山と鳥取、文化や環境が違っても・・・違っているからこその気づきも多いと思いますね。
それでは、今回は「すすむっち report from Tottori」です。
こんにちは。2003年秋から2009年6月までアメリカ・ネブラスカ州で現地の小学校6年間の生活を終えた、すすむっちの帰国後の2年間(地元小学校/中学校を含めた地域との関わり)のお話をしたいと思っています。
時はさかのぼり、まだ日本国内での新型インフルエンザの蔓延をおそれ、国際空港の水際作戦まっただ中の、母子5人の帰国でした。
もし、誰か一人でも、成田で足止めになれば…とドキドキの、機内での問診でした。今となっては、新型インフルエンザで日本中が混乱したことも、この水際作戦も、覚えている人はそういないでしょうね。
帰国の1か月前から、ストリーブック(支援ツール)を使って、ネブラスカ州から日本へ引っ越しをすること、思い出いっぱいの小学校や生活とはお別れをすること、そして祖父母の家(鳥取県)に住むこと…を、日付を入れて、小学校でも、家でも、繰り返し学習しました。
実はこのアイデアは、まだ進が1年生のころ、ネブラスカ州で知り合った、家族ぐるみで、仲良くしてくれた家族が帰国する際に、 進の自閉症専門官(Mrs.Muggy)が4ページのストリーブックを作成してくれました。
その後も、別の韓国人家族の帰国や、我が家が、アパートから一軒家に引っ越しした時も、活躍しました。PECS(絵交換式コミュニ
ケーション)という学習方法と、Bordmaker?(小学校と家庭と同じソフト)と写真を使い、英語の文章も入れて、作成しています。
私たち家族は、アメリカでの永住権をとらない限り、いつかは帰国します。帰国という大きな変化のスケジュールの事前提示は、その後の生活の中でも、混乱が少なく有効だったと思います。
さて、人口12,000人、高齢化率30%を超える、小さな町へ転入しました。
地域の小学校は、我が家の子ども(すすむっちと妹)を加えて、全校児童72名、1学年1クラスの小学校。
姉と兄が通学する中学校は、3学年で250名ほどの小規模校でした。
私たちの住む夫の実家は、標高250mの集落100世帯ほど、20名程度の小学生のいる地域にありました。もちろん、高齢化率は、町のそれよりもさらに進んでいました。
一般的に、「障がいをもつ子どもの教育は、養護学校での教育がベスト」という、考え方が、教育委員会も住民にも、思われていました。だから、特別支援教育は、専門の先生のいる養護学校で…と言われました。
ネブラスカでの学校教育から、この考え方は、私には、受けがたいものでした。
なぜなら、私自身、2006年から2009年の3年間、すすむっちの通学する小学校で、年長クラスと、すすむっちの自閉症専門官(Mrs.Muggy)の教材作成の助手をしていました。
日本とネブラスカ州の教育システム(人的資源)の違いはあるのもの、必ずしも、登校時から下校まで、終始、専門職がすすむっちの教育/生活に関わる必要はない…と、確信していました。
もちろん、出国前に住んでいた岡山市に帰国転入するのではなく、全く地域の人に知られていない地域への転入。小学5年生から、町外の養護学校小学部(交通手段は、自家用者での通学)となった場合、養護学校高等部卒業後、この地域での就労や生活の際、自閉症をともなう進のことを、ほとんど知られていないということも仮定していました。
義務教育という制度上、4人の子供すべてに、それぞれ就学通知書を受理しました。すすむっちは教育委員会との折衝の末、母子通学という条件(特別支援学級が開設されるか?養護学校小学部への転入が適か?見定めることができない状態)で、地元の小学校への通学が、始まりました。
アメリカの小学校の先生と学習した教材シートを準備したり、PECSをつかったすすむっちにとって新しい小学校での支援の準備で、私は6年ぶりの梅雨の時期、毎晩深夜まで作業を続けていました。
この続きは次回、お話したいと思っています。
現在、この町/地域の住民歴 2.5年の私ですが、私の意見に賛同してくれる友人や講演(23年は、小規模でしたが、5回)のリピーターも増えました。
鳥取県自閉症協会の会員として、この地域での情報を集めています。また、森のようちえんの障がい児アドバイザーとして、実際に“インクルーシブ教育”(包括的教育:障がいを伴うこどもを将来地域で生活しやすくするために、健常な子どもたちへの理解/協力を期待した学校地域ぐるみの総合教育)の、スタートを切りました。
すすむっちも 、地元中学校の情緒障がい特別支援学級で学校生活を送っています。昨年4月から、この中学校の生徒・教職員/保護者/地域の変化が刻々と感じられます。
次回からも、ドキドキと読んでくださること(!)を期待し、また新たな旋風を起こしたいと思っています。
ご質問やご意見も、よろしくお願いします。
(すすむっちのMom)
赤磐ぐんぐんだより
寒い日々が続いていますが、みなさん、いかがお過ごしでしょうか?
今学年も残りわずかになりましたね。
4月から幼稚園や保育園から小学校に入学する方は期待と不安でいっぱいだと思います。
ぐんぐんでも出来る限りの力を付けて新しい学年に上がることができるように頑張って支援しています。
小学校に入学するにあたってどんな力がついているといいでしょうか?
@ 授業を聞くことができるように10分より20分、20分より30分イスにすわることができたらいいですね。A 困ったら周りの友達か先生にヘルプを出すことができるといいですね。「先生!」と自分から呼びかけることはできるでしょうか?
呼びかけることが難しかったら『手伝って』カードを差し出すことはできるでしょうか?B 休み時間はどのように過ごしましょうか?C 給食は残さず食べられるでしょうか? 残したい時は先生にどのように伝えたらいいでしょうか?
などなどあげるとたくさんありますね・・・・
もちろん、おこさんによって課題となることや相手への伝え方、サポートの有無などさまざまだと思います。
ぐんぐんでは、
@ 先生と勉強時間を少しでも長く出来るように、1回の療育時間に2〜3回に分けて行なっていた課題を1回にし、20分〜30分座って課題を行なう練習をしたりしています。A 困った場面を設定して先生にヘルプを伝える練習をします。これは先生と勉強場面だけでなく、一人で勉強場面でも行います。支援者の声かけがなくても自発的に行なうことができるようになることが目標です。プリント課題で鉛筆がない、組立課題で具材が足りないなど様々な状況を作り出し練習を行ないます。B 休憩時間では、本を読んだりおもちゃで遊んだり、先生と一緒に行なうばかりではなく一人で遊ぶ練習も行ないます。C おやつ場面で、嫌いなお菓子を持ってきて、「いりません」や「持って帰る」と伝える練習をしたり、残すことを先生に伝えたりします。
などなど、色々ありますが、お子さんに合わせてどんな力が必要か考えて支援を行なっています。
いつでもお子さんに寄り添い、最高の支援が出来るようにスタッフは勉強を重ね努力しています。今年も頑張って参りますのでよろしくお願いします。
(赤磐ぐんぐんスタッフ: 岡山 奈穂)
支援センターNEWS☆
さて、2012年になって早いもので約1カ月が過ぎました。
本年も、あかいわ発達障害支援センターをよろしくお願いします。
今年のあかいわ発達障害支援センターのスタートはカレンダーの日程の関係上、前年よりも遅いスタートとなりました。
遅いスタートのため、私の休みボケと正月太りに拍車がかかってしまったので(言い訳)これを早く解消せねばと思っているところです(誰か、良いダイエット方法を教えて下さい!切実です!)。
新年に入り、早々に私自身勉強になることが2件ありました。
一つ目は育てる会主催の中山清司先生の講演会です。
講演会の様子については、別途記載があるので詳細は省きますが、印象に残ったのは
「積み上がらない支援はしない」
といった先生の言葉です。
どうしても現場にいると支援者も目の前で起きている行動を対処しようとする傾向にあると思います。いわゆる問題行動を意地でも止めようと必死になって自閉症者を力づくで止めようとしたり・・・。
だけどこういった行動はその場しのぎの対処であって本当の解決には至らないですよね(勿論、危険回避をするなどいろいろな理由はあると思います)。支援者も悪気があってしているわけではないのでしょう。私自身もまだ自閉症について勉強していなかったときは、何度もそういった失敗をして自閉症の人へ迷惑をかけてきました。
だけれどそういった対処行動は支援としての積み上がりはなく次に繋がっていきません。自閉症者ご本人にとって、より豊かな生活になるよう支援していくためにはその場しのぎではいけないのだと改めて感じさせられました。
2つ目は大学院時代の恩師にこの前お会いして聞いたお話です。
相談事業についての話をしていたときに、
「支援している側が「困っている」と言って相談によく来るけど、困っているのは誰なんだろうね。本当に困っているのは自閉症の人でしょ。自閉症の人を無理に変えようとするんじゃなくて、支援者が変わらないといけないんだよね。」
と言われました。
中山先生の講演会の話と恩師の話が私の中で繋がったように思いました。
問題行動止めようと支援者は必死になって自閉症の人を無理に変えようとしているけど、うまくいかず困ってしまう…。「困った、困った」と嘆くよりも、自閉症の人の視点に立って(学習スタイルを理解して)、支援者が意識や行動を変えていく観点が必要なのではと感じました。
「自閉症支援について、日々勉強し続けていかないといけないな。」と感じ、自分にとって非常に実のある勉強の機会となったのでした。
余談ですが…両先生ともに大学院時代のお世話になった恩師なのですが、どちらの先生とは言いませんけれども「貫禄が出てきたね!」と言われてしまい、「トホホ…」でした。
ダイエットも頑張らないといけないということも恩師から学んだのでした。
(あかいわ発達障害支援センター 相談員:山田 陽子)
以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
なお会報は正会員・賛助会員の方へは郵送でお届けしています。
もしご希望の方がおられましたら、ぜひ賛助会員に申し込みをお願いします。年会費 3000円です。
なお、岡山県内の保護者の方でしたら、途中で正会員への変更もできます。その場合は賛助会費を入会金に充てますのでお得になっています (^_^)
申込み方法の詳細は「育てる会 HP」に記載しています。