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令和2年9月30日
第269号
NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会
269号 目次
曼殊沙華の赤い華に
自閉症啓発セミナー
門 眞一郎 先生 講演会 報告
即実践講座 報告とお知らせ
支援ツール勉強会のご案内
木工教室・水泳教室・OHAの会 報告とお知らせ
ちゃーちゃん日記
お母さんコラム
私のお薦め本コーナー
「ケーキの切れない非行少年たち」
グループホーム寄付のお礼
曼珠沙華が、田んぼの縁を赤く彩っています。
事務局のある赤磐市和田地区は、耕地整理をしなかったせいで、今でも昔ながらの曲がりくねったあぜ道が残っています。
そこに飢饉の時に食べるため、昔々に植えられたという曼珠沙華が、今でもたくさん咲いているのです。
赤く炎のように見える花は、なかなか壮観な眺めです。
曼珠沙華は、別名彼岸花ともいいます。お彼岸の頃に咲くからそう呼ばれるのですが、今年は暑さが長引いたせいで、開花が少し遅れているようです。いつもなら名前の通り、お彼岸が近づくと咲き始め、お彼岸終わる頃には、散っていく、季節を正確に刻んでくれる花です。
異常気象の影響は、大昔に名付けた花の名前にも影響していくのでしょうか?
そういえば、以前は正確だった天気予報が、ずいぶん外れるようになったように思います。
台風10号の接近の際は、日本列島に未曾有の災害をもたらすとニュースで大騒ぎしましたが・・・、たいしたことなく通り過ぎていきました。これまでの予測、前例が役に立たなくなったと言うことなんでしょうね。
まあ〜私の子どもの頃は、天気は当たることもあるし、当たらないこともある・・・とそんな感じでした。今のようにきっちり予報通りにならないのは、当たり前でした。60年ほど前に戻っただけと考えればいいのでしょ。
あれほど暑かった夏が、ふと気づけばいつの間にか終わりをつげて、今はもうすっかり秋です。涼しい風と青空の下、とんぼが刈り取りを控えた稲穂の上をゆるゆると飛んでいきます。
皆さんは、お元気でしょうか?お変わりはありませんか?
会報を書いています今日、9月26日は、門真一郎先生による講演会「発達障害といじめ、そして不登校〜学校で出来ること、家庭で出来ること〜」が行われました。Zoomでのトラブルもなく、無事終えることが出来たことを報告いたします。
いつものように会場でお話しを聴けなかったこと、先生にお会いできなかったことは残念でしたが、我が家から参加できるZoomでの講演会は、私には集中しやすく、目の前に画面があるので、見やすく理解もしやすいように思いました。
現在の日本の教育は、いじめを助長する教育になっていると先生は言われました。
たとえば、国語の「聞く」と言う字を例に挙げて、ほんの少しの違いでペケがついてしまう。
(「耳」の部分で、下の横棒が突き抜けているか、いないかで)
少しでも違うところがあると、もうそれは、ダメで、正解はひとつしかない・・・そういうトレーニングを小学校1年生から積み重ねているのが、日本の義務教育。ここにいじめを助長する元があると言われるのです。少しでも違うと否定する、排除する、と言う考えを小さいときから教えられることが、色んな意味で少数派である自閉スペクトラム障害を持つ子どもたちを、排除する、すなわちいじめのターゲットにしてしまうということです。
正解はひとつじゃない。ひとり一人違っていい!みんな違ってみんないい!
特に心に残っているのは、「ほめ言葉のシャワー」です。
菊池省三先生の学級でのビデオを見せていただきました。小学校の5年生の担任だった菊池先生のクラスの終わりの会の様子を写したビデオです。
その日の日直さんの“良いところ”を、全員が本人を前にして言っていくのです。日直の彼が、自分へのほめ言葉を聞きながら、どんどん笑顔になって行くところが、こちらもうれしくたまらない思いで見ました。
今はどうか知りませんが、私が子どもの頃にあった小学校の終わりの会は、今日問題だったことをテーマにしたりすることが多かったように思います。
菊池先生のクラスは、締めくくりが「ほめ言葉のシャワー」です。一日の学校生活の幸せな終わり方。明日も楽しく学校へ来れそうです。日直に早くなりたいと思える学級です。
みんなは、日直さんの良いところを一日中、一生懸命探すようになるでしょう。
人の良いところを探す教育です。違いを否定するのではなく、違いを肯定する教育。
なんて素敵なんでしょう。一人ひとりに価値があることを皆で確認し合うと言うことです。
いじめられている子だけでなく、周りの子どもの自尊感情を高めることにも繋がって行く取り組みでした。こういうクラスには、いじめは絶対に起こらないだろうと思えました。
学校の先生方もどういうクラス運営をしたらいいのか、ヒントがいっぱいもらえたのではないでしょうか?それと共に、家でも子どもにしてやれることが、見つかりましたね。
先生は、タイマーをセットして、ピッとなったら、褒める。いいことをしていなくても、その状態を褒めると言われました。ともすれば、私たちは子どもが何かやらかして、怒ることがあるときだけ、子どもに声かけをしているのではないでしょうか?
子どもが、いすに座っている。ただそれだけをほめるのです。「いい姿勢で座っているね」
テレビを見ている子どもに「○○ちゃんは、静かにテレビを見ているね」だっていいのです。褒めて育てた子どもは、自己肯定感が育ちます。個性が生かされます。幸せな子どもになりますよ、きっと。私も息子にもう一度ほめ言葉のシャワーを浴びるほど与えたいと思いました。
Zoomによる開催だったお陰もあって、遠く東京や長野、佐賀からの参加者までありました。多くの皆さんと、先生のお話聞くことが出来たことを感謝いたします。
次回の講演会は、11月1日(日)、理学療法士の藤井直基先生による「自閉症児の身体の育ちを考える V 〜発達障害、ずれた歯車の戻し方(実技応用編)〜」です。
藤井先生の講演会は、3回目です。いつも楽しく、新しい視点を与えてくださるお話しで、今回は実際の体の動かし方を交えて、わかりやすく解説してくださる予定です。
どうぞ、多くの皆様の参加をお待ちいたしております。
さて、コロナウィルスのせいで、哲平の会社はお休みが増えて、一週間に2日〜3日のお勤めです。
その為、お休みの日は、朝早くグループホームから帰ってきて、すぐに掃除機とモップのお仕事が始まります。食器もどんどん洗ってくれますし、洗濯機から洗い物を取り出してチャッチャと干してくれます。
それで私は朝のお掃除も食器洗いもしなくていいと言う訳です。
とても助かるのですが、私たちが食事を摂っていても、おかまいなしにガンガン掃除機で掃除してくれるので、食事中に足を上げたり、いすを引いたりしながら、彼のお掃除に協力しなければなりません。
哲平の帰っている土・日曜日は、いつもそうでしたが、最近はお休みが多く、しかも早く帰ってくるので、(時には、6時過ぎ)安らぎの朝は、滅多にないという状態です。
ああ〜、会社がしっかり操業してくださる時が来るのを楽しみにしながら,日々を耐えている私です(笑)
そんな哲平ですが、コロナのニュースが、流れてくると、急に不穏な空気が流れます。
哲平は、お金を貯めて旅行するのが楽しみで、お仕事を頑張っているのですが、今はコロナのせいで、今年予定していたディズニーランドや秋葉原も、来年予定していたドイツ旅行も予定を変更するしかありません。
それで、今年の4月・5月頃は、日に何度も「ディズニーランド行く」「秋葉原行きます」と訴えて来たのでした。でも、当時は、先行きどうなるか分からないので、「分からないね。困ったね」という感じで、私自身も答えようもありませんでした。
でも、そんなことで混乱を助長させるわけにも行かないので、とにかく彼の混乱を収めるために、「11月、ディズニーランド行きます」と答えておりました。11月頃になれば、コロナも収まり、多分大丈夫・・・と思っていたからです。
ところが、ディズニーランドは、再開しても人数制限をしているし、相変わらず東京は、危険そうです。そこで、予定を変えて、本人がカタログから選んだ「宮古島」へ行くと言う案を提示して、予約もしました。するとすっかり落ち着いて、今は、「宮古島行きます」と、一日一回くらいの確認で楽しみにしているようです。
思い返してみると、昔、私の父と母があいついで亡くなったとき、父と母の亡くなった年齢をいった後、「鳥羽美千子 何歳?」と聞いてきた哲平に、「鳥羽美千子 200歳」と答えるとそれ以降、一度もその話をしてこなくなったことがありました。
おじいちゃんおばあちゃんが亡くなって、不安だったのでしょう。
人が死んでしまうことをはじめて知ったのでしょう。それで、母がいつ死ぬのかが、気になって気になって何度も聞いてきたのでしょうね。
私だって自分がいつ死ぬか知りませんよ。
でも、哲平の不安を鎮めるために、嘘をつきました。
美人薄命と言いますから・・・私はまさか200歳までは生きられないことでしょう。後のことは、後のこと。
残された人たちにお願いするとして、それまで哲平には、安定した日々を送ってもらいたい、とついた嘘でした。
その後は、主人の母が亡くなった時にも混乱はせず、安定しているようでした。
今回の話は、11月になっても、宮古島もまだ危険かもしれないのですが、その日まで安定してもらいたいので、決めた旅行です。
キャンセルしなければならないことになるかもしれませんが、とにもかくにも哲平の安定の為の「嘘も方便」です。
そんな話をしていたら、それを取材しにテレビ局の方が来られました。
「コロナで不安になっておられる方が多いと聞くので、どんな風に過ごしておられるか、教えて欲しい」とのことでした。
久しぶりのテレビでしたが緊張の色さえ見せず、淡々とスケジュールをこなす哲平の様子を撮っていただきました。その放映が9月24日ありました。
哲平がかっこよく写っていたので、うれしく思いました。
さて、育てる会の行事が、10月からは目白押しです。
コロナのせいで何もかも中止になっていましたが、我慢も限界です。
自閉症の勉強が出来たらいいな。子どもたちが喜ぶいいことがしたい。保護者の為に役に立つことがしたい。何かをやりたい。そんな思いが、沸々と沸き上がってきました。
そこで今月号では、新たにたくさんの行事を企画いたしました。
10月17日(日)、山登りの会
10月19日(月)〜20日(日)、ノブ君のZoom教室
10月22日(木)、先輩を囲む会 「あゆみをつなぐアイリスの会」
11月7日(土)、木工教室
11月16日(月)、支援ツールの勉強会
世の中は、コロナウィルスで自粛中ですが、Zoomでなら、色んなことが出来ることがわかりました。
それ(Zoom)ならやれる。そう考えて、企画したプログラムは、「支援ツールの勉強会」と「あゆみをつなぐアイリスの会」と「ノブ君のZoom教室」です。
12月の「クリスマス会」もZoomでの開催を予定しています。
「木工教室」と「山登りの会」は、ソーシャルディスタンスに配慮して、野外で行う予定です。
そうそう、前からZoomで行っている「OHAの会」10月20日(日)や、「保護者のための自閉症基本講座」10月6日(火)も忘れてはいけませんね。
皆さん、たくさんの行事にどうぞ参加してください。育てる会のスタッフが、総力を挙げて企画しております。どうぞ、ご期待くださいね。
それでは、それぞれの行事の折にお会いしましょう。ごきげんよう、さようなら。
(鳥羽 美千子)
自閉症啓発セミナーの報告
令和2年9月26日(土)に、『第107回(令和2年度 第2回)育てる会 自閉症啓発セミナー』を、滋賀県大津市の門 眞一郎先生とオンラインを通じてお招きし、「発達障害といじめ、そして不登校 〜学校でできること、家庭でできること〜」と題して講演をお願いしました。
当日のレジュメの表紙は、門先生らしく、『 融Zoom碍(ユウズ〜ムゲ)な講演♯12 発達障害といじめと不登校の関係性 〜他者との違いをプラスに考える〜 フリーランス児童精神科医、ビア・カウンセラー 門 眞一郎』というタイトルでした。
もっとも、真面目な門先生しかご存じない方は、無類のクラフトビール好きで、自閉症者の就労支援の場ともなっている京都の西陣麦酒(最初に出たビールのブランドが「柚子無碍」です)の設立や広報にもかかわられている門先生の、このユーモアには気づかれなかったかもしれませんね (^_^)
(西陣麦酒 http://nishijin-beer.com/ )
それはさておき、当日オンラインで参加された方からの、(真面目な)報告とアンケートが届いていますので紹介します。
9月26日(土)午後、Zoomで開催された京都府の門眞一郎先生によるセミナーに参加しました。
元々この講演会は今年3月大津市で行われる内容だったのが、コロナ禍の余波で中止となってしまったのを鳥羽代表が「そのままの内容でもいいから、育てる会でぜひ!」と門先生に熱望し、今回開催の運びになったとのことで、鳥羽代表の瞬発力+「半年前の内容だから、半年間で改良してきました」という門先生の丁寧なお仕事ぶりに、ありがたいことだと感服する思いでした。
まず最初に、ここ数年のいじめ件数、いじめの定義やメカニズムについて丁寧にお話をしていただきました。
今学校側が把握しているいじめだけでも、2018年度には小学校425,844件・中学校97,704件となっているとのことで、全国の小学校は国立や私立を含めれば21,460校とのことですので、単純計算だけで言えば一つの学校で年間20件のいじめが発生していて、学校側が把握していない隠れたいじめを含めたらものすごい数になりそうです。
いじめの定義は「被害者の児童生徒が心身の苦痛を感じたら、いじめ」とされているとのことで、セクハラ・パワハラと同じで、「ただの遊び、からかいだよ」「いじりだよ。おいしいでしょ?」と言っても、本人が苦痛を感じたらいじめとカウントして良いのだというお話は、ホッとしました。
本人自身がいじめられていると自覚がなく、周りからいじめられていても「遊んでもらっている」と誤解して、自分からいじめられに行ってしまう場合も、ASのお子さんには時々あります。成長する中で、「あれはいじめられていたんだ」と気付いて大きくショックを受けるケースも聞きます。
質疑応答で、そういう時にはコミック会話などを活用して「相手に悪意があること」を視覚的に伝え、「こういう場合はどうしたらいいか」までを子どもと一緒に考えることが大事だという門先生のお話は、ついつい親や教師が「わざわざ気づかせない方がいいかも…」というようなその場限りの対応になりがちなことを強く戒め、本人の権利擁護の視点を教えていただく思いでした。
また、いじめのメカニズムとして、教科学習の中で「正解はこれだけ」「漢字の書き順はこう」というような画一的な思考を育てようとする教育自体が、人間関係でも少しでも違う人がいるとその人を排除しようとしてしまう学校(環境)を作ってしまっているのではという警鐘を鳴らしていただき、「違い=正さなくてはいけない」という学校教育が自然としている考え方の危うさ・そしてそれを低学年のうちから積み重ねる怖さを感じました。
お話の中で、菊池省三先生の「クラスの子ども一人をその日の主人公にして、ほめ言葉のシャワーをクラスメイトから浴びてもらう」「その人の褒めどころを一日探し続け、良い違いに注目する機会を作る」「教師が積極的に子どもたちを褒めることで、褒め方のモデルを示す」など、違いを肯定する教育の大切さのお話は、学校現場で早速真似していきたいと思えるようなお話でした。実際の動画で、子ども達が少し照れながら嬉しそうに褒め合っている姿が印象的でした。
怒ったり叱ったりすることは瞬間的にできるけど、相手の良いところに注目したり褒めたりすることにはトレーニングが必要で、それはかなり努力がいることで大変だけど、些細なことでも褒められる経験を積んでいくことで、実際に子どもたちが変わっていっているというお話には、家庭や学校でも意識的に今日からやっていく意義があると強く感じました。
「褒めようとしても、その前に良くない行動をするから、褒めたいけど褒められない」と言うお話は、保護者からもよく聞く言葉です。
門先生は「肯定される(褒められる)」→「自尊感情が向上する」→「努力する意欲が湧く」→「新たな一歩につながる」→「そしてまた肯定される」という良循環の図を見せてくださり、
「褒めるところがなくても、褒める努力をしてほしい。褒める機会を作ってほしい」
「良くない行動が出る前に、もっと間隔を短く褒めてみて。タイマーやアプリを活用して褒めることを自分で思い出せるような工夫をしていくと良い」
「問題行動を出ていない時も褒めどき。今やっていることをコメントしたり、注目したりすることで良い」
「発達障害の人は、耳で聞いたほめ言葉だけでは消えてしまうから、文字や写真などを活用し、視覚的にすることでいつでも確認できるし、有効な方法ですよ」
というお話は、今日から実践していけたらと思えるお話ばかりでした。
後半は、発達障害と不登校についてのお話でした。
不登校の原因というのは一つではなく、複数の要因が絡み合って、子ども自身が精神的に疲れ果ててギブアップ状態な中、それでも頑張り続けてきた結果というお話は、ついつい私たち大人が不登校になってやっと慌て始めることについて「遅い!」「もう本人はとっくに限界だぞ!」ということへの反省を感じました。
「不登校は心が疲れきっている状態だから、身体の疲れと同じように、しっかり休養と栄養を与えてあげましょう」「ギブアップになる前に早め早めに休んで心を健康にできるようにしてあげましょう」「子どもたちに必要なことは『学びの提供』。『学校に行く』ということは手段の一つ。『学校に行かせること』を目的やゴールにしてはいけない」「色々な選択肢がたくさんあること、その情報を本人たちに提示することがこの時期の栄養となります」というお話は、支援者や家族がしていくべきことは、何とか学校に無理してでも行かせることではないのだ。あなたはあなたで良いと心から思い、見通しを提示しながら信じて待つことをやっていきたいなと思いました。
門先生節だなと感じたこととして、DSM-5の診断基準や、ASとASDの違いについて触れられたあたりは、とても面白い視点でした。
DSM-5の診断基準では、メリ(できない・弱み・苦手)に注目した書き方と、ハリ(できる・強み・得意)に注目した書き方を見比べることで、以前、アメリカの自閉症協会が提唱した「ニューロティピカル」の記事(「定型発達」という障害)を読んだ時にも感じたことだが、捉え方によって印象がこんなにも違うのかと驚きました。
驚くということは、いかに自分たち中心で物事をとらえていて、ASやASDの人たちのことをどこか少数派で、どこか排他的な目で見てしまっているのだということなのでしょう・・・。反省ですね。
特性は持ちながら日常生活に困っていないASの人たちと、特性があることで日常生活に困難さや制限が出てしまい障害となっているASDの人たちのことを、左利きという脳のタイプの違いに例えられました。
いかに私たちの社会が右利き用になっているか(電車の改札口、自動販売機のコイン投入口など)、そして左利きでも困らない世の中ならただの「違い」で済むけれど、右利き用にしか作られていない仕事道具などを与えられた時に左利きの人は強く不自由さを感じ、うまく仕事ができないことで責められ続けていると自己肯定感が下がってしまい、そうなると「左利き障害」に近い状態になるのではないかというお話は、社会がどうあるかで、ASなのかASDなのか(障害児者として暮らしにくさを感じること)に影響するのだなぁと感じ、自分たちの関わり方や世の中のありようについて考えるきっかけとなりました。
今日の学びを、今日から実践していきたいと強く思える内容でした。
門先生、お忙しい中ありがとうございました。
(支援者:M)
○ 発達障害のあるお子さんのいじめや不登校について、さまざまな視点でのお話を伺えて、とても刺激的で素敵な時間でした。メリハリのお話も良いですね。診断からしてメリに視点がいっている。なるほどでした。門先生の視点で暖かか子どもたちをみていきたいです。(保護者・事業所職員)
○ これまで保護者の方と一緒に少し不安な気持ちになってしまっていたのですが、自信を持って学校がすべてではない、本人に合ったやり方でやっていこうと言えるようになったと思います。自信を持って思う存分褒めることができます。栄養を与えるための情報収集を、力を入れてやっていかねばと思っています。(事業所職員)
○ 発達障害といじめ、不登校の構図について、まさにその通りだと思います。漢字のとめ・はね・はらいなどの細かい部分の指摘、少しでも姿勢が悪いと怒られるなど。発達障害がない子でもしんどいと思います。
数年前に定年退職した私の恩師は、「退職する何年か前から、学校がとてもしんどい場になってきた」と嘆いていました。岡山は、学校以外の選択肢も少ないし、今の子は家でゲームや動画にはまって引きこもりになりがちなのが心配です。せめて、家庭でだけは誉めて育て、自己肯定感を育みたいものだと思いました。
Zoomの講演会は初めてでしたが、リラックスしつつ集中できて、また、適宜家事など必要なこともしながら時間を有効に使えて、思った以上によかったです。(行政)
○ 管理職として教員を育てる、また、自分自身を見つめ直すよい機会になりました。肯定するには努力が必要、目に見える形で、等、改革の取組と重なることも多くあり、参考になりました。
私自身は、親という立場でもあります。自分自身の生き方や息子たちの人生についての考えが間違っていないと思う反面、やはり不安もありますので、後ろを向かない支えともなり、ありがたく思っています。(保護者・特別支援学校勤務)○ 現在療育支援員をしており、自閉症の方のいじめや不登校の問題が多数見受けられるようになってきました。門先生の講義の冒頭にもあったように、環境の整っている療育機関では何事もなく生き生きと活動できるのに対して、昔ながらの風潮の残る「社会、学校」の中では、やはり適応しにくい方がいじめられたり、不登校になってしまっています。
支援者として学校の中を変えることはできないのですが、不登校には休養と栄養。それを保護者の方に伝えていくこと、ご本人に選択肢を与えることは出来るなと感じたので、意識して支援にあたろうと思います。氷山モデルについても、保護者の方に伝えるときによく用いるのですが、医学モデルになってしまっていることに、今日気づくことが出来ました。支援の中でも氷山だけでなく、周りの海水にも目を向けることも伝えていきたいと思います。日頃自閉症支援をしている私たちでさえ医学モデルになってしまうこの社会の風潮や幼少期の教育スタイルが少しでも変わっていくといいなと心から思います。(事業所職員)
保護者のための 自閉症支援連続講座
と〜〜っても分かりやすいと大好評の重松先生による「自閉症基本講座」、気がつけばもう第3回です。
専門用語をなるべく使わないで自閉症の基本の“き”から学べる講座です。
受講生もみんな保護者の方ですから安心してご参加ください。
単発参加もOKで、しかも正会員の方なら無料で参加できますので、大勢のみなさんの参加をお待ちしています!
日 時:令和2年10月6日(火)10:00〜12:00
場 所:WEB開催(ZOOM使用)
講 師:重松 孝治 先生(川崎医療福祉大学 講師)
参加費:正会員 無料、ぐんぐん保護者 1000円、一般 2000円
申 込:育てる会 事務局(Tel.086-955-6758、Fax.086-955-6748)
9月11日(金)の第2回に参加された保護者の方からの感想です。
○ 基本的な内容をわかりやすい言葉で話してくださるので、ゆっくりと日頃の子どもとの関わりを振り返ることができました。自分では気づかなかった子どもの行動の理由が違う視点から見えました。
『場当たり的に叱りながら教えた気にならないこと』という言葉が響きました。最近やってるわーと反省も。とてもいい講座だと思います。
○ ASDの人の考え方の特徴から起こりうる問題と対処法を、具体例を挙げながらわかりやすくお話しいただき、とても面白かったです。特に、返事に時間がかかるのは質問の意図を考えているから、というお話に反省しました。
最近イライラして「早く答えて」と言ってしまったばかりなので、今度は質問のしかたを変えるか、余裕があれば返事をするまでゆっくり待ってみようと思いました。
○ 「〜しないで」という言葉について。「〜」の部分に気持ちが釘付けになってしまうから、またやってしまう。日々の生活の中でよくあります。それだけ言葉にしてしまっているのでしょうね。私自身はしてほしいことを言葉にしているつもりでいますが、そうではなかったようです。あと、「〜しない」ことは伝わっても、では、何をすれば良いのかは全く伝わっていないことに気づかされました。
言われたことの返事に時間がかかるについて、我が子にもよく見られることです。ただ、私がせっかちで待てていないのが現状。気をつけたいと思いました。「なぜ?」と聞いてくるときは、知りたい・学びたいと思っていること。せっかく聞いてくれているのに、論理的に応えてあげられていないことを反省しました。
○ 今回2回目の講座を視聴させていただきありがとうございました。暗黙的には学びにくい、般化の苦手さ、不必要な情報を省くことが重要さや抽象的な内容の理解が苦手だとか講座の始めから最後まで、あーっと思う事ばかりでした。本人の性格をよく理解し、それにちゃんと対応していかないとな、と反省しました。
題名通り基本のきだなと思う事ばかりで、これからは本人がとった対応に対して、今回の口座で学んだ事を生かして頑張っていきたいと思います。重松先生のお話はとても聞き取りやすく、例でだされるお話もとてもわかりやすかったです。ありがとうございました。
○ 今回もオンライン配信で見ましたが、専門用語使わず説明していただいたのですごくわかりやすかったです。暗黙的には学びにくいの部分で、紹介された「みんなのためのルールブック」という本を図書館で借りて息子に分かりやすく教えてみようと思います。また第三回の講義も楽しみにしています。
令和2年度 支援者対象 現場の先生のための即実践講座
応用行動分析(ABA)の専門家であるABC研究所代表の 今本 繁 先生 による、ABAの基礎から実践までを本格的に学べる連続講座です。
10月1日よりは、「Go To トラベル」に東京も解禁になり、経済を回す方に舵を切ったようですが、それにも賛否のある通り、まだコロナの収束は見通せない状況です。
したがって、即実践講座につきましても、受講生のみなさんの安全を確保するため、コロナの終息が確認されるまで、当分の間はオンライン(Zoom)講義とさせていただきたいと思います。
その即実践講座も、いよいよ次回で折り返しとなります。講義の内容も、理論から具体的実践に向かっています。
せっかくの今本先生による「岡山ABA講座」ですので、みなさんに全てのエッセンスを吸収していってほしいと願っています。頑張って!!
【 令和2年度 第5回 即実践講座 】
日 時:令和2年10月2日(金)19:00〜20:55
場 所:WEB開催(ZOOM)
テーマ:「行動の支援 − 先行子操作」
講 師:今本 繁 先生(合同会社 ABC研究所 代表)
参加費:一般 23,000円、賛助会員 20,000円(全10回分)
申込・問合せ:Tel.086‐955‐6758、Fax.086-955-6748
第4回「行動の理解とABC分析」に参加された方からのアンケートの感想です。
○ 標準行動を考えるうえで,障害の克服ではなく環境面の支援の観点をもつ、というところ。ABAでも、やはり環境へのアプローチをしていくことが大切なのだと感じました。Aをやってみて効果がなかったら次をやる、というスタンスが良いなと思いました。
○ 具体的な事例をもとに説明していただき、分かりやすかったです。利用者の行動ばかりに注目するのではなく、支援者側の働きかけや環境などにも目を向けていかなければ、と思いました。
○ 行動の記録のグラフ化・見える化により達成かどうかの判断を行うことの有用性。主観でなく客観的な評価が可能になるので、スタッフ間で原因を再アセスメントしたり、次の改善法の検討を始めるべきかどうかを判断しやすくなると感じました。
○ 消去は最後までやりきること。支援者であれば頑張れるが、保護者は難しいこともあると感じました。消去を継続していけるように、こちらも強い心を持って保護者を励ましていきたいと思いました。
○ 見える化することの意味について。「お母さんが記録をつける中で自分の声掛けが多い事に気づき、その行動を減らしたところ、子供の行動が変わった」というお話はまさに行動を記録する効果と大切さを表している例だなと感じました。
令和 2 年度 発達障害支援 夜間連続講座 in 赤磐
(自閉症支援技術 レベルアップ講座)
川崎医療福祉大学講師の小田桐早苗先生にお願いしている、今年度の赤磐市での夜間連続講座です。
今年から自閉症児の指導にあたることになった先生にもわかるように、初歩から自閉症について解説してきていただいた夜間連続講座ですが、折り返しを迎え、支援のレベルアップを目指すためのお話になってきました。
アセスメントを行って、その子なりの特性を理解したら、「一人ひとりの学びやすい環境」をつくり始める段階です。
講座で学んだ内容を現場で活かしていただきたいと願っています。
小田桐先生の講座も、オンラインで行うことになりますのでご了解をお願いします。
【第5回 夜間連続講座 in 赤磐】
日 時:令和2年10月6日(火) 19:00〜21:00
場 所:WEB開催(ZOOM使用)
テーマ:「一人ひとりの学びやすい環境をつくるためには?」
講 師:小田桐 早苗 先生(川崎医療福祉大学 講師)
参加費:赤磐市在住・在勤者 7000円(資料代のみ)
他市の方 一般 20000円・賛助 17000円(資料代含む) 全10回分
第4回「行動の背景にある本人の視点を探る 〜どうしてその行動をするのだろうか?」に参加された方からのアンケートです。
○ 環境の理解、活動の見通し、スケジュールの理解、活動内の見通しと動機付け。これらが整理統合されているからこそ、変化や人とのやりとりの理解にもつながっていくという部分が、整理されたように思います。
○ 本人の言葉・本人の様子からスタートする、という基本を学ばせていただけたこと。本人の訴えを忠実に聞きたいし、本人の訴えをご家族・支援者同士で共有したいです。
○ 私たちが当たり前に意識せずできている一つずつの行動は小さな行動の連鎖でできていること。つまずきは分解することで分かりやすい。
○ 療育の中で見つけた子どもの行動の手がかりを、他の場面の文脈ではどうか?何を手がかりにしているかを確認する必要があること。般化と特性の理解を持ちながら療育の立場で出来ることすべきことを意識できたこと。どのように子どもに目標を立てどのように教えてくのか、具体的な流れを恥ずかしながら初めて講義として聞いた気がしました。
支援ツール勉強会 の ご案内
一昨年、平成30年度に実施して、とても好評だった澤 月子 先生による「支援ツール勉強会」です。
コロナ禍で、みんなが集まって一緒にツールを作成する去年までのような形は難しいかと思っていたのですが、Zoomを使って、画面を通してできあがったツールを見せ合えば実施が可能なのでは・・・と、全3回で企画しました。詳しい内容については同封のチラシをご覧下さい。
【令和2年度 第1回 支援ツール勉強会】
日 時:令和2年11月16日(月) 9:30〜11:30
以後の予定:【第2回】1月18日(月)、【第3回】3月15日(月)
場 所:WEB開催(ZOOM使用)(後日の配信はなし)
講 師:澤 月子 先生(南山城学園 スーパーバイザー)
参加費:正会員 無料、賛助会員・ぐんぐん保護者 3000円(全3回分)
山登りの会 の お知らせ
おやじの会主催の第2回山登りの会です。
秋も次第に深まり、野外活動に適した季節になってきました。
屋外で距離をとれればマスクもはずしていいということなので、山登りを企画しました。
前回の熊山登山では、かなりきつかった・・・という、お父さん方からの感想もありました(子どもたちは平気だったようですが (^_^)・・)ので、今回はハイキング気分で登れる龍ノ口山登山に決めました。
こちらもチラシを正会員の方には同封しています。お父さんだけでなく、お母さんや、きょうだいの方の参加もOKですので、秋の一日爽やかな気分で過ごしましょう。
【第2回 山登りの会】
日 時:令和2年10月17日(土) 10:00〜12:00(予定)
場 所:龍ノ口 グリーンシャワーの森 駐車場集合 10:00
参加費:無料 (正会員・家族限定)
申込先:Tel.086-955-6758、Fax.086-955-6748(事務局)
あゆみをつなぐ アイリスの会
「18歳の春を目指すクラブ」による、Zoomによる座談会&勉強会です。
先輩のお母さん、お父さん方から、「あゆみをつなぐ」ため、子育ての体験や学んでこられた話を、毎月違う先輩方とオンラインで結んで、都合のつく方で集まりたいと思います。
正会員の方にはチラシを同封していますので、ご覧ください。
【令和2年度 第1回 あゆみをつなぐ アイリスの会】
日 時:令和2年10月22日(木) 10:00〜12:00
場 所:WEB開催(ZOOM使用)
第1回テーマ:「成年後見人制度について」
第1回の先輩:鳥羽 俊郎 さん
参加費:無料 (正会員限定)
のぶくんの Zoom講座
コロナの影響で、育てる会の行事もほとんどオンライン(Zoom)で行われるようになってきました。
一度体験された方は「思ったより簡単だった」とおっしゃいますが、最初は、やり方が分からなくてためらわれている方もいるのではないでしょうか。
そこで、まだZoomを使ったことのない方に向けて、育てる会のスタッフがZoomへの入り方、使い方を説明します。2日間時間をとっていますので、都合のいい時間に接続してください。
【のぶくんのZoom講座】
日 時:令和2年10月19日(月)・20日(火) 各日 10:00〜12:00
教える人:のぶくん:育てる会スタッフ
参加費:無料 (正会員限定)
申込先:Tel.086-955-6758、Fax.086-955-6748、acz60070@syd.odn.ne.jp(事務局)
木工教室 予告!!
夏休み中に生涯学習センターで開催予定だった木工教室ですが、コロナの影響で延期としていました。
しばらく様子を見ていたのですが、いまだ屋内では開催が難しそう・・・ということで、事務局の中庭、屋外で実施しようということになりました。
今回は飾り棚を作ります。(詳しくは、正会員の方に同封のチラシをご覧ください)
いつものように、キットは高梁の木工作家 川月 清志先生が用意してくださいますので、オリジナルの飾りの部分を、自分で作成したあとは、誰でも完成できるようになっています。
日 時:令和2年11月7日(土) 10:00〜12:00
場 所:育てる会 事務局 中庭(赤磐市和田194−1)
講 師:川月 清志 先生(工房川月:木工作家)
参加費:一人 1500円(材料費) (正会員・本人ときょうだい限定)
申込先:Tel.086-955-6758、Fax.086-955-6748、acz60070@syd.odn.ne.jp(事務局)
水泳教室 の お知らせ
日 時:令和2年10月18日(日) 15:30〜17:30
場 所:OSKスポーツクラブ(岡山市北区絵図町1−50)
連絡先:育てる会事務局(086-955-6758)
★新たに参加されたい方、体験されたい方は事務局までお問い合わせください。
体験してみたい方は、2回までOKです。(1回 1000円)
プールは育てる会の貸し切りで使っていますので、安心してお越しください。
★欠席される方は10月15日(木)までに事務局に連絡してください。
当日のキャンセルはた担当携帯まで・電話またはSMSにて連絡してください。
(担当:S & T)
OHAの会の報告とお知らせ
OHAの会は高機能自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害で知的障害のないタイプの子どもを持つお母さんのための会です。
9月15日(火)第4回目 OHAの会をZOOMで開催いたしました。
テーマは『親の感情コントロール〜お母さんお父さんが自己理解をすることから〜』でした。
怒りとは、不安や悲しみ・悔しさ・妬み・罪悪感など色々な感情で困っている状態を知らせる感情(サイン)だそうです。まずは、落ち着かせることが大切なので、深呼吸をしたり、「困ったなー」と声に出して言ったり、書いたり客観的に自分を見て怒りにのまれないことも重要だと話されました。
怒りはマックス6秒と言われているそうで、6秒間自分を止められるように(爆発しないように)、怒りを受け止め、落ち着かせ、上手に扱えるようになる方法も教わりました。
最後にストレス対処法 【コーピングスキル】 を教わりました。
コーピングスキルがあると、こまめにストレスを減らしたり、ご機嫌状態を維持し、気分を切り替えることにも役立つそうです。
忙しい親御さんの為に、実際にワーキングする時間をたっぷりとっていただきました。100個を目標に、すぐにできるストレス対処法を各個人で書きだしました。自分の好きなことや好きなもの、あーこんなのがあったらリラックスできそう!などと自分自身に向き合うことができたと思います。様々な例(100例)も考えて紹介して下さっていて考えやすかったです。すぐにできる具体的な内容でした。個人的には、子供にも作らせてみたいなと思いました。少し大きくなった子には、自分のできそうなことを集めておくことで、心の安心にもなるなと感じました。
家族のために、親がご機嫌でいられることが何よりも大切なことだと利守先生は話されました。「おかえり」と、笑顔で明るくいられる自分でいられるように、自分の心の状態を安定させていたいと改めて感じました。
詳しくお知りになりたい方は、OHAの会の参加をご検討くださいね。詳細は、育てる会の事務局にお問い合わせください。
事務局 K
以下、参加者からの感想の一部をご紹介させていただきます。
○ 今回の内容が、この会に参加した最も大きな理由でした。科学的に感情を分析する手掛かりがもらえたのが、良かったと思います。
○ 時間に追われてイライラしているときについ怒りに任せて子どもを大声で叱ってしまうので、一呼吸置いて冷静に対応しなければと反省しました。子どもが私の顔色を伺うような行動をすることもあるので、そうならないよう対処法を考えるようにしたいです。コーピングリストを100個書き出したので、ストレスを感じたときは早めにリストを見て気分転換しようと思います。
○ “怒りは、自分にとって困った状況だ”と知らせるものだということが分かりました。自分でも何故そんなにイライラするのか分からないことがあるので、そういうときに、少し落ち着いて客観視する練習をしてみたいと思いました。それから、コーピングリストを作るのが楽しかったです。
○ 日々の生活で怒らない日がない・少ないのが現状ですが、今日の話の中で一番納得できたのが、相手を変えるよりまず自分を変えるということでした。これも実践することはなかなか難しいですが、子供をいくら変えようと思ってもイライラが高まるばかりなので、まず自分が考え方を変え行動すれば、怒らずにすむかもしれないと感じました。
○ 好きなことがリストアップする、コーピングリストの記入時間はとても貴重でした。何をしようかと選ぶのが楽しみです。“怒っている=困っている”がすごく納得できました。子どもが、困りを言語化出来ずに私を叩いてきたり、怒っているように攻撃的な行動をとります。そんな時には、“あー、今困ってるんだなー”と関連づけ出来ていたけど、“私も同じなのか!”と分かりました。学びになりました。
【次回のご案内】
(当初の予定と日程が変更となっております。ご注意ください!)
日 時:令和2年10月13日(火) 9:30-11:30 ZOOMにて開催
テーマ:『子供とのコミュニケーション@〜話の交わし方・子供に伝わる教え方〜』
講 師:利守 愛子 先生(公認心理士)
都度参加も可能です。1回500円です。
参加希望の方は、育てる会の事務局までお問い合わせください。
ちゃーちゃん日記 (あるASDの女の子のお話)
ASDの子ども二人を育てる母親であり、AS当事者でもある私のこれまでの日々や現在の様子を紹介するコラムです。
脈絡ない話や時系列が昔だったり今だったりで分かりづらいかもしれません。
思い出したままをお伝えしていくので、整理されていませんが、良ければ「大変ね・・・」「苦労してきたのね・・・」というより、「おもろいな!」「不思議!」と感じていただいて、笑っていただきながら、皆様の身近にいるASDの人たちの感じ方や暮らし方を知ることに少しでも繋がればと思っています。
(1)親との関係
先月号の初めてのコラム、思った以上に反響がありました。ありがとうございます。
「苦労してこられたんですね・・・」「不思議な世界!」「読み物として面白かった」などなど、色々なご意見をいただきました。
その中で「こんなに色々苦労して大きくなってこられて、お父さんお母さんのこと、どう思ってるんですか?もっと早く診断がもらえたらとか思いませんか?」と聞かれました。
うーん。
確かに今の時代に生まれていたら、小さい時から療育を受けて、色々コミュニケーションとか社会性とか伸びていたかもしれないし、学校も特別支援が受けられて、もう少し勉強でも友人関係でも躓かずにいられたかもなぁとは思います。
でも、あの頃には、知的障害がないAS特性のある人はやっぱり知られていなかったと思うし、二次障害もなくそれなりに大きくなってこられたのは、やはり両親のおかげなのかなと思い感謝しています。
色々育てにくかっただろう私のことを、よくまぁ頑張って子育てしてきたもんだと尊敬しますし、愛されて育てられたんだなぁと感謝もしています。
でも、そういう風に思えるようになったのは、実は最近のこと。自分が家族を持って、子どもを育てて、両親の苦労を少し身近に感じられるようになったからです。
それまでは自分の世界だけで生きていたので、ぶつかることも多かったです。自分が大事にできる存在が増えたことで、周りを見る余力も出てきたのかもしれませんね。
愛し満たされるって大事なことですね。家族しかりペットしかり。「友人しかり」とは、まだ言えない私です(友人関係って何の約束も縛りもないので、信じすぎるのはまだ怖いのです。先月号参照)。
(2)予測・見通しって大事
先日職場の健康診断に行ってきました。
本当は毎年受けないといけないところですが、仕事が忙しかったり出産したり授乳期だったりで、きっちり全身の健康診断を受けるのは、実は今回が人生初です。バリウム(胃検査)やマンモグラフィー(乳がん検査)にもチャレンジです。
健康診断に行く前、「バリウムとかマンモグラフィー、初めてなんですよー」と職場で言うと、大方の人に「え?!バリウム!? 胃カメラの方がいいのに」「マンモグラフィーは引っ張られるからめちゃくちゃ痛いよー」などなど、受ける前から不安を煽りまくるようなことを色々教えてくれます。
教えてくれる人たちは、自己体験を教えてくれていて、別に脅かすつもりはないのでしょうが、見通しがないことが不安な私はドキドキビクビクです。
何事も予測・見通しがないと混乱しがちな私は、早速検査項目をググります。
すると、同じように不安な人がいるのでしょう、たくさんの情報がヒットします。
何のための検査なのか、どれぐらい時間がかかるのか、バリウムを飲むコツ、げっぷしたらダメなので堪え方などなど、たくさんの情報が写真や動画つきで紹介されていました(マンモグラフィーも同じく)。
「なるほど、絶飲食で行くから喉カラカラなのか」「水分不足だからごくごく飲めちゃうんだな」「発泡剤とバリウムは違う訳だ」「ここの体勢めちゃ苦しそう。下向き?すごいな」というように自分でしっかりイメトレをしてから挑みます。
おかげで当日は心穏やか。イメージしていたよりもずっと楽々とこなすことができました。
ASの特性のある人に不安なことや心配なことを早く言うと、混乱することがあるから、直前まで言わないと言う人が時々います。
私は、「とんでもない!」と思います。
直前に言われると心の準備ができていないから、大混乱だし、その相手の人を信用しなくなる危険性もあります。嫌なことでも、しないといけないことなら、前もって知らせてもらうことで、心の準備も下調べも他の選択肢がないか調べまくることもできるので、当日の覚悟がぐっと決まります。
「案ずるより産むがやすし」のためには、安心できる情報収集に協力してほしいと切に願います。
(3)物語の裏表について
子どもの頃のエピソードを一つ。
皆さん、「シンデレラ」の童話はご存知だと思いますが、その最後を知っていますか?
私が幼稚園時代に聞いていた「シンデレラ」は、ガラスの靴に合う娘探しのシーンで、義理の姉二人が靴を無理やり履くためにつま先やかかとを切ったとか、義理の母は意地悪した罰として熱い鉄の靴を履かされてずっと踊り続けさせられるとか、かなり怖いお話でした。
そのため、最後「めでたしめでたし」となっても「どこが・・・」「ひどすぎん??」と思ったことをよく覚えています。「シンデレラが好き」「あこがれる」「いじわるしていたお姉ちゃん、いい気味だよね」なんて言う女子たちに、ドン引きしていました。
ところがです。
本が好きだった私は、平仮名が読めるようになると、本屋でも学校の図書室でも、時間の許す限り本を読み漁っていたのですが、「シンデレラ」の話が、私の知っている話と全然違う。
確かに義理の姉はガラスの靴を履こうとしますが、「履けません」と泣くぐらいで、なんなら「いいのよ、許します」みたいに、皆笑顔でエンディングを迎えるのです。
たくさんの本を読む中で、少しずつ終わり方が違います。エピソードも色々です。登場人物の描写も違います。「どれが正解だろう…」と小学生当時不思議でした。
その意味が少し分かったのは、もう少し大きくなって、同じ図書室の「日本の歴史漫画」を読んだ時。
歴史上の人物で、同じ人なはずなのに、主人公の立ち位置によって良いキャラになったりひどい悪役になったりしているのです。
同じエピソードやお話や事実でも、どれが正解でどれが間違っているとかは、人によって捉え方・理解の仕方が様々です。残ったもの・伝えられるものが多いものが真実であると世の中の人は考えていて、でもそれは少数の人から見れば真実とは言えない場合がある。
人の心もある意味同じで、同じ場面であっても、相手への印象や前後の状況で判断されることがあり、場合によっては、正義と悪さえもひっくり返ることだってある。味方が多い方が得をする。そういうことを、人との出会いや経験からよりも、本やたくさんの情報から理解するあたり、やはり私はASで面白いです(笑)。
どうぞ気楽に笑ってください。笑ってほしくて書いています。私は今日も笑っています。
今後とも、よろしくお願いします。
お母さんコラム
小4・ASDの診断のある特別支援学級(自閉症・情緒学級)に通う息子と、3歳・ASDの診断の保育園に通う娘を持つ母が、普段の我が子との日々をつれづれに書いているコーナーです。
どうぞ気軽な気持ちで読んでください。
今月号は、息子の夏休みの話の追記です。
息子はこの夏休み、私が仕事の日に不定期で託児を利用しました。
ASDの子以外も利用する託児なので、子どもを見てくださる先生はASD支援の専門家ではありませんが、子ども好きな優しい先生たちです。
息子は小学校低学年の間は、通っていた保育園併設の学童保育を利用していたので、本格的に長期でお願いするのは今年になってから。
まだまだこの会での託児のルールも学んでいる途中で、新人だけど学年的にはお兄さんたちの側に入るという微妙な立ち位置です。
この託児で、先日ちょっとしたトラブルが発生しました。
お迎えに行くと、いつもは先生にお礼を言ってすぐ帰るのですが「ちょっといいですか?」と呼び止められました。ふと見ると、息子が気まずそうな顔をして横を向いています。
「今日、ちょっと息子くんが・・・、実は、ですね・・・・・・」
久々!キタコレ!汗
私の第一声は「やった側(加害者)ですか?やられた側(被害者)ですか?」(^^;)
先生は苦笑いしながら、息子のいない別室で状況を教えてくれました。
先生たちが外遊びの道具を片づけていて、部屋に子どもたちだけでいる時、低学年のAくんのことに息子が怒鳴っていて、別の子(Bくん)が息子と一緒になってAくんにちょっかいを出して、Aくんが泣いてしまっていた。
きっかけは、息子が塩タブレットラムネを、他の子は一個なのに、息子だけ多く取ったことを、Aくんや周りの子に追求されたことが嫌だったからだそうです。
うーん、約束を守らず多く取ったことで逆ギレ?それはいかんな。
帰宅しても何やら神妙な顔をしている息子。
「今日、先生から何か言われた?」と言うと「だって!!」と最初からかっ飛ばしてくるので、「うん、今はいいや。お腹すいている時は話しても良い話にはならんし、ママもご飯作らなきゃだから。とりあえず、手洗いうがいして、おやつ食べてな。晩御飯のあとに話そう」と諭し、普段通り過ごしてもらいました。
晩御飯を食べて少し“まったり”してから、息子と食卓で向き合います。
私「今日何があったん?」
息子「うーん、もう解決したから。いいんよ」
私「いやいや、教えてや。ママは、先生からしか話し聞いてないから分からん」
息子「いや、僕が悪かったって話でしょ?分かった分かった」
私「別にママは怒ってないよ?何があったか知りたいだけだから、絶対怒ったりせんから」
息子「ほんま?」
私「ほんま」
息子「んー、でもどう言ったらいいか よく分からんのよ」
私「そっか。じゃあ、ママが先生から聞いた話を絵に書いてみるから、『そうじゃねぇ!』ってことがあったら教えてな」
先生からは「ラムネを多く取ったことに対して指摘されたからイライラして、Aくんに対して怒った」「あとから先生と話をして、Aくんに謝って解決した」と聞いていました。
息子に聞きながら状況整理していくと
「先生がおらん時に、なんか部屋の隅っこで皆がぼくの方を見てコソコソ話しとったんじゃ。で、『何話とったん?』『僕のこと?』と皆に聞いても教えてくれんかったんだ。普通コソコソ話しとったら悪口言われたんかなって思うじゃん。それって嫌じゃろ?
だから『何話しとったん?』て聞いたよ? なのに、皆さーっと逃げていってさ、Aくんしか捕まらんかったから、聞くじゃん。
そしたらAくん何も言わずにいるから無視するなよって思って、何回も聞いてたんだ。そしたら逃げようとするから、『逃げんなよ!』って言って通せんぼしとった」
「Aくんが泣いたあとで皆にわーわ―言われてさ、 『いっぱい取った』て。
でも、僕はいっぱいは取ってないんだよ!?」
「ラムネ? 二個取ったよ? 皆は一個だったん? え?
その前の日は先生から『何個食べてもいいよ』って言われたから、僕的には遠慮して二個だったんよ」
本人の話を聞いて、状況とのズレが見えてきました。
(1)皆が部屋の隅で、どうやら自分のことを言っているようで、何の話か不安になって聞いたが、誰も教えてくれなかったことが嫌だった
(2)聞いても、誰も何も答えてくれなかったのが嫌で、だんだんイライラして怒った
(3)ラムネは『今日は一個』というその日のルールを聞いていなかった
(4)皆に『いっぱい取ったじゃろ?』と言われたから、『いっぱいは取ってないもん!』と思って、そこでさらにヒートアップした
(5)最初に聞いた時に、『ラムネ何個取ってた? 皆は一個だったんだよ 』と聞いてくれていたら普通に答えたのに、どうしてAくんや皆が答えてくれなかったのか分からない
状況を整理した後、何でAくんが泣いたのかは見えてきましたが、なぜAくんや皆が、(5)のことを言ってこなかったのかが分からない様子です。
そこで、立場を少し変えて考えさせてみました。
「たとえば、6年生の顔見知りの子がいるとします」
息子「うん」
私「その6年生と息子くんは、そんなに仲良くなくて、たまに一緒に遊ぶぐらいです」
息子「うん。縦割り班とかの関係ぐらいってことか」
私「ある時、その6年生が、なんかズルしてるかもしれない。してないかもしれないって話を小4の子たちでコソコソ話していました。先生もいないし、証拠もないけど、多分ズルしたんじゃないかな。でも、こんな話聞こえたらブチ切れられるかもしれないから、コソコソ話です。本当かどうかも分からないし」
息子「あー、あるある、そういうこと」
私「すると、向こうからその6年生が近づいてきて言いました。『何話とった?』『俺のこと?』と。さて、そこで息子くんは言えますか?」
息子「言えないわ。だってやばい話してるから、コソコソ話なんだよ」
私「そういう状況になって、その6年生が『おい、息子くん、何の話しとったんな?』『逃げんな』って言われて、息子くんならどうなりそう?」
息子「えー。めちゃこええ。だって6年生じゃろ?逃げるかなー」
私「…。(^^;)」「Aくんも同じだったんじゃない?だって上級生だし、やばい話してたのは分かってるし、息子くんが怒ってないことも分からんかっただろうしさ」
息子「あー、そういうことかー。そりゃ、Aくん怖かったじゃろうし、悪いことしたな」
そして、もう一つ興味深かったのは、息子が皆にコソコソ話をされてたことが嫌だったことは、誰も知らないということです(逆ギレしたと聞いていましたので)。
なんで、それを言わなかったのかと尋ねると
「だって、誰も聞いてこなかったよ。だから、分かってたってことでしょ?」
「???」
自分の知っていることは、皆も知っている。
そういう誤解があるから、自分の権利擁護や自己弁護も弱いんですよね・・・。損しがち!
「ママみたいに聞いてもらえたら、何が違うかよく分かるわ。ありがとう」とお礼を言ってくれた息子。
色々な学びを親子でした時間でした。
(cyacya)
ぐんぐん だより |
ぐんぐんぴっぴ (就学前)
年度も半分を折り返し、前期の取り組みと子どもたちの成長を振り返る時期となりました。
はじめは部屋を移動するのもお母さんと一緒でないと嫌だったり、遊びを終えられずに泣いて逃げ回ったりしていた子どもたちも、今では次の見通しをもって動けるようになり、たくましくなりました。家庭での取り組みも「実を結び始めたという報告」があり、嬉しかったのでご紹介したいと思います。
目についたものに捕らわれて、なかなか準備が進まないAくん。
自立的に活動を遂行できるよう、療育でもスケジュールを導入したとほぼ同時期に家庭でも、取り組みを開始しました。園や家庭で設置したときの、操作のしやすさや、管理のしやすさを想定して、保護者からも意見を聞いてスケジュールの形トランジッションカードの柄を決めていきました。
実際の生活で使用されていると、週1回1時間だけの療育では見えてこない姿もあり、その都度相談していただいたので、誤学習することを早め早めに防いでいくことができました。実際にあったのが、『スケジュールを勝手に触って変更をしたようです。(厳密にはもっとやれると追加していたそうですが…)その日は、何とか元通りに遂行させましたが、今後あったときはどうしたらいいですか?』というものでした。
どうしたいか話し合った結果、「スケジュールはお父さんか、お母さんが決めます。あなたは触りません。」と示すことにしました。
療育内でも期待することを事前に図示しながら明示的に伝えると守ろうとする本人の姿を見たお母さんからのアイデアでした。
そして、ぴっぴにおいてもそれは暗黙の了解であったため、「次の療育日には私からも(ぴっぴでスケジュールを操作できる人は大人だけだということを)お伝えしますね」とお話ししました。
次週、療育に来たときは、自分からスイスイと活動をすすめていて、約束を伝えた時にも「わかった!」と二つ返事。今では、スケジュールを使った生活が板についてきたようです。
園では、「〇〇してから行く」というAくんからの交渉にある程度合わせてくれている様子ですが、友達を待たせたり、活動を止めたりしてしまうこともあるようなので、見通しを知り(知らせる)切り替えを助けるツールとしてスケジュールが活用できるようになれば良いなと思います。
一緒に目標に掲げて、準備を進めていきたいと思います。
次に、可愛いフィギュアが大好きで並べて眺めるだけで、うっとり楽しかったBちゃん。
そんなBちゃんのお母さんに出ていた宿題は、人への関心を高めるため『逆模倣(子どもが遊んでいるのと同じものを使って子どものしている動きを大人がまねる)に取り組みましょう』といったもの。
同じようにフィギュアを手にすると、『邪魔しないで』とばかりに奪われ、真似ているお母さんに視線も送ってくれない日々に「気持ちが萎えます・・・」と言われながらも根気強く関わったお母さん。
ここに来て、その成果がメキメキと現れるようになりました。
お母さんのみならず、支援者とも対面して遊んでいる時に、逆模倣をしていることに気付いて、チラッと見たかと思えば手を止めて、その動きについてくるかチェック。そして、また異なる動きを始めては、支援者の動きをチェック。そうした行動がはっきりと見られるようになってきました。
先日は何と、その様子を見て喜んでいるお母さんと支援者を見て『にこり』と反応するではありませんか。
「続けてきて良かったですね」と共に喜びをかみしめた瞬間でした。
人が意識できるようになって、『模倣がうまくなっていること』『楽しみを共感するような反応があること』『同室児に近寄っていくようになっていること』など良い変化がたくさん見られています。この調子です!
関わり方のアイデアをたくさん種まきして、それが生活の中で花開いていく・・・それを保護者のみなさんと一緒に確認することができて本当に嬉しく思っています。
その花をもっと育てていくも良し、株分けして増やしていくも良し!
花が咲かずに迷っている人は、後期に向けて育て方を見直すチャンスにしましょう。
機会を増やすべきか、やり方を変えるべきか、辛抱強く付き合うべきか、ぜひご家族のご意見を大切にしながら進めていきたいと思います。
ぐんぐんぴっぴ スタッフ:K
赤磐ぐんぐん (就学前)
太陽の日差しが少し和らいで風が涼しくなってきましたね。
秋は運動の秋でもあります。今年は新型コロナウイルスの影響で、運動会も規模を少し縮小した形での開催を決めた園が多いようです。
ASDのお子さんにとっては、やることが少なく練習期間も短い今年の運動会スタイルは、例年よりも良いという声も聞かれます。
来年以降もこういう形がありがたいかもしれませんね。
赤磐ぐんぐんでは、どのお子さんにも一人一人に合わせた「見通し(スケジュール)」を用いて、その日の療育の流れをお伝えしています。
この見通しを活用することで、どんな活動がどんな順番で行われどこであるのかを理解することができ、大人にいちいち声かけや指示をされたり 周りの子の動きを読んだり 「多分こうかも」というあいまいな予測で動いて「違うでしょ!」と怒られたりせずに、自分で行動できる安心と自信につながる効果があります。
無理なく楽に理解できるレベルはお子さんによって様々なので、同じ「おやつ」を伝える時も、具体物(おやつの袋)、イラストや写真(お菓子を食べている絵)、文字(「おやつ」の平仮名)など様々です。
一度に見せる量も様々で、その日の流れ全部のお子さんもいますし、3つぐらいのお子さんもいますし、「次はこれ」だけのお子さんもいます。
この見通し(スケジュール)は、ご家族やお子さん本人と一緒に考えながら作成しています。
一度に見せる量はどれぐらいが良いか、絵や写真があるのとないのはどちらが良いか、文字の大きさはどれぐらいが良いか、自分にとってほしい情報は他に何があるかなど、実際の物を見ながら相談して決定し、取り組む中で「やっぱりこういうのが良い」とお子さん自身が教えてくれて改良しながら取り組んでいます。
ご家族と一緒に相談しながら赤磐ぐんぐんでの見通しを作成し、実際にお子さんがその見通しを使って活動できている様子を目の前で見ていただいていることで、ご家庭でも取り入れやすいようで、赤磐ぐんぐんではなんと 約8割のご家庭が 視覚的な見通し作成にチャレンジしてくださっています!
どれもご家族がわが子のことを考え、家庭での生活をイメージしながら作りあげた想いの形です。
うまくいかない際や難しい際には、再度相談してくださるので、家庭での再調整・リトライのお手伝いもさせていただいています。
ご家族がわが子のために色々工夫をし、うまく支援がハマった時の達成感や成功体験を一緒に感じていけることを嬉しく思っています。
見通し(スケジュール)について、夏休みの終わり頃になって、幼稚園に通うAくんのご家族から寄せられた相談のエピソードを紹介します。
Aくんは、夏休みの終わり頃、おうちのカレンダーの「9月1日から幼稚園」という見通しを見て、「幼稚園に行きたくない」「いやだ」と、幼稚園の再開に不安を訴えてきたそうです。ご家族のお話では、夏休み前の一学期の終わりごろには園で仲良しのお友達もでき、一緒に遊ぶことを楽しみに幼稚園に通っていたそうです。
「一学期はあんなに楽しそうに行っていたのになぜ?」「友達に会いたくないの?」「園で何か心配なことでもあるの?」とご家族は不思議に思われたそうです。
お子さんにとって長いお休みから園が始まることはどのように感じるのでしょうか?
私たちは、経験や状況から見通しを持っているので、「幼稚園が再開しても大きくは何も変わらない」ということが分かりますが、ASDのお子さんは注意の向け方、感じ方、学び方が違うので見通しが持ちにくく、不安になりやすい特性があります。
長い休み明けの生活の変化は経験もまだ少ないお子さんにとって、不安になりやすいのかもしれません。
「Aくんがなぜそう思うのか?」「不安に感じていること、知りたいことは何か?」について、ご家族と一緒に考えました。
いくつか不安になる理由を考えつきましたが、どれもありそうなことで、確証は持てません。そこで、「こういうハッキリしない・分からない時は、お子さん自身に聞いてみるのも一つの方法かもしれませんね」とアドバイスをしました(Aくんは、具体的な選択肢を出したり、ゆっくり話を聞いたりすると、自分の思いや意見を言えるお子さんでした)。
幼稚園が明日から始まる日、お母さんがAくんに聞いてみたそうです。「明日、幼稚園で何するか知りたい? 先生に朝、聞こうか?」「先生から予定が書いてあるプリントもらっているから、一緒に見る?」などと尋ね、Aくんが「書いてほしい」と伝えてくれたため、園だよりに書いていることを、お母さんがひらがなと絵を使って伝えたそうです。
Aくんはホッとしたようで、「お母さん大好き」と抱きついてくれたそうです。
そして翌日の始業式、安心して笑顔で幼稚園に行くことができたそうです。
お母さんにとってもAくんにとっても、そしてお話を聞いた私たちスタッフも、ほっこり暖かくて嬉しい気持ちになれました。この経験が、また次の休み明けや、年度替わりの際にもきっと活かされていくと思います。
見通し(スケジュール)は、最初は作るのがちょっと面倒だなとか大変そうだなと思われる方もおられるかもしれません。言葉で言った方があっと言う間にできちゃうし、毎日同じようなパターンの生活をしている時、その良さや必要性はあまり感じられないかもしれません。
これが本領を発揮するのは、今回のお話のように、生活上の変化が起きた時だと思います。普段と違うことがある時は、普段よりも、不安な気持ちが強くなります。
そういう不安な時は、言葉がけだけでは、覚えておけないかもしれませんし、周りを見て動こうとしても誰が正解か分かりにくくなります。でも、見て分かる形での見通し(スケジュール)を普段から使っていれば、いつもと同じがどれで、いつもと違うことが何なのかということが分かりやすくなります。
最初は少し手間かもしれませんが、「急がば回れ」と言うように、遠回りのようで理解への近道であると感じています。
お子さんに合わせたオーダーメイドの支援や工夫を、一緒に考えていき、お子さんが安心して自信を持って活動できるようにしていきたいですね。一緒に色々考えていきましょう!
赤磐ぐんぐん スタッフ:T
ぐんぐんキッズ (小1〜)
朝晩に涼しさが加わるようになりました。
今年度は夏休み短縮の影響もあり、キッズもとても短い夏休み療育になりました。
子供達から「次は何するの?」と聞かれても、「次はもう学校始まってるからね・・・」と言うスタッフに「コロナだからねえ」と淡々と返していました。子供たちの生活に大きな影響を与えた新型コロナ、これ以上感染や影響拡大がないことを願うばかりです。
キッズでは参観日を行いました。
ぐんぐんぴっぴや、赤磐ぐんぐんと異なり、就学児対象のぐんぐんキッズは母子分離で行っています。
連絡帳や送迎時のやりとりで、お子さんの様子などはお伝えしているのですが、限りがあります。ですので、参観日は保護者にキッズでのお子さんの様子を直近で見られる貴重な機会にあたります。
みなさん毎回熱心に参加してくださっているのですが、今年度は、参観日前に行われた第2回重松先生の講座中に「療育で使われているスケジュールなどはぜひ見せてもらって」というメッセージもあり、保護者の方から「これ、写真にとってもいいですか?」「さっきつかっていたのを、もう一度みせてもらってもいいですか?」という質問が多かったように思います。
療育という場所ではありますが、お子さんが自分から使っているグッズたちです。
ぜひ、ご家庭での視覚的支援のヒントになればと思います。
課題の内容だけでなく、どうしたら我が子が自立してできるようになるか、といった話題も多かったように思います。
入室して荷物を片付けると、スケジュールを順に行う姿をみて「家にもスケジュールがあるんですけど、見ないでやりたいことを先にしてしまうんです・・・。どうしてかな・・・ スケジュールまで遠いんですかねー・・・」
「そうかもしれません!今より玄関に近い位置にスケジュールおけそうですか?」
「玄関においても、床になっちゃうから見えなさそうだし、車で見せたら早すぎますかね?」
また、ひとりでワーク(自立活動)をこなす我が子をみた保護者からは「宿題を一人でやってほしいけど・・・いつも違うことしてて・・・物がいっぱいあるからかしら・・・」
「たしかにAくんは文字よりも物に注目しやすいです!」
「でも、こんな風にトレイにいれたら、宿題が隠れてわからなくなりそう・・・」
このように保護者の発言には、我が子情報がたくさんつまっています。そういった保護者の気づきを、より具体的に、そしてよりお子さんにマッチさせるためには、整理する時間も必要です。
参観日が、そういったお子さんの情報整理の場にもなっているのかもしれないと思ったスタッフでした。
また参観中、子供たちからは、「おかあさんも遊んでいいの?」という質問も多かったです。
「もちろん!」と快諾すると、「いっしょにあそんで」カードをもっていく子、「おかあさん一緒にしよう」と誘う子。どこお子さんも、とてもうれしそうに保護者の元に近づいて誘っていました。
コミュニケーションの基本は、自分が一緒にしたい相手と、したい事があるときに発生します。
まさにそれを体現した参観日でのエピソードでした。お忙しい中、参観してくださった皆様ありがとうございました。
ぐんぐんキッズ スタッフ:M
グループホーム寄付のお礼
育てる会では、現在の「グループホーム ほっぷ 1」より自立度の高い、次のステップに向けての「グループホーム すてっぷ 1」の建設をめざしています。
将来は「すてっぷ 1」から、地元での一人暮らしへ、さらにジャンプアップできる
のが目標で、そのための「すてっぷ 1」の建設です。
【 「すてっぷ 1」へのご寄附をいただいたみなさま 】(2.8.26〜2.9.25)
○ Y.Y 様(東京都) ○ K.S様(赤磐市)
○ T.M 様(赤磐市) ○ K.H様(赤磐市)
令和4年3月の完成が目標です。これまでの「ほっぷ 1」へいただいたご支援と同様、温かい応援、何卒よろしくお願いします。
寄付金振込口座 中国銀行 赤磐支店 普通預金 1321755
岡山県自閉症児を育てる会 代表者 鳥羽美智代
以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
なお会報は正会員・賛助会員の方へは郵送でお届けしています。
もしご希望の方がおられましたら、ぜひ賛助会員に申し込みをお願いします。年会費 3000円です。
応援よろしくお願いします。
申込み方法の詳細は「育てる会 HP」に記載しています。