sorry,Japanese only

平成25年3月31日

 

 第179号 

NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会

 179号 目次

     春霞の日に

     支援者養成セミナーの報告
         「中山清司先生 講演会」

     即実践講座のお知らせ

     18歳の春を目指す親子療育クラブ

     AAO活動 参加者募集!!

     「俺ノート」みんなで作りませんか!

     サッカークラブ・水泳教室・OHAの会のお知らせ

     岡山ひともの探訪
         「第8回 新しい年度に向けて」

     お母さんの子育て体験談

     私のお薦め本コーナー
         「自閉症児のための明るい療育相談室

     近隣の講演会等のご案内

     ぐんぐんだより
         「赤磐ぐんぐん」「ぐんぐんキッズ」

     支援センター NEWS

遠く見わたす山の端は、春霞のせいで霞んでいます。
外出先から帰ると、春の初めの突風で、ポーチにおいている自転車が倒れていました。
いよいよ春ですね。長い冬のトンネルを抜けてやっと来た春ですね〜。・・なのに、結構寒いです。
冬のコートと炬燵とファンヒーターは、まだ仕舞えない私です。
さて、皆さんお元気ですか?
新学期がもうすぐはじまりますね。春休みは、2週間もあるので、子どもたちは宿題もないお休みを満喫しているのではないでしょうか?
育てる会には、新一年生のお子さんがたくさんおられます。
何か月か前に、新入学されるお子さんをお持ちの保護者対象で、「先輩のお母さんに聴く会」というのを行いました。支援級に行かせようか普通級にしようか…と悩まれていたお母さんたちが、
「あの会がきっかけで、わが子のいくクラスを決めることができました」
と言ってくださいました。今年は、少し早くからそういった座談会ができたらと思います。そこで、4月16日(火)にお母さんたちの集まりを行いたいと思います。
今年から「母の想いを語る会」は、不定期になりますが、主に座談会形式にて行うことにしました。アンケートを見せていただいて、お母さんたちのお話を聞きたいという意見が多く寄せられていました。また、母親同士でいろいろな話がしたい、と言われる方もあります。
今年初めての座談会のテーマは、「先生とうまく付き合う方法」について、先輩のお母さんからお話を聴くという会を行います。
皆さんの中には、人見知りで初めての人とお話をするのは、苦手という方もあるでしょう。そんな方にとって、新学期早々に始まる家庭訪問は、どんなことをするのか、どんな話をしたらいいのか…と不安でいっぱいの方もおられるのではないでしょうか?
家庭訪問は、初めての担任の先生との1対1でのお話ができる時間です。
どんな先生なのかしら?
どんなことを話せば先生に子どもの事を分かっていただけるかしら・・・・。
悩みながらその日を迎えるわけですが、出たとこ勝負ではうまくいかないというのが、正直な話です。
定型発達の子どもの場合は、単なる顔合わせという感じで、先生にしても、どんな家庭に子どもが暮らしているのかを知るだけということで充分かもしれません。
昔役員をしていた時に知り合った先生がこんなことを言われたことがありました。
「家庭訪問は、教師にとっては、とても大切な時間なんです。玄関に一歩はいれば、そのご家庭のほとんど全てが解ります。」
と言われました。恐るべし、ベテラン女教師です。
その話を聞いてからは、家庭訪問が恐ろしくなりました。
その先生は、50歳くらいの女の先生でした。
家庭の玄関のしつらえや、母親の物腰、そこからそこにいない父親の存在感まで嗅ぎ分けてしまうのでしょうか・・・。ベテラン女教師のすごさに恐れおののきましたが、そういえば私もそんなことが、今ではわかる一人かもしれないなと思いました。
お母さんの子どもの事を語るその口ぶりから、そのお母さんのストレスや、現在の気持ちを推し量ったり、どんなことで悩まれているのかが、分かるような時があります。
話がずれました・・・。さて、家庭訪問ではこれだけは伝えておきたいという事をメモしておくことをお勧めします。サポートブックなど作られた方は、それを前もってお渡ししておいて、わからないことが先生にあるようなら、質問にお答えするという形でもいいでしょう。家庭に先生をお招きするのは、多分一回きりだと思いますから、その時、家で使っているスケジュールや手順書を見ていただくといいでしょう。
そのためには、家庭内は、わかりやすく構造化されていなければなりません。
スケジュールも見て分かるようになっていますか?
先生に 「子どものスケジュールを解りやすくしてください!」なんて言いながら、我が家のスケジュールはいい加減、なんてことはないですか?
この家庭訪問をきっかけに、我が家の支援も見直しましょう。
見て分かるようになっていますか?
子どもにあっていますか?
そもそもスケジュールがありますか?
文句ばっかり言う親ほど、家では何にもしていないなんてことが多いように思いますよ。
お母さん、そういうのをモンスター・ペアレンツというのですよ。
気を付けましょうね!
また話がずれましたね。
以下が、第一回育てる会座談会の案内です。

テーマ:「先生との上手な付き合い方について」
日時:4月16日(火)10時〜12時
場所:事務局内 のびのびサロン

さて、今年の桜の開花は、いつもの年より早いようですが、岡山はいつ頃になるでしょう。
後楽園の東、旭川沿いの土手の桜が今は一分咲というところだそうです。
赤磐市はまだ蕾が膨らんでもう少しというところです。でも、この会報が届くころには、咲き始めていることでしょう。
そんな赤磐市で今年初めて自閉症の啓発活動を行います。
4月2日は、国連が定める「世界自閉症啓発デー」です。また、4月2日から4月8日は、「発達障害啓発週間」となっています。
今年はきらめきプラザで、以下のシンポジウムも開かれます。

『世界自閉症啓発デー記念シンポジウム」
   (主催:岡山発達障害児・者の親の会連携協議会(DDネット))
日 時:平成25年4月7日(日) 13:00〜16:00
場 所:きらめきプラザ 301号大会議
参加費:無料
奥村さんと藤井さん、お二人のお話は絶対に聴く価値あり!です
締切は過ぎていますが、まだ席には余裕があるそうですので、どうぞ大勢ご参加ください。
詳しい内容は、後の「近隣の講演会のご案内」のページの案内をご覧ください。

育てる会では、毎年「岡山発達障害児・者の親の会連携協議会(DDネット)」に参加している団体と一緒になって、4月2日にJR岡山駅・JR倉敷駅・イオン津山の県内3か所で、啓発パンフレットを配っておりました。
今年は、「赤磐市でも世界自閉症啓発デーに何かやってみませんか?」と赤磐市の保健福祉課のKさんから、お誘いがありました。なんと嬉しいことでしょう。行政の方からこんなお話がいただけるなんて、何より嬉しく思いました。
そのお話を受けて、赤磐発達障害支援センターの原さん(巻末の「支援センターNEWS」でおなじみの)が、赤磐独自のとてもいいパンフレットを作ってくださいました。
全県版と合わせて、赤磐版も一緒に配ることにしました。
岡山県からいただいたボールペンも一緒に4月2日の午前10時から、行政職員の方や発達障害支援センターのスタッフ、ぐんぐんキッズのスタッフも参加して、一緒に配ります。
岡山県自閉症児を育てる会の会員の中で、参加できる方は、皆さん9時50分に集合ください。
パンフレットをもらいにだけの人も来て下さってもいいですよ。
山陽マルナカの入り口は一つだけですので、解りやすいので、大丈夫です。どうぞよろしくお願いします。
また、赤磐近辺でない会員の方は、例年通りJR岡山駅東口エスカレーター下・JR倉敷駅・津山イオンのいずれでも、10時からやっていますので、ご参加ください。
県下で、同じ日同じ時間に一斉に始める同時多発啓発活動です。皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
下にもう一度赤磐市での場所と時間を書いておきます。
山陽マルナカで、4月2日の10時から行いますので、保護者の方で協力できる方は、よろしくお願いいたします。

さて、中山清司先生の講演会が、3月3日にありました。山陽新聞社本社ビルという岡山駅からも近く好立地での講演会でしたので、当日は、遠く長崎や明石の方からの参加者も来てくださいました。参加された皆さんの感想と報告が、あとのページに詳しく載せています。
講演会の内容は、のちのページに譲るとして、その時来て下さった中山清司先生の事を私は、お話したいと思います。
中山先生は、ずーっと昔、哲平が小学4年生の時と5年生の時に朝日新聞社厚生文化事業団主催のキャンプでお世話になった先生です。
小さかった頃の哲平を知っていて下さる数少ないおひとりです。
当時の哲平は、まだ落ち着かず多動で、指示も聞けない子どもでした。
聞いた言葉は、右から左と聞き流し(耳からの情報は伝わりにくい)、勝手な行動ばかりの扱いにくい子どもだったと思います。
そんな子をどうやってキャンプにつれて行って下さるのか、どうやって4日間も過ごされるのかと、心配ばかりして一年目の夏は帰りを待ちました。
今でこそ、指示も入るし、意欲的になった哲平ですが、当時は、自分の好きなことしかやらない子でした。
たぶん大変な想いをして見てくださったのでしょう。どんなことがあったのかは、何も話はしない哲平でしたから、何が何やらわからないままでした。でも、次の年「朝日のキャンプいきますか?」と聞くと、「行きます!」と答えたので、多分楽しいキャンプだったのでしょう。
そんな自閉症の子どもたちとのかかわりをずーっと続けておられる先生です。
朝日新聞厚生文化事業団が自閉症の子のキャンプを止めてしまってからも、先生は、ずーっと自閉症の子のキャンプを続けておられたようです。
現在は、先生の主催されているeサービスのパンフレットによると、多様な人材育成事業を提供し、自閉症支援のエキスパートを養成するとともに、支援者間のネットワーク作りに力を入れておられるようです。
先日、自閉症eサービスの実践報告会に、西宮までお話を聞きに行きました。
関西の若手施設職員の実践を発表するという会でした。
そこでは成人施設や児童施設での取り組みが、紹介されていました。
小さいころに支援をほとんどされないまま大人になられた方たちの困難事例を、若い職員が、様々に工夫して、改善されている様子の報告です。
成人施設は、こんなに大変なんだ・・・と、大人になった時を考えて育てていくという事の大切さ教えられ、今子どものうちに余暇や働くということへの意識付けをしておくことの大切さを感じさせられました。
しっかりぐんぐんに来ている子どもたちの支援をしなければと、思い知らされた報告会でした。
また、若い職員を、eサービスの勉強会に行かせたい・・・職員同士、仲間ができるという事の大切さも知りました。
支援者同士のネットワークが、ますます彼らを、よい支援がしたいという気持ちにさせているように感じました。
中山先生にしっかり教えてもらってほしい、そんな風に思いつつ帰って来ました。
先生は、「評価のセミナーを岡山でやってもいいよ」と言ってくださっているので、ぜひ育てる会も協力させていただきたいと思っています。
「支援がうまくいかないとき、まずは、評価へ戻ろう」そう言われた先生のお話を聴きながら、自閉症支援で一番大切なことは、自閉症のその人を正しく評価して、その人に会った支援をすることなのかなと、思った私でした。

次に即実践講座についてのご案内をします。
今年も川崎医療福祉大学TEACCH部の重松孝冶先生が講座を引き受けてくださいました。
今年で7年目になるこの講座には、口コミもあってか、例年たくさんの受講生が来られます。教育や保育の現場の先生や施設職員の方などを対象に、自閉症の特性理解から始まって、評価や具体的な支援を丁寧に1年間かけて学んでいく講座です。現場で即役に立つということで、その名も「即実践講座」です。
http://ww3.tiki.ne.jp/~teppey/2013sokujissen.pdf
はじめて自閉症の子の担任になったけれど、どんなふうに支援すればいいのかわからないという先生や、具体的な方法をもっと知りたいという先生のために、懇切丁寧な、基礎から学べる講座です。どうぞ、大勢の先生や職員の方の参加をお待ちしております。
申込用紙を同封しておりますので、会員の方は、これを新しく担任になられた先生にお渡しください。
私たち親が、自閉症の子どもの子育てに四苦八苦しているのと同じように、先生方も子どもの支援方法に困っていらっしゃるに違いないと思います。勇気を出してお誘いください。
去年は、100名を越える方が、全10回の講座に参加してくださいました。
今年も多くの方と、より良い支援を考える講座となりますように、ご協力よろしくお願いいたします。

さて、新しい年度がもうすぐはじまります。
25年度最初のセミナーは、当事者の方をお招きしての講演会です。
「どろだんご」の著書でもご紹介した、瑠璃真依子さんと、講演活動を様々なところでされている加藤剛さんにお話をしていただきます。
同封したチラシに質問用紙が付いていますから、それに聞いてみたいことを書き込んで、申し込みください。コメンテーターにおなじみの川崎医療福祉大学の重松孝冶先生をお願いしていますので、温かいいい会になることでしょう。
こちらもどうぞ、お誘い合わせておいで下さい。

さて、もう一つお願いがあります。
私は、小児科の先生方の前で、保護者としてのお話をすることになりました。
私は以前、病院で辛い思いをしたことがあります。
「光とともに・・・」の第2巻の第3話にその時の様子は乗っています。
戸部さんは、とても素敵な幸子さんというお母さんでこれを描いてくださいましたが、実際は、鳥羽さんのお話でした。
哲平が骨を折って、救急へ行き、ギブスの上からバンドエイドを貼ったときのエピソードがもとになっています。
お医者様で、こんな経験をしたよというようなお話や、どんな風に言ってほしかったかなど、書いていただいて、FAXかメールで返信をください。アンケート用紙を同封しますから、よろしくお願いしますね。また、結果はこの会報に載せますね。

季節は会報原稿を書き始めた時よりどんどん進み、桜もちらほら咲き始めました。
4月2日の啓発デーのチラシ配りの後は、みんなでマルナカ近くの砂川の土手でお花見をする予定です。
春は、楽しいことが起こりそうで、わくわくしませんか?
新しい季節、新しい学校、新しい職場、そして新しい人との出会い・・・。不安ドキドキを期待ワクワクに変えて、元気にやっていきましょう。
ではみなさんお元気で。
(育てる会 代表 鳥羽 美千子)

支援者養成セミナー 報告

平成25年3月3日(日)、ひなまつりの日にNPO法人自閉症eサービス 代表の中山清司先生をお招きして、「平成24年度 第5回(第70回)自閉症児の自立を果たす為の支援者養成セミナー」を岡山市柳町の山陽新聞社本社9F 大会議室にて開催いたしました。

今回のテーマは「自閉症支援で一番大切なこと 〜より良き支援者をめざして〜」というテーマで、中山先生のこれまでの実践の中から、忘れてはいけない大切な支援について、今回も実際のサポートの映像をたくさん見せていただいて学び合うことができました。
それでは、当日の報告や、感想が寄せられているので、みなさんにもご紹介します。


講演会の最初に、中山先生ご自身が自閉症の方と関わってこられた歴史をお話されました。
自閉症のお子さんたちと関わっていて素朴に思った「どうしてこんな行動をするんだろう?」という疑問が、TEACCHのトレーニングセミナーを見学することになり、青年で重度で行動障害もあるような方々が、本場のスタッフたちと一緒に1時間ぐらい活動することで、落ち着いて集中して活動している様子を見て日本人の参加者たちでとても驚いたと言われました。
日本人の先生たちの質問に、TEACCHのスタッフの方々は、一人一人に合わせた支援をすることを言われたそうです。
「本人が落ち着けるようにこちらのやり方を合わせればいいんだ!」「やれることを広げていくための取り組みをしていけばいいんだ!」と思った、というお話をされました。
「日本には数十年前にあった『うまく過ごせない』『パニックが頻繁にある』『自傷があって困ります』『活動に参加できない』『こういう行動をどう止めたらいいのか、やめさせられるのか教えてほしい』という話が未だにずっとある。
いい加減、この障害のある人に責任を押し付ける発想から卒業をしましょう!問題行動を引き起こさせているのは私達側だ、そういう行動をさせるスタッフ側が悪いのだと、自分たちの支援のまずさを反省しよう!」
「例えば足が悪い人に、車いすを用意するというような合理的配慮・必要な支援が増えれば、生活の幅も社会参加もどんどん広がっていくんです!」
と力強くお話されました。
支援者の仕事は、障害のある人たちが相手の「ヒューマンサービス」です。
障害のある人たちは、自分にぴったり合う支援をしてほしいと思って支援者の元に来ています。支援者側はその人たちのニード(希望や必要としていること)をその一人一人に合わせて提供しなければいけません。
レストランに例えると、お客さん(障害のある人)のニードは「おいしい物を食べたい(自分にぴったり合う支援をしてほしい)」ということです。スタッフ(支援者)はそのお客さんのほしい物を提供し、満足してもらうことが必要になります。
その際に、ろくに研修も受けていないスタッフが料理をしたり給仕をしたりはしません。
うどん専門店でもないのに「今日はうどんしかできません」と言ったり、「今日はうどんもないので何も出せません」などと言うことはしないでしょう。
私たち支援者に必要なことは、自閉症の人の最大のニードである「地域の中で豊かに暮らしたい」という希望を叶えるために全力で学んでいかなくてはいけません!とお話しされました。
自閉症の人たちと私たちとでは、様々なことが違います。
私たちが想像できないことを感じたり思ったりすることがあり、その結果として行動が私たちとは全く違うことがあります。その違いを理解しようとまず歩み寄ることが、自閉症支援のスタートラインだということを学びました。
支援したことがうまく伝わらないのは、支援者側が自閉症の人に分かりやすいように、丁寧に配慮した関わりができていないせいだということ。こちらの支援のまずさをまずは反省し、どうしたらいいか分からないならば勉強していこうという視点が基本なのだということを強く感じました。
今回の中山先生のお話で特に印象に残ったのは、支援者へのトレーニングをする際には、ほとんどが評価(障害のある人を正確に知ること)のためのトレーニングだと言われたことです。
問題行動を起こしているとされる様々な人のビデオを見せていただきながら、「『この人は言葉だけで分かります』と言う根拠はどこなのか?」「客観的に見て、理解レベルがどれぐらいなのか?」等を確認していき、問題行動とされてきたことのほとんどが、きちんと評価して支援を見直すことで、解決するに至ったケースを見せていただきました。「分からない人」「しない人」「できない人」ではなく、こちらの評価のまずさからくる、支援のまずさのせいだということを知り、評価の大切さに身が引き締まる思いでした。そして、障害のある人への思い込みや決めつけで関わらないための評価スキルを、どんどん磨かねばと思いました。
その他、たくさんのことを教えていただきました。
会報だけではとても伝えきれない、たくさんの実例と素晴らしい実践の数々に、5時間の講演会があっという間でした。
中山先生が大阪で運営しておられる「自閉症eサービス」の取り組みのお話の中で、「いいことをしないとね」ということの言いっぱなしではなく、先生自身がその思いを若い人たちにしっかり伝えるための支援者トレーニングに力を入れておられて、その中で参加者たちが相互に学びあう仕組みを作っておられることに、感心するばかりでした。
中でも今日からすぐにやってほしいこととして紹介された
@ 自閉症の理解と日常的な観察 
A 安心できる環境と日常をすごす場所づくり
B 関わる人たちの対応の統一 等
を聞き、この会場にいる皆で、気持ちを新たに支援をしたいと心から思った一日でした。
中山先生、本当に刺激的で意欲にあふれる素晴らしいお話しをありがとうございました!!
(育てる会療育スタッフ:松田 紗代)

【 保護者の方のアンケート 】

・支援をするためには、精神論とか寄り添うとかだけでなく、もっと現実的科学的な子どもの状態や思いを知るためのものが必要なんだ、ということが分かり良かったです。肯定的にかかわることは子どもだけでなく、夫婦、学校や園、地域にも大切ですね!たくさんの映像も見せてくださってありがとうございました。もっともっと丁寧な支援ができる人になりたいと気持ちを新たにしました。
・安心できる環境づくりの大切さ。困ったことが多いと感じているのは混乱しているからなんだろうと感じることができました。
自分の状況を説明できるようになるためにも休まる場所を作っていきたいです。
・映像を見ながら実際の実践をお話してくださったので分かりやすかったです。自閉症eサービスが求めるパラダイムチェンジの考えがとてもいいなあと思いました。元気が出ました。
こちらの都合で動かしていないか…という言葉にはっとさせられました。ついつい日常の生活の流れにあわさせるために動かなくなった我が子を動かそうとしていることがあるなあと思いました。本人にどうやったら伝わるのか、どうしたらできるのかということをもう一度見直そうと思いました。
・話がとても分かりやすくて納得がいきました。症状は違いますが、すべての話が我が子の理解の助けになると思いました。先生の優しさあふれる講演会でした。来てよかったです。ありがとうございました。

【 学校の先生方よりのアンケート 】

・実際のアセスメント等の様子をビデオで見て説明を加えてくださり、よく分かりました。また、一人の対象者を追って見せていただけたのも、支援の適、不適により状態が変わることも、大変勉強になりました。具体的な支援の例をたくさん教えていただけるとヒントになりありがたいと思います。
・今日はありがとうございました。日頃子どもたちに対してイライラしていて、「どうせ言っても…」と思うことが多々ありました。今日の講演を聞き、それぞれに合った支援をしなくてはいけない、そのためにも評価することが大切だということが分かりました。1つのやり方がダメでも様々なやり方を提供し、その子どもに会った支援を見つけていきたいです!映像を交えていたのでわかりやすかったです。勉強になりました!
DVDやお話の中から、急ぎすぎてはいけない、無理に当てはめようとしてはいけないことがよく分かりました。支援者の都合に合うように動かそうとしていなかっただろうか…いろいろ考えさせられました。ピープルファースト、知的障害のことに焦点を当てた見方ではなく、まず1人の人間であるということ、当たり前のことなのにいつも心にとどめておかなければならない、そのことについて忘れて接していることがなかっただろうか…考えさせられました。
・子どもたちとの1年もあと少しなのにこれではいけないと悩む日々。いかに自分が何もしていなかったか、できていなかったか、今日の話がどーんとのしかかっています。改めて自閉症支援について振り返っています。
定員いっぱい詰め込まれた状態の支援学級で、一人ひとりに合わせた支援がどこまでできるか不安もありますが、また頑張る気持ちがわいてきました。

【幼稚園教諭・保育士の方】

・ビデオなど実際の様子を見ることができ、また、子どもの行動や狙いなど先生の解説があり、わかりやすかったです。 支援者がきちんと一人一人の評価をしていかないと、様々な支援をしても本人の為になっていかないと改めて感じました。質問の意図が読み取れているのか、イラストなどの指示があれば行動できる、など、職員同士で意見を出しながらアセスメントをしていきたいと思いました。
・支援者としてのポイント、気をつけておきたいことが具体的に分かり、改めて大切にしておかないといけないところに気づきました。自閉症の人の気持ちに寄り添いながら、また、今は何ができてどう支援していくのかなど、今の自分に照らし合わせながら聞かせていただきました。日々支援していく中で忘れがちになりそうなこともあり、一人ひとり何が大切か考えながら自閉症の人がより過ごしやすい環境を作っていきたいと思いました。
・1つ1つ本人のペースで積み上げることの大切さを感じました。支援プログラムの立て方についてと、将来を考えた幼児期の対応についてもっと知りたいと思います。とても良い時間が過ごせました。支援するということについて改めて考える機会となりました。ありがとうございました。

【その他の方】

・本人、家族のニーズに基づき、地域で自閉症のまま暮らしていくための方略を戦略的に展開していることに感銘を受けました。先生の、クールながら愛情に満ちた活動に感動しました。ありがとうございました。

教師・保育士対象 即実践講座 お知らせ

★ 今年度も好評に応えて、即実践講座【基礎編】が5月から開講されます★

☆第1回☆ 「自閉症の特性と学習スタイル」
平成25年5月24日(金)19:00〜20:55
岡山県生涯学習センター 大研修室
対 象 : 教職員・保育士やそれを志す方、施設・福祉関係職員の方 対象。
         (申し訳ありませんが、保護者対象ではありません)
講 師 : 重松 孝治 先生(川崎医療福祉大学 講師)
参加費 : 全10回分 賛助会員17,000円 ・ 一般20,000円(賛助会費含む)
         途中参加の方には、それまでの講義のDVDをお貸しします。
申込先 : 育てる会事務局(086-955-6758)
http://ww3.tiki.ne.jp/~teppey/2013sokujissen.pdf

「18歳の春を目指す 親子療育クラブ」

4月の活動は、お休みです。
5月から、定例会をはじめます。

日 時:平成25年5月10日(金)  10:00〜13:00(受付9:50〜)
場 所:東山公民館 会議室     
             岡山市中区平井4丁目13-33 
             TEL  086-276-6202 (ナビ用)
内 容:顔合わせ、IEPの作成
IEP作成用の資料「指導目標サンプル一覧」はこちらで用意します。
継続会員の方で、資料をお持ちの方はご持参下さい。
正会員の新規加入者をおまちしています。
なお、見学は、正会員限定で無料です。

AAO活動 参加者募集 !! 

今年度もAAO活動を続けていきたいと思っております。
活動に参加してくださるご家族、ボランティアさんを募集します。

 〜AAO活動とは〜

親が企画した内容に沿って、子ども1人とボランティアさん2人とで活動します。
一年間、同じボランティアさんと活動します。
親が企画するので、わが子に合わせた無理のない活動ができます。
親や親戚ではない人との関わりや、公共の場でのマナーなどを学ぶ良い機会にもなります。親にとっても、わが子の新たな一面を知ることができ、勉強になります。

◆参加家族の募集について

対  象:小学2年生以上(兄弟児の参加はできません) (正会員限定
活 動 日:5月、7月、9月、11月、1月の第二日曜日、5回を予定しています。
      (参加家族数にあわせてボランティアのお願いに回りますので、
       活動開始時期が遅くなる場合もあります。ご了承ください。)
活動時間:基本としては、10時〜12時
   ※活動日、活動時間は、活動内容や都合により変更して下さって構いません。
活 動 例:ボウリング  
      公園で遊ぶ
      映画を見に行く
      電車、バスを利用してショッピングに行く などなど
活 動 費:ボランティア保険代を最初に集めます。
      活動にかかるお金や、ボランティアさんが活動場所に来られるまでの往復交通費なども、
      親が負担します。
      活動内容により、金額は各家庭で異なります。

◆ボランティアさんの募集について

一年間を通して、一緒に活動して下さる方を募集しています。
活動に興味を持ってくだ さった方は、事務局の方へご連絡ください。
どうかよろしくお願い致します。

AAO活動説明会について

4月下旬に、お申し込み下さったご家族に、活動についての説明を行う予定にしています。
参加申し込み期限:4月19日(金)
育てる会事務局へお申し込みください。みなさまの参加をお待ちしております。

『俺ノート』 みんなで作りませんか!

みなさん、はじめまして・・・の方が多いと思います。
アスペルガーで中学三年生男子の母です。
子供が大きくなり、本人が楽しく参加できる行事が少なくなりました。
ですので、何か企画してみようと考えました。

子供達が気に入って保管してる雑誌や写真で、自分のスクラップブックを作る会を立ち上げたいと思います。
オレのお気に入りを集めたオリジナルのノートブック、名付けて『俺ノート』をみんなで作りませんか!
『俺ノート』を作ることで、余暇活動や癒しツールになればと思っています。
まずは、切り抜いていい雑誌や写真、のり、ハサミ、貼り付けるノートや画用紙など身近な材料でやってみましょう。
初めての開催なので、小学校高学年(四年生)以上の男子で集まりたいと思います。
4月14日(日曜)事務局のあるおひさまハウス1階の「のびのびサロン」で開催予定です。
時間は10:00〜12:00       
参加希望は、事務局(Tel.086-955-6758、Fax.086-955-6748)にご連絡お願いします。 (正会員限定)

サッカークラブのお知らせ

日時 : 平成25年4月21日(日) 10:00〜12:00(9:45集合)
場所 : 岡山市内グラウンド
持ち物: マイボール、ゼッケン、ハチマキ、お茶(ボラさんの分も)、個人ノート、出席カード、親リーダーはグループノート
*体験、見学の申し込み・お問い合わせは、担当までご連絡ください。
(サッカークラブ担当:M)

今年度、最後の練習を3月10日に行いました。
悪天候にも関わらず、多くのメンバーとボランティアの方々が参加して下さいました。
練習後には、この春、大学を卒業されるボラさんにお礼の記念品を渡して、みんなで写真を撮りました。
今年は7人の方が卒業されました。
4年間、子どもたちと一緒に活動して下さり、ありがとうございました。
サッカークラブは現在21人です。最近も4人の新メンバーが加わり、にぎやかに活動しています。年齢は3歳〜15歳(中3)までと幅広いので、年齢や力に合わせて、基礎的な練習を行うチームと基礎練習に加えて簡単な試合を行うチームに分けています。
「何か新しいことを始めたい」「体を動かす機会を作りたい」と思われている方は、ぜひサッカークラブの見学、体験に来て下さいね。 (正会員限定)

水泳教室のお知らせ

日 時 : 平成25年4月21日(日)15:30〜17:30
場 所 : OSKスポーツクラブ岡山 3階ロビー(岡山市北区絵図町1-50)
          ※プールは育てる会水泳教室 貸切で行っています。
連絡先 : 育てる会事務局
★新たに参加されたい方、体験されたい方は事務局までお問い合わせください。
  体験は1回2000円(保険代込み)です。 (正会員限定)
★欠席される方は、必ず4月16日(火)までに事務局に連絡してください。
★当日の急なキャンセルなどは 水泳教室担当に直接連絡ください。
(水泳担当:S&H) 

「OHAの会」

OHAの会は高機能自閉症・アスペルガー症候群の子どもを持つお母さんのための会です。
知的障害がないからこその悩みや将来への想いなど、同じ立場のお母さん同士で想いを語り合いましょう。
4月はお休みで、5月から開催です。

  〈5月度 OHAの会 案内 〉

日 時:平成25年5月30日(木) 10:00〜12:00
場 所:西ふれあいセンター (岡山市南区妹尾880-1)
アドバイザー:利守 愛子 先生(臨床心理士)
持ち物:『高機能自閉症・アスペルガー症候群 「その子らしさ」を生かす子育て 改訂版』(吉田 友子先生:著)お持ちの方
参加費: 800円
申 込:育てる会 事務局(Tel.086-955-6758)  (正会員限定)

 岡山ひともの探訪
川崎医療福祉大学 重松孝治

第8回 新しい年度に向けて

いよいよ新学期ですね。大学は4月になるとすぐに授業が始まるため、3月には在学生のガイダンスがあり、もう新年度が開始される雰囲気になっています(今日は3月25日)。新入生の多くは大学生活という少し自由な空気を前に期待を膨らませていることでしょう。
一方で自閉症の子どもたちの中には、この新学期や進学に不安が強い子どもたちもいます。どんな人が先生になって、どのクラスで過ごすのか、誰が隣になるのか?それが不安であるために、子どもによっては3月になると不安定な様子が強くなる場合も見られます。
これは一見、誰しもにある「ちょっぴりの不安」と、「ちょっぴりの期待」であるように捉えられますが、自閉症の場合、違っているかもしれません。想像力に障がいのある子どもたちにとっては、それは「とてつもなく強い不安」としか考えられない場合があります。実際に担任の先生が変わると、対応も変化し、それによって適応する様子にも変化が(良くも悪くも)大きいのが自閉症です。
そんな時に私たちは彼らに何と言えばよいのでしょう。
「大丈夫」と励ましてみましょうか?でもきっと「何が大丈夫なのか、意味が分からん」と答えが返ってくるでしょう。
「(学校は)楽しい場所だよ」と楽しそうに言ってみましょうか?「なぜ?」と問い返されるかもしれません。
こうした「大丈夫」という励ましや「楽しいよ」という印象の表現は、子どもたちには伝わりにくい場合があります。何を根拠に大丈夫だと言っているのかが分からないですし、何が起こるかもわからないのに楽しいとは思えないでしょう。想像力に障がいがある自閉症の人の場合、こうした言葉は、“実際にその経験を得た”後には、確かに有効かもしれません。つまり新しい先生がいい先生だったと本人が感じた後や、新しいクラスで話題の合うクラスメートに出会った後であれば、その経験を話しながら、だから「大丈夫」と言えるかもしれません。それが『経験から学ぶ』ということだからです。逆にここで苦しい経験をした場合であれば、それを払しょくすることがどれだけ時間がかかることであるかともいえます。
ここに自閉症でない人との違いがあるのです。
だから私たちはせめて経験に変わる情報提供を考えるのです。
例えば、学校はどんなところであるかを具体的に説明します。
「学校にはたくさんの机といすがあるよ」「みんな黒板の方を見て座るよ」「黒板に白いチョークなどで字を書いて説明するよ」「大きな時間割表もあるよ」「先生は勉強を教えたり、お話ししてくれたりする人だよ」・・・
経験はできないけど、実際にあるものや道具、人、活動内容などを説明するのです。想像力の障害のある人にとって必要なことは、励ましでなく、それ(想像力の障害)を補う事実という情報提供なのです。より協力的な学校では、入学式前に下見を許可してくれる“場合”があります。その時は実際に過ごす教室や自分の机、ロッカーなどを見て、その説明をより強化してくれるでしょう。担任の先生に会えると、安心して入学式に出向ける可能性が高まるでしょう。もちろん全ての学校が自閉症の人に協力的でないので、この方法に許可が出ない場合もありますので、その場合でも説明したりすることができることを、保護者の方には知っておいてもらいたいと思います。
でも注意してください。
こうした支援のゴールは不安がなくなることではありません。
最初に書いたように、新学期は誰にとっても「ちょっぴりの不安」と「ちょっぴりの期待」を感じる時期です。この不安を全くなくすということはあまり現実的でない要望をすることになりますので、最後はその不安に少し寄り添っていくことが必要になります。
支援することのゴールは、誰しも感じるこの状況を自閉症の子どもにも経験してもらいたいということにあるのだから・・・。
今年度もどうぞよろしくお願いします。

お母さんの子育て体験談

前月号に引き続き「お母さんの子育て体験談」の第4話、地域の中学校の支援学級に通われているお子さんのお母さん、「ひまわりママ」さんのお話、その後半です。


 とはいっても、全てが順風満帆に進んできたわけではありません。
文字を獲得し、これで地域の小学校に入れてもできることがあるはずと、勇んで入学したものの、学校側にまったく障害に対しての知識がなく、せっかく書けるようになった文字も使えるようになったスケジュールも学校では取り入れてはもらえませんでした。
 日に日に学校へ行く意味が分からなくなった息子は、1年生の2学期後半には不登校になりました。親としても、登校させることに意味を持たない学校には“行かせない”という選択をせざるを得ない事態にまで陥りました。
 ぐんぐんに行くたびに代表にも辛い思いを聞いてもらい、何とかして解決法を見つけるために必死になった時期でした。発達支援センターや県の教育センター、また教育委員会にも相談し、多くの方々を巻き込んで何とか学校に理解してもらえるように働きかけました。息子が小さかった頃、毎日泣いて悩んだように、また辛い日々が続きましたが、それでも何もしないわけにはいかず、家で文字の練習をさせたり、公園で一緒に遊んだりして、息子と向き合うことからは逃げる気にはなりませんでした。
 最後まであきらめず伝え続けた努力が実り、少しずつ学校の体制が変わり始めました。2年生になった頃にはコーディネーターや管理職の先生が指導計画の話に加わるほどでした。もちろん知的重度の息子ですから、スムーズに全てがうまくいくはずはありません。 でも、それまでとは違い、何をどうすればうまくいくのかを一生懸命に考え、良いことも悪いことも連絡し合って、一つでもできることを増やそうという体制で息子の指導に取り組んで下さいました。
 入学した時には何ができるのかが分かってもらえず、校庭をうろうろ散歩する日々だった息子が、高学年になる頃には、全ての学校行事に参加し、委員会活動やクラブ活動にもできることをさせてもらっていました、6年生の修学旅行も笑顔で行ってくることができました。
 今年入学したばかりの中学校でも、小学校からの引き継ぎをしっかりとして下さり、想像以上に暖かく迎えていただくことができています。
 4月末には閑谷学校での1泊研修にも参加し、別メニューで過ごすことなく、達成感に満ちた笑顔で帰ってくることができました。その陰には、出発前に見送る私に向かって、バスの中から「まかせて!」と言ってくれた同級生を始め、違う小学校からの新しい仲間も加わり、先生方と共に暖かく支えてくれる環境があります。地域の中で障害のある子どもを育てることは簡単ではありません。でも、一番近くにいる親が最後まであきらめず、ひとりでも多くの理解者を見つけ、少しずつ輪を広げていくことが大切なのだということを強く感じています。
 また、“文字は知らないより知っている方が得”と最初に教えていただいた一言で、息子のコミュニケーション能力は大きく広がり、今ではひらがなカタカナだけでなく、時間割や生活に必要な身近なものの名前を漢字で書いたり、好きなゲームやDVDのタイトルをアルファベットを綴って書いたりすることもできるようになりました。
 これまでに出会った人の中には、「重度の子に文字を教えて何の意味があるの?」と聞かれたこともありましたが、今ははっきりと“教えてきて良かった”と胸を張って言えます。
 もちろん、文字だけが全てではありません。スケジュールの理解や安心できる環境作りも重要なことでしたし、関わり方のポイントを知り、息子の状態をしっかり観察しながら、距離をとったり厳しく叱ったりして、わかるように伝えることに努めてきました。
 今でも相手を選んだり、場所によっては不安定になることは多いので、手放しで楽になったとはいえませんが、家で留守番をしたり休日に好きな遊びを選んで混乱なく過ごせる時間が長くなったのも、生活の中で理解できる言葉が増え、文字でのやりとりで活動の内容を確認し、納得することができるようになったからだと思っています。
私は、言葉の通じなかった息子と何とかしてコミュニケーションをとりたい、また息子が何を思い何を伝えたいのかが知りたい、その思いだけで息子と向き合ってきた気がしてます。
 今は、小さい頃に比べて少し子育てが楽になりました。
大きくなった分、次の悩みも出てきますが、それも息子が少しずつ少しずつ成長していることを実感できる瞬間だと感じています。
 『重い障害を持っていても、あきらめずに丁寧に関わっていけば、必ず笑って話せる日が来る。』そう信じてこの先も息子に寄り添い、もしかしたら将来花開くかもしれない能力を楽しみにしながら、ずっと我が子を見守っていきたいと今思っているところです。
  我が家の子育てはまだまだ続きますが、とりとめのない話にお付き合いいただきましてありがとうございました。
(ひまわりママ)

 ぐんぐん だより 

赤磐ぐんぐん

寒かった冬も終わり、ようやく季節は春へと移り変わってきたようです。とはいっても、まだまだ肌寒い日も多いようなので、体調管理には気を付けないといけませんね。
暖かい日が続いた3月初旬、私は川崎医療福祉大学で行われました、『自閉症支援者現任者トレーニングセミナー』に参加してきました。
4日間の日程で行われるこのトレーニングセミナーは、1日目は基礎講座、自閉症の理解と支援における基礎知識や支援方法の理念を学びました。2日目からの3日間は実践編で、自閉症支援のプロセスを学んでいきます。1日ごとにテーマが違っていて、1日目は自立課題、2日目はコミュニケーション、3日目が余暇についての支援のプロセスを学んでいきます。1日ごとに、評価からはじまります。その評価に基づいて、目標設定(PLAN)→実施(DO)→見直し・再構造化(SEE)を行っていきます。1グループ6人ずつで、各グループにトレーナーの先生が一人ついてくださり、指導を受けながら自閉症支援のプロセスを実践を通して学んでいきます。
とても内容の濃い4日間でした。休み時間もほとんどないくらいの忙しさ。昼ご飯を食べながら課題を作ったり、意見を交わして次の課題を考えたり・・・。終わってみるとあっと言う間の4日間でした。このトレーニングセミナーでホントにたくさんのことを学びました。この学びは療育の中でしっかりと活かしていきたいと思います。
多くの学びの中から、改めて評価の大切さ、そして、スタッフ間で共通理解をしながら支援を進めていくことの大切さを学びました。
療育に携わる者としては、この共通理解は、スタッフ間だけではありません。
ご家族の方々との共通理解がとても大切です。
一人一人の自閉症の特性を理解することは、支援を考えていく上で必要不可欠です。しかし、この理解する・・・ということ、そんなに簡単なものではないと感じている方もたくさんいると思います。なぜ、理解することが簡単ではないのか。それは、自閉症といっても一人ひとり違うからこそ難しいのです。だからこそ、評価がとても重要になってくるのです。評価が十分に行われないまま支援を考えていくと、支援は間違った方向に進んでいきます。評価をしっかりと行えば、ひとりひとりの特性に目を向けた支援を考えていくことができます。
4月から新しい個別支援計画に基づいて療育を行っていきます。今回、「お子さんの、自閉症の特性を理解する」という項目を挙げています。家族の方と協力して、お子さんの特性をしっかりと理解し、そして、ひとりひとりの特性に目を向けた支援を考えていきたいと思っています。
岡山県からだけでなく全国各地から集まった様々な職種の方々が参加しているトレーニングセミナーでした。4日間という短い期間ではありましたが、初めて会った人たちが、ひとりの自閉症の方の支援について一緒に考えていくという経験も、普段はできない貴重な経験で、刺激の多い4日間でした。みなさんそれぞれ自分の職場に戻り、日々忙しく過ごされていることと思います。場所は違いますが、みなさん、自閉症の方の支援に関わる仕事をしている方々です。自閉症を理解して支援することの大切さを学んだ人たちが全国各地で活躍され、自閉症の理解の輪が広がっていく!素敵なことです!
私も学んだことを大切にし、これからもがんばっていきたいと思います。
(赤磐ぐんぐん療育スタッフ 河野友紀)

ぐんぐんキッズ

育てる会の学齢期対象の療育機関「ぐんぐんキッズ」がオープンして、約1年が経ちました。この1年は本当にあっという間で、とても楽しい1年間でした。
この3月は半年間(後期)の個別支援計画のまとめレポートを作成する中で、記録用紙や写真を見直しながら以前の様子を思い出すと子どもたちの成長ぶりを再発見する思いがしています。
面白かったり不思議だったりする子どものコメントや呟き、半年前・一年前と比べて確実にできることの増えている子ども達の様子、そしてたくさんの笑顔や一生懸命の顔がたくさんの写真をまとめながら、お子さんたちの一番成長のめまぐるしい学齢期にぐんぐんキッズで療育をできることの喜びを感じています。
赤磐ぐんぐんしかなかった時には「次々入ってくる幼児さんたちのために枠を空けてあげなければ」と涙ながらに卒業してくださってきたところを、ぐんぐんキッズができたことで引き続き療育をすることができるようになったこと。「赤磐ぐんぐん(幼児期)から学齢期に続く療育」ができるようになったことを、スタッフ一同が嬉しく思っています。
障害特性からくる苦手さや困難さにどうアプローチするか、また応用の苦手な子ども達が机上で学んだことを実際の生活にも使えるように(般化)どう伝えれば伝わるか、今後自分と周りとの違いに悩むであろう子ども達へ「僕は僕でいいんだ」「僕なりの生き方を応援してくれる家族がいる、仲間がいるんだ」と思える土台を作っていくために今何ができるか、日々ぐんぐんキッズのスタッフ皆で色々話合いを重ねながら療育をしています。
「支援がピタッとうまくいった瞬間の喜び」「子ども達の何気ない面白い・可愛いエピソード」「子ども達が見せてくれる成長の様子」など、この仕事をさせてもらっているからこそもらえる毎日のプレゼントがあるからこそ頑張れるよね!とスタッフでよく話をしています。お父さんお母さんたちも、きっと日々そういうプレゼントを子ども達からたくさんもらっているんですよね。ぐんぐんキッズのお母さんたちの笑顔を見たり、連絡帳から溢れてくるエピソードや日々の暮らしの様子から、感じています。
「わが子に障害がなければ」と考えない親はいないと思います。そんな悩みや苦しみの中で、療育という場に来てくださって「この子のために、今できることは何だろうか」と思うお母さんたちに必要なのは、「辛いよね」「苦しいよね」と悩みを話し合って癒される同じ立場のお母さんたちであり、また支援の手立てや、どう育てていけばより子ども達が暮らしやすくなるかの道筋を見つけることではないでしょうか。前者の同じ立場のお母さんたちによる癒しの場は、育てる会には数多くあります。私たち「療育をする者」は、後者である支援のやりようやアイディアを、少しでもいいからご家族に提供できるよう、全身全霊かけて取り組んでいくことが必要なことだと私は思います。
子ども達に必要な支援をお子さんやご家族に提供するためには、まだまだ勉強不足・力不足も感じる毎日ですが、勉強と実践と考察を繰り返し、「療育」という大切でやりがいのある仕事につけていることに心から喜びを感じつつ、これからも一生懸命仕事をしていきたいと思っています。
ぐんぐんキッズもいよいよ開所1周年を迎えます。来てくださるお子さんとご家族に「ぐんぐんキッズがあって良かった」「キッズに通っていて良かった」と思ってもらえるよう、精いっぱい頑張っていきますので、今後ともどうぞ応援よろしくお願いします!
(ぐんぐんキッズ  松田 紗代)

支援センターNEWS☆

 私の好きな桜の季節到来です!まだ、枝の先端が少し白くなっているな(開花を始めたな)という程度ですが、咲き始めると本当に早いので毎日チェックをしています。
我が家はベランダでガーデニングをしているので、冬を越したハーブたちを、先日ばっさりと剪定してやりました。新芽がどんどん出てきていて、それが伸びていくために邪魔にならないように思いきって切りました。ビオラなどの花々も、ここのところ続いたぽかぽか陽気で一気に勢いづいてモリモリと花を広げています。
そんな作業をしながら、かつて働いていた所でお預かりしていた子どもが、この新芽がむくむく・つやつやと葉を広げている様子を見て、「うわぁ〜おいしそう☆」と言ったのをふと思い出していました。知的障害を伴う自閉症のお子さんだったので、当時は場面に合わない不適切な言語表現?と思ったのだと思いますが、今改めてそのみずみずしく艶やかなあり様はお菓子のように輝いておいしそうに見えることに気づき、(どちらが真意だったかははっきりしないものの)こちらの一方的な価値観でしか認識できなかったことを反省しました。おいしそうに見えたのであれば、そのユニークな感性を「そんな風に表現できる彼らの視点は、やっぱりステキだ!!」と思ったのでした。
そして春は新たな旅立ちや巣立ちの時でもあり、市内の訪問先(各園、学校等)でも、卒園、卒業式の練習が行われ、それを参観させていただく機会がありました。こんなに長いセリフをよく覚えたね〜とか、長時間よく座っていられたね〜とか、もう一回やってみましょうと言われても怒らなくなったね〜とか、様々な思いで見させていただいていました。こうした行事は集団生活の中で最も苦手とする子どもが多いので、練習量(通し練習のみの参加でOK)や練習方法(回を重ねるごとに難易度が上がっていくような練習方法にならないように、はじめからすべきことを伝えておくなど)を工夫してくれるところも増えつつあります。こうして、スモールステップを踏みながらもしっかりと自らの役割を果たそうとしている子どもたちと、懸命に教えようとする先生の姿にジーンときたりしながら私も一緒にこの季節の移ろい(卒業シーズン)を味わっています。

さてお話は変わって…来る4月2日の世界自閉症啓発デーに合わせて赤磐市でも、啓発活動を行おうということになり、チラシと記念品のパッケージを育てる会でしていたときのこと。「『子どもがお約束をしても守れない』『どんどん子ども主導の生活がエスカレートしている気がして…』といった感じの相談が最近多いんですわ」と鳥羽代表や政田相談員らと話をしていました。
「『子どもの思いに寄り添って…』と書いてある育児本もたくさんあるけれど、読み違えるとたいへんな事にもなるよね。言いなりになるのと寄り添うのとは違うもの。」
「親をすごいと思えるように、育てなきゃ。子どもが間違ったことを言ったりしたりしたら、断固として折れちゃいかん。その代り良いことをしたら、その瞬間を見逃さず褒める。当たり前のことでも褒める。親の思いが揺るがない姿を見せるのは、子どもが親を信頼するに値する存在だと確信させるためよ。人間だって動物なんだからね〜。ちゃんと力関係は、見せて教えていかなきゃね。」
「動物の中で『ニート・養われる状態を続ける』状態になるのは人間だけなんですって」
「そうか!鳥とかひよどりの状態で巣から追い出されたり、海に飛び込むように促されたりしますもんね。」
「まー親だったら泣かれると辛いけどね。『それで(突き放して)いいのよ。そう、今は我慢よ。さぁ、今この瞬間を逃さず褒めて!』ってナビをしてくれる人がいるといいけれど。」
などなど、それぞれの子育てや支援の経験から、こんな雑談をしていたときに、ふと目に留まった奥田健次氏の「子育てプリンシプル」という本。何気なく開いた目次で、
典型的なダメ親とは 例えば「今は一個だけ」と決めたら、何が何でも守るのです。
ムードや気分に流されず、どんなときも「金太郎飴」のように同じ態度、姿勢でいることが必要です。
子育てはすべてそこから始まります。
“金太郎飴お母さん”を目指してください。
というものが飛び込んできました。(その他にも、メッセージ性の強い目次が続きます。)
奥田氏なりのドギツイ表現ではありましたが、話していた内容をあまりにも言い当てていて驚きました。応用行動分析学の視点から言っても、理にかなった親の在り様なのだと…
 ただ、われわれ大人もナマモノなので心が折れそうになることがある。揺らぐ心に一本芯を通すというか、戒め的に上記のようなメッセージを見える化して手元に置く(たとえば日めくりとか?)にするのはどうだろうか、というアイデアが出てきました。なんだかおもしろそうなことを考えるのが好きで得意な面々が集まって雑談をすると、いつもこんな感じになっていきます(笑)。
 「親のための育自(自分育て)カレンダーの作成」グッドアイデアと思うのですが…。
これは、心に響いた、支えられたという名文句、またこれにはノックアウトされた、またお母さんのやる気を奮い立たせるような名文句があれば、ぜひとも教えていただきたいです。みんなで共有しましょう。
さてさて、そんなこんなで…24年度は締めくくってまいります。
また「サクラサク25年度の幕開け」に期待と希望を膨らませて、支援センターも4年目を歩んでいきます!
(あかいわ発達障害支援センター 相談員:原 未春)
以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
なお会報は正会員・賛助会員の方へは郵送でお届けしています。
もしご希望の方がおられましたら、ぜひ賛助会員に申し込みをお願いします。年会費 3000円です。
応援よろしくお願いします。
申込み方法の詳細は「
育てる会 HP」に記載しています。

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