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令和 4年 5月31日

 

 第289号 

NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会

 289号 目次

     グループホームの支援ツールの紹介

     自閉症啓発セミナー 寺尾孝士先生講演会 報告

      即実践講座・夜間連続講座・支援ツール勉強会 の 報告とお知らせ

      育てる会総会・OHAの会・スポーツクラブ の 報告とお知らせ

     AAO活動・水泳教室・はやぶさの会 の お知らせ

     ちゃーちゃん日記

     お母さんコラム

     私のお薦め本コーナー
         「みんな しあわせ。

     近隣の講演会等のご案内

      ぐんぐんだより 

     グループホーム寄付のお礼とお願い

山が新緑に包まれ心地よい風の中、ツバメが巣作りに忙しく飛び交っています。
田植えを間近に控えたここ岡山県赤磐市では、水嵩も増した川のせせらぎに、間もなくゲンジボタルの淡い光が明滅するころとなりました。
皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
梅雨入り前のしばしの晴天続きのお日様を楽しみつつ、先日、冬の羽毛布団を洗濯機で洗うという挑戦をしてみた私です。
なんとなんと、上手に仕上がって、幸せなことに“主婦力”上がった気持ちの私です。
さて、皆さん、お元気でしょうか?
我が家では、ゴールデンウィークに久しぶりに静岡で暮らす長男が、帰省してまいりました。
2年半ぶりの息子の帰還に、何やらうれしい私です。そんな私に増して、哲平は兄の帰りを待ち続けていたのでしょう、兄の周りをうろちょろウロチョロしておりました。
コロナのせいでなかなか帰ってこれなかったわけですが、そんなことはわからない哲平にとっては、ずいぶんしつこく兄の帰りがないことを、訴えてきて困ったものでした。
二人で昔やっていたテレビゲームをやっておりました。小学生時代にやっていた「ゼルダの伝説」というゲームをしっかり覚えていて、どこに何が隠れているかを覚えていて、ずいぶん上手にやっていました。
20年以上も前のゲームのSwitch でのリメイク版のようです。
自閉症の人の脳はどんな風になっているのでしょうね。知的障害があってもこんなに記憶力がいい哲平を、どう評価したらいいのでしょうか? つくづく不思議です。
そういえば、カレンダーのことはよく覚えていて、中学生のころにAAO活動でボランティアさんと行った神戸のこと、その日にちなども覚えています。
急に「何月何日は何曜日」と聞いたら、関係のない日でもしっかり曜日を答えてくれます。
素敵な子なんです。この記憶力何かに有効利用できるといいのですが・・・・、思いつきません。
時々、今度のおじいちゃんの法事はいつだっけ?など思うときに、哲平に「おじいちゃんのお葬式はいつだった?」なんて聞くと、「平成〇年〇月〇日〇曜日!」って答えてくれます。
そしてすごいのはその時の哲平の年齢を問うと、「〇歳です」「おかあさんは?」「何歳です」と家族中の年齢も答えます。
数字については、過去のシーンの中にしっかりと記憶されているような哲平です。
さて、そんな母さんも古希を迎え、「人生七十、古来稀(まれ)なり」といわれる歳になりました。ついこの間、20歳だったように思うのに、自分の歳が信じられませんよ。
もう少し昔のお年寄りには、貫禄というか年輪から滲み出るところのオーラというか、重さのようなものがあったように思うのですが、わたしゃ軽い軽いノリですよ。
“ご長老”なんていう値打ちの、あまり感じられない70歳です。
でもやっぱり70歳だなと思えるのは、「物覚えの悪さ」と「物忘れの速さ」です。
これだけは、さすがに70歳だなと思います。
困ったことに、こんな脳みそですが、今年もこの会の代表を続けさせていただくことになりました(総会により、今年も代表に選出されてしまいました)。
皆さん、力不足ではありますが、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、5月21日、事務局に北海道から寺尾孝士先生をお迎えて、講演会を行いました。
演題は、「知的障害の重い自閉症の人たちへの支援について」。
先月号にも書いたのですが、先生のお話を初めて聞かせていただいたのは、20年以上前の自閉症協会の講演会でのことでした。
先生のお話に感激した私は、それ以来寺尾先生の大ファンとなりました。
今回の講演会でも20年前と変わらず、先生の語られる自閉症の人たちへの熱い想い、そして彼らを強度行動障害にまでしてしまった周りの大人たちへの怒りが、先生からビンビン伝わってきて、雷に打たれたような感じがしました。
まるで刀を抜き放った殺気ほとばしる素浪人、昔テレビで観た、悪を斬る「三匹の侍」みたいな雰囲気(古いですね)な感じです。
自閉症を語るときには、素浪人ですが、普段の先生はとってもお優しく、特にお孫さんのことを話されるときには慈愛に満ちた「じいじ」のお顔になられます。
私が一番今回の講演会で、心に刻んだ言葉があります。
それは、「彼らが人生の最後に『自分の人生は幸せであった』と思ってくれるような、そんな支援を私たちはしているだろうか?」というお言葉です。
私たちだって、自分が死の床にあって、これまでの自分の人生を振り返ったとき、「これでよかった、幸せだった」と思えるような人生であったと願いたいです。
そんな言葉を、自分だけでなく息子に、そして私たちが支援している子どもたちに言ってもらえるでしょうか?
彼らを幸せにしたい。私はこれから何をしていけばいいのか・・・、そんなことを考えた寺尾先生の講演会でした。
後のページに詳しい報告や感想がありますので、ご覧ください。

さて、もう次の講演が迫ってまいりました。
次回は、7月9日(土)に門眞一郎先生にお願いしています。
演題は「12年間の支援学校生活でしておくべき コミュニケーション支援」
ひろくPECSについて知ってほしくて、先生に無理をお願いして、無料の講演会です。
先生にも謝金なしでお願いしているような講演会です。
せっかくなので、育てる会も頑張って、全国の支援学校へ向けて、チラシの郵送をかけることになりました。
オンライン開催ですので、全国津々浦々、こちらで把握できた全ての支援学校へ送ります。
今回の講演会は、育てる会としては、補助金一切なしの無料での開催です。ちょっとやるでしょ私たち。
皆様、チラシには先着300人と書いてますが、なんとか500人までは当日参加は大丈夫です。
でも、何しろ日本中の支援学校にお送りしますので、きっとすぐに申し込み殺到すると思います。
500人いっぱいになると当日は入れないので、どうか急いで申し込んでくださいね。(万一、500名を越えてしまうと
こんなことするのは、どうしてかというと、学校の先生方、特に支援学校の先生方にはPECSを知ってほしい。ただそれだけです。その一念で今回の企画いたしました。
伝えるすべを知らない彼らに、やりようがあることを示したい。いろんな強度行動障害の講演会が多いけれど、本質にたどり着けていない気がします。
門先生、曰く 【警告 自閉スペクトラム障害の人に、合理的配慮の1つである視覚的なコミュニケーション手段の選択を保障しないことは、権利の侵害であり、差別的行為であり、ネグレクトであり、心理的虐待ですらある(すみすみ研修「カドモコフェス」案内より)
支援学校にこのPECSの支援を届けたい・・・。
重度の知的障害があって、自分の思いを伝えることを知らない彼らのために、この講演会を企画しました。
日本中の支援学校の先生たちにPECSを届けたい。あの子たちへの支援のやりようがあることを知ってほしい。その一念です。
あの子たちの幸せのために育てる会にできる限りのことをしたい!!
小さな岡山のNPOからのお誘いです。
届け!!日本中の先生へ、そして保護者の方へ!!。

さて、壮大なお話の次には、小さな私たちの取り組みをお話しましょうね。
グループホーム「すてっぷ 1」は、先月号でも紹介したように、開所して1か月余りが経って、みんな安定して暮らしています。
「ほっぷ 1」で丁寧な支援をして、「すてっぷ 1」でより自立した暮らしを送り、やがてホームを卒業して、アパート暮らしへというのが、私たちの“夢”というより、「支援計画」です。
計画通りいくかどうかは、これからの支援にかかっていると思います。
スケジュールや手順書を、我が子に合わせて、お母さんが手作りしてくださった方もあります。熱心でまじめな、育てる会のお母さんたちのおかげもあって、順調な滑り出しの「すてっぷ 1」です。
また、「すてっぷ」に移った人の後を受けて、現在4人の人が「ほっぷ」には入居しています。
彼らへの支援は、アセスメント(TTAP)に基づいて、考えていきます。
お家でしっかり支援ツールも使いこなしてきた育てる会の熱心な母の子どもたちです。あっという間に落ち着いて、新しい環境に順応していっています。
不安だらけで親元を離れ、自立への一歩を踏み出す時、彼らの不安な気持ちにしっかり寄り添いながら、「大丈夫だよ、ここは安心していい所だよ」という思いを伝えながら、支援している私たちです。
はじめはゆったりと、寄り添いつつ、少しずつその人に合わせながら、「ほっぷ」でのルールを伝えていく暮らしの様子はおいおいここでもお伝えしたいと思います。
そろそろ見学の方を受け入れようかと思いますので、ご希望ありましたら事務局までご連絡ください。
続いては、そんな彼らのための支援ツールを写真でいくつかお見せしましょう。
           
(朝のスケジュール)    (文字によるスケジュール)  (お風呂に入る手順書)
      
   (日用品 備蓄確認BOX)          (靴下・肌着等収納BOX)
      
     (服装/気温 対応表)             (部屋掃除用ライン)
詳しい使い方などは、また見学の折にでもお話しましょうね。
では今日はこれまで、また290号でお会いしましょう。(後、11か月で300号ですね・・・。頑張ろうっと!)
(鳥羽 美千子)

自閉症啓発セミナーの報告

令和4年5月21日(土)、社会福祉法人栗山ゆりの会 ハローENJOYU施設長の寺尾孝士先生を、北海道よりお招きして、「知的障害の重い自閉症の人達への支援について 〜成人期の実践をふまえて幼児・学齢期に育みたい事〜 」のテーマで、「第117回(令和4年度 第1回)育てる会 自閉症啓発セミナー」を開催いたしました。
先生には、育てる会事務局のおひさまサロンにてお話をいただいたのですが、新型コロナの終息もみえないところから、一般の参加者にはZoomを使用してのオンラインでの開催といたしました。
参加したスタッフからの報告と、視聴された参加者の方からのアンケートが届いていますので、一部ですが紹介します。

2022年5月21日(土)、寺尾孝士先生の講演会「知的障害の重い自閉症の人達への支援について」のテーマでのZoom講演会に参加しました。
講演会の中で、成人期の重度の知的障害をもつ方の入所施設での先生の体験談も交えながら、成人期の実践をふまえて、幼児・学齢期に育みたいことについてお話しいただきました。
まず、先生ご自身の経験から、その人その人に合った教育・支援を幼い頃から受けてくることがいかに大切であるかを教えて頂きました。
入所施設を利用している人達の状況として、12年間の教育を受けてきたにも関わらず、年齢や機能レベルに応じて基本的なことが身についていない状況がある。
その結果、要求・拒否・注意喚起が全て自傷行動となっている。
自傷行動でしか、相手とコミュニケーションを取れない状況になっている。
それに加え、一人での時間つぶし=余暇の過ごし方が身についていないといったことなどで、誤学習を積み重ねてしまい、強度障害につながってしまう
・・・幼児期の支援に携わっている自分にとって、このように不適応な行動を繰り返す大人の自閉症の方を想像できていなかったので、大変衝撃を受けました。
けれど、「これは本来の彼らの姿ではない、自閉症だからとか、重度知的障害だからとかという問題ではない」と言われ、そうだよなと感じました。
実際に、私の関わっている子どもたちは、コミュニケーションや社会性に未熟さはあれども、良く学び、好きなことや得意なことを各々に持っています。
そのことから考えても、結局はその人に合った教育・支援を受けてこられなかったことで、誤学習が積み重なっていき、その結果が強度行動障害を引き起こすのだという内容をお話しされ、納得しました。
そして先生は、いつもカバンに入れて持ち歩いておられるという2004年の毎日新聞の記事を紹介されました。
その内容は、『自閉症の長男にはパニックや多動があり、養育困難な状況であった。追い詰められた母親は、「分からなくなりました・・・」という遺書を残し、その長男と妹を手にかけ、母親自身も自殺した』というものでした。
この記事の内容をお聞きした時には悲痛な思いで、胸がいっぱいになりました。
けれど現実に起きている問題です。時間がたって、もう少し色あせ、すり切れそうになった記事を今もこうして大切に持ち歩かれているところに、二度とこうしたことを起こしてはならないという、先生の支援者としての熱いお気持ちが伝わってきました。
また、2022年2月の北海道新聞、これは最近の記事でしたが、知的障害者施設での居室施錠の状況が報告されていて、多いところで約15年のあいだ、1日に20時間以上という状況もあるとのことでした。
先生は無理心中の記事から約20年たった今でも社会の現状が大きく変わっていないことに触れられながら、「行動障害は彼ら自身の責任ではない。かかわる側のやり方に大きな問題がある。私たちかかわる側の責任なのだ」と言われ、彼らのことを理解せず、彼らに合った支援・教育をできないことが結果としてこのような状況を生んでしまっていることをお話しされました。
そして、この様な状況に至らないための一貫性かつ持続性のある教育、支援が大切なんだということをお聞きした時、改めて今、自分が携わっている仕事は『尊厳ある大事な一人の人生に影響を与える』といった意味では、責任が重いなと実感しました。
そして、先生の言われた「知的障害のある方の支援には、知的障害の支援法と、自閉症の支援法の両面からのアプローチが必要である」との部分も、肝に命じておかなければならないと感じました。
知的障害をもつ方の場合は、何かに取り組む際も、できなさや困難性が高いため、「失敗体験」を積みやすく、意欲が育ちにくいのだそうです。
その人の強みを生かした内容の活動・興味関心を生かし本人が取り組みたくなる活動を考え、成功体験から自信や意欲につなげていくことが大切なのだと痛感しました。
自閉症の方が、このような悲惨な人生の結末を迎えないために、何が必要か?安定した成人期を送られている人の例から挙げられたものは、以下のものでした。
「周囲の人への基本的な信頼関係・安心感が育っている」
「コミュニケーションしようとするマインドと力が育っている」
「自分の長所生かす場面をもっている」
「周囲と調和した対処の手段をもっている」
「能力に合った自立スキル、働く意欲、適切な余暇などの社会的な適応力をもっている」
そして、これらのことを身に付けていく上で、意識しておきたいこととして、
★ 構造化により理解しやすく見通しのつく環境の中で信頼感・安心感を高める
★ 本人の得意や興味を生かし成功体験を積みながら発達を促す
★ GOODのフィードバックで適切な行動を学び、できた実感を得られるようにする
★ 将来を見据えた支援(コミュニケーションの理解・表出、身辺処理を一人でできるようになること、自己選択・自己決定、余暇時間を一人で過ごせるようになること等)を提供することの大切さにも触れられました。
その中でも特に、『自己選択・自己決定』に取り組むにあたり、本人が経験をしていないことは選択できないので、様々な経験や知識を増やしながら選択肢を増やしていくことが大切であるとお話され、これも支援者として、お子さんが幼児期のうちから意識しておかなければならないことと感じました。
寺尾先生の経験談をお聞きしている中で、今自分がかかわっている就学前のASDをもつお子さんの10年後、20年後をイメージしながら、今取り組んでいることが、そのお子さんの生活の『どの場面で』『どのように』活かしていけるのかもイメージしながら、療育にあたっていきたいと感じました。
人生の最後に本人が「“生きていて良かった、幸せな人生だった”と感じることができるだろうか?」
先生から投げかけられた言葉はとても、強いメッセージとして印象に残りました。
寺尾先生の貴重な体験談を交えての講演は、知的障害をもつASDの方が成人期になった時の様子をイメージしながらお聞きすることができ、大変貴重な学びの場となりました。
そして最後に、今幼児期というとても大切な時期を過ごすお子さんにかかわらせていただく立場として、“これは難しいかな、できないかもしれない”と先回りして可能性の芽を摘まないように広い視野を持ち、目の前のお子さんの幸せな成人期に向け、保護者の方と一緒に丁寧に丁寧に積み上げていきたいと思います。
療育スタッフ:T

○ 知的障害のある自閉症の人をテーマにしたお話はあまりないため、とても興味深く聞かせていただきました。いろいろな年齢の方のお話を聞くたびに、幼児期からの一貫した取り組みが必要であることを感じています。
所属機関が変わり、担任が変わっていく時期だからこそ、必要な情報が正しく引き継がれていくようにしていきたい、と感じます。
○ 現在関わっている子ども達の将来の姿を見通した支援のあり方について、改めてその大切さを感じることができました。自分なりにそう考えていたことに、これでいいのだと思えたことと、さらにもっとアセスメントと構造化をしっかり行うことの必要さを感じ反省する部分も多かったです。今のタイミングでお話を聞くことができて本当によかったです。今後の支援にしっかり生かしていきたいと思います。
○ 知的障害の重い自閉症の子に焦点を当てた講演は初めてだったので、知りたかった事ばかりでとても勉強になりました。日々の大変さに疲れてバタバタと過ぎていく毎日でしたが、出来ることから一つずつやっていこうと改めて思うことが出来ました。
うちの子も将来、幸せな人生だったと思ってくれるような生活ができれば・・・と思いました。もう一度配信でも見直そうと思います。貴重なお話をありがとうございました。
○ 始めから最後まで、とてもわかりやすく、身に染みる内容でした。入所施設支援をしていた際の頃を思い出し、反省することも多かったです。
成人期までに身につけておかなければならい基本的なことを、ご本人にあったやり方で身につけてもらうこと大切であることを、改めて感じました。
○ 学校の教員は1年が勝負と言われて久しいと思います。
私自身この1年でできることは何かと考え、日々苦闘しているところです。
一貫した指導・支援が必要とは学習指導要領等でも言われていますし、そのために支援計画や指導計画を作成し、次年度への引き継ぎを行っています。
高等部の教員ですので、卒業後の生活は意識しているものの、本日寺尾先生のお話をお聞きし、忸怩たる思いがありました。あまりにも卒業後の様子を知らないように思いました。
できる範囲で様子を聞いたり、見に行ったりし、反省したいと思います。

令和4年度 支援者対象 現場の先生のための即実践講座 

いよいよ、令和4年度 即実践講座がスタートしました。
第1回は、今回の企画をプロデュースしていただいた、梅永雄二先生による「自閉症の特性理解と支援の基本」の講義でした。
日本でも、ジョブコーチなど自閉症者の就労支援も進み始めたと思っていましたが、アメリカでは本人がトレーニングを受けるだけでなく、雇用主や上司が自閉症の特性理解についてトレーニングを受け、会社の貴重な戦力として採用されるそうです。
一口に「特性理解と支援の基本」」と言っても、まだまだ大きな差があるようで、目からウロコのお話でした。
これから、一年間、はたして何枚のウロコが落ちるのか、楽しみにしています。
それでは、第1回に参加された支援者のみなさまからの感想です。

○ 基礎から具体的に丁寧にお話していただき、とても面白く、たくさんの学びをいただきました。専門用語をわかりやすくお話してくださったので、「ご家族への説明の時、こういう風に話すと分かりやすいな」「あの子の学習スタイルはこう説明すると園の先生とも共有できるな」など、メモいっぱいです。また、次回以降のお話にもつながるお話をしていただいたので、「楽しみだな」という気持ちにもなりました。
○ アメリカと日本の文化の違いから、職場や学校での自閉症支援の考え方が違うという所が興味深かったです。アメリカには多様な人種が住んでいる事から「肌の色も瞳の色も皆違う。色んな人がいる」という考えが根付いており、自閉症の方に対する理解もその考えからきていると思っていたので、「国に貢献すべき」という考えから自閉症の人も働ける環境を整えているというのがそんな考え方もあったか!と思いました。
○ 自閉症児・者の支援の現場での実践と、先進地域での学習したことを取り入れた試行の中で、支援がバージョンアップされていることが理解できました。また、あたたかい眼差しと支援者の熱い想いが、お話の中から伝わってきて、毎回本当に元気づけられます。心理療法の中でも、関係者が定期的に集まって肯定的な会話を継続することが、一番効果的であるように聞いています。自閉症支援の現場でも、本人の思いや学習スタイルを尊重しながら、本人だけでなく、受け入れる関係者の理解や具体的な支援スキルを高めて行くことが大切になっていることを改めて理解できました。
ありがとうございました。

  『 令和4年度 第2回 現場の先生のための 即実践講座
      大人になって幸せになるために 〜ここから始まる自閉症支援〜 』

日 時:令和4年6月16日(木) 19:00〜21:00
場 所:オンライン開催(ZOOM) 
テーマ:「TEACCH Autism Programによる自閉症支援
        〜アセスメントとプログラム紹介〜」
講 師:加藤 健生 氏(社会福祉法人 はーとふる)
総 括:梅永 雄二 先生(早稲田大学 教授)
主 催:NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会
参加費:一般 23,000円、賛助会員 20,000円 全10回分
申込・問合せ:Tel.086‐955‐6758、Fax.086-955-6748
        E-mail acz60070@syd.odn.ne.jp

令和4年度 支援者向け 発達障害支援 夜間連続講座 in 赤磐市

いよいよ6月より赤磐市と共催の発達障害支援夜間連続講座が始まります。
今年度の講師は京都市発達障害者支援センター「かがやき」のセンター長を務められている、児童精神科医の村松陽子先生です。
年間を通してのテーマは「発達障害支援 知っておきたい基礎知識 〜今、支援者の方に伝えておきたいこと〜」で、初めて自閉症児・者の支援にあたられる方にも理解しやすいように基礎からお話いただきます。
もちろん、経験のある方にも、回が進むにつれ「診断の告知と自己認知」「薬物療法、医療受診など医療での支援」のテーマのように、児童精神科医の立場から、支援者の方に伝えておきたい話など、貴重なお話がお聴きできると思います。
赤磐市在住・在勤の方には資料代だけで参加いただけますが、Zoomでの開催となりますので、全国の支援者の方にも聴いていただきたいお話です。大勢のみなさまの参加をお待ちしています。

  『 第1回 支援者向け発達障害夜間連続講座 in 赤磐市 』

日 時:令和4年6月21日(火) 19:00〜21:00
場 所:オンライン開催(ZOOM)
テーマ:「発達障害の人への支援 〜特性に気づき、理解し、支援する (1)〜」 
講 師:村松 陽子 先生(児童精神科医:京都市発達障害者支援センター センター長)
主 催:赤磐市、岡山県自閉症児を育てる会
参加費:赤磐市在住・在勤者 無料、一般 13,000円、賛助会員10,000円(全10回分)、別途 資料代 各7000円(10回分)
申込・問合せ:Tel.086-955-6758、Fax.086-955-6748

令和4年度 支援ツール勉強会

お待たせしました。今年も澤 月子 先生による 支援ツール勉強会が始まりました。
第1回は5月30日に開催ですので、この会報が届く頃には「大好評のうちに開催!」となっていると思いますが、詳しい報告は来月号でお知らせします。
講義部分については、見逃し配信もありますので、今からでもどしどしご参加ください。
第1回は「オリジナル 支援ツールを作ろう!@」として、見通しを示すスケジュールや活動の流れを理解するための支援ツールについて教えていただきます。
質疑応答や参加者同士の交流もありますので、可能であればリアルタイムでの参加をお勧めします。
正会員の方は無料ですので、これを見逃す手はないですよ (^^♪

  『 令和4年度 第2回 支援ツール勉強会 』

日 時:令和4年7月11日(月)10:00〜12:00
場 所:オンライン開催(Zoom)
講 師:澤 月子 先生(社福 南山城学園 スーパーバイザー)
参加費:正会員 無料、賛助会員・ぐんぐん利用者3,000円(全6回) 講義部分のみ、見逃し配信あり
申込・問合せ:Tel.086-955-6758、Fax.086-955-6748

令和4年度 育てる会総会 の 報告

令和4年5月25日(水)、令和4年度育てる会総会が、育てる会事務局において開催されました。すべての議案が提案通り可決されました。
正会員の方には承認された令和3年度 事業報告、活動決算報告、令和4年度 役員、事業計画、活動予算を同封しておりますのでご確認ください。
みなさま、ご協力ありがとうございました。

OHAの会の報告とお知らせ

OHAの会は高機能自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害で知的障害のないタイプの子どもを持つお母さんのための会です。
5月15日(日)、新OHAの会がスタートしました。
講師の高橋和子先生は、現在、言語聴覚士・臨床発達心理士・特別支援教育士スーパーバイザーとしてご活躍されています。
また、現在36歳の高機能自閉症のお子様を育てられた先輩お母さんでもおられます。
この度、ご縁がありまして、OHAの会として高機能自閉症を育てる上で大事なことや大切なことを1年間通して先生から学ぶ機会をちょうだいしました。
参加者のみなさんにとって、毎日の子育てのヒントがたくさん詰まっていると思います。
まず第一回目は、『高機能ASDと診断されてどう考える?』と題して、はじめに自己紹介などを交わしながら、アットホームな雰囲気の中、開催されました。
当日参加された方には、高機能ASDと診断されたときの気持ちなどもお話できる範囲内でお聞きしました。
それぞれに診断時抱いた想いなどを知ることができました。その上で、1時間程度のお話を講義形式でしていただきました。
たくさん療育を受ければいいのではなく、普通に合わせるのではなく、その子に合わせた療育や支援が大切で必要だとお話されました。
その支援をコーディネートできるのは親だけだという言葉も心に響きました。
最後に幸せな大人になれることを目標に、みんなが子育てを前向きにとらえることができるお話でした。
次回から内容もとっても聞きたい!とても楽しみなスタートとなりました。
(事務局 K)

次回は、6月18日(土)10:00〜12:00(正会員限定)

  『 高機能ASD 成長に伴いどんな人になる? 』
      ― 高機能ASD児者の育てにくさ・生じる問題 −

全10回 年間4,000円(講義部分のみ、後日配信あり)
※ 当日は、先生と実際に会話やメッセージのやり取りをしながら進めていきます。
丁寧にアドバイスもしていただけます。是非、当日のご参加お待ちしております!!
途中参加も可能ですので、申し込みがまだの方は、お申込みお待ちしております!!
第1回に参加されたお母さん方からの感想です。

○ 高機能自閉症についての客観的な説明を織り交ぜつつ、周りがどのような支援をすれば本人が将来幸せな大人になれるか、というお話でした。療育のお受験化問題、語用論、「やる」と「やらない」の間の箱など、聞いたことのないお話がたくさんあって面白かったです。初めて見る専門用語もありましたが、質問したら先生がお子さんのエピソードと共に丁寧に教えてくださいました。どうもありがとうございました。また次回楽しみにしております。
○ 先生のお子さんのお話もうかがうことができ、とても説得力があるお話で私もがんばりたいなと思えました。
子育ては今ばかりを見ずに、先の成長を信じること、それと今できることを一つ一つやることの両方が大事なのかなと感じました。

第1回 サッカー&ドッチ スポーツクラブ

今年度、第1回のスポーツクラブのご案内です。
コロナもようやく落ち着きをみせてきたようで(感染者数が高止まりしているのが気になるところですが・・・・)、体育の授業や通学路でのマスクは不要となりそうですね。
今年は、感染予防に気をつけながらではありますが、サッカー&ドッチ スポーツクラブも年間を通して開催できそうです。
先月号のチラシでもご案内した通り、岡山大学児童文化部さんの協力をいただいて、岡大体育館において、年5年の開催予定となっています。

  【 第1回 サッカー&ドッチ スポーツクラブ】

日 時:令和4年6月12日(日) 10:00〜12:00
場 所:岡山大学 体育館
参加費:1000円(全5回分)
       以後の予定 A 9/4(日)、B 11/13(日)、C 1/22(日)、D 3/5(日)
申 込:Tel.086-955-6758(事務局)(正会員限定)

AAO活動 参加者募集のお知らせ

AAО活動は、親が企画した内容に沿って、子ども1人に対してボランティアさん2人で街の中へ出掛け、いろいろなことを体験する活動です。
活動内容は親が企画するので、映画・カラオケ・ボウリング・公園・電車・レストラン・お買いもの等。
子どもの喜びそうな楽しい計画を無理のない範囲で立てることができます。
もし、どのように計画を立てればよいか悩まれたときは相談にのりますので、少しでも興味を持たれた方は、参加してみてください。
お申し込みくださった方に、担当者から個別に活動についての詳しい説明を行っていますが、説明を聞いてから参加するかどうか決めたい場合は、申し込み時にお伝えください。
新型コロナウィルス感染症の様子を見ながらの活動になりますので、活動の縮小・中止もあるかもしれませんが、参加者募集はこの時期しかないことと、活動期間が3月末まであることから、募集・活動説明は進めていきたいと思っております。
「チャレンジさせてみようかな。」と思われた方は、6月15日(水)までに 育てる会事務局( 086-955-6758)へお申し込みください。
みなさまの参加をお待ちしております。
AAО活動についての詳しい内容は同封のチラシをご覧ください。(正会員限定)
(担当 M.N)

はやぶさの会 お知らせ

自閉スペクトラム症の男の子たちの友達作りの会、「はやぶさの会」です。
小・中学生の男の子たちとその親たちで活動しています。
はやぶさの会では、グループLINEで活動計画などを立てています。そのLINEに今月2名の新しい方が参加してくださいました。
友だちづくりは、なかなか簡単にはいかないこともあります。でも、継続して参加していくことで、少しずつ「またあの子に会いたいな」「次はこんなことがしたいな」と感じ合えるようにもなると思います。
年齢層も幅広くなってきて(小学校低学年〜中学生)、なかなか時間や活動などが合いづらいこともありますが、無理なく楽しく参加していただくことで、友だちづくりができていけるといいですね。

  【 次回のはやぶさの会 】

日 時  令和4年6月12日(日)昼間
場 所  岡山県内 遊園地(参加者にお知らせします)
参加費  はやぶさの会としては無料(入場料や昼食代など自分達で使う分は各家庭持ち)
対 象  育てる会正会員・小学生以上の男の子とその保護者(正会員限定)
     (女の子は参加できません。また、診断が出ていない兄弟も参加できません)
引き続き新しいメンバー募集中です。ぜひ事務局(086-955-6758)までお問合せください♪
(担当:M.S)

水泳教室からのお知らせ

日 時:令和4年6月19日(日)15:30〜17:30
場 所:OSKスポーツクラブ(岡山市北区絵図町1−50)
連絡先:育てる会事務局(086-955-6758)(正会員限定)
★新たに参加されたい方、体験されたい方は事務局までお問い合わせください。
体験してみたい方は、2回までOKです。(1回 1000円)プールは正会員限定で、育てる会の貸し切りで使っていますので、安心してお越しください。
★欠席される方は6月16日(木)までに事務局に連絡してください。
(担当:I & S)

ちゃーちゃん日記 (あるASDの女の子のお話)

ASDの子ども二人を育てる母親であり、AS当事者でもある私のこれまでの日々や現在の様子を紹介するコラムです。
脈絡ない話や時系列が昔だったり今だったりで、分かりづらいかもしれません。
思い出したままをお伝えしていくので、整理されていませんが、お気軽な気持ちで読んでいただき、良ければ「おもろいな!」「不思議!」と皆様の身近にいるASDの人たちの感じ方や暮らし方を知ることに少しでも繋がればと思っています。
今日のお話は、「同時に二つのことができない」という話です。
ASの特性としてよく聞きますよね。
でも、なかなかイメージがわかないということも聞きます。実際同時に二つ以上のことができない、という人が多いのは分かるけど、なぜできないんだろう?となるようです。
私のように特性が強い人間からすると、むしろ「一般の人はなんであんなに色々なことが同時にできるんだろう」となります。
たとえば、私は「歩き飲み」ができません。
歩きながらペットボトルから飲み物を飲むということがとても苦手です。どうなるかというと、こぼします。
立ち止まっている時・椅子に座っている時は、飲むときにこぼすことはめったにありません。
歩きながらペットボトルの蓋は開けられます。でも、角度をつけて飲むというのは、かなり高度。
そのため、立ち止まって飲んで、そして蓋を閉めてから、また歩き出します(歩きながらペットボトルの蓋を閉めようとすると高確率で蓋を落とします)。
ちなみに「座っていても、たまにこぼす」のはどういう時かというと、これまた同じで、何か考え事をしていたり、誰かと話していたり、話を聞いていたりすると、コップの角度にまで注意が向かないので、「ゲホッ」とむせたり、口に入りきらなくてこぼれたりします。
同時に二つのことというと範囲が広いのですが「しゃべりながら食べる」ということもとても苦手です。
今はコロナ禍なので孤食推奨で困ることもなくなったのですが、小中高などでは班やグループごとに食べながらおしゃべりをするというのが決まりのようなものでした。
そうすると、しゃべっていると手が完全に止まります。また話を聞こうと頑張っていても手が完全に止まります。
なので、チャイムが鳴ってハッと気づくと、まだ半分以上ご飯が残っている。そこで慌てて掻き込むようにして食べるんです。消化に悪くてしんどくなる。それがしょっちゅうありました。
また、食事マナーを考えながら食べることも難しいです。
たとえば「魚の骨を取りながら食べる」ということ。骨を取るなら全部取りきってから食べ始めないと、少し骨を取っていて途中で思わずお腹が空いて食べ始めてしまうと、骨を取ることをすっかり忘れてしまい、いちいち「いて」となりながらハンカチで隠して骨を取って、また食べて「いて」となる・・・。
つまり、飲み食いをしている時は、一つのことだけに集中しないとダメなんですよね。
でも、咀嚼すること・飲み込むこと・消化することは意識しなくてもできるので、まだ楽かなと思います。
最近魚の骨問題は克服したのですが、きっかけは子どもたちに骨を取ってやってから食べるということをしていたことです。
「あれ、これ自分が食べる時にもこうしたらいいじゃん」
「ということは、肉料理でステーキとか食べる時も、いちいちナイフとフォークで試行錯誤しなくても、最初に全部切ってから食べ始めたらいいんじゃん」
ということに気づいたことからです。
つまり、ここ数年のことなんですよね。気づくのが遅いというかなんというか・・・。
「よくここまで無事に大きくなったねぇ」とたまに言われます。
なかなか大変ですが、奥深いし、毎日が発見の連続です。「面白いね」「なかなか苦労してんね」と笑っていただければ幸いです ^^ノ
(ちゃーちゃん)

お母さんコラム

小6でASDの診断のある特別支援学級(自閉症・情緒学級)に通う息子と、5歳(年長)でASDの診断のある保育園に通う娘を持つ母が、普段の我が子との日々をつれづれに書いているコーナーです。
どうぞ気軽な気持ちで読んでください。
先月の会報で紹介した「お友達」の話の続きです。
息子は、ゴールデンウィーク前後から「お友達」とのやりとりに目覚めています。
電話をしあったり、一緒に遊びに出かけたり、誘い合って休み時間に遊んだりしています。
支援学級の他の学年の子とも遊びますし、交流学級(通常クラス)の子とも遊びます。
大体長時間になりすぎると、お互いしんどくなる(飽きたりちょっと楽しくなりすぎて力加減が△になったりする)ので、子どもだけで遊ぶ時(大人は駐車場で待つスタイル)は2〜3時間程度。
大人も一緒にいる時(誰かの保護者が同伴)は昼〜夕方ぐらいまでとしています。
また、大人数になりすぎると、それはそれで制御不能になるので、一緒に遊ぶ人は多くても4人ぐらいまでとしています。
この決まりも厳しいかなーとも思うのですが、何せ成功体験から始めないと難しいわが子。
親同士がLINEや電話でアポを取り(電話の日にちもですが、遊ぶ日としてどうしても無理な日はお互いに避けて)、子ども同士電話で「どこいく?」「何時からにする?」「なんか持っていく?」などをドキドキしながら相談です。
毎日会っている相手なのに、電話となるとまた違うようで、息子は平静を装っていますが、母は少し離れて見守っていてもドキドキです。
電話を切ると「楽しかったー」「良かったー」「約束以外の話もできたよー」などニコニコしています。
遊ぶ内容としては「グラウンドで遊ぶ」「近所の公園のアスレチックで遊ぶ」「飼っている猫を見せてもらいに家に遊びに行く」「フリスピーしに行く」などで、本当に身近な遊び方です。
徐々に「映画に誘ってみようかな。なんの映画に興味があるかなぁ」
「一緒にプールとか行きたいけど、女子が他にもおらんと、たぶん嫌だと思うから、もう一人誰誘おうかな」
など色々夢を広げながら活動も考えているようです。
先日、校外行事があった際、息子が何だか良い表情で「母さん」と声をかけてきました。
「今日の校外行事の時にさ、弁当だったじゃん」
  「うん」
「弁当を食べる班とかって別に決まってないから、どこで誰と食べてもいいんよ。時間は決まっとるけど」
  「ほう」
「でさ」
  「うん」
「まぁ、班の人に声をかけて、一緒に食べようって誘おうかなと思ってたらさ」
  「うん」
「〇くんと△ちゃんがさ」
  「うん」
「班が違うのに、『こっち来て一緒に食べようや』って声かけてくれたんよ」
  「へぇ」
「俺さ、たぶん班以外の人でそういう風に声をかけてもらえたのって始めてなんよな。
それってさ、もしかしたら偶然なんかもしれんけどさ、俺と一緒におりたいって思ってくれたってことじゃん? 
そういう風に思ってもらえたのが嬉しかったんよな」

  「いいねー(じーん)」
「なんか、その話を、母さんに聞いてほしいなって思ったんよ。そんだけ」
  「良い話だね」
「じゃろ?」
  「母さんもその話聞けて嬉しいわ。ほんと良かったね。良い話を教えてくれてありがとね」
「いや、俺は自己満足で話ししたかっただけじゃから。でもありがと」
マイペースな息子だし、煩わしい人間関係で疲れてしまうぐらいなら、一匹狼もいいじゃん、なんて思っていた母ですが、今2022年の息子は同世代の付き合いを求めているんですよね。すごく成長を感じる時間になりました。本当に一年前・一か月前・一週間前の本人からは想像つかない姿を、いつもいつも見せてくれます。発達がゆっくりだけど、それだけ喜びも長く楽しめるのはASDの子どもの子育ての醍醐味なのかもしれませんね。
(cyacya)

 ぐんぐん だより 

ぐんぐんぴっぴ (就学前)  

山の新緑が眩しい季節になってきています。キラキラとした緑たちとは裏腹に、朝は肌寒く日中は汗ばむ陽気、と1日の気温差に体がついていけない日があるのはわたしだけでしょうか。
皆様もどうぞ体調管理に気をつけてお過ごしくださいね。
今回は療育の姿を通して、『本人に分かる伝え方の大切さ』を保護者と共有できたA君親子のエピソードをご紹介します。
ある日、Aくんの保護者から、「園の玄関で、すのこの上に靴のまま上がり、靴箱まで行ってしまう。私(母)としては、すのこの手前で止まって靴を脱いで欲しいと思っているんですけどね」、とお話をお聞きしました。
「Aくんにどんな風に対応されているんですか?」と尋ねてみると、「毎朝、繰り返し声を掛けています」とのことでした。
「繰り返し言ってるけど、どうも伝わっていないみたいで、、、」と少し残念そうな表情が印象的でした。
たしかにお母さんの話からはAくんにすのこの上に靴で登ってはダメ、すのこの手前で靴を脱いでから靴箱まで行ってほしいということは伝わっていない様子です。
療育の中でもAくんは何を求められているのかよく分からない時には、こちらの指示に応じづらいことがあります。
一方で、Aくんが分かる伝え方で伝えるとこちらが期待する通りの行動をとることができる姿から、Aくんが“分かる伝え方”が大切なのではないかと支援者として考えました。
そこで、「一緒にAくんが分かる伝え方を、ぴっぴの中で見つけてみませんか?」と、保護者の方に提案したところ快諾していただけました。
「せんせいとあそび」の時間のことです。
お母さんから、最近Aくんは家でバスケットボールのようにボールを入れる遊びが好きであることを教えていただきました。
さっそく、ぴっぴでもA君にボールとバケツを見せながらバスケットボール遊びに誘ってみたのですが、今いちの反応で、バスケットボールを楽しむどころか、ボールを一回投げて、そのままボール遊びが終了してしましました。
どうやらバスケットボールをしようと誘ったことがAくんに伝わっていなかったようです。
お母さんに「お家ではじめてバスケットボールをする時はどうやってAくんに伝えたんですか?」と尋ねたところ、「私(お母さん)とお父さんが、ボールをカゴに入れて遊ぶところを見せたらやり始めました」と教えてくださいました。
そこで、ぴっぴでも支援者と母でボールをバケツに投げて入れるころを見せてから遊びに誘ってみました。
するとどうでしょう!!前回とは反応が違い、大喜びでバスケットボールを母や支援者と楽しむことができました。
Aくんはバスケットボール遊びがしたくなかったわけではなく、ボールとバケツを見せられても何を求められているのかが分からなかったのです。
しかし、実際にどうやって遊ぶのかを見ることで、ボールを投げてバケツに入れるってことね!と理解することができたのです。
このことから、Aくんに分かるように伝えるって大事!!ということをお母さんと確認しました。
そして、お母さんより
「繰り返し言えば分かるかなと思っていたのですが、実際にやり方を見せる方が伝わりやすいことが分かりました」
「園の玄関でも今日の様に、私(母)が実際にやって見せてあげたら、伝わる気がします」
とお聞きすることができ、「ぜひ、やってみてください!」とエールを送ってその日の療育を終えました。
そして翌週、「先生、できました!完璧です!」と嬉しい報告をいただきました。
「うちの子にわかるように伝えるって大事なんですね」と素敵な笑顔を見せてくださったお母さんを見て、私も思わず笑顔になりました。
ぴっぴの療育時間中には、保護者からさまざまな悩みや質問が寄せられることがあります。
その時わたしたち支援者はお子さんの視点、つまりASDの特性や学習スタイルを通して考えるようにしています。
本人に分かるように伝えるやり方があることは、子どもにとって分かってできたという自信になりますし、伝える側にとっても、伝わった、分かってもらえたという手ごたえを感じることができます。その手ごたえがあることで手探りながらの子育てに安心や自信が少しずつ生まれるのだと思います。
今回、その子に分かるように伝えるやり方が見つかったのは普段の様子を教えてくださる保護者の協力あってこそなのだと思います。
これからも親子同室というメリットを最大限にいかして一人ひとりのお子さん合った伝え方を保護者の方と共有できるようにしていきたいと思います。
ぐんぐんぴっぴ療育スタッフ:M

赤磐ぐんぐん (就学前)

新年度になり2か月が経ち、新しい生活に不安やドキドキだった
お子さんたちも、徐々にリズムがつかめてきて、落ち着いた頃でしょうか。
私は普段、相談員としてお仕事をさせていただいています。今年度、育児休暇明けの先生が返ってくるまでの応援スタッフとして、久しぶりに「療育スタッフ」として勤務することになりました。
最初は正直不安でした。私は初めてのことが苦手だし、慣れるのにちょっと時間がかかるタイプなので、正直赤磐ぐんぐんでお役に立てるか・・・。
ですが、ご家族の皆さん、優しい赤磐ぐんぐんスタッフの皆さんに助けられ、そして、何より赤磐ぐんぐんの子どもたちの笑顔に触れると、幸せな気持ちにさせてもらいました。
貴重な経験をさせていただいたと思います。
今回療育スタッフとして相談員とは違う立場で仕事をする中で、改めて「『療育』って何だろう?」と考える時間となりました。「治療」でも「訓練」でも「教育」でもない、「療育」って一言では語れないものです。療育事業所は、赤磐ぐんぐん以外にもたくさんあります。
小集団を大事にしているところ、個別に力を入れているところ、言語療育や運動療育を専門にしているところ、LDへのアプローチを頑張っているところなど様々なようです。
この数年でたくさんの事業所ができ、内容も様々に充実してきていて、選べるほどの数になってきた有難さと同時に、お子さん自身に合っているところを考える力も必要になってきているように思います。
皆さんが療育を利用するきっかけとなったのは何でしょうか?
「病院の先生から勧められた」
「通っている園の先生から勧められた」
「知り合いが教えてくれた」
など、様々な理由で療育に繋がっておられると思います。
また、療育に希望しておられることも
「集団の中で困らないようになってほしい」
「勉強や運動の力を伸ばしてほしい」
「イライラしたときに乱暴な物言いをしないでほしい」
「子どもが楽しく過ごせる場がほしい」
など、子育てでのお悩みは一人一人違うからこそ、様々です。悩ましいものですね。
相談員として仕事をしていると、長年療育を受けてきた方や療育卒業後の方とお話する機会があります。
先日、赤磐ぐんぐんを卒業して、小学校1年生になったあるお母さんからこんなエピソードをお聞きしました。
ある日のこと、子どもが怒っていたので、家に帰ってきて話を聞くと、「グループ活動の時に、僕は手を挙げてもいないのに、当てられて発言させられた」ということに怒っていたそうです。
「学校では(授業中)手を挙げた人が当てられて答えるというルールなのに!どうしてなのか納得がいかない!」と言うそうです。
グループ活動ということは、できるだけみんなの自由な意見が聞きたいという暗黙の部分がありますね。
でも、それがお子さん本人には説明されていなかったことで、「教えてもらったルールと違う!」と混乱していた様子です。
この話を聞いてお母さん、
「授業中に違うルールとして『こういう場面では手を挙げていなくても、当たる可能性があるんだよ』ということを、わが子に予告してもらえたらありがたい」
「そうしたら安心できると思う」
ということを先生にお願いしたそうです。
お母さんのお話を聞いて、怒ったり感情が高ぶったりしている時はなかなか何があったかを説明しづらいお子さんから、タイミングを見つつ、とても穏やかに上手に聞き出しておられたこと。
「予告があると安心できる」「理由がハッキリしていると守ろうと頑張れる」というお子さん自身の良いところをしっかりキャッチしておられること。
本人にとってうまくいくために必要な手立てを他の方にも具体的にお伝えできていること。とても上手にお子さんに合わせた子育てをしておられるなと思うエピソードでした。
そのお母さん、「赤磐ぐんぐんで、困ったことや相談事を一緒に整理していただいて、一緒に考えてきたことが、活かせました。ありがたかったです」とお話してくださっていました。
療育で、スタッフの先生たちとご家族が積み上げてきたことが、こんな風に活かされていることに、聞いている私も嬉しくなりました(スタッフたちも手紙をいただき、読んで感動していました)。
家族同室型療育の赤磐ぐんぐんでは、お子さんの言動やスタッフの関わりを同じ部屋の中で、一緒に確認することができるのは大きなメリットです。
「なんでこんなことをするのかな?」
「どうしたらこの行動がなくなるのかな?」
そういう時、赤磐ぐんぐんのスタッフは、とことんご家族と一緒に考えます。
それは、「なぜ」「どうして」を一緒に考えることが、普段の日常生活の中での困ったことのヒントになると思うからです。
療育スタッフが「それはこういう理由だからですよ」「こうしたらうまくいきますよ」と全部答えてしまっていたら、「今、目の前で困っているこのことはどうしたらいいのかしら」「まだ次の療育まで日があるのに・・・」と途方に暮れてしまうかもしれません。
「こうかも」「ああかも」と考えることを一緒に習慣化していれば、「あの時のパターンが使えるかも!?」ということにも繋がると思うのです。
そして、療育スタッフにも分からないことはいっぱいあるので、普段のお子さんの様子やご家族の想いをたくさん聞かせてください。一緒にパートナーとして考えていくのが、赤磐ぐんぐんの良さだとスタッフたちで考えています。
でも、もちろんしんどい時には無理をせず、「今、ちょっとしんどいです」「考える余力がなくて・・・」と教えてくださいね。
ご家族にもお子さんにも「ハッピー」をお届けするのが赤磐ぐんぐんの療育で大切にしている柱の一つですから。
大学時代に児童福祉を学んでいた頃、「仕事には貴賤はないけれど、『子育て』ほど価値のある仕事はないんだよ」と教えてもらいました。
ASDのお子さんの子育ては大変だと思います。
でも、子育てほど大変で、そして素晴らしい仕事はないとも、心から思います。
赤磐ぐんぐんに通う親子が、共に楽になり、好奇心いっぱいで可能性に満ちていて輝く瞳の子どもたちと共に発達していけるこの時を、笑顔で過ごしてほしいと願っています。
赤磐ぐんぐん療育スタッフ:M

ぐんぐんキッズ (小1〜) 

    

今回は、ぐんぐんキッズの余暇の取り組みについて紹介します。
先日の育てる会の講演会でお話をしていただきました寺尾孝士先生のお話の中でも、余暇スキルを教えることの大切さにつてのお話がありました。
余暇スキルは大人になっても続くとても大事なスキルです。
小学生の頃からそこにアプローチしていくこともとても大事なことだと思っているので、ぐんぐんキッズの個別支援計画には、余暇スキルの目標が入っているお子さんもいます。
ぐんぐんキッズでの余暇スキルの取り組みとして、こんな取り組みをしてみました。
まず、ぐんぐんキッズのあそびの時間にできることを一覧にして提示しました。
その中から、自分が遊んだことがある物と、遊んだことが無い物に分けていきます。
遊んだことがある物に分けたことを、今度は、“一人で遊ぶもの”か、“誰かと一緒に遊ぶもの”かに分けていきます。
   
そして最後に、遊んだことが無いものの中から、“あそんでみたいな”と思うものを選んでもらい、あそびのリストに貼ってもらいました。
この作業をして、本人用の遊びのリストを作り上げていきました。
この取り組みをしたお子さんは、あそびの時間になると、何をして過ごそうかと考えて、あそぶことをなかなか決めることができないお子さんでした。遊べないわけではないけど、何をして遊ぶのか、あそびを決めることが難しかったのです。
この分類をする作業を通して、自分がどんなことで遊べるかにはっきりと気が付くことができ、そして、一人でできることなのか、誰かと一緒にすることなのかも整理することができました。
先生とワークの時間に、こうして自分用の遊びのリストを作り、それを自分用のスケジュールに挟んで持ち歩けるようにしました。
そして、いよいよ遊びの時間です。
早速、自分の作ったあそびのリストを見て、選んだものは、、、遊んだことは無いけど、“あそんでみたいこと”として、自分用のあそびリストに分類したおもちゃでした^^
これまでも、そのおもちゃのカードは選択ボードの中に入っていましたが、みんなで共有するボードの情報量が多くて、選ぶことが難しかったのだと思います。自分用に整理されたあそびのリストを作ることで、自分のできることや、やってみたいことがスッキリ整理され、とっても選びやすくなったみたいで、“やってみたいな^^”と思っていたことが選べて、とてもいい顔をして遊びの時間を過ごすことができていました^^
このお子さんの取り組みは、今度は家庭につなげていきたいと思っています。
YouTubeやテレビゲームに偏りがちですが、自分用のリストを作ることで、YouTubeを見ることができない時には、その他のことから、やることを選んで過ごすことができるようになるといいなと思っています^^
余暇の種類が少ないお子さんには、余暇活動を広げる取り組みもどんどんしていきたいと思っています。 おすすめの余暇活動があればみなさんぜひ情報をお願いいたします^^
ぐんぐんキッズ療育スタッフ:K

グループホーム寄付のお礼とお願い

みなさま方から温かいご支援をいただき、無事「すてっぷ 1」が完成いたしました。
ご支援、本当にありがとうございます。

  【 「すてっぷ 1」へのご寄附をいただいたみなさま 】
                         (4.4.26〜4.5.25)

○ ろうきんNPO寄付システム 様(みんなでつくる財団おかやま)
○ K.H 様(赤磐市)
今後とも応援のほどよろしくお願いいたします。
寄付金振込口座  中国銀行 赤磐支店 普通預金 1321755
             岡山県自閉症児を育てる会 代表者 鳥羽美智代

以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
なお会報は正会員・賛助会員の方へは郵送でお届けしています。
もしご希望の方がおられましたら、ぜひ賛助会員に申し込みをお願いします。年会費 3000円です。
応援よろしくお願いします。
申込み方法の詳細は「
育てる会 HP」に記載しています。

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