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令和 4年12月31日

 

 第296号 

NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会

 296号 目次

      今年を思い出して

      即実践講座・夜間連続講座・支援ツール勉強会 の 報告とお知らせ

      クリスマス会・はやぶさの会・OHAの会 の 報告とお知らせ

     サッカー&ドッジスポーツクラブ ・水泳教室 の お知らせ

     お母さんコラム

     ちゃーちゃん日記

     私のお薦め本コーナー
         「ヒトはそれを 『発達障害』 と名づけました

      ぐんぐんだより 

     近隣の講演会等のご案内

早いもので年内の会報もこの号が最後となります。
皆さんにとって今年はどんな年だったでしょうか?
育てる会は、今年で発足してから25周年の年となりました。平成9年9月1日、「この指とまれ!」と5人の母親たちで立ち上げたこの会でした。
当時のお母さんたちは、今ではお子さん達も成人して、みんないなくなってしまいました(すでに本当にこの世から旅立たれて、いなくなった方もいらっしゃいます)。
それでも、私一人、ここで頑張って育てる会を支えての25年です。この25年間、大変だったこともあったはずなのに、楽しかったことばかりが思い出されて、幸せな25年だった、それし思い出せないのは何故でしょう。
辛かったことや苦しかったこともあったはずなのに、ただただ、幸せだったことしか思い出せない私は、よっぽど人がいいのか、それともすっかり呆けてしまっているのやら・・・・。それも含めて幸せな25年間でした。
25年があっという間だったのですから、言うまでもなく、今年一年も本当にあっという間に通り過ぎていきました。覚えていないくらいのスピードで始まり終わった一年間でした。

それでも振り返って思い出すのは、グループホームの「すてっぷ 1」の建設です。
  (手前が「すてっぷ 1」、奥が「ほっぷ 1」です)
6年前に建設した「ほっぷ 1」の入居者たちが、「すてっぷ 1」に移りました。
ほっぷで6年間しっかり生活スキルを学んだ彼らは、すてっぷへの入居もきわめてスムーズで、自立度も高く、自分のことは自分で出来るようになっています。お洗濯、トイレ掃除、お風呂掃除、掃除機でロフトの上まできっちりとお掃除できるようになりました。時々完璧には出来にくい部分については、支援員さんが部屋へ行って指導します。
とにかく入居者の彼らが成長してくれるスピードが、とても早いことに驚きます。
“自分の部屋”ということが、しっかり入っているのでしょう。
成長著しいなと感じます。自分の部屋は自分の責任で片付ける・・・、それがほっぷの時からの習慣です。
だからすてっぷに移り、部屋が広くなっても、掃除の箇所が増えてもちゃんとやる・・・。
自分がやらなければ、汚れがたまってしまうし、誰も代わりにやってくれたりはしません。
家とは違います。家だったら、お母さんが手伝ってくれますし、いつの間にか片付いていたりもしたことでしょう。
でも、グループホームは違います。みんなきれいにお掃除が出来ていることにおどろきつつ、6年間のほっぷでの暮しが、価値ある時間だったということが解ります。
折しもグループホームの制度改革が行われ、自立訓練型の新しい形のホームが厚労省から発表されました。
そこでは、一人暮らしという自立に向けての指導、訓練が評価されるようです。
ただし、年度を区切って、何年か以内(おそらく2〜3年)に自立をするか、あるいは元のいつまでも暮らせるような形のグループホームに戻るか、決めなくてはいけないような感じです(そこは育てる会のグループホームの考え方とは違っていますね)。
いわば、就労移行支援のグループホーム版というイメージを持ちました。
詳しい制度や報酬などはこれから決まるそうなので、育てる会のグループホームがこれに当てはまるのかどうか、興味津々でおります。

それと、今年は門先生の講演会を無料で行いました。
育てる会は今までセミナーを無料で行ったことはなく、いわばセミナーの収益で運営費を捻出し、ここまでやってこれたと言っても過言ではありません。ですからセミナーを無料にするのはとても大きな決心がいりました。
でも、今回初めて無料としたのは、PECSについての講演会を今まで講演会に来られなかった先生方や支援者の人にも聞いて欲しかったからでした。
有料で行なった際には、支援に熱心な限られた方のみが参加されて、本当に学んでいただきたい方には、聞いていただけなかったように思いました。
PECSを本格的に学ぶには、必ず「ピラミッド教育コンサルタントオフジャパン」のレベル1の講習を受けなければなりません。その講習が4万円(2日間)ほどもかかります。
学んでみると、得られるモノに比べて「決して高くない」と感じる講義なのですが、PECSどんなモノなのか、その効果を知らない人にとっては、4万円ものお金と2日間もの時間を費やす気にはならないと思います。
それで、門先生にPECSの導入のために、敷居を低くしてお話ししてもらいたかったのです。
全国の支援学校や各県の自閉症協会あてに案内を郵送させていただきました。

お陰で、なんと1200人もの人たちが、当日や後日配信を含めて参加してくださいました。
先生も講演料なしで引き受けてくださいました。
育てる会としては、今年最大の大きな出来事でした。

今年を振り返っての、もう一つの出来事は、事務局の移転です。

今までの赤磐市和田から赤磐市上市の新事務所への移転でした。
和田は、県道から少し入った狭い道の奥の方にある事務所でした。
そもそも「岡山県自閉症児を育てる会」がそこにあることもあまり知られていないという感じです。それだけ引っ込んだところにある事務所では、周りに知っていただく機会も少ないと言えるでしょう。
今度の事務所は、市役所から近く、100mもないくらいしか離れていません(今は市役所のほうが工事中で道の向いに引っ越してきています)。いわば赤磐市の中心地です。
こんなところに事務所を開設できたのはラッキーでした。
でも移転は大変でした。移転に当たっては工務店さんに見積もりをお願いしたところ、あまりの高額に驚いて、それで思い切って自分たちの手で、リフォームをやることにしました。
壁紙もペンキで塗りました。この建物は、以前は和風の焼き肉屋さんだったので、焼き肉のテーブルが7卓もありました。それを外して床を張って、上にはフロワーマットを敷きつめました。大広間にはカーペットを敷きました。
とってもきれいになりましたよ。来年度はここでもう一つ、児童発達支援の事業所を作る予定にしております。
その他には、初めてのフリーマーケットを旧事務所の中庭で行ったこと、おやじの会のバーベキューも初めての経験でした。
いずれもとても好評でした。
    
    (フリーマーケット)                     (おやじの会 バーベキュー)
こんな風に思い出していくと、色々なことをやっていますね。

来年度は青年部を作る予定です。
昔は小さかった彼らもだんだん大きくなって、我が家の息子もすでに34歳です。本来なら結婚して子どもの2〜3人もいる人になっていてもおかしくないはずの彼は、今でもぱっと見は高校生くらいにしか見えません。
コミュニケーションに障害があり知的にも大きなハンデを持つ彼には、友人と呼べる人はいません。
いつでもどこかへ行くときは、私や夫が付き添います。それに違和感もないそれしかない彼ですが、彼にも同年配の人がやっているような遊びの場を提供をしてやりたいと願う私です。
来年は、最初は親と一緒に、そしていずれはボランティアさんと・・・、というような青年の会で、それを叶えてやりたいと考えています。小さい頃はAAO活動で、大学生のお兄さんやお姉さんと街なかへ出かけていた彼らですが、今では同世代、あるいはもう年下になるのでしょうか、仲間のようになれたら嬉しいですね。
振り返ってみると、あっという間といいながらも・・・・、一年間には色々なことがありました。

さて師走です。日ごとに寒さも厳しくなって、街はクリスマスや歳の暮れ一色です。
お正月の準備は、もうお済みでしょうか?
我が家は、毎年おせちの重箱詰めは、家で作らずお店で買ったり、冷凍で届くセットを利用しています。
今年は早くに予約をしていたので、なんだか気が楽です。我が家で用意するものは、煮しめと黒豆くらいのものです。
お正月料理の中では、自分で炊いた煮しめが一番おいしいと思えるんですよね。たくさん炊いて、少し娘にもおすそ分けして、あとは、お正月三が日は台所に立ってお料理をしなくていいくらいに作ります。
お節料理の重箱は、我が家の家族に加えて、元旦に来る娘夫婦と孫たちもいっぱい食べてくれるので、2日目になると、ほとんど形をとどめません。
それでも、お煮しめだけはしっかり残るので、私も家事をしないでのんびり正月を過ごせるというわけです。
お正月には長女夫婦と長男も帰ってきます。哲平もこの期間はグループホームから帰省してきます(もっとも歩いて5分もかかりませんが・・・)。
お年玉をもらうため(?)に、二人の孫たちもやってきて、普段は夫婦だけの我が家も、賑やかにになります。
哲平おじちゃんはお年玉を甥と姪にあげるのが、いつもの恒例行事。先日買い物に行った東急ハンズで、ポチ袋をゲットした哲平おじちゃんは、お年玉をあげる気満々のようです。
お年玉で思い出すのは、甥っ子が生まれた10年前のお話です。
「叔父ちゃんというのは、小さい人にはお年玉をあげるものだよ」というようなことを言い聞かせて、哲平の財布に入ったお金からお年玉をポチ袋に入れて、手渡しするように言いました。
お金を入れたポチ袋を待たせて、当時は近所にあった娘宅へと送り出しました。
・・・暫くして帰ってきた哲平は、ポチ袋を持っていませんでした。
ちゃんと渡せたのだろう、と思っていたら、娘曰く食卓のテーブルの上に空っぽのポチ袋が置いてあったそうでした。
なんということでしょう・・・哲平おじちゃんはお金をポチ袋から出して、袋だけを置いて帰ってきたようでした。
しかも手渡しもせず、テーブルに置くだけとは、なんということでしょう。
よっぽどお金を渡したくなかったということでしょうか・・・ね。
そんな哲平も今では、きちんとポチ袋を用意して、しっかり中身を入れて渡せるような叔父ちゃんになりました。
人は日々成長するのです。
思い返せば、私の子育ての目標の中には、兄弟が結婚するときに、式に参列できるようになっていてほしいということと、生まれた甥や姪にお年玉をあげるようなそんなおじちゃんになっていてほしいということがありました。
その二つの目標が、今はかなっているというわけです。
(他の目標、税金の払える大人に・・・これも叶いました。あとは就労自立・・・こちらは自立に向けて、あと一歩というところでしょうか)
改めて、幸せって、こういうことでしょうか? 
私はとっても幸せなお母さんになっています。
34歳の息子哲平は私の望んだ通りのおじちゃんになりました。
『そして自閉症のおじいさんになればいい』という本がありましたが、ちょっとへんてこりんだけれど、おもしろいおじさんになった哲平は、あと30年もしたら、ちょっと変わった自閉症のおじいさんになるんでしょうね。
それが、私の目下の目標です。
 「そして自閉症のおじいさんになればいい」
          上野敬子:著  横浜やまびこの里
そして私たち夫婦のお葬式や法事には、キチンと参列してくれるんだと思うんです。
次に控える私の目標は、安心して逝きたいというところでしょうか?

さて、皆さん日本全国は雪に覆われているようです。
今日お天気情報を見ていると、全国でここ岡山県の南部だけが雪ではなくて、晴れているのです。
高知県の知り合い(今度1月14日にセミナーをお願いする上村さん)は、写真と共に大雪の情報を教えてくれました。大阪でさえ(同じく中谷さん情報)うっすら雪が降っているそうです。
ところがここ岡山は、ピーカン晴れの日が続いています。
どういうことでしょうね。なんて恵まれた地域でしょう。つくづくここに暮せている幸せを感じます。
どうぞ、お二人様をはじめ、他県のみなさま、岡山へ引っ越してきてください。
特に赤磐はいいですよ。土地は安いし、岡山へのアクセスはいいし、高知や大阪への高速インターチェンジもあります。
果物も野菜もおいしいですよ。そして何より岡山県自閉症児を育てる会があります。
みんなで自閉症児や自閉症の大人たちをしっかり支援して、彼らが幸せな人生を送れるように伴走していければと思っています。
それでは、今日はこれまで、皆さん、よいお年をお迎えください。
(鳥羽 美千子)

令和4年度 支援者対象 現場の先生のための即実践講座 

梅永雄二先生プロデュースによる、自閉症支援の若手の研究者や実践家の先生方の即実践講座です。
12月8日(木)には、前回のESPIDDに続き、知的障害を伴わない方への就労支援 BWAP2について、縄岡好晴先生にアセスメントシートを見ながら、具体的に教えていただきました。
初めて学ぶことも多く、これからの参考にさせていただきます。
次回の第8回は、ニッチ(?)というか、これまであまり取り上げられなかった自動車教習所における支援のお話しです。
それでも、山下久仁彦氏の「ぼくはうみがみたくなりました 2」の舞台が自動車教習所であったように、高機能な人たちが一般就労するにあたっては、自動車免許を求められるケースもあるかと思います。
発達障害をもつ人が、教習所で免許所得するまでの支援・・・・はたしてどのようなものか、興味ありますね。楽しみにしています。

  『 令和4年度 第8回 現場の先生のための 即実践講座 』

日 時:令和5年1月12日(木) 19:00〜21:00
場 所:オンライン開催(ZOOM) 
テーマ:「発達障害者に対する自動車教習所における支援」
講 師:高橋 幾 先生(早稲田大学 非常勤講師)
総 括:梅永 雄二 先生(早稲田大学 教授)
主 催:NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会
参加費:一般 23,000円、賛助会員 20,000円 全10回分
     (途中参加の方には、これまでの回の見逃し配信をご案内します)  
申込・問合せ:Tel.086‐955‐6758、Fax.086-955-6748
それでは第7回 「知的障害を伴わない成人期自閉症者の就労支援 − BWAP2」 の講義に寄せられたアンケートの一部です。

○ 小学生に就労支援のことを考えるのは早いかな、難しいかな、と思っていましたが、実際にアセスメントシートを見ると、小学生でも、というより、小学生のうちから知っていたり経験したり、定着したりしている方がいいな、と感じるものが多くありました。
また、自己評価と他者評価のズレについては、直接関わる私たちがしっかりと評価して伝えていかなければいけないと思いました。
○ BWAP2について丁寧に説明して下さり分かりやすかったです。BWAP2には仕事する上で必要な力をアセスメントすることができる魅力や、就労する前に自分の力を知っておくことで、就労してから傷ついたり、自信を無くしたりすることは圧倒的に減るだろうなと思いました。また、どの部分にどのような支援が必要なのかも明らかにすることで、生き生きと仕事することにもつながるなと思いました。
それと同時に、私自身は幼児期の支援に携わっていますが、BWAP2の項目を見て就労するために必要な力について知ることができ、将来的にこのような力が身につくように幼児期から意識して取り組んでいきたいなとも感じました。ありがとうございました。
○ 支援の効果測定が分かりやすく、共有しやすくなるツールとして活用できそうだと感じました。
また現場で時間的な負担が少ないことは活用する上でとても重要だと感じることが多いので、今回勉強できてよかったです。
○ BWAP2を本人と共有して、就労支援の必要性や優先順位をつけるということが大切であることが理解できました。職業評価をどのように実際、本人の就労、生活に役立つようにするか、BWAP2をどのように活用していくかという視点も得ることができました。ありがとうございました。

令和4年度 支援者向け 発達障害支援 夜間連続講座 in 赤磐市

児童精神科医の村松陽子先生を講師にお招きして、赤磐市と共同開催の夜間連続講座「発達障害支援 知っておきたい基礎知識 〜今、支援者の方に伝えておきたいこと〜」です。
第7回は「TEACCHについて」ということで、療育現場で広く知られているけれど、誤解されたり、表面的な技法だけをマネされたり・・・とか、いろいろあるTEACCHプログラムについて、その理念から丁寧に教えていただきました。
次回は「診断の告知と自己認知」ということで、お医者さんにしかできない診断と、それを保護者の方、本人にどう告知していけばいいのか、そこに支援者としてどう関わればいいのか、しっかり学ばせていただきたいと思っています。
村松先生の講座も、いよいよ残り3回となってきましたが、最初から学びたい方には初回の講義から視聴できますので、途中からでもどうぞご参加ください。

  『 第8回 支援者向け発達障害支援 夜間連続講座 in 赤磐市 』

日 時:令和5年1月17日(火) 19:00〜21:00
場 所:オンライン開催(ZOOM)
テーマ: 「診断の告知と自己認知」
講 師:村松 陽子 先生(児童精神科医:京都市発達障害者支援センター センター長)
主 催:赤磐市、岡山県自閉症児を育てる会
参加費:赤磐市在住・在勤者 無料、一般 13,000円、賛助会員 10,000円(全10回分) 
      別途 資料代 各 7,000円 (10回分)
      (途中参加の方には、こちらも見逃し配信をご案内します)  
申込・問合せ:Tel.086-955-6758、Fax.086-955-6748
それでは、前回の第7回「TEACCHについて」に寄せられたアンケートの一部をご紹介させていただきます。

○ TEACCHのアプローチとして、「自閉症を理解し、異なる文化を持った人としてその価値を認め、自閉症の人に敬意を持つこと」が、大前提としてあることを冒頭に説明いただきました。改めて、今私が自閉症の方々に関する様々なアプローチ法や理論を学ぼうとしているその目的や根源には、自閉症を理解することによって「自閉症の方々に敬意を持って対等な関係性を築くこと」にあるのだったと、ハッとしました。
今事業所を利用されている自閉症のお二人は、私からすると息子のような年齢のお若い方であるがゆえに、そのチャーミングなふるまいを見ると「可愛らしい」と思ってしまい、その感情が言葉かけの表現に出てしまいがちですが、ともすると年齢相応の成人男性に対する言葉かけや働きかけとしては不適切なものになりがちでもあると、少し反省をしました。
彼らの表層だけを見て子ども扱いすることは彼らの尊厳を傷つけることですので、自閉症の文化を持った敬意を払うべき成人男性として対等な立場で関係性を築けるようこのような研修の機会を通じてもっと「自閉症の正しい理解」を深めることが必要だと感じました。
○ 私は,自閉症の子どもとの出会いとTEACCHとの出会いが同時でした。その時に私にTEACCHを教えてくださった方に感謝しています。私が子どものことを考えるときの指針になっているのがTEACCHです。
TEACCHが多くの支援者に理解してもらえるといいなあと思いました。評価は専門の方でないとできないのですね。
岡山の学校も専門家が入って指導してもらえるようになったらいいなあと思いました。
○ TEACCHをきちんとやれているわけではありませんが、構造化やスケジュールなど支援学級では当たり前になっているようなことをやっています。でも、講座の中にあった誤解を私自身いくらかしていたように思います。まずは、人が優先であること、敬意を持つこと改めて自分にも言い聞かせたいと思いました。

令和4年度 支援ツール勉強会

澤月子先生から支援ツールの作り方を学ぶ勉強会です。
参加者のみなさんで、作った支援ツールを見せ合ったり、先生から助言をいただいたりしています。
次回:令和5年1月23日(月) 第5回目 10:00-12:00 (Zoom)
   次回テーマ「将来の仕事に繋がる or 余暇としての自立課題の作成」の2回目です。
途中から参加も可能です。興味がある方は、事務局まで! 正会員の方 無料です!!
※ 講義部分のみ後日配信あり、賛助会員の方もご参加いただけます。

クリスマス会 中止・延期のお詫びとお知らせ

みなさんとても楽しみにしていただいていた育てる会のクリスマス会ですが、前日の夜、ボランティアをお願いしていた岡大の学生さんに新型コロナウイルス陽性が判明したということで、急遽中止とさせていただきました。
大学の方針として、一人でもコロナが出ると、その部の部活動は全面中止となってしまうそうです。
予定変更の苦手なASD児にとって、しかも直前の夜・・・ということで、各ご家庭にはご迷惑をおかけしました。
混乱したお子さんもいらっしゃると思います。本当に申し訳ありませんでした。
それにしても、コロナは続きますね。来年こそは、コロナも収束し、マスクなしで体育館を走り回れる日が来ることを願っています。
なおクリスマス会についいては、2月12日(日)(仮)に『育てる会バレンタイン 遅れてきたサンタクロース』のタイトルで、順延して実施の予定です。
(日にちの最終決定は 体育館を確保しないといけないので1月中旬になりそうです・・・とりあえず人数把握のため、参加できそうでしたら、仮でもいいので申込んでください。日時が最終決まり次第LINE等で連絡します・・・日にちが合わなければ、遠慮なくキャンセル可です)
詳しくは、同封のチラシをご覧ください!!
(担当:K) 

はやぶさの会のご報告

先日、12月11日(日)に、はやぶさメンバーでボウリングに行ってきました。
人数の変更もあり予約電話で確認をしたところ、「すぐには隣あうレーンは空いていません」とのお返事。
そこで急遽「ブランチ→ボウリング」の流れに変更、ところが時間が「モーニング・サービスタイム」で、いつものメニューがない、などのハプニングがあれこれありました。
どうする?!と親たちアワアワしていましたが、子どもたちは相談しあって食べたいものを食べながらランチタイムを待ち、ボウリングもしっかり楽しむことができていました。
なんとも成長しているなぁと感動です。
時期的に「クリスマスプレゼント何にしたの?」「ぼくはねー」「いいねぇ!」「これとこれ、迷うよなぁ」など子ども同士は話し合い、「小学校での支援ってどう?」「中学って宿題どんな風にするの?」など親同士は悩みをぶっちゃけ合い、あっという間の時間でした。
子どもたちからは「楽しかった」「皆が揃えなかったのは残念だったけど、新しい子とも仲良くなってこれたような気がする」「ボウリングもっとうまくなりたい」などの感想がありました。
お母さんたちからは「皆さんと近況を分かちあえたので嬉しかった」「ゆっくりお話できる時間があって楽しかった」「どの家も同じなんだなぁとホッとしました」などの感想が寄せられました。
少しずつお友達として、良い距離感での関わりができるようになってきていること、また親たちでじっくり色々話ができる場であることが、とても嬉しいなぁと感じています。
引き続きメンバー募集中!!です。
小学生以上のASD診断のある男の子・友達がほしいなと思っている子が対象です。
(兄弟で参加したいという場合、その兄弟がASD診断の出ている場合のみ参加可能です)。
ぜひ事務局(086-955-6758)までお問合せください♪
(担当:M)

OHAの会 報告とお知らせ

OHAの会は高機能自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害で知的障害のないタイプの子どもを持つお母さんのための会です。
今年度は高橋和子先生のお話を聴かせていただいています。
2022.12.10(SAT)  今年度 第7回目 開催
今回は、「子どもに対するアプローチの実際 〜親子のよりよいコミュニケーション 大人のかかわり方〜」
というテーマでお話しいただきました。
今回は、実際のVTR映像を見ながら、大人の関わりで子供の様子がどのように違うかを読み取っていくワークをしました。
まずは個々に考え、意見交換をしてから、先生に解説していただきました。
大人がしたいことに引っ張ると、子供は問題行動が増えたり、その場を立ち去ったりする姿が見られました。大人が子供の目線に入り、子供がしていることを見て、子供が何を訴えているのかを考えながら関わると、子供は楽しそうにし、その大人の言っていることを聞く姿勢が見られました。子供を変えるには、まず大人が関わりを変えていくことが大事だと先生は話されました。
みんなで同じ映像を見ながら考えていくことは、自分では拾い切れていない部分なども新しい発見となり、とても分かりやすく勉強になりました!
OHAの会は、高機能自閉症だからこそのお悩みを抱えているお母さんたちのためのよき学びの場です。
先月よりオフィシャルLINEも開設し、参加者同士で意見交換・情報交換もしています。
みなさんが気になっているゲームとの付き合い方や、余暇についても、「どうやってるのー?」といった会話が繰り広げられていて、高橋先生から助言をいただいたりもしています。
参加者のみなさんのことが知ることができて、以前よりもみなさんが近しい関係になれているなと感じています。
次回は、1月14日(土) 9:30-11:30です。時間がいつもと異なります、ご注意ください。
テーマは、 「本人に対するアプローチの実際2」
           〜自発的に問題解決ができる力、考え方を培うコミュニケーション〜

サッカー&ドッチ スポーツクラブ お知らせ

正月開け、最初のサッカー&ドッジボール スポーツクラブの開催です。今年度4回目です。
外では寒風が吹き荒れる頃ですが、岡山大学体育館の中での開催ですので、すぐに熱気で暖かくなるはずです!
岡大の学生さんたちが大勢待っていてくれていますので、みんな集まって元気な声を聞かせてくださいね。
次回は、1月29日(日)です。
会場の都合で、当初の予定日 1月22日(日)より変更となっております。ご注意ください。
4回目からの参加も可能です。 ご興味のおありの方は、事務局までお問い合わせください。
(担当:K)

水泳教室のお知らせ

日 時:令和5年1月15日(日)15:30〜17:30
場 所:OSKスポーツクラブ(岡山市北区絵図町1−50)
連絡先:育てる会事務局(086-955-6758)
★新たに参加されたい方、体験されたい方は事務局までお問い合わせください。
体験してみたい方は、2回までOKです(1回 1000円)。
プールは正会員限定で、育てる会の貸し切りで使っていますので、安心してお越しください。
★欠席される方は1月12日(木)までに事務局に連絡してください。
(担当: I & S)

お母さんコラム

小6でASDの診断のある特別支援学級(自閉症・情緒学級)に通う息子と、6歳(年長)でASDの診断のある娘を持つ母が、普段の我が子との日々をつれづれに書いているコーナーです。どうぞ気軽な気持ちで読んでください。
今日はちょっと真面目な話。
新年度までいよいよあと3か月。娘の小学校に向けての心配や悩みは尽きない毎日です。
兄の中学入学(6歳差なので、小学校と中学校が同時)についてもあれこれ心配は心配なのですが、兄は中学も特別支援学級(自閉症・情緒学級)に通えることが決定されました。
ですから兄の方の心配ごとは、どちらかというと「小学校→中学校に対する変化」(例:徒歩通学→自転車通学、担任制→教科担任制、部活がスタート、宿題の出され方の違いなど・・・)なので、事前に準備をしていても、ある程度は入学してみないと分からないことが多く、頑張っていこうねと親子で話しをしています。
一方、妹の方は「特別支援学級」を希望して就学支援委員会にお願いしていましたが、色々協議の結果「通常学級+通級指導教室」ということになりました。
通級指導教室は、週1回1時間程度、通常学級とは別に本人の障害特性に合わせた指導を受けるクラスです。
就学基準によると「通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度」の子が在籍適だとのこと。
おおむね」「一部」・・・。 本当に!? うちの子相当大変ですよ!? と心配ばかりでした。
折しも12月に発表された文部科学省の調査で、「通常学級に在籍する小中学生のうち、『8.8%』に発達障害のある可能性がある」と発表されたそうです。
しかも小学校のみならなら『10.4%』だそうで。診断が出ていなくて可能性がある子が10人に一人なら、診断が出ているうちの子のような子を入れたら、もうどっちがマイノリティ?!という時代がすぐそこに来ているように思います。
心配もたくさんありましたので、教育委員会や学校の先生たちと面談して色々相談してきました。
園や療育や家庭でどんな風な支援が有効か、どういうことが難しかったか、などをお話しながら、
「わが子にだけ特別な支援をしてもらいたいということでなく、どの子にとっても学校が楽しく授業が面白く毎日笑顔でいてほしい。そのための可能な範囲での指導をしてもらいたい」
「どの子にとっても楽しい学校生活になってほしい」
「無理になったら、しんどくなったら支援学級へ移籍というよりは、就学支援委員会の皆さんで、これで行けると判断していただいたのなら、せっかくだから楽しい学校生活にしてやりたい」
とお話しました。
「cyacyaさんのお子さんにとって分かりやすい関わりや説明の仕方は、今お伺いしたことだけでも、とても分かりやすい関わりだなとこちら側としても思います」
「こういう関わりは、他の子たちにとっても、分かりやすい授業や指導に繋がっていくと思う」
「一緒に考えていきましょう」
など、とても前向きなお話を伺うことができました。
ノーマライゼーションやインクルージョンなど、難しい横文字言葉は私にはよく分かりませんが、私個人としては「ユニバーサルデザイン」が一番しっくりくるなと思います。
誰にとっても分かりやすく、わざとらしすぎず、それが当たり前になっていくと良いなと思います。
例えば、エレベーターは、最初は車いすや身体の不自由な方のための設置だったかもしれません。それがベビーカーやお年寄りのためにも役立ち、若者にとっても助かるものになっている。
そんな風に、ASDの子どもたちにとって分かりやすい授業が、他のクラスメイトにとっても分かりやすい授業になり、先生たちにとっても教えやすい授業やクラス運営になっていけば、もしかしたら「特別支援」自体が、いつか「そんなの特別じゃないよ・当たり前だよ」なんて言われる時代が来るかもしれません。
そういう時代を作っていくのも、今の私たちにかかっていると思います。
のんべんだらりと生きていた私ですが、「親としてできることを丁寧にやっていこう!!」と就学に向けて、前向きな気持ちになっています。
まだまだ迷いや悩みや課題もいっぱい!
これからも頑張っていきますので、続報をお楽しみに♪
(cyacya)

ちゃーちゃん日記 (あるASDの女の子のお話)

ASDの子ども二人を育てる母親であり、AS当事者でもある私のこれまでの日々や現在の様子を紹介するコラムです。
脈絡ない話や時系列が昔だったり今だったりで、分かりづらいかもしれません。思い出したままをお伝えしていくので、整理されていませんが、お気軽な気持ちで読んでいただき、良ければ「おもろいな!」「不思議!」と皆様の身近にいるASDの人たちの感じ方や暮らし方を知ることに少しでも繋がればと思っています。
今回のテーマは、「人込みは苦手」です。
私は人の多いところは苦手です。
うらじゃやよさこいなどで踊っていたのに?!という感じですが、特にイオンモールなどの大型店舗の人込みはすごく苦手。
大丈夫な時もあるのですが、大丈夫じゃない時もありまして。
「光や音や人の声などが同時に刺激になり、うるさく感じる」
「お店がたくさんあると、右や左をキョロキョロしすぎて、どこで何を買うか・どれを買うか決められない」
「同時に人が動くと、人の動きや波に気持ちがのまれてしまう」
「人と一緒に行くと(家族でも)、相手のペースに合わせることに疲れてしまうの」 などなど・・・。
逆にうまくいく場面を考えると
「目的が決まっている(例:〇〇を買う・映画を見るなど)」
「自分なりに予定や行くお店などを検討し、見通しを立てておくといい」
「出かける時は、できるだけ一人で行く方が良い」 などなど・・・。
これのすべてが叶うわけではないですが、どれか一つだけでも取り入れておくと安心です。
こういうことを考えていてふと気づいたのですが、「こういうことで困っているなぁ」と思うと、あれこれ理由や対応を考えて「こうしてみたらどうか」をまた一つ一つ試してみて、自分の中のうまくいくマニュアルを見つけていくのは、こういう特性に対処していくために生きる術なんだなぁと思います。
わが子たちが困ったことがある時も「こうしてみたら」と答えそのものを教えるより、子どもと一緒に「どうしてかな」を分析して、一緒に解決方法を試していく方法の方が、定着率がいいようにも思います。
ASDの特性に合った関わりは、たぶん小さい時も大人になった時もあまり変わらないんだろうなと思います。
これからも色々検証しながら考えていきたいと思います^^ノ
(ちゃーちゃん)

 ぐんぐん だより 

ぐんぐんぴっぴ (就学前)  

吐く息も白くなり、冬の訪れを感じる季節に入りました。
入口に準備しているタンクのお湯で手洗いをし「あったかいなあ」と言いながら保護者の方とにこにこと手洗いをされているお子さんを見ると、私たちもあたたかい気持ちになります。
ASDのお子さんの子育ては、ASDの視点をもって接することが大切であると言われています。
そのように言われていますが、実際は “この子のために、一生懸命色々考えて対応しているのになんだかうまくいない” と、悩みを抱えておられる保護者の方の声をよく耳にします。
療育の中で、実際にお子さんの様子を注意深く見ていくと、ASDの特性が関係していることが見えてきます。ASDの特性を踏まえて本人の行動を分析し、本人に合った関わり方を考えることで、お子さんに合った対応方法を保護者の方と共有できる機会が増えてきています。
以前、ある保護者の方から「うちの子に合う子育てマニュアルがあるなら欲しい」と言われたことがありました。残念ながら、万能な子育てマニュアルはないため、一人ひとりのお子さんに合わせて対応を考えていかなければなりません。
今回はお子さんの行動の理由を考え、お子さんに合う関わりを保護者と見つけたお話しを紹介します。
Aくんは,愛嬌あふれる元気いっぱいのお子さんです。
お母さんはAくんへの愛情たっぷりで,いつも連絡帳で日ごろのかわいいAくんのエピソードを教えてくださったり、Aくんへの接し方についていつも真剣に考えておられます。
Aくんのためを思って、声を掛けたり、教えたりするものの、手ごたえを感じづらいとのことでした。
ある日の療育場面で、次の活動エリアに移動していた時のことです。
移動するまでの間にある別のエリアのドアが少し開いていて、ちょうど中で楽しそうに活動しているBくんの様子が見えました。
Aくんはつい立ち止まり、Bくんの様子を見ています。
そこで「Aくん、今どうするんだった?」とお母さん。するとAくんはハッとし、活動エリアまでの短い距離を全速力で走ります。急には止まれないので、行きすぎたり、少し興奮気味に手にしている物を投げたりしてしまったAくん。
「投げたらいけんよ」と再び声をかけられたAくんは怒りだしてしまったということがありました。
お母さんは「先生、こういうことが多いんです。最近特に導火線が短いというか・・・どう接していいのか・・・」とコメントされました。
お母さんが日々の生活でAくんのためを思っての声掛けがうまくAくんに届いていないと感じられる場面でした。
そこで、お母さんと一緒にASDの視点からAくんがなぜこの場面でこのような行動を取ったのかを考えてみたところ、
@移動の最中、他の友達が楽しそうに遊んでいる様子が見え、そこから注意が外せなくなったのではないか。
A移動の時にかけられた言葉がAくんにとって刺激となり怒りにつながったのではないか。
といった上記の2つが思い当たり、その2つの行動の理由に合わせた対応については以下のように考えました。
@について、Aくんは視覚的な情報をキャッチしやすく、気になると注意が外しにくくなることから、「見えなくても良いようにドアを閉めておく」ように工夫し、移動先のエリアへ意識が向くように環境調整する。
Aについて、本人が大人から掛けられる色々な言葉が刺激となっている可能性があることから、Aくんへの言葉がけを必要最小限に減らし、声掛け以外の方法なども活用しながら、本児がやるべきことに意識を向けられるようにする。
以上のことをお母さんと共有し、再び療育の中で同じような場面があった時、お母さんはつい声掛けをしたくなっても、声掛けはせず静かに見守っておられました。
また、Aくんが目的のエリアまで適切に移動できるように、他のエリアの扉は必ず閉めておくようにしました。
すると、多少、移動する途中にうろうろとすることはあるものの、支援者がトランジッションカードをタップすると、その時に自分が何をすべきかに自分で気が付き、その後スムーズに移動することができました。
そこには、お母さんの声掛けで怒るAくんの姿はありませんでした。
我が子を思って接することはとても素晴らしいことです。しかし、他の子でうまくいった接し方だとうまくいかないこともあるかもしれません。だからこそわが子に合う方法を見つけていくことが大切になります。
お子さん目線で観察しASDの視点で行動の理由を考え、そこから本人に合った関わり方を考えていくことが、本人の過ごしやすさ、分かりやすさにつながるのだということをAくんとAくんのお母さんから教えていただいた出来事でした。
ぴっぴの療育では、保護者の方と一緒にASDの特性を踏まえた本人にとって有効な関わり方を見つけ、一つずつ積み上げていき、その子その子に合った“子育てマニュアル”を作っていけたら良いなと思っています。
世界にたった一つの“子育てマニュアル”の1ページ1ぺージを紡いでいくお手伝いができるように、これからもお子さんの目線に立って考えられるように努力していきたいと思います。
(ぐんぐんぴっぴ スタッフ)

赤磐ぐんぐん (就学前)

早いもので今年も残すところあと少しとなりました。
皆さんにとって2022年はどんな一年だったでしょうか。
私自身がこの一年を振り返ると、昨年に比べると療育スタッフとして「できた!」感をたくさん感じることができた一年だったように思います。
「完璧な支援ができていた」ということではなく、「自分なりに実践することができた」という意味での「できた!」感です。
赤磐ぐんぐんの療育スタッフは、年度初めに毎年自らの年間目標を立てます。そして、その目標の達成状況について、毎月スタッフミーティングの場で報告し合います。
私の今年度の目標は「新しい知識をインプットする」でした。
昨年度末、児童発達支援管理責任者:松田先生による二者面談がスタッフ全員に対して行われました。
その面談では、自分自身の一年の振り返りと自分の課題分析を行いました。そこで浮き彫りになった自分の課題は「手立てを考える力の不足」でした。
お子さんの姿に対して、その言動の理由や有効な支援がなかなか思いつかず、いつも周囲の意見を頼りにしていました。その課題を克服するために、松田先生は私に二つのことを提案してくださいました。
まず一つ目は、「松田先生が行う療育スタッフ勉強会」(隔週に一回、約2時間、就業時間内)への参加を継続して行っていき、積極的に学びを進めること。
二つ目は、「育てる会が行う即実践講座」(年間十回、約2時間、就業時間外)に参加して知識を増やしていってはどうかという提案でした。
一つ目は昨年度も取り組んでおり、これからも変わらず取り組める内容でした。
今の自分を変えるためには二つ目の取り組みが有効だと考え、新しく即実践講座に参加して一年間取り組むことになりました。具体的な取り組み内容として、「育てる会が行う即実践講座」を毎回欠かさず視聴することにしました。
後日配信もあるため、都合が悪い際には後日配信で見ることができ、まとまった時間がない時にも別日に続きを視聴することもできます。継続的に取り組むことで、ASD理解や支援方略の手続きなど、これまで不足していたことや曖昧になっていたことがみるみる自分の中に吸収されていくように感じました。
ちょうどその頃、赤磐ぐんぐんの事業所コンサルタントである川崎医療福祉大学の諏訪利明先生に「年間目標を『新しい知識をインプットする』にしてみたんです」とお話すると、「今はとにかく色々なことを見たり聞いたりすると良い。知らないからこそいろいろなことが吸収できる。その中から『もっと知りたい』『面白い』と思えるものに出会えると思うよ」とアドバイスをいただき、「よし!やろう」「今していることでいいんだ!」と思えました。
そんな風にインプットした知識が実際の療育に活かされた事例をいくつか紹介します。
  
【エピソート@】
Aくんは療育に通いだして間もないお子さんです。「お母さんと遊びたい」「先生と〇〇したい」などの気持ちがあり、自分から関わろうとする姿もあるタイプの子でした。
ある日、ご家族から「園で思い通りにならなかった時に、怒ったり部屋を出て行ったりするらしく、たびたび園の先生から報告を受けている。どうしたものか」という相談を受けました。
家庭でも思い通りにならなかった時に、ソファに伏せて布団を被ったり、お母さんに抱き着いたり、自分を叩いたりする姿はあるようでした。
相談を受けたということはご家族が困っているということだと思い、「解決してあげなければ!」と焦りがちな私。この時も、一足飛びに解決しようとしており色々アドバイスを自分なりにしてみたことを療育後のミーティングで情報共有として報告しました。
すると、他のスタッフから
「『なぜ本人がそのような行動をするのか』を分析するには、情報が不足しているのではないか」
「『思い通りにならない』といっても、勝てると思っていた遊びで負けてしまい『思い通りにならない』状況と、今日は〇ちゃんと遊べると思っていたのに遊べないと言われて『思い通りにならない』状況と、突然の予定変更でいつものルーティンが崩れてしまったことでの『思い通りにならない』状況では、支援の方向性も変わってくるのではないか」
という意見を受けて、ハッとしました。
ちょうど即実践講義のテーマが「困った行動について」の内容で「どうして?を考えるための道筋として、まず初めに “いつ・どこで・どんな状況で起こるのか” を具体的に記録することが重要である」とお話がありました。
同じ診断名であっても、一人一人違うのがASDです。だからこそ一人一人に合わせた個別の支援を行うためには、一人一人の特徴を見てアセスメントをすることが重要です。
記録は具体的な事実に基づいているため、思い込みではなく、根拠となる事実が明らかになるため、記録を取ること=アセスメントが大事だと説明されていました。
苦手なことや課題が見えてくる → うまくいっている時や場面や好きなことや良いところ・できることも見えてくる → 対策を立てていき、好きや得意を活かして苦手を補う方法を考える → やってみてまた振り返ることをしていき、丁寧に支援を組み立てることの大切さを教えていただきました。
そこで、Aくんのご家族にお話をし、まずはより具体的で細部な情報を、療育中の情報はご家族と一緒に・家庭での情報をご家族に協力していただき、集めていくことになりました。
1〜2週間の家庭場面で見られた行動の記録をご家族にシートに記入していただき、その記録からお子さん本人の行動理由などの傾向を一緒に確認しています。
似た状況でも怒ったり布団にもぐったりすることもあればそうならずにいられることもあることが見えてきました。
「これが原因」「だからこうすれば即解決」ではなく、情報が集まるにつれて本人の行動の傾向が少しずつ見えてきているように思います。ご家族からも「もう少し観察をして考えてみたい」と希望があり、丁寧に事実に基づいて支援を組み立てる大切さを教えていただいているところです。

  【エピソードA】

Bくんはコミュニケーションの課題として、『自分から働きかけた後に相手の反応を確認する』課題で、スタッフや同室児へのインタビューを行っていました。
Bくんは指示された相手のところに行き「どれが好き?」と選択肢を見せて相手の答えを待ちます。Bくんは相手の答えを聞くことができており、「〇〇て言ってた」と正しい答えを報告することができていました。
ちょうどその日は諏訪先生によるコンサルの日でした。
諏訪先生から「相手の反応は確認できていたね。その目標は合格だとして、じゃあ次のステップを考えてみよう」「知的障害がないASDのお子さんは、やりとり(会話)の質も大切になると思うんだけど、日常生活場面を想像したときに、彼のやりとりは自然だったと思いますか?」と聞かれました。
Bくんの姿を振り返って考えてみると、相手が勉強中でも誰か他の人と話し中でも関係なく、自分のタイミングで話をし始め、質問に答えてくれたことに満足し、相手がまだ続きの話をしていても気にせず踵を返していました。
日常生活で同じことが起きたとしたら、周囲からは「今は忙しいのに、自分勝手だな」「自分から話しかけたのに途中でいなくなるなんて、失礼な態度だな」などと誤解されるかもしれません。
私はこの時、以前に視聴していた即実践講義の内容を思い出しました。
それは『トライアングル・エフェクト』と呼ばれるもので、「幼児期・学齢期から青年期・成人期を見据えて、何を・どの段階で・そのように学習するかという視点をもつことが重要」というお話でした。
幼児期は限定された場面・構造化された物理的環境で基礎的なスキルを幅広く開発していき、学齢期・青年期・成人期となるにつれ、本人の得意なこと・ものに特化していき、より幅広い環境でそれらを活用していくといったお話でした。私は、「幼児期は様々な学びの基礎・土台作りをしていく大切な時期なんだな」とその時感じました。
「コミュニケーション」と聞くと、自分の言いたいことを相手に伝える(表現)や相手の言いたいこと分かる(理解)だけだと思いがちだった私ですが、今回のコンサルで、コミュニケーションは相互やりとりであることに気づくことができました。
相手の状況や気持ちなどを内容に加えて推測し、それに対する返答を自分の頭の中で構成し、相手に伝わる声の大きさやトーンや表情などで伝え、何ターンかやりとりが続いていくことがコミュニケーションなのだと思います。曖昧で臨機応変な立ち振る舞いが必要なこれらのスキル、なかなかASDのお子さんは自然に身に付きづらいところかもしれません。
ですが、ASDのお子さんは学ぶ力があります。
「知らないからできない」「教えられていないから分からない」なら、幼児期の今、教えておくことで将来に役立つスキルに繋がっていくのだと思います。今すぐ定着することは難しくても、相手に伺いを立ててから話し始めることや、相手が答えてくれたならお礼を言うことなど、今の本人に教えられることがあるんだと気付くことができました。
現在は、Bくんと先生と勉強の場面で、文字やモデルなどの視覚的な物を活用しながら、「〇〇くん/さん、今いいですか?」「〇〇の話なんだけど」「教えてくれてありがとう」といった、会話を行う上で必要とされるやりとりを練習しているところです。
私が新しい知識をインプットできているのは、即実践講座や療育スタッフ勉強会だけではありません。
諏訪先生による事業所コンサル・日々の療育の振り返りミーティングなど、継続的にそして連続的にこれらの機会があるおかげで日々新しい学びや気づきを得ることができています。
この一年年間目標である「新しい知識をインプットする」達成に向け、手応えを感じられているのは、「頑張れば実現可能な、達成可能そうな具体的な目標」をスモールステップで設定しているからなのだと思います。
余裕で楽勝にできてしまうような目標にしていたら達成感は得られないでしょうし、難しすぎる目標にしていたら、達成できなくて自尊心が傷ついたかもしれません。また、抽象的な「学習スタイルを理解して支援する!」というような、とても大切だけど日々何をどうすればいいか分かりづらい目標にしていたとしたら、私はなかなか手応えや達成感を感じられなかったと思います。
これはASDのお子さん自身やご家族にとっても同じかもしれません。
お子さんが今どういうことが課題なのかを分析し、頑張れば実現可能・達成可能な具体的な目標を設定し、日々取り組んでいくからこそ、本人も「前よりもやれている!」と感じられるでしょうし、ご家族も「このやり方で、こういう風に伸びてきたな」と手応えや達成感を得ることができると思います。そして、その成功経験は自信にもつながるでしょう。
まずは、できそうなこと「芽生え」から実施していく。
ASDのお子さんへの支援も、私自身の年間目標も同じなんだな、面白いなと思う私です。
今年一年、赤磐ぐんぐんを利用していただきありがとうございます。
どうぞ良いお年をお過ごしください。
そして2023年も、元気に赤磐ぐんぐんで会えるのをスタッフ一同楽しみにしています。
(赤磐ぐんぐん スタッフ:Y)

以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
なお会報は正会員・賛助会員の方へは郵送でお届けしています。
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