Japanese version only
令和 4年 9月30日
第293号
NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会
293号 目次
新事務所に移転します
自閉症啓発セミナー 「浮貝明典先生講演会」 の 報告
即実践講座・夜間連続講座・支援ツール勉強会 の 報告とお知らせ
木工教室・おやじの会 BBQ・OHAの会 の 報告とお知らせ
サッカー&ドッジスポーツクラブ ・水泳教室 のお知らせ
お母さんコラム
ちゃーちゃん日記
私のお薦め本コーナー
「学校の中の発達障害」
ぐんぐんだより
グループホーム寄付のお礼とお願い
一日中つけていたクーラーもいらなくなって、窓を開け放つと、さわやかな風が部屋の中にさーっと吹きこんできます。
超大型の台風14号が北の空へ去って、急に涼しくなった岡山です。
あれほど暑かった夏を台風が連れ去ってくれたような、そんな秋の訪れです。
今回の台風は、空前絶後・史上最大級と、気象庁の発表でしたから、いつもは台風への備えを殆どしない我が家でさえ、停電・断水に備えて、懐中電灯やろうそくの置き場所点検、飲料水と、トイレ用の水の準備など、細々と準備をしました。
運のいいことに我が家は特に被害もなく、相変わらず平和でした。
子どもの頃から、大きな台風に遭遇したことがない私でしたが、ひとつだけ思い出したことがありました。
風が、夜中吹き付けてきている中で、ふと、中学一年の夏休みに来た台風のことを思い出しました。私の実家は兵庫県西脇市というところにあります。
その頃我が家は播州織りの織物工場をやっていて、糸にのり付けするための小屋が、別棟にあったのですが、その屋根がふわりと舞い上がり、お隣の田んぼの中にストンと落ちていました。
30畳ほどもある小屋の屋根が、ふわりと浮くくらいの風が吹いたと言うことです。結構すごい台風だったらしいです。被害を受けたことがないと自分で思っていましたが、当時の親は大変な思いをしたようです。
岡山へ嫁いできてからは、ほぼ何事もなく、暮しております。
今回初めてトイレ用の水の用意までした私でしたが、必要なくてよかったですね。皆様のお家はいかがだったでしょうか?
岡山も真備の水害のようなことを経験して、少し県民の防災意識も高まったように思います。でも、私自身の防災意識は、殆ど成長していない状態です。
台風一過、平和な日常をありがたく思う今日の私です。
さて、先日浮貝明典氏をZOOMにお迎えして、「GHでの生活やひとり暮らしに向けた関わり」という講演会を行いました。
実は、私たちもグループホームを作りたいと考えていた頃、まだどんなホームを作ればいいか漠然としていた頃に、早稲田大学で行なわれた自閉症カンファレンスで浮貝先生の話を聞いたのです。
ひとり暮らしのためのサポート事業というのを、手がけられたお話しでした。
それまで漠然としていたグループホームの構想が形を持って鮮明に浮かび上がったのを感じた瞬間でした。ひとり暮らしをする為の自立訓練ホーム・・・。
ほっぷで丁寧な支援を受けて、自立のための基礎訓練をうけて、すてっぷでは、実際にひとり暮らしが出来そうか、出来ないならどこがたりないかをしっかり見定めて支援をし、そしてじゃんぷは民間アパートでの暮らしへと持って行く。
そういう構想で生まれたのが、育てる会のグループホームの形です。
そしてその構想の元となったのが、最初に聴いた浮貝さんのお話でした。
ただ、今回お話を聴いて思いました。
民間アパートでのひとり暮らしには、やはり様々なハードルがあるということです。
近隣住民の方には、ある程度、いえ、かなりの程度の障害理解が必要です。隣の部屋や階下に暮らす住民の方との軋轢や、無理解による苦情は予想ができますね。
今の社会は自閉症の青年のためには出来ていない。
また、その熟成を待っている暇は、彼らにはないだろう・・・ということです。
(育てる会の 「ほっぷ1」 と 「すてっぷ1」)
高機能な人たちですら、自立してアパートで暮すことは難しいらしいということ・・・。
ましてや知的障害を伴う我が子達に果たして民間アパート暮らしが出来るだろうか・・・・。少し前からジャンプの構想を練り直しはじめた育てる会です。
今回のお話を聴いて、簡単には、民間のアパートつまりは、地域住民の皆さんとの暮しは、難しいだろうと思えたのでした。
それならどうする?? せっかく自立へ向けて丁寧な暮らしを学んできた彼らです。
親亡き後、彼らが施設入所を願っても施設自体がありません。
民間が無理なら、自分たちで運営するアパート「じゃんぷ 1」を作っていくしかないのではないだろうか・・・と考えはじめておりました。
今回のお話しを聴いて、自分たちで作るしかないのではないかと決心がつきました。
「すてっぷ 1」のこれからを考えたとき、浮貝さんから紹介のあった「フラムハルド」というグループホームの形が、いいのではないかと思えました。
丁寧な訓練の成果を活かして、民間アパートへいける人はいってもらって、民間アパートの暮らしが出来にくい人用の支援はやはりグループホームで一生続ける必要が有るだろうと思いました。
これまでの大抵のグループホームは、親元を離れて、終の棲家としての位置づけのグループホームでした。
親は安心かもしれないけれど、本人にとって、いつまでも管理された形のホームは、堅苦しいし、苦痛でしょう。
私は、自分が生活するならどんなところでくらしたいか? と考えます。障害があるんだからこれくらいでいいじゃないか・・・なんて、悲しいではないですか?
障害はあっても、自分の暮らしは選び取りたい・・・。自由で広々していて、勝手に他の人(世話人さんといえども)が入れない・・・そんなホームが理想ではないでしょうか?
今回の講演会を通して、障害のある人たちへのよりよい支援を考え直すことが出来ました。
浮貝さんには、感謝を申し上げます。出来れば、日本全国のグループホームを見て回りたい、そんな風に思っています。
浮貝さんのお勤めになられているグリーンフォーレストへもぜひ行かせていただきたいです。
さて、季節はまさに運動会の時期ですね。先日、長女の子ども、孫の運動会がありました。
孫は小学6年生になりました。小学校最後の運動会。これは見に行ってやらねばなるまいと思い、娘夫婦と一緒に私たち夫婦もそろって出かけて行きました。
なんと孫は、6年生を代表して閉会の挨拶をするというのです。
運動会が滞りなく終わって、孫がもうひとりの男の子とふたりで壇上に上がりました。
はじめは紅組代表として、もうひとりの男の子が挨拶をしました。彼はとっても長くて、しかも原稿も見ないでしっかりとした挨拶をしています。
「大丈夫か孫よ」
いよいよ白組代表の孫が挨拶をはじめました。
(白組代表 閉会挨拶)
「僕はこの運動会で、最高学年として、たくさん頑張ったことがあります。
その中でも特に頑張ったのは係の仕事です。まず僕が運営係に立候補したのは、閉会式の言葉が言いたかったからです。
僕はたくさんの人の前に立つと、緊張してしまいます。でも、この学校生活最後の運動会ということで、みんなにかっこいい姿を見せたかったので、頑張って取り組みました。
これからの学校生活では、今年のスローガン 『こえろ 限界、めざせ 最高』のように、どんなことにも全力で、最高の気持ちにたどりつけるように、みんなと協力して頑張っていきたいです。
今日は運動会に来てくださり、そして最後まで応援してくださり、ありがとうございました。」
ちゃんとはっきりした声で、この長い挨拶をし終えることが出来ました。
なんと立派に成長したことでしょう。
小学校一年の時から自閉症情緒のクラスでの支援を受けながらの学校生活でした。
そんな彼が曲がることなく育ち、自信に満ちて、白組代表として挨拶をしている。そんな孫がとってもかっこよく見えました。おばあちゃんには、自慢の君だよ。
これからも色んなことがあると思うけれど、頑張って生きていってくれるだろうと、信じられた一日でした。
さて、次のお話しは、先月チラッと紹介した事務局移転についてのご報告です。
赤磐市和田にある事務局を、赤磐市の中心地、上市に移転します。ここは赤磐市役所もすぐ近く(徒歩 30秒)にありますし、交通の便が最高にいいところです。
事務所の改装を工務店さんにお願いしようかとも思いましたが、「自分たちで出来る範囲でやろう」と言うことになりました。
購入前は隠れ家的な和風焼肉屋さんだったそうで、たくさんの焼き肉用テーブルがありました。それを事務局員Nさんのお兄さんが外してくださいました。
テーブル席の方は事務局のNさんと、Yさんがこつこつ外してくれました。
壁紙を貼ると高いので、壁紙用ペンキを塗りました。
改装には事務局員の高校生の娘さんが手伝いをしてくれました。
掃除やワックス掛けは、会員のお母さんたちが手伝ってくれました。
そうやって毎日少しずつ片付けや改装が進んでいます。手作りで作っていくフルリノベーションです。
10月7日にはインターネットがついて、本格的に移転です。
引っ越しには、事務局のKさんのお父様がお手伝いくださるそうです。ありがたいことです。中旬頃には、すっかり引っ越しをすませたいと思っています。
ゆめタウンの東隣、タイムの駐車場の南側の角地ですので分かりやすいと思います。
お買い物のついでに寄ってくださいね。
(なお、新事務所には駐車場は少ないので、徒歩でお願いします)
そして、和田の事務局のあった部屋には、放課後等デイサービスの「ぐんぐんキッズ」が入ります。
「赤磐ぐんぐん」や「ぐんぐんぴっぴ」に比べると狭かった「ぐんぐんキッズ」が、広くなります。
乞うご期待でございます。
(新事務所:赤磐市上市355-2)
9月1日は防災の日だそうです。それに合わせて、グループホームでは、避難訓練をしました。
当日、用事で早く帰った人を除き、総勢9名で避難訓練を実施しました。
火災を想定して、警報器を鳴らして全員避難が出来ました。警報がなって3分後には全員が、決められた旗の下に集まることが出来ました。
前回の訓練時には、避難した後、玄関からもう一度入ってしまったKさんも今回は、キチンとみんなの列の中にいました。
何度もやることが大切だなと、改めて思いました。
ただひとつ残念だったことがありました。それは記録用に映像を撮ったつもりでいた私のスマホに映像はなぜか記録されていなかったことでした。
当日欠席した人にも見てもらいたかったのにこれだけは実に残念でした。 私の失敗です。
(避難場所の旗の下に 全員集合)
そんなグループホームに、先日9月10日(土)に見学の方が来られました。
みなさん、これからグループホームを作りたいと考えていらっしゃる方たちでした。
見学のあと、感想を送っていただいたので、せっかくなのでいくつか紹介させていただきます。
○ 暮らす子供達にとっても、預ける親達にとっても至れり尽くせりの環境だなと思いました。
1人1人の個性に合わせた気遣いや、少しずつ成長出来る配慮にも、親だからこその気付きが形になった素敵な場所だと思います。
一番驚いたのが、聴覚過敏だったお子さんが、今ではイヤマフを付けなくても生活が出来ているという事でした。
それだけ、ノンストレスでのびのびと生活出来る環境に鳥羽さんの思い、親の思いの詰まったホップさん、ステップさん、これから出来るジャンプさんに、自分の息子も行くことが出来たら、と何度も思いました。
それと同時に、トイレットペーパーの使う量や、床のお掃除の際の目印をつけるなど、今から家でも実践してみようと思う事もあり、とても勉強になりました。
○ 以前ほっぷを見学させて頂いた時と同じ感動を今回もさせて頂きました。
ここは別世界、困難を沢山抱えた子どもを実際に育てたことがある親、障害が的確に理解できている人たち そして大きな愛と行動力。
それらで出来ているグループホームは 日本ではここだけじゃないでしょうか 信じられないくらいに理想そのままです。
愛がいっぱいで居心地がいい ここを見学させて頂いただけで幸せな気持ちになれるような場所です。
行政がもっと積極的にグループホームを作るべきですが 残念ながら行政が作るとこんな風にはならないかな 本来グループホームはこうあって欲しいと保護者は願いますが・・・
是非行政が見学に来て欲しいですね 何が必要なのか見て欲しいです グループホームの形ではなく中身を知って欲しいです。
もう次のジャンプの準備が進められているお話も聞かせて頂きました。ジャンプは高齢になっても生活しやすい構造になっているのかな? 等 ジャンプの見学を今からわくわくして待っています。
育てる会のグループホームは、どこからも補助金をいただかず(いただけず)親たちで作ったグループホームです。
土地から買って、建物の設計も相談し合って、建設してきました。多くの方の善意の寄付がたくさん集まって、建設にこぎ着けることが出来ました。
丁寧な支援をモットーに一人一人にとって、最も良いことがしたいと支援スタッフは頑張ってくれています。
我が息子は、そんなグループホームの一員です。
彼の最近の部屋の写真をご覧ください。彼の部屋にはロフトがあるのですが、ロフトのベッドの横に、ずらりと並んだLaQです。
前は漫画本が並んでいた棚ですが、興味の対象が、漫画からLaQに変わったのでしょう。楽しんで暮しているらしい様子が分かっていただけると思います。
日々忙しくしている間に月日が矢のように流れて行きます。
もう10月です。あと3ヶ月でお正月が来るのです。ウカウカしている暇はないですね。
・・・NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を見ています。
歴史に名を残した人、名も知らず無残に殺されていく人たち、様々な人間模様が描かれていますね。
さてさて、名も無い私たち、「歴史に名を残す・・・」のは、ちょっと難しいですが、せっかくこの世に生まれてきたからには、後に残る人たち、家族や周りの人に、思い出に残る“何か”を渡して旅立てたら嬉しいですね。
齢(よわい)70歳、古希を過ぎて残り少なくなった日々を過ごす私ですが、まだまだ頑張っていますよ。
無謀にも隣に新しい土地と家を買いました。まずは事務所を移転して、和田のぐんぐんキッズを広げます。
そのあと体制が整えば、ここに新たな事業所を開設し、将来はそれに加えて、「事務所+事業所+じゃんぷ」 がはいるようなビルを作るのが、次の私の夢です・・・それまで生きられるかな (^_^;)
さて、みなさん、私よりはずっとずっと、お若いですよね。
私なんかより、もっともっと時間があるので、いろんなものをいっぱい残せそうですよ。 お互い、悔いのない人生を送りましょうね。
それでは、来月号でまたお目にかかりましよう、ごきげんようさようなら。
(鳥羽 美千子)
育てる会 自閉症啓発セミナー 報告
令和4年9月17日(土)、横浜よりNPO法人PDDサポートセンター グリーンフォーレストの副理事長、浮貝明典先生をオンラインにお招きして、「令和4年度第3回 第119回育てる会自閉症啓発セミナー」を開催いたしました。
テーマは「グループホームでの生活やひとり暮らしに向けた関わり 〜横浜における自閉スペクトラム症(ASD)の人の暮らしを支えるしくみと支援〜」で、グループホーム先進地、横浜市の実情や、そこに至るまでの努力、運営への想いなどをお聴きすることができました。
本当に貴重な機会でした。
当日参加したスタッフからの報告や、参加者の方からの感想なども届いていますので、みなさんにも紹介したいと思います。
横浜市でNPO法人PDDサポートセンター グリーンフォーレストの副理事長として、グループホームの運営に携わっておられる浮貝明典先生のお話を伺いました。
現在、横浜市ではグループホームが約840か所あり、毎年40件が新たに建てられているそうです。
浮貝先生の法人は、6か所のグループホームの運営とグループホームに入る前段階の1人暮らしの体験や短期利用ができるサポートホーム事業を行われています。
この法人では診断名や障害の重さにとらわれることなく、サポートが必要な人に自分達で何が出来るかをずっと考えてやってきたということでした。
講演の前半は、重度知的障害のある方が入られているグループホームについてのお話でした。
こちらは横浜市で一番最初に出来た自閉症者だけのグループホームであり、3棟それぞれに5〜6名の方が入居されていて40代以降の方が多いという事です。
ホームは建て貸し方式といって住宅メーカーと土地のオーナーさん、そして浮貝さんの法人の三位一体で建てられているそうです。
1日の生活スケジュールを見ると、3ホーム共に365日型で朝は朝食、洗面などの身体介助、昼は各事業所での生活介護、事業所へは送迎サービスを使って移動し、帰宅後は行動援護を使い散歩に行ったり、夜は入浴、洗濯、歯磨きなどの身体介助と、さまざまな外部サービスを使いながら生活されています。
休日も訪問介護を利用して身の回りのことを行ったり、ガイドヘルパーを使って外出をされています。
こうした外部サービスを利用することによって、ホームの職員は入居者のアセスメントや連携、コーディネートに時間を割くことができ、ホームの職員だけで支援を抱え込まなくてもよくなり、様々な機関と連携しながら入居者の生活を支える仕組みになっているそうです。
実際の支援の様子については、事例や映像による説明がありました。
まず、コンセプトの1つである家事をするという事では、まず「お願いしたら皿洗いができる」ことを目標に取り組まれた例を挙げられました。
グループホームでは初めての取り組みで、家庭では昔にしたことがあるかもという程度の活動です。
やってみると拭き残しがあったため、原因を考え、布巾を小さい物に替え、お皿も平らな物に替え、枚数も10枚程に減らしたところ綺麗に拭けるようになったそうです。
やり始めるとルーティーンになり、拭くお皿の無い時にまでやってくるため、「お願いした時に」ということをどう教えるか、また付いている職員の指示の出し方が違うと混乱するため、職員がいなくてもできるように、環境を整理するなど、試行錯誤しながら取り組まれました。
そして1年半をかけてできるようになったそうです。
他にも、洗面後に目の下に薬を塗布するのを嫌がる方の例が紹介されました。
職員が塗ろうとしても嫌がり、自分で塗るように薬を手渡しても投げ出してしまっていたのですが、朝の洗面の手順書の中に“薬を塗る”という手順を入れて提示することで、嫌がることなく塗れるようになったそうです。
彼は薬自体が嫌だったわけではなく、いつもの洗面の手順の中に“薬をぬる”という変更があることが受け入れられなかったようです。
変更を受け入れやすくするために手順書も流れをかえた数パターンを用意するようになったそうです。
このように、日々の生活の中で本人の行動を見ながら、「なぜこういう行動をするのか」という原因や、背景、環境や障害特性の理解をしようとする視点とアセスメントを大事にされています。
また、“本人のニーズとは何か”と考えたり、本人の意思を尊重しつつ、できることを増やしていくことが、生活の幅を広げることにもつながっています。
後半はグループホームの制度を利用して浮貝先生の法人が独自に行っているサポートホーム事業の話でした。
この事業は「グループホームで他の入居者とうまくやれるか心配」「いきなり1人暮らしをするのは心配」という人が、どういう生活環境が自分に合うのかを体験出来る事業です。
支援者目線だと、そういった体験者の生活をアセスメントして1人暮らしに向けてアドバイスしたり相談にのっていく感じの事業です。
対象は発達障害の診断がある人で原則一般就労している人です。現在は3棟あり、その内の2棟は体験利用が30日〜50日、短期利用は6カ月以内、本利用となると最長2年間利用できます。
もう一棟はグループホームなのか1人暮らしなのかを決めるには2年では難しい人に対して期限を決めず、本人の意思決定がされた時まで住む事が出来るホームとなっています。
サポートホームでは生活を始める前に地域生活における一般的な(暗黙の)マナーを提示し、また各部屋にもその生活マニュアルを備え付けてあります。
世話人の方は一人暮らしを見据えた助言をしたり、相談に乗りますが、訪問は長くて1時間程度、その回数も徐々に減らしていきます。22時以降は常駐しないため、何かあればメールなどで連絡をおこなうそうです。
また外部からコーディネーターも入り、生活力の評価や、必要な支援(質・量)などを考えプランニングをしてくれます。
家族には頼らずにやるということにしているそうです。
そして実際に1人暮らしをしてみるとそれぞれに問題点が明らかになってくるようです。
例えば、自分で食事を買いに行っても栄養バランスを考えて購入できない、パターンになりいつも同じ食べ物を買おうとする人がいた時には、食事内容を見ながら、必要な栄養素について話をしたそうです。
これまで教わってきていないことは分からないので、教えていく必要があります。
また、勧誘を断れずに契約をしてしまったけれど、それをだまされたとは思っていなくて、職員に伝えてこない人に対しては、その日の出来事を記録するようにさせた所、行動を把握できるようになり、危機管理が出来るようになったそうです。
困った時に人に援助を求めることが苦手な人には、わざとあいまいな表現で書かれたレシピをもとに料理をすることによって、そばにいる職員に質問をする練習などを行った結果、人に頼る力が育ったそうです。
実際に1人での生活を体験することで、自分の得意なことや苦手なことを知り、苦手なことに対しては、支援を受けることによってできるようになったという経験を積めるので、今後の生活の場を考える上でも、このサポートホーム事業はとても意味のあることだと思いました。
発達障害の人の生活における適応行動評価シートには、@食生活、A身だしなみ、B衛生管理、C健康管理、D金銭管理、E社会性、F危機管理の7項目があるそうです。
また、自分で生活をしていく上で大事な能力としては、@自分を知る力、A指示に応じる力、B人を頼る力、C継続する力、D計画する力、E自分を統制する力、を挙げられていました。
家庭での暮らしの中では、家族のサポートがどうしても入ってしまうので、1人暮らしをした時の本人の様子が想像しにくいと思います。
実際に1人暮らしをしてみて、本人の力を見極めたり、弱い部分を補うために必要なことを考えるためにも、このサポートホーム事業のような取り組みは理想的であると思いました。
最後に、日本の中心都市である横浜市ですら、このような事業、取組みはまだ始まってから数年で数も少ないです。
他の地方都市や田舎では、まだまだ障がい者が安心して暮らせる地域やグリーンフォレストのような支援の行き届いたグループホームはなかなかありません。
今日浮貝先生から聞いた話や取組みがどんどん日本中に広がり、障がいを持った人が育ってきた地域、この岡山でもストレスなく普通に暮らしていけるようになるといいなと思いました。
(スタッフT)
○ とても貴重なお話でした。我が子たちはまだ小さいですが、将来この子たちがどこで生活するのがいいかを少しずつ考え始めています。
まだまだ漠然としていて、何もわからないのですが、グループホームや福祉サービスがたくさんある横浜のお話はとても刺激的でした。
知的障害の重度の方の癌治療や看取りのエピソードは子どもの人生の終わり方を案じて胸が詰まりましたが、病院の付き添いから葬儀までを、ホームの職員さんが家族と一緒にしてくださったことで、親御さんは心強かっただろうなぁと思います。
そういうGHと巡りあえたらと思いました。
まだ子育てもこれからですが、子どもが成人する頃にどんな生活を作っていけるかを考える種をまいていただきました。浮貝先生、ありがとうございました。
○ 事例が多くわかりやすかったです。グループホームに入れる人が地域によって違うのでうらやましいなと思いました。
グループホーム関係なく、本人が好きでやってるように見えることでも、ただ知らないだけであること、生活の幅の広げ方、意思決定支援で直接体験を提供する必要性等改めて子どもの様子の観察をしようと思いました。
これが好きって言うからと、本人の意思を尊重しているようで、本人のことを理解してない可能性があることがわかりました。
○ 特別支援学校高等部を初めて担任しました。卒業後の生徒の姿を考えながらお聞きすることができ、今教えるべきことも見えてきました。
横浜の福祉の充実ぶりがうらやましいですが、それも皆様の運動によるものなのですね。
自分が、何ができるか考えたいと思います。普段あまり聞くことがない福祉のお話、大変役にたちました。ありがとうございました。
○ 横浜市のグループホームの普及が進んでいるのは、市独自の補助金制度等、当事者団体が交渉して制度を勝ち取ってこられた成果かなと思いました。
支援区分の重い人も、わかりやすい支援の下、安定して、過ごせている様子に感心しました。週末は、行動援護を使うなどして、支援担当者を分けておられ、仕組みとしては理想的ですが、行動援護を行う事業所不足、ヘルパー不足な自治体が多いので、この方法が他の市町村で使えるか? 課題があるなと思いました。
また、知的障害のない発達障害の方対象のグループホームの話も、とても興味深く拝聴しました。こだわりを緩めていく支援、本人の納得が得られるまでの粘り強い支援の実例が大変参考になりました。
3時間があっという間でした。本来なら、午前、午後と分けて、質疑応答も交えて話ができたら、もっと有意義だったのではないかと思いましたが、コロナ禍のオンライン講座の制約上、仕方ないですね。
気軽に参加できるオンラインの良さもありますし。有意義な講演会を企画いただき、本当にありがとうございました。
支援者向け 発達障害支援 夜間連続講座 in 赤磐市
児童精神科医の村松陽子先生を講師にお招きして、赤磐市と共同開催の夜間連続講座「発達障害支援 知っておきたい基礎知識 〜今、支援者の方に伝えておきたいこと〜」です。
第4回は9月27日(火)に「コミュニケーションの支援」のテーマでお話しいただきます。月末開催となりますので、報告や感想は来月号に2回分まとめて報告させていただきますね。
楽しみにお待ちください。
それでは、第5回の案内です。
『 第5回 支援者向け発達障害支援 夜間連続講座 in 赤磐市 』
日 時:令和4年10月18日(火) 19:00〜21:00
場 所:オンライン開催(ZOOM)
テーマ: 「アセスメント(評価)について」
講 師:村松 陽子 先生(児童精神科医:京都市発達障害者支援センター センター長)
主 催:赤磐市、岡山県自閉症児を育てる会
参加費:赤磐市在住・在勤者 無料、一般 13,000円、賛助会員 10,000円(全10回分) 別途 資料代 各 7,000円 (10回分)
(途中参加の方には、見逃し配信をご案内します)
申込・問合せ:Tel.086-955-6758、Fax.086-955-6748
支援者対象 現場の先生のための即実践講座
支援者のための即実践講座、5回目は以前(第2回)「TEACCH Autism Programによる自閉症支援」で新しいプログラムをたくさん紹介していただいた加藤健生先生による、知的障害を伴う成人期の方への支援のお話しです。
成人支援施設やグループホームでサポートされておられる方にとっては、まさに即実践に役立つ構造化の具体例がお聴きできると楽しみにしています。
なお、こちらの講座も第4回の開催が9月29日(木)と、今月の会報に間に合いませんでしたので、宮野雄太先生の「学校現場におけるライフスキル指導」については次号での報告とさせてください。
『 令和4年度 第5回 現場の先生のための 即実践講座 』
日 時:令和4年10月20日(木) 19:00〜21:00
場 所:オンライン開催(ZOOM)
テーマ:「知的障害を伴う成人期自閉症者の構造化による支援」
講 師:加藤 健生 先生(社会福祉法人はーとふる)
総 括:梅永 雄二 先生(早稲田大学 教授)
主 催:NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会
参加費:一般 23,000円、賛助会員 20,000円 全10回分
(途中参加の方には、見逃し配信をご案内します)
申込・問合せ:Tel.086‐955‐6758、Fax.086-955-6748
令和4年度 支援ツール勉強会
澤月子先生から支援ツールの作り方を学ぶ勉強会です。
参加者のみなさんで、作った支援ツールを見せ合ったり、先生から助言をいただいたりしています。
9月26日(月)には第3回の勉強会を行ないました。
最初に30分ほど、参加者の近況報告や、夏休みの間に作ったツールなどを紹介した後、今回のテーマの「オリジナル 支援ツールを作ろう! B 〜コミュニケーション編〜」の講義に入りました。
これまでは、日々の生活を分かりやすくする、スケジュールや手順表など、理解コミュニケーションツールの作り方だったのですが、いよいよ表出コミュニケーションの支援です。
最初に「自発コミュニケーションには『マインド』と『ツール』が必要」というお話しがありました。
ツールとしては、有効な手段としてPECSがありますし、他にもコミック会話や視覚的なカードの活用がありますが、マインドとして、達成感やご褒美としての意欲を持たせることの大切さを教わりました。
「小・中・大ご褒美/ゴールはできるだけ短く」ということで、参加者のご家庭での「大ご褒美」も発表し合って、お互い参考になることも多かった勉強会でした。
参加されたみなさんからのアンケートの一部をご紹介します。
○ 今日もテンポの良いお話で内容も分かりやすかったです。ありがとうございました。
達成感とご褒美のお話を聞いて、現在中3支援学級の息子が、自分で大きな目標に向かって頑張っているので、その過程を認めてあげるためのご褒美や、声掛けなど、ご褒美の設定の見直しを考える時期だなと思いました。大・中・小のご褒美や、ゴール地点・中間地点、本人のヤル気が持続するサポートになるように考えたいと思いました。
○ 他の方の実際に使用されている支援ツールを見たり体験談を聞く事ができ、大変参考になりました。普段絵や言葉で理解できている人でも「初めての物は実物から」というお話が、ストンと胸に落ちてきて、とても納得できました。ぺクスやトークンなど、本人に合わせた支援ツールを活用していきたいと思います。本日はありがとうございました。
○ PECSのカードの板の色まで意識なくいましたが、名刺・形容詞・動詞など色分けすることに気づかせていただきました。ありがとうございました。
次回の支援ツール勉強会
令和4年11月21日(月) 第4回目 10:00-12:00 (Zoom)
テーマ 「将来の仕事に繋がる or 余暇としての自立課題の作成」です。
途中から参加も可能です。興味がある方は、事務局まで!!
※ 講義部分のみ後日配信あり、賛助会員の方もご参加いただけます。
今年度は、11月以後は、来年1月23日(月)・3月13日(月)を予定しています。
木工教室のお知らせ
毎年恒例で人気の木工教室、今年も開催です。
今年作るのは写真の便利BOXです。
川月先生がキットを作ってくださるので、初めての方でも安心して参加してください。
糸ノコではお父さんの出番も用意しています!! 秋の一日家族で楽しんでください。
日時:10月29日(土)10:00〜12:00 (雨天の場合、30日(日)に変更)
場所:育てる会 中庭(赤磐市和田194-1)
講師:川月清志先生(木工作家)
参加資格:正会員(兄弟児も参加可)
参加費:1,500円(材料費1人分)
定員:12名
申込締切:10月21日(金)まで (正会員限定)
(担当:N)
おやじの会 B・B・Q(バーベキュー) のお知らせ
毎年のアンケートの中でも希望が多くあがるバーベキューですが、コロナ禍の中でのびのびになっていました。
ようやく、第7波も下火になってきたようなので、この隙を狙って・・・ 第8波が来る前に、ということで、おやじの会で企画いたしました。
ただし、まだまだ油断はできないため、今のところは予定だけ。
正式な募集は10月の感染状況を見た上で、来月号で行ないます。カレンダーには予定として括弧書きで書いておいてくださいね。(正会員限定)
日 時:令和4年11月20日(日) 11:00〜14:30 (予定) (15:30より水泳教室のため)
場 所:農マル園芸あかいわ農園 BBQ場(赤磐市上市:育てる会 新事務所近く)(担当:T)
OHAの会 報告とお知らせ
令和4年9月10日(土)に、今年度 第4回OHAの会を開催いたしました。
今回は、「問題行動にどう対処する?」−強度行動障害になった高機能ASDの事例を通してー というテーマでお話しでした。
小さい頃からの良好な親子関係を育むポイントを教えていただきました。
子供の不適切な行動に対して、「ダメ!」と叱るのではなく、分かるように教えること。
例えば、お茶をこぼすことをわざと繰り返している場合、叱るのではなく、片づけてあげるのでもなく、「あなたがしたので、片づけてね。」「戻してね。」と落ち着いた口調で伝える。
それが難しい場合でも、最後の少しだけでもやらせる。一部分だけでもさせる。
そうすることで、めんどうなことを体験させて、“やらなければよかった”ということを学ぶことが大事だと言われていました。
叱ること、罰を与えることは不適切なのでもちろんダメですが、身の回りのことを何でもしてあげすぎることもまた、ある意味それは親の“支配”で、自己を表現できない、自分で物事が選択・決定できない大人になっていくということです。
分かりやすい講義をしていただきありがとうございました。「タイムリーにうちの子に合うお話でした!」など感想をいただきました。
高機能自閉症だからこそのお悩みを抱えているお母さんたちのためのよき学びの場になっているOHAの会です。
次回は、日時:10月15日(土)10:00-12:00 (Zoom)
テーマ:「親・子で本人の『高機能ASD』をどのように受け止める?」 〜子どもが成長に応じて自分の特徴を理解するための支援〜
講師:高橋 和子 先生
当日は、交流の時間もあります。申し込みされている方、ぜひ当日ご参加お待ちしています。
後日配信もございます。途中参加もOKです。気になった方は、事務局まで。(正会員限定)
(担当:K)
サッカー&ドッチ スポーツクラブ 報告とお知らせ
2022.9.3(SAT)
今年度2回目 開催。
岡大児童文化部の学生ボランティアさんと一緒に楽しく活動しました。
途中から、サッカーとドッジボールに分かれての活動となりました。
初参加の方もおられ、参加者10数名とボランティアさん15名で賑やかに駆けまわりました。
次回は、11月13日(日)です。3回目からの参加も可能です。
興味のある方は、事務局までお問い合わせください。(正会員限定)
時間:10:00〜12:00
場所:岡山大学体育館
※ 岡大の駐車場利用の場合、別途駐車場代が500円程度かかります。
(担当:K)
水泳教室のお知らせ
日 時:令和4年10月16日(日)15:30〜17:30
場 所:OSKスポーツクラブ(岡山市北区絵図町1−50)
連絡先:育てる会事務局(086-955-6758)(正会員限定)
★新たに参加されたい方、体験されたい方は事務局までお問い合わせください。
体験してみたい方は、2回までOKです。(1回 1000円)プールは正会員限定で、育てる会の貸し切りで使っていますので、安心してお越しください。
★欠席される方は10月13日(木)までに事務局に連絡してください。
(担当:T & S)
お母さんコラム
小6でASDの診断のある特別支援学級(自閉症・情緒学級)に通う息子と、5歳(年長)でASDの診断のある保育園に通う娘を持つ母が、普段の我が子との日々をつれづれに書いているコーナーです。
どうぞ気軽な気持ちで読んでください。
来春には、それぞれ就学を控えている息子(中学へ)と娘(小学校へ)。
二人とも特別支援学級(自閉症・情緒学級)を目指しているため、色々手続きに忙しい夏となりました。
発達検査・ADOS-2などを終え、それぞれ必要な書類を提出させていただきました。
あとは、神頼みです。どうか支援学級入れますように・・・。
国の方針なのか、岡山県の方針なのか、最近は「できるだけ通常学級で」と勧められるようです。
IQが数値的に標準粋ならば、特にそうなる傾向が強いらしいです。
そういえば、息子は小1から現在までずっと支援学級なのですが、在学中何度も「通常学級への転籍」を勧められました。
「状態が安定しているから」「勉強面で困っていないなら」「本人なりにどちらのクラスも楽しんでいるから」などなど、色々言われる中、私は毎年「NO」とお断りしてきました。
母としての想いというのもありますが、それ以上に本人の想いからでした。
「『支援学級にいたらダメ!』と言われるんなら仕方ないけど、そうじゃないなら今のままがいいな」
「支援学級にも交流学級(皆のいるクラス)にも、どっちにも俺の場所があるってのがいいんよ。
国語とかはこっち・図工はあっち、みたいに使い分けられるし、どちらかしかなかったら、しんどくなった時に行く場所があるっていう安心感は半端ない」
とのことでした。
以前、アイリスの会(先輩母たちの経験談)でも少しお話しさせていただいたように、毎年それなりに事件や悩みや迷いは発生してきました。
それを親子で乗り越えてこられたのは、その時その時で「これだ!」というものを決めてきたからなのかなと感じますし、その決心や息子自身の想いを大切にできたのも、支援学級という安心の場があって先生たちが丁寧にサポートしてくださってきたからこそ、だとも思います。
また、発達検査やADOS-2などを取ってみて、本人の今の困っていることや課題なども見えてきました。
「ここはもっと伸ばしていきたいところだな」という気づきも色々あり、まだまだ油断せずに子育てしていかんとな!と心新たになりました。
そして、問題は娘の方・・・。
兄とはタイプが違うのもありますが、「ASDとしてもなかなか大変なタイプなんですけど・・・。むしろお兄ちゃんより大変なんですけど・・・」と話しても、あまり親族以外の方には分かってもらえないのですが、検査という公正なものを通して見えてくる姿に先生方から、
「お母さんが、頑張って子育てしてきたからこそ、ここまで育ったんですよ!」
「大変でしたでしょう」とこれまでの子育てを労っていただき、褒めていただけて、「そうなんですー!!!!」「大変なんですー!!!!」と半泣きに励まされる思いになりました。
ASD児の子育てって、二人いれば同じものを持ってこられる訳ではなく、むしろ一人一人にオーダーメイドで合わせて考えないといけないことも多くて(同じもの・やり方でいけることもあるのはあるんですけども)、なかなか大変だなぁと思っています。
でもね。
息子の就学準備の頃は、切迫流産なりかけて入院したり、出産したてだったり、てんやわんやだったことを思い出せば、今は一人の身体だし、動けるからマシ!と思って頑張ってみます。
まずは、教育委員会がどう判定してくださるか。ドキドキですね(12月の末には分かるかな?)応援してくださいな。
(cyacya)
ちゃーちゃん日記 (あるASDの女の子のお話)
ASDの子ども二人を育てる母親であり、AS当事者でもある私のこれまでの日々や現在の様子を紹介するコラムです。
脈絡ない話や時系列が昔だったり今だったりで、分かりづらいかもしれません。
思い出したままをお伝えしていくので、整理されていませんが、お気軽な気持ちで読んでいただき、良ければ「おもろいな!」「不思議!」と皆様の身近にいるASDの人たちの感じ方や暮らし方を知ることに少しでも繋がればと思っています。
今年の夏は、岡山のうらじゃ祭りに親子で参加してきました。
数年前までは私はバリバリの踊り子でしたが、ここ数年踊ってはいないので、今回は裏方ボランティアを息子と二人で体験という形でした。
私自身は何度か経験のある裏方ボランティア。でも息子は小1の頃に少し体験しただけなので、やらないっていうだろうなぁと思いながら、一応誘ってみました。
すると「うーん。行く。やってみる」と言い、当日も頑張って色々なお手伝いをしてくれました。
小学生の裏方ボランティアは息子だけ。周りは20代30代40代の知らない人達の中、どうなるかなぁと思っていましたが、自己紹介も立派にし、与えられた仕事をテキパキこなし、参加者側で来ていた子どもたちと会話を楽しみ、最後は総おどりまでしっかり堪能していました。
総おどり中、母の私は警備スタッフもしていたので付いてはいられなかったのですが、時々気にして見ていても、ずっとマスクの下が笑顔で、「こんなに親から離れて楽しむことができるほど大きくなったのか」と感心しました。
お祭りが終わって息子が言った言葉は「楽しかったー!!!参加して本当に良かった!また来年も参加したい!!!」でした。
自分が祭りを初めてやってみようと思った時、知り合いは独りもいない状態でした。
あの時の私は「変わりたい!」と強く思って参加しました。
過去も現在も仕事も恋愛もプライベートも詳しくは知らない人たちと、今の自分だけを見てもらいたい気持ちでの参加だったので、ある意味動機はちょっと不純だったなぁとも思うのですが、「楽しい」と思えるようになったのは、“すぐのすぐ”じゃなかったように思います。
祭りってASの人にとってはわりかし難しいというか 「言語化・見える化されないスケジュール」・「集団行動」・「一斉指示」・「その場その場での臨機応変」・「見ながら覚える」・「周りと動きやタイミングを揃える」・「顔と名前を覚えないといけない」・「その集団(チーム)でのルールや決まり事」などが満載なので、なかなかにハードなのです。
その上「そのコミュニティの中で円滑なコミュニケーションをとり続ける」のはなんともかんとも。
息子もASD診断出ているので、色々な準備をして参加しました。
・スタッフの皆さんに名札をつけてもらったこと
・全体用スケジュールから、本人用のものを作り直して渡しておいたこと
・振る舞いや決まりやルールを、スケジュールに書き添えておいたこと
・活動が終わるたび(大体2時間ごと)ご褒美タイムを用意したこと(アイスとか)
・休憩や給水やトイレなどはこまめに取らせたこと(疲れやすいので)
・仕事がないと暇すぎて不適切になるので、次々とできるような仕事を与えたこと
などなど、本人用サポートをしながら、自分も裏方ボランティアスタッフとしてテキパキ動き回っていました。
息子が「楽しかった」と言ってくれて嬉しかったことに加え、私が息子の立場だったらやってほしいことをたくさん揃えての参加だったことも、成功の秘訣だったのかもな、とも思いました。
実は息子用に設定したこのすべてが、私にとっても必要な支援だったのは、面白い発見でもありました(スタッフ名札とかは特に!笑)。
40代半ばでも、まだまだ色々な発見があるなぁと思う今日この頃です。
(ちゃーちゃん)
ぐんぐん だより |
ぐんぐんぴっぴ (就学前)
朝晩は涼しいと感じる日も増え、少し過ごしやすくなってきましたね。
とはいえ、日中まだまだ暑いのでぐんぐんぴっぴで活動する子どもたちも支援者もあっという間に汗だくになります。
汗が冷えて風邪をひいてしまった・・・なんてことがないように気を付けていきたいと思います。
今回はコミュニケ―ションの取り組みについてご紹介します。
2歳児のA君は部屋にはいってすぐに遊びたいものを見つけました。
欲しい物に手を伸ばしますが届きません。近くにいる母親や支援者の方を見て「ほしい」「とって」などと伝えてくる様子はなく、なんとか自分で取ろうとし背伸びしながら手を伸ばし続けます。
支援者の存在に気が付けば伝えてくれるかなとA君の視界の中に入って見せるとA君は支援者の膝に上がり、おもちゃを取ることができたのでした。
この様子を一緒に見ていたお母さんからA君のしたい事やして欲しい事がだいたい分かるので先回りしてやってあげていることが多いかもしれないとお聞きすることができました。
家庭ではお母さんが分かってあげられても、家庭以外の場面ではそうはいかないことが予想されるため、“人に向かって伝える”(コミュニケーションする)力を身につけていく必要があることをお母さんと確認し、さっそく取り組むことにしました。
まず、人に頼んだら取ってくれるんだということに気が付いてもらうために、支援者がAくんの欲しいものを持ち、Aくんの視界に入るようにしました。
するとAくんは欲しい物に向かって手を伸ばし、発声します。「はい、〇〇(おもちゃ名)」と言いながら手渡します。何度も何度も同じように繰り返すうちに、支援者の方へ視線を向けて手を伸ばすことが増えてきました。
そして、棚にあるおもちゃが欲しい時に、なんと支援者の方へ振り返り要求を伝えてくれるではありませんか!! Aくんの中で、支援者が要求を叶えてくれる人として認められた瞬間でした。
ご家庭でもお父さんお母さんが先回りして動くのではなく、伝えたら叶えてくれるという風に認識できるように、少しだけ我慢して待っていただくようにしました。
すると、すぐにAくんはお父さんであってもお母さんであっても一生懸命に伝えてくるようになっていきました。
そこで次は誰にでも分かるように伝えるために、ジェスチャーを使って要求を伝える練習をすることにしました。
最初こそは、後ろから手添えして伝えていたジェスチャーでの要求も次第に自分からジェスチャーで伝えられるようになり、今ではおもちゃの要求だけではなく、遊びを繰り返して欲しい時には人差し指を立ててリクエストしてくれるようになりました。
ジェスチャーを使って要求できるようになったことで、家庭や療育場面だけでなく、通い始めた園やおじいちゃん、おばあちゃんなどAくんの思いが伝わる場面が増えていき、Aくんの伝えたい気持ちがどんどん強くなり、Aくんの笑顔も増えていきました。
ぐんぐんぴっぴではAくんのようにまだ人に伝えたら叶えてくれるということに気が付いてないお子さんもいます。
コミュニケーションすることを身につけることで、色々な場面で満たされ、人との関係も豊かになっていくことをAくんの姿から教えてもらいました。
コミュニケーションは一足飛びに育ってはいきません。だからこそ、丁寧に丁寧に育てていく必要があります。
今後もぐんぐんぴっぴに通ってくる子どもたちのコミュニケーションの力がしっかりと育っていくためのお手伝いができたらと思います。子どもたちの思いが伝わって笑顔がいっぱいで過ごせるように、私たち支援者も努力していきたいなと思います。
(ぐんぐんぴっぴスタッフ:K)
赤磐ぐんぐん (就学前)
本格的な夏の暑さが落ち着き、暦の上でも体感的にも秋となりましたね。
赤磐ぐんぐんの建物の周りも彼岸花でいっぱいです。
さて今回のテーマは『ASDのお子さんの苦手・短所は、長所にもなる!』です。
人には誰しも「短所」があります。
例えば、せっかち・優柔不断・飽きっぽい・ネガティブ思考・面倒くさがり…などなど。
先日、私は赤磐ぐんぐんに勤め始めて、初めての停電を体験しました。
大きな雷鳴がする度にビクッと肩が上がり、思わず歯を食いしばっていました。
療育中のことでしたが、目の前の課題や遊びに集中しているお子さんは全く気に留めていないようで、驚いたと同時にとても頼もしく感じました。
雷の音がする度にビクビクする私は、「耳からの刺激を受けやすく気が逸れやすい」という『短所』を持っていると言えるかもしれません。
でも、それは反対から見れば「周りの様子を音から把握することができる」という『長所』を持っているとも言えます。例えば私は「あ、今〇さんが階段を上がって来たな」「△さん、冷蔵庫の上から2番目のドアを開けたな」など、目で見ていなくても耳だけで情報をキャッチすることができます。
同じように、雷に全く動じることのなかった子どもの姿は、『短所』として見れば「注意を移すことが難しく同時に2つ以上のことに注意を向けるのが難しい」としても受け取れますが、それはすなわち「周囲の刺激を受けずに、目の前のことにしっかり集中できる」という『長所』にもなり得ます。
短所と長所は表裏一体、短所は長所として言い換えることができます。
今日は、赤磐ぐんぐんで私が実際にご家族と一緒にその「言い換え」をしたエピソードを紹介したいと思います。
<エピソード@ >
Aくんはお母さんと買い物に行き、ゲームコーナーでゲームをしたり乗り物に乗ったりするのが大好き。
ある日のこと。ゲームコーナーである程度遊びをこなしたAくんはお母さんに「もう帰るよ」と声をかけられました。
Aくんは「もう1回する!」とお母さんに要求しますが「もうしないよ」「このあと買い物もしないといけないんだから」と断られて泣いてしまいました。
泣き続けるAくんをやっとの思いで食料品売り場まで連れてきたお母さん。気持ちのやり場のないAくんは一緒にいた無関係の妹を叩いてしまい、妹まで泣き始めました。
お母さんはそんな2人を前にとても買い物を続けられる状況ではなくなり、何も買わずにスーパーを後にすることになったそうです。
後日お母さんから相談をいただき、一緒に「どうしてAくんはこういう行動をしたのだろう」と分析しました。
すると、Aくんはこれまでに「もう1回する!」と要求した結果、追加でゲームをさせてもらえた経験があること、「もう1回」はお母さんの状況判断によって実現したりしなかったりすることが分かりました。
つまりAくんは買い物に行ってゲームをする度に 「『もう1回する!』と言えば、もう1回させてもらえるかも」と期待していたことなどが見えてきました。
それは長所として捉えれば、「経験から学ぶ力」があり、「顕在的に学ぶことができる」ということでもあります。
お母さんとどういう工夫があるといいかを検討し、買い物に行く前に、ゲームができるのか/何のゲームができるのか/何回できるのか/どうなったら終わりか/終わったら何をするのかを、絵や文字で知らせておくようにしました。
事前に伝えておいた上で、ゲームコーナーに行ったAくん。楽しんだあと、「終わりです」と伝えると、「もう1回する!」と言う本人に、お母さんが「〜だったよね」と買い物前に伝えた内容を再度伝えると「そうだった!」と気付いて、次の予定に移ることができました。
お母さんからは「何度も『もう1回する!』と言うことが減りました」「お互いにストレスなく買い物ができました」と手応えがあったと報告がありました。
<エピソードA>
家族で外食に来たBくん。お店は串揚げ屋(自分で衣をつけて席にあるフライヤーで揚げるスタイル)でBくんは初めて利用するお店です。
お母さんは食べ始める前に言葉とジェスチャーで串揚げの作り方とフライヤーに触らないことを伝えますがBくんはピンときていません。
衣をつける順番が違っていたり、衣をつける前に具材をフライヤーに入れたりしていました。
すると、お母さんはお店のホームページから動画を探してBくんに見せました。串揚げが出来上がる一部始終をじっと見たBくんはその後から正しい手順を踏んで串揚げを作ることができました。
お母さんも「動画を見る前後で本人の姿が全く違ってびっくり」と話してくれました。
また別の日には、お母さんがBくんを後楽園のライトアップに行くことを提案しました。
イベントのポスター画像を見せながら概要を話したお母さんでしたが「行かない」とBくんは言いました。
てっきりBくんは行きたがると思っていたお母さんは、「ライトアップがどういったものなのか画像では分からなかったのかもしれない」と思い、改めて動画を見せました。その動画を見たBくんは「行く!」と言い、実際にとても楽しく過ごせたようだとお母さんから聞きました。
「視覚的に学ぶ」ことができ、「具体的な意味理解ができる」強みを持っているBくん。
Bくんのお母さんが、Bくんに分かりやすい視覚支援は写真や絵だけよりも動画の方がイメージしやすいことに気づかれ、場面が変わってもその工夫を活かしておられる、そのお母さんの分析力に感心しきりのスタッフでした。
<エピソードB>
Cくんは「登園→園で昼食→ぐんぐん」という流れでいつもは赤磐ぐんぐんを利用しています。
夏休みになり園がお休みになると、利用する日の出発までの間、何度も何度も「ぐんぐんは?」「ぐんぐんはいつ行くの?」とお母さんに聞いていたそうです。
その都度「〇〇ちゃん(兄弟)を保育園に送ってからだよ」とか、「お家に帰ってご飯食べてからだよ」とCくんに伝えていたお母さんでしたが、あまりに度々聞かれるので繰り返し同じことを答えることに少し疲れてしまったと話してくださいました。
その時、お母さんから「書いてあげたらいいんだろうけど…」という言葉がこぼれました。
状況の変化に混乱し、言語情報を記憶しておくことが難しというのは、「パターンを作りやすい」「経験に強い」「視覚的に学ぶ方が記憶しやすい」ということでもあります。
お母さんの言葉は、そんなCくんの長所に気づいたからこそ!ですね。
そこで、翌利用日にぐんぐんに行くまでの予定を、お母さんは絵に描いて知らせてみることになりました(兄弟を園に送る→帰宅→遊ぶ→昼食→ぐんぐん)。
お母さんが描いた絵をじっと見たCくんは次の日、確認するように「〇〇して〇〇したらぐんぐんだよね!」とお母さんに言いました。
またCくんは「お母さん、描いてくれてありがとう!Cくん、すごくうれしい!!」とお母さんに言いました。
言葉で伝えられることをわざわざ絵に描くことは手間も時間もかかるかもしれません。
勇気を出してチャレンジしたお母さんに掛けられたCくんの言葉に「そこまで言ってもらえるなら『やるっきゃないか!』と思えますよね」と継続して取り組んでくださっているお母さんに、私も嬉しくなりました。
先日、療育のスタッフ勉強会で松田先生から「ポジティブに肯定的に言い換える練習をしよう」という講義とワークがありました。
スタッフ同士でも自分の短所を長所に言い換える練習をしました。
・感情が表に出ない→ポーカーフェイス・不安や焦りを悟られにくい
・長続きしない→思い立ったらすぐ行動する・自分に正直
・刺激を受けやすい→多くの情報をキャッチすることができる
・熱しやすく冷めやすい→好奇心旺盛・広く浅く物事を知っている
・考えるのに時間がかかる→周りの協力を得やすい・想定内に収めることができる
・仕事が立て込むと脇目を振らず没頭する→優先順位をつけて着実にこなすことができる
・考えるよりも先に動く→行動力がある、変化を生める など
どれも「短所」として聞くとネガティブな気持ちになりますが、「長所」として聞くとその人のあるいは自分の良いところを見つけたようでポジティブな気持ちになれます。
ASDのお子さんたちの学習スタイルも、ポジティブに長所としてとらえることができることはたくさんあります。
・抽象的な意味理解が難しい→具体的な意味理解ができる
・状況やルーティーンの変化に混乱する→経験から学ぶことができる・良いパターンをつくりやすい
・細部に焦点を当てて全体を捉えるのが難しい→細やかに狭く深く考えることができる
・聴覚的な情報処理が難しい→視覚的な情報処理が得意
・反応を抑えられない→行動力がある・積極的にチャレンジする力がある
・こうに違いないと思い込むと変更が効きづらい→経験に基づいて判断することができる・記憶のスキルが強い など
誰しも短所ばかり言い並べられるより、長所をみつけてもらえた方が嬉しいですよね。
また、その勉強会の中で、松田先生から「『言い換える』と『すり替える』は別物である」というお話もありました。
「お金を使いたがらないからケチ」というのが短所なのだという人がいたとして、たとえば「本当に大切なものを計画的に買う倹約家ってことだから、長所だよ」というのは『言い換える』になりますが、「お金のことは知らないけど、背が高くておしゃれだから何着ても似合うところが長所よねー」と言われても、それは『論点のすり替え』になってしまいますよね。
私たちスタッフも、お子さんの苦手・短所と言われるようなところを長所に置き替えようとして、「言い換える」ではなく「すり替える」になってしまうことが時々あります。
「園で、先生の話を最後まで聞かないでよく指摘されているんです」と相談があった時、「でも、園には楽しく行けていますよね」と言ってしまうと、それって「すり替える」なんです。
「先生が『聞いてね』と声をかけられると、ちゃんと最後までお話を聞けますね」というように上手な「言い換える」ができるようになるには、なかなか難しい!
苦手なことや短所があったとしても、それも含めてその人です。
「言い換える」ことによって、「こういう考え方もあるな」と思えて元気になれたり「苦手なことはこういう工夫をすればカバーできるぞ」とうまくいった経験を積む中で「こういう自分も悪くないかも」「次もうまくいくかも!やってみよう」とチャレンジ意欲が湧いたりするのだと思います。
子育てをする中で、我が子の姿に「なんでこんなことするのかな?言うのかな?」 と思うことがあれば、それはチャンスです。
お子さんのことをまた一つ知れた=「言い換えたり工夫したりする可能性があるものが見つけられた」ということだと思います。
赤磐ぐんぐんでは、ご家族と一緒に「なんでかな?」「どうしてかな?」を一緒に考えながら、たくさんの長所や工夫も見つけていきたいと思います。どうぞたくさん教えてくださいね。
(赤磐ぐんぐん療育スタッフ:Y)
ぐんぐんキッズ (小1〜)
今2学期が始まり1か月ほどが経ちました。
ぐんぐんキッズの周囲の田んぼでは稲穂が首を垂れる秋の風景になりました。
今回はAくんの「本人にわかる伝え方」の取り組みについて紹介します。
4月当初、2年生のAくんは来所してすぐに「したくない」「帰りたい」と入室を渋っていました。
スケジュールを見せながら活動を説明しても、Aくんは安心できなかったようです。
なぜ、入室を嫌がっているのだろう?その理由を次のように考えてみました。
理由@:することがよくわからない。
理由A:したいものがない、やりたくない。
理由B:「したくない」と拒否しても、強く勧められると拒否できずに嫌々ながらしてしいた。
これらの理由があって「したくない」「帰りたい」と言っているのではないかと考えました。
そこで、本人の気持ちを代弁するような質問 「なにするか、よくわからないなぁって思ってる?」などをAくんにすると、「よくわからん」「これはやりたくない」「やりたくないって言ってるのをさせないで」と教えてくれました。
Aくんの話や様子から、いくつかの特性が見えてきました。言葉や抽象的な表現でつたえられたことを理解すること、文字だけの情報や状況から見通しを持つこと、自分の要求や拒否を伝えることなどで困っているようでした。
これらの特性を意識しながら、Aくんにとって「わかる伝え方」や関わりを次のように変えていきました。
理由@:することがよくわからない。
スケジュールカードに活動内容を文字やイラストで示す。
工作の実物見本や手順書を見せる、活動内スケジュール(さらに活動についてすることをわかりやすく示したもの)を写真も使って理解しやすくする。
理由A:したいものがない、やりたくない。
Aくんの興味あるもの(標識、シンボルなど)を本人やご家族から聞いて活動に取り入れる。
理由B:「したくない」と拒否しても、強く勧められると拒否できずに嫌々ながらもしてしまう。
拒否があった時、「うまくできそうにないから、やりたくないって思ってる?」など、Aくんの気持ちを代弁しながら、理由を確認する。
「難しいからやりたくないっていったらいいよ」など、Aくんの伝えやすい言葉で代弁して、本人が真似してやってみる機会を持つようにする。
Aくんの興味に合わせて、拒否しても他の活動を選べるようにする。
それぞれの理由について、支援を組み立て直すと、5月中旬頃には入室渋りも無くなって、Aくんが興味のある工作や選んで遊ぶなどのキッズタイム活動や先生とワークなどに取り組む姿が見られてきました。
そして夏休み。
先月の会報でもお伝えしたように、ぐんぐんキッズの夏休みは通所時間も長くなり、色々な活動を取り入れています。夏休みのキッズタイムではパンケーキ作りやセンソリーボトル作りなどの新しい活動をしました。
Aくんは新しい活動や経験して楽しみな夏祭りでも、何があるのか不安げに移動を渋る様子がありました。
楽しみな夏祭りや新しい活動で、なぜ移動渋りをしたのだろうか?
その理由も考えてみました。
その理由として、夏休み前はスケジュールで示された活動をパターン的に理解していたのでは? と考えました。
スケジュールや活動内容がまだ「本人にわかる伝え方」になっていなかったようです。
活動内容がパターン的だと活動先へ移動や参加がしやすく、移動渋りが無いように見えていたのでしょう。
Aくんはスケジュールを見た時に、活動内容について見通しがあると安心して移動できるのかもしれないと考えました。
すぐに先生とワークやキッズタイムなどの活動内容をスケジュールの横に掲示するようにしました。すると移動がスムーズになってきました。
次は何をするのか、4月当初は見るのも嫌だった活動内容の視覚支援は、自分から見て確認するものに変わっています。夏休みで色々な活動する機会があったからこそ、気づけたことでした。
Aくんにとってわかる・できる形に活動を用意して、安心して移動して活動に参加する形を目指して、これからもAくんにわかる伝え方をご家族と一緒に考えながら工夫していきます。
ぐんぐんキッズを楽しみに通えるように、私たちスタッフも楽しみながらお子さんをお待ちしています!
(ぐんぐんキッズ療育スタッフ:T)
グループホーム寄付のお礼とお願い
みなさま方から温かいご支援をいただき、「ほっぷ1」と「すてっぷ1」で、みんな楽しそうに暮らしています。
ご支援、本当にありがとうございます。
【グループホームへご寄付をいただいた皆様】(R4.8.26-R4.9.25)
〇 I 様(赤磐市)
〇 Y.Y 様(東京都)
○ ABC研究所 今本 繁 様(北九州市)
これからもよろしくお願いいたします。
寄付金 振込口座
中国銀行 赤磐支店 普通預金 1321755
岡山県自閉症児を育てる会 代表者 鳥羽 美智代
以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
なお会報は正会員・賛助会員の方へは郵送でお届けしています。
もしご希望の方がおられましたら、ぜひ賛助会員に申し込みをお願いします。年会費 3000円です。
応援よろしくお願いします。
申込み方法の詳細は「育てる会 HP」に記載しています。