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令和2年2月29日

 

 第262号 

NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会

 262号 目次

     新型コロナウイルスのてんやわんや

     自閉症啓発セミナーの報告

     即実践講座・キッズルーム・支援ツール勉強会・AAO活動 報告

     親子バーベキューの会 ・水泳教室・サッカースポーツクラブ 中止のお知らせ

     はやぶさの会・OHAの会 中止のお知らせ

     お母さんコラム

     私のお薦め本コーナー
         「地域に生きて 親亡き後の支援を考える

     近隣の講演会等のご案内

     ぐんぐんだより
        ぐんぐんぴっぴ・赤磐ぐんぐん・ぐんぐんキッズ 

     グループホーム寄付 お礼

 

風に乗って雪が舞うような日があるかと思えば、コートもいらないような小春日和の日もあったりします。晴れた日には、事務局近くの休耕田では、ひばりがピーピーと泣いている日もあります。
ひばりって春に鳴く鳥のイメージですが、今は2月。一年中で一番寒いはずの季節です。
異常気象とコロナウイルスで、てんやわんやの事務局からこの会報をお届けいたします。
てんやわんやの理由は、やはりコロナウイルスです。
3月に行われる育てる会のイベントをすべてキャンセルします。
皆さん、育てる会の行事は、すべて延期もしくは、中止にします。
以下の通りになりますので、お間違いのないようによろしくお願いいたします。
コロナウイルスの流行に伴い、以下のイベントの中止・延期を決定いたしました。
イベント 延期後の日程
延期 正会員対象 親子バーベキュー 未定
現場の先生のための即実践講座(梅永先生)     2020年5月22日(金)
はやぶさの会 工場見学 未定
発達障害支援夜間連続講座 赤磐市 (諏訪先生) DVD送付       
中止 サッカークラブ ボランティアさんお別れ会 中止
3月度 水泳教室 中止
3月度 OHAの会 中止
状況により、延期後の日程が更に変更になる場合もございますので、予めご了承ください。
先日は京都で行われたTEACCHコラボレーションセミナーに参加してきました。
ところが、一週間後の倉敷市川崎医療福祉大学で開催予定だったTEACCHのトピックセミナーは、中止になってしまいました。
とても楽しみにしていただけにショックも大きかったのですが、よくよく考えてみると育てる会ものんびりしていられないことに気が付いたという訳です。
上記のように山のような行事を抱える我が育てる会です。
室内で行われるような行事の自粛と、飲食を伴うような行事もやめた方がいいとのお達しが、政府の方からあったようです。
行事の主催者としての責任もありますので、涙を呑んで行事の自粛に踏み切りました。
行事の中には、東京から来ていただく梅永先生の即実践講座の最終回があります。
同じく赤磐市と共同で開催している諏訪先生の実践講座 in 赤磐の最終回もあって、早くお知らせをしなければ大混乱となる事は必至です。
今回は、折よく会報の発送と重なったので、お知らせを合わせて行っています。
3月中の育てる会の行事は、すべて中止いたします。
皆さん、お間違えのないように、気をつけてください。
また、梅永先生の即実践講座につきましては、一応延期の期日はお伝えしていますが、今後のコロナの推移によっては、再びの延期も考えられますので、今後は育てる会のホームページをご覧ください。
逐一変更はお知らせいたします。

さて、今日は何の話をしましょうか・・・。
そうそう、写真をご覧ください。
この写真は、我が家の食卓の近くの窓の上に貼っている紙です。
哲平は、人にものを頼む時、「ジュース!」というように単語だけで要求したり、時には、「ジュース飲む」というように単語と動詞をつなげて二語文で言うことが多いのです。
でも「ジュースを飲む」は自分が飲むという意味であって、人に「ジュースをください」というような要求ではないですよね。
しかも誰に頼んでいるのかもわからないし、急に「ジュース飲む」といわれてもね〜。
それで窓の上にこんな形の呼びかけるための紙を用意しました。「ジュース」と言ったときには、返事をせずにこの紙を指さします。
すると「お母さん、ジュースをください」となぜか正確に言える哲平です。素晴らしい!!
この紙を用意してから2週間。ちゃんとお願いが出来るようになりつつある哲平は、現在もう32歳です。
そして、まだまだ成長し続ける成人期です。

そんな哲平は、歯磨きが少し雑になっているとのグループホームの世話人さんからのご指摘がありました。
それで、母が考えたのは、スマートフォンの活用です。
16枚の歯磨きの手順書を録画しながら10数えるという動画を作りました。
グループホームには長年使っている手順書があるのですが、近頃はあまり手順書を見ないらしく、“手を抜いている”とのご指摘です。
それで録画したものを再生する形なら、時間短縮することなく、ちゃんと時間通りの歯磨きが出来ると考えました。効果てきめん。今は、きっちり歯磨きが出来ています。
うまくいかなくなったら、再構造化ですよね。
今までは、視覚的にどこを磨けばいいかは伝えていたけれど、時間を伝えてはいなかった訳です。
それでだんだんテキトーになっていったのでしょう。
今度は、どこをどれくらいの時間磨けばいいかを明確に示すことが出来ました。
うまくいかないときは、教え方が悪いと考えて、改善すればいいだけです。
今は、ばっちりきれいに磨けている哲平です。

さて、お話し変わります。
最近の電化製品は、いろんな音がします。
冷蔵庫を開けて物を出し入れしていると、「早く閉めなさい」といわんばかりに冷蔵庫がピーピー鳴ります。
洗濯機は、スイッチを入れると「いつもお洗濯ご苦労様です」とまず挨拶してくれます。そして洗剤の量を教えてくれます。実際にその洗剤量が正しいのかどうか、まだ実際に検証したことはないのですが、機械を信じて洗剤を決められたケースに入れてスタートします。
するとあと何分でできあがりますと、表示が出てきます。洗濯が終わりそうな時間になると、「残り3分でお洗濯が終わります」終わればちゃんと、「お洗濯が終わりました」と教えてくれます。
台所では、コーヒーメーカーと炊飯器とポットが並んでおいてあります。ヨーグルトメーカーもあるので、どれが音を出しているのか、よほど気をつけていないと、音の判別は容易ではありません。
これに加えてスマホのメール着信音やラインの着信音があります。
目覚ましやお風呂の準備が出来たことをお知らせしてくれる音、玄関のチャイムから電話の音、いろんな音の洪水の中で暮らしている私です。
新しい家に越したので、洗濯機と冷蔵庫が新しくなりました。スマホに変えたのでそれもいろんな音がします。玄関のチャイムの音も今までとは違います。ちっとも覚えられない私です。
ピンポーンとなると、今どこでなった??と探し回るのですが、わからないこともあります。
「まあいいか」とそのままにしてしまうことも多い毎日です。ああ〜、静かな家電が欲しい!!
最近物忘れが多い私です。
先日は、夕食にお魚を焼いたのに出すのを忘れて、次の日まですっかり忘れていたということがありました。
食べながら物足りないとも思わないというのが、衝撃でした。
ちょくちょく忘れる私ですが、今日は、アイロンがつけっぱなしになっているのに気がつきました。
このアイロンを使ったのは、誰でしょう?? 
今回は、私ではないことだけは確かです。 二人暮らしなので、犯人は・・・・、アイロンだけは、危ないので気をつけたいものです。
私は、朝の連続テレビ小説を毎日見ています。「スカーレット」だけではなくBSで「おしん」もやっているので、録画をして楽しんでいます。
「おしん」も終盤近くなって、主人公のおしん役の乙羽信子も、ずいぶん年寄り風になってきました。
以下劇中の会話です。
「お母さん、休んでてください。たまのお休みくらいゆっくりなさらないと・・、なんだかんだ言ってお母さんももう歳なんだから・・・」
と言われているそのおしんの年が・・・、67歳というのです!
髪もひっつめ頭にして、おばあさん然としたおしんです。
今から何年前のドラマなんでしょう? 67歳ってそんな年寄りなんでしょうか?
私、現在67歳。もうすぐ68歳になりますよ。 失礼しちゃう!!
でも、物忘れも多く、勉強したことはすぐに消えて行ってしまうので、やっぱり歳ですかね。頑張らなくちゃ〜。

さて、TEACCHのコラボレーションセミナーは、2月22日〜23日に京都産業会館ホールで行われました。
ノースカロライナ大学チャペルヒル校のカラ・ヒューム博士をお迎えしての濃密な学びの二日間でした。
「自閉症の人に対する切れ目のない意向と一貫性のある支援」という演題での講演会でした。
少し私が感じたり、学んできたことをここで書かせていただきましょうね。
朝9時30分から16時30分まで、カラ先生の講演会がしっかりありました。
カラ先生は、長きにわたってTEACCHに基づく実践と研究を行っておられる先生です。
午前の講義では、学習スタイルが自閉症の人に与えている影響についてのお話しでした。
自閉症の人の支援は、一人ひとりの学習スタイルから考える導き出される・・・、ということを改めて、とても解りやすくお話くださいました。
私の固くなった頭でも理解できました。とても具体的な介入方法を、色んな事例を通して、実践に生かしやすい形でお話ししてくださいました。
通訳の重松加代子さんのお力もあって、よりわかりやすく学ぶことが出来ました。
また、カラ先生は、FITTプログラムの開発者でもあります。FITTとは、自閉症スペクトラムの幼児と家族の為の、家族に焦点化した介入法です。家族のストレスを減らし、子どものスキルを増やすことが、実証されています。
この介入法が、今後わが国でも取り入れられるのではないかと思い、お話聞きに行こうと思った私です。
このFITTプログラムは、家族が子どもとどう付き合っていけばいいか、自閉症を理解できるようにサポートしていくという形で行われます。
手法は、TEACCHの視覚的な介入法を使い、子どもへの支援方法を6か月間、週一回の家庭訪問で、家族をコーチングする形で行われます。
こんな支援があれば、どれほど多くの家族が救われるでしょう。私は、講義の間、自分の若い頃、息子哲平の自閉症がわかった頃のことに思いをはせていました。
辛く厳しく、どう接していけばいいのか、五里霧中の中、「誰か私に教えて!どうやって育てていけばいいのか、解らないお願い教えて!!」と叫びだしたいくらいの焦燥感にさいなまれた・・・あの日々を思い出していました。
あの頃、こんな支援があれば・・・、そう思わずにはいられませんでした。
でも、これには、訪問してトレーニングするコーチがいる訳です。しかも相当な力のあるコーチが必要です。
おいそれとは、すぐに実現するものではないでしょう。

でも、この講義を聴いていて、育てる会の療育に生かせることはたくさん見つかりました。
親をコーチングして子どものよき理解者、よき療育者とする為のエキスが詰まっていると思いました。
育てる会での療育は、母子同室で行っていますので、親に子どもへの介入方法を、その場でそれぞれのお子さんに合わせて、具体的に丁寧に伝えていくことが出来ます。
ヒントをたくさんいただいて、帰ってきました。
午後からは、自閉症の青年期以降の移行プログラムについてのお話でした。
ノースカロライナで行われているT−STEPとCSESAについて、学びました。
面白かったのは、「ピアネットワーク」という、定型発達の学生を入れて、ASDの学生の支援を行うというピア介在介入法についてでした。
定型の学生を募集して、ボランティアとして参加してもらいます。定型の生徒とASDの生徒が、ランチタイムに一緒に食事をとるという形で時間的にも無理ない形をとって行われるので、ASDの生徒にとっても定型発達の学生にとっても得るところが多いプログラムだと思いました。
この方法は、サポートする先生がついて行われるので、とても実効性のあるやり方だと思いました。日本の学校現場でも実用化できるのではないかと思うのですが、どうでしょう。
二日目は、各地の実践報告がありました。
発表者に続いて、カラ・ヒューム先生がコメントをくださるのが、的確で素晴らしいものでした。
なかでも「おかやま発達障害者支援センター」の I さんの報告は、岡山のことでもあるので興味深く聴かせていただきました。岡山での課題をそれぞれの部署のつなぎの機能が出来ていないことと考え、その強化をあげられていたのが、印象的でした。
たとえば幼児期、1歳半検診や3歳児検診結果が、学齢期につながっていっていないこと、また、学校・園や療育機関の連携などももっと整えていくべき課題であるとの提言でした。
発表は我が赤磐市を例にあげて、お話しをしてくださったので、より現実的にお話を聞けました。
カラ先生から様々な提案が出されたので、後日赤磐市にこれを届けたいと思いました。いい発表でした。
頑張る若い方と一緒に、ASDの子どもや成人が、幸せに暮らしていく為に私たちには何が出来るかを考えたいと思いました。
さて、私の風邪対策は、マスク、手洗いとそして「うがい」です。
うがいは、ただやるのではなく「あ・い・う・え・お」といいながらうがいすると気持ちよく喉の奥が洗えますよ。一度試してくださいな。
では、皆さん、インフルエンザにもコロナウイルスにも負けないで、来月号で会いましょうね。では、ごきげんよう さようなら。
(鳥羽 美千子)

自閉症啓発セミナーの報告

令和2年2月8日(土)、百花プラザ 多目的ホールにおいて、早稲田大学教育・総合科学学術院教授の梅永雄二先生をお招きして「第105回(令和元年度 第5回)育てる会 自閉症啓発セミナー」を開催いたしました。
当日参加された方から、セミナーの報告とアンケートが届いていますので、その一部ですが紹介させていただきます。

2月8日(土)に、即実践講座でもお世話になっている梅永雄二先生をお招きして、「自閉症児者の就労支援 〜今からできること、今だからできること〜」というテーマでお話しいただきました。
就労はまだまだ先の小さいお子さん、就労が目前の方や現在就労されている方…年齢に関係なくとても参考になるお話でした。
梅永先生は、各地の障害者職業センターで職業カウンセラーとして勤務され15年の間、支援されてこられました。また、自閉症支援最先端の地であるノースカロライナ州に1年間留学され、自閉症支援が様々なタイプの方が働かれている様子やシステムを目の当たりにされて、しっかりと伝えたいことは「大人になって必要なスキルを小さいときから教えた方がいい!」ということでした。
一番印象に残っているのは、3つの「スキル」についてのお話です。
就労で必要とされるスキルとして、「ハードスキル」と「ソフトスキル」。そしてそれらの土台となる「ライフスキル」です。
「ハードスキル」とは職業能力とも表現され、本や学校で学ぶことができる知識や仕事に直接関係する技術のことです。
「ソフトスキル」とは、例えば身だしなみや挨拶、報告や相談といったような人との関わりスキルのことを指します。
仕事そのものではないけど間接的に影響を与える、職業生活遂行能力ともいえます。IQに関係なく、このソフトスキルに関することが原因でトラブルを抱えてしまう方が多いようです。
梅永先生が出演されていた番組「クローズアップ現代」や講演の中で、いくつか事例を挙げて下さいました。
・「分からないことがあったらいつでも聞いてね」と上司に言われ、上司が忙しくしていても他の人と話をしていても、状況にかかわらずいつでも聞いていた。
・上司の「急がないから、できるときに」の限度が分からなくて、頼まれた仕事を放置してしまっていた。
・仕事の報告や相談をするときに要点をまとめられず、延々と話してしまう。等・・・
お話を聞いているとどれもありそうなことばかり。
家庭内で起こると笑い話になりそうなことも、仕事という場面では当然そうはいきません。
上司との関係だけではなく同僚との関係ももちろんあるでしょう。それらのことが重なってだんだん行きづらくなってしまったり、うつ病などになってしまったりする方、離職する方も少なくないそうです。
「ライフスキル」とは、日常生活の遂行、自分の地域で生活していく術のことです。
個々に合わせて小さいときから教えていくべきこと、身につけるべきことですね。
ライフスキルからのトラブル事例も挙げて下さっていました。例えば、始業時間に遅刻してしまう、本人に話を聞くと生活リズムが崩れている・・・・。
職場でのことはまだ介入しやすいが、職場外のことは職場の方が支援しようにも限界があるとのことでした。
先生はピラミッド図を使って分かりやすく説明して下さいました。
一番上のハードスキル、その土台としてソフトスキルがあり、更にそれらの土台としてライフスキルがある。3つのスキルはつながっており、土台のスキルがしっかりしてないと上の方がしっかりしていたとしても崩れてしまう・・・。
先ほどの事例と合わせて、支えているソフトスキルとライフスキルの重要性を強く感じました。
先生が留学された地域を例に挙げて米国の発達障害児教育を紹介して下さいました。
地域によって違いはあるそうですが、特別支援教育におけるITP(個別移行計画)として、小さい頃から教えるべき11項目は以下の通りです。
移動能力、身辺自立、医療・保険(健康管理)、居住、余暇、対人関係、地域参加、教育・就労、お金の管理、法的な問題、毎日の生活
これらの中にライフスキルと呼べることが多く含まれていますね。
私も、身辺自立や日常生活に関することは早めに身につけさせたいと思っていましたが、何をどんな段階を踏んで取り組めばいいのか、また足りないことがあるのではないかという自信のなさもあって、教えることが中途半端になってしまうことが多々ありました。
そのような場合の参考になる、ライフスキルに関する様々なアセスメントを紹介して下さいました。
アセスメントとは、自閉症の人をよく知る、理解すること、だそうです。
たしかに、まずはどんなことが、どの程度できるのか、知っておかないとやりようがありません。
アセスメントは発達を促していくため、支援をしていくための前提となるものなのだなと感じました。
S-M社会生活能力調査票のような、自閉症に特化していないものの、行動観察をして記入し、発達レベルを把握するという形式の取り組みやすそうなアセスメントや、TTAPやB-WAP2などのASDに特化したアセスメント等を紹介していただきました。
TTAPとは、ASD者の就労移行アセスメントで、ソフトスキルのアセスメントが導入されているのが特徴だそうです。
6領域あり、1つは職業スキル、つまりハードスキルに関することで、他の5領域(職業行動、自立機能、余暇活動、機能的コミュニケーション、対人行動)はソフトスキルに関することです。
直接観察尺度、家庭尺度、学校/事業所尺度の3つの場面からアセスメントをします。
場面によってできることが違うこともあるでしょうし、その違いからできない場面ではどのような支援をしたら良いかのヒントも得やすいのではないかと感じました。
また、知的障害を伴わないASDに使用されるBWAP-2は、T-STEPという青年期向けの就労移行プログラムで使用されているそうで、高校2・3年あるいは大学3・4年の就労前の2年間で行うとのことでした。
アセスメント結果のグラフを見せていただきましたが、認知スキルは高くても、仕事習慣態度、対人関係、作業遂行力が、低い(一般就労が難しいレベル)方が大変多かったです。
改めてライフスキル、ソフトスキルを育てておく重要性を感じました。
多くのアセスメントでは、検査項目に対して合格、不合格、芽生えのいずれかをチェックします。
合格は完全に一人でもできる場合、不合格はヒントを出したり少し手伝ったりしてもできない、または求められていることがわからない状態の場合です。
芽生えとは、求められていることは分かっているが少し能力が足りない場合や少しのサポートが必要な場合、部分的にはできるが完全ではない場合のことをいいます。
教えたら伸びるところ、あと少し練習したら、もしくはこつをつかんだら合格になりそうなところ、とも捉えることができます。
ですので、まずは芽生えのところから取り組んでいく、芽生えを合格にする手立てや支援を考えて教えていくことが良いそうです。
また不合格の項目からは、将来の就労に向けてどのような問題を抱えているかを整理するときの参考になる、とのことでした。
年齢や項目にもよりますが、不合格のところは意識はしつつも、もう少し先に取り組むところ、今の段階では構造化などのサポートをしっかりするべきところ、ととらえておくと良いのかなと感じました。
そして忘れてはいけないことは、定期的にアセスメントをして経過を見ていくことです。
できることが増えたことを確認し、また新たな芽生えをチェックして目標を立てて取り組むことの繰り返しで、一人一人に適したペースでできることが増えていくのですね。
先生が見せて下さった映像の中には、熱心に支援に取り組まれている企業がいくつもありました。そこで「せっかくの才能や資質を持っているのに、職につけない、または離職してしまう発達障害者が多いことは社会全体の損失」、「どうすれば個性が生かせるのかを考えながら育てたい」、「適材適所ですよ」とおっしゃられる方々を見て心が温かくなりました。
このような考えを持った方が、企業がさらに増えることを願います。
そして私たちは、今関わっている方たちが、特にソフトスキルとライフスキルに関してできることが一つでも増えるように、何か困ったことがあったら相談できるように育てていきたい。
そのためにアセスメントを参考にして今からできることに取り組んでいこうと思いました。
目指すべき方向性をいただいて前向きになれた講演.会でした。
梅永先生本当にありがとうございました。
療育スタッフ K

○ 先生の話し方やスピード、声がとても聞き取りやすく、分かりやすいお話でした。実際の事例を多く見ることが出来、ワークをしながらの内容で、勉強になりました。アセスメントがとても大事で、今、我が子が小さく、障害が重くても、今の状態を把握しておくことが重要で、芽生えを正しく把握して合った支援をすること。今はこれを大事にやっていこうと思えました。大人になったときに必要なことを今から出来ることをアセスメントをしてやっていきたいです。(保護者)
○ 丁寧なアセスメントは今まで専門の先生がするものと思ってきましたが、これは家でも私どもが取り組もうと思えばできる部分もあるかもしれないと思うようになりました。子どものことを一番身近で見ているのは家族です。一つ一つ丁寧に関わっていけるよう、無理のない範囲で観察していってみたいです。(保護者)
○ 今から出来ることがあるということと、今、生活の中で「まあ、いいか」と目を瞑っていることが、放っておいたら将来の生活に影響しそうな重大なことなのだということに気づかせていただきました。基本的生活スタイルを身につけさせてやれるのは親しか居ない、と改めて肝に銘じました。(臨床心理士)
○ 事例もありすごく分かりやすい内容で4時間があっという間でした。今日の講演会で改めてアセスメントの大切さを学ばせていただきました。アセスメント方法も新しい物が出てきているので、活用していければと思っています。今療育に来ている幼児・学童のみんなの大人になった時を想像しながら支援を考えていきたいと思いました。(指導員)

令和元年度 支援者対象 
  
現場の先生のための即実践講座
                   〜大人になって幸せになるために〜
     講師:梅永 雄二 先生(早稲田大学教授 教育・総合科学学術院 教授)

いよいよ最終日を迎えた、令和元年度の梅永雄二先生による即実践講座ですが、日本中を騒がせている新型コロナウイルス感染症予防対策のため、当初予定していた3月6日(金)の開催は、急遽中止させていただくことになりました。申し訳ありません。
つきましては、先生のご都合がつく日ということで、2ヶ月遅れになりますが、第10回の講座を 5月22日(金)に開催させていただくことになりました。
受講生のみなさまには、ご迷惑をおかけすることになりますが、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。

  【 第10回 即実践講座 】

日 時:令和2年5月22日(金)19:00〜20:55
        【ご注意!!:開催日変更 5月22日(金)です!】
場 所:岡山県生涯学習センター(岡山市北区伊島町3-1-1)
テーマ:「大人になって幸せになるために」
申込・問合せ:Tel.086‐955‐6758、Fax.086-955-6748
第9回「アスペルガー症候群に特化した就労移行支援プログラム ESPID」に参加された方からの感想です。
○ 自閉症の学習スタイルを意識して私たちは関わっていかなくてはいけないんだと思いました。彼らが苦手なことや得意なことを考慮することで、よりよい支援が行えるのかなと思いました。「アスペルガー症候群の人の上司・同僚に向く人」について、日ごろの指導の中でも同じことが言えるなと思いました。(小学校教諭)
○ 丁寧なアセスメントによって、就労・継続が可能だと言うことが分かりました。本人を変えるのではなく、周りが理解して合理的配慮をすることが必要だと思いました。職場のキーパーソンに書かれているような人になりたいと思いました。(小学校教諭)
○ 項目それぞれを本人と一緒に読んでいく、考えていくことは、本人の自己理解につながるという部分は、自分を客観的に見ることが出来にくいASDの人にとって「アセスメント」という意味だけでなく、自己理解や不安の軽減という大きな意味を持つことが分かった。他者の視点を考えるという意味でも大切だと感じた。本人と支援者の評価の違いを実際見て、自己評価と他者評価のすり合わせは本当に大切だと思った。(支援学校教諭)
○ 本人を変えるのではなく、周囲の親や先生が理解し、変わっていくことがとても大切だと分かりました。(小学校教諭)

令和元年度 支援者向け 
  
発達障害支援夜間連続講座 in 赤磐 
                        (自閉症支援技術 レベルアップ講座)  
       講師:諏訪 利明 先生(川崎医療福祉大学 准教授)

           

諏訪先生の夜間講座につきましても、コロナウイルスの影響のため3月19日の講座は中止させていただきます。
なお、代替日につきましては、委託先の赤磐市と日程調整していましたが、単年度事業のため、4月以降の開催が難しいとのことですので、第10回の講座はビデオ講義になりました。
ブルーレイディスクを3月末頃までにお送りさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

  【 第10回 発達障害支援夜間連続講座 】

テーマ:「これまでの質問にお答えして Q&A」 
第9回「プログラム立案と実際C 〜社会性について〜」に参加された方からの感想です。
○ 問題行動をASDからの視点で解釈することは実行しているのですが、プロセスに沿って整理することは充分に出来ていなかったと思いました。行動を定義して、データを集めるに関して、事業所と一緒に考え、介入を計画、試行まで進めていきたいと思います。相談支援という職種上、直接介入が難しいのですが、この方法だと事業所と一緒に取り組める気がします。(支援施設)
○ 問題行動を減らすという考え方ではなく、予防的な介入、環境を整えることが大切だということ。日常的にストレスを減らす活動を考えたいと思いました。(放課後等デイ)
○ 問題行動を理解していく上で、自閉症児の特性を忘れてはいけないということ。ふと児童の行動だけで(見たものだけで)注意・声かけをしている時もあったかもしれないと振り返りました。(保育士)
○ 問題行動を解釈する際、精神年齢ではなく、生活年齢で見ていたなと話を聞かせてもらいハッとしました。同じ職場の方も受講しているので、現場に帰り、問題プロセスに取り組んでみようと思います(支援施設)

令和2年度 支援者対象 
  
現場の先生のための即実践講座
           〜令和2年度 岡山ABA講座〜

来年度の即実践講座のご案内です。
先月号でお知らせした通り、今年度講師をお願いしている梅永雄二先生のご推薦で、応用行動分析(ABA)の専門家であるABC研究所 代表の 今本 繁 先生 です。 
1年間にわたり、ABAの基礎から実践まで系統だてて学べる、しかも岡山での、またとない講座です。
内容や日程などは、今月もチラシを同封しておりますのでご覧ください。

  【 令和2年度 第1回 即実践講座 】

日 時:令和2年5月29日(金)19:00〜20:55
場 所:岡山県生涯学習センター(岡山市北区伊島町3-1-1)
テーマ:「応用行動分析ABAとは?」
講 師:今本 繁 先生(合同会社 ABC研究所 代表)
参加費:一般 23,000円、賛助会員 20,000円 (全10回分) 
申込・問合せ:Tel.086‐955‐6758、Fax.086-955-6748

キッズルームのご報告

2月11日(建国記念日)に、キッズルームを開催しました。
今回は、初参加の方も3名参加されました。
場所が少しいつもと異なる体育館でしたが、大きな戸惑いもなく、楽しく遊ぶことができました。
次回は、夏季頃の開催となります。会報にてお知らせします。お楽しみに!
以下、参加者からの感想です。
  【全体の感想】
○ とても楽しい時間を過ごさせていただきました。参加するたびに、子どもが慣れていって今回はボランティアさんと一緒に活動できて、母は遠くから見守ることができて、ゆったりできました。
○ 写真で「キッズルーム行くよ」と伝えたら、喜んで「たのしみ〜」と、発言もあり、行ってからも本当に満喫していました。
○ ボランティアさんの関わり方が上手で、安心して預けることができました。
○ 場所慣れが苦手な子にも、そっとしておいてもらえてよかったです。母同士の交流もできてよかったです。
○ いつも楽しみに参加しています。行きやすくて、居心地がいいので、親子でとても良い経験ができています。
○ 学生さんが子どもの目線に合わせて話してくれて、とてもよかったです。笑顔で優しく受け入れてくれている学生さんたちにいつも感謝しています。
○ 知らない場所や人に警戒が強いので、うまく入れるか心配でしたが、大学生のお兄さんに連れられて、あちこち動き回りながらも遊べてよかったです。
○ 担当のボラさん以外も声をかけてくださり、サポートしていただき、ありがたかったです。久々の参加でしたが、アットホームで素敵だな、また参加したいなと思いました。
○ ボラさんがニコニコ笑顔で楽しく関わってくださったことが、とてもよかったです。特に下の子は、場所見知り、人見知りが激しいのに、案外あっさりと母から離れられたのも、ボラさんの雰囲気作りのおかげだなと思いました。
○ ボランティアのお兄さんお姉さんが、楽しく丁寧に関わってくださり、本人も安心して楽しめたと思います。普段はなかなかすることができない遊具やバルーンなど体を使った遊びを楽しむことが出来、よかったです。
○ 今回で4回目の参加です。前回のキッズルームがとても楽しったようで、前日からとても楽しみにしていました。いつもは母にべったりな息子もこの日はボラさんと楽しく遊ぶ姿を見て、とても嬉しく思いました。ボラさんたちの笑顔がてもよかったです。いつも笑顔で元気いっぱいに遊んでくれる姿にいつも感謝しています

  【トライアル】

○ おもちゃがたくさんあって、ずっと遊べてよかったです。
○ 小さい子でも十分楽しめるおもちゃがたくさんあり、行ってみてよかったなと思いました。

  【人形劇】

○ 人形劇がかわいくて、子供も喜び、母は癒されました。
○ 家族全員、大人もたのしむことができました。人形の操作や場面の切り替え、セリフを読むテンポなど、とても上手ですごく練習されたのではないかなと思いました。

  【リトミック】

○ パプリカのダンスは楽しかったです。
○ リトミックが新しくパプリカになっていて、知っている曲だからか、楽しそうに参加していました。新しくなって新鮮だったし、食いつきが◎でした。

18歳の春 支援ツール勉強会の報告

全6回の支援ツール勉強会、1月28日(火)で無事終了しました。
最終回では、参加者の皆さんが作ってきた支援ツールの発表や、参加した感想を発表した後、18歳の春の先輩お母さんたち=支援ツール作りの先輩たちを囲んでのお茶会を行いました。
参加者からのアンケートでは、
「他のグループの支援ツールも、今回初めてしっかり見ることができました。これから小学校などに上がった時、参考にしたいツールもあり、今後作って行くことも楽しみの一つになりました」
「『支援ツールを作ること』が大切なのではなく、自分の子どもをよく見ること、子どもが分かるようにやりやすいようにすることが大切なんだということが分かりました」
「親が一人だけで頑張らずに、周りに理解を求めながらしていくのが楽しくツールを作るコツだと感じました」
「お子さんによって、また親の工夫によってツールは十人十色なのだと感じました。試行錯誤しながらゴール(長期目標)に向けてやっていきたいです」
等の感想が寄せられました。
最後の全体アンケートでは、参加してくださった皆様から率直なご意見をいただき、今後の活動にも参考になりました。ご協力ありがとうございました。
その中の一部を紹介。「参加して良かった」を選んでくださった方が多かったですが、テーマによっては「難しかった」「緊張した」という方もおられました。「よく分からなかった」という方はおられませんでした。
また、今後どんなことがしたいかと聞いたところ、「情報収集がしたい」「支援ツールを使うコツを知りたい」「他の人のアイディアを知りたい」「体験談を聞きたい」など、やはり実地で使っている人同士で集まりたいという要望が多く寄せられました。
来年度(2020年度)も、支援ツール勉強会は行う予定です。
それと同時に、今回参加してくださった方対象で支援ツール作成会も不定期開催ながら、つながっていきたいなと思っています。
また、今回参加してくださった方の中でインタビューに応じてくださる方もいらっしゃったので、その方たちからもご意見をいただき、さらに会員の皆様の子育てに役立つような勉強会にしていきたいと思っています。
皆で一緒に考えていく、作っていく楽しさを、私もいっぱい感じさせていただきました。
今後ともよろしくお願いいたします。
(担当:松田)

令和元年度 AAO活動報告

AAO活動は、子どもが親と離れ、ボランティアさん(2人)と子どもの3人で街の中に出掛け、様々なことを体験する活動です。
活動は、年3回程度、お子さんに合わせてお家の方が企画しています。
このたび、今年度の活動が終了致しましたので報告させていただきます。
活動には、@ボランティアさんと仲良くなろう。AICOCAを使って乗り物に乗ろう。B困ったときは「手伝って」と言おう。など目標を立ててから取り組みました。
後日、ボランティアさんに、活動中に上手くできたところ・困ったところを報告していただき、次の目標を決めていきました。
困ったところは、普段の生活でも課題として取り組むことができ、ありがたかったです。
事前の下見・しおり作りなど大変な作業もありますが、子どものワクワクしている顔を見たり、ボランティアさんが子どもとの関わり方を自ら考え、いろいろな視点からサポートしてくださる姿を見ていると、大変さを忘れるくらい楽しくなっていきました。
今年度は、1家族(わが家)だけの参加でしたが、来年度も続けていく予定ですので、興味を持ってくださった方は参加してみてください。
(担当 M)

親子バーベキューの延期のお知らせ

楽しみにされていた、おやじの会主催の「親子バーベキューの会」でしたが、新型コロナウィルスの感染症予防のため、今回のバーベキューは延期させていただくことにいたしました。
さすがにこの時期、みんなで集まって食事をするのは危ないのではないかという判断からです。
すでに、申し込みをされていたみなさま、申し訳ありません。
暖かくなって、コロナウィルスの終息宣言が出ましたら、改めて企画させていただきますので、楽しみにお待ちください。
よろしくお願いいたします。

水泳教室中止のお知らせ

コロナウィルスのため、3月度の水泳教室は中止させていただきます
終息宣言がでましたら、4月より再開させていただく予定です。
なお、年会費につきましては、再開後の実施回数により配慮させていただきますので、よろしくお願いします。
【4月より再開の場合・・・実施の有無については、今後の会報でご連絡いたします】
日 時:令和2年4月19日(日) 15:30〜17:30
場 所:OSKスポーツクラブ(岡山市北区絵図町1−50)
連絡先:育てる会事務局(086-955-6758)
  ※ コロナウイルスがいまだ終息しないため、4月の水泳教室も中止といたしました(3/25)
★新たに参加されたい方、体験されたい方は事務局までお問い合わせください。
体験してみたい方は、2回までOKです。(1回 1000円)
プールは育てる会の貸し切りで使っていますので、安心してお越しください。
★欠席される方は4月16日(木)までに連絡してください。
当日のキャンセルは担当携帯まで・電話またはSMSにて連絡してください。
(担当:S & I )

サッカースポ―ツクラブの中止のお知らせ

3月8日に予定していました、卒業されるボランティアさんとのお別れ会は、新型コロナウイルスの拡散防止のため中止させていただきました。
卒業のボランティアのみなさん、お世話になりました。ありがとうございました!!

はやぶさの会延期のお知らせ

自閉スペクトラム症のお友達作りの会、「はやぶさの会」です。
メンバーは、小学生の男の子を中心に活動しています。
「はやぶさの会」では、先月号でお知らせした通り、工場見学を予定していますが、子どもたちやお母さんたちと日程調整をしている間に、コロナウィルスのため工場見学自体が中止になる会社がでてきています。
そのため、今しばらくは様子見ということで・・・また、春になって工場見学ができるようになったら、改めてお知らせします。

OHAの会のお知らせ

OHAの会は高機能自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害で知的障害のないタイプの子どもを持つお母さんのための会です。
3月のOHAの会は、コロナウィルス感染症防止対策のためお休みします。
5月からは、いよいよリニュアルした、利守先生の連続10回講座が始まります。
正会員限定の講座ですので、安心してご参加ください。
5月には、きっとコロナウィルスの騒ぎも収まっていると信じています・・・

【 令和2年度 第1回 OHAの会(リニューアル)】

「知的障害のないASDの子を持つ親のためのステップアップ講座 〜10の階段〜」
日 時:令和2年5月26日(火) 9:30〜11:30
場 所:おひさまサロン(赤磐市和田194-1) 事務局の隣の建物
テーマ:「第1回 味わって育てよう! 〜“普通”って何だろう〜」
講 師:利守 愛子 先生(公認心理士)
参加費:全10回分 3,200円(前納)、1回払い 各500円
申 込:Tel.086-955-6758、Fax.086-955-6748(正会員限定)

お母さんコラム

小3・ASDの診断のある地域の小学校の特別支援学級(自閉症・情緒学級)に通う息子と、3歳・ASDの診断のある地域の保育園に通う娘を持つ母が、普段の我が子との日々をつれづれに書いているコーナーです。
どうぞ気軽な気持ちで読んでください。
今日は兄と妹の、友達とのエピソードをお話します。
まず、兄の話です。
先日、学校の支援学級の先生から、電話がかかってきました。
「息子くんが、見慣れない鉛筆キャップを持っていたので、どうしたのかなと思って聞いてみたら、『Aくんにもらった』と言うんです」「学校で一応話はして、返すようにしたので解決はしていますが、一応ご連絡しました」とのことです。
電話を切ったあと、本人に確認すると、「あー…」と言い、「その話はもう済んだことだから、もういいじゃん」「もう先生と話したし、分かったし、もうしないから」と言います。
突っ込んで聞いても全然答えてくれないので、その日はそれ以上聞くのは、やめておきました。
数日たって、この時のことを聞いてみました。
口頭で聞くと話がアチコチに行くので、以前から何度かコミック会話をしたことがあるのを活用。
本人は何やら警戒している様子で「なんのために?」「なんで聞きたいの?」と。
「怒るために聞くんじゃないよ。何があったのかちゃんと知っておきたいだけ」と保証すると、「んー」と言いながら隣に座ってくれました。
これがその時のコミック会話の一部です。
話を聞いて面白いなと思ったのは、Aくんに「いいなーいいなー。ほしいなー」と言ったのは、「その鉛筆キャップをぼくにちょうだい」と言いたかったのではなく、「かっこいいなー」「ぼくもママに買ってもらいたいなー」という意味だったということ。
あとで「本当にもらっても良かったのかな」と心配になったこと。
そして、返したとき、相手がどう思っていたかは「怒ったりしなかったし、そのあとも遊んだりしたから、多分だけどもう怒ったり嫌がったりはしていないんじゃないかな」と言いながら、「でも、ぼくそもそも相手がどう思っているかはよくわからんわ」と説明してくれたことです。
そうだよね。相手の気持ちってこちらからは見えないし、相手の言葉や表情や行動以外に、気持ちを読み取る方法ってないんだよね。世の中の人って本当にそれで読み取れるんですよね。
私も苦手だから、息子の葛藤はよく分かります。成長しているなぁ、としみじみ感じました。
次は、妹の話です。
最近、友達の名前をよく覚えて家でも「〇ちゃんと△くんと、ブロックして遊んだんよ」などと友達の話をすることが増えています。
先日、保育園の帰りの駐車場で、「娘ちゃん!」と同じクラスのBくんに話しかけられました。
娘が「何―?」と聞くと「娘ちゃんのおうちに、今から遊びに行ってもいい?」と聞いてきたBくん。
「いいよー!」と勝手に答える娘。
二人でニコニコしているので、慌てて「ちょっと二人とも待ってね」「遊びに行く約束は、子どもたちだけではできないんだよ」「今日は、うちが忙しいから、無理なんだよ」と話すと、娘ちゃんとBくんは「えええええ」と不満そう。
すると横で聞いていた息子が
「そうよ。娘ちゃんと、Bくんのお母さんで相談して、『いいよ』ってならないとダメなんだよ」
「僕だって、友達がうちに来たり僕だけで遊びに行ったできるようになったのは、小2になってやっとだったんだから」
「もう夜だしね」と説明しています。
相手の子は涙涙でしたが、娘は兄の説明に「そっか」と納得し、「また保育園で遊ぼうね」と話をして、お別れとなりました。
3歳相手にちゃんと説明している息子の様子を見ながら、「ダメなものはダメ」と言われるだけより、理由や根拠がある方が納得するんだな、と驚きました。
最後に車に乗ってから、息子が「そもそも娘ちゃんの友達は、ママの友達じゃないんだから、そんな人に家に来てもらうと、ママしんどいし困るよね」と言われ、「ぐはっ」となりました。
私が人見知りなのをよく知っていてすごいなと感心しました。笑
次回もお楽しみに!
(cyacya)

 ぐんぐん だより 

ぐんぐんぴっぴ (就学前)

今年度も後わずかとなりました。
ぴっぴでの療育も後少しで終わりとなるお子さんもいます。
お子さん達との1日、1日を大切に、楽しく過ごしたいと思っています。
ぴっぴでは、お子さん一人ひとりに合わせた個別支援計画に基づいて、「人と関わる力を育てる」事も大切な目標の一つとして、療育に取り組んでいます。
今回はTくんの療育の様子をお伝えしたいと思います。
Tくんは、車のおもちゃ(特にミニカー)が好きです。プレイでは、それらを使ってコースで走らせたり、横一列に並べて黙々と一人で遊びます。
人より物への関心が強い為、意図的に、人と関わる機会を設けなければ、対人意識は芽生えません。
本人が興味を持ってしている遊びの中で、支援者と楽しい気持ちを共有したり、相手に注目したりする機会を大切にしたいと思い、支援者が、Tくんの傍に行き、救急車のミニカーを「ピーポー、ピーポー」と言いながら、動かしてみました。
すると、その様子を見たTくんも、同じように「ピーポー、ピーポー」と言い、もう一台の救急車のミニカーを動かしました。しかし、注目しているのは支援者ではなく、救急車のミニカーです。
どのようにすればTくんが、こちらに注目してくれるのか。Tくんが楽しいと思える事は、何かな・・・。
色々考えていると、Tくんが、コースの一番上からミニカー五台を並べ、手で踏切りのように止めて、一気に手を放し、滑らせました。
その様子を見て、笑顔で「黄色(スポーツカー)速い」と言いました。
それを見ていた支援者が「わあ、速かったね」と驚いた表情で、Tくんを見て言うと、Tくんも支援者を見て、笑顔で「速い」と言い、また同様に、コースにミニカーを並べ始めました。互いに見て、反応し合う事で、同じ気持ちを共有した瞬間でした。
その後も同様の遊びを繰り返す中で、Tくんから「先生、踏切りやって」と支援者を見て伝えてきたので「いいよ」と言い、「3、2、1、GO」で手を放したり、「次は、Tくんの番ね」と交代で続けたりしました。
しかし、同じようなやり取りを続けていると、パターンになって、慣れてしまうので、支援者を見る事が少なくなってきました。そこで、支援者の番になり「3、2、1…」まで言い、Tくんが支援者を見るまで「GO」を言わず、待つ事にしました。
すると、しばらくして「GO」が無い事に気づき、Tくんが支援者を見て「GO」と言いました。
また、コースの上から滑り落ちたミニカーを指差し「見て」と笑顔で、支援者を見て、伝えてくる姿も見られました。
Tくんが、一人で遊ぶよりも、支援者と遊ぶ方が楽しいと思える関わりができた事で、自発的な人への意識や要求にも繋がったのではないかと思います。
Tくんの好きな遊びを通して、同じように楽しく遊んでいる支援者にも興味を持ってもらう事ができて、とても嬉しかったです。
これからもTくんの好きな事や興味・関心がある事を通して、人への意識や注目、関わる力を育てていきたいと思います。
ぐんぐんぴっぴ スタッフ F

赤磐ぐんぐん (就学前)

コロナウイルス、インフルエンザウイルスの流行を機会に、手洗いうがいを子どもたちに丁寧に教えて、基本的な生活習慣を身に付けませんか?
今月は生活習慣についてご紹介します。
ぐんぐんではおやつタイムがあります。保護者の方から、おやつや食事の時に困っていることについて相談がありました。
「お家では食べる時にすることを一つ一つ声かけをして教えています。声かけしないと忘れることも多いのに、声かけするとだんだんと機嫌が悪くなって怒ることがあります。」
保護者の方は、手洗いや手拭き、食後の口のまわりを拭く身だしなみなど、意識されて生活をされています。とても大事な視点ですよね。
先日の梅永先生の講演会でも、お話に出ていましたが、どうも認知の高さが就職率に直結するわけでは無さそうです。
こうした生活面のスキル一つ一つが支援の手が無くともできるようにすることは、子どもたちの将来に大きく影響してきそうです。
療育の中で、食事や排泄、着脱などに関するアセスメントや支援を丁寧に行う機会は少ないですが、家庭の中では毎日取り組むために療育のアイデアを使うことは可能です。
今回のケースも『すべきことを家庭でお子さんに理解できるように伝える』ところでお困りになっていたようでした。
家庭ではどのような流れで食べているのか? 保護者の方が、お子さんにどんなことを身に付けて欲しいのかをお聞きして、食べる時の手順を整理しました。
更に、おやつを食べる手順を一緒に考え、その手順をどのように伝えたら、お子さんに理解しやすいか、実際に他の方が使用している手順書の例を見ながら相談していきます。
そして、お母さんと一緒に考えた『おやつの手順書』を次の回には実際に使ってみました。
ところが、手順書を用意しただけでは、スルスルと事は進みません。おやつの途中で片付け方にこだわり始め、動けなくなるハプニングがありました。
「片付けたら・・・」と手順書をめくりながら簡潔に伝えると、ハッと気づいて気持ちの切り替えができました。「○○できた!OK!」と自分で出来ている実感も持てるようです。
様子を見ながら、保護者の方が困った場面では、お子さん自身はどんなことにつまずいていたのでしょう、それはどのように伝えると理解しやすいのでしょう・・・といったことを一緒に考えながら、お子さんに合わせて手順書も改良しています。
使ってみて分かることもありますよね。
ぐんぐんで手順書の使い方に慣れていくと思うので、今度はお家で使えるように『(家で)食べる時の手順書』を保護者の方と一緒に考えて作成中です。そして、お家での活用を目指しています。
家族の方やお子さんに「こんな伝え方もある!」「これがあると便利!」と実感して頂いて、日常の生活習慣の定着のためにうまく活用してみてくださいね。
ASD(自閉症スペクトラム障害)は生まれ持った第一の天性ですが、良い生活習慣はこれから身に付けられる第二の天性です。
自分で「できる」実感は自信につながります。地域で生活していく力を培うために、お子さんが小さな頃から、大人になったお子さんの生活をイメージして、生活スキルもコツコツと身につけておきましょう。
会報の前半にある梅永先生のセミナー報告も是非参考にご覧くださいね。
赤磐ぐんぐんスタッフ T

ぐんぐんキッズ (小1〜)

私が自閉症児の支援という世界に入ったばかりの時を振り返ると、当時も一生懸命に考えて療育をしてはいたと思いますが、あまりにも無知だったように思います。
もちろん今も分からないことも多いですが、療育スタッフとして少しは成長していると自己評価しています。
今回は、療育において入ったばかりだった私と今の私の考え方の違いを、子どものエピソードを交えて記していこうと思います。
新人の私になかったのは “一緒に考えて選択する” という考え方でした。以前の私にはこの考え方が不足していたように思います。
その頃は、“理解してほしいことを一方的に教える”という考え方でした。もちろん、今でも子どもに新しいことを理解してもらいたい時には“教える”という方法を使います。
しかし、そればかりになっていたように思います。
今は子どものニーズにフォーカスして、一緒に考えて、これからどうしていくのか選択してもらうことも取り入れるようになりました。
例えば、学校の用意をする時に間違ってしまうY君がいました。
話を聞くと、連絡帳を見て用意する時に昨日書いた時間割や持ち物を見てしまうことがあるというのです。ですので、本人も自分でできる連絡帳を見やすくする方法をいくつか紹介して、それを実践してもらい、その中で自分に合う方法を選んでもらいました。
本人が選んだのは蛍光ペンで1日1日を囲って見やすくする方法です。蛍光ペンの色を曜日ごとに決めることで、間違えにくくなるというアドバイスを受け、「水曜日は“水”ってあるから青にしよう。」と色を選んでいました。
家庭で実践してもらって間違いがなくなったと本人も実感できている様子でした。
K君の例も紹介します。
学校の掃除時間にカッターナイフを使った作業に呼ばれたけど、この活動が何の意味があるか分からずイライラしたそうです。彼はこの時どうしたらイライラを溜め込まずにすんだのかを考えたいと言っていました。
K君にも、まずは行動の選択肢をいくつか紹介しました。そしてその行動を取ったら、どんな結果になるのか予想を一緒に考えます。それを踏まえた上で、今後はどの行動を取るのかを本人に選んでもらいました。
療育スタッフになりたてだった私は、このように方法を一緒に考えるという発想がそもそもなく、本人の考えを聞くよりも“こうするのがいいよ”と教えることばかりになっていたと感じます。
これは些細な事かもしれませんが、私の中では成長と捉えています。
現在のスマートフォンが少しずつながら確実に進化をしているように、私もそしてぐんぐんキッズに通ってくれる子どもも、少しずつながら進化できるように頑張っていきたいと思います。
ぐんぐんキッズ療育スタッフ I
<下図> K君と一緒に行動を考えた時のワークシート

グループホーム寄付 御礼

いつも温かいご寄付、ありがとうございます。
いよいよ、これまでの「グループホーム ほっぷ 1」より少し自立度の高い暮らしを行っていくための「グループホーム すてっぷ 1」の開設を目指し、建設計画も動き始めました。
2021年4月の開設が目標です。

  【 「すてっぷ 1」へのご寄附をいただいたみなさま 】

○ 鳥羽代表(赤磐市)
令和2年2月25日現在:「すてっぷ 1」寄付金 60,000円となりました。
これまでの「ほっぷ 1」へ いただいたご支援と同様、よろしくお願いします。
寄付金振込口座  中国銀行 赤磐支店 普通預金 1321755
        岡山県自閉症児を育てる会 代表者 鳥羽美智代
以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
なお会報は正会員・賛助会員の方へは郵送でお届けしています。
もしご希望の方がおられましたら、ぜひ賛助会員に申し込みをお願いします。年会費 3000円です。
応援よろしくお願いします。
申込み方法の詳細は「
育てる会 HP」に記載しています。

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