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令和 4年 7月31日

 

 第291号 

NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会

 291号 目次

     今年の夏の暑さに

      育てる会 自閉症啓発セミナー の 報告
          「門 眞一郎 先生 講演会」

      即実践講座・夜間連続講座・支援ツール勉強会 の 報告とお知らせ

      はやぶさの会・OHAの会・水泳教室・スポーツクラブ の 報告とお知らせ

     ちゃーちゃん日記

     お母さんコラム

     私のお薦め本コーナー
         「対話から始める 脱!強度行動障害」

     近隣の講演会等のご案内

      ぐんぐんだより 

      グループホーム寄付のお礼とお願い

今日の赤磐市の空は曇天です。雨が降りそうで降らない、微妙な空模様。山沿いでは雷雨があるとか、天気予報は言っていました。ひと雨来ると、地面の熱が下がって、少しいい気持ちなのですが、この降りそうで降らないときは、湿度も高く、やっかいな暑さです。
連日の猛暑にぐったりな毎日です。
つい先日までは、泳ぎの苦手な子の為の水泳教室が開催されていた夏休み中の小学校のプールから元気な子どもたちの歓声が聞こえてきていました。もう終わったのでしょうか?? 2階の窓から見えるプールは青い水をたたえているばかりです。今日みたいな暑い日は、プールを開放してもらって自由に入ると気持ちいいだろうな・・・と思う私です。
今年の夏は、ことさら暑いように思います。
この家に引っ越して3年。最初の夏は、クーラーをつけることなく過ごしました。
さすが新しい家は、断熱効果が高いから、暑くないわ〜と言ったモノでした。
次の夏は、暑くてたまらない日中だけ、クーラーをつけました。
今年の夏は、もうダメ、、、、。
一日中クーラーをつけての暮らしです。我慢できなくなりました。本当に暑いからなのか、それとも歳のせいで我慢が効かなくなったからなのか・・・、理由はよく分かりませんが、とにかく家にいる間は、常時クーラーがついている我が家です。
電気代も値上がりして、節約しなければならないはずなのに、困ったことです。
そんな暑い暑い夏のさなか、7月9日には門眞一郎先生による講演会が行われました。
題して「12年間の支援学校生活でしておくべきコミュニケーション支援」。
全国の特別支援学校へ案内チラシを送らせてもらったり、各地の自閉症協会さんからの協力もいただいたり、フェイスブックでも多くの方がシェアしてくださったお陰で、申込が1156人もありました。
全員がリアルタイムでの参加は難しいとのことで、ZoomとYouTubeを併用しての講演会となりました。
育てる会始まって以来の、無料講演会です。
PECSの素晴らしさを、多くの方に知って欲しいと思いました。PECSを知らない方へ伝えたい、知っていても誤解している方に、正しく知って欲しいと思って企画しました。
困っている親御さんや支援者に、そして何より言いたいことも言えず、やりたいことも出来ないまま、それを実現する方策も知らないまま、不適切な問題行動で自分の思いを伝えようとあがいている自閉症の彼や彼女たちのために、この講演会を届けたいと願いました。
「残りの人生をPECSの普及にかける」と言われている門眞一郎先生の思いに共感したことも大きな動機になりました。
講演会の最初に、先生は強度行動障害とコミュニケーションについてお話しくださいました。
なぜ強度行動障害が起こってしまうのか・・・、言いたいことも言えず、誰かに合図してもらわなければ動き始めることができない自閉症の人たちを想像しました。
何か彼らのために言葉以外でも思いを伝える方法を考えてあげなければ・・・と誰しも思うことでしょう。
それを学校現場で出来たらどんなにいいでしょう。学校の先生方も困っておられるはずです。一生懸命やるけれど、どこを向いてどう支援すれば、この子たちの問題行動が変容するのか、、、。大きくなってからでも自閉症の人たちは変わることが出来ますが、小さい頃にPECSにであってさえいれば、自分から、欲しいモノを要求することも出来ます。パニックで伝えるようなことは必要ではなくなるはずです。学校へPECSをという思いで今回講演会を行いました。PECSは応用行動分析に基づくエビデンスのあるやり方です。
12年間もある学校生活で身につけることが出来れば、彼らには、卒業してからもっと多くの実りある人生が開けていると思いました。
たくさんの映像を見せていただきました。小さいお子さんから大人の方たちまで、PECSの導入で変わっていかれた人たちの映像でした。特に印象に残っているのは、大人になった人たちがドンドン変わっていかれる様子が、素晴らしくって、ぜひPECSを学んでもらいたいと切に切に願った次第です。
講演会の詳しい報告が後ろのページにありますのでご覧ください。
育てる会では、何人かのお母さんとPECSのマニュアル輪読会を行っています。
PECSの研修会には参加したけれど、実際に家で取り組もうとすると、「あれ、どうだったかしら??」と思うことが多く、みんなで一緒に勉強しようということになりました。
最初に読んでいった本は、ワークショップのテキストにも使われている「絵カード交換式コミュニケーションシステム トレーニングマニュアル 第2版」
すべてのことがこの本に書いてあります。解らないことがあればこの本を開けばいいだけ、、、、。 
でもね、とっさにどこのページだったかしら? ということ多く、読み続けていく必要を感じます。
ひとりで読むと、読み飛ばしたり、理解しにくいところは、「まぁ、いいか」とスルーしたりするのが常の私です。
でもみんなで丁寧に読んでいくと、「なるほどそうなのか・・・」と気づくことがたくさんあります。
中谷正恵さん・上村和子さんというPECSを生活の中にしっかり取り入れた、実践家の保護者であるお二人にも参加いただいて、学んでいる私たちです。
「PECSサークル 赤磐」というサークル名もつけて、Zoomで活動しています。時々ご都合つけば門先生も参加していただけることもあります。
PECSに興味ある方、一緒に学んでみませんか?参加資格は、PECSのレベル1のワークショップを修了していることだけです。
今はレベル1のワークショップもオンラインで行われていますし、日程も土日の週末、日曜だけの2週、平日午前中の4日間、とバリエーションも多く参加しやすいと思います。
来月の予定は「近隣の講演会等」をご覧ください。
「PECSサークル 赤磐」についてのお問い合わせは、事務局まで(086-955-6758)

さて、育てる会では、従業員のお子さんのための託児を夏休み中行っています。
働くお母さんのための預かり保育、小学生にはミニ学童保育です。
従業員の中にも発達障害をもつお子さんもいて、この保育があるから働けると好評です。
思い返すと私は、息子を抱えて、働きに行くことも出来ませんでした。
やがて小学校も高学年になると、先生からの呼び出しもなくなり、学校へ行っている間は、ようやくお仕事も出来そうな感じになりました。
でも当時から夏休みや冬休みのように長期の休みにお仕事を休める職種はありませんでした。
きょうだいに任せて、子どもたちだけで留守番させることは、まだ不安でできません。
そんな経験から、育てる会は、お母さんたちが働きやすい職場にしたいと願いました。それで始まった託児です。
育てる会の託児では、朝、お母さんの出勤と同時に別棟にある部屋の先生や学生さんに預けて、お仕事終わりの5時半まで預かってもらえます。
そうやって育てる会の託児を利用して、何人もの子どもたちが巣立っていきました。今はその子たちのうちの一番大きな子は、大学生になっています。そして、そのお母さんたちはベテランの支援者となって、今でも働いてくださっています。
私が働けなかった時代と違い、今は日中一時や放課後等デイなどもあって、預かっていただけるのはありがたいことですね。
昔はそんなサービスはなく、学童保育も重度の子、とりわけ自閉症の子は、「預かってもらいたい」と言うことすらかなわない時代でした。
今、育てる会の託児では、大きな子から小さな子まで、年齢や学年を問わず元気に学び、そして遊んで一日過ごします。
それはまるで昔々私たちが、近所の子ども同士、いろんな学年の子が一緒に遊びほうけていた夏休みそのものです。
ゲーム機の持込なしの、純粋に遊びだけの子どもたちの楽しい時間です。
  
いろんな歳の子が一緒の遊びをすることで、年下の子を思いやることも、年長の子は自然に覚えるようです。
託児の為の担当スタッフは毎年お願いしているベテランの先生方、そして、学生さんも手伝ってくださって、楽しい時間はあっという間に過ぎていくようです。
毎年ここが楽しみで、子どもたちは夏休みを心待ちにしています。
そんな働くお母さんに優しい育てる会は、現在、従業員を募集しています。
資格は保育士、教員免許のある方、社会福祉士、公認心理士、理学療法士、作業療法士など・・・。
サービス管理責任者の資格を持っている方は、特に優遇いたします。連絡をお待ちしています。

次は、いつも支援ツールの勉強会でお世話になっている澤月子先生にグループホームのことで相談をしたところ、すぐに「一度伺いましょう」ということで来てくださいました、というお話です。
私たちが日常の支援に行き詰まりを感じていたAさんについての相談でした。
新版K式のアセスメントを早速してくださいました。
言葉で理解できていると思っていたAさんでしたが、アセスメントの結果、言葉だけでは伝わらない部分がたくさんあったことが判明しました。
澤先生から丁寧なレポートをすぐに送っていただき、支援を考え直すきっかけをいただきました。
その折、グループホームも見学していただいて、私たちのグループホームの取り組み方に理解をしてくださいました。
ホップ・ステップ・ジャンプの意味が分かっていただけたことが、ありがたかったですね。ホップで丁寧な支援をすることで、次のステップでの暮らしがスムーズに動き出していることを高く評価してくださいました。
「育てる会から目が離せない」なんてお褒めの言葉をいただきました。
ステップでの何年かでジャンプの民間アパートでの暮らしへの移行がどのようになるのか、注目いただけたらと思います。
自宅から地域での暮らしへの移行のためのグループホームです。
こういう取り組みをやっているところは、全国的に見てもほとんどないというのが現状です。
グループホームも色々あるようです。
先日お話を伺った倉敷のグループホームは、日中支援型のホームだそうです。重度の方のためのグループホームで、お仕事にいくことが出来なくても、日中もグループホームで暮らすことも可能というホームでした。
様々なグループホームが、出来ている中で、私が何年か前にお話しを聴いた横浜のグリーンフォーレストの浮貝明典さんの話を今度の講演会で聴かせていただきます。
東京の自閉症カンファレンスNIPPONの会場でお聴きした、“自宅からひとり暮らしへ”の取り組みはとても素晴らしくて、このお話をぜひ岡山でもと思いました。
お聞きしたところ、浮貝さんがお勤めのこの法人「NPO法人PDDサポートセンター グリーンフォーレスト」は、以前育てる会でも講演をお願いした篁一誠先生が創られたのですが、強度行動障害の方への支援も続けておられるとのことです。
日本におけるグループホームの先進地である横浜の情報を、聴かせていただけると思います。
また同じ自立を目指すグループホームでも、今、厚労省が検討している入居年数を限った通過型・訓練型のホームとの違いについてもお話しいただけるとお聞きしています。
詳しい案内を同封いたしましたので、チラシをご覧ください。多くの方のご参加をよろしくお願いいたします。
なお、今回は個人が映っている映像がたくさん使われるそうですから、プライバシーを守るため、いつもの後日配信はありません。ぜひ当日ご参加ください。よろしくお願いいたします。
私たち親の願いは、親亡き後もあの子達の暮らしが、安定して幸せであることでしょう。
きょうだいや、まして甥や姪に世話になる・・・なんてことは、申し訳ないことですね。
あの子達の自立する力を今のうちにうーんと高めて、彼ら自身で生きていくことが出来るような力をつけていくことが大切と思うのです。
そして、それでも足りない部分については、支援者の方にサポートをお願いする。
・・・そういう考え方で、私たちはグループホームの運営に取り組んでいます。
これからも方針は、『地域での自立を目指す』と言うことです。
重度の知的障害のある子もいる中で、無謀な取り組みでしょうか? いいえ、私はそうは思いません。
自立を目指す取り組みは、たとえ結果として、地域のアパートでのひとり暮らしは難しかったとしても、彼らの人生を成長させることに繋がると信じているのです。
地域の民間アパートに入居出来なければ、育てる会で彼らが入れるアパート作ればいいだけです。
頑張ってお金を貯めましょう。みんなで力を合わせればなんだって出来ちゃう・・・。そんな風に思っている私です。

それではここで、「ほっぷ 1」と「すてっぷ 1」の取り組みを少し紹介しましょう。
まず、「すてっぷ 1」のみんなについてです。
新しいグループホームへ移って3ヶ月あまり、ワンルーム形式の部屋には、すぐに慣れて、楽しそうな6人の住人たちです。
少しずつ少しずつ出来ることが増え、趣味への取り組みも、支援員さんの努力と支えのお陰で、ずいぶん進んできました。
一人一人にあわせたスケジュールと手順書で、家事スキルもグングンと成長している彼らです。
何しろトイレもお風呂も自分専用です。自由で他の人の都合で時間が左右されることもありません。とても開放的な幸せな暮らしだろうと思います。
でも、自由と言うことは、責任も伴います。自分専用のトイレ、自分専用のお風呂は誰が掃除するのでしょうか?
自分でやるしかないのです。
何しろ育てる会のグループホームは自立を目指すホームですから・・・。
支援員さんは分からないことは、しっかり教えてくれますが、やるのは自分です。丁寧に丁寧に「ほっぷ 1」で教わったトイレ掃除にお風呂掃除。
彼らは、本当に律儀に、毎日忘れずに掃除しているようです。なんて健気なんでしょう。お陰でどの部屋もピカピカです。
新しい趣味になればと、スポーツのテレビゲームやカラオケ、こんな卓上ゲームも作ってもらいました。
はじめは支援員さんと一緒にやりながら、少しずつ2人で、3人でというように他の人とも楽しめる形にしていっています。
次に「ほっぷ 1」は、新しい住人さんが、入って現在4人ですが、まもなくもう2人入居予定です。
新しい入居者の方へは、入居前にアセスメントと体験入居をしていただいてから、本格入居が決まります。
私たちで支援が出来るのか、どんな支援が必要なのか、細かくチェックして、ゴーサインです。
お陰で、色々なことはありますが、無事4ヶ月目を迎えて、ドンドンスキルアップの新入居者のみなさんです。
こんなにスムーズでいいのかしら?? なんて言ったら、支援員さんたちに怒られてしまいますね。
はい、いろいろ工夫しながら頑張っておられるのは、支援員さんたちですね。この場を借りて、お礼を申します。
入居している方の中に、時々大きな声が出たり、急に動き出したりする人がいます。
働いている事業所では、よく注意を受けているそうです。
グループホームでは、「特に問題と思えるような行動はない」と思っていました。
先日、世話人のTさんが、こんな風に言いました。
「彼の行動は、事業所でもグループホームでも、それほど変わっていないのではないかと思います。でも、自分たちは、彼が急に大きな声を出したリ、急に動いたりしても、それを特別困った行動とはとらえていない。だから注意もしないのですよ。」
「自閉症の彼らの特性を考えて、そういうこともあるわな〜、どうした急に大きな声が出たのは、なんでかな〜」
原因は今のところ分からないことが多いので、そのままスルーして見守っているだけ、という感じです。何も問題はない。もしあれば危険なことや人への他害は止めますが、大きな声くらいは、それが嫌な人とは会わせないような工夫で乗り切ってしまいます。」
問題行動のとらえ方の違いや環境(場所)によって行動への困る度合いは変わります。
事業所では問題行動、グループホームでは、問題なしです。
そんな「ほっぷ 1」での暮らしは、幸せそうなみんなの顔で分かります。良い支援を続けていきたいな〜と思います。頑張ろう!!興味のある方は、どうぞ見学にお越しください。

さて、お待ちかね我が家の哲平君の話です。(待ってないって?そう言わず聞いてくださいよ〜)
哲平は、「黒ひげ危機一発」というゲームが大嫌いです。
ピューと頭が跳ぶのが怖くて仕方ありません。恐怖で引きつりながら、嫌々スティックを差し込みます。
そこで、黒髭さんの頭に10円玉をセロテープで貼り付けました。ピューと跳ばした人が、この10円をもらえるということにしてゲームを始めたところ、なんと言うことでしょう・・・。
哲平は張り切ってこの大嫌いだったはずのゲームに取り組んだのです。
はじめ連続で私が10円ゲットしたので、悔しがること悔しがること、面白くなってきました。
このゲームは、どきどきはらはらを楽しむゲームですが、哲平は、なんとか10円ゲットを目指して取り組むゲームとなりました。
なんにしても楽しめているのでよかったかなと思います。これなら、みんなとも楽しく取り組めると思います。
このやり方を教えてくださったのは、大阪の中谷正恵さんです。
強化子FIRSTですね。お金のためなら何でもやる・・、そんな我が子のお話でした。
暑い夏は、まだこれからが本番です。
皆さん、お身体気をつけてください。コロナも第7波が蔓延中です。
みんな元気に来月号でお会いできますように、では、ごきげんようさようなら〜
(鳥羽 美千子)

育てる会 自閉症啓発セミナー の 報告

先日、2022年7月9日(土)に児童精神科医:門 眞一郎先生による「12年間の支援学校生活でしておくべきコミュニケーション支援」のセミナーに参加いたしました。
       
今回は参加申し込み者が1000人以上と非常に多いということで、ZoomのみならずYouTube同時配信もされたとのこと。
トータルで約3時間の講演会、終始「本当にこれは無料で聞いてもいいのでしょうか?」と思うばかりでした。
門先生ファンの多さと共に、ASD児へのコミュニケーション支援やPECSへの興味関心の高さの表れですね。
門先生の軽快なトーク&小ネタ満載なお話で、開始5分でハートを鷲掴みにされたのは
・そもそも「コミュニケーション」と安易に一括りにしているものが、どういうものか。
・周りの人がASDの人に伝えるという「理解コミュニケーション」だけでなく、ASDの人が周りに自分のしたいことや思いを伝えるという「表出コミュニケーション」をしっかり保障していく必要性があること。
・音声言語でのやりとりに難しさのあるASDの人に言語でのやりとりのみをコミュニケーション手段として強いることがナンセンスであること。
・応答で選択させる形のコミュニケーション方法は、プロンプト依存で指示待ちになり自分から動き出せない人になってしまう恐れがあるため、自発的要求の方法を獲得していくことが絶対に必要であること。
・自発的なコミュニケーションの方法を持ち合わせていないと、別のあまりよくない手段(例えば自傷や他害や癇癪などの行動)を代替として使うリスクがあること…。
普段の支援ではどうしても「本人が分かるように」「本人が誤解せずに理解できるように」「こちらの伝えたいことをどう伝えたら良いか」という理解の方に気持ちが寄っていきがちなのではないでしょうか。
特に幼児期支援では、ご家族からの相談は「テキパキ身辺自立ができるように」「玩具を自分で片付けられるように」「切り替えをスムーズに」「集団活動に参加できるように」などの要望が多くなり、「理解」の方に焦点が当たりやすくなります。
そういう視覚的な支援は取り組みやすく、本人たちに分かりやすくなることで誤解や混乱が減る=効果的・有効となりやすいです。
ですが、それで本当に良いのでしょうか。
表出コミュニケーションの評価として、コミュニケーションサンプルをご家族と一緒に取ってみると、
「『○○ちょうだい』が言えなくて、『○○がないんだよなー』『使いたいのになー』と回りくどい言い方をしていることが多い」
「ずっと喋っているけど、近くに誰もいないことに気づいていないっぽい。独り言なの?」
「目が合うまで全然自分からはやりとりを開始しないな」
「相手の頭の上に物を落として、存在に気づいてもらおうとしているな」
「『○○いる?』と尋ねられるまで、ずっともじもじしているな」
など、言語が豊富にあってもコミュニケーションの機能や方向性は課題として見えてきます。
今回のお話の中で、PECSの対象となるのは、音声言語でコミュニケーションが取れない人だけでなく、自発的なコミュニケーションが難しい人・対人接近が必要なことが分かっていない人も対象であること(年齢や障害種別は不問)や、カードの理解や弁別などのスキルがない状態でも「ほしいものに手を伸ばす」というスキルさえあれば、PECSに取り組んでいけることを改めて確認することができ、「AくんもBちゃんも当てはまるじゃん!」「チビちゃんだからこそ(自分で無理やり取れない時期だからこそ)やれるじゃん!」という気付きになりました。
お話の中で、PECSは「絵カード交換式コミュニケーション・システム」であり、この「交換式」というところがミソであるという部分のお話にも言及され、相手に絵カードを渡すことで何かをもらう結果を得るという教え方は、まさにABAが基盤になっている考え方だなぁと感じました。
コミュニケーションの意欲が強いおやつや食事場面以外にも、作業場面での様子や、色々なコメントをする様子なども紹介していただくことで、視覚的に学ぶ力が聴覚処理よりも強く、経験したことをよく記憶していてルーティンに強いASDの人たちにとって、PECSでの指導がいかに効果的であるかを学ぶことができました。
また、コミュニケーションとして要求以外にも大切である「手助けの要求」「休憩(ひと休み)の要求」「拒否や肯定を伝える」「まって・だめ(ないよ)に応じる」「スケジュール」などについても触れられ、さらにPECSの発展型としてデジタルPECSや手書きメモで伝える方法、そして用意されていないカードを自分で用意するということにまで発展していった事例を動画で紹介していただききました。
普段、一人だけで支援を組み立てて取り組んでいくと「あれ?どうだっけ?」「こういう時は何を優先にすべきなんだろう」と不安になることもありますが、PECSはフェイズごとに、何をどう進めていくか・位置はどれぐらいでエラーが起きたらどこに戻ればいいか・ここまでできたら次はどうしていくかなどを丁寧にマニュアル化されているからこそ、支援の経験値による差や本人との関係性などに左右されないコミュニケーション指導に繋がっていくのではないかとも感じました。
今回の門先生のセミナーでは、たくさんの動画や経過を見せていただくことができ、初日はこう・その次の回の時はこう・その次の次の時はこう・・・という変化の過程を見る中で、最初は戸惑い顔だったASDの方が、PECSの仕組みを知ることで支援者よりもどんどんPECSを使いこなし、やりとりの力が格段にスピードアップし、コミュニケーションの自発行動が増えているのは、PECSの効果ここにあり!と言える見事なものでした。
まさに『百聞は一見にしかず』。
特にPECSを使い始める前までの不安げな表情が、PECSを使うことによって自分で自分の伝えたいこと・意思をはっきり表出できるようになり、笑顔やご機嫌な声などを出す姿を見ると、まさにセルフアドボカシーの視点で大切にしていかなければと思いました。
最後に門先生がおっしゃっておられた
「ASDの人に、合理的配慮の一つとして視覚的な拡大代替コミュニケーション手段を保障しないことは、権利の侵害であり、差別的行為であり、ネグレクトであり、心理的虐待ですらある」
という警告は、支援者としてもASDの子を持つ母親としても、改めて心して置かねばならないと思います。
数年ぶりになりますが、PECSのワークショップにまたリピート参加してみたいと改めて感じました。
門先生のASDの方への愛情と熱意と時に怒りとも思える溢れんばかりのエネルギーに背筋がピシッと伸びる思いがしました。本当に素晴らしい講演会をありがとうございました!!

------この春からうちの事業所で働くことになった新人スタッフから------

今回PECSに対しての知識がほとんどない状態で講演を聞いていて、一番考えさせられたのは、何度も話の中で出てきていた『自発的要求の大切さ』でした。
生活していく上で自発的に自分の要求を相手に伝えるということは、どの場面、どの年齢においても必要とされています。
自分がしたいこと、分からないことを誰にも伝えられず、聞けずにいる状況は不安でいっぱいになり、時間がたつにつれイライラも募ることが想像できました。
それがずっと続くとなるとこの状況を変えようと突発的に不適切な表現になってしまうことや、行動障害といわれる行動へ繋がってしまうことも起こりうると思います。
成長と共に、「どうした?」「これでしょ」「○○がほしいのね」と代弁して全部フルコースを用意してくれる人がずっと一緒に居られないからこそ、そのスキルを身につける機会を提供していく責任が私たち支援者にはあるということを自覚しました。
また、『プロンプト依存にさせてしまうのは支援者の責任でもある』という点にもはっとしました。
日常的に無意識に言葉や身振りのプロンプトをしてしまうと、その分表出の機会を奪ってしまっているかもしれないと気付きました。
そうならないためにも、常に今自分がどうプロンプトをするのがこの子の成長に繋がるのかを場面に応じて考える必要があります。
PECSは「今のこの子はこの練習をしているから支援者はここをプロンプトする」「これができたから次はこうする」といった段階に応じて計画的に速やかにプロンプトを外していくからこそ、プロンプト依存につながらず、自発的要求の力が徐々に身についていく様子が映像をみていても分かりました。
また、身体的プロンプトを使って教えていくため、プロンプトを外すときの意識が持ちやすく、だからこそ子どもの自発的要求につなげるための支援を意図的に進めていきやすいのではないかと感じました。

-----うちの事業所で働き始めて数年(それ以前は成人支援の現場にもいた)のスタッフから-----

数年前、生活介護事業所に勤めていた際、知的障害+ASDのある方が多く利用しておられる中で、軽作業をする以外は自由時間(一日1時間〜4時間ぐらい)で「何をしてもいいよ」と言われると、ASDの方たちはいつもスタッフから「〇〇する?」「〇〇したら?」と声を掛けられて「する」と応答したり、一方的に渡されたものを何となく触ったりしているという感じでした。
また、要求や拒否や援助要求などのコミュニケーションは「うー」「あー」など言葉にならない声やスタッフの手を引く直接動作や他害行為や自傷行為が多くあり、当時はその対応に苦慮していましたが、今から思い返すと、もし彼らが言葉に限らず自発的に自らの要求を伝える手段を獲得していたら、自分のしたいことやほしいものを的確に相手に伝えることができ、彼らの生活に対する満足感や充実感は大きく変わっていただろうと今になって強く感じます。
今の事業所で出会ったお子さんの中に、家族には言葉による自発的な発信がある一方で、それ以外の場面・相手には自発的な発信がほとんどないお子さんがおられます。
興味関心が活用された動機づけのある場面において、繰り返し本人と関わる特定の相手が近くにいるときには言葉によるコメントや説明をしたり、指差しや首振りなどのジェスチャーをしたりする姿もみられるようになってきました。
そのお子さんは文字が読めるため、「ください」「かして」「いいよ」「だめ」などと書いたカードを用意したり、玩具の要求時に強化子の写真カードを用意したりしていましたが、自発的に対人接近して要求を伝えるまでには至っていませんでした。
これまでも「カードを渡したらほしいものがもらえる・言いたいことが伝わる」という手段を教えてきているつもりでしたが、対人接近を教えることができるのがPECSでもあるというお話を聞いて、もう一度しっかり学び支援を組み立てていきたいと感じました。
療育でご家族と一緒に表出コミュニケーションの評価をする中で、「家ではよく言えている」「言葉で言えるようになってほしい」という家族の声を聞くことがあり、ご家族の障害受容やASD理解が関係してくるとは思いますが、ASDのお子さんたちがこれから先、自立した社会生活を送っていけるためにも、「いつでもどこでも誰にでも自分の思いや考えを発信できる手段」を持っていけるようにしていきたいし、それは必ずしも言葉である必要はないことを多くの人に知ってもらいたいと感じました。
(赤磐ぐんぐんスタッフ:M&S&Y)

ご参加いただいた皆さまからの感想
〇 「自発」的なコミュニケーションの大切さを改めて考え直すことができました。貴重な機会をいただき、ありがとうございました。また、かつてPECSの初級ワークショップに参加して、その奥深さに感動したのを思い出しました。もう一度マニュアルを読み直したいと思います。 (特別支援学校勤務 岡山)
〇 今、1人学校でpecsの導入を行なっていますが、実際の映像で利用者の変化を見て、笑顔を見て、自分の要求などを伝える手段を持つ事がいかに大切か改めて感じました。職場(学校)の先生方にも是非見てもらうよう勧めたいと思います。こんなに有意義な動画Youtubeにアップしていただけてありがたいです。本当にありがとうございました。 (特別支援学校勤務 長野)
〇 資料を含め動画を交えての説明で内容がわかりやすくて良かったです。
また、PECSを利用後のそれぞれの利用者の方々の表情が生き生きとなっていて感動しました。言葉にすることは難しくても、本人には伝えたいことがあって、別の手段があればそれが可能になることは素敵で、長い人生の中で手段を得ることはとても大切なことだと学べました。
このような講演などから日本でもPECSの認知が広がり、生活の中で眼鏡や車いすなどのように誰でも知っているような世の中になるといいなと思います。
 (保護者)

8月1日から30日まで、育てる会のYoutubeチャンネルで講演動画を公開いたします。
残念ながら、プライバシーの関係で、表情についてはぼかしを入れているので確認いただけませんが、門先生の解説付きでの実践動画を視聴できる機会ですので、ぜひご覧いただきたいと思います。
ぐんぐんのびのびチャンネル - YouTube
なお、会報の文中で使用されているPECSRはピラミッド教育コンサルタントInc.の登録商標です。
詳しい内容やワークショップについては、ピラミッド教育コンサルタントオブジャパン株式会社のWebサイトをご確認ください。

支援者向け 発達障害支援 夜間連続講座 in 赤磐市

日 時:令和4年8月23日(火) 19:00〜21:00
場 所:オンライン開催(ZOOM)
テーマ:「構造化された環境づくり」 
講 師:村松 陽子 先生(児童精神科医:京都市発達障害者支援センター センター長)
主 催:赤磐市、岡山県自閉症児を育てる会
参加費:赤磐市在住・在勤者 無料
一般 13,000円
賛助会員10,000円(全10回分)
別途 資料代 各7000円(10回分)
申込・問合せ:Tel.086-955-6758、Fax.086-955-6748
児童精神科医の村松陽子先生を講師にお招きして、夜間連続講座「発達障害支援 知っておきたい基礎知識 〜今、支援者の方に伝えておきたいこと〜」を赤磐市と共同開催しています。
7月19日(火)の第2回では、仮想事例をケースに、支援の手立ての方法などを順序だてて解説いただきました。
また、ワークでは、参加者の皆さんが支援をしている方をイメージしながら、得意なこと・苦手なこと、好きなもの・嫌いなもの などを書き出していきました。まずは「知る」ことが大切。ということをワークを通して感じることができたのではないでしょうか。次回もお楽しみに!
それでは、第2回に参加された方からのアンケートの一部です。

○ 今日は事例を交えて手立てのしかた・工夫のしかたを学べたのでとてもわかりやすかったです。講義だけでなくワークもあったので自分がふだん関わっている利用者さんのことを考えながら学習したことを整理できたのもよかったです。成人の方の就労支援の現場ではどうしても課題にばかり目が行きがちですが、今日のお話を聞いて改めてその方の得意や好きに着目しその視点から目標立てや手立てを考え実践していくことが大切であるということに立ち戻れました。これは成人の方の支援であっても同じことが言えるのだと思います。
○ 冒頭の質問への回答の事例で、スケジュールに書いてあることはやらなければならないと頑張りすぎて感情が昂ぶるという話を聴き、支援者はスケジュールが子どもの安心につながると同時に、スケジュールによって行動を縛られてしまう子どももいるということを知っておかなければならないと知りました。
また、タイミングや教えどきがあること、無理してみんなと同じことをさせなくてもいいということ。その子をしっかりみて、一人一人のタイミングで支援していくというお話は支援者も焦らずじっくり関われるという安心感がありました。ありがとうございました。
○ 得意なことは苦手なことに比べてなかなかすぐには思いつきませんでした。「見方を変えると良いところになること」、この言葉を意識しながら自分自身の良いところにもしっかりと目を向けれるようになればいいなと思いました。そうすることで子どもへの視点も知らず知らずのうちに良いところにたくさん目を向けれるようになるのではないかと思います。本日も貴重なお話をありがとうございました。

支援者対象 現場の先生のための即実践講座 

日 時:令和4年9月29日(木) 19:00〜21:00
場 所:オンライン開催(ZOOM) 
テーマ:「学校現場におけるライフスキル指導」
講 師:宮野 雄太 先生(横浜国立大学附属特別支援学校)
総 括:梅永 雄二 先生(早稲田大学 教授)
主 催:NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会
参加費:一般 23,000円、賛助会員 20,000円 全10回分(途中参加の方には、見逃し配信をご案内します)  
申込・問合せ:Tel.086‐955‐6758、Fax.086-955-6748 (8月はお休みです)

令和4年度 支援ツール勉強会

澤月子先生から支援ツールの作り方を学ぶ勉強会です。
今回は参加者の皆さんが実際に作られた支援ツールなどをご紹介いただきました。
次回は育てる会も実際に使用している場面など紹介できたらいいなと思います。
参加者からの感想

今日のお話もテンポよくとても分かりやすかったです。「どこまで出来ていて、どこから支援するのか?」これを見極めるのが大切。と分かっていても、こちらが待てなくて手を貸してしまう場面が振り返るとたくさんあります。ヘルプを出してくるまで待つ練習を私がしなきゃいけませんね。。。
あと、その子が分かる形の視覚支援を行うことの大切さも改めて勉強になりました。どうしても私の自己満足になりがちなので、きちんと伝わっているか、伝えたいことに注目できているかを確認しながら進めていこうと思いました。

はやぶさの会 報告とお知らせ

夏休み突入ですね。小学生・中学生男児たちのはやぶさの会では、お母さんたちでのLINEでも色々相談を交わしています。
例えば、夏休みあるあるの「メディアタイムの取り扱い」について。
学校がお休みのこの時期、「6時間勉強しろ」とは言わないものの、ある程度メリハリのある生活をしてもらいたいのが親心。
でも、わが子たちは「やりたいこととするべきこと」だと前者の方が圧倒的に楽しめちゃう。終わりの切り替えのしづらさで毎回若干のモヤモヤがお互いに残ります。
ASD男児あるある、お互いの失敗談や成功談をしあえるのも「はやぶさの会」のありがたさでもありますね。
先日は、はやぶさの会有志:少人数で集まりました。最初は映画を企画してくれていたのですが、惜しい!直前で上映終了となってしまったので、ゲームセンターで遊んで食事をする会をしました。
計画的にお金を使う・相談して場所を変える・負けが込んだら気持ちを切り替える。
色々な課題を一つ一つ子ども同士で話し合っているのを見て、また成長を感じる時間となりました。
引き続き新しいメンバー募集中です。
初参加やまだ回数重ねていない子たちも、徐々に少しずつ本人なりのペースで無理せずに、「次も参加できたらいいな」と思ってくれたら良いなと思います。
小学生以上のASDの診断のある男の子・友達がほしいなと思っている子が対象です(兄弟児の参加も可能ですが、その場合もASD診断が出ていることが前提となります)。
ぜひ事務局(086-955-6758)までお問合せください♪(正会員限定)
(担当:M)

OHAの会の報告とお知らせ

7月23日(土)第3回目のOHAの会をZOOMで行いました。
「何を大切に育てるか」−大人になったときに幸せになれるように−
大人になったときに幸せになれるように、幼少期からできることを、実体験を交えて教えていただきました。
また、お子さんに獲得してほしいスキルについて詳しく行動を分析して、最後の一歩から成功体験を積んでいくこと、そして徐々にサポート(プロンプト)をやめていくという具体的な方法も教えていただきました。
どんな時も楽しんで、自分らしい子育てをしていきましょう!と、いう高橋先生の言葉は、みなさんの子育ての励みになったと思います。高橋先生、ありがとうございました。
次回は、9月10日(土)10:00‐12:00(正会員限定)
「問題行動にどう対処する?」
   〜重度行動障害になった高機能ASDの大人の事例を通して〜
当日参加していただいた方とは、講義後先生に質問もしていただけて、和やかな雰囲気でした。是非、当日ご参加ください。お待ちしています!
参加された方の感想

○ 検査結果の見方を詳しく解説いただけてよく理解できました。また、息子さんを育てていらっしゃるとき、どんなことを大切にされていたかをお話のいろんな場面で言われていたので、ただ専門的なお話をうかがうよりもイメージがわいて良かったです。
○ 幸せな大人になるためのソーシャルスキルの身につけ方について、丁寧に教えていただきました。
情動・行動コントロールの第一歩は「嫌だ」が言えることだとか、息子さんへの電車の乗り方の年齢ごとの具体的な教え方など、今回も盛りだくさんでとても面白かったです。
何より、本人も親も楽しくできることが大切と言われ、ちょっと最近カリカリしていたかもと反省しました。
ちょうど夏休みなので、のんびり楽しみながら色々考えていこうと思います。どうもありがとうございました。

水泳教室からのお知らせ

8月はお休みです。(正会員限定)

サッカー&ドッチ スポーツクラブ お知らせ

岡山大学児童文化部の学生さんたちと一緒にサッカー・ドッジボールをして楽しい時間を過ごしませんか?
みんなで準備運動をして、ウォーミングアップをしたあとは、それぞれ分かれて活動をします。
学生さんたちが手厚くサポートをしてくれるので、安心して活動できますよ!
次回 9月3日(土)
     以後の予定  11月13日(日)・1月22日(日)・3月5日(日)
時間:10:00〜12:00
場所:岡山大学体育館
参加費:800円(4回分)(正会員限定)
岡大の駐車場利用の場合、別途駐車場代が500円程度かかります。
  

ちゃーちゃん日記 (あるASDの女の子のお話)

ASDの子ども二人を育てる母親であり、AS当事者でもある私のこれまでの日々や現在の様子を紹介するコラムです。
脈絡ない話や時系列が昔だったり今だったりで、分かりづらいかもしれません。思い出したままをお伝えしていくので、整理されていませんが、お気軽な気持ちで読んでいただき、良ければ「おもろいな!」「不思議!」と皆様の身近にいるASDの人たちの感じ方や暮らし方を知ることに少しでも繋がればと思っています。
今日のお話は、「共感を求める気持ち」という話です。
先日ASDの娘とのやりとりで気づいたことです。
夕方保育園に娘を迎えに行き帰っている際、娘が「パパ、もう家に帰ってるかなぁ。帰ってるといいなぁ。ね、ママ」と言いました。
先日健康診断でパパが早く帰宅していたことをよく覚えているようです。
でも、いつもの時間だと私と娘が帰宅して早くても30分は帰ってきませんし、今日は早く帰る連絡も特にはありませんでした。
私は「まだじゃろ。たぶんいつものように19時ぐらいだと思うよ」と伝えました。
すると娘はぷくっと膨れて「そんなことが聞きたいんじゃないの!」と言うのです。
「どういうこと?」と尋ねると
「○(娘)ちゃんは、『早くパパに会いたいな』と思って話してるの。早く帰ってきてなかったら、しょんぼりするの。ママ、○ちゃんの気持ちをちゃんと考えて、聞いて。お話して」と言われてしまいました。
つまり、娘が求めているのは事実や情報ではなく、共感性だったんですよね。
私はこの「共感」というものが、若い時から苦手です。
「最近ちょっと太ったと思うんだよね〜」と話されたら「ダイエットするならデザートキャンセルする?」
「髪の毛切ってみたんだ。どう?」と聞かれたら「気づかなかった。切ったんだね」
「仕事でうまくいってなくて・・・」と愚痴を言われたら「転職先決めてから辞めないとだね」 などなど・・・。
本当に今から考えると「そうじゃないんだよー」なやりとり満載。
しかも自分としてはいつも真剣に話を聞いて、事実を丁寧に伝えているつもりだからタチが悪いというかなんというか。
きっとどの人も、事実ではなく共感を求めていたんだろうなぁと思いますし、学生時代に比べると社会人にはそこまで共感性を強く求められなくなってはきたものの、やはり雑談の中では求められる部分でもあり、雑談力のなさも課題ではありました。
娘に改めて言われて「あー、5歳の娘にさえ共感できていないなぁ」と反省。
「ごめんごめん。ママ事実をそのまま言っちゃって、○ちゃんの気持ち考えれてなかったわ」と言うと、「いいよ。ママ、もう一回やろう」とリトライの機会をいただけました。
「パパ、もう家に帰ってるかなぁ。帰ってるといいなぁ。ね、ママ」
「本当だね。パパが帰ってるといいよね」と話すと、ニコニコで「そういうことよ!」と答えてくれました。
「でもさ、実際にはパパが帰ってきていないこともあるじゃん?」「そういう時はどう話せばいいの?」と聞くと「そういう時は『残念だったね。早く帰ってきてほしいよね』でいいよ。○ちゃんも、本当にそんなに早く帰ってきていると思っているんじゃないの。期待して言ってみてるだけだから、ほとんど無理ってことは分かってるの」とのことでした。
40オーバーの私より、はるかに自己統制というか自分のご機嫌の取り方を把握しているASD5歳児に、すっかり感心しきりの私でした。勉強になります!笑
(ちゃーちゃん)

お母さんコラム

小6でASDの診断のある特別支援学級(自閉症・情緒学級)に通う息子と、5歳(年長)でASDの診断のある保育園に通う娘を持つ母が、普段の我が子との日々をつれづれに書いているコーナーです。どうぞ気軽な気持ちで読んでください。
今日は娘のネタで「具体的でないことって分かりづらいよね」です。
コロナ禍なのでリゾートやテーマパークみたいな観光地などには行けませんが、我が家は県内のドライブに家族で時々お出かけしています。
考えてみるとコロナ禍のせいというか怪我の功名というか、県内外の出張や研修がZOOMなどで代用できるようになり、私も趣味のうらじゃ&よさこいで踊ることをここ数年控えているので、家族時間が増えているのも事実。家族との時間を丁寧に過ごせるのはありがたいことですね。
さてさて、今回はそんなお出かけの時の一コマ。
年長の娘はまだ時計がそこまでしっかりとは理解できていません。
「短い針が10で長い針が12だと10時」「長い針が3になるまでね」などは分かりますが、10分とか1時間とかの単位はピンときません。
外出先の到着時間を言われてもピンとこない娘。
ドライブ中に最初は映画を見たり暇つぶしグッズで遊んだりしていましたが、3時間ほどの道のりの半分過ぎた頃に「あとどれぐらい?」と聞いてきました。
「もうちょっと」「あと少し」などと雑に言っていると、「『もうちょっと』って言っても、全然着かないじゃん!全然『ちょっと』じゃないじゃん!」と言われてしまいました。
そうだよな。最初に聞かれたときから考えると30分ほど過ぎています。そりゃ怒って当たり前。
娘が唯一ピンとくるのは、「30分」という単位。これはYouTubeを見る時間をいつも「30分見たら、30分休憩」ということを続けているからです。
そこで、「『あともうちょっと』ってどれぐらい!?」と聞かれた時、ちょうど「あと30分ぐらいかな」と伝えました。
すると「嫌だ!そんなこと言わないで!」と言ってきます。
「どういうことかな」「『30分』と言われるより、『あともうちょっと』とかの方が良いの?」と聞くと、「違う」「『あと10数える間に着くよ』とか、『あともうちょっと』って言っているうちに着いちゃったね、とかがいい」と。
「あはは。ママ、どこでもドアは持ってないから無理よ」と言うと、「なんでよ!」とのことでした(笑)
その後、無事30分弱で着いて、その後は楽しい休日を過ごすことができました。
ちなみに、娘はYouTubeを見る際、キッチンタイマーで30分をセットしてスタートさせることができます。ただ、60進法を理解している訳ではないので、タイマーが鳴るまでは「あと〇分だな」ということは確認できません。
また、「あと何分?」と聞くと、キッチンタイマーを見て「すごいスピードで数字が動いているから分からない!」とも。
ほんとですよね、どこを見たらいいか、具体的じゃなさすぎる。こういうところも、はっきり伝えてあげないといけないんだなぁとしみじみ思う今日この頃です。
また、兄は兄で、娘がギャーギャー言うのを聞いてイライラして「そんなこと言っても仕方ないだろ!!」「母さんのせいじゃないんだから、怒っても時間は短くならんのよ!?」などと怒りだします。
若干余計にややこしくなるので困りもの。
兄に「なんでそんなに喧嘩腰になるの?」と尋ねると「俺も、小さい頃こうやってよくギャーギャー言ってたなぁって思うから、自分の小さい頃を見ているようで、恥ずかしいのと腹が立つのがごちゃ混ぜになるんよ!」とのこと。
なるほど!でした。自他の区別ってのもまた難しいもんですね。
(cyacya)

 ぐんぐん だより 

ぐんぐんぴっぴ (就学前)  

梅雨も明け、セミの鳴き声と共に夏本番がやってきました。
そんな暑さに負けず、元気にぴっぴにやってきてくれる子どもたち、そして保護者の方に毎日パワーを頂いています。
ASD(自閉スペクトラム症)の人はいつも通りや予測通りだと安心できる一方で、初めてのことや突然の変更などの予測できないことに対しては不安が高まりやすいと言われています。ぐんぐんぴっぴでも、荷物の準備や片付け、スケジュールに従って動くなどのルーティンになっていることに取り組むのは得意だけど、初めてのことやいつもと違うことは苦手、というお子さんが少なくありません。
保護者の方からのお話でも、遊びに行く予定が雨で中止になって大変で・・・、お店に大好きなアイスクリームを買いに行ったら売り切れで、他のアイスを勧めてみましたがなかなか受け入れができなくて・・・、といったような自分にとって予想外のことが起きたときに混乱したエピソードをお聞きすることがあります。
日常生活において突然の変更や変化はどうしてもあります。そして避けては通れないというのも現実です。
予測がつかない状況が不安なのであれば、予測可能な状況になるように本人に合わせた形で見通しを伝えることで安心した生活を保障するという発想の転換をする必要性をぐんぐんぴっぴのお子さんと関わる中でも感じます。
自分にとって予測がつくことがどれだけ安心なことか、それはASDの人だけではないですね。
不安な中頑張って過ごすのか、それとも安心感の中で落ち着いて過ごすのか、この差は本人にとってかなり大きな違いとなり、この部分での日々の積み重ねは、大きな違いとなることを療育を通して自分自身が実感し、保護者の方々と共有したい!と感じている日々です。
今回は、上記のように、本人が安心して過ごせるための見通しの大切さを保護者の方と身近な話題を基に共有できたエピソードについてご紹介したいと思います。
Aくんはお母さんとの買い物で大好きなおやつを棚で見つけ、買ってもらうようにお願いしました。
その時お母さんは「このおやつ買ってあげるけど、後で食べようね」と声をかけます。
Aくんは、これを聞き買い物が終わったらすぐ後で車に乗るとすぐ食べられると解釈します。しかし、お母さんは“昼食の”後でと伝えたつもりでいました。
このやりとりで、Aくんは車ですぐに食べられると思っていたおやつを食べようとすると「待って」と言われ、先延ばしになり、癇癪を起こします。
この時、Aくんは自分の期待していたことと違ったことが起き、「そんなふうに思わなかった。思ってたことと違ってびっくりしているよ」等とは説明できないため、お母さんを叩いたり泣きわめいたりするという方法で訴えていたのだと思います。
ここで、お母さんと一緒に、なぜこの場面でAくんが癇癪を起こしたのか考えてみました。
Aくんの行動背景を考えていくうちに、お母さんの伝えた「いつそのおやつを食べることができるのか」を伝えている情報は、会話の中で“後で”という部分しかないことに気づきました。
また、その言葉が曖昧であり、捉え方は人によって様々であることも確認しました。その曖昧さがAくんの癇癪につながっているではないかと話しました。
では、Aくんが見通しをもって過ごすことができるようにするためには、もっと具体的な説明が必要なのでは?とお母さんが気づかれます。
その他にも、お母さんから
「先生、そういえば同じような内容で、園から帰る時に私が園の先生と話をしていてAくんに、ちょっと待ってな。と伝え、話し続けていると、Aくんがいつまで待てば良いか分からず私にパンチをして帰りたいことを伝えてくるということがよくあります。
同じようなことですよね。本人が私と先生の話がいつ終わるのかが見通しをもてず、困っていたということなんでしょうね」
というお話を聞き、療育の中でAくんの行動背景について考えていくうちに、日ごろのエピソードとお母さんの中でつながり、“だったらこの場面でも具体的な見通しを伝えてみてはどうか”というコメントをされたのは、素晴らしいお母さんご自身の気づきだったなと感じました。
そして先程のエピソードより、買い物の場面が普段からよくあるということなので、その場面で取り組むようにしていきました。そこでいつおやつが食べられるかをより具体的に伝えることにしました。
ここで大切になるのがどこまで具体的に伝えるか、またどのタイミングで伝えるかということでした。
そこでお母さんが再びお店に行き同じシチュエーションになった時に伝えられた内容は「Aくん、このおやつは家に帰っておねえちゃんの宿題が終わったら食べようね」と具体的にいつ食べられるのかがAくんにとって分かるように言っているものでした。
このように、具体的に、そして本人がピンとくる言い方(言葉)で伝え、本人の見通しにつながっていくと、本人の安心感につながり、本人もちゃんと待つことができたことをお母さんから褒められる機会が増えてきているとのことでした。
今回のエピソードから、改めて見通しを伝えることの大切さを実感しました。
このように、ASDのお子さんの特性から、事前に、より具体的に、本人が見通しをもつことができるように伝えていくことが、本人の安心感につながり、また褒められることで自己肯定感や自信にもつながってきていることをお母さんと喜びを共有できたことをありがたく思います。
今後も、一人ひとりのお子さんの安心感、自信につながる支援ができるように、そして保護者の方が“この子には、このようにかかわるといい!”という実感をもち、子育てをしていくことができるようにていきたいと思います。

赤磐ぐんぐん (就学前)

今年の梅雨はとても短くあっという間に明けましたね。連日、真夏日や猛暑日となり、外に出るとジリジリと焼けるような暑さを感じます。
最高気温40度以上の時は「酷暑日」というらしいですが、岡山ではそんな日が来ませんように。こまめに水分補給しながら熱中症に注意して過ごしましょう。
さて、今回の赤磐ぐんぐんだよりのテーマは「わが子はどんな子?」です。
赤磐ぐんぐんでは7月の保護者座談会で「小学校に向けて」をテーマにお話したり、「小学校に向けて」の動画を参考に小学校をどうするか考えたりで、特に年長の保護者の方からの相談がより具体的になっているように感じます。小学校でもできる支援をご家族と一緒に考えていけたらと思っています。
園での行事ごと(たとえば運動会や発表会)があると、「繰り返し練習から逃げてしまう」「大きな打楽器の音が苦手でその場にいられない」「ダンスが覚えられず、家でもやりたがらない」「暑さが苦手で集中できない」など、様々な相談を受けることがあります。
先日、年長のA君のお母さんから、園の様子についての相談がありました。
A君は音への過敏さがあるお子さんです。ご家族はA君の音への過敏性を理解されていて、園とも相談しながらA君が安心して過ごせるように対応を考えられてきました。
小さい頃は音がうるさく感じる時は別室へ移動して過ごし、落ち着いたら戻って活動に参加するといったこともやってこられました。少しずつできることが増え、色々なことに参加ができるようになっていました。
ある日の運動会でのダンス練習でのこと。
それまでは年長だけでの練習でしたが、その日は年中も一緒に練習することになったそうです。
A君はとてもまじめに練習をしていましたが、その日は担任の先生が気付くと、両手で耳を塞いで泣いていたそうです(異変に気付いた後は、担任の先生がすぐに対応してくださいました)。
その日は熱中症対策などで炎天下ではなく室内での練習で、音の反響などもあったようで、しんどくなったようでした。
「小学生になっても、こういうことはありそうだし今後どうしていったらいいでしょうか」との相談でした。
A君は普段、赤磐ぐんぐんの療育の中で、人を呼びたい時・嫌なことがあった時・分からない時、どう振る舞ったらどう解決するかについて、チャート式で対応方法を学んでいます。
ただ見せるだけでなく「○○について練習するよ」と伝えて、まずは設定された場面でスタッフと一緒にやってみます。
学習中や遊んでいる時にもやってみて、さらにお母さんとも練習します。
A君は体験することで「できる!」「分かった!」と実感し学んだことは自分から取り組めるお子さんです。ご家庭でもとりくんでもらうことで、お母さん以外のご家族にも有効性を理解してもらっています。
A君には、いつものチャート式で「音がうるさい時にはこうしたらいいよ」「周りの人は助けてくれるよ」とA君にできそうなことを教えること、園の先生たちに本人がそのような場面になった時に「これ使ったらいいんだよ」というように声かけをしていただくなどの配慮をお願いしていくのはどうだろうかとお母さんと確認しました。
そしてお母さんと確認したことがもう一点。
皆と一緒に活動していた場面だったとのことで「その時の他のお子さん達の反応はどうでしたか?」とお聞きしました。
A君の様子を見て泣き真似をしてからかうような素振りをする子もいたようです。
お母さんは、「ショックだけど仕方ないのかな・・・」とお話しておられました。
でも、本人がしんどい思いをしている上にからかわれるなんて、切ないですよね。
今は自分のことで精一杯で、からかわれていることなどに気付いていないA君も、年齢が上がるにつれて気付く時が来るかもしれません。その時、A君が傷ついてしまうことも想定されます。
では、泣き真似をしてからかう子は、なぜ笑っていたのでしょうか?
A君が音が大きくて苦しくて辛くて泣いているのに、それを分かった上で、からかっていたのでしょうか?
おそらく、A君がなぜ泣いているのか何に対して苦しいと思っているのか、同じぐらいの年齢の周りの子たちには分かりづらかったのではないかと思います。
「じゃあ、周りのお子さんたちにどうA君のことを伝えてもらったらいいか」
ほとんどの方は、わが子のことを周りの子どもたちにどう説明したらいいか、大いに悩まれると思います。
「どう伝えるかは先生の腕次第!」では先生も大変です。個人情報なので先生達も何をどのように伝えたらいいのか、もしかしたら悩まれているかもしれません。
別のお子さんB君でこんなことがありました。
始業式でクラス写真を撮る際、B君は何回も撮影が続くのでパニックになったそうです。
その場に一緒におられたB君のお母さんは、最初は頑張ってほしくてB君の近くで励ましていたそうですが、集合写真はたいていの場合カメラマンの方が「OK」「終わり!」となるまで続くので、何枚撮ったら終わりになるのかをお母さんも把握できず、本人にも伝えられなかったそうです。
B君にとっては初めての写真撮影ということもあり、いつまでやるのかいつ終わるのかという不安からパニックになったそうです。
同じ学年の他の子ども達はどうしたらいいのか分からず、なぜ騒いでいるのか分からず、戸惑った様子でした。
そこで、クラスの中でB君も皆も過ごせるように、B君自身ができる方法やどのように伝えるかお母さんと先生で考えを重ね、後日担任の先生から皆に「B君は初めてのことは緊張するんだ。でも一回だけなら頑張れるからね」とお話があったそうです。
幼児期や小学校低学年の定型発達の子どもたちは、親や先生など身近な大人たちの対応を見て学ぶことが多く、子どもたちに関わる大人の説明の仕方が大きく影響します。
担任の先生のお話ならなおさらですね。
クラスの子たちは、家で「B君は一回ならがんばれるんだって。写真撮る時は何回もやったからイヤだったんだって」と伝えたり、B君のお母さんに「B君、今日一回がんばっとったよ!」と教えてくれる子もいたりしたそうです。
「診断がついている子だから」という理由ではなく、「B君はこんな子だから」と先生や子ども達から認めてもらっていることで、お互いに過ごしやすくなるんだなと感じました。
A君は、ご家庭や療育で困った時には支援ツールを活用しながら慣れた大人に助けを求められるようになってきています。
お母さんが、療育で伝えてきた方法と同じ方法(チャート)を活用して、音がうるさい時にはイヤーマフを付けてその場から離れたら大丈夫になるよ、というチャートを描いてくださいました。
A君は「うるさい時はこうするんだよね」と言って、自信を持って家庭で練習中だそうです。ご家族が丁寧にA君に合う支援をしてこられ、本人にもその支援をする理由を伝えてきたからこそだと感じました。
また、A君のお母さんと園の先生とで相談され、園の先生の方から「音が普段のものよりも大きかったのが辛かったんだと思います」「新しいことでもチャレンジできることが増えてきているからこそ、園でもできる支援をしていきたいと思いますので一緒に考えさせてください」などお話してくだったとのことです。
これまでのやりとりの中で、お母さんが園の先生と信頼関係や相談し合える関係を作ってこられたからこそだなと思います。
A君・B君のお母さんたちも、最初から「うちの子はこういうことが苦手」「こうしたら安心」と分かっていた訳ではないと思います。
わが子がなぜ泣いているのか混乱しているのか分からないうちは、わが子のためにと「ちゃんとして!」「皆できているのに、置いていかれるよ!」「頑張れ!」と何度も言って聞かせたり励ましたりと悩みながらも一生懸命にされていました。
それが間違いだったと言うことではなく、なぜ泣いているのか混乱しているのか分からない時というのは、親子ともしんどい状況が続いてしまい、それはとても大変だと思うのです。
赤磐ぐんぐんの療育では、お子さんの行動の背景を探り、上手くいく時はどういう時かを考え、まずはご家族がわが子を理解してどういう工夫があるかをスタッフと一緒に考えたものをご家庭で実践していただき、お子さん自身も「こうすればできる」と実感できるようになるように支援しています。
そして、わが子に関わる周りの人たちにご家族が(言葉は選びつつ^^)伝えていくことで、親子や周りの皆が笑顔になれるといいなと思います。
お母さん方もこれから就学や進級に向けてサポートブックの作成で、先生に知っておいてほしいお子さんの様々な情報をまとめていくと思います。
我が子についてじっくり考え、我が子はこんな子ですと伝える機会が増えていきますね。
何をどうやって伝えたらいいのか悩まれる時には、スタッフも一緒になってお子さんが安心して楽しく過ごすために、ご家族と考えていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
(赤磐ぐんぐん療育スタッフ:A)

ぐんぐんキッズ (小1〜) 

今回は、表出コミュニケーションの中でも、注意喚起の練習の取り組みのエピソードをご紹介したいと思います。
不特定多数の子どもがいる学校では特に、誰かに話しかけたいとき名前を呼んで相手に気づいてもらってから話すという方法は、人と関わるときの方法として役立つスキルになります。
ぐんぐんキッズでは、“名前を呼んでから話しかけると、その人に気づいてもらいやすいよね!” ということを、先生とワークの場面で設定して練習します。
まずは期待通りの反応を返してくれて、そしてすぐほめてくれる「先生」の名前を呼んでから話しかける、という練習をしていきます。注意喚起や呼名は、ぐんぐんやぴっぴでも練習してきているみんなですが、ぐんぐんキッズでも練習をして、人をかえ、場所をかえ、場面をかえて練習することで、どんなときでもできるようになる般化を目指していきます。
Aちゃんは、おしゃべりが大好きなお子さんです。
まずは先生の掲示を使ったマッチングで、先生の顔と名前を一致させていきます。
キッズの部屋にいて青いエプロンをつけてる人に、「先生」と呼べば気づいてくれる・・・特に先生の名前を覚えていなくても事足りるのです。
そんなわけで、目の前の一緒にお勉強している先生の名前のマッチングもちょっと自信なさげな感じでマッチングするAちゃん。
そこで、Aちゃんの興味関心を課題の中に取り入れてみることにしました。
おしゃべりも好きだけど、食べることがとても大好きなAちゃんです。事前に先生たちの好きな食べ物をリサーチし、それぞれの先生の好きな食べものの写真を、先生の顔写真がついた袋に詰めてもらって、それをそれぞれの先生に渡しに行ってもらうことにしました。
  
      おもて                 うら
Aちゃんは、「○○先生は△△が好きなんだって。私も好き!」「□□先生は××が好きなんだ〜」などと興味を持っておしゃべりしながら食べ物の写真を袋に詰めていきます。
詰め終わったら手順を確認して、先生たちに渡しに行きます。けれど、いざ渡すときには、「○○先生」ではなく、「先生」と小声で呼びかけて袋を渡していました。
そこで、先生たちが首から下げている名札と袋の顔写真を見比べてから「○○先生」と呼ぶといいよということを新たに手順に加え、Aちゃんに伝えました。
すると、しっかり先生たちの名札と袋の顔写真を見比べて確認しながら、自信をもって「○○先生!」と大きな声で呼びかけて渡すことができました。
しかも後ろを向いていて名札が見えないときには、「□□先生はどこ?」と別の先生に聞くことができ、あそこにいるのが□□先生だよと教えてもらって、自信をもって「□□先生!」と呼びかけることができていました。
名札を見て確認するスキルも、わからないことは聞くというスキルも、どちらも大事なスキルです。教えてもらったスキルを別の場面でも上手に使うことができていました。
その後、別の設定を作って、同じく注意喚起をしてコミュニケーションする練習もしました。
先生に渡す袋の中身を先生の好きな食べ物の写真ではなく、先生たちが普段使っている文房具にかえることにしました。鉛筆、消しゴム、のり、マジック、付箋などです。
Aちゃんは、今回も名札と袋の顔写真を見比べて、「○○先生!」と呼んで文房具を詰めた袋を渡すことができていました。
設定された場面で練習をすることで、成功体験を積み重ね、いろんな状況でできるように繰り返していきます。
その後、スタッフが付箋を使っている姿をみて「もしかしてさっきわたしが持って行ったやつ?」と聞いてきたAちゃん。
「そうだよ!」と答えると、「使ってくれてるんだ!!」とうれしい様子のAちゃんでした。
渡して終わり、ではなく、自分の行動が誰かの役に立っていることに喜びを感じるんだなと思い、Aちゃんの課題設定やフィードバックではそこもしっかり伝えていきたいなと思いました。
ぐんぐんキッズも夏休み療育が始まりました。
夏休みは、時間がたっぷりとれる夏休みにしかできない活動で楽しんでもらいたい!!と考えています。
引き続き、一人一人の特性にあわせた支援を心がけ、子どもたちと一緒に成長していきたいと思っています。
ぐんぐんキッズスタッフ U

グループホーム寄付のお礼とお願い

みなさま方から温かいご支援をいただき、「ほっぷ 1」と「すてっぷ 1」で、みんな楽しそうに暮らしています。
ご支援、本当にありがとうございます。

  【 グループホームへのご寄附をいただいたみなさま 】(4.3.26〜4.7.25)

○ T.A 様(岡山市)
〇 Y.Y 様(東京都)
〇 W.K 様(大阪府)
〇 E.H 様(岡山市)
〇  I.M 様(岡山市)
〇 N.M 様(岡山市)
〇 O.K 様(大阪府)
〇 H.M 様(京都府)
〇 N.I 様(倉敷市)
〇 S.T 様(京都府)
〇 Y.J 様(赤磐市)
〇 O.C 様(広島県)
今後とも応援のほどよろしくお願いいたします。
寄付金振込口座  中国銀行 赤磐支店 普通預金 1321755
             岡山県自閉症児を育てる会 代表者 鳥羽美智代

以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
なお会報は正会員・賛助会員の方へは郵送でお届けしています。
もしご希望の方がおられましたら、ぜひ賛助会員に申し込みをお願いします。年会費 3000円です。
応援よろしくお願いします。
申込み方法の詳細は「
育てる会 HP」に記載しています。

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