sorry,Japanese only
平成26年6月30日
第194号
NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会
194号 目次
水辺の青鷺
支援者養成セミナーの報告
即実践講座のお知らせ
18歳の春を目指すクラブ 報告
18歳の春 〜休日版〜 のお知らせ
OHAの会・ファミリーコンサートのお知らせ
水泳教室・サッカークラブ お知らせ
『俺ノート』の会・クローバーの会 お知らせ
私のお薦め本コーナー
「発達障害の子どもの心と行動がわかる本 」
ぐんぐんだより
赤磐ぐんぐん・ぐんぐんキッズ
新聞記事の紹介
田植えのすっかり終わった早苗田に、近くの両宮山が、逆さに映っています。
降りそうで降らない、今日は、そんな中途半端な空模様の日、空気が湿気を含んでどんよりと重い。
嫌々というように首を振っているのは、流れる水辺にたたずむ青鷺。
両宮山に何組かの青鷺が、住んでいる、その中の一羽らしい・・・。
浅い流れの割には、小さな魚のたくさん泳ぐ小川。その小川の水辺で根気よく佇んでいるこの青鷺が、さっきから急にじっと動かず水の中を見ている。
この小川は、青鷺にとっては絶好の餌場となっているようで、こんな風に根気よくいつまでも水辺を見ています。
先月号では雉を、今月号では青鷺を紹介しました。
ここ赤磐市和田は、岡山駅まで12.5キロ。それにしては、自然がいっぱいの住みやすいところです。人間にとって住みやすいところというのは、動物にとっては住みにくいところというのが定番ですが、赤磐市は、ちょうど人間と動物の両方が、折り合いをつけながら暮らしているところという場所でしょうか・・。
皆さん、一カ月ぶりですね。お元気でしたか?
一カ月というのは、とても短いようですが、色々なことがあるので、会報に書きたいことが、いっぱいです。
まずは、中山セミナーについての報告からです。
6月28日(土)岡山ふれあいセンター(岡山市中区桑野町)において中山清司先生をお迎えして、今年度2回目の講演会を行いました。
当日は運悪く、岡山市の年に数回しかない土曜授業の日と重なってしまい、せっかく不登校についてのお話しだったのに、岡山市内の先生方の参加がないという状態での講演会となりました。でも代わりに大勢の保護者が聴きに来て下さいました。
また、午後からは学校の授業を終えてかけつけていただいた先生方の参加もありました。
お忙しいのにすごいなぁ〜と感謝です。
講演会にきていただいた講師の先生方がみんな驚かれるのは、私たちの講演会に教員の方がいつも大勢参加されることです。他の県では考えられない数だそうです。それだけ熱心に勉強しておられる先生方が多いということだと思います。
昔、教育県と言われていた岡山。教員の先生方の熱心さは、昔からちっとも変わっていないという証の様に思います。もう一度岡山県を教育の岡山へ、子どもの不登校ワースト1や青少年の暴力事件ワースト1なんて言う汚名は、ぜひとも返上したいものですね。先生方と共に、保護者も頑張りましょうね。
参加された方で、午前中の講演を聴けなかった先生方には、録画した内容を事務局で見ていただくことができるよう準備します。ご都合の付く日にちをお知らせください。出来るだけ対応させていただきたいと思います。
夏休み中の平日ならいつでもOKです。土日には、対応できかねる日にちもありますので、ご相談ください。これは、熱心な先生方への配慮です。
正会員の方には、いつも通り、貸出しに応じますので、よろしくお願いします。
さて、中山先生の講演会は、午前の部では主に障害特性について、午後からは、具体的な不登校や引きこもりへの対応についてのお話を聴くことができました。
私はいつも思うのですが、どんな支援も特性への配慮がまず大切だということです。良く参加者の方は言われます。
「自閉症の理解とか特性については、もう聞いているし解っているので、具体的なお話が聞きたいです。」
本当にそうでしょうか?
特性の理解が充分あるのなら、当然それに対応した関わりがあって、あの子たちは、こんなに苦しんではいないはずです。
私たちの理解が足りないから、あの子たちは混乱し、“問題行動”と私たちが思ってしまう行動をしているのではないでしょうか。
自閉症の子の支援は、実はそれほど大変ではないといつも私は思います。
自閉症をしっかり理解さえすれば、本当に理解すれば、あの子たちの思いが見えてくる・・。そんな風に思います。ある意味、とても素直で、解りやすい子どもたちではないでしょうか。
午前中の特性理解のお話は、やっぱりとても良かったです。
それがあっての午後の講義が生きてくると思いました。
「軽んじるなかれ、特性理解!!」
私たち親は、自分が育てられたように、子どもを育てていこうとします。
でも、脳のタイプが違うと言われる自閉症の子供を育てて行くには、まず彼らの感じ方、彼らの見方、彼らの受け止め方・・・そんなことを、注意深く知る必要があります。
私たちとは違う感じ方、見方、受け止め方をするのだとすれば、それを学び知らねば教え導くことはできません。
何にも知らず、何にも解らないままで、どうやって育てて行くつもりですか?
もっともっと勉強しましょう。あの子たちの為に・・・。 そんなことを深く感じた講演会でした。
大勢の保護者の方に、まだ小さい子のお母さん、おとうさんにも中山先生のお話聞いてほしかったです。
さて、続いては、即実践講座のお話です。
今年度2回目の門眞一郎先生を迎えての、夜の支援者の為の講座は、大盛況。
先生は毎回、色々な映像を御紹介くださいます。今回は、アスペルガーと診断を受けたスーザン・ボイルさんの素晴らしい歌声と、スティーブン・ウィルシャー君の絵、それにテンプル・グランディンさんのお話でした。
中でもスティーブン・ウィルシャー君の上空から見た東京の絵は、圧巻でした。16時間かけて東京上空から見た絵を書き続けたことにもその集中力にも驚きますが、10分間上空で見たその絵を、方向や角度にも寸分の違いなく脳裏に焼き付けそれを書き写すという自閉症でなければなしえないその能力に感嘆しました。
ああ〜、なんて素敵な、自閉症!!こんな能力を持っていることを発見してもらえたスティーブン君は幸運でしたね。私たちの子どもにも何かしら特別な才能が眠っている可能性がある・・・そんな風に感じることができた映像でした。
スーザン・ボイルさんはとても有名ですよね。そのちょっと太めの身体から生み出される声の素晴らしさ、遠くまで響き渡るその迫力のある歌声に、会場中が魅了されてしまいました。
You Tubeでこの映像は、見ることができると思いますから、皆さんも 聴いてみてください。
アスペルガーで46歳(当時)の女性の秘められたこの素晴らしい能力に、それまで誰も気づかなかったのです。彼女がその能力を眠らせたままでなく、世に出ることが出来て本当に良かったです。私たちは、彼らの見た目だけにとらわれて、本質を見誤ることが多いのではないでしょうか?
私たちの周りにいる、特別な才能を持っているかもしれない子どもたちの、いいところをほめ、いいところを伸ばすことができたとしたら、多くの才能の開花が見られるかもしれません。つくづく才能を伸ばすのも、壊すのも私たち支援者にかかっていると思いました。
テンプル・グランディンさんも言われていましたが、カーロフ先生に出会っていなければ、彼女は、ただの変な生徒でしかなかったかもしれません。
支援者養成講座です。たくさんの支援者の先生方が、ご参加くださっています。これからの講座が益々楽しみです。
さて、お待ちかね(??)我が家の話です。
先月号でスペシャルオリンピックスのロサンゼルスプレ大会に参加することをお伝えしました。
6月5日〜11日ロサンゼルスの南カルフォルニア大学であった大会におとうさんと参加してきました。
岡山からは、哲平を含めて5人のメンバーとコーチ2人の選手団です。
行き帰りは、ファミリーが付き添います。ただし、到着してからは選手団とは、まったくの別行動で、会えるのはスタンドで応援している時だけです。
南カリフォルニア大学のキャンパスやスタジアムを借り切っての3日間の大会、世界の20カ国・地域から招待された1800人もの選手団の中で、何と哲平は、1500メートルと5000メートルの2種目で優勝しました。金メダルを2個ももらって最高の国際大会となりました。
毎日毎日、頑張って練習しているからこその快挙だったと思います。
もし彼が、自閉症でなかったら、こんな風に毎日毎日走り続けられたでしょうか?
小学6年生の頃から、雨の日以外一日も休まず走り続ける息子に、何でも3日坊主の私は、感心のしっぱなしです。つくづく頭が下がります。素晴らしい継続力です。
ロサンゼルスに同行した鳥羽父から以下のレポートをいただきました。
大会、2日目、いよいよ哲平の出場する5000メートル走の開始です。岡山のSOの大会では、一番得意とする種目で、いつもなら安心して見ていられますが、今回は何と言っても世界大会。どんな選手が出てくるのか、どんな記録を持っているのか、ハラハラドキドキのスタンドからの観戦です。
スタート地点に向かう選手を見ていると、案の定、哲平の隣には2mはあろうかという、スリムな黒人選手。
見るからに強敵です。他の外国選手と比べても頭一つ抜け出ていますが、哲平は日本人の中でも小柄な160cmほど、スタートラインに並ぶと相手の胸のあたり、まさに大人と子どもといった様相です。
気をもむ中、スタートの号砲です。予想通り・・というか、黒人選手(後でジェイソン君と知りました)が大きなストライドでダッシュします。1周目のメインスタンド前では、哲平は3番手あたり、「離されるな! ついていけ!」と声をかけます。
フルマラソンも走る哲平、スタミナには自信がありますので、大きく離されずついていけば勝機はあるはずです。
1周目には、みんなが周りに合わせて、全員いつもよりオーバーペースになったのでしょう、2周目にはいると、みんなスピードが落ち始めました。
ここからは哲平の本領発揮です。先頭を走るジェイソン君を2周目の後半あたりでとらえると、あっという間に抜き去ります。
スタンドはヤンヤの喝采です。
子どものように小さなランナーが、大きな黒人選手を抜いて引き離していくのですから・・・牛若丸が大きな弁慶を手玉にとる、判官ひいきというのは、世界共通のようですね。
見ていたスペシャルオリンピックスの係の方が、「彼の走りはビューティフルだ」と言っていたと、後で通訳のボランティア
さんから聞きました。
そんなわけで、後は後続をどんどん引き離して、安心して応援できました。周回遅れの選手も抜いて、ゴールしたのは、2位に30秒以上の差をつけ、自己記録の17分33秒83でした。これもジェイソン君が1周目引っぱってくれたおかげと感謝です。
最終日は1500メートル走です。こちらは出場選手が多く、デヴィジョン分けしてのレースです。このデヴィジョン分けというのが、スペシャルオリンピックスならではのルールで、普段の成績(タイム)によって、同じ程度のデヴィジョンに分けて、その中で力を出し合いメダルがもらえるというルールです。ですから、タイムは速くなくても、そのデヴィジョンの中で頑張れればメダルがもらえるわけです。
哲平は、一番速いデヴィジョンのレースにエントリーです。やはりこのクラスに、昨日のライバル、ジェイソン君もエントリーしてきました。
スタート前から、マッチレースの予感です。昨日より距離が短いだけ、ジェイソン君のスタミナがもてば、ストライドの差から苦戦しそうです。
女子のレースや、他のデヴィジョンのレースも終わり、いよいよ最終の一番速いデヴィジョンでのクラスの1500メートル走です。
哲平も、哲平なりに強敵と意識したのでしょう。スタートダッシュよく、いつもより速いペースで走りだし、メインスタンド前をトップで走り抜けます。その後を、2mのジェイソン君が大きな歩幅で追いかけます。2周目にはいり、とうとう哲平が追いつかれ抜かれてしまうレース展開です。このままジェイソン君のスタミナが持てば、彼が金メダルでしょう。哲平も離されないよう、必死でついていきます。
1500メートル走はトラック3周と3/4、哲平にとってはあまり得意でない中距離レースです。3周目、ようやくジェイソン君のペースが少し落ち加減です。残り1周の鐘が鳴る前に、再度哲平が抜き返しました。
そういえば昔、養護学校時代、本当なら速いはずの哲平が、大会で前を走る女の子のペースに合わせて、トコトコ走っていて、周りの先生方が必死で「抜け!抜け〜!」と怒鳴っていたことを思い出しました。哲平はそしらぬ顔で、相変わらずトコトコ・・・
あの頃に比べれば、レースで「勝ちたい!」という意欲が、ずいぶん育ってきたようです。
そんな思い出にひたっている間にも、レースは最後の1周です。哲平にとっての難関は、“ラストスパート”、なにしろ1500mも5000mも、もっと言えばハーフマラソンもフルマラソンも同じペースで最後まで走ろうとする哲平です。
最後まで競っていれば、おそらくラストスパートで再度逆転されるでしょう。それまでに、どれだけ差を広げられるか・・・
幸いにして、哲平が「ラストスパートができない」という情報をジェイソン君が知るわけもなく、バックスタンド前で広げた差をそのまま維持して、ゴールに飛び込んできました。
この記録も自己新で、4分45秒83、これもジェイソン君のおかげでしょう。ちなみにジェイソン君との差は3秒36、情報が洩れていればやばかったかもしれませんネ。
表彰台で、ジェイソン君が上から金メダルを覗き込んでいるシーンが印象的でした。
これで今大会長距離種目、金メダル2つ獲得です。最後に、日本から参加した男子4名による400メートルリレーでも、デヴィジョン5の中で銀メダルをもらったので計3つのメダル、哲平にとって最高の世界大会でした。
翌日はご褒美の、本場ディズニーランドでたくさんのアトラクションを楽しんで帰ってきました。哲平も私も、なぜか時差ボケもなく、深夜、日付が変わってからの帰宅だったのですが、翌日から早速二人ともお仕事、結構タフな父子でした (^_^.)
参加する前に奨励金をいただいた赤磐市からお招きをいただき、市長室へ報告に行かせていただきました。
SON岡山の坂本事務局長も同行してくださって、一緒に報告をさせていただきました。
赤磐市の友実市長も議会中のお忙しい中、時間を作ってくださって、哲平の片言の報告に耳を傾けていただきました。当日の様子が、今度も山陽新聞に載りましたので、報告させていただきます。記事は最後のページに載せていますのでご覧ください。
出発前に、国際大会に参加するという事で、激励の意味を込めていただいた報奨金があまりに高額だったので、「こんなにいただいては申し訳ないのでお返ししたい」と市の方へ言いましたら、「返還はできないけれど、それなら寄付をしていただくのがいいのではないか」といわれました。
それで、いただいた報奨金を、今度は感謝の思いを込めて寄付させていただきました。
当日は、その寄付への感謝状までいただいて、なんだかとても申し訳ない気持ちになりました。
これをきっかけに、これからは、哲平名義で少しずつ寄付させていただこうと、思い立ちました。
ちなみにこの時の報奨金は、オリンピックに出場する選手に対する報奨金と同額だったそうです。
すご〜い!!特別待遇に驚きました。
ありがたいやら恐縮するやらで、てんやわんやでございました。
それにしても、哲平名義で寄付をするというアイデア、結構いいかもしれません。
実は私たちは、哲平を税金の払える大人にしたいと思い育ててきました。
ところが、障害者には、控除などの特例があって、よほどの高額所得者でなければ税金を払わなくていいそうです。
哲平にしてもボーナス時に少しだけ所得税が引かれているだけです。しかもこれも返還要求すれば、返してくださるそうです(せっかく払った夢の税金です。返してもらうものですか!ネ)。
税金が払えないのなら、寄付で市へ貢献すればいいのですよね。
税金を払える大人ではなく、寄付のできる大人ですね。
これからは、期日を決めて、忘れないようにしたいと思います。
「毎日まいに〜ち、僕らは鉄板の〜♪上で焼かれて、いやになっちゃうよ!!」(「およげたいやきくん」より)
こんな歌がありますが、哲平のお仕事は、まさに同じことの繰り返しです。本当に毎日同じことの繰り返しでいやになっても不思議はないかもしれません。それでも嫌にならないのが、哲平です。同じ仕事を毎日毎日やっている哲平は、ちっとも飽きないみたいです。
そもそも飽きるということが、あるのかな??
仕事が嫌という訳ではなく、とてもいい仕事につけているので、すごくいいのですが,一日も休みたいとか、怠けたいとか言ったことがないのです。今日は、休みたいとか、しんどいとか、そんなことを言わない哲平です。よくもがんばれるもんだと、私はつくづく思うのです。
世の中の若い人は、もっと楽したいとか、もっとのんびりしたいとか、思う人が多く、お仕事も続かない人も多いように思います。
就労して8年余り、一度として休みたいと言ったことがない哲平です。
交通事故に合った当日だって、事故現場から何とか会社へ行こうとする哲平を、事故を起こした人が押しとどめて、警察を呼んでくださったそうです。
どんなことがあろうと、たとえヘルメットが壊れるほどの大怪我を負っていても、自転車が壊れて乗れなくなっていても、とにかく会社へ行くという目的を果たそうとする哲平でした。10メートルも車で跳ね飛ばされていたのです。腕は骨折して動かない状態でした。それでも会社へ行かねば・・・・そう思ったのでしょうね。
なんて素敵な若者でしょう。自閉症でなければ、こんなことはしませんよ。自閉症ならではの律儀さを持っていると言えるでしょう??
こんなに頑張る自閉症の人たちは、この世の中にとって、なくてはならない貴重な存在ではないでしょうか?
私たちは、すぐ飽きるし、同じことの繰り返しは、疲れるし辛くなります。
「およげたいやきくん」は、サラリーマンのお父さんたちに共感されて、あれほどの大ヒットになったとも言われています。みんなお仕事、嫌になっちゃっていたのでしょうね。
世のお父さんたちと比べ、なんと自閉症の人たちの律儀な真面目さ…これはもっと評価されてもいいものではないでしょうか?
親が言うのは、なんですから、どなたかが声を高くして言って欲しいと思うんですよ。
(こんな会報の紙面に書けば、もう言ったも同然ですかね。相当声大きいですよね)
みんなすごい成果をあげたり、頑張った時には褒めてくださいますが、8年間愚痴ひとつ言わないで、頑張ってお仕事していることの方が、相当偉いと思います。
自閉症の子どもたちのみんなそうです。
さぁ〜、今から外で仕事だよ。というと、大概の子が、「え〜っ!!」とブーイングの声を出すでしょう。けれど、自閉症の重度の子たちは、何にも言わないで、黙々とお仕事の準備をすると思います。そんな子たちをもう少し褒めてやってほしいとつくづく思います。
我が子だけではなく、働く自閉症の人たちすべてにもっと愛の手を!! と、およげたいやきくんからの発想でした。
重苦しく垂れこめていた雲が晴れて、少し太陽がのぞいています。こんな日の太陽の光は、なんだか、心まで明るくしてくれるようです。
皆さん、今月も色々忙しい毎日が、続くと思いますが、
「元気出して、こぴっとがんばれし!!」
「ごきげんよう、さようなら」 (NHK朝の連続テレビ放送より)
(育てる会 代表 鳥羽 美千子)
支援者養成セミナーの報告
平成26年6月28日(土)に、岡山ふれあいセンター大ホールにおいて、「平成26年度第2回(第77回)自閉症児の自立を果たす為の支援者養成セミナー」を開催いたしました。
今回のセミナーは「自閉症スペクトラム、学齢期の支援」〜不登校、引きこもり・・・二次障害を防ぐために〜のテーマで、NPO法人 自閉症eサービス 代表の中山清司先生をお招きして、お話しをしていただきました。
それでは、当日参加された支援者の方から感想文が届いていますので、みなさんからのアンケートとともに紹介します。
今回のお話は、私にとってとてもタイムリーであり、即実践!という具体的なお話でした。
この講演をお聞きする前までずっと、自閉症の人が不登校になったときのアプローチは心因性のものとは違う!と確信しながらも、実際に何をすべきなのかは手探りの状態で支援していました。
そこを「予防と復学(あるいは別スタイルの組立)の2段階のアプローチ」として明確にしていただけたことで、自分の今までの対応の良し悪しが見え、これからのことがイメージできました。
最近増えつつある、本人が嫌なら学校に来なくてもいいんじゃない?という放任対応が、本人の将来に向けていかに無責任な対応であるかということもよくわかり、学校との関係を本人に無理のない形で、いかに切らないようにするかを考えなければならないと肝に命じました。そしてもうひとつ重要な、生活リズムを崩さないこと、実際にどのように組み立てていくのかをビデオを例に教えていただけたのもありがたかったです。
それから、学校で当たり前とされていることの中に、自閉症の子どもたちにとってどんなに理不尽で矛盾していて、特性に合っていない対応が満ちているかということも具体例をあげてお話くださいました。人権を無視したようなことが学校という枠の中で当たり前のように繰り返されていることを目の当たりにし、子どもたちの気持ちを思うとゾッとしました。冷たいご飯を食べられない子のお弁当を温めてくれない、やっとのことでプリントを終えたらもう一枚渡される等は、特性理解と人として相手を尊重する心があれば起こらないはずです。もちろん、多くの学校や先生方が子どもたちを理解しようとし、温かく関わってくださっています。しかし、もしも今もそのようなことが起きているならば、子どもが行けない、もう頑張れないと思うのは当然です。支援する私たちは何かおかしなことに出くわす度に、その一つ一つに対して根気よく誤解を解いていき、広く世の中全体に理解者を増やし、子どもたちが安心して学校で自分の能力を発揮できるようにしていかなければと意欲を新たにしました。
コミュニケーションの苦手な子どもの話をどうやって聞くのかというヒントも、ビデオで実際の様子を見せていただけたので、ありがたかったです。早速実践してみたら、不登校中の本人と一緒に「今後の作戦その1」を立てることができました。
他にも「自分でやって、自分で終わることを重視する」、「どこで何をして過ごせばよいかを明確にする」、「何がわかっていて何がわかっていないかの実態把握をする」など、当たり前のことをきちんとおさえた支援をしていくことの大切さを改めて実感しました。
みんな中山先生に見てもらえたら!と思いますが、まずは私がこの岡山でできそうな所から精一杯取り組んで、その子たちが自分らしく学校と繋がり、将来意欲をもって働ける大人になれるよう、地道に支援していこうと思います。
ありがとうございました。
(臨床心理士 利守愛子)
【保護者の方からのアンケート】
・ 中山先生の分かりやすくて軽快なお話で、あっという間の時間でした。自閉症の人だからこそ、問題行動・こだわり・不登校への特性に合わせたうなずけるお話が多く、とても良かったです。また、是非参加したいです。
・ 分かりやすい説明でありがとうございました。現在、自閉症の大学生の息子がおりますが、生活の中で全く構造化を取り入れたことがなく過ごしてきました。これからいくつか取り入れてみようかと思いました。就労のことが心配になって今日来ました。次回機会がありましたら、そこも詳しく教えてくださると嬉しいです。
・ 発達障害の特性を踏まえ、学校への行きしぶり、不登校の要因からアプローチの方法まで事例を通してお聞きすることができ、大変参考になりました。現在、中3の息子が不登校で適応指導教室に通室している状況であり、うなづけることがたくさんありました。高校進学にあたり、親の役割(どこまで関わって手をだすべきか)を悩む日々でもあります。個別プログラム(支援者も含めて)のことをもっと知りたいと思いました。
・ 我が子は重度の知的障害があるので、そういう子どもに対する対応や実例を示したVTRをみながら、なるほどと分かることがたくさんありました。今後は本に書かれている余暇活動のお話ももっとお聞きしたいです。
・ これまでのことを振り返ると、結局自立につながらない支援になっているのではないかと思うところが多々ありました。見通しをもたせ、終わりを身につけさせること、余暇のスケジュールをたてること、これまでも度々聞いていたのですが、何故大切なのかがよくわかりました。ただ、今後もこの支援はちゃんと自立につながっているのか、こだわりを助長しているのかは迷うと思います。迷った時には、また先生のお話をお聞きしたいです。
・ 聴覚過敏が激しく、小3の2学期から支援学級に転籍しました。ところが、支援学級で無理解な対応を受け続け、少人数で集められてまで特性による困難を日々口頭で責められるという生活になり、本人はますます自分を責め苦しみ、小4の6月より学校に行けなくなりました。今、1ヵ月ほどたったところです。最も連携、情報共有が必要な学校・支援級と、とても本音で情報共有できる状態でなく、苦しんでいます。先生に協力を求められない状態はどうしたらいいのでしょう。校長からは早々と適応指導教室と全校生徒の少ない小規模校の存在をすすめられました。
・ わかっているつもりなのに、自閉症特有の特性からくる困難さを置き去りにして、まだまだこちらの思いが考えを、本人に押し付けてしまっているところがあるなぁと先生の話から気づかされました。とても自閉症の立場に立った考えがとても優しくていいなと思いました。いろいろな例をあげてお話してくださったので、分かりやすくて良かったです。余暇の活動など、家でも取り組んでみたいと思いました。
・ 動画での解説もあり、より分かりやすかったです。事例として出てきた男の子、我が子も同じようにお気に入りのタオルがあり0才のころからずっと寝るときは一緒です。多動はないのですが、似たところがあり、大変参考になりました。お母さんのお話で変わったきっかけが「家庭環境と担任の先生」と言われていましたが、家庭環境をどのように変えのたがよかったのか、知りたかったです。家庭での過ごし方、生活リズムの見直しが、今まさに悩んでいたことでした。具体的に教えていただけたので、さっそく帰ってから取り組んでいきたいと思います。
・ 支援級と一般級の違いが分かりやすかったです。うちの子は高機能で字も読め、もしかすると勉強で得意な部分もあるのかもしれないですが(まだ就学前でわかりませんが)平均に合わせた一般級のカリキュラムではしんどくなることが大いにあると思いました。少し先ですがよく検討して選択するようにしないといけないと思いました。
【学校・幼稚園・保育園の関係者の方からのアンケート】
・ 保護者の方や専門家の方の立場からの意見が、よく分かりました。学校でも一生懸命対応しているつもりでしたが、本人の評価が甘く、無理な課題をおしつけているのかな、と自分を見直すきっかけになりました。ただ…現場は人が足りず、場所も足りず、その他の学級の児童もいます。児童みんなが充実して学生生活を送れるように配慮できるように頑張ります。(教諭)
・ 保護者の方や専門家の方の立場からの意見が、よく分かりました。学校でも一生懸命対応しているつもりでしたが、本人の評価が甘く、無理な課題をおしつけているのかな、と自分を見直すきっかけになりました。ただ…現場は人が足りず、場所も足りず、その他の学級の児童もいます。児童みんなが充実して学生生活を送れるように配慮できるように頑張ります。(教諭)
・ 最後の情緒を安定させることが一番!ということ。関わっている子が学力の高い子なので、どう額衛力をつけるかを一生懸命考えていたのですが、情緒を安定させるために工夫します。(小学校教諭)
・ 成人期の支援について(就労に向けて)もっと詳しく知りたいと思いました。学校での支援のあり方についてとても分かりやすく、これから職場で生かしたいこともありました。反省させられるところも、多々ありました。少しずつ、職場にも今日のお話を返していきたいと思います。ありがとうございました。(保護者・小学校支援者)
【その他の方からのアンケート】
・ とてもわかりやすかったです。聞いていて、関わっている利用者の顔が思い浮かぶようでした。どう対応すべきなのか、対応が難しい利用者様への対処の仕方を学べたように思います。今後の支援にしっかり活かしていきたいと思います。ありがとうございました。(施設関係者)
・ 特別支援教育における良いところや悪いところが見えてきたように思いました。大学2年の今、中山先生のセミナーを聞くことができ、将来に向けて、より一層知りたい!学びたい!という気持ちが強くなりました。ありがとうございました。(学生)
・ 評価キットの動画や給食の動画があって分かりやすかったです。自閉症や発達障害のことを知っている人、療育を知っている人などはまだ良いのですが、学校や幼稚園など全く知識のない人にどうアプローチしていくか、難しいと思いました。特に「この子たちができない」と思われてしまう方々です。障害の有無は関係なく、1人の人として子どもを大切にされる世の中になってほしいと思います。私も今できることを私なりに頑張ろうと思います。ありがとうございました。(コーディネーター)
・ 事例や写真、DVD等、具体的な場面を交えての講演であったので、とても分かりやすかったです。もっとお話を聞きたかったのですが、時間があっという間に過ぎ、残念でした。(精神保健福祉士)
・ 私は小学校教諭を目指している学生です。特別支援教育の勉強もしていて、今回のセミナーは大変勉強になりました。最近の小学校の通常学級にも困難を抱えている子どもが多いと言われています。自閉症児のみならず、様々な個性を持った子どもたちと関わるうえで、様々な子どもが共存して生活できる場を提供できる教師になりたいと強く思いました。ありがとうございました。(学生)
教師・保育士対象 即実践講座 お知らせ
門 眞一郎 先生 による夜間連続講座です!!
☆第3回☆ 平成26年7月16日(水)19:00〜20:55
【 毎月(8月を除く)、第3水曜日の予定です 】
テーマ : 表出コミュニケーションの支援(1)
補助代替コミュニケーション(PECSを中心に@)
場 所 : 岡山県生涯学習センター 大研修室
(岡山市北区伊島町3‐1‐1)
対 象 : 教職員・保育士やそれを志す方、施設・福祉関係職員の方 対象。
(申し訳ありませんが、保護者対象ではありません)
講 師 : 門 眞一郎 先生(児童精神科医:京都市児童福祉センター)
参加費 : 全10回分 賛助会員17,000円 ・ 一般20,000円(賛助会費含む)
欠席された回の講義については、DVDをお貸しします。
18歳の春を目指すクラブ
6月5日、香川大学の武藏博文先生をお迎えして、「子どもへの支援を考える」をテーマに、支援ツール作成の基本からお話しいただきました。
サポートブック・スケジュール・自助具・チャレンジ日記などの実際の支援ツールを詳しく説明をしていただきながら見学し、さらにお菓子作りのツールをわが子に合うように作成しました。ワークもありとても楽しい勉強会となりました。
参加者から感想が届いておりますので、ご覧下さい。
・盛りだくさんの内容で、楽しく勉強させて頂きました。ありがとうございました。
思春期からは自分で行動管理と問題解決ができないといけない。なかなか難しい課題ですが、これから1つずつクリアしていかないといけないなあ、と思いました。
今までなんとなく周りの人とうまくつきあえていたので安心していましたが、子どもをよく観察して1つずつ評価していこうと思います。子どもに合ったツールをまた作成しようと思いました。
みんなで作成した「白玉だんご」のツールを家で使ってみようと思います。次回の講義も楽しみにしています。
・本日は、ありがとうございました。
支援ツールの本来の意味や目的をあらためて理解することができました。
ついつい親がしてほしいことをツール化してしまいがちですが、本人ができるとできそうなことをベースに確実に本人ができて達成感を味わえたり、自信につながるように支援していきたいと思いました。
18歳の春〜休日版〜
みなさん、このたび、18歳の春の、土曜日・日曜日に集まる会をはじめてみることにしました。
わたくしごとで、申し訳ないのですが、私は、18歳の春ができて、最初から活動をしてきました。子供が、中学生になるまでは、子育て中心のライフスタイルだったので、比較的、会にはよく参加できていました。
ところが、最近、フルタイムで働くお仕事を始めてから、実際に、平日されている18歳の春の集まりに、全く行かれない状況になってしまいました。
しかし、18歳の春を目指す親子療育クラブとしてスタートした頃に、思っていたわが子の目標とする年齢は、まだまだきているわけではありません。
なので、続けて考えていきたいのですが、なかなか、平日の会には参加できない状況です。そこで、休日に集まってやってみようかと考えました。同じように、休日の方が、助かるという方を募ってみることにしました。
やっていく内容は、まだ、全く考えていませんが、集まったメンバーで、話し合ってやっていけばいいかなと思っています。最初の集まりを、計画してみました。最初は、雑談でいいかなと思っています。よかったら、一緒にやっていきませんか。興味のある方は、また、ご連絡ください。
日 時 : 平成26年7月12日(土)10:00〜11:30
場 所 : おひさまハウス
申 込 : 育てる会 事務局(Tel.086-955-6758) 7月11日(金)までに (正会員限定)
OHAの会のお知らせ
OHAの会は高機能自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害で知的障害のないタイプの子どもを持つお母さんのための会です。
日 時 : 平成26年7月7日(月) 10:00〜12:00
場 所 : 京山公民館 第2講座室 (岡山市北区伊島町2−9−38)
アドバイザー:利守 愛子 先生 (臨床心理士)
持ち物 : 「青年期のアスペルガー症候群 仲間たちへ まわりの人へ」
ルーク・ジャクソン:著(スペクトラム出版社)
今年度の参考書籍です。お持ちでない方は事務局で手配します。
参加費:1000円
申込み:育てる会 事務局 (п@086−955-6758) (正会員限定)
ファミリーコンサートのお知らせ
昨年度も好評でした、ファミリーコンサートを、本年度もさせていただきます。
今年の日程は、11月22日(土)にと思っています。
タップダンスやゴスペルクワイアGRACEさんの歌、そして、正会員のお子さんの演奏による出演を中心に企画していくつもりでいます。みなさん、楽しみにしていてくださいね。
ところで、ファミリーコンサートに参加してくださるお子さんのオーデションを、事前に、行ってみることにしました。(実は、オーデションといっても、受けて下さった子どもさんには、全員コンサートに出演していただくつもりでいます。一応、オーデションというものを経験させてみせようかと思って計画してみました。)ふるってお申込みください。
もちろん、ピアノを弾く・楽器をする(どんな楽器でもOKですが、各自で用意をお願いします。)・歌をうたう。なんでも、OKですよ。
完璧な状態で、オーデションを受ける必要はありません。こんなのをやってみようかなあ・・という段階でも、全然構いません。本番は、11月ですし、育てる会の企画ですから、みんなやさしいので、安心してきてくださいね。大丈夫ですよ。
自分で演奏をする楽しみ、素敵な音楽を聞く楽しみ、子ども達の中に、楽しめるものが、どんどん増えていきますように。
オーデションの日時 8月20日(水)13:00〜
オーデションの場所 おひさまハウス
申し込み 育てる会 事務局 (п@086−955-6758)に 8月8日(金)までに(正会員限定)
※オーデションをしてくださるのは、ぐんぐんスタッフの古川恭子先生です。先生は、国立音楽大学を卒業後、ミュージカル舞台で活動しながら、声楽講師として劇団ひまわりや昭和音楽芸術大学等で指導にあたってこられました。オーデションに参加したら、先生からの、やさしいアドバイスがもらえますよ。
水泳教室のお知らせ
(スミセイコミュニティスポーツ推進助成プログラム 第9回)
日 時 : 平成26年7月20日(日)15:30〜17:30
場 所 : OSKスポーツクラブ岡山 3階ロビー(岡山市北区絵図町1-50)
※プールは育てる会水泳教室 貸切で行っています。
連絡先 : 育てる会事務局
★新たに参加されたい方、体験されたい方は事務局までお問い合わせください。
★欠席される方は、必ず7月16日(水)までに事務局に連絡してください。
★当日の急なキャンセルなどは 水泳教室担当に直接連絡ください。
サッカークラブのお知らせ
日 時 : 平成26年7月5日(土)10:00〜12:00(9:45集合)
場 所 : 岡山市内グラウンド
持ち物 : マイボール、ゼッケン、ハチマキ、お茶(ボラさんの分も)、個人ノート、出席カード、親リーダーはグループノート
体験、見学の申し込み、お問い合わせは、サッカークラブ担当までご連絡ください。(正会員限定)
今月の練習日は土曜日です! お間違えなく。
『俺ノートの会』のお知らせ
『俺ノート』の会です。
参加は小学校高学年(四年生)以上の男子です。
それぞれマイペースで活動を行い、のんびりやっています♪
日 時 : 平成26年7月13日(日) 10:00〜12:00
場 所 : おひさまハウス
持ち物 : のり、はさみ、ノートや画用紙、切り抜き用雑誌など、休憩用のお菓子や飲み物
参加希望の方は、事務局にご連絡下さい。(正会員限定)
クローバーの会 お知らせ
〜活動報告と次回活動のお知らせ〜
6月14日に、保護者の集まりをしました。
今年は、クローバーの会も8年目を迎え、幼かった子供達も、7人全員が、中学・高校生になりました。
そこで、今まで、保護者中心だった活動を、子供達中心の活動へと変更期間の年にしたいなあと話し合いました。
次回活動の内容等を決める時に、子供に司会をしてもらい、自分達で話し合っていく場面を増やして、少しずつですが、無理をせずにやっていきたいと思っています。
6月15日には、ボラ活動として、土づくりをして、きゅうりを植えました。本年度も、昨年度から始めたボラ活動を続けていきたいと思います。
☆次回活動のお知らせ
1 日時 平成26年7月13日(日) 9:30〜12:00
2 場所 おひさまハウス
3 活動内容 @花を植える
A話し合い「夏旅行について」 司会:子供 書記:親
4 持ち物 軍手 スコップ お菓子1つ(みんなでわけます) 飲み物(各自)
詳細については、またメールで連絡を入れます。
※随時、クローバーの会への新規加入歓迎です。興味のある方は、事務局にお申し込みください。(正会員限定)
ぐんぐん だより |
赤磐ぐんぐん
梅雨に入り、湿度が高く暑い日が続きますが、みなさん、体調を崩したりしていませんか?
保育園や幼稚園などではプールがはじまるこの時期、風邪をひいてしまうお子さんも多くなります。気温や湿度の変化の大きいこの時期は食欲が低下したりもしやすいです。体調管理に気を付けて、夏を迎えたいですね。
今回は、療育で行っているコミュニケーションの取り組みでの出来事を紹介したいと思います。
自閉症スペクトラムのお子さんにとってコミュニケーションの支援はとても重要です。コミュニケーションと言えば、喋れているかどうか・・・ということにとらわれてしまいがちになりますが、コミュニケーション=言葉、ではありません。
コミュニケーションとは、特定の相手にメッセージを伝え、相手がメッセージを理解したり、「伝え合う」やりとりのことです。よく喋っていても、相手を意識せずに一方的に喋ってしまっていては、「伝え合う」ができていないので、コミュニケーションとして成立していません。
「伝え合う」を育てるための支援の一つとして、療育では、PECSを使って、相手に向かって自分の要求を伝えるコミュニケーションの練習に取り組んでいるお子さんもいます。
PECSとはご存知の方も多いと思いますが、『絵カード交換式コミュニケーション・システム』です。
絵カードを相手に渡すことで自分の要求を相手に伝えるコミュニケーション手段です。
療育の中では、おやつ場面での欲しいおやつや飲み物の要求、休憩場面では使いたいおもちゃの要求、先生と勉強場面や自立学習場面では課題に必要なものが足りない時の要求をする時にPECSを使っています。
絵カードを使うことで、相手に向かって伝えることができます。
例えば、休憩場面で使いたいおもちゃが棚の高い場所にあるのを見つけた時、「あれ!あれ!」と大きな声をあげて一生懸命に伝えようとしていますが、伝える方向が相手に向かっていないので、側に人がいれば気がついてあげられるかもしれませんが、気がついてもらえなかったら声はどんどん大きな声になっていくかもしれません・・・たくさんあるおもちゃの中のどれが欲しいのかも伝わりません。こ
んな時に絵カードを使うと、絵カードを相手に渡す行動が入るので、相手に向かって伝えることができます。また、どれが欲しいのかを伝えることもできるのです。
PECSをとりいれることで、相手へ意識を向ける力が育ってきたお子さんもたくさんいます。「これを使うと自分の気持ちが相手に伝わる!」という経験を積むことはコミュニケーションの力を育てるためにとても大切なことだと感じています。
今回は、この、要求のコミュニケーションでのエピソードを紹介したいと思います。
休憩場面での出来事です。5人のお子さんが休憩エリアでそれぞれのしたいおもちゃを選んで遊んでいました。
一人のお子さんAくんが車を4台ほど持って、道路地図の書いたレジャーシートに車を走らせながら遊んでいました。
Bくんは別のおもちゃで遊んでいたのですが、上から覗き込むようにAくんが遊んでいる様子を見ていました。しばらくAくんが遊んでいる様子を見ていたBくんでしたが、見るのをやめて、自分のPECSボードの所に行き、そこから、ミキサー車のカードを選び文カードに貼りました。
その後、Bくんは、PECSボードから文カードを取ってAくんの所まで行き、Aくんにその文カードを差し出しながら、「ミキサー車、ください!」と伝えたのです。文カードを渡されたAくんは一瞬動きが止まったのですが、その文カードをジーっとみつめて、その後、自分の持っていた車のおもちゃの中から文カードに貼ってあった写真と同じミキサー車をBくんに渡してあげたのです。ミキサー車をもらったBくんはとても嬉しそうにしていました。
Bくんは、休憩場面や先生と勉強、おやつの場面でPECSの取り組みをしていました。
支援者に向かっての要求はスムーズにできるようになっていました。今までは、支援者にしか要求をしていなかったBくんでしたが、今回の場面では自分が使いたいおもちゃを持っていたのがAくんだったので、伝えるべき相手にしっかりと自分の要求を伝えることができていました。
Aくんは、PECSを使ってはいなかったのですが、視覚的な情報に強いAくんなので、PECSで要求されることははじめての経験でしたが、Bくんが何を欲しいかがよくわかったので、その要求にこたえることができたのだと思います。
子ども同士でも、「伝え合う」ができた瞬間でした。こうすれば自分の要求が相手に伝わる!という経験をたくさん積むことができれば、自発的に要求を伝えることができる場面は増えてくると思います。
PECSについてはじめて知った方、知っているけど研修は受けたことはまだないという方・・・。10月に岡山でPECSベーシックのワークショップがあるみたいですよ。興味のある方はぜひ参加してみてください。
PECS以外でも、コミュニケーションの力を育てるために必要な支援方法はたくさんあります。スケジュールや指示書なども、理解を促す支援ですよね。
「伝え合う」を育てること、これからも療育の中で取り組んでいきたいと思っています。
(赤磐ぐんぐん 河野友紀)
ぐんぐんキッズ
7月です!!いよいよ夏の到来ですね!
子ども達の中には、「今から夏休みのことで頭がいっぱい♪」 なんて子もいるのではないでしょうか。
プールにお祭り、田舎のおばあちゃんのおうちへお泊り などなど・・・。
子どもたちが楽しみ♪と思えるようなイベントが毎日あれば良いのですが、1か月以上続く夏休み。
毎日イベントを用意するという訳にもいかないですよね。
そして、やらなければならない宿題も・・・。
1年生の子ども(特に保育園卒園の子)にとっては、こんなに長いお休みは初めての経験。
お母さん達も、どう過ごさせたらいいのか悩んでいらっしゃるのではないでしょうか?
「見通しがあればきっちりできる!」というのは、子ども達の素敵な特性・強みです。
一方で、自分一人だけで見通しを立てて行動するということは難しいのも特性です。
時間はたっぷりあるけど、どう過ごしたらいいのか分からない。
結局一日中ゲームをしたり、ゴロゴロして過ごした。夏休み終わりに、宿題が進んでいなくて、雷落とされた。
・・・なんてことになってしまうと、勿体ないですよね。
夏休みは子ども達が大きく成長できるチャンスです!
まだ夏休みまで時間がありますから、今から今年の夏休みをどう過ごすか計画を立てて、子どもと一緒にスケジュールを組み立てておくと良いですね。
「スケジュールを作成したら、宿題もお手伝いも頑張れるんですよね!」と勘違いしがちなのですが、そこは、「してほしいこと」と「子どもがしたいこと」をうまく組み合わせることが成功のポイントです。
例えば、8月の最終週に「早く宿題をさせなきゃ!」と焦って作ったスケジュールが、「1 宿題 2 ごはん 3 宿題 4 おふろ」なんて、親のやらせたいことだけを詰め込んだ、子どもにとってなんの魅力も感じられないものは、きっと見ようとしてくれません。
ご褒美や楽しいことがあると、頑張るやる気もアップになると思います。
6月のキッズ座談会の中で、「子どものやる気スイッチがONになるツボを書こう」という演習がありました。
それぞれお母さんが、我が子の好きなものや「これがあれば頑張れる」という物をどんどん書き出していきました。
発表を聞いてみると、皆人それぞれ違いました。
お母さんの優しい笑顔と褒め言葉。
大好きなキャラクターのシール。
お気に入りの場所。
IpadやDSゲーム・DVDを観ること。
大好きなお菓子やジュース。
回転寿司、プールなどの好きな場所。
ガチャガチャや100円ゲーム。
お父さんやおばあちゃんの「さすがだね」という褒め言葉。
などなど・・・たくさん出てきました。さすがお母さん♪
子どもが今一番好きなものを知っているのって大切なことです。
好きなものがあって、それをゲットするためになら頑張れることは、将来就職して仕事をしていく時にもとても大切なことです。
「給料をもらって、ほしいものを買いたいから、仕事を頑張る」ということにつながりますよね。
私達大人なら「一か月のお給料日を楽しみに頑張ろう」と思えるけれど、それをいきなり子ども達に提示するのはしんどいです。
「夏休みの最後の日に、ディズニーランドに連れて行ってあげるから毎日勉強しなさい!お手伝いも毎日!早寝早起きもしっかり!」と言われると、どんなに素敵なご褒美を設定していても、最初の数日でダウンしてしまい、失敗経験になってしまうことでしょう。
目標(ご褒美)は、短いスパンで小さなことで良いのです。
そして、そのご褒美を何にするのか、いつ渡すのかの主導権はお父さんお母さんが持つことを忘れないでください。
例えば「明日頑張るから、今日は宿題しないでもいいことにして、この100円ゲームさせてよー」と子どもに言われたらどうしますか?
いつまでもダラダラしている子に、「宿題やったら○○へ連れていってあげるから」と言ったらすぐ取り掛かってくれそう。どうしますか?
今回の座談会で使用した、奥田健次先生の「叱りゼロで自分からやる子に育てる本」に書いてあったページを少しだけ紹介します。
そのお母さんは、不登校から引きこもりになった9歳の娘を親子で参加する2泊3日の山村キャンプへ連れていきたいと計画していました。
でも、娘は「そんなの行かない!」の一点張り。最後にはとうとう怒りだしてしまいました。(中略)
怒って声を荒げた娘を見て、「じゃあ行ったら、あなたが欲しがっていたアニメのDVDを買ってあげる」と約束してしまったのだそうです。「キャンプなんか行かない!」と子どもが怒りまくったときに、「買ってあげるから」と言ってしまっては、「物で釣る」というよりもワイロを差し出したようなものです。(中略)
こうすると、子どもはキレれば何かよい条件を引き出せることを学習してしまいます。(中略)
「お母さんさ、前からあなたが欲しがっていたアニメのDVDボックスをそろそろ買ってもいいかなって思ってるんだけど」と先にエサをチラつかせておくのです。(中略)
その後で「もうひとつお母さんが思っているのは、夏休みに2泊3日で一緒に山村キャンプに行きたい、ということなの」と誘ってみるのです。そこで、子どもが「ええー?」「そんなの行かないよ!」と嫌がる反応を示したら、そこで「じゃあもうDVDボックスは買えないな、残念だけと」と取っ払うことができます。そうあっさりエサを取っ払われてしまうと、子どもは内心迷います。「山村キャンプなんて嫌。でも、2泊3日だけ我慢すればあのDVDボックス買ってもらえるなら、行ってみようかな…」そう思わせればいいわけです。(中略)
要するに、子ども主導ではなくて、親主導の子育てが成功の秘訣だということです。現時点での子どもの動機づけをうまく利用するわけですから、子どもの動機づけをかなり尊重した発想法が求められているわけです。(中略)
内発的な動機づけに価値があるのだから、「物は使いません」という大人の考え方は間違いです。そういう考え方だと、すぐに「やって当たり前」「勉強すること自体で知識の発見を体験できるはず」という思考に陥ります。「物」は使ってもいいのです。ただ、その使い方に気をつけたいものです。
いかがでしたか? 「動機付けが大切」というのは、自閉症の子ども達にはピッタリですよね。具体的・現実的・ハッキリしている目標があれば頑張れる子ども達にとって、この考え方はしっくりくるのではないでしょうか?(例えば、自分の好きなプールの日だけは、いつもよりテキパキ朝の支度ができたり。笑)
でも、じゃあ実際に、夏休みの準備をどんな風に作っていけばよいのか、夏休みは目前だし、いったいどうしたらいいのか困ってしまうという保護者の方に朗報です!!(人´∀`*).☆.。.:*・゜
ぐんぐんキッズでは、座談会特別編ということで、キッズの保護者対象に「夏休みに向けて準備をしましょうの会」を、7月11日(金)に開催します。
今回はキッズのスタッフだけでなく、先輩お母さんにも参加していただいて、子どもにとって有意義な夏休みの過ごし方、スケジュールの作り方のアドバイスや経験談を聞かせてもらえるなんとも頼もしく、素敵な会を計画しています。
子どもと一緒に計画を立てていきましょう(*^▽^*)♪
キッズの今年度の座談会のテーマ
やる気スイッチをさがす″皆でどんどんボタンを押していきましょう!
(ぐんぐんキッズ療育スタッフ 石原)
新聞記事の紹介
代表の巻頭文にもある通り、赤磐市の友実市長に「スペシャルオリンピックス・南カリフォルニア 2014年夏季招待大会」の報告に行かさせていただきました。
合わせて、スペシャルオリンピックスの理念や、いっしょに月2回、練習に励んでいるSO山陽・陸上の仲間たちの活動も紹介させていただきました。
以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
なお会報は正会員・賛助会員の方へは郵送でお届けしています。
もしご希望の方がおられましたら、ぜひ賛助会員に申し込みをお願いします。年会費 3000円です。
応援よろしくお願いします。
申込み方法の詳細は「育てる会 HP」に記載しています。