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令和元年8月31日
第256号
NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会
256号 目次
夏休みの終わりに
自閉症カンファレンスNIPPON 報告
18歳の春を目指すクラブ・はやぶさの会・木工教室 報告
即実践講座・キッズルーム・おやじの会 山登りの会 お知らせ(略)
OHAの会・水泳教室・サッカースポーツクラブ お知らせ(略)
お母さんコラム
私のお薦め本コーナー
「自立をかなえる! 特別支援教育 ライフスキルトレーニング 実践ブック」
ぐんぐんだより
ぐんぐんぴっぴ・赤磐ぐんぐん・ぐんぐんキッズ
虫の音が、夜のしじまを縫って聞こえてきます。
嗚呼〜、秋なんだなと、なんとなく感傷的な気持ちを味わいながら、一人会報を書いています。
一日中冷房が必要だった我が家ですが、2〜3日前から冷房はいらなくなりました。窓を開けるとさわやかな風が家中を吹き抜けていきます。
いい季節の訪れの時、でも何だかちょっぴり寂しいのは、どうしてでしょうね。子どもの頃、夏休みの終わりと秋の訪れとが同時だったせいでしょうか?
いつまでも続けばいいのに夏休み・・・と思っていた子どもの頃の想いが、今だに尾を引いているのかもしれません。
東京の早稲田大学で行われた自閉症カンファレンスNIPPONに参加しました。
今回で18回目の会だったそうです。私は、この会に多分13〜14回は、参加していると思います。何回目だったでしょうか、ショプラーご夫妻も来られて、私はなんとあのTEACCHの創設者ショプラー先生とここでの懇親会で握手もしていただいたのでした。
厚い大きな手でした。優しい方でした。TEACCHの先生方は、どなたも例外なく暖かく穏やかでした。メジボフ先生も佐々木正美先生もそうでした。多くの育てる会に講演に来てくださった先生方も、みんな暖かでした。
自閉症カンファレンスに参加すると、そんな暖かで穏やかな中に包まれて、幸せをからだ中で実感するのでした。
今までは楽しくこのTEACCHの人たちとの仲間意識の中で、居心地よくてお祭り気分で参加していた私でした。
ところが今回は、「カンファレンスで育てる会の話をして欲しい」と実行委員の中山清司先生から依頼のメールが来たのでした。
発表の内容が、「私たちの実践 〜自閉症の人が豊かに生活できる社会を目指して〜」というテーマでしたので、私たちの活動にぴったり当てはまるということでした。
自閉症カンファレンスでお話しできるというのは、とても光栄なことでした。お断りするわけにはいきません。お引き受けしたものの、どんな話をしたらいいかしら??と考えながら、でも例のごとく忙しい毎日を過ごしていました。
ところが、うっかりと抄録のまとめの締め切りを忘れていて、催促が朝日新聞厚生文化事業団の福田さんから来てしまいました。「締め切り1週間過ぎてます」とのことでした。
一日でバタバタと書いて出したのが、以下の原稿でした。これをパワーポイントにまとめるのは、長女に手伝ってもらい、やっと当日を迎えました。
私たちの会は、親たちの会です。子どもをしっかりと育てて、自立させたいと願う一生懸命な親の会です。
誰かをあてにして、棚からぼた餅が落ちてくるのを待つのではなく、ぼた餅は、手を伸ばして取る方が確実に手に入るではないですか。世の中に棚ぼたはない!待っていても子どもたちに必要な社会資源は手に入らない。だから親たちの力で作っていこう、作っていけばいい。そう思って頑張ってやってきました。
そういう思いが、認められて今回の発表者に選んでいただけたのだと思うと、感謝でいっぱいです。
当日は、自分では上がったとは思っていなかったけれど、やっぱり普通とは違っていたのでしょうね、思い返してみると、司会者の方の質問に頓珍漢な答え方をしたようでした。
突然聞かれても、答えにくい内容のことには、スルーするという調子のいいスキルが身についているらしく、自分の言いたいことを言うという切り抜け方をしたようでした。
反省です。
でもね、大勢の方の前で発表させていただいて、とってもよかったと今では思っているのです。私たちの活動を全国の自閉症の支援をしている方に伝えることができました。
「ないものを作る」という私たちの活動の内容は、大勢の方に共感をいただきました。岡山に是非見学に行かせてくださいという方に、何人も声をかけられました。
岡山の片田舎で、小さなNPO法人が頑張ってこれまで22年間やってきたことが、評価されたことがうれしくて、密かに誇りを感じたりしました(ここへ書いたら密かじゃないか・・・)。
あんな大舞台を経験させていただいた自閉症カンファレンスNIPPONの皆さんに感謝いたします。
これまでやってきてよかったなと、この日の感激は、わたしの一生の宝物になると思いました。
今回引き受けさせていただいて、よかったことは、改めて、自分たちの活動を振り返って見るということができたことでした。
そして、初心を振り返る機会にもなりました。これからの活動の目標がさらに明確にもなりました。なぜこれをやるのか、明確な目的を持って取り組んでいこうと思えるキッカケをいただきました。
今、わたしは思っています、この会を作ってよかったと。一人ぼっちで仲間もいなかった私でした。どう育てていけばいいかわからず、毎日泣きながら、誰かの助けを待っている私でした。
でも、誰も助けてはくれません。そんな私が、今こんなにも大勢の仲間や支援者の中で幸せに生きていられるのは、この会を作ったからに違いないのです。
それでは、当日の抄録をここへ添付しておきましょう。
「ないものは、作っていこう!」
鳥羽美千子
特定非営利活動法人 岡山県自閉症児を育てる会
○ ないものは、作っていこう!
これは、私たちの会のキャッチフレーズです。
・ 自閉症スペクトラムという障害を持った子どもたちが、幸せで暮らしやすい社会を作りたい。
・ 若いおかあさんたちの力になりたい。
そんな思いでこの会を運営しています。
あの子たちに必要なものがないと嘆くのではなく、ないなら作っていけばいい…作っていこう!という元気な親たちの会です。
私は、そんな会の代表をしております。
○ TEACCHプログラムとの出会い
今から28年前、息子が2歳8か月の時、知的障害を伴う自閉症という診断を受けました。
障害がわかった時、この子をどう育てていけばいいのか途方に暮れた私たち夫婦は、片っ端から情報を集めました。
当時は岡山では本屋にも自閉症の本はほとんどなく、夫が大阪などへの出張の折、色んな本屋を訪ねては 買ってくる本を、2人でむさぼるように読んだのを今でも覚えています。
あれは、息子が4歳になったころのことでした。朝日新聞の募集欄に、こんな記事が載っていました。
「お母さんのための自閉症児療育セミナー参加者募集」
小さな新聞記事でしたが、当時の私には自閉症の文字が浮き上がって見えたものでした。
藁をもつかむ思いで通った大阪での勉強会でした。月に2回あったこの勉強会は、私にとっては、今何をやるべきかを教えていただける場にもなりました。
この子のことが知りたい。この子を少しでも伸ばしてやりたい。できれば自閉症なんて障害を治してしまいたい。そんな思いで熱心に通ったのを昨日のことのように思い出します。
大阪まで2年間通いました。ここで佐々木正美先生の講義を受けました。新澤伸子先生や服巻智子先生、中山清司先生とお会いしたのもここでした。
今の息子があるのは、あの頃、TEACCHプログラムと出会えたからに違いないと私は思っているのです。
ここで自閉症の特性、理解の仕方を学びました。弱点を克服させようとするのではなく、よいところを伸ばしていくという考えにも、とても影響を受けました。
自閉症という障害はあっても、地域の中で生きていく。支援を受けながらでも自立して過ごせる力を身につける。それができると、そう学びました。
TEACCHの先生方は、彼らの事をとてもユニークで素晴らしい特性を持った人たちと言われました。
何とか治そうという思いでいっぱいだった私が、ここへ通うことで、自閉症のままで自閉症として生きていけばいいというように思えるようになりました。
「何べん言ったら分かるの?」言って解らないなら、解るような伝え方をすればいい。
「何でこんなことをするの?」と思ったら、その理由を捜せばいい。
そんな子育てへと、変わっていきました。腹を立てたり、怒ったり、息子への無理強いをしたりせずに育ててくることができました。
お医者さんに「困ったことがあるので」と相談すると、岡山では必ずお薬を処方しようとされました。
私はそんな時、「もう少し頑張って取り組んでみます」と断ってきたのも、このTEACCHで学んだやり方、子どもが私にとって困った行動をするときには、こちらの伝え方や、やり方がまずいのではないか?という風に考えるようになったからです。
薬を使うと、落ち着いてしまって、原因が解らなくなってしまうではありませんか。せっかく息子が行動で私に伝えようとしてくれていることが伝わらなくなってしまう・・・、そう思いました。
宗教でも思想でも、最初に出会ったものに終生影響を受けると言います。私は、TEACCHプログラムの考え方に触れることで、子育ての指針をいただいたように思うのです。
○ 岡山県自閉症児を育てる会設立
話は、障害を告げられた当時に戻ります。
今から28年前、我が子が自閉症の診断を受けた時、私は岡山に自閉症の親の会はないものかと探しました。誰かと話がしたいと思いました。この子の育て方を教えてほしいと願いました。
誰でもいいから、私の想いを聞いてほしいと思いました。
でも、なかなか見つかりません。
ある本の巻末に、自閉症協会岡山県支部の電話番号がありました。喜び勇んで電話を掛けました。
ところが、当時の自閉症協会岡山県支部は、大人になった人たちだけでこじんまりと活動されている会のようで、当時まだ3歳児だった息子を持つ親を、「小さなお子さんの力にはなれないから」と受け入れてはくださいませんでした。
一番仲間がほしかった時、私が一番悩んでいた時、誰も私を助けてくれるところは当時の岡山には、ありませんでした。
それで、子育てが、少し楽になった小学4年生に息子がなったころ、4人の母親に呼び掛けて、岡山県自閉症児を育てる会を設立しました。
思い切って立ち上げたこの会に、こんなにも多くの人たちがと思うほど、岡山県内から、たくさんの自閉症の子を持つ母親たちが集まりました。
今年の9月で、丸22年になります。
○ 私たちのチャレンジ
22年前には、障害者総合支援法も、発達障害者支援法も、障害者差別解消法も何もなかった時代でした。今のような療育機関の充実も、制度も何もなかった岡山での子育てでした。
発足当時は、自閉症の子どもたちの為の社会資源もなく、親たちは困り果てておりました。
そこで私たちは考えました。
「ないなら作っていこう」
「自分たちに必要なもの、ぴったりなものは、自分たちで作ればいい」
そんな風にして、民間の水泳教室から断られた子どもの為の水泳教室。
スポーツ少年団から同じく断られた子の為のサッカークラブ。
子どもたちを思い切り遊ばせるためのキッズルーム、などなど、どの活動もずーっと20年以上続いています。
例えば、水泳教室。
民間のスイミングクラブでは、「責任を持てないから・・・」という理由で入会を断られてしまった母親の願いに応えた形で「自閉症児のための水泳教室」を始めることになりました。当時は、どこにもこんな自閉症の為の水泳教室はありませんでした。
確かに社会性やコミュニケーションに弱さを持つ自閉症児でしたので、一律に号令をかける指導者の指示には従いにくい子どもたちでした。
また、多動性がありじっと待つことも苦手な子も多くいました。てんかんの波を持つ子の割合も、一般の子どもより多いのも間違いではありません。
でも、そんな特性に配慮し、一人ひとりに合わせた指導を行えば、水泳を楽しむこともできる子どもたちです。
こうして、その後も子どもたちのために「ないものは作っていこう」という親たちの想いは広がってきました。
年1回の木工教室や、ボランティアさんと街の中に出て楽しみを見つけようという活動も続いています。
○ 様々な活動へと広がり
子どもたちへの活動だけでなく、自閉症について学んでいきたいと親たちの勉強会も始まりました。
一般の方にも、自閉症を理解してほしいと願って始めた講演会活動は、今年の3月でちょうど100回を記念しました。
今までに来ていただいた先生方は、懐かしい佐々木正美先生をはじめ、内山登紀夫先生、諏訪利明先生、梅永雄二先生、安部陽子先生、坂井聡先生、中山清司先生、藤村出先生等、自閉症カンファレンス日本の実行委員の先生方もたくさんいらっしゃいます。日本中から自閉症の最前線のお話を、岡山へ届けていただいています。
また、学校の先生方や施設の支援者の方に、自閉症の知識や実践方法を学んでほしいと、自閉症の専門家の先生方を、日本各地からお呼びして実施している、即実践講座と題する夜間連続講座も10年以上続き、毎年100人以上の先生方が、学校や園でのお仕事のあと、熱心に通ってきてくださっています。
さて、「ないものは作っていこう」を合言葉に、色んなことをやってきました。
すると、「療育が、どこもいっぱいで入れるところがないんです」「自閉症の子に合った療育施設がないんです」そんなことを言うお母さんがいました。
話を聞くと、本当にどこも入れそうにないということでした。
ないなら作ればいいじゃない…の育てる会。
中山清司先生や重松孝治先生の協力の元、一年間いろんな所の見学に行かせていただいて、TEACCH5デイのトレーニングセミナーも受講したスタッフと共に、児童デイサービスを始めたのが、今から14年前のことでした。その後、放課後等デイサービスの療育も始めました。
私たちが始めた療育ですから、もちろん自閉症に特化した療育です。構造化を取り入れた、見て分かる支援、親御さんも一緒に見ていただく形です。
親を共同治療者と位置付ける療育は、親の視点をもっているからこそ実現した療育機関です。
療育の目的は、たとえ障害があっても将来は、地域で働き自立していくことが出来る大人を目指しています。早い段階から自立を意識した療育です。
今は会ができた頃には幼かった子どもたちも、20年が経ち、療育のおかげもあって社会で働きはじめる子もどんどん出てきました。
○ そして、自立を目指す
次は地域で暮らす場がほしいということで、3年前には育てる会でグループホームを建設しました。
グループホームの名前は、「ほっぷ 1(ワン)」と言います。
ホップ→ステップ→ジャンプのほっぷです。
私たちのグループホームは、自立を目指す訓練ホームです。
ここを終の住処と考えるなら、これからたくさんのグループホームが必要になります。子どもたちは、どんどん大きくなりますから。
でも育てる会にはそんなに予算はありません。
そこで私たちは、ほっぷで丁寧に自立の為の訓練をして、すてっぷで自立度を高めて、じゃんぷは地域のアパートでの自立を目指していこうと考えています。
これは大きな夢です。全国でもこんな取り組みしているところはないかもしれません。
でも、地域で幸せに生きてほしい。みんなの中で、色んな支援者の中で、自由にのびのび生きていって欲しい。そんな夢を持って、私たちは、このグループホームを運営しているのです。
2年後には、ほっぷ 1 に続くすてっぷ 1 が建設予定です。すてっぷ 1 は、ワンルームアパートのような形態で設計しています。
お風呂もトイレも台所もあるタイプの部屋になります。
そして、すてっぷで、もう自立しても大丈夫となった人から順番に地域のアパートへと住み替えしていく予定です。
自閉症の人が、地域の中で普通の暮らしをという願いを実現するためのホームです。
親亡きあとも、こどもたちが地域で幸せに暮らし続けてくれることがわたしたちの夢です。夢は願い続ければ必ず叶う。そう思っている私たちです。
○ 最後に
こうして、次第に広がってきた私たち育てる会の活動ですが、その原点にあるのは子どもたちに幸せな生涯を送ってほしいという親の想いです。
そして、昔孤独で一人ぼっちだった私のような母親を、一人も作りたくない。それが、私が頑張っている理由です。
みんなで一緒に、一人残らず幸せになりたい。子どももお母さんも、そして、学校の先生方も・・・。だれも困ることのない岡山に…それが私たちの理想です。
そんなことを考えながら、育てる会を運営しています。
岡山県自閉症児を育てる会 http://sodaterukai.org/
てっちゃん通信 (我が家のホームページ) http://ww3.tiki.ne.jp/~teppey/
写真もいっぱい撮りました。楽しい会だったことが、よくわかると思います。
たくさん学んで、私たちのことも発表できて、今までのうちで一番充実した東京での研修でした。
お会いできた先生方、ご挨拶できなかった参加者の皆さん、多くのお名刺いただいた皆さん、この会報を送らせていただいて、ご挨拶に代えたいと思います。
できたら、賛助会員になってください。どうぞ、よろしくお願いします。
さて、一時も歩みを止めない育てる会は、9月16日(祝)に、第103回の自閉症啓発セミナーを行います。京都から平木真由美先生をお招きして、「自閉症スペクトラム児の性と生」〜幸せな人生を保障するために〜という講演会をおこないます。
詳しいことは、同封のチラシをご覧ください。
平木先生には何年か前からこの講演会をお願いしておりました。
先生のご都合と会場の確保が合致した今回やっと、念願叶って先生のお話を聞くことができます。
性の悩みは、思春期以降はもちろんのこと、小さいお子さんの時にもありますよね。
例えば、ついついチンチンを触ってしまうというような癖ができてしまったお子さんに、「だめでしょ。恥ずかしいでしょ」なんて、言って止めていませんか?
恥ずかしいからやめとこ・・・と思うでしょうか?
ASDの子には、難しいことだと思います。
どうして触ってしまうのか、どうしてこの行動が出てきたのかを考えてあげなければやめられないと思うのです。
小さいからと見ていていいのか、そのうちやめられるだろうと様子をみるのか、どうすればいいのでしょうか?
お母さんの中には、過剰な反応をしてしまって、かえってしつこいこだわりに発展させてしまう方もあるように思います。
ではどうすればいいのでしょうか、是非先生に質問をしてみたいと思います。
こういったお困りの内容をどんどんお寄せください。申込欄に質問の内容を書くところがありますので、併せてお書きください。
どなたからの質問かわからないようにしておりますのでご安心ください。
誰でも性の芽生えはやってきます。そんなとき、大慌てするのではなく、冷静に対応するためにも、是非小さい方のお母さんもおいでください。
まだお席はありますので、大丈夫ですよ。また、午後から先生を囲んでの座談会もあります。(座談会:正会員限定)
さて、木工教室が、例年のようにありました。
いつものように高梁市在住の木工作家川月清志先生に、指導いただいて、写真立てができあがりました。
とっても素敵なのができたので、後のページで紹介します。川月先生に木工教室をお願いしてから、何年になるでしょう。20作品ぐらいは仕上げてきたと思います。
哲平のグループホームにも、私たちの自宅にも、哲平が作った作品の数々が、飾られています。木の作品は、暖かくて使いやすくて、20年たっていても色あせない優しさに包まれるようです。
当日は、川月先生の奥様も手伝ってくださって、ありがたかったです。
お話変わって、ついに新居に引っ越しました。
7月22日に完成して引き渡された新居に、引っ越し業者を頼まないで、コツコツ荷物を運びました。
何往復かは、ぐんぐんキッズのワゴン車を使わせてもらいましたが、ほとんどは、我が愛車のフィットで運び込みました。
暑い中、汗を流し流しの引っ越しでした。
テレビとソファを運ぶのは、娘婿殿にお願いしました。
お盆の間は、長男も帰ってきたので、重いものは頼みました。そうやって次第に整った我が家です。引っ越し業者に頼んだら、○十万かかった引っ越しを、家族の協力の下やりきりました。
おめでとう!!
はじめ新しく買おうと思っていたソファーは、気に入ったものが見つからず、結局古いものを使うことにしました。
ですから新居の為に新たに買ったものは、食卓テーブルセットとテレビ台、冷蔵庫に洗濯機、それとクローゼットの中の収納容器だけでした。
すっきり暮らす為に、断捨離を同時にやりたいと考えました。
何しろ片付けが苦手な私です。新しい家には、「自分のこれからの人生に連れて行きたいものだけにしましょう」という断捨離の提唱者の方の弁の通りに、必要なものだけを選び選びの引っ越しでした。
本当に必要なものは、そんなに多くない。そう思いました。
タンスもいらない。食器棚も必要ない。下駄箱や本棚は、ついています。収納家具もいりません。
すっきりした状態を続けるのには、ものを持ちすぎないことだとつくづく思いました。
引っ越しと同時に断捨離と終活までやってのけたような気持ちになっております。
そもそも引っ越そうと思ったきっかけは、これまで住んでいたところが、バス停にも遠く、将来も自動車を手放すことができそうにない場所だったからでした。
高齢者の交通事故が多発しているのを見て、自分が加害者にはなりたくないというのが、私たち夫婦の思いでした。
住み慣れた我が家を去るのは、とてもつらい気持ちでしたが、気持ち切り替えて、新天地で頑張ります。
事務局から300メートルほどのところにあった自宅から、4キロほど離れた場所へ引っ越すことになりましたので、仕事場からは少し遠くなりましたが、ここはバス停まで、50メートルくらいです。スーパーマーケットも図書館も市役所もすぐ近く、大きな病院も歩いていける距離にあります。
自動車を手放す条件は、整いました。今はまだ育てる会のお仕事をしているので車は必要ですが、75歳で免許返納が、目標です。
さて、新しい家は、これまでの家と比べると、うんと小さくて夫婦二人と時々帰ってくる哲平の部屋があるだけです。
そして、2階にリビングやお風呂があるタイプです。
周りの視線を気にすることなく窓を開けられるのが、いいですね。
引っ越しに伴って、自分自身のためにいろいろ環境を整えています。
例えば、戸棚がたくさんあるのですが、これが押して開けるタイプと引いて開けるタイプと二通りあります。注文したときには、気づきませんでした。
それで 「押す」、「引く」 と記号を扉に書きました。
視覚支援の構造化です。
また、タオルをどこへ入れたのか、服をどこへしまったのか、マカロニの買い置きはどこにあるのか、一つ一つの扉に書き込みました。友人からこんなことを聞きました。
最近頑張って断捨離して、いろんな場所をすっきりと片付けたそうです。
ところが、前と変わった収納場所が、どうしても覚えられないというのです。彼女は私より何歳か年上の人です。
そういえば私もごみ箱の位置を変えたりしたとき、ついつい前のごみ箱のあった場所へ行ってから、「ああ、そうだった」と何度もなんども失敗をしたものでした。
新しいことはなかなか覚えられない私たちの世代の特性を考慮して、構造化というわけです。
今度の家では、探し物をしなくていいような暮らしがしたいと思います。時間の使い方は、命の使い方と言います。
探し物で時間を無駄にしたくないものです。限りある命ですからね。
さて、そんな新居での哲平の反応はというと、新しい家にすんなりと慣れて、自分の部屋へコレクションであるマンガ本やDVDなどを書棚いっぱいに運び込んでご満悦です。
ところが、週末のある土曜日の朝のことです。
私たちが眠っていると、誰かが掃除機をかけています。時計を見るとまだ6時半です。
こんな時間に掃除機なんて、誰だ!!と眠い目をこすりながら、起き出すと、哲平がグループホームから帰ってきていて、掃除機をせっせとかけているのです。
熱心なことですが、せっかくのお休みです。
ゆっくり寝させてほしいもんだと思いつつ、仕方なく起き出す私たちでした。
グループホームは、川を挟んで200メートルほどのところにあるので、哲平にとっては便利なところに自宅が引っ越してきたことになる訳です。
何しろ毎朝哲平の乗るバス停より我が家の方が近い、という立地です。
平日の早朝、通勤途中にやってきて、自分でセットしたビデオの録画がちゃんと撮れているか確認しに来たりもしたそうです。
二日続けて新しい家での録画状況を確かめると、哲平はそれからは安心したのでしょう、家に寄ることはなくなっているようです。
でも、土曜の帰宅はあいかわらず早くて...。少しゆっくりしたい私たちです、やれやれ。
秋の訪れとともに、九州で雨がたくさん降っているようです。今日もニュースで車が、水の中で立ち往生している様子が映し出されていました。
九州地方の方、お大事になさってくださいね。早く雨がやみますようにと祈っているばかりの私です。
地震に津波に大雨による災害と大変な災害国日本ですが、準備をしっかり整えて、自分に出来ることをしっかりしていきたいと思います。
災害時の備蓄や装備を本気で今年は整えたいと思います。まあいいか、と思わず、何とかなると考えず、本気な取り組みをしていきましょう。
皆さん、それでは、また来月号で、ごきげんよう・・・、さようなら。
(鳥羽 美千子)
カンファレンス日本の報告
「自閉症カンファレンスNIPPON 2019 ~TEACCHモデルに学ぶ実践研究会~」が、2019年8月24日(土)・25日(日)に、東京早稲田大学早稲田キャンパスにて開催されました。
そこでの学びを簡単に報告させていただきます。
最初にオープニング映像として、メジボフ先生や佐々木正美先生の動画が流れました。
「支援者として忘れないでほしいことは、ASDの人への理解、忍耐強く取り組み続ける姿勢、そしてASDのある人を好きであることであることです」
「一人一人ASDの人はハッキリ違うんです。だからこそ、一人一人に合わせた支援をし、一人一人を理解することが大切です」
「ASDの人がASDのまま学び、働き、生きていく。共生生活をするために。それが大事」
など、あの時から時間が経っても決して色あせることない素敵なメッセージに胸が熱くなりました。
そして、内山登紀夫先生の開会挨拶から始まりました。
「このカンファレンスは、ショプラー教授と佐々木先生の深い友情で2002年にスタートしました。このカンファレンスに参加してくれているということは、きっとASDの人や支援に興味のある人たちだと思います。この2日間を通して、ぜひASDの人が好きな人たちになってほしいです。
講演会などの話をただ聞くだけでなく、参加されている方々で色々な話をしあって情報交換をし、本音で話し合える会にしてほしいです。
そんな会をきっと天国から佐々木先生も見守ってくださっていると思います」
そんなお話を聞いていると、ショプラー先生と佐々木先生が大切にしていたことが、こうしてたくさんの長年の実践や先生方や参加者一人一人に届いているんだなと感じられ、本当にお二人が空から見てくださっているような気持ちになって涙が出そうになりました。
TEACCHの本場での実践については、今回日本初来日のTEACCH臨床ディレクター クリスチナ・オラホバッツ先生による「自閉症の人のラーニングスタイル 〜自閉症の人が見ている世界〜」および「TEACCH・進化し続ける支援モデル 〜最新の研究と実践から〜」のお話がありました。
そこでは、支援の最初のゴールは、@エンゲージメント(問題行動を減らし、より楽しく生活できる) A新しいスキルを学ぶ(日常生活スキルを含む) B行動の問題を減らす(機能性が上がり、地域で生活できることにつながる)という視点であること。
構造化を使って何を教えるかということが重要であり、構造化を使わせることが目的なのではないこと。構造化された指導法は、混乱と不安を減らし、開始と自立を高め、行動の問題を減らし、柔軟性を増すことができるからこそ、その安心で分かりやすい形で、様々なことを学んでいけるようにする、そのことが大事であること。
介入のターゲットは、@学習スタイル Aソーシャルエンゲージメントスキル B並存疾患としての不安や感情コントロールであり、それぞれが特性から来るターゲットであること。
その他に、藤村出先生・諏訪利明先生・村松陽子先生・中山清司先生による「自閉症支援の黒船から30年 〜ライフスパンモデルのこれから〜」のお話、安倍陽子先生による「基礎からの構造化」のお話、大屋滋さん・鳥羽代表など全国の親を代表した「私たちの実践 〜自閉症の人が豊かに生活できる社会をめざして〜」のお話、内山登紀夫先生・幸田栄先生からの「自閉症の人の支援でもっとも大切なこと 〜コアバリュー2019〜」のお話、など、国内外のTEACCHに学び、実践している人たちの発表を多く聞くことができました。
カンファレンスに参加させていただいて強く感じたこととしては、TEACCHの実践を心掛けている人たちの「彼らの周りにいる人たちと自ら連携を取ろう、繋がりあおうとする謙虚さと柔軟性」と、「ASDの方本人から常に学ぼうとする姿勢」です。
ASDご本人と関わる時に、支援がうまくいかないのを、障害のあるその人のせいにするのではなく、「分かるような伝え方をできていないのではないか」と自分の支援を振り返り、気づくことの大切さを、以前私はTEACCHの先生方から教えていただきました。
それと同じように、ご家族はもちろんのこと、意見が異なる人がいた時に「あの人は分かってくれない」と嘆くのではなく、ASDの人への支援同様、「この方が理解してくれないのは、この方のせいではなく、こちらの伝え方のせいではないか」「一緒に考えていってもらえるよう、こちらから歩み寄ることはできないか」という視点を持つ大切さを、今回改めて教えていただきました。
TEACCHの本場・ノースカロライナでは、素晴らしい実践をしておられるからこそ、増え続けている子どもたちやニーズに直接支援だけでは対応できなくなっているそうです。
そこで、トレーニングセミナーを中心に、積極的に啓発活動をし、ASDの人たちの支援が、ノースカロライナのどこにいても受けられるように、取り組むことのできる人の総数を増やそうとしているそうです。
だからこそ、家族はもちろんのこと、ASDを取り囲む人たちとの連携はとても重要なのだと思います。
「ASDご本人のためにどうすれば協働できるだろうか」と考え、自ら近づこうとする。全てに共通するこのような姿勢を学ぶことこそ、TEACCHを実践したいと考える際忘れてはいけない視点なのかもしれないと感じました。
今回参加させていただき、もう一つ強く感じたことは、会場にいる方たちの熱量です。
実行委員会の先生方の30年前と今現在の思いを聞いて、それをさらに強く感じました。
あの頃から、TEACCHは変わらず、ASD支援に大切なことをずっと繰り返し言い続けておられます。でも、まだまだ日本では実践が追い付いていないのが現状です。
良い講演会があり、実践があり、本があり、学ぶ機会は30年前と比べられないほど増えています。
それでも難しい。まだまだ分からない。悩むことばかりでしたが、実行委員会の先生方も「僕たちも分かるようになったのは、10年20年かけてきたからですよ」
「まだまだ学びの途中だけど、それでも何度も何度も実践してきたから、少しずつ分かるようになってきたんです」と言っておられました。
「そうか、こんなに素晴らしい先生方でも、10年20年かかって、実践の中から少しずつTEACCHを理解して、支援ができるようになってきたんだ」という安心感と、「私たちもASDの方たちや周りの人たちと一緒に学び続ければ、いつかこんな風な先生方のように、優しく暖かい支援ができるようになっていくのかもしれない」という将来への希望を、会場にいたたくさんの参加者が感じ、たくさんの元気をいただいたように思いました。
諏訪先生が発表の中でお話されていた
「ASDの人のASDらしい姿を見て、それに対して困っておられるご家族とお話している時、私たちは困ったという気持ちには丁寧に向き合ってお話します。でもね、本気では心配したり、どうしようもないとは思っていないんです。だって、ASDの人たちに合わせた支援をしてあげれば、きっと何とかなるっていうことを、僕たち支援者はもうすでに知っているから。だから、ご家族の気持ちには寄り添いながら、しっかりサポートしてあげて、『大丈夫でしょう?』と伝えてあげたいんです」
というメッセージに、私はまた一つ感謝と元気をいただいたように思います。
この岡山で、少しでもASDの人たちの力になれる支援者になれるよう、私も実践を続けながら、つながりあいながら、頑張っていきたいと思います。
主催団体の朝日新聞厚生文化事業団の皆様、そして実行委員会の皆様、ありがとうございました。
(松田 紗代)
育てる会 行事の案内について 行事の「案内」については、ホームページの容量が少なくなってきましたので、最新の行事の 案内以外の終わった行事のお知らせは「活動報告」に記載させていただき、ホームページでは 「報告」だけとさせていただきます m(_ _)m |
18歳の春を目指すクラブ 報告
令和元年8月11日(日)、18歳の春を目指すクラブ主催で、川崎医療福祉大学 講師の小田桐早苗先生を赤磐市の高月公民館にお迎えして、『本人と出来事を振りかえるアプローチ〜どうしてそう思ったの? を書きながら整理する〜』と題しての勉強会を開催しました。
小田桐先生から、コミック会話の技法を使って、視覚的に子どもの気持ちや相手の思いを整理し、お互いを理解する方法を教えていただきとても参考になりました。
参加された保護者のみなさんからの感想が届いていますので紹介します。
○ 先生がコミック会話を使うことで、ASDの人が「こんなに理解してもらったのは初めてだ」ととても共感してもらったことに喜び、宝物にしていると伺い、胸がいっぱいになりました。楽しかったことや一緒に経験したこと、良かったことからコミック会話に取り組んでいきたいです。
○ 話を聞くとき、否定ばかりしていたと反省。今後の良好な親子関係を構築するには、「今」が大切、今、楽しい事、子どもが何かを発信できるような親でありたいと思います。まずは自分の感情をコントロールしながら「淡々と」話を聞くことを頑張ろうと思います。
○ 特性を改めて学んで、コミック会話の勉強をしてみて、ついつい結果を求めてしまいがちですが、たくさんの不安感を持った子供たちに安心感を与えて自己理解を促すことが大切なんだと分かりました。
○ うちの子は何が言いたかったのか分からないことがよくあるので、聞き流してしまうことがよくあります。人とのやりとりは楽しいなと思えるように、私が土台を作っていきたいなと思いました。うちの子にぴったりなのかもと思うと、帰ってやってみたいと思いました。
○ ASDの子は、心の中で本当は思っていることが9割埋まってしまっていると聞き、娘の心の中をできるだけ知りたいし、言って欲しいと思いました。そのときに、自分は果たして聞き上手な母なのかと?と自分を振りかえるいい機会になりました。聞き上手、受け止め上手な母でいたい、なりたいと思います。コミックを描くのは、イメージしていたより難しかったですが、慣れてきたら描けそうです。
○ 振りかえりをするときにコミック会話を用いていましたが、手順を追ってすることができていなかったので、絵画のみ用いる、色を使うなど工夫して使っていきたいと思いました。子どもたちと楽しく会話ができるように、コミュニケーションの手段として取り入れていきたいと思います。
はやぶさの会の 報告
自閉スペクトラム症のお友達作りの会、「はやぶさの会」です。メンバーは、小学生の男の子を中心に活動しています。
台風一過で少し涼しくなってきた8月17日(土)、岡山市内のバイキングのお店で8月のはやぶさの会を開催しました。
久しぶりでテンションMAXな子、少し緊張顏の子、夏休みにあったことを話したいけど恥ずかしくてモジモジする子、アイスの魔改造をして食べきろうと頑張る子など、相変わらず多彩なメンバーでした。
お母さんたちはそんな子どもたちを見守りながら、夏休みの宿題の話や出かけた際のエピソードなどをのんびり話しながら、あっという間の時間でした。
参加したメンバーからの感想です。
「直前に親都合でお店の変更をしたので、『えー??〇〇のお店に行きたかったなー』とぼやいたりもしていましたが、久しぶりの皆に会った瞬間『よお!!』と笑顔で声をかけていて、すっかり友達になれているんだなと嬉しく思いました。
バイキングでは、付きっきりで見て回らなくても、子ども同士で料理を取りに行ったり、かき氷やアイスを作ったり、ちょっとよくないことをしている時には『それはやめといた方がいいんじゃないん?』と注意しあったり、成長を感じました。
夏休みの話をする際には、何もないと『別に…』と言っていたにも関わらず、写真を見せると、『僕も映画行ったよ!』『アマゾン展見たわ』『これ、面白かった?』など、積極的に思い出したことを話しだす姿を見て、やっぱりこういう思い出すヒントになるものがあると便利だなと感じました。
最後の方、母たちが話に夢中になっている時間には、キッズコーナーのアニメを皆で見に行っていましたが『小学生より小さい人だけ』の表示を見て、律儀に外でずらっと並んで見ている姿は微笑ましかったです。次回も楽しみです」
「はやぶさの会になかなか参加できていないからか、息子本人は直前まで楽しみにしていても、皆の中に入りづらいらしく、『緊張した』と話していました。慣れたお店だったので、席についてしまえば、本人が自由に食べたいものを取りに行ったり食べたりできて良かったです。
次は外で集まるので、本人がどこまで皆と行動できるか気がかりです。次回どうしたらいいかなと思いました」
「久しぶりのはやぶさの会でした。子どもたちはラーメンを一緒に注文したり、かき氷を一緒にしたり、少しテンションが上がりすぎた場面もありましたが、楽しく皆で食事ができました!夏休みの話では、他の友達の持ってきた写真を見ながら、興味を持つこともできていました。
『自分のこと、聞いて聞いて!』だけじゃなくて、皆すごいねと思いました。待つのが苦手なのでそれぞれに漫画に没頭したりしましたが、皆で行った感はとってもありました。次回も楽しみです」
それぞれに成長が見られて、嬉しいです。初参加の方も、「参加してみたい」「友達とか興味あるな」という子であれば歓迎です。一度体験してみてください。お待ちしていますよ。
(担当:M)
木工教室 報告
令和元年8月3日(土)、岡山県生涯学習センターにおいて、高梁市の木工作家 川月清志先生を講師にお迎えし、毎年恒例の木工教室を開催しました。
今年の作品はフォトスタンドで、写真が見える場所を思い思いに糸ノコでくり抜いて素敵な写真立てができあがりました。
準備万全に写真を持参している方もいて、早速イメージ通りの作品に仕上がりました。
お母さんコラム
小3・ASDの診断のある地域の小学校の特別支援学級(自閉症・情緒学級)に通う息子と、2歳・ASDの診断のある地域の保育園に通う娘を持つ母が、普段の我が子との日々をつれづれに書いているコーナーです。どうぞ気軽な気持ちで読んでください。
今月は、息子のエピソードをお話します。
先日、祖父が体調不良で急遽病院に行くということがありました。
その日、学童保育の後、祖父母宅に行くことになっていたのですが、私がその電話を受けた際、電話をしている横から、息子は「え?何?」と何やら心配顏の息子。
「どうしたの?」と聞いてくるので、「じいじ(祖父)が、体調が悪くて今から病院に行くんだって。大変だわ」とあわあわしていると、「へー。あ!そういえば、今日のご飯とかどうするん?」と聞いてきます。
「は?そんなのはどうとでもなるじゃろ。それより、じいじ(祖父)が心配じゃないの?」と聞くと、「病院に行くんだったら大丈夫じゃん。それより、ご飯のこととかお迎えのこととかは大変なことがあると忘れられそうだから、ぼくが自分で心配しとるんよ」と言います。
さ、さすがだ。ADOS−2の重度さんは違う・・・と愕然としている私の表情を見て、「一応、じいじ(祖父)の心配もしとるよ?」とは言ってくれました(^^;)
また、夏休みのドリルで間違いがあった際、「直しなさいね」と渡すと、ささっと直して持ってきた息子。そばに置いてあったので、「まさかとは思うけど・・・、答え見てやっていないよね?」と聞くと、「え・・・?」と言いながら目をそらします。
「答え見てやったら、意味がないじゃろ。やり直し!」と言うと、「なんで?!」と言うので、「間違えていることは、丸がついていないことで分かるけど、どう間違えたか考えないと勉強にならないじゃん」と言うと、「そもそも、間違えているんだから、答え見なかったら答えは一生分からんじゃん!!」と。
た、確かにそうなんだけど・・・。となり、私が隣で一緒に教えながらすることで、何とか無事に直しをすることができました。
こんな風に、ユニークボーイな息子との夏休みでした。
忙しい中、笑ったり呆れたり怒ったり脱力したり、なかなか濃い時間を過ごすことができました。
小3の夏休みは今年しかありませんもんね。2学期も面白エピソードには事欠かない確信だけがあります。次回もお楽しみに!
(cyacya)
ぐんぐん だより |
ぐんぐんぴっぴ (就学前)
長かった夏休みが終わり、園生活が始まります。
久しぶりに先生やお友達と会えるのは嬉しいですね!
新学期をスムーズに迎えるために、夏休み中から新学期に備えて、生活リズムを整えておくことや園生活の見通しを子供と再確認するなど、子供に合わせて準備しておくといいですね。
今回は、今年の5月から来所しているAちゃんのお話をしたいと思います。
初めて来所した日、靴を脱ぐ場所で動けなくなってしまい、お母さんから離れられませんでした。
しばらく経ってからお母さんと入室して、支援者が「ここに水筒とおやつを置いてね」「ここがAちゃんのバッグを置くところだよ」と説明しながら一緒に準備していきました。
翌週の2回目の療育でも初回と同じような姿が見られました。
なぜAちゃんが入室するのが難しいのか、お母さんにお尋ねしてみました。
すると、「新しい場所や人に対して緊張が強くて、いつもこんな感じになるんですよ。」と教えて頂きました。
Aちゃんが緊張しているのは、Aちゃんの表情からも伝わってきました。
そうだとしたら、ぴっぴのメンバーや環境に慣れたらスムーズに入室できるのか、いつになったら人や場所に慣れるのか、また緊張や不安がなくなるのか・・・それは次回? いや、2カ月後? いつかきっと自分でできるようになるだろうと待っていいればいいのか・・・色々と考えました。
と同時に、緊張しているだけが理由なのかという疑問も湧いてきました。
そこで、お母さんにお家での様子をお聞きすることにしました。
支援者:「お家では自分のお片づけとかに取り組んだりしていますか?」
母 :「はい、取り組んでいます」
支援者:「素晴らしいですね。お母さんがお手伝いしてあげているのですか?」
母 :「いいえ、自分で片付けしています。」
支援者:「何か工夫されていることはありますか?」
母 :「はい、工夫しています。カゴを並べて、何をどこに片付ければいいのかがAちゃんに分かるようにしています。
最初はお手伝いをしていましたが、今ではAちゃ んだけでできるようになりました。」
と、家庭でAちゃんが自分で荷物の片づけを行っていることが分かりました。
お母さんからのお話をお聞きすることができ、スムーズに入室や荷物の片づけができないのは、新しい環境に慣れていないだけが理由ではないかもしれない。
Aちゃんが入室してから何をどのようにするのかが分かりにくかったのかもしれないと考えるようになりました。
そこで、お母さんと支援者でAちゃんの特性(人や新しい環境や変化に対応するのが苦手、何をしていいのか分からない状況が苦手)について話し合い、どのような支援をすればAちゃんが自分で入室できるのかを考えました。
Aちゃんの家庭での片付けの方法からヒントをもらって、緊張したり、不安な時でもAちゃんが一目で何をどこに片付ければいいのかを示すことができるように、AちゃんのロッカーにAちゃんの顔写真をつけ、カバンや水筒、おやつの写真を入れ先に貼りました。
Aちゃんが来所した際にロッカーを見せながら、説明をしました。
すると、Aちゃんは少し時間はかかりましたが、自分から入室しようとする姿が見られ、一つ一つを片付ける時に、必要だった声掛けが、入れ先の写真を手掛かりに自分から片付けられたのです。
その時の、「自分でできた!」と晴れやかなAちゃんの表情を見て、お母さんと一緒に喜び合う事が出来ました。
ぐんぐんぴっぴでは、「保護者と一緒に考える」という事を日々大切に療育をしています。
今回のように、Aちゃんの療育や家庭での様子やAちゃんの学習スタイルから、保護者と一緒に話し合い、本人にとって分かり易い環境設定や支援を考える事が出来たことを嬉しく思います。
これからも、「保護者と一緒に考える」ことを大切にしていきたいと思います。
ぐんぐんぴっぴスタッフ F
赤磐ぐんぐん (就学前)
8月、外に出るのがためらわれるほど暑い日が続きました。夏休み中に海やプールに行かれた人も多かったのではないでしょうか。
岡山は日帰りで行ける海やプール、それに川や山といった自然の宝庫です。
みなさんはどんなお出かけをされましたか?
中には飛行機や新幹線に乗って、遠くのおじいちゃん、おばあちゃんのお家に行かれた方も多いのではないでしょうか。
でも、これってお家のひとにとっても、子どもさん本人にとっても結構大変なイベントなのでは・・・?と思い、数人のお母さんに様子を聞いてみました。
「飛行機は小さい頃から慣れているので、大丈夫。乗ったらすぐに寝てくれる」
「大人は怖いくらいの揺れも本人は楽しんでいる」
「次に何に乗るか、何時になったら着くかずっと気になってたずねていた」
「結構遠かった、とおばあちゃんに話していた」
など、お子さんの成長も垣間見ながら聞かせていただきました。
「どうしても乗らないといけない飛行機が怖い物ではなく楽しいアトラクションみたいに感じているなんて、超ラッキー!(な性格)ですね」
「次に何に乗るか、どれだけ乗ったら着くかなど、先の見通しがあれば不安が解消されるのであれば、絵カードやスケジュールなどが有効に使えそうですね」
などと、帰省を通して気づけたことを一緒に振り返りました。
帰省という大きなイベントに対して心配ごとがあるときほど、何とかいったときに安堵して終えてしまうことが多いので、今一度「何が有効だったのか」を考えるチャンスにしていただきたいと思います。
うまくいかなかったときも、もちろん何が足りなかったかを考えたいですね。事前の準備により、子どもたちの混乱をぐっと減らせると思います。
ぜひともぐんぐんで使っている手立てを、こうした機会にこそいかしていきましょう。
秋になったら年長さんはいよいよ、小学校に向けての準備が大詰めですね。どんなときもその子のためを思い、大人は熟考されると思います。
選択肢の中で調べて悩んで相談して選び取った結果は、今の親子にとってベターな選択なのだと思います。しかし、入学以降に想像を超える現実に上手くいかない経験をしたりしんどさを感じたりしたら、またそこから考えて起動修正すればいいとも思います。
とにかく今は決めた道に向かって、ベストを尽くしていきましょう!
私の経験として、昔、小学校の先生が懇談で「学校でよく頑張っていれば家で暴れても問題はないと思います」と言われたことがあります。
確かに家の外で適切に振る舞えているのだから「良し」と考えてもいいのかもしれません。
『学校での頑張りは人並み以上の努力で保たれたものかもしれない・・・ともすると疲れ果てて家で暴れている?』
『そうだとすれば、「良し」と思って見逃さないで、学校での過ごし方を見直す必要があるのでは?』
と、先生の言葉から子どもの置かれた立場を様々に想像したりしました。
そうしたひずみは、遅れて表面化することも多く、小学校生活の疲れが中学校で出てくる話も耳にしたりします。
何しろ、根性論だけではやっていけないのがこの世界。どうか、長い目で見て、分かりやすく言えば大人になった時に、何を学んでいて欲しいか、という観点に立ち、小学校の門をくぐって欲しいと思います。
そのためにはできるだけ選択肢をたくさん持ち、子どもが渡れそうな梯子をたくさんかけてあげることも親としてできることなのではないでしょうか。
育てる会には先輩保護者もたくさんいます。そして我々も今できるベストを尽くしお手伝いはいたします。
どうぞ、小学校入学という大きな節目を一緒に考えていきましょう。
ぐんぐんスタッフ O
ぐんぐんキッズ (小1〜)
長いと思っていた夏休みも、あっという間に終わりに近づいてきました。
今年の夏休み、みなさんにとっては長い夏休みでしたか?それとも、短い夏休みだったでしょうか?
毎年、終わりが近づいてくると、「あっという間の夏休みだったな、、、」と思う事が多いのですが、今年は終わりが見えてきた今も、「あっという間だったな」とはあまり感じていません。
私にとっては、今年の夏休みはとても長く感じられました。きっと、いろんなことが盛りだくさんの夏休みだったのでそう感じているのではないかなと思っています。
夏バテもせずこの夏も乗り越えることができそうでホッとしています^^
キッズの夏休み、前回の会報では「暑中見舞いのはがき作り」と「宿題の時間」について紹介しましたが、今年の夏休みは、そのほかの活動として、毎年恒例になっている、ほっかほっか亭でのお弁当の注文も行いました。
今年は、5人のお子さんがPECSブックを持って行って自分でお弁当を注文しました。
療育の中ではPECSを使う機会もありますが、生活場面で使う機会が少ないことが課題です。PECSを使ったコミュニケーションの機会を増やしてくことで、PECSが子どもたちのコミュニケーションにとってとても役に立つものになってほしいと思っています。
その他には、「絵の具を使ったお絵かき」絵の具の使い方、片づけの仕方も練習しました。
「モスバーガーでお昼ごはん」、「キッズ夏祭り」「図書館で本を借りる」「お弁当作り」などの活動も行いました。
「お弁当作り」では、おにぎりを作り、ウィンナーとポテトを焼いておかずも作り、自分が持ってきたお弁当箱に詰めて、自分が食べるお弁当を作りました。
この活動は、手順書を使って行っています。1年生にとっては、多くの手順が書かれている手順書を見ての活動はキッズでははじめてでした。
近くにスタッフがいると、上手に援助を求めてくるお子さんもいますが、今日の目的は、手順書を見ながら自分で作ることです。
子どもが手順書を見ずに聞いてきた時には、まずは手順書を見ることを促します。その時には、言葉かけは少なく、手順書を指さして注目を向けさせた後に、「これ見てやってみよう」など、シンプルな言葉かけを添えます。
言葉かけが多くなりすぎると、何を言われているかが分からなくなって余計に混乱してしまうお子さんもいるからです。
視覚的な手掛かりとして手順書を作ったのであれば、それにどうやったら子どもが注目してそれを見ながらやってみようと思えるかを考えていく必要があります。
手順書を見て取り組むことをどう教えるかを考える必要があるということです。
実際に手順書を見て作ってみて、字の大きさや、文字の量など、個別な配慮が不十分なことも見えてきたのでその点は次回の活動の時に作る手順書では改良をしていこうと思っています。
お弁当作りの活動を一週間通して行い、それぞれのお子さんの取り組み具合を見てきましたが、2年生以上の子どもたちは手順書を見て自発的に動けるお子さんも増えていて成長を感じました。
1年生のお子さんも、はじめての活動でしたがとても頑張って取り組んでいて、完成したお弁当をおいしそうにためている姿がとてもかわいかったです。
この会報が皆さんのお手元に届くころには夏休みが終わり2学期がスタートしている頃でしょう。
2学期のスタートは順調でしょうか?まだ暑さも残っています。学校に行くことがしんどいと感じているお子さんもいるかもしれませんね。少しずつ、ペースを戻していきましょう。
まだまだ暑い日が続きます。
皆さんお体に気をつけて過ごしてくださいね。
ぐんぐんキッズ K
以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
なお会報は正会員・賛助会員の方へは郵送でお届けしています。
もしご希望の方がおられましたら、ぜひ賛助会員に申し込みをお願いします。年会費 3000円です。
応援よろしくお願いします。
申込み方法の詳細は「育てる会 HP」に記載しています。