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令和 4年11月30日

 

 第295号 

NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会

 295号 目次

      干し柿の思い出

      即実践講座・夜間連続講座・支援ツール勉強会 の 報告とお知らせ

      おやじの会 BBQ・クリスマス会・OHAの会 の 報告とお知らせ

     はやぶさの会・サッカー&ドッジスポーツクラブ ・水泳教室 の報告とお知らせ

     お母さんコラム

     ちゃーちゃん日記

     私のお薦め本コーナー
         「精神科の薬について知っておいてほしいこと

      ぐんぐんだより 

     近隣の講演会等のご案内

      寄付のお礼とお願い 

一日一日、日が暮れるのが早くなって、夕方5時頃になると、すっかり暗くなってしまいます。
秋の陽はつるべ落としといいますが、一気に暗くなる秋の夕暮れでございます。
秋になっての楽しみは、毎年作る干し柿です。西条柿という少し細長い柿がありますが、それを剥いて焼酎で消毒して、ベランダで2週間ほど吊すと、渋柿は驚くほど甘い干し柿になります。
今年は友人や事務局のKさんが届けてくれた柿を剥いて、作りました。
一度にたくさんは食べられないので、冷凍にしておいて、ゆっくり長〜く楽しみながら食べています。
干し柿で思い出すのは、昔々子どもだった頃、祖父に頼まれ、手伝った干し柿つくりです。
昔は畑の縁や田んぼのよこにある崖のところなどに柿の木が植えられていました。我が家は、そういう柿も無駄にせず全て収穫して、干し柿にして冬中食べました。
たくさん取ってきた渋柿は剥いても剥いても終わらない・・・、大量の干し柿に、手につく渋の色に、嫌気がさして、弟や妹は遊びほうけているのに、いつもいつも手伝いをさせられる長女の私は、不満でいっぱいでした。
今思い出すのは、その時のしんどかった思いと共に、干した柿をそっと屋根に登って一束自分の部屋に持込んで食べたことです。
2階の軒下に並んだ干し柿の美しい柿色とそれを頬ばったときの口の中に広がった甘い味が、懐かしくまるでたった今の経験のように天然色で蘇ります。
その時に戻ったようにありありと思い出せるのは、なぜでしょう。
私が子どもの頃暮した実家は、今は人に貸しているので、訪ねていくことは出来ませんが、私の思い出の中の実家には、あの時のままに祖父がいて、祖母がいて、妹や弟がいて、父も母もすぐそこに見えるようです。
祖父も祖母も父も母もずーっと昔に亡くなりましたが、こうやってふと思い出すと、様々な情景を思い出せるというのは、本当にしあわせなことですね。
先日、石原良純さんが、「昔の日本の家は寒かった」とテレビで言われていました。
今は、寒いときには暖房をつけて、家の中では薄着で暮らせますが、昔は・・そう寒かった。家の中では、綿入れの半纏を着込んでいましたっけ・・・。
寒いからお風呂に入るとすぐに寝床に入って、布団の中で宿題をしていた記憶があります。
中学生になって、自分専用の石油ストーブを小遣いを貯めて買ったのを覚えています。
形から、色までも懐かしく覚えているのはどうしてなんでしょう。最近ななんにも覚えられない私ですのに・・・。
このストーブです。
「昭和レトロ 石油ストーブ」で検索したら、当時の私の買ったストーブが出てきました。
中学生の私は、自分の部屋が嬉しくて、石油ストーブが嬉しくて、勉強もせずにラジオばっかり聞いていたような子でした。
昔は本当に寒かったですよね。学校にはストーブがなくて、手がかじかんで冷たかったので、椅子の座布団とおしりの間に手を入れて、かじかんだ手を温めながら受けた授業の一時間目と二時間目、3時間目くらいになると、少し暖かくなって、やっと人心地という感じでしたっけ・・・。
会員の方は、若い方が多いと思いますので、こんな昔の話は、不思議に思われると思います。
ただ、今私たちは贅沢をしていると思うんです。暖房や冷房をガンガンつけて、地球の温暖化に拍車をかけているのは、私たち自身じゃないかと思えるのです。
昭和20年代生まれの私の子供時代は、冬は寒いのが当たりまえ・・・、寒くても外で遊べといわれたモノでした。
家の中でごろごろしているなんて、許されない時代でした。ちょっと暇そうにしていたなら、手伝い要員としてかり出されて、働かされたモノでした。
貧しいけれど、みんなで家を支えた時代でした。
いつの間にか暖かい部屋に慣れ、贅沢な暮しに慣れ、子どもたちは手伝いをしなくなりました。
昔は農家の子が多くて、学校も農繁期にはお休みがあったモノでした。いつの間にか機械化が進み、田植えも稲刈りも脱穀も全部機械がやってくれる時代です。
何か大切なモノをどこかに置き忘れているような、そんな気持ちになる今日この頃です。まあ〜年寄りの繰り言とお笑いくださいませ。

さて、前回の会報でお知らせしましたように、次回の講演会は、「生きていくための大事な時間の使い方」と題して、大阪の中谷正恵さんと高知の上村和子さんに余暇への取り組み方について、ZOOMでの講演をお願いしております。
大阪、高知、岡山、3府県を繋いで行う講演会です。
参加いただく方は全国各地から聴いていただけますので、どうぞよろしくお願いします。
チラシを同封しておりますのでご覧になって、申込をしてくださいね。
余暇と一言で言いますが、皆さんは余暇ってどういうことだと思われますでしょうか?
余暇を調べてみると「余ったひまな時間。仕事の合間などの自由に使える時間」とありました。
自閉症の人は、教えなければ学べないと言われますように、教えるべきことは、勉強だけではなく、コミュニケーションや社会人としての振るまい、など、定型発達の人なら自然に学んでいくようなことも教えていないことは、学びにくい人たちです。
余暇も同様です。
余暇とは、人生を豊かにするものだと私は思います。お仕事だけをしているのではあまりにしんどいですもの・・・。YouTubeを見たり、ゲームをしたり、音楽を聴いたりテレビを見たり・・・、色々な楽しいことがたくさんある私たちです。
自閉症でも知的に高機能の人たちは、機械にも強くて、難なくパソコンやデジタル機器を駆使して様々な楽しみを見つけられる人も多いと思います。(ただ、終了することが出来なくて、昼夜逆転のような事態が起こる人もあると聞きます。これもやり方や時間制限を自分では出来にくい自閉症の人には、しっかり教えなければならないことのひとつでしょう)
そうではなく、機械操作などできにくく、自分で楽しみをなかなか作り出せない人たちの支援も、今回は考えたいと思います。
カードゲームひとつにしても様々な取り組み方が考えられます。
ルールだって、一般的なルールだけでは上手に出来ない自閉症の人は多いことでしょう。
例えば、家事。これもしっかり余暇時間に組み込んでいくことで暇な時間を減らせますね。
それと共に家事は将来の暮しに役立つスキルになります。
例えばジョギング。これも余暇としては、とてもいいと思います。
体力つくりになりますから。教えなければ、ジョギングは出来るようにはなりません。
散歩だっておんなじです。
親として少々面倒なことでも、一緒に教えていかなければ、ひとりで出来るようにはなりません。
指導のしかたや取り組み方についても動画を使って教えてくださいますので、この機会に余暇について学んでみませんか?
よく問題行動の多い方のお話しや強度行動障害のお話しが、色んなところであります。
自閉症の人は、時間のつぶし方が、解らない人たちではないでしょうか?
学校でも休み時間に一番問題行動が多いというように聞いたことがあります。
暇な時間の過ごし方を、何して過ごすのか・・・皆さんで考え合えたらと思っています。
どうぞ、お誘い合わせの上、ご参加ください。
当日参加が難しいようなら、後日配信や事務局での上映会もありますのでお問い合わせください。

さて、事務局の引っ越しに大忙しの日々を過ごした育てる会の事務員さんたちでしたが、やっとやっとなんとか年内中には、色んな場所が片付いて、落ち着けるだろうというところまでこぎ着けました。
工務店さんにお願いするつもりだったリフォームを自分たちでやり遂げてしまいました。
先立つものがないので、頑張って毎日コツコツ取り組んできました。
壁紙は、自分たちで貼るのは難しいので壁紙用のペンキを塗りました。しっくい壁だったところも同じくペンキを塗ったので、とてもきれいになりました。
床は、きれいに磨いてワックスを掛けました。
階段は、古いシートをはがすと、きれいな床材が現われました。それをきれいにサンドペーパーで磨いて、床用のニスを塗りました。
和室には、カーペットを新調して、将来児童発達支援事業所にと思っている部屋には、クッションシートを貼りました。
たくさんある余った障子を活用して、間仕切りのスクリーンを作ろうと考えています。
台所は、土間ですが、簀の子を引いてもらって、使いやすくなりました。
事務局のNさんとYさんの二人が毎日頑張って取り組んでくれたお陰で、なんとかここまで出来ました。
他に会員のIさんとMさん、それから事務局員Kさんのお嬢さんとお父様にも手伝いにきていただきました。ありがたいことです。
残りは、障子張りと窓拭き、網戸張りくらいになりました。
そうそう、芝生の草取りもやらなくちゃ〜・・・。
手をかければかけるほど、愛着がわいてきて、5〜6年先には取り壊して、新しく建て替えようかと思っていたのですが、とてもそんなことは出来ないような気持ちになっています。
皆さんもどうか、ついでの時にでも寄ってくださいね。

それでは少し我が家のお話しをしたいと思います。
我が家は三年前に引っ越して、引っ越し前の家はそのままに放置しています。
赤磐市から今後その家をどうしたいのか、「空き家バンク」の質問状がきていました。
築43年のこの家は、兄が建てて、その後私たちが譲り受けたモノです。何度かリフォームを重ねまだまだ住めるので、誰かにお貸ししたいところですが、中にはまだ色々なモノが詰まっています。
私の嫁入り箪笥や鏡台、和箪笥の中には、着物がいっぱい入っています。嫁入りの時の着物ですから70歳の私には派手で着れそうもありません。
どうしたモノかと処分も出来ずにおいています。ほどいて裂き織りにでもしたい所ですが、その暇もありません。
主人のたくさんの本や漫画本もあって、処分するモノばっかりです。
忙しくて後回しにしていたのを、3年も経ったので、少しずつ片付けに入っています。
片付けに入るのは育てる会のお仕事のない日になりますので、哲平がいる週末ということになります。
哲平を連れていくと、何か一生懸命細々したモノを勝手に自分で持ち出して、車に運んでいます。
家に帰ってみてみると、筆記用具や食器、細々した小さなお土産品、食品庫の中から見つけたらしいフグ飯の素なんかもありました。
養護学校時代に作った備前焼や、石にペイントした顔の置物等々・・・、いらないモノばかりを持って帰って、それを新しい家の廊下や窓辺に飾っていくのです。
     
私にとっては、いらないものばかりでごちゃごちゃしてますが、哲平には思い出の品々なのでしょうね。
面白いなと思いつつ、邪魔だな〜というところです。
前の家は田舎だったので、広くて収納場所も多かったのですが、今度の家は夫婦だけで暮らすつもりなので、小さくて余分なモノは入りません。
かわいそうですが、哲平の思い出だけを大切にしてやることもできません。ちょっと困っているところです。
            (持って帰った写真は可愛いし、場所もとらないので、とっておいてあげましょう)
このウォールポケットは、お嫁に来るときに持ってきたもので、作りかけたままだったのを、私が古い家から持ってきて最近完成させたものです。
哲平のことは言えませんね。
思い出は自分だけのものかもしれません。
古い家には他にもまだまだ作りかけのパッチワークなどもたくさんあります。死ぬまでには仕上げたいですね。
今年の岡山マラソンには、少し前から足が痛いというので欠場しました。
将来のことを考えると無理は禁物です。何人もの方から、「参加されるのでしょう?」と聞かれました。
その度ごとに、足の痛みについてお話ししました。皆さん応援いただいて、ありがたいことでした。
そういうわけで、今年はお休みです。来年もし元気で走れそうなら応援よろしくお願いしますね。
寒さが12月から本格化すると聞きました。この会報が届く頃には、きっと厳しい寒さでぶるぶるかもしれません。
いよいよ師走です。今年一年の締め括りをしっかりしていきたいと思います。一年一年を大切に、心を込めて暮していきたいと思います。
では皆さん、年末の会報発送までごきげんよう、さようなら。
(鳥羽 美千子)

令和4年度 支援者対象 現場の先生のための即実践講座 

梅永雄二先生プロデュースによる、自閉症支援の若手の研究者や実践家の先生方の即実践講座です。
前回の加藤先生の知的障害を伴う成人の方への支援のお話しに続き、第6回は縄岡先生による知的障害を伴わない方への就労支援 ESPIDDのお話しでした。
途中、対面式に分かれたブレイクアウトルームでの実習など、まさに即実践の講座となりました(次回の第7回はブレイクアウトルームの使用はない予定です)。
次回は、ESPIDDに続き、同じく知的障害を伴わない方への就労支援、BWAP2のツールの紹介を縄岡先生にお願いしています。
岡山で、世界の最先端の自閉症支援技術を学べる講座となっていますので、大勢のみなさんのご参加をお待ちしています(途中参加の方にはこれまでの講義もご案内します)。

  『 令和4年度 第7回 現場の先生のための 即実践講座 』

日 時:令和4年12月8日(木) 19:00〜21:00
場 所:オンライン開催(ZOOM) 
テーマ:「知的障害を伴わない成人期自閉症者の就労支援 − BWAP2」
講 師:縄岡 好晴 先生(明星大学)
総 括:梅永 雄二 先生(早稲田大学)
主 催:NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会
参加費:一般 23,000円、賛助会員 20,000円 全10回分
     (途中参加の方には、見逃し配信をご案内します)  
申込・問合せ:Tel.086‐955‐6758、Fax.086-955-6748
それでは第6回「知的障害を伴わない成人期自閉症者の就労支援 − ESPID」の講義に寄せられたアンケートの一部です。

以前数年前の梅永先生の即実践講座で紹介していただいたESPIDDなどについて、詳しく教えていただき、とても面白く参考になるお話ばかりでした。
知的障害のないASDの方のご家族とお話させていただくことが多くあり、その際に「わが子の将来が不安」「知的障害や身体障害などがある方は、就職先が支援学校などで積極的に動いていただけると聞くが、わが子は学校生活を送ることで精いっぱい。仕事ができるようになるとはとても思えないし…」と悩んでおられます。今回のお話を聞く中で、自己評価・他者評価などをしっかり行い、自分に向いているかどうか・どんな支援が必要で何がストレングスなのかを分析していくことは、自己肯定感にもつながっていくように思えます。ASD理解が社会の中で進んでいっていることを頼もしく思い、元気な気持ちになることができました。ありがとうございました!
○ 職業相談シートはとても魅力的でした。講義を聞いていてわかりやすかったこと、放デイのなかでも項目などかいつまんで子どもたちに意識でいること、支援側としてその子の方向性をもって療育でいるのではないかと感じました。境界域の子どもたちが中学に進学し、高校の進路などでも考えていくことが増えてきましたので参考にできればと思います。
○ “その人の特性を的確にアセスメントし、本人の自己理解を促進するカウンセリングを行うことが重要” だということは「本当にその通り」だと思いますが、実際どうしてよいのかわからず、うまくいかない状況が日常支援の中でたくさんあります。
職業相談シートは自分や周りの人を思い浮かべながら、「自分の状況を客観的に振り返る」ツールになりそうだなあと感じました。自分の思いや状況をうまく表現できない彼らの“助け”になりそうな気がします。自分はできるのに、うまくいかないのは周りのせいだと思い込み周りとうまくいかなくなったり、うまくいかない理由がわからず、自分を全否定し、自分の良さも見えなくなっていたり、どんどん悪循環に陥っていく彼らと支援者をつなぐツールとなる可能性を感じます。
実際どう活用していけるのか? 今日あげていただいた事例以外ももっと聞かせていただきたいです。

令和4年度 支援者向け 発達障害支援 夜間連続講座 in 赤磐市

児童精神科医の村松陽子先生を講師にお招きして、赤磐市と共同開催の夜間連続講座「発達障害支援 知っておきたい基礎知識 〜今、支援者の方に伝えておきたいこと〜」です。
今回もチャットを利用しての演習があり、それぞれの事例に対して原因を考えたり、対応策を提案したり、みなさん本当にドンドン意見をだしあって、ついていくだけで精一杯。
いろんな見方があるのを知り、とても参考になりました。
村松先生がすべての意見を肯定的に受け取ってくださり、相づちを打たれ、参加者の自己肯定感も高まって、これからも頑張ろうという気になりました。
次回は「TEACCHについて」です。誤解されることや、間違った使い方をされることのあるTEACCHプログラムですが、この機会に正しいTEACCHについて学びましょう。

  『 第7回 支援者向け発達障害支援 夜間連続講座 in 赤磐市 』

日 時:令和4年12月20日(火) 19:00〜21:00
場 所:オンライン開催(ZOOM)
テーマ: 「TEACCHについて」
講 師:村松 陽子 先生(児童精神科医:京都市発達障害者支援センター センター長)
主 催:赤磐市、岡山県自閉症児を育てる会
参加費:赤磐市在住・在勤者 無料
一般 13,000円、賛助会員 10,000円(全10回分) 別途 資料代 各 7,000円 (10回分)
 (途中参加の方には、見逃し配信をご案内します)  
申込・問合せ:Tel.086-955-6758、Fax.086-955-6748
それでは、前回の第5回「発達障害の「問題行動」と併存しやすい問題」のアンケートの一部をご紹介させていただきます。

○ 先生が冒頭で仰られた「問題行動の問題はだれの問題でしょうか」という言葉が印象的でした。人と違う行動を異質と決めつけて直そうと思うのは違うと思いました。
また、対応を考えるのも大切だけどまずそうならないようにすることが重要だとおもいました。行動を起こさないようにすることに着目していきます。
○ 演習のとき,みなさんのご意見を知ることができとても貴重な時間でした。職場でもこのような意見交換ができたら,困っている子どもたちや問題を起こしていると思われている子どもたちが,もっと分かりやすく過ごしやすい環境になるのではないかと思いました。
現場の人間関係に気を遣かってしまい,遠慮して言えないことで,本当に必要な環境改善や手立てができていないことに反省をしました。
○ わかりやすい考え方やシート、ぜひ活用していきたいです。また、行動について特性や背景を考えるワークは、自分たちも実践の中でチームで頻回行っていますが、二次障害になっているケースについて皆で考えるワークは新鮮に思いました。
参加の皆様とたくさんのアイディアを出し合って学びあえて、とても学びが深まりました。
○ 今日も演習がたくさんあり、他の参加者の方のご意見をたくさん共有する時間があってとても参考になりました。また、ご本人の立場に立って誠実に考えておられ素晴らしい見立てをされる支援者・教育者の方々がこんなにもたくさん身近にいらっしゃるのだとわかり、ものすごく心強く勇気づけられた気がします。これからもこのような勉強の場に積極的に参加し、自己研鑽を積みつつ仲間を増やしてつながっていけたらと改めて感じた回でした。

令和4年度 支援ツール勉強会

澤月子先生から支援ツールの作り方を学ぶ勉強会です。
参加者のみなさんで、作った支援ツールを見せ合ったり、先生から助言をいただいたりしています。
今回は初心にかえって「自立課題って何?」というところから、改めて学び直しました。
そして、自立課題をやれること自体がゴールになっていないでしょうか? あくまで「自立」に向かっての課題であり、達成感を持ち、次に進めるように・・・くれぐれも、「作ったもの、出来たものを、また解体させる」ような課題はNGだと肝に銘じさせていただきました。
もちろんジグソーパズルのように作っていく過程が楽しみなものはありますが、解体して元に戻すのは、大人が後でコッソリしてあげましょう・・・
ということで、次回は来年になりますが、後2回、一緒に学んでいきましょう。
次回:令和5年1月23日(月) 第5回目 10:00-12:00 (Zoom)
次回テーマ「将来の仕事に繋がる or 余暇としての自立課題の作成」の2回目です。
途中から参加も可能です。興味がある方は、事務局まで! 正会員の方 無料です!!
※ 講義部分のみ後日配信あり、賛助会員の方もご参加いただけます。

前回の「支援ツールを作ろう!C 仕事・家事・余暇に繋がる自立課題」に寄せられた感想です。
今日も楽しく参加させてもらいました。自立課題は何かにつながるものであることや、ほんの暇つぶしという考え方もいいなぁ、うちの息子には合っていると思いました。
また、自立課題は高次化するのではなく、誰にも干渉されないで1人でやり切れる時間にしてあげることだというのがよくわかりました。とても細かく実際に作った課題のポイントや簡単に作れる材料等の紹介、やってはいけないこともわかって良かったです。
澤先生が最初に言われたTEACCHの考え方、『平均台の幅を広くする』ということがよくわかる勉強会でした。ステキな考え方です(^^)
澤先生や鳥羽代表のおしゃべり、毒舌は母たちの気持ちを代弁してくださっているようで面白いしスッキリします。良いガス抜きになりました。ありがとうございました。また次回も楽しみです。

おやじの会 B・B・Q(バーベキュー) 報告

11月20日(日)に、以前より希望の多かったバーベキューをおやじの会主催で行ないました。
これまでも何度か企画まではいったのですが、コロナの流行で断念していました。まだ、終息まではいたっていなくて、第8波に入ったのかも・・・という懸念はありましたが、“行動制限解除!”というこの機会を逃しては、みんなが楽しみにしているB・B・Qの会はいつまでも開けない!!という思いで開催しました。
もちろん、感染予防対策はバッチリで就学前のちっちゃいお子さんから、成人したお兄さんたちまで、全部で8家族26人、みんなで肉をダイナミックに頬張り、ご機嫌でした。
いただいたアンケートです。
○ 息子が「たくさんお肉が食べれて良かった。」と言ってました。
他の保護者の方々とも話しが出来て良かったし、特に片付けが楽で良かったです。
   
○ 初めてのBBQで子供たちもドキドキしていたようですが、とても楽しかったようです。
近場だったのも良かったです
○ BBQという開放的な雰囲気で他家族との交流は素晴らしいと思いました。
次回も参加させていただきます。いつも様々な企画をしていただき感謝です。
いただいたアンケートで全員の方が次回も参加したいと答えていただき嬉しかったです。
それではご意見をいただいた中から、次回に向けての改善案です。
1.肉が結構多くて、焼かずに持ち帰る方もいたので、次回は量を少し減らして、良質な肉を!
2.ペアになった隣のテーブルの方とは仲良くなれたが、お互い知らないままの方もいらっしゃったようなので、最初に簡単な自己紹介をしてから始めましょう!!
3.芝生が根付いたら、新しい事務局の庭で開催した方が、ブース料も浮くし、もっといい肉を、もっと自由に楽しめそう!!!
・・・などなど、次回はもっともっと楽しいBBQの会にしたいですね。乞う、ご期待 !!(正会員限定) 

クリスマス会のご案内

みんなが毎年楽しみにしている、育てる会のクリスマス会も近づいてきました。
今年も、岡山大学児童文化部の学生さんたちが、リトミックや人形劇など、楽しい企画を用意してくれています。
みんながプレゼントをもらえるビンゴ大会や、お菓子投げもクリスマス特別バージョンです。
今年も、笑顔いっぱいのクリスマス会、参加をお待ちしています。
日  時:令和4年12月18日(日) 13時〜15時頃(12:45受付開始)
場  所:岡山大学 体育館(大学の体育館ですので、暖かい服装でお越しください。)
持ちもの:うわぐつ、お子さん用のプレゼント(付箋で名前を書いて、受付でお子さんにわからないよう、コッソリ渡してください・・・500円程度の物)
参 加 費:子ども一人につき 500円 (岡大に駐車する場合は、駐車場代が別途500円程度必要です。)
申込締切:12月12日(月) (正会員・家族 限定)
(担当:K)

OHAの会 報告とお知らせ

OHAの会は高機能自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害で知的障害のないタイプの子どもを持つお母さんのための会です。
今年度は講師に高橋和子先生をお招きして、お話しをお聴きしています。
勤めておられる方も多いので、今年は基本、土・日曜の開催といたしましたが、やはりリアルタイムで参加されるお母さんが少ないので(みなさん後日配信でお話しを聴かれているようです)、11月は座談会形式とさせていただきました。
今回は交流会ということで、参加された方がご家庭や学校で困っていることなどを話し合いましたので、プライバシーに配慮して見逃し配信は行ないませんが、ご了承ください。
後日配信で参加されている方に向けては、残り5回分の今年のテーマを、12月から4回にギュッと詰め込んでお話しいただく予定ですので、ご安心ください。
  次回のOHAの会
12月10日(土) 10:00〜12:00
「本人に対するアプローチの実際」
     〜親子のよりよいコミュニケーション/大人のかかわり方〜 (正会員限定) 

はやぶさの会のご案内

久々のはやぶさの会です。我が家の息子はなんと2か月前から楽しみにしていました。
体調など無理されないようにしながらぜひ参加してくださいね。
日 時  令和4年12月11日(日)10時集合
場 所  参加者にお知らせします
内 容  ボウリング&時間がある方は昼食
参加費  無料(ボウリングゲーム・靴・昼食代などは各家庭で)
注 意  はやぶさの会は「友だちづくりの場」です。switchなどのゲーム機を持ってきてしまうとそれで遊ぶことに夢中になってしまうので、本人が夢中になるものは持参しないようにしましょう。 (正会員限定) 
はやぶさの会、引き続きメンバー募集中!!です。
小学生以上のASD診断のある男の子・友達がほしいなと思っている子が対象です。(兄弟で参加したいという場合、その兄弟がASD診断が出ている場合のみ参加可能です)。
ぜひ事務局(086-955-6758)までお問合せください♪ 
(担当:M)

サッカー&ドッチ スポーツクラブ 報告とお知らせ

2022.11.13(日)
今年度3回目の開催、岡大児童文化部の学生ボランティアさんと一緒に楽しく活動しました。
途中から、サッカーとドッジボールに分かれての活動となりました。
ドッチボールチームは、2チームに分かれ、簡単な試合をしました。サッカーチームは、シュートの練習をして、ゴールが決まると喜ぶ姿も見られました。
3歳から高校生までの十数名の参加者と、ボランティアさん18名で、賑やかな時間となりました。
最後に“飴を二個もらって帰る”のも楽しみの一つになっている子もおられましたー
次回は、1月29日(日)です。会場の都合で、当初の予定日 1月22日(日)より変更となっております。ご注意ください。
4回目からの参加も可能です。 ご興味のおありの方は、事務局までお問い合わせください。(正会員限定) 
(担当:K)

水泳教室のお知らせ

日 時:令和4年12月18日(日) 15:30〜17:30
場 所:OSKスポーツクラブ(岡山市北区絵図町1−50)
連絡先:育てる会事務局(086-955-6758)
★新たに参加されたい方、体験されたい方は事務局までお問い合わせください。
体験してみたい方は、2回までOKです。(1回 1000円)プールは正会員限定で、育てる会の貸し切りで使っていますので、安心してお越しください。
当日は、近くの岡山大学体育館で、育てる会のクリスマス会も行なっています。
クリスマス会が終わってからで間に合いますので、体験希望の方はこの機会に!!
★欠席される方は12月15日(木)までに事務局に連絡してください。(正会員限定) 
(担当:I & S)

お母さんコラム

小6でASDの診断のある特別支援学級(自閉症・情緒学級)に通う息子と、6歳(年長)でASDの診断のある娘を持つ母が、普段の我が子との日々をつれづれに書いているコーナーです。どうぞ気軽な気持ちで読んでください。
最近の兄妹関係は、良い時と悪い時とで比べると、圧倒的に悪い時が多いです。
兄が妹のしていることや発言に対してASDならではの正義感で「見逃せない!」となることが多いのと、妹が兄に対してASDならではの空気を読まず立場を考えずにいらんことを言う・するのでブチ切れ合う感じです。
お互いに気になるからこそ喧嘩しがちでもめ事も多くあります。「喧嘩するほど仲が良い」とはうまい言葉ですね(これを兄に言うと「仲良くない!」と怒ってきますけども。笑)。
さて、先日妹が母に叱られていました。
兄妹でのトラブルでの喧嘩だと「ほらみろ!」と鬼の首を取ったような言い方をする兄ですが、今回は別件での叱られ(母が真面目な話をしているのに、全然聞いていないことに対して叱られていた)なので、じっと状況を見ていた兄。
妹は「えっと、ごめんなさい」と言った後、置いてある玩具の方に目が行き、「ねぇ、これで遊んでいい?」と言い、母の怒りに油を注ぎます。
カッとなりかけた時、兄が「おいおいおいおい」とカットインしてきました。
兄「怒られている時に玩具の話したらダメじゃろ」
妹「なんで?」
兄「『聞いてなかったんか?』『反省してないんか?』て思われるで」
妹「えー、なんで?」
兄「そりゃそうじゃろ。怒られてるんだぞ?」
妹「聞いてたよ。だから謝ったじゃん」
兄「それですぐに玩具の話はおかしいじゃろ」
妹「なんで?謝ったんだからいいじゃん」
兄「怒られてるときは、もう少し長く反省した顔とかしょんぼりした方がいいの!そうしないと、『怒られたくないから、とりあえず謝っただけ』って思われるんで?」
妹「え。だってそうじゃん。怒られたくないから謝っただけだもん」
兄「だーかーらー!それ言ったらもっと怒られるの!」
妹「なんで?」
兄「人は怒った時、相手が反省した顔や態度してると『反省しとんじゃな』『それならもうあまり追い詰めて怒らないであげようかな』って思うの!でもへらへらしとったりすぐに違うこと始めちゃったら『反省しとらん!』『もっと怒っておこう!』って思うんよ」
妹「え!やだ!!」
兄「だったら、今玩具の話をするのはどうなん?」
妹「なし!」
兄「じゃろ?はい、もっと反省した顔とかしょんぼりした感じ出して」
妹「ママ―、ごめんなさい(しょんぼり顔)」
兄「母さん、妹も反省しているみたいなんで・・・(一緒にしょんぼり顔)」
これ、全部目の前でやられているので、そのしょんぼり顔が今を乗り切るためだってバレバレなんですけども。
そこを考えないあたりが、兄のASDらしさというか面白さだなぁと思いながら、許すことにしました(笑)。
それ以降、「謝る時はどんな風にするんだっけ?」で「あ!」と思いだして反省した風を装うことを覚えた妹です。
定型発達の子どもたちだって、本当に反省していなくても殊勝な態度をとることは多くあります。
生きていくためには、こういう一つ一つの振る舞いについて学び、やってみて、それで効果を実感しながら身に着けていくことが案外大事なことなのかもしれませんね^^
(cyacya)

ちゃーちゃん日記 (あるASDの女の子のお話)

ASDの子ども二人を育てる母親であり、AS当事者でもある私のこれまでの日々や現在の様子を紹介するコラムです。
脈絡ない話や時系列が昔だったり今だったりで、分かりづらいかもしれません。思い出したままをお伝えしていくので、整理されていませんが、お気軽な気持ちで読んでいただき、良ければ「おもろいな!」「不思議!」と皆様の身近にいるASDの人たちの感じ方や暮らし方を知ることに少しでも繋がればと思っています。
今回のテーマは、「『努力』は人を裏切らない」です。
この話が出たのは、息子の学校で音楽発表会でのことからでした。
小学校高学年にもなると、合奏も合唱もなかなか難しい選曲です。
息子の学校では特別楽器(例えば木琴・大太鼓・シンバルなど)に立候補するためには、「通常楽器が合格ラインに達していること」が必要になります。
今回は「鍵盤ハーモニカ」と「縦笛」の両方が合格ラインになっていないと、やりたい楽器に立候補できないそう。
そもそも縦笛はドレミファソラシドの指も覚えきれていないので、息子は「縦笛はもう諦めた。この曲がどうとかじゃなく、そもそも難しすぎて絶対無理だし、指でどこをふさいでいるかも見えないから合っているかも分からん」「でも鍵盤ハーモニカは苦手だけど何とか頑張りたいんよね」と言います。
鍵盤のドレミファソラシドも危うい息子。
ピアノが得意な母の職場の人に楽譜の読み方や弾き方を母が教えてもらい動画にとり、それを家で息子に見せながら、親子で一音ずつ弾くレベルで頑張っていました。
夏休み明けのテストの際、縦笛から吹いた時「え、本当に練習してたの?」と疑われるレベルだったそうです。
「やってたよ!」と言っても「ほんとにー?」と言われてしまったそうで。
ですが鍵盤ハーモニカを演奏すると「あ、ちゃんと練習を頑張っていたんだね」と皆から認めてもらえたそうで、拍手ももらえたそうです。
「S・A・B・C」のレベルの中、無事に鍵盤ハーモニカは「A−」でした。
(ちなみに、縦笛は「頑張っていたことはすごくよくわかるよ」と言われたそうで…。なんと「C」でさえもなく、判定不能でした。笑)。
その時に、息子が言っていたのが上の言葉。
「努力は人を裏切らんな」でした。
私はそれを聞いてちょっと驚いたというか。こんだけ努力したのに、結局縦笛は判定不能で不合格、努力したけどダメだったという結果だと思っていたのです。
ですが、息子に話を聞くと「なんでよ。どうせ無理だとか言って努力してなかったら、鍵盤ハーモニカだって判定不能で不合格だったと思うよ」
「合格することが目標じゃないの。『やってないんじゃないの?』って疑われることの方が苦しいの」
「俺なりのベストをつくした結果の今回の結果に不満はない」「努力したからこそだよ」と。
私はそれを聞いて、なんだか過去の自分が報われたように思いました。
小学校・中学校・高校・大学・社会人・・・・。私は、勉強や運動ではどんなに努力しても、結果に繋がらないことはいつものことでした。
ケアレスミスが多かった私は「ここさえなければね」「もっと頑張りましょう」をよく言われていましたし、予習や復習もやり方が独特だったので、なかなか結果には結び付きません。
運動もどんなに頑張っても足は遅いままでしたし、球技やチーム戦では怪我をした振りをして審判役をすることが多くありました。
そもそも学校ではビブスもないので、バスケやサッカーでは誰が味方かさえも分かりません。
長らく習っていたピアノでも、同時に二つ以上のことができないため両手弾きはいつまでもできないままでした。
でも、息子の話を聞いて「それでも腐らずに、今なお努力し続けて頑張り続けられる自分のメンタルは、なかなかにすごいもんだな」と思えたのは大きな収穫でした。
いつだってベストを尽くす。結果には繋がらなくても、それをいつかどこかで繋がっていくんですよね。
だってほら、あの頃の私の頑張りが、今の息子に繋がっているんだから。
(ちゃーちゃん)

 ぐんぐん だより 

ぐんぐんぴっぴ (就学前)  

朝晩に寒さを感じるようになりましたね。ぴっぴは療育が始まるまでの時間を外でお待ちいただいているのですが、扉が開いた途端「今日寒い」「(長袖の洋服を見せながら)これ着てる」と支援者に教えてくれる子もいます。
人に伝えたい、という気持ちがあることがとっても嬉しい瞬間です。
今回は「お子さんを観察することが本人に合う支援につながった」ことについてお話したいと思います。
Aくんは療育につながって間もないお子さんです。
ご両親はAくんのことを「手がかかるのは年齢や性別や性格が関係しているのかなと思う。子どもはそんなもんかなと思いながらも、なんでそんなことするんだろう。もっとこうできるといいのにって思うんですよね〜」とお話されました。
お母さんのお話を聞きながらあそびの部屋で過ごしていると、Aくんが突然ふら〜と部屋から出て行ってしまいました。
お母さんが声をかけてくださるとAくんはまた部屋に戻ってくることができましたが、今度はお母さんの膝の上に座って遊び始める姿が見られません。
この時、Aくんが部屋を出ていった理由がはっきりとはわかりませんでした。
そこで、療育で見られた姿が園や家庭でも見られるのだとしたら、そこに行動の理由のヒントが隠れているかもしれないと思い、お母さんにお尋ねしながら探ってみることにしました。
すると、
・園ではよくある姿であること。家でもたまにある姿である。
・家では遊びの途中にふら〜とリビングから出ていってしまうことがある。
・外出先では特に母の買い物に付き合う時に見られる。
といったことがお母さんの話から分かりました。
しかし、まだまだこれではAくんがなぜふら〜と出ていってしまったかの理由がはっきりしないため、家庭でAくんがふら〜と出ていく前後の様子を観察することを宿題にさせて頂きました。
翌週の療育の際にお母さんから観察して分かったことを報告していただくと、お母さんの第一声が、「うちの子、時間が気になるみたいです」でした。
お母さんの観察によると、ふらっとその場を離れる前にAくんが時計を見ていることに気が付いたそうです。
そこでお母さんが、「時計が○になったら○○するよ」と伝えてみたところ、お母さんが伝えた○までの時間、ふらふらせずに集中して遊べたと教えていただきました。
思い返すと、確かに療育でふら〜とその場を離れてしまった時も、あそびの時間がいつになったら終わりなのか伝えていない時でした。
「お母さん、大発見ですね!」と支援者が伝えると、
「いつもなら、Aの行動をまたフラフラして、集中力がないわね。くらいにしか思っていませんでしたが、なんでこんな行動をするんだろうという視点で見てみると、Aなりの理由があることに気が付きました」
「理由が分かれば、どうしてあげたらいいか工夫も考えやすくなることも新たな発見です。」
とお母さんが目をキラキラ輝かせながら、気づかれたことをお話してくださいました。
その後もお母さんは続々と、「ふらふらしてからあとこれぐらいよと伝えるよりも、最初に時間を言っておく方が良い」「買い物リストを見ながらAと買い物をすると最後までふらふらせずに買い物できた」など、Aくんに合う工夫を見つけていかれました。どれもASDの特性に基づいた素晴らしい支援です。
自閉症の人たちは特性や学習スタイルが影響し、様々な行動として現れます。
時として、周りの人から、不適切な行動、不可解な行動と捉えられてしまい、叱責されたり、誤解されて受け止められたするといったことも起こるかもしれません。
そうなると、周りの人の感じる困惑と、自閉症の人たちが抱えている困惑とにどんどん差が広がり、自閉症の人たちは安心し安定した生活が送りづらくなると考えられます。
何とかしてあげたい気持ちから、一般的な方法を試してみるも、行動は変わらず、むしろどんどん問題が大きくなってしまうというケースもあるかもしれません。
そんな環境下だと安心した生活は送れそうにありません。
自閉症の人たちは特性や学習スタイルに合わせた環境の中であれば、安心でき自分の良さを発揮しながらどんどん成長していくと言われています。だからこそ、自閉症の視点から行動の理由を考えることが大切であり、そこが支援のスタートラインとなるのではないでしょうか。
今回、A君のお母さんはAくんの行動ではなく、行動の背景に何があるのかを自閉症の視点で観察したからこそ、Aくんの行動の理由が明らかとなり、その理由に合わせてAくんが安心して過ごせる工夫を見つけることができたのだと思います。
ぐんぐんぴっぴの療育の目的の一つに『お子さんを理解し、お子さんに合わせた支援を見つける』ということがあげられます。
保護者の皆さんは子どものために何かしてあげたい!困っていることがあれば手を差し伸べてあげたい!という思いが強い方ばかりです。お子さんに合う支援を見つけるには、自閉症の視点で観察する、考えることが必須だと改めてAくんとAくんのお母さんから教えていただきました。
これからも、療育を通じて保護者の方と一緒にお子さんに合う支援の糸口見つけられるよう、支援者として保護者に寄り添いながら、引き続き日々研鑽していきたいと思います。
(ぐんぐんぴっぴ スタッフ: M)

赤磐ぐんぐん (就学前)

日暮れが早くなり、夜明けは遅くなり、起きた時には部屋は寒い。
「あ〜寒い…冬が近づいてきているんだなぁ」とのろのろ起き出す今日この頃。
あちこちに漂うクリスマスムードに背中を押してもらいながら、楽しく冬支度をしていきたいですね。
今月のテーマは、「子どもの『興味関心』を使うのは大事!難しいけど、楽しい!」です。
赤磐ぐんぐんは、「ASD(自閉スペクトラム症)」の診断が出ているお子さんが対象の事業所です。
DSM-5によると、ASDは「社会的コミュニケーションおよび相互関係における持続的障害」「限定された反復する様式の行動・興味・活動」などが診断基準として挙げられるそうです。
例えば、ポケモンにとても強く興味を持っているASDのお子さんがいるとします。
まるでポケモン図鑑を丸暗記しているかのようなポケモンの知識があり、ポケモン映画のキャラクターや裏設定なども丁寧に解説することができます。
ポケモンであれば、難しい折り紙をネットで折り方を見ながら、角まできっちりぴっちり折りながら、失敗しても何度もチャレンジし続ける集中力・向上心を持っています。
一方、園で「クリスマス」について、先生の話を集中して聞き続けることが難しかったり、折り紙でサンタクロースを作ると言われても、手順書を示してもモデルを見せても隣で折って見せても、なかなか取り組むことができにくかったりします。
「興味がないことはやらないなんて!やる気がないからだ!怠けている!世の中そんなんじゃ渡っていけない!」なんて思われるかもしれませんが、まさに「限局された反復する様式の行動、興味、活動」が診断基準なんだから、むしろASDの人の脳からすると、当たり前だったりします。興味があることならやれるんだから、興味が持てるもの持ってこい!てなもんです。
興味が持てるものを使って活かすことができれば、たくさんのことを学んでいける力にもなっていくと思い、色々工夫しながら療育を行っています。
「本人の興味関心・好きなこと」を使って、失敗した&うまくいったエピソードをいくつかご紹介します。

  【ちょっと失敗エピソード】

「すみっコぐらし」が大好きなAちゃん。
持ち物や服装もすみっコぐらしが多いため、「援助要請の練習にもすみっコぐらしを使えば、伝えたいという気持ちが強まるはず!」と感じた私は、Aちゃんには少し難しいすみっコぐらしの折り紙に取り組んでみました。
普段使っている「てつだって」カードを見せても出さず、「手伝おうか?」と聞いてもうなずかず、自分なりに頑張り続け、ついに涙が・・・。
ご家族から「好きだからこそ、人の手を借りずに自分の力でやり遂げたかったのかもしれません」と教えていただき、大反省でした。
ご家族とは、今後はスペシャルに好きな物ではないけど、嫌いではない女子っぽいものでやった方がいいね、という方針を確認しあいました。
Bくんは、初回の聞き取りの際、「鬼滅の刃にハマっている」と現在の興味関心を教えていただきました。
赤磐ぐんぐんは楽しいところだなと思ってもらいたい・興味関心のある課題を使って「できた!」と感じてもらいたいと思い、早速「鬼滅の刃」のマッチング課題を準備しました。
Bくんはハマっているはずの鬼滅の刃マッチングを見てもなかなか取り組まず、「えー…。何で猪之助だけ二つあるの…?変なの。何で…?」とつぶやいていました。
その後他のスタッフに課題を見てもらうと「あー…、これはBくんにとっては納得しにくい課題かもね」と教えてもらいました。
実は当時、「鬼滅の刃」を見たことがなかった私は、ネットで検索して「主要キャラクターっぽいな」と思われるものを適当に使って課題を作ったのですが、「伊之助」というキャラクターの猪を被っているバージョンと被っていないバージョンの二つ(二人)を使っていて、それ以外は一体ずつになっていたのです。
「仮面ライダーシリーズが続いているところに、いきなりウルトラマン入れられているようなもんなんだよ」と教えてもらい、「私世代だとセーラームーン・マーキュリー・マーズ・ジュピターと並んでいるところに、いきなりウラヌスが並んでいるような違和感に近いんだな」と感じ、「あちゃー、そりゃ気になるわ」と納得と反省。
どちらも、「興味関心があるからこそ、やりたい気持ちが強まる反面、取り組みにくくなってしまうこともあるんだなぁ」「『好きなんだから、嬉しいよね』というような生半可な気持ちでの設定やニワカ知識で準備すると、混乱させてしまうんだなぁ」と反省する出来事でした。

  【うまくいったエピソード】

Cくんは、分からないことがある時に「教えて」カードを相手に渡して教えてもらう練習を療育の中で行っていました。
平仮名に興味関心があり、促音や濁音や半濁音などは難しい段階です。読めない文字(「くりっぷ」など)があると、椅子からずるずる〜と床に崩れて溶けてみたり、どこかに行こうとしたりすることがありました。
「興味や関心があるのにもったいないなぁ」と思っていたところ、お母さんから「最近、妖怪にもハマっていて。こっちがビックリするぐらい妖怪の名前を知っているんです」と教えてくださいました。
二つ目の興味関心である「妖怪」の名前プリントの課題を作成したところ、それまでとは打って変わってやる気に満ちた表情を見せてくれ、「教えて」カードをどんどん使って「こなきじじい」「かしゃぼ」などの読み方をスタッフに尋ねていました。
その後、「教えて」カードを、色々な妖怪を絡めた課題で実施したところ、「教えて」カードを使うと教えてもらえる・助かったという経験が積み重なってきたようで、現在は妖怪を使っていない課題でも「教えて」カードを渡せるようになってきつつあります。
DくんとEくんの二人は、対人コミュニケーション・やりとり練習のためにグループ活動で作品作りなどをしても、相手の子に見せるより反応が良い大人相手に「見て!」と見せることが多く、「住んでいる地域や園も違うし、短い療育時間だけでは『あの子ともっと関わりたい!』という意識に繋がりづらいなぁ」と感じていました。
グループ活動での振り返りの際、ご家族に伺うと偶然にもお互い「虫」「生き物」に興味関心があるとのことだったので、共通の興味関心を活かし「『虫』のシールを貼って作品作りをし、お互いに見せあう」という形にして再度活動をしてみました。
最初はそれぞれに虫シールを貼りながら大人に対してそれぞれ別々で「見て!これ〇〇!」などをコメントしていたDくんとEくん。
相手の発言を聞いて「ん?もしかして対面に座っている相手も、虫が好きで詳しいのかも?」と気づいた様子。
徐々にお互いに「この虫はさ、〇〇だよね」「そうだね!それで△△なんだよね!」というやりとりが発生しました。
そこから遊び場面でもお互いのやっていることをチラチラと見合ったり、療育後にグラウンドで一緒に虫を探したりするようになりました。
「仲良くなったこの子が好きなものは何だろう?」ではなく「僕が好きな〇〇が好きなこの子は誰だろう?」という流れで相手を意識するんだなあ〜と実感する出来事でした。

「限局された反復する様式の行動・興味・活動」と言われると、「一つのことに強くこだわる」「気になることがあるとそこ以外が目に入らなくなる」など少しネガティブな捉えをされることもありますが、「こだわり」って一般的には良い表現でも使いますもんね。
「こだわりのラーメン」「こだわりの逸品」「こだわり旅行」など、すごく特別で代えがたいものって響きにもなると感じます。
「好きなことに没頭できる集中力がある」「興味があることには優れた記憶力を発揮できる」「興味関心を活かせば新しい人・場面・状況にも世界を広げていける」「楽しみをご褒美に頑張れる力がある」など、ASDの人にとって学びに活かしていける工夫の一つにもなると思います。
とはいえ、失敗してしまった事例で紹介したように、安易に「好きだからいいよね!」と使ってしまうのも危ういこと。
療育に活かしていく際には「今度、〇ちゃんの好きな△△を使ってこういうことをしたいと思います。想定されそうなことってありますか?」など、丁寧な情報収集が必要だなと思います。
ご家族に「お子さんが好きなこと」「好きなこととお子さんの付き合い方」などを一緒に確認しあいながら、お子さんが「あ!〇〇だ!」と嬉しそうな弾ける笑顔とともに学んでいく様子を、スタッフとご家族でシェアしていき、たくさんの学びの場になっていけたらと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
(赤磐ぐんぐん スタッフ:O)

ぐんぐんキッズ (小1〜) 

はやいもので今年もあと一か月となりました。朝晩は冷え込むものの、日中は日差しも強く暑いくらいの日もあったりしますが、もう12月。
そろそろ寒くなるのでしょうか。これからの寒い季節、より一層の風邪予防や感染対策、そして防寒対策をして、元気いっぱいで毎日みなさんと過ごしていきたいと思っています!
今回は、のんびりルームの取り組みのエピソードをご紹介したいと思います。
のんびりルームとは、ぐんぐんキッズの中に設置しているカームダウンのためのエリアです。
プレイエリアの隣にある独立した小部屋と、キッズタイムの部屋の中にある、囲ってあるだけの狭い半オープンなスペースの、2つののんびりルームがあります。
  
しっかり1人になれる空間がいい人(時)と、外とつながっているけど視覚的に遮断されていて狭い空間がいい人(時)など、状況に合わせて使うことができます。
感情のコントロールの仕方やリラックスの方法を学ぶことはとても重要です。
その方法の一つとして、刺激を減らした1人になれる空間で過ごすことがあります。本人が落ち着いた状態でのんびりルームを使って過ごすことを繰り返し練習することで、一日の中で落ち着く習慣を身に着けていきます。
のんびりルームでの過ごし方は、その人によって様々です。
その人に合ったリラックスの方法を一緒に探します。深呼吸やのびなど、気持ちを落ち着ける方法を学び、実際にのんびりルームで試す練習や、いろんなリラックスグッズを試してもらって、自分の気に入ったものを持って過ごす練習をします。
人が大好きなAくんは、のんびりルームの練習を始めた当初はひとりで過ごすことができず、「一緒に遊ぼ!」と上手に先生を誘って、リラックスグッズで一緒に遊んで過ごすことになってしまっていました。
練習を始めるまでAくんはのんびりルームの存在に気づいていなかったので、先生と一緒に遊ぶ時間で、まずは部屋に慣れることができたのかもしれません。
しかし、のんびりルームは「1人で」過ごしてリラックスすることを教えたいので、のんびりルームが『先生とゆっくり遊べる場所』の認識になっても困ると思い、どう取り組んでいったらいいのか悩んでいました。
そこで先輩スタッフから、「のんびりルームで過ごす時間をごく短い時間に設定してはどうか」とアドバイスを受けました。
過ごす時間を5秒とか10秒に設定してスタッフは部屋のすぐ前で待機し、タイマーが鳴ったらすぐ入室して「1人で過ごすことができたね!!」と声掛けすることを繰り返し練習する方法です。
確実に成功できそうな時間から取り組んでいくことで、成功体験として本人の中で積み重ねていくことができます。
練習を重ねるごとにのんびりルームで過ごす流れがスムーズになってきて、過ごせる時間も少しずつ長くなってきました。
リラックスグッズに関しては、3個の選択肢から1個を選んで過ごすことができるようになりました。
  
今ではスムーズに1人で入室し、ドアを閉めて過ごすこともできるようになり、タイマーが鳴ったらグッズは自分で終わりボックスに入れて、退室することができています。のんびりルームで過ごす時間を少しずつ着実に増やしながら、気持ちを落ち着ける練習を続けています。
ある日のこと。Aくんがあそびの時間に、キッズタイムをしている同室児を遊びにさそって、断られたときがありました。
以前のAくんは、自分の思い通りにいかないときにはイライラを爆発させてしまうことが多かったのですが、このときAくんは「わかった」と一言言って自分でさっとのんびりルームに移動し、その後のんびりルームからはすぐに出てきたのですが、あそびエリアの隅に行って1人で気持ちを落ち着けている様子がありました。
このように、キッズのほかの時間や家、学校等の場面でもイライラしたらその場を離れる行動が少しずつできてきているAくん。
スモールステップでの取り組みが着実にAくんの中に積み重なっていっているなと思います。
これからも、Aくん本人の「できた!」の実感を大切に、また、「できた!」をご家族の方と共有し一緒に喜びながら、スモールステップを常に意識して、試行錯誤しながら支援していきたいと思っています。
(ぐんぐんキッズ スタッフ: U)

グループホーム寄付のお礼とお願い

みなさま方から温かいご支援をいただき、「ほっぷ1」と「すてっぷ1」で、みんな楽しそうに暮らしています。
ご支援、本当にありがとうございます。

  【グループホームへご寄付をいただいた皆様】(R4.10.26-R4.11.25)

〇 U.T 様(岡山市)
〇 鳥羽代表(赤磐市)
これからもよろしくお願いいたします。
寄付金 振込口座  中国銀行 赤磐支店 普通預金 1321755
               岡山県自閉症児を育てる会 代表者 鳥羽 美智代

以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
なお会報は正会員・賛助会員の方へは郵送でお届けしています。
もしご希望の方がおられましたら、ぜひ賛助会員に申し込みをお願いします。年会費 3000円です。
応援よろしくお願いします。
申込み方法の詳細は「
育てる会 HP」に記載しています。

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