sorry,Japanese only
平成26年1月31日

第189号
NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会
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189号 目次
晴れの国、岡山で
即実践講座のお知らせ
キッズルームのお知らせ
18歳の春を目指す親子療育クラブ 報告と案内
OHAの会・『俺ノート』の会 お知らせ
サッカークラブ・水泳教室 お知らせ
岡山ひともの探訪
第16回 「文字が読める人には文字で伝える」ばかりでいいの?
私のお薦め本コーナー
「発達障がい児の子育て」
ぐんぐんだより
赤磐ぐんぐん・ぐんぐんキッズ
支援センターNEWS
新聞記事の紹介
読書三昧「自閉症の人の自立への力を育てる」
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未明に雨が降ったらしく、朝起きると地面が濡れていました。
今日のSOの陸上は、中止かなと思いつつ、空を仰ぎ見る私・・・。
雨はすでに降りやんで・・、やっぱり今日もランニングが出来そうな空模様です。
せめて、日曜日くらいはゆっくりしたいなぁ〜という思いもよぎりますが、雨の日でも決してお休みされない陸上コーチのIさんが子どもたちのために来てくださっていることを考えると、お世話係の私がお休みする訳にはいきません。
雨が降っていても、合羽を着て走るのが、山陽陸上です。すごいでしょう???
お蔭で私も何とか、かんとか、走ることを辞めないで続けられているという次第です。ありがたや、ありがたや・・・。
(SOとは、スペシャルオリンピックスという知的障害のあるひとたちにスポーツを提供する国際的なスポーツ組織です。
SO日本の現在の代表は、有森裕子さんです。
全国に支部があり、私たちは、スペシャルオリンピックス岡山に所属しています。
その中で山陽陸上は、毎月第一と第三日曜の午前9時〜10時半くらいまで、赤磐市の山陽ふれあい公園で汗を流しております。知的障害のない方でも、発達障害をお持ちのお子さんなら参加できますので、どなたでも興味のある方は、ぜひ見学にきてください。育てる会からもたくさんのお子さんが参加されています。お母さんたちも、歩いたり走ったり、健康にいいですよ)
スポーツをするのは、私たちの子どもにとって、とてもいいと思います。
小さい頃に走ることを教えたお蔭で、哲平にとっては、走ることは生活の一部になっているようです。毎日、会社から帰って、冬場はもう真っ暗な中、懐中電灯を点けて6.6キロのトレーニングを一人でコツコツ続けています。
体力があるのは、このトレーニングのお蔭かなと思います。
どう言う訳か、インフルエンザにかかったことが無いのも、走っているお蔭かもしれません。
ありがたいことです。
ここ岡山県南地域は、雪も降らず風も強くはありません。冬でも太陽は、たいていの日は照っていて、太陽さえ照っていれば、室内は暖房がなくても温かいくらいの日もあります。
知り合いの人で山陰地方にご主人の実家がある人がいるのですが、実家へ帰って驚いたという話をしてくれました。
姑さんが、「今日はいい天気だね〜」と言われるので空を見上げると、一面が曇り空で驚いたというのです。岡山のいい天気というのは、太陽が照っていて青空の日の事ですが、山陰地方の冬というのは、太陽が顔を出さないのは当たり前で、曇り空でも雪や氷雨が降っていない日は、いい天気なんでしょうか・・・。
岡山県人の私たちには、ちょっと想像できないぐらいの厳しい冬の日々なのでしょう。
つくづく温かい「晴れの国、岡山」で暮らせることをありがたいことだと思います。
そういえば、岡山は日本の中でも安全安心な県として、移住してこられる人が多い県なんだそうです。福島の原発から逃れて岡山に引っ越してこられた方もたくさんおられるそうです。
さすがにここにきて、一段落したそうですが・・・・こんな岡山で子育てできることを喜びたいと思います。
今月は、セミナーの準備があって、会報が2月に入っての発送になりました。
今回服巻智子先生の講演会が終わったばかりで、まだ報告を入れる事ができませんでしたが、次回号で詳しく報告はさせていただきたいと思います。
さて、次は、来年度4月早々にある小道モコさんと門 眞一郎先生をお迎えして、「世界自閉症啓発デー記念セミナー『学校はジャングルのようでした 』と『 自閉症スペクトラムから自己主義スペクトラムへ 』」のテーマでの講演会へのお誘いです。詳しい内容は、今回チラシを同封いたしますので、ご覧ください。
「あたし研究」著者の小道モコさんは、自閉症スペクトラムを持つ当事者の方です。
2年ほど前に高知に来られた時にお話を聞かせていただいて、ぜひ岡山にも来ていただきたいと願い続けておりました。その想いがやっと叶います。
「あたし研究」と「あたし研究 2」を読まれた方も多いと思いますが、とても興味深く面白いお話、聞かせていただきました。
中でも、今回の講演のテーマにも取り上げていただいた「学校はジャングルみたいだった」というお話は、とても共感しました。ジャングルに行ったことはないのですが、密林やジャングルは、何が起こるかどんな猛毒を持った蛇や虫がいるかもしれません。急に猛獣が襲ってくるかもしれないので、ドキドキしながら探検隊は進むでしょう。そんなハラハラドキドキの緊張感の中での学校生活を送られた小道モコさんならではの表現だと思います。
私たちの子どもたちも、そんな暮らしをしているのかもしれない・・・。そんな風に想像してみると、なんだか少しだけ子どもたちの苦労が分かったように思えます。
やっぱり自閉症の事は、当事者の方から直に聞くのが一番分かりやすいように思います。
少しでもあの子たちの事を理解したい、感じていることを知りたいと願って、今回の講演会を行います。どうぞ、大勢の方をお誘いください。
また、門眞一郎先生にも一緒に来ていただけますので、お医者様として、自閉症スペクトラム障害を詳しくお話してくださると思います。今回は、質疑の時間もたっぷりとって、お答えいただこうと思っていますので、ご期待ください。
さあ〜、ここでいよいよ今年最初の我が家の哲平君にまつわる面白話を3つほどさせていただきたいと思います。
◎ 黒豆 まだ煮えないの巻
年末に、たくさん黒豆をいただきました。
お豆が大好きな私は、大喜びでお正月用にと黒豆を炊き始めました。
黒豆は、じっくりことこと煮るのがおいしく仕上げるコツですよね。圧力鍋でもソコソコおいしくはできるけれど、やっぱり昔ながらにじっくり煮込んだ方がおいしいと私は思っています。
ところが、私が黒豆を煮ていると、誰かさんがやってきて火を止めるのです。
以前に私がうっかりと、火をつけているのを忘れておでんを焦がしてしまってからというもの、鍋がかかっているとすぐに火を消してしまうというこだわりが生まれてしまいました。
そんな哲平君のお蔭で、いつまでたっても黒豆が煮えません。
お鍋の乗ったIHヒーターに「消さないで!」とでも書いたら、多分消さなかったのでしょうが、おもしろいので、哲平が私の隙を狙って消すのと、私が火をつけるのとを交互に楽しみました。
哲平がいない隙を見計らって、火をつけて、コトコトコトコト。そろそろ煮えたかな…と鍋のところへ行くと、いつの間にかの早業、哲平君のお蔭で、火は消えてすっかり鍋は冷えてます。
「あら〜、やられちゃった〜」と思いつつ、また火をつける・・・と、また消されて・・・という具合でした。
でも、そのうち少しづつ柔らかくなって、今度は、たびたび火を止めたのがかえって良かったのか、いい調子に味を含んでおいしくなって、黒豆は今までで最高の仕上がりとなりました。
煮物は、冷える時に味が染みると言います。温めては冷やすという黒豆の炊き方もありますから、ちょうど今回は偶然その炊き方になったようでした。こういうのを怪我の功名と言うのでしょうか。お正月みんなでおいしく頂きました。また黒豆、煮ましょうかね。
まるまる二日がかりで黒豆を煮たというお話でした。
◎ ツンツルテンの藤の木の巻
哲平が久し振りに有給休暇が取れた日の朝早く、まだ霜が下りている庭に出て、たき火をしました。
週末に哲平が庭の草取りをした雑草を、たくさん庭の中央に集めてくれていました。
おだやかな冬の日です。なんだか見ていると火をつけて燃やしたくなりました。そこで「たき火だ〜たき火だ〜」と言いながら、哲平と二人で火を付けました。
ところが、まだ朝早く湿っているせいか、なかなか思うように燃えなくて、くすぶっている状態です。じっくり待てば、次第に乾いて燃え上がるとは思うのですが、ただ待っているのも時間がもったいないので、ついでに庭の藤棚の剪定をしようと思い立ちました。
倉庫から、のこぎりや剪定ばさみを出してきて、二人で剪定を始めました。
大きく育った藤の木です。ツルもいっぱい出ています。
「この木の、ここを切って」という風に指示をしながらしばらく二人で頑張りました。哲平はキコキコのこぎりで根気よく切ってくれました。やっているうちに、たき火もほぼ鎮火して、もう離れても大丈夫という感じです。それで、私は事務所にお仕事に出かけ、哲平はお留守番をしてくれていました。
夕方近く、なんだか哲平が息せき切ってやってきて、
「木切りました。7時間700円。」と言いました。(庭の草取りなどのお手伝いは1時間100円という“契約”です)
なんだか嫌な予感がしました。朝から7時間も木を切り続けたということにも驚きましたが、いったいどんな風に切ったのかしら・・・・。恐る恐る帰って見た藤棚の木は、大きな幹を残して、芽がどこにも見当たらないツンツルテンになっておりました。見事なくらいに綺麗に剪定してありました。怒るに怒れない見事な出来映えでした。
さあ、はたして春には藤の芽は出てくれるのでしょうか???
ちょっと心配になりますが・・・・、まあいいか・・・、というお話でした。
◎「トシローさんどこ?」の巻
私は夫を呼ぶ時、大抵は「おっさん!」と呼んでいますが、時には優しく(大体は誰かお客さんがいる時ですが・・・)「トシローさん」と呼ぶこともあります。ちなみに夫は、二人きりの時でも、人前でも「ミチコさん」と呼びます。これもしつけのおかげでしょう (^.^)
先日の事、いつものマラソンコースを走ったあとで、家に戻った哲平が、「トシローさんは、どこ?」と聞きました。
普段は「お父さん」とちゃんと普通に呼ぶんですよ。びっくりしたけど、おもしろかったお話でした。
こんな哲平も先日、1月の誕生日で26歳になりました。
自閉症で重度知的障害の哲平ですが、明るく元気に働く大人になって、今年3月で就職してから丸8年が経ちます。
ご心配をおかけした交通事故から丁度丸2年です。事故後も元気に楽しく今まで通り働いています
最近会う人に、「どう?その後・・・」とよく尋ねられるので、ここへ書いておきますね。
それでは、来月またお会いしましょう。
(育てる会 代表 鳥羽 美千子)
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教師・保育士対象 即実践講座 お知らせ
☆第9回☆ 「社会性への支援」
平成26年2月7日(金)19:00〜20:55
☆第10回☆ 「行動の理解と支援」
平成26年2月28日(金)19:00〜20:55
場 所 : 岡山県生涯学習センター 大研修室
対 象 : 教職員・保育士やそれを志す方、施設・福祉関係職員の方 対象。
(申し訳ありませんが、保護者対象ではありません)
講 師 : 重松 孝治 先生(川崎医療福祉大学 講師)
参加費 : 全10回分 賛助会員17,000円 ・ 一般20,000円(賛助会費含む)
今年の即実践講座も、残すところあと2回となりました。
受講されたみなさま、お疲れ様でした。ありがとうございました。
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キッズルームのお知らせ
キッズルームでは、岡山大学児童文化部のお兄さん、お姉さんが子ども一人ひとりについて一緒に遊んでくれます。もちろんお父さん、お母さんや兄弟と一緒に遊ぶこともできます! いろんなおもちゃで遊んだり、人形劇(影絵劇の場合もあります)を見たりして楽しい時間を過ごすことができます♪ 小さいお子さんでも参加しやすいイベントですよ!
メーリングリストに参加されている方にはお知らせいたしましたが、以下の期日で行うことにいたしました。
冬の体育館は寒いです!暖かくしてお越しくださいね
日 時:2月16日(日)13時〜15時
場 所:岡山大学 清水記念体育館
持ち物 :うわぐつ、お茶、防寒具
参加費:子ども1人につき400円 (岡大に駐車される場合は別途500円必要です)
申込締切:2月10日(月)
*プロフィールを出していない方は提出が必要です
質問等ありましたら、育てる会事務局(086−955−6758)まで。
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18歳の春を目指す 親子療育クラブ
1月10日、学校の先生向けのサポートブックのひな形を作りました。
グループに分かれて意見交換を行い、項目を絞り込んだり細かくデザインを考えたりしました。
そのあと、出来上がったひな形を、グループ発表しました。
新年度ももうすぐ・・こどもが安心して学校生活を送れるような素敵なサポートブックができたらいいですね。
2月の活動はお休みです。
次回3月が今年度最後となります。1年間を振り返っての反省と、できれば来年度勉強したいことの計画も立てたいと思っています。
ちょっぴりですが、お菓子を用意しています。みんなで楽しくわいわいおしゃべり出来ればと思います。
入会を考えられている方も、お気軽にご参加ください。
日 時:平成26年3月7日(金) 10:00〜13:00(受付 9:50〜)
場 所:東山公民館 美術工芸室 (岡山市中区平井4丁目13-33)
TEL 086-276-6202(ナビ用)
持ち物:マイ飲み物
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OHAの会のお知らせ
OHAの会は高機能自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害で知的障害のないタイプの子どもを持つお母さんのための会です。
この会の主な活動は、
*参加者みんなで本の読み合わせをすること
*その日のテーマに沿って子どもの特性や悩みなどを話し合うこと の2つです。
本の読み合わせではポイントごとに先生が解説や補注をして下さりとても勉強になります!1人で読むときとは比べものにならないほど、本の内容がすーっと頭に入ってきますよ!
また、後半の話し合いでは、先生からわが子についてのアドバイスがもらえるので、とても貴重です。ほかの参加者のお話も、わが子と共通点があったりして、参考になることが多いです。
前回1月の話し合いのテーマは「自立に向けて〜何歳までに(あと何年で)家事が全部こなせるようにしますか? 相談スキルを持っていますか?」でした。話し合う中で、残された時間で計画的に家事を身につけさせる必要性を再確認したり、内面的なことも相談できるようにするための手立てを考えなくては…と気づいたりと、内容の濃い時間を過ごすことができました。
知的障害がないからこその悩みや将来のことなど、同じ立場のお母さん同士で想いを語り合いましょう。とてもあたたかい会なので、初めての方も参加しやすいと思います。大勢の参加をお待ちしております。
日時:平成26年2月20日(木) 10:00〜12:00
場所:きらめきプラザ 小会議室2 (岡山市北区南方2−13−1)
アドバイザー:利守 愛子 先生 (臨床心理士)
参加費:800円
持ち物『「その子らしさ」を生かす子育て 改訂版』(吉田 友子:著) お持ちの方
申込み:育てる会 事務局 (п@086−955-6758) (正会員限定)
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『俺ノートの会』のお知らせ
小学校4年生以上の男子!対象の『俺ノート』の会です。
日時:平成26年2月9日(日) 10:00〜12:00
場所:おひさまハウス内 のびのびサロン(赤磐市和田194‐1)
持ち物:のり、はさみ、ノートや画用紙、切り抜き用雑誌など、飲み物
今回は、お菓子をデコして食べる予定です。
デコする為のチョコレートかクッキーなどを持って来て下さい。
もちろん普段の活動も行います。
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サッカークラブのお知らせ
日時 : 平成26年2月26日(日)10:00〜12:00(9:45集合)
場所 : 岡山市内グラウンド
持ち物: マイボール、ゼッケン、ハチマキ、お茶(ボラさんの分も)、個人ノート、出席カード、
親リーダーはグループノート
体験、見学の申し込み、お問い合わせは、サッカークラブ担当までご連絡ください。
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水泳教室のお知らせ
育てる会の水泳教室は、OSK岡山のプールを貸し切って行っています。
プールサイドでの準備体操から、最後の自由時間まで、気兼ねなく参加できます!
親も一緒に入れるので、お子さんにとっても参加しやすく、親としても安心です(^^)
お水慣れコース、泳ぎ方を習うコース、どんどん泳いで泳力をつけるコースの3つに分かれていて、コーチの指導のもと、各自のペースで頑張っています!
◇コース紹介◇
A・Bコース…水慣れのコースです。
OSKのコーチが、顔つけ、息づかい、バタ足など、わかりやすく指導してくださいます。
保護者と一緒に水の中に入り、水の中の感覚に慣れさせます
(慣れると力を抜くことができて、水の中で浮きやすくなります(^ ^))
Cコース…クロールなどの泳力をつけるコースです。
ビート板を使っての、足だけ、手だけの練習を通してテクニカルポイントを分かりやすく指導してくださいます。
時には背泳ぎなどの別の泳ぎ方や、親子対決などをすることもあり、楽しく水泳に取り組むことができます!
D・Eコース…長距離泳ぐ力をつけるコースです。
体を慣らした後は、ひたすら泳ぎます!
泳ぎ上手なボランティアさん募集中です!お手本となる方がいると見て覚える子どもたちです。
2013年度にスミセイコミュニティスポーツ推進助成プログラムより補助金をいただき、平成26年9月までは自由に参加できますので、今のうちにお試し参加してみてください!!
(スミセイコミュニティスポーツ推進助成プログラム 第4回)
日 時 : 平成26年2月16日(日)15:30〜17:30
場 所 : OSKスポーツクラブ岡山 3階ロビー(岡山市北区絵図町1-50)
※プールは育てる会水泳教室 貸切で行っています。
連絡先 : 育てる会事務局
★新たに参加されたい方、体験されたい方は事務局までお問い合わせください。
★欠席される方は、必ず2月12日(水)までに事務局に連絡してください。
★当日の急なキャンセルなどは 水泳教室担当に直接連絡ください。
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| 岡山ひともの探訪 |
川崎医療福祉大学 重松孝治
第16回 「文字が読める人には文字で伝える」ばかりでいいの?
「今回の運動会の演技は“ブラブラ体操”です」
さあ、みなさんイメージがわいてきましたか?
さすがにこの言葉だけでイメージを持てというのは難しいですよね!
でも同じようなことを自閉症支援で行われてはいないでしょうか?
「この子は文字が読めるので、文字で書いて支援しています」
当たり前のように聞かれる支援者の言葉です。
でも本当にその子は文字を書いただけで見通しを持てたり、意味理解につながっているのでしょうか?
ある中学校の通常学級における家庭科の実践発表を聞いたことがあります。
その先生は調理実習のハンバーグ作りで「玉ねぎは飴色になるまで炒めなさい」と伝えていたそうです。また黒板にその手順を書いていたそうです。すると中学生たちはみんな熱々のフライパンのまま先生のところまで持ってきて「これって飴色?」と聞いていたそうです。
調理経験がない中学生にとって、飴色になるまで炒めると聞いてもそれがどの程度なのか判断できなかったとその先生は言います。
ある年の授業で、飴色になった玉ねぎの写真(拡大したもの)を貼って説明したそうです。すると誰一人先生に聞きに来ることもなく、ハンバーグ作りを行ったのだと発表されていました。初めてこちらの伝えているイメージが子どもたちに伝わったと話していました。
文字が読めることと、その文字からイメージが持てることは常に同じではありません。
だからこそ、単純に「文字が読めるから、文字を書いて支援する」と一義的に支援を行うことは有効ではないと思っています。
特に適切にイメージを持つことが得意でない自閉症の人への伝達において、過去の状況や抽象的な概念、経験していない内容など、文字が読めてもそれが絵に描けないような情報はたくさん存在します。文字が読める人にも、必要であれば絵や写真、動画(VTR)など、その情報の内容によって様々な方法で情報を伝える工夫が必要ですね。
大切なことは、ちゃんと相手に伝わったかどうかです。
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| ぐんぐん だより |
赤磐ぐんぐん
あっという間に1月が終わり、もう2月。早いですね。発表会や卒園遠足等、子どもたちにとっては行事が多い季節のようですね。そして、4月の新しい年度に向けての準備等、お母さんたちにとっても忙しい時期がやってきましたね。
先日、第4回ぐんぐん勉強会を行いました。新年度への準備に向けて・・・ということで、今回のテーマは『就学に向けて・サポートブックについて』でした。サポートブックという言葉を知っている方も増えてきて、作ってみたいけど、どんなことに気を付けて作ったらいいんだろう?どんなことを書いたらいいんだろう?とご相談を受けることも多かったので、このテーマでの勉強会を企画しました。今回は、赤磐ぐんぐんに通ってきている現在年長さんのお母さんを対象の勉強会です。赤磐市で昨年、サポートブックについてのお母さんたちの勉強会を開催されていましたので、今回は、あかいわ発達障害支援センターの政田さんに来ていただいてお話をしていただきました。
サポートブックについての話と、支援センターの紹介、学校を知ろうということで、各学校にいる特別支援教育コーディネーターという役割の方についてもお話をしていただきました。
普段なかなか聞けないことも多く、参加された方々は熱心にメモを取りながらお話を聞いていました。
サポートブックは、誰かにお子さんのことをわかりやすく伝え、よりよい支援をもらうために活用されるものになって欲しいですよね。書きたいこと、伝えなければいけないことはたくさんあると思います。書き始めると、お母さんたちの思いがたくさんつまったものになるはずです。でも、思いが強すぎて、ついつい文章が長くなってしまったり、感情がこもりすぎてしまったりすると、読む相手にマイナスな印象の方を強く与えてしまう結果になってしまうこともあるかもしれません・・・。困っていることをたくさん書きたくなってしまうかもしれませんが、これから新しくお子さんに関わる人たちにお子さんのことを好きになってもらい、よき理解者になってもらうために、プラスな面もたくさん書いてあるサポートブックに仕上げてほしいと思います。
サポートブックを書くために、ポジティブ表現の練習もしました。「いたずら」をどんなふうに言い換えますか?みなさんなかなか出てこなかったのですが、「いたずら」のポジティブ表現の解答は、好奇心が強い!研究熱心!でした。考え込んでいた参加者の皆さんから、「なるほど〜」の声が上がっていました。「早くできない」のポジティブ表現は、じっくり考えて動ける!ていねい!「こだわりが強い」のポジティブ表現は、好きなことにすごく集中できる!!おもしろかったのは、「偏食でいつも野菜を残す」このポジティブ表現は難しそうだな・・・と思ったのですが、紹介して下さったポジティブ表現は、「野菜以外は何でも食べれるんです!」なるほど!の回答でした^^
参加した方から、「言葉の書き方、選び方によって読み手の印象が変わることが分かってよかった」という感想をいただきました。書いてみたら、誰かにチェックをしてもらうことも大切かもしれませんね。
これからサポートブックを作ろうと思っている方は、ぜひ、ポジティブ表現の練習もしてみてください。もう作っている方は、ポジティブ表現を使えているかチェックしてみてください。そして、誰かに見てもらい、初めて読む人にも伝わりやすいものになっているか、チェックしてもらってください。
よりよい支援をもらうための、すてきなサポートブックを完成させてくださいね。
(赤磐ぐんぐん 療育スタッフ:河野 友紀)
ぐんぐんキッズ
2014年を迎えて1か月が経ちました。
「1月は行く」と言われるように、この1か月がとても早く過ぎたように感じます。
「2月は逃げる」「3月は去る」この調子だとあっという間に今年度が終わってしまいそうですね。
キッズでは、来年度を迎えるための準備が少しずつはじまっています。
来年度はどんな活動をしようかな、新1年生はどんな子かなぁ。
スタッフ間では、そんな話題でいっぱいです。
先日キッズでは、来年度に向けての保護者説明会が行われました。
そこでお母さん達にみてもらうために、一年間の子どもたちの活動写真をまとめた
スライドショー作ったのですが、1年間の写真を整理していると子どもたちの成長には驚くばかり。顔つきや体格だけでなく、それぞれの活動内容もレベルアップしていることを嬉しく感じました。
以前、キッズでは、ゲームに勝つコツを勉強しているという事を書かせてもらったのですが、勝ち負けに強くこだわっていた子も、先生やお友達と色々なゲームをすることで、“勝つこともあれば負けることもある”ということを学び、負けてしまってパニックということが少なくなってきています。
先生とゲームをする時は、こちらで勝ち負けの調節をすることができます。
協力ゲームから勝敗のあるゲームへ進んだ子どもたち、はじめは、先生が負けたり、1位にはなれなくても最下位にはならないようにしたりしています。
勝って自信をつけてもらう事と同時に、負けてしまった先生が「あ〜負けちゃった。でも楽しかった。」「次は頑張るぞ!」など負けても大丈夫と前向きな姿を見せるようにしています。
ただ、すごろくや黒ひげ危機一発、トランプの坊主めくりなど、勝ち負けの調節が出来ないゲームってありますよね。
以前、マリオのすごろくだから楽しんでやってくれるだろうと、すごろくをした時のこと、自分がサイコロを振るとき、「1出て!」とどんなに願っても“6”「1回休みに止まれ」とどんなに願っても「3マス進む…」こんな時に限ってどんどん私のコマは進みます。あれよあれよと差が開き大差で勝ってしまった事がありました。
その子は、最後まで我慢していました。でも最後に「僕に勝つなんてひどい!先生となんてニ度とするもんか!」と半べそをかきながら言わせてしまった事があります。
いきなり、勝敗の調節が出来ないゲームをしてしまった事を反省しました。
けれど、大人とする時には調節ができても、お友達同士でする時は誰が勝つかはわからないし、勝敗は“運”というゲームも多いですよね。
そこで、すごろくなどのゲームをする前に、「運」について確認してからゲームをしています。
どんなに頑張っても負ける事がある。
勝つか負けるかは運次第です。
まだ、負けを受け入れにくい子に無理に勝敗のあるゲームをさせ負けさせる必要はないと思います。協力ゲームにするなどその子が楽しんで出来るルールにすればいいからです。
ただ、一つの方法として、ゲームをする際、「勝つか負けるかは運次第」「ラッキー♪」
な時もあれば「ガーン」な時もあるよね。と確認しながらすることで、負けてしまった時のショックが軽減され「負けても大丈夫なんだ」という経験を少しずつしてもらうこともありかなと思っています。
ちなみに、私に「先生となんかニ度とするもんか!」といった子ですが、次の週には何事もなかったように私とゲームをしてくれました。
しばらくは、勝敗のあるゲームは控えていたのですが、今では、その子からも
「今日は先生のほうが運がよかったんじゃな。」とか、負けてしまった私に「先生大丈夫!次頑張ればいいから。」という言葉を言ってくれるようになっています。
(ぐんぐんキッズ 療育スタッフ:石原 史織)
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支援センターNEWS
2014年、あけましておめでとうございます!
今年も、あかいわ発達障害支援センターをよろしくお願いいたします。
さて今回は、市内作業所のコンサルテーションでのお話。
対応に悩んでいる利用者Aさんの相談にのってほしいということが始まりでした。初めて現場にうかがい作業の様子を見せていただいた時も、かつてからの福祉的な思考(『障害者に仕事を教えてあげる』『できない部分があるのは障害のせいだから、それは職員や、できる利用者さんでカバーする』)がまだ残っているように感じられました。そして、職員間でもその思考に対して違和感があるものと、そうでないものとがおり、足並みを揃えてAさんを支援していけない理由に、これらの問題も影響していると感じました。
Aさんは、高校を卒業し作業所を利用し始めてから、何度か作業所を抜け出したり、暴れたりと、トラブルを起こしていたそうです。ケース検討の場で「書いて知らせると良い」と助言を受け、作業所ではしてほしくないことや行ってはいけない場所に『×カード』を表記して、対応をされてきたようです。そんな中、少しずつ生活の流れができて、作業所内では比較的安定して過ごせるようになってきた頃、支援センターを紹介され相談につながりました。
手探りで支援を考えてきた作業所もご苦労があったとは思います。しかし、Aさん自身も(してはいけないこと『×』ではなく)何をすべきか『○』という手がかりが少ない中で、通所を重ねくり返しの中で覚えた情報で試行錯誤して生活してこられたんだろうな〜というのも感じました。
まずは、Aさんのような(自閉症の)タイプの方の受け入れを積極的にしたことがない作業所であったとのことで、職員向けの研修を企画し自閉症への理解をしていただく機会を設けました。
特に…
・自閉症は、ひとりひとりの特性や学習スタイルのあらわれ方が異なること。
(同じ診断名であっても、行動や認知の特性・程度は同一ではないこと)
・だから、その人らしさを尊重した「個別的な評価」が重要になること。
これらの話をしたときに、「オーダーメイドの評価と支援の必要性は頭では分かっていても、実際には難しい。」「作業所のような集団生活の場で、個別の支援はなかなかできん。」「理解することと、Aさんのトラブルが減ることと関係するんか。」という意見も出ました。新しいことに取り組もうとするときの、不安の表れにも感じられたので、「今回は、勉強していただいたものをもとに現場で汎化していただこうという目的の勉強会ではありません。必要性を理解していただかないとサポートに入れないので、まずは職員間の『障害者支援』『就労支援』に対する考え方を、揃えていただくことが目的の研修と考えてください。一緒に支援を考えていきましょう。」と説明しました。
そして、先日第2回目の勉強会では『評価・課題分析』を行いました。現在Aさんが作業中の課題を用いて、その手順を書きだして、それを時系列に並べ、それぞれを○△×で評価してもらいました。今回はグループワーク形式で行ったので、前回は「難しい、できん」という後ろ向きな発言があった方も、意欲的に参加しておられるようでした。
2グループで評価を行い、発表していただく中で、職員の気づきとして…
・日頃行っている作業工程も、人によって表現方法(言葉の選び方)が異なることが分かった。
・動き、動作を言葉にするのは難しい。
・部品の名前も、改めて書き出すとなると、何と呼んでいたか分からない。
・評価もつけた人によって異なっている点がある。
・△『芽生え』がついているのは、力や量の加減が必要なものが多いことが分かった。
(つまり、Aさんはそういうことが分かりにくい人だ。)
・○『自立』がついているのは、組み立てる部品と部品を合わせてセットする(マッチング)作業だ。そういえば、何種類かの広告を合わせて封入する作業は得意で、自立してできている。
(つまり、マッチングの作業なら、素材や場面が変わってもできる人だ。)
・こうして。工程を書き出してみると、我々職員も分かりやすいし、ボランティアや新しい利用者、実習生が来られた際にも役に立つと思う。ほかの作業工程についても作ってほしい。
このようなものが、たくさん出てきました。理論ばかりで頭でっかちになっていただいても仕方ありませんし、取り組みのヒントを伝えながら、一緒に考えて気づいてもらうと、個別支援の良さも大切さも感じられると思います。
また、トラブルの対応方法を考えるワークではありませんでしたが、Aさんにとって『わかること・できること』が増えることは生活や心の安定につながることを、ここで同時に説明することができました。
これからも支援センターは、それに二人三脚で付き合っていけるだけのフットワークの良さを、兼ね備えていたいと思っています。
次回は構造化された指導を具体的に考える作業に入っていく予定です。
先日、作業場面にお邪魔して、撮りだめた写真を加工してAさんに『加減』を伝えるための視覚教材を試行中です。
職員と一緒に、Aさんと一緒に成功体験を味わえるイメージを強く持って頑張って準備をしていますよ。
また支援の続きを、こちらのNEWSで報告したいと思います。お楽しみに♪
(あかいわ発達障害支援センター 相談員: 原 未春)
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山陽新聞夕刊の記事 2回目です。
今回は以前会報でも紹介した篁 一誠先生の「自閉症の人の自立への力を育てる」です。
また久しぶりに篁先生を岡山にお呼びして、以前のお話の続きを伺いたいですね。
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以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
なお会報は正会員・賛助会員の方へは郵送でお届けしています。
もしご希望の方がおられましたら、ぜひ賛助会員に申し込みをお願いします。年会費 3000円です。
応援よろしくお願いします。
申込み方法の詳細は「育てる会 HP」に記載しています。
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