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令和 5年1月31日

 

 第297号 

NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会

 297号 目次

      雪の朝に

      自閉症啓発セミナー 報告
         「中谷正恵さん・上村和子さん 講演会」

      即実践講座・夜間連続講座・支援ツール勉強会 の 報告とお知らせ

      新聞記事のご紹介

      OHAの会・水泳教室 の 報告とお知らせ

     育てる会のバレンタイン 遅れてきたサンタクロース の お知らせ

     お母さんコラム

     ちゃーちゃん日記

     私のお薦め本コーナー
         「障がいのある子とその親のための「親亡きあと」対策

      ぐんぐんだより 

     近隣の講演会等のご案内

      グループホーム寄付 お礼とお願い

本格的な寒さが到来した岡山。雪が舞う中、それぞれ通勤やトラックの列が30キロも続いた1月25日の朝。
雪がやんでからもなかなか道路の渋滞は終わらず、みなさん会社に着くまで2時間、3時間とかかったようです。
こんなことは、岡山へきて初めての経験です。岡山県南部は雪が降ることも珍しく、いつもなら、降っても淡雪のようにすぐに消えてしまっていました。
そういうわけですから今回のこの雪には驚きました。
南部の人たちは、スタッドレスタイヤを装着している人はほとんどありませんから、雪道には弱いわけです。
でも、たとえ雪が降ってもお仕事にはいかないわけにはいきません。それでやむなくノーマルタイヤでみんな出かけていくわけです。ある人が言ってました「後ろから見ていると、お尻フリフリ走っていく車がいて、怖かったですよ」ブレーキかけるたびに滑っていったそうでした。
まぁ何とか大きな事故にもならず、みなさん無事に目的地にたどり着けたことを祈っています。
事務局のスタッフもいつもは10分でたどり着く距離に、2時間かかったそうです。
さて、そんな中我が家の哲平君は、何の連絡もしてこないけれど、どうなっているのかと気になって、電話してみると、「バス動かないです」と割に冷静な声で答えました。状況を知りたくて、バスの運転手さんにスマホを渡してもらいました。
バスの運転手さんによると、「現在この場所に立ち往生している状態です。全く動かないので、今後の回復の見込みも立ちません」と言われます。
訊いてみると、その立ち往生している場所というのが、いつものバス停からは、わずか500mくらい先のところでした。時間は8時半、グループホームを出てからすでに1時間50分経っていました。
それで、バスを降りてひとまず家に向かって帰ってくるように伝えて、夫に歩道を歩いて迎えに行ってもらいました。
横断歩道ではつるつると凍って滑る状態でしたから、何度か転びそうになりながら、ようやく哲平と合流できたそうです。
その日は、会社からも「お休みしてもらっていいですよ」と連絡いただいたので、急遽お休みにさせてもらいました。
9時過ぎには、いつも通りの明るい太陽が出て雪をどんどん溶かしてくれました。
太陽の力って偉大だなって、つくづく思ったことでした。
お休みもらった哲平は、いつもの休みと同じように、家事をしたりお昼ご飯を作るために買い物に行ったり、そして録画していたテレビを見たりして、楽しく過ごしました。雪のお陰でのんびりとした休日でした。

さて、お話変わって育てる会自閉症啓発セミナーの120回目が去る1月14日に行われました。
大阪の中谷正恵さんと、高知の上村和子さんにお願いして「生きていくための大事な時間の使い方」と題して、余暇の支援についての講演をお願いしました。
当日は、保護者はもとより学校の先生も多く参加してくださいました。
詳しい報告は、後ろのページにありますので、それをご覧いただきたいと思います。
私がお二人のお話を聴きながら思ったのは、“親の努力は決して裏切らないんだな・・・” ということでした。
お二人のお母さんの頑張りがお子さんの成長につながり、現在の安定した暮らしがあることを、多くの参加者の皆さんとともに感じることが出来ました。
私の感想にかえて、大阪のOさんのFacebookでの感想の抜粋をご覧いただけると当日の熱気が伝わってくると思いますので、紹介します。
Oさんから了解を得ての掲載です。
本日は、NPO法人岡山県自閉症児を育てる会のオンランンセミナーに参加しました。
今日のお話は、『余暇活動について』先輩保護者からのお話。
障がい者だからとかではなく、人生のQOLやワークライフバランスにも繋がる話だなと思いながら、話を聞いてました。
知的重度の成人さんたちが家事をしたり、外出や室内でボードゲームを楽しんだり、コツコツ運動する姿がとても魅力的で、我々が趣味を広げたり、健康を意識したり、家での時間を楽しみたいという感覚と同じなんじゃないかと感じるのです。
ただ、知的重度の場合、違うのは、ひとつのスキルを習得するまで、スモールステップで進めなければならないのと、(それだけの長い年月もかかるし)そもそもその活動の楽しみやメリットを本人が知らないところからのスタートなので、「教えなければ、勝手に広がっていくものではない」こと。
以前から余暇活動の広げ方にも興味があったし、高2の息子が特別支援学校を卒業した後には、家で過ごす時間が長くなるので、あらためて余暇について見直したいタイミングだったので、今回のセミナーに申し込みました。
尊敬する2人の先輩の話を聞き、頭がすごく整理されました。
余暇の大きな分類から、具体的な取組の画像や動画まで見せていただき、たくさんのヒントもいただきました。
本人に合ったやり方で進めることや、親自身も教え方を学ぶことで、本人をより伸ばしてあげられることを感じさせられました。
親は、わざわざ学ぶ時間や支援する時間を作るのは大変だし、しんどい時もあると思うけど、中谷さんや上村さんのご家庭の様子を見ていると、それが本人や家族の将来の幸せに繋がっていて、自分も頑張ろうと思えました。
特に知的重度の子の場合、やることが少ないことで感覚遊びや問題行動に走って、強度行動障害に繋がる危険性もありえるだけに、余暇活動が充実することで、QOLが大きく変わってくるんだろうなと感じますし、誰かに与えられるだけの幸せでは、支えてくれる誰かがいないと幸せになれないのも、違うんじゃないかと思うのです。
セミナーの中で紹介された画像や動画の中で、活動を始める前に、本人がわかるように準備しておく部分や、終わってからの報告や片付けるところまでをセットに取り組まれていることも、とても参考になりました。
過去に余暇に取り組んだ際に、通常の遊び方でいきなり取り組んで、難易度的に興味を持ってもらえなくなってしまったこともあったので、活動を始める前に、「どのように本人ができるか、楽しめるか」 もっと工夫したい。最初の準備、大切ですね。
中でも、家事は、ステップを整理して、「1ステップや1つの動きの練習から始めることもある」と上村さんがおっしゃっていたのが印象的でした。
我が家は1ステップから考えることはあるけど、1つの動きまで掘り下げてなかったな。やっぱり、お二人ともすごかった (スケジュールや自発がベースにあるところも)。
あと、本人にとって、意欲的な活動とはかぎらない時に、初めて教える時の強化子や、日々のスケジュールへの組込みなど、知的重度の子に教える際のコツも話に出てきて勉強になりました。
最後の質問タイムの中で、代表の鳥羽さんがおっしゃっていた「『好き』にこだわりすぎない」という言葉も響きました。
私にとってのダイエットがまさにそうなので、やりたくないからといって、このまま太り続けるわけにもいかないしね・・・。
人生、好きじゃないことにも向き合わねばならないものもあります。
どうやって始めたら「出来た!」と思えるのか、取り組んだ後の強化子はあるか、少しずつレベルアップしていくこと、スケジュールに組み込んで継続するなど、本日の学びが、私にも当てはめられることだなと感じてます。
今日の動画に登場した2人の成人さんを見ていて、「できた!」からこそ「楽しい」に変わっていくものもあるんだなと感じさせられました。
娘の子育てにも当てはまる部分もありました。本人のQOLに絡む部分は、放置せず、家庭で一緒に少しずつ取り組みたいんですよね。
「心配し過ぎなくても成長するから!」とか、心を軽くする言葉はありがたいけど、(もちろん自分で知っていくものもある)知らないものは始められないから、環境を用意してあげたり、情報を提供するのは、保護者の勤めであると思ってる(先回りとか、そういうことではなく)。
話がまとまりなくなってしまったが、生きていく上でのヒントと刺激をいただいた素敵なセミナーでした。

多くの感想をお寄せいただいた中の、珠玉の一通でしたので会報に掲載させていただきました。
多くのご家庭で、事業所で、学校で新たなる取り組みが始まることを祈っています。

さて、次の講演会のチラシが今回の会報に入っていますのでご覧ください。
第121回育てる会自閉症啓発セミナーは、川崎医療福祉大学医療福祉学部の小田桐早苗先生にお願いしました。
「ASD児・者の人間関係のつくりかた 2023」と題しての講演会です。
今年度はこれまで知的重度の自閉症の方たちのための講演会を4回行いました。5回目は、知的障害のないASDの子どもたちの人との付き合い方についてのお話です。
知的障害の重度の息子は、人との関係で躓くというようなことは全くない人です。つまり知的障害の重い人は、人がどう思おうとあまり気にもしないし、困りもしない。それよりも自分の要求が通ったのか、どうかだけが重要で、人がどう思おうと、気にもならないという人です。
でも知的障害を伴わない自閉症の人たちは、人間関係に躓くことや、辛い経験を重ねてしまうことも多いのではないでしょうか? そういうとき支援者は何をどうすればいいのでしょう。
思春期へ向けた支援をテーマに、多くの皆さんと考える機会としたいと思います。
皆様の参加をお待ちしております。

我が家のお話しを二つほどさせていただきますね。
我が家は、3年前に引っ越して、昔住んでいた家はそのままに、必要なものだけを持って移り住みました。引っ越しも業者に頼んでいないので、タンスも本棚も前の家に置きっ放しです。
3年たって、必要そうなモノは、時々取りに行って、もう何にもいらないものばかりだと思っています。後は家中、全て断捨離だと思っているのです。ところが、以前295号でも紹介したように、用事あって前の家に行くときに哲平がついてくると、相変わらず何やかやと家の中を物色して色んなモノを持って帰ってきます。
写真は今回、彼が持って帰ったものたち・・・です。
          ↑
主人が、昔、人権擁護委員をしていたころ、
配布されて着ていたたジャンパーです
             ↑
これは本当に要りません。
主人が退職前、大阪の会社に勤めていた頃、社員食堂で使っていたプリペイド食券の残りです。 
残高なんと 240円 (^^;)
もっともっと、いっぱい持って帰ったのですが、ゴミに出すようなものばかりで困ります。
お陰で彼のすっきりしていた部屋はゴミ屋敷のような感じです。
窓辺にはこんなモノを飾っていました。
もし将来、哲平にひとり暮しをさせたなら、きっと何も捨てられない人になって、ゴミ屋敷にしてしまうんじゃなかろうかと、危惧している私です。
・・・でも、面白いんです。大事そうなモノを見つけては、持ち帰る・・・、古いあの家は息子には宝箱みたいなモノかもしれません。面白いなと思うと、おもしろい! さてどうやって、この先も要りそうもないものを処分させようかと、考えている私です。
2つめの我が家のお話しです。
一月の私にとっての大事件をお話ししましょう。
それが始まったのは、お正月3が日が明けた1月5日、育てる会の仕事始めの日のことでした。
張り切って芝生の草取りを事務局の男性陣と一緒に1時間ほどした後のことでした。
お昼になって家に帰り、昼食を済ませた後、もう一度草取りに戻ろうと考えたのですが、なんだか熱っぽい気がして、熱を測ってみると、37.2度。熱があるじゃないとびっくりして、とりあえずおとなしく家でベッドに入りました。
それが始まりでした。熱はそれほど高くはなりませんでしたから、ただの風邪だろうと思い、でも主人にうつしてはならじと、念のためマスクをして自室にこもりました。
それから4日間、夫にお弁当を買ってもらって過ごしました。熱も37.5度から上がらなかったので、やっぱりただの風邪と思っていました。
ところが8日からは今度は夫が同じような症状で寝込み、さらに数日して哲平が熱を出しました。
そうやって我が家のコロナ禍が始まりました。
ただの風邪と思っていましたが、ワクチンの5回目を終えていたためか、それほど重症化せずに3人とも5日目、6日目くらいにはよくなりましたが、咳だけは長引いて、今も時々咳き込みます。
コロナのワクチン接種がなかったら、70歳以上の私たちはどうなっていたのでしょう。今も多くの人が亡くなっている現状です。皆さんお気をつけてくださいな。
ただの風邪と思って、努々油断をされませんように、ご忠告申し上げます。
私にとっての新年は、そういうわけで波瀾万丈の幕開けとなりました。
この一ヶ月は何をしていたのやら解らんという感じです。もう一年の12分の1が過ぎてしまいました。
「時間の使い方は、命の使い方と」学んだことがあります。
残りも少なくなってきたわが命、どう使おうか、しっかり考えて使いたいと思う今日この頃でございます。
今日はこの辺でお別れしましょう。皆さん、くれぐれお身体お大切になさってください。
また、来月お会いいたしましょう。ごきげんよう、さようなら。
(鳥羽 美千子)

育てる会 自閉症啓発セミナー 報告

令和5年1月14日(土)、成人された自閉スペクトラム症のお子さんを育てられた、大阪の中谷正恵さんと高知の上村和子さんをオンラインにお招きして、「令和4年度第4回 第120回育てる会自閉症啓発セミナー」を開催いたしました。
お二人は、後ろで紹介する「あかいわPECSサークル」でもアドバイザーとして大変お世話になっていますが、今回は「生きていくための大事な時間の使い方」のテーマで、余暇の大切さや教え方について、画像や動画を交えてお話しいただきました。
それでは当日参加したスタッフからの報告や、参加者の方からの感想なども届いていますので、みなさんにも紹介したいと思います。

今回の講演会は、お二人の保護者の方からのお話でした。テーマは、「生きていくための大事な時間の使い方〜余暇への取り組み方について〜」です。自閉症の方が、自閉症という障害を持ったままでも充実した豊かな人生をおくるためには何が大切なのでしょう。自閉症の人が、いろんな選択肢の中から“余暇スキル”を身につけていくために何が必要なのか、、、。今回は、そんな余暇についての実践をお二人の保護者の方にお話ししていただく講演でした。
まずは、上村和子さんのお話からでした。
最重度知的障害を伴う自閉スペクトラム症の息子さんへの余暇の取り組みについて、5つの質問に答えるスタイルでお話をすすめていただきました。

  Q1 余暇ってそんなに大事ですか?教えないといけないことですか?

A 余暇はすごく大事!! 自然に身につくものではない、計画的に教えるものー
自分自身のことを考えたとき、「余暇がなくても生きていけますか?」と聞かれて、「はい」と答える人はいないと思います。
余暇があるからこそ、仕事を頑張れる、ちょっとしんどことでもがんばることができるのではなないでしょうか。上村さんは、お子さんが診断を受けたとき、主治医の先生に、「この人たちは、あそびも教えないといけないからね」と言われたそうです。余暇も教えなければいけないのか、、、そう考えると、しんどくなってしまうかもしれませんが、“余暇がない人なんていない”、そう考えると、教えることがとても大切なスキルだといえるのではないでしょうか。

  Q2 何からどうやってはじめましたか?

A はじめは、いろんなことができるようになってほしい、わかるようになってほしい、落ち着いて過ごせるようになってほしい、そういう親としての思いが先行して教えていたので全くうまくいかなかったそうです。
息子さんに余暇を教えようとしても、息子さんからのコミュニケーションが理解不能で、教えようとしてもうまくいかない、、、。高いところに上ることが好きだった息子さんを追いかけまわしたりの生活が続いていたそうです。やみくもに教えようとしていたけどうまくいかなかった経験から、コミュニケーションを教えることの必要性に気が付いていったそうです。

  Q3 余暇を教えるにあたって大事なことってありますか?

A 大事なことが3つ
●1つ目は、コミュニケーション
自分が伝えたいことが伝わらない相手からは学びたいとは思わないのでないか。
コミュニケーションをとる方法を知らなかった息子さんは、癇癪を起こすことがコミュニケーションになっていて、行動はエスカレートしていったそうです。
言いたいこと伝わらない相手からは学びたいと思わない、コミュニケーションの方法を身につけるためにはじめたのがPECSRで、そして、9つの重要なコミュニケーションスキルを教えていこうと思われたそうです。コミュニケーションスキルを身につけていった息子さんは変わっていったそうです。
●2つ目は、(教える側の)教えるスキル
ご自身の教えるスキルが必要だと考えて、ピラミッド教育アプローチを学び始めたとのことです。自閉症の人はとても良く学ぶ人たちです。しかし、教え方には工夫がいります。ただやみくもに教えるのではなく、その人に合った、わかる教え方で教えていくことが大切です。自分が息子さんに教えるためのスキルを身につけるために、ピラミッド教育アプローチを学びはじめたことで、息子さんができることも増えていったとのことです。
ただやみくもにするのではだめだということを知り、そして、今もなお学び続けているそうです。
●3つ目は、本人にとって役立つ活動であること
親や支援する立場の人たちは、どうしても自分たちの都合の良いことを教えようとすることがあります。しかし、大事なことは、そのスキルを身につけることで、本人の役に立つかどうかです。このスキルを身につけることが、本人の将来にどうつながっていくのか、一人でできることが増えることで本人の生活が豊かになります。

  Q4 どんな余暇を教えてきましたか?

A ここでは、実際に取り組んでいる動画や写真などをたくさん紹介していただきながら実践を報告していただきました。
新しいことを教えるときに気を付けていることは、様々な種類の余暇を身につけていくことです。室内での余暇、屋外での余暇、誰かとの余暇、誰かとの余暇には、ヘルパーさんと体験してきたことも含まれていました。
上村さんは、余暇のことを、“生活上、どうしてもしなければならない活動以外を「余暇」”と考えているとのことで、家事スキルもたくさん取り組んでこられていました。
水と泡が好きな息子さん、状況にそぐわない行動をいろいろしていたから、それを機能的な活動にしたい、そう考えて、食器洗いやお風呂掃除を教えたそうです。
これらの活動は息子さんにとって大好きな活動になっているそうです。

  Q5  余暇を教えてよかったことってありますか?

A もちろん。
日々丁寧に実践をしていく中で、失敗してしまうこともたくさんあるそうですが、ご褒美のように息子さんの成長した姿を見ることができることはとても嬉しいことだそうです。
他にもコロナで突然事業所がお休みになって、見通しが立たない日々を送らなければならなくなった時も、息子さんには余暇時間を過ごせるスキルがあったことがとても助かったそうです。
そして、上村さんご自身が入院中、息子さんは完全ではなくてもたくさんのことを身につけていたので、お世話されるだけの人ではなくなっていたことが、家族皆ものすごく助かったそうです。
親がいなくなる時が必ずやってきます。それは親が生きていてもです。その時に、息子さんの生活が少しでも豊かなものになるように、、、そう考えて、上村さんは日々丁寧な実践を続けていらっしゃるのだということを教えていただきました。
最後に、上村さんが今も変わらず息子さんの目標にしていることは、主体的な活動ができることと、いつでもどこでもだれにでもコミュニケーションができることと、余暇活動の拡充と充実だと教えていただきました。今もなお学び続けて取り組まれている姿勢は見習っていきたいと思いました。
そして、中谷正恵さんのお話です。
知的障害を持つ自閉症の娘さん、亜希さんへの余暇の取り組みについてお話をしていただきました。
亜希さんは現在33歳 知的障害を併せ持つ自閉スペクトラム症(共に最重度)発語無し言語理解ほぼ無く、感覚の過敏・鈍磨多めで、小さいころは感覚あそびが主流な幼少期だったそうです。
自己主張が強いタイプのお子さんでしたが、適切なコミュニケーションの方法を知らなかったから、直接行動が多かったそうです。亜希さんの幼少期にTEACCHに出会い、視覚的な支援、構造化について学んでいき、生活の中に取り入れていったそうです。
中谷さんが、丁寧に取り組んでいくきっかけになっていった、とある先生から言われた言葉を紹介していただきました。
「1日1回取り組みをすれば、1年で365回取り組んだことになる。2回取り組んだら730回。でも、一度も取り組みをしなければ0にしかならない。」
知的障害も重く、自閉症としてもかなり重い亜希さんのために、私がしてあげることは、育つ芽があれば大切に育てることしかないと、その時に思われたそうです。
亜希さんの生活を豊かにしていくために、PECSRをコミュニケーションの支援として取り入れて教えていき、そして、“機能的な活動、本人にとって有益であること、身につけておくと生きやすくなることを、日々の生活中で計画を立てて丁寧に取り組まれています。
興味のないことをどのようにして経験させるか。
本人がやってみようと思うためには、教え方に工夫が必要です。
やりたいことの前に少しだけ体験する時間を作る。(スケジュールに前もっていれておく。そのために、日ごろから取り組んでいるスケジュールの視覚的支援が有効になってくるということです!)体験する時間も、1番最初は1〜2分位で終わる程度、そこから少しずつ増やしていきます。慣れるまでは週に4,5回くらい行います。
例えば・・・LAQの場合、3個くらいの組み合わせのものを見本提示してマッチングで行い、できたらほめてみかんを食べる(行動のすぐ後に強化子をゲットできる)。そして、慣れてきたら難易度を上げていきます。
教えるときに注意していることとして、亜希さんに取り組んでもらう前にご自身がシミュレーションをしておき、スムーズにできるか確認し、亜希さん自身が嫌にならないように事前に準備することを大事にしているとのことでした。
そして、単に、活動を遂行するだけではなく、その中での表出や理解コミュニケーションについても同時に取り組んでいく、PECSRを使いこなしている亜紀さんへの実践、いつお聞きしてもすばらしい!と思いました!
中谷さんが生活の中にPECSRを取り入れたのは、亜希さんが24歳の時。
PECSレベル1を受講し、そして、亜希さんへ教えるスキルをご自身が身につけていくために、ピラミッド教育アプローチについて現在も学び中だそうです。
新しいことを教えることの大切さ、やってみると楽しいこともあるけど、興味がないことをすんなりとはやろうとしない、私自身が支援について学ばなかったら、教えることができなかった。これは上村さんもおっしゃっていたことでした。
これからも、年齢や生活の状況も変化していく中で、一人で楽しめることや集団で楽しめること、費用がかからないものや費用がかかるもの、室内や室外などと区分分けもしながら、これからも新しい余暇を広げていきたい、そしてもちろん、コミュニケーションスキルを育てながらです。本人からの発信も大事にしていくために。
亜希さんを授かり産んだときに、この子の人生がより豊かで楽しいことがたくさんありますようにと願ったそうです。親なら誰しもが思うことではないでしょうか。自閉症という障害はとても困難性が高く、私自身が支援について学ぶ事が無ければ亜希さんの余暇について考えたり実践することは無かったとおっしゃっていました。
ご自身が学びながらそして日々取り組んでいくことは決して簡単なことではなかったと思いますが、お話の最後に、人生は楽しく! をモットーに取り組んでいるとお話しされていました。
今回紹介してくださったたくさんの動画の中で、亜希さん自身はもちろんですが、ご家族の方も一緒に楽しんで過ごされている様子がとても印象的でした。
上村さん、中谷さんのお話は、共通している点がいくつもありました。
日ごろから一緒に学んだり、情報共有もされているということで、紹介してくださった余暇グッズのゲームの中には同じものもいくつか出てきました。
しかし、同じだけど同じではない。“教え方”はそれぞれのお子さんに合わせた教え方をされています。そして、遊び方も、そのゲームをそのままやるのは難しいかもしれないけど、“こういうやり方だったらできるかもしれない!”と、柔軟にやり方を変えて取り組んでいる点ももちろんお二人の取り組みの共通している点だったと思います。
どう教えるかを考えるためにまずは自分がやってみる! それもお二人が共通して取り組んでいらっしゃることだと思います。
余暇の教え方は、“正解はやってみないとわからない”教えるタイミングは、“年齢”は関係ない、いつからでも教えることはできる”そして、“教えたからと言って終わりではない”ということもお話しされていました。
生活年齢(実年齢)と精神年齢に合わせて教えていく。余暇の幅の広がりを常に意識して取り組まれています。
そしてお二人に何よりもの共通点は、“学び続けている”ということです。学び続けることで新たな知識を得ていくことが、日々の実践につながり、そして、お二人のお子さんたちの生活がより豊かになっているんだということがとてもよくわかりました。
“あなたの”余暇“のきっかけは?”と、上村さんがはじめにお話しされていましたが、今回の講演会が、皆さんが、余暇を教え始めるきっかけになったのではないかと思います。そして、その余暇を教えるために大切なことには、 “コミュニケーションを教える”ということと、“教えるスキルを身につけること”そして、余暇時間の使い方として、楽しむことを教えるだけではなく、“機能的な活動を教える”ということが大切だということを、繰り返しお話をされていました。
今回の講演会が、それらのことにも目を向けるきっかけになればと思いました。
中谷さん、上村さん、日々の丁寧な取り組みの実践をたくさんご紹介いただき、本当にありがとうございました!
ぐんぐんキッズスタッフ:K

○ 実際に育ててきたからこその具体的なお話を聞かせていただいて、ありがたかったです。
ここまで来られるまでにたくさんのご苦労があっただろうと思います。
できることから、少しずつ、丁寧に、決して諦めずに。たくさん大事なことを教えていただきました。
生きていくための大事な時間。まだまだ教えていきたいことがたくさんあるなと思いました。本人の世界が広がるように、もっと豊かになるように、できることから頑張っていきたいと元気をもらいました。
貴重なお話を聞かせていただいて、感謝です。本当にありがとうございました。
○ たくさんの情報をありがとうございました。うちの息子は『やらされ感』を感じて挫けることが多く、どうしたらいいものやらと思っていましたが、『それはそれで、それなりのやり方がある』と改めて思えました。
『教えないと学べない』 肝に銘じます。息子の大切な人生の貴重な時間を無駄にしないように。
年頭にこのお話を聞けて良かったです。今年の目標ができました。ありがとうございました。
○ 余暇の捉えも広がりましたし、余暇活動を増やしたり余暇活動を定着させたりするためのアイディアをたくさんいただきました。現在の状況になるまでには想像できないくらい大変なことがたくさんあったのだと思いますが、ご本人お二人ともそしてどちらのご家族も素敵な笑顔を見せてくださったことで励まされました。ありがとうございました。
中谷さんのお話の中で高等部への進学を選択されなかったというのがありましたが、学校関係者としていろいろな思いになりました。大変な思いをされている保護者の方々に寄り添い、それぞれのお子さんの幸せのために保護者の方々と共に努力していける教師でありたいと改めて感じました。ありがとうございました。
○ 「遊びも教えないといけない」とは分かっていたものの、ただやらせるのではなく、講師のお二人ともに共通することは、事前に自分の子にあった準備や事前に嫌になってしまわないように考え自分でシュミレーションされていることがお子様の成長に繋がっていて重要なのだと感じました。
その中で表出や理解コミュニケーションにも取り組まれていて、こちらの工夫次第で余暇活動の幅を広げるだけでなくコミュニケーションスキルも育てることができると改めて見直すきっかけになりました。ありがとうございました。

あかいわPECSサークルのお知らせ

次回:2月14日(火) 10時〜11時30分
この日から、PECSのマニュアルの輪読をはじめます! (2回目です!)
あかいわPECSサークルの活動に興味を持って、参加してみたいという方は  akaiwa.pecs2019@gmail.com  までご連絡ください。
すでにPECSレベル1を受講済みの方は、すぐに参加していただくことが可能です。
(まだの方はレベル1を受講してからご参加ください。後ろの「近隣の講演会等」で紹介されているように、2月には3回のレベル1ワークショップがあります)
あかいわPECSサークル K.Y

令和4年度 支援者対象 現場の先生のための即実践講座 

梅永雄二先生プロデュースによる、自閉症支援の若手の研究者や実践家の先生方の即実践講座です。
今回は「発達障害者に対する自動車教習所における支援」というテーマで、あまり知られていなかった教習所での支援のお話でした。
「教習所のいいところは、安全な場所で、何度でも成功体験を積ませてあげられることです」
それまで他の教習所で、何度も失敗体験を重ねて自己肯定感を落としていた教習生が、適切な支援さえあれば、自信をもって合格できる・・・岡山から教習を受けに行かれた方もいらっしゃったそうです。失敗はスルーして、成功すればその場で褒めてあげる、教習所に限らずいろんな場面で活用してあげたいですね。

  『 令和4年度 第9回 現場の先生のための 即実践講座 』

日 時:令和5年2月16日(木) 19:00〜21:00
場 所:オンライン開催(ZOOM) 
テーマ:「TTAP・BWAPを参考にした教習生活のアセスメントについて」
講 師:高橋 幾 先生(早稲田大学 非常勤講師)
総 括:梅永 雄二 先生(早稲田大学 教授)
主 催:NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会
参加費:一般 23,000円、賛助会員 20,000円 全10回分
        (途中参加の方には、見逃し配信をご案内します)  
申込・問合せ:Tel.086‐955‐6758、Fax.086-955-6748
それでは第8回「発達障害者に対する自動車教習所における支援」の講義に寄せられたアンケートの一部です。

○ 『教習は目的がはっきりしているので、成功体験を積み重ねる場である』。アセスメントがきちんとでき、その人の特性に合った支援や配慮ができれば、そんな環境を整えればその人たちは安心して力を発揮することができる。免許を取得するという目的を達成することができ、合わせて、これまで失敗経験を積み重ね自信を無くしてきた人が自尊感情を高めることができる。
すごいですね。ASDの方への支援の専門家ではない指導員さんが、自閉症について学び、連携し、実体験として自閉症や知的障害を持つ方の支援のポイントを理解した支援を積み重ね自信をもって配慮を話されている。今日の高橋先生のお話を伺い、生き生きと働かれている指導員さんの姿が浮かび、『運転免許』と『自信』をもって卒業されていく、教習を受けている方たちの姿が目に浮かびました。ワクワクします。
今日のお話の中に日々の支援に生かせそうな材料や自分の支援を振り返るポイントがいくつもありました。
『自立、自律を促す対応を考え、裏で支える』ためのアセスメントについて次回の研修を楽しみにしています。
○ 梅永先生もおっしゃっていたように、今日の高橋先生のお話はいろいろな支援・指導場所で共通する内容だと思いました。
自動車免許が取得できるということが自尊感情を高めるというのは本当にそうだなと思いました。本校の生徒にもサポートを受けながら免許取得ができる機会があればいいなと思います。
○ 自閉症支援において大切にすべきこと、私たち支援者が意識すべきことをおさらいさせていただきました。本日の勉強会の中でご紹介いただいた教習所の指導員さんの支援の数々のお話を聞きながら地域にこのように一人ひとりのASDの人に特化した支援が受けられる場所があるならASDの人のQOLがあがっていくだろうなと感じました。日々、幼児期の支援に携わっているが、幼児期の支援においても意識すべきポイントをたくさん教えて頂いたので明日からさっそく意識して支援にあたりたいと思います。ありがとうございました。
○ すごくわかりやすく聞きやすいお話でした。免許教習の話ですが、日々の療育で気を付けること工夫することと全く同じだと思いました。
「日々のアセスメントが大事」「できたらすぐ具体的にほめる」「自分でできた、が大事」「成功体験を積む(失敗をさせない)」が一番大事ということ、うんうんとうなづきながら、指導員さんたちの具体的なテクニックを、メモを取りながらききました。
『特性が理解され、安心な環境で力を発揮できる』、支援をしている素敵なお話でした。
次回も楽しみです。

令和4年度 支援者向け 発達障害支援 夜間連続講座 in 赤磐市

児童精神科医の村松陽子先生を講師にお招きして、赤磐市と共同開催の夜間連続講座「発達障害支援 知っておきたい基礎知識 〜今、支援者の方に伝えておきたいこと〜」です。
第8回は告知についてのお話でした。この講座は支援者対象のものなのですが、今回の講義は、ぜひ保護者の方にも聴いていただきたかったな、という内容でした。
告知にあたっては、丁寧に、自己理解を促し、本人が発達障害をマイナスのものと捉えないように、自己肯定感を持って、告知のあとも生きていけるように・・・・、吉田友子先生の「脳のタイプの違い」などの説明を交えながら、分かりやすく話していただきました。
診断は児童精神科医など専門家の先生しか行えませんが、告知に関しては親の方がされることが多いと思います。そしてそれをサポートしていくのが支援者だとしたら・・・・本当に、保護者の方と一緒に学びたかったお話しでした。
次回は、薬物療法をはじめ、医療での支援のお話ですので、楽しみにしています。

  『 第9回 支援者向け発達障害支援 夜間連続講座 in 赤磐市 』

日 時:令和5年2月21日(火) 19:00〜21:00
場 所:オンライン開催(ZOOM)
テーマ: 「薬物療法、医療受診など医療での支援」
講 師:村松 陽子 先生(児童精神科医:京都市発達障害者支援センター センター長)
主 催:赤磐市、岡山県自閉症児を育てる会
参加費:赤磐市在住・在勤者 無料、一般 13,000円、賛助会員 10,000円(全10回分)
     別途 資料代 各 7,000円 (10回分) (途中参加の方には、見逃し配信をご案内します)  
申込・問合せ:Tel.086-955-6758、Fax.086-955-6748
それでは、前回の第8回「診断の告知と自己認知」に寄せられたアンケートの一部をご紹介させていただきます。

○ 診断の説明をする際には、自己理解が大切であると分かりました。また、苦手や弱みは誰でも認めたくないという気持ちがあるということを理解して、まずは強みや長所を伝えて自分の良いところを知ってもらうことが大切だと感じました。自己理解しておくことは、生きやすいことに繋がるためとても大切であると思いました。
○ 自己理解と支援をうまく得るための告知(説明)の大切さを改めて感じることができました。周囲に必ずしも診断名を言う必要はなくその人の特性とそのためのその人にあった支援を伝えれば良いということ、本当にそうだなと思いました。それぞれみんな違うのですから・・・。
教師という仕事をしていて子どもたちは本当にみんな違うなぁと感じているのですが、一方で学校は同じようにできることを求めて失敗体験をさせてしまっている場でもあるなぁとも思い辛くなりました。子どもたちにとって良き支援者となれるように今後も学び続けたいと思います。
自己理解ということでは、もう少し自分自身について理解してうまく仕事や生活ができるように工夫しなくては・・・とも思いました。
○ 本日は告知について具体例を使ってご説明くださりわかりやすかったです。告知はゴールでなく、通過点、支援のプロセスという先生のお言葉が印象的でした。
私は日頃幼児期のASDのお子さんの支援に携わっています。
診断が出て間もないご家族との関わりが多くあります。告知をするのはまだまだ先になるかと思いますが、いつの日かの告知に向けて、お子さんの得意や苦手、興味関心、本人に有効な支援など保護者の方と一緒に確認していきたいなと思いました。ありがとうございました。

令和4年度 支援ツール勉強会

澤月子先生から支援ツールの作り方を学ぶ勉強会です。
参加者のみなさんで、作った支援ツールを見せ合ったり、先生から助言をいただいたりしています。
1月23日(月)の第5回も、LINEで紹介された、参加者の作ったツールのお話から入り、「マッチングから広がる世界」のテーマで自立課題に取り組む際の気をつけなければいけないことなどについて教えていただきました。
「自立課題がゴールになっていないか」「上等な“暇つぶし”になっていないか」、また作ったモノを解体させたり、目の前で大人が解体して「学習性無気力症候群」に陥らせていないか・・・など改めて見直すきっかけになりました。そして課題とは、あくまで自立を目指すものであり、マッチングやプットイン課題も、的確に行えれば将来の仕事や自立に繋がっていくということを学びました。
次回は、いよいよ今年度の最終回です。今からでも一緒に学んでいきましょう。
次回:令和5年3月13日(月) 第6回目 10:00-12:00 (Zoom)
    テーマ「行動の記録とアセスメント」です。
途中から参加も可能です。興味がある方は、事務局まで! 正会員の方 無料です!!
※ 講義部分のみ後日配信あり、賛助会員の方もご参加いただけます。
前回参加された方からの感想も届いていますので紹介します。
○ 今日も楽しく参加させてもらいました。自立課題は何かにつながるものであることや、ほんの暇つぶしという考え方もいいなぁ、うちの息子には合っていると思いました。
また、自立課題は高次化するのではなく、誰にも干渉されないで1人でやり切れる時間にしてあげることだというのがよくわかりました。
とても細かく実際に作った課題のポイントや簡単に作れる材料等の紹介、やってはいけないこともわかって良かったです。
澤先生が最初に言われたTEACCHの考え方、『平均台の幅を広くする』ということがよくわかる勉強会でした。ステキな考え方です(^^)
澤先生や鳥羽代表のおしゃべり、毒舌(?)は母たちの気持ちを代弁してくださっているようで面白いしスッキリします。良いガス抜きになりました。ありがとうございました。また次回も楽しみです。

新聞記事のご紹介

1月10日(火)付けの山陽新聞社説で、育てる会のグループホーム 「ほっぷ 1」と「すてっぷ 1」を紹介していただきました。
障害者総合支援法の改正に伴い、これまでの終の棲家として生涯を過ごすためのグループホームとは別に、地域での自立を目指すグループホームが位置づけられたのに関連してです。
私たちが目指してきた方向を、ようやく国も理解してくれたようです。
国の制度は、訓練・通過型のグループホームのようなので、育てる会の思いとは若干違っていますが、少しずつでも思いが近づいてくれてきているようで嬉しく思っています。

OHAの会 報告とお知らせ

OHAの会は高機能自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害で知的障害のないタイプの子どもを持つお母さんのための会です。 今年度は高橋和子先生のお話を聴かせていただいています。
今年度 第8回目 開催                      2023.1.14(SAT)
「本人に対するアプローチの実際 2」
〜自発的に問題解決ができる力、考え方を培うコミュニケーション〜
今回は、このテーマでお話しいただきました。
先月に引き続き、実際のVTR映像を見ながら、子供が何を発信しようとしているか、 大人が関わり方を変えると、子供がどうなるのかなどを分析シートを使って、読み取っていきました。
会話をスムーズに行うために大事なことや、大人のとるべき基本姿勢についてお話しいただきました。例えば“相手が始められるよう待つ”“子供の興味や遊びを観察する”といったことです。子供が何が好きで、何を考えているだろう?と、黙って見守ってみることがポイントです。ずっとできなくてもいい、1日20分でいいから、意識的に関わる時間を作っていってほしいと言われました。参加者のみなさんも、ずっとしようと思うとできないけど、それくらいの時間と意識することでできそうです!と前向きになられていました。
OHAの会は、高機能自閉症だからこそのお悩みを抱えているお母さんたちのためのよき学びの場です。参加者同士も交流し合い、情報交換したり、共感しあうことができたりしています。興味がある方は事務局までお問い合わせくださいね。
以下、参加者からの感想の一部です。
〇 前回の講義でも見せていただいた親子の映像を細かく分けて見て考えることで、具体的に何をどう変えればうまくいくのかが分かってくるのが面白かったです。子供の言うことややることに大人が適切に反応すれば、子供がもっとコミュニケーションを取りたいと思ってくれるのなら、毎日少しずつでもやっていって身につけたいです。今日もありがとうございました。
次回は、2月19日(日)10:00-12:00 (正会員限定)
今回の「本人に対するアプローチの実際2」が好評でしたので、当初の予定と変更して、
「本人に対するアプローチの実際3」〜会話バージョン〜をお届けします。
また、次々回は  3月12日(日)10:00-12:00
3月は、3/11(土)より日程が変更となっています。
お間違いのないよう、お願いいたします。

水泳教室のお知らせ

日 時:令和5年2月19日(日)15:30〜17:30
場 所:OSKスポーツクラブ(岡山市北区絵図町1−50)
連絡先:育てる会事務局(086-955-6758)
★新たに参加されたい方、体験されたい方は事務局までお問い合わせください。
体験してみたい方は、2回までOKです(1回 1000円)。(正会員限定)
プールは正会員限定で、育てる会の貸し切りで使っていますので、安心してお越しください。
★欠席される方は2月16日(木)までに事務局に連絡してください。
(担当: I & S )

育てる会のバレンタイン
   
遅れてきたサンタクロース

12月に予定していましたクリスマス会の延期分として開催。
★★クリスマスの内容そのままで行います★★
当初予定していた2月のキッズルームは、4月頃に延期して行う予定です。
日  時:令和5年2月12日(日)13時〜15時頃(12:45受付開始)
場  所:岡山大学 体育館
参 加 費:子ども一人につき 500円 (岡大に駐車する場合は別途500円程度必要です。)
申込方法:FAX、メール、電話のいずれかでお申し込みください。
申込締切:2月6日(月) (正会員限定)
持 ち 物:うわぐつ、各自のプレゼント(※)
スケジュール
トライアル(自由遊び)
リトミック
人形劇
ビンゴ
記念撮影
お菓子投げ
★各自のプレゼント(※)について
お子さん用に500円程度のプレゼントを用意して、名前を書いて持ってきてください。
受付の時、スタッフにこっそり渡してください。
ビンゴゲームの際にサンタさんから本人に渡してもらいます。

お母さんコラム

小6でASDの診断のある特別支援学級(自閉症・情緒学級)に通う息子と、6歳(年長)でASDの診断のある娘を持つ母が、普段の我が子との日々をつれづれに書いているコーナーです。どうぞ気軽な気持ちで読んでください。
今年のお正月、我が家は夫が三が日に発熱→コロナ陽性となり、自宅療養隔離生活となりました。
慌ててあれこれネットや医療機関からのリーフレットで調べてみると、色々載っています。
「部屋を分ける」「感染者の世話をする人はできるだけ固定にする」「感染者と世話をする人はお互いにマスクをする」「こまめに手を洗う」「日中はできるだけ換気」「手の触れる共用部分は清掃・消毒」「衣服などは分けて洗濯」「ゴミは密閉して捨てる」などなどなど。
やることが多すぎ!!
ですが、やるしかないわけで。
2m以上離れるなど、具体的な数値はありがたいものでした。
そんな中、気がかりなのはASDの子どもたちの反応です。
小6の息子は「遊びにも行けないし友達との約束も全部キャンセルになっちゃったけど、こればっかりはねぇ」
「正月中で良かったかどうかわからんけど、まぁ・・・仕方ないよな」と受け入れてくれました。
問題は6歳の娘です。「なんでよ!」「やだよ!」「パパ〜!!!!」となかなか納得できません。
ASDには視覚支援が有効!ということで、視覚的に書いて伝えようとしました。
すると、全力拒否!「やめて」「書かないで」「ペンと紙持って、こっちこないで」と言うのです(ひどい)。
私「なんでよ。『書いてもらった方がよく分かる』っていつも自分で言ってるじゃん」
娘「だからだよ。分かんない訳じゃないの。書かなくても分かることは、書かんで」
私「どういう意味?」
娘「聞いただけじゃよく分からん時は、書いてもらいたいって思うんよ。でも、パパがコロナだから一緒にいられないとかお出かけもできないとか、そういう話は、分かってるけど悲しいし嫌なの。それなのに書かれたら、それ見るたびに、悲しい気持ち思い出しちゃうの」。だからやめて」  とのことです。
母としては目から鱗というか。
「視覚的に強い」「見て分かる力が優れている」ということを、私はASDのわが子を説明する時、良い特性・強みとして使っていました。
でも今回娘の話を聞いてみて、「視覚的に強い」「見て分かる力が優れている」からこそ、視覚的に残るものは、より忘れられないというか注意が高まってしまって、しんどくなるんだなぁとも思い、新たな発見をしたような気分でした。
そういえば、以前息子が療育で先生にコミック会話を使って振り返りをしてもらっていた際、自分にとって嫌だったことを視覚的に振り返られるのをすごく嫌がっていたのも、当時は「まあ、良いことを振り返られるのと、自分にとって嫌だったことを振り返られるのでは、抵抗感が違うわな」ぐらいの認識だったのですが、こういう「分かりすぎることのしんどさ」もあったのかもしれないなぁと思います。
また小学校に引き継ぐ内容が見つかってやったぜ!でした。
でも、まだまだ準備不足は否めない・・・。頑張ります!!
(cyacya)

ちゃーちゃん日記 (あるASDの女の子のお話)

ASDの子ども二人を育てる母親であり、AS当事者でもある私のこれまでの日々や現在の様子を紹介するコラムです。
脈絡ない話や時系列が昔だったり今だったりで、分かりづらいかもしれません。思い出したままをお伝えしていくので、整理されていませんが、お気軽な気持ちで読んでいただき、良ければ「おもろいな!」「不思議!」と皆様の身近にいるASDの人たちの感じ方や暮らし方を知ることに少しでも繋がればと思っています。
今回のテーマは、「視覚支援 気が付かなければ意味がない」です。
色々な工夫をしながら、なんとかかんとか生活している私。
たとえば、私は洗濯ものを取り込みに二階に上がったのに「あれ?今何しにここに来たのかな」と分からなくなることがよくあります。
こう言うと「あ、私もありますよ!」「年ですかね」などフォローなのか何なのかコメントいただくんですが、そういうことではなくて、本当に真っ白になっているんです。
そして、一階に戻って、他のことをしていて「あ。そうだった」とまた二階に上がる・・・これが割と頻繁に起きます。洗濯もの以外でも日々起きて、そのたびにちょっとずつ自己肯定感が下がるというか失敗経験というか・・・。
そこで、視覚支援の出番。誰かに教えてもらったことはなく、自力で編み出したのですが(笑)。
私の場合、一番うまくいくのは「具体物」です。
洗濯カゴを持って二階に上がれば、手に物を持っていることによって、「そうそう、洗濯もの」と思いだすことができます。
アイロンしに行く時には、アイロン用スムーザーを持って移動していれば忘れません。
お風呂に行く時には、パジャマや下着を風呂場に向かうドアのところに置いておけば忘れません(他の家族からは「おい」と思われているでしょうけども)。
園や学校に提出するものは、スケジュール帳の「今の月」のページに挟んでおく。
忘れてはいけないこと(帰りにパンを買うなど)は、スマホのカレンダー機能にメモしておくこと+スマホのケースにマスキングテープでメモを貼り付けています。
生きづらいということはそこまで感じていないのは、定型発達の人の考え方や物の見え方を知らないからでしょうね。そっちの人たちの話を聞くと「えええ!世の中の人はそんなに楽勝で生きているの!?」と驚くことがたくさんです。
また、定型発達の人たちからは「そんなに色々工夫して生活していて…大変ですね」と言われることもあるのですが、「え、こんな簡単なことでうまくいくなら、安いもんじゃね?」とも思うんです。「ここに置いているだけじゃ、多分忘れるな」「スケジュールに書いているだけじゃ無理だな」など、正しく自己分析しているのも、自分的に素敵やん、と思うのです。
そして私がAS傾向強いからこそ、わが子にも本人に合う視覚支援や工夫を用意してやることができるわけで。
たとえば息子。
スケジュールは、あっという間に風景状態。「薬を飲む」などいつものルーティンにない活動が入っていても、声掛けしないと忘れてしまいますが、具体物として薬そのものを食卓に置いておけば、食事の後の飲み忘れが絶対にありません。
外出するからタブレットを充電しておく必要がある時も、メモをどこに置けば見忘れないかなと考えました。
玄関?→見るだろうけど、リビングまで移動するまでに忘れるでしょう。
お菓子の入っているケース?→メモに気づくよりお菓子にロックオンだから目にも入らないでしょう。
本人の勉強机?→下手したら勉強をしない可能性高め。
考えた結果・・・ここです。
ここなら、絶対に息子は見忘れません!!笑
行動予測が、視覚支援には欠かせないポイントであり、「確かにこれなら」という自分自身の成功体験もまた、私やわが子たちの人生の大切な生きるコツなんだなぁ。
(ちゃーちゃん)

 ぐんぐん だより 

ぐんぐんぴっぴ (就学前)  

新たな年がスタートしました。まだまだ厳しい寒さが続いていますが、子どもたちは元気な姿を見せてくれています。
外遊びで寒さをものともせず走り回る子どもたちを見て、私たちスタッフもそのパワーをもらって、さらに頑張っていきたいと心を新たにしています。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、今回は子ども同士のコミュニケーションのエピソードをご紹介します。
療育の中では、他のお子さんと遊びの時間に同じエリアで過ごしたり、グループ活動において同じ課題を楽しんだりする機会があります。自分からコミュニケーションをとっていくことがなかなか難しいタイプのお子さんにとっては、時には自分の思いをお友達にうまく伝えられず、悲しい気持ちになってしまうことがあります。
また、お友達に話しかけられても、何と答えてよいか分からず、戸惑う様子もみられることもあります。そのような場面では、支援者も子どもたちと一緒に遊びながら声をかけ、なるべく楽しい時間が過ごせるようにしています。時には、保護者の方も参加してくださり、子どもたちも安心して過ごせています。
このエピソードに出てくるAちゃんは、とても元気ではつらつとしたお子さんです。
しかし、いつもと違う環境や慣れていない人に対しては、緊張がかなり強く表れてしまうことがあります。Bちゃんもまた、穏やかでお話はとても上手にできますが、いざ自分の気持ちを相手に伝えるとなるとなかなか難しく、自分のしたいことを我慢してしまいがちです。
ほぼ毎週のこの活動が始まった頃、互いに慣れていない2人は、隣にいる支援者に話しかけられるとそれぞれが楽しそうに返事をしてくれますが、なかなか子ども同士のやりとりにつながることは難しい様子でした。
その反面、お友達が何をして遊んでいるのか気になってじっと様子を見ていることもあり、関心のある素振りは見せていました。そのような時は、遊びの時間であれば、保護者の方や支援者が遊びに参加してみんなでやりとりをしながら楽しい時間を過ごします。
それでも、お絵描き、工作、みんなで遊べるゲーム、ままごと等々、時間をかけてたくさんの活動をしていく中で、少しずつ変化がありました。お友達のしていることにより関心を持ったり、感想が言えたり、自分の作ったものをみんなに見せたりすることも、以前より安心してできるようになってきたのではないかと思います。
また、2人に限らず、子どもたちがそれぞれの名前を覚えて時には会話の中にお友達の名前が出てくる場面も見られるようになってきました。保護者の方々にも協力を頂き、療育で一緒に遊んだお友達や遊びの内容についてご家庭でも話題にして、子どもたちの関心をさらに引き出してくださるようにしました。その一つひとつの積み重ねがこのような変化へとつながったのではないかなと思います。
そのようなある日、外遊びで鬼ごっこをすることになりました。
以前にしたときと同じように始める前に役割を決めます。
Aちゃんは逃げる役、鬼の役、どちらも楽しみますが、Bちゃんはいつも追いかける鬼の役を選びます。その当時のBちゃんは、追いかけられてドキドキするよりも、追いかける役の方が安心して鬼ごっこを楽しめるといった感じでした。
今回は、Aちゃんを含む3人の子どもたちが逃げる役、Bちゃんとスタッフが追いかける役になりました。
「よーい、スタート」で、鬼ごっこが始まり、追いかけられる役のみんなはいっせいに逃げ始めます。追いかける側のBちゃんも一生懸命に追いかけます。
そしてたくさん走って全員がつかまった頃、Aちゃんが急に「今度は私が鬼になりたい」とみんなに言いました。するとBちゃんは、すぐさま不安な表情に変わりました。おそらく、Aちゃんが追いかける役になると、今度は自分が追いかけられる役になってしまうと思ったのでしょう。
しかし、すぐにAちゃんはBちゃんに向かって「私が鬼になってもBちゃんのことはつかまえないよ」と言ったのです。それを聞いたBちゃんはすかさず、Aちゃんに近づき、嬉しそうな表情で「本当に?」と尋ねました。Aちゃんはうなずき返しました。その後みんなとの話し合いの結果、結局AちゃんとBちゃんが鬼になり、もう一度鬼ごっこを楽しんでその日の外遊びは終わりました。
このやりとりでは、コミュニケーションを通してAちゃんとBちゃんの心が通じあったように私には感じられました。
なぜなら、鬼ごっこのルールからは外れているかもしれませんが、どちらも自分の気持ちを素直に言葉にし、しかも相手に向けて伝えることができ、それがしっかりと伝わっているからです。
Aちゃんは、鬼になりたい、でもBちゃんは追いかけられるのが嫌いだったなと相手を思いやります。そして、自分はBちゃんをつかまえないことをはっきりと本人に伝えています。一方Bちゃんは、逃げる役になるのは不安、でもAちゃんが気づいてくれてつかまえないよといってくれたことがうれしくて、わざわざ近づいて本当にいいの?と言葉で伝えることができています。
ASDの特性として、ことばによるコミュニケーションや、人の表情や気持ちを読み取ることが苦手であるということが言われています。ことばをよく知っていても、それを一方的に話すだけでは相手とのことばのやりとりは難しくなります。だからこそ、今回のエピソードでは、子ども同士が自分からお互いを意識しあって、気持ちをくみとり、ことばでやりとりをしていたところがとても印象的でした。もしかしたら、その日、AちゃんもBちゃんもお家に帰って楽しかった鬼ごっこの話をご家族にお伝えしたそうです。
このような何気ない小さなやりとりの積み重ねが、将来子どもたちにとって、様々な人との豊かなコミュニケーションにつながるきっかけになればと思っています。これからも子どもたちに寄り添い、保護者の方と一緒に考えながら、たくさんの活動を工夫していきたいと考えております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
ぐんぐんぴっぴスタッフ:K

赤磐ぐんぐん (就学前)

「最強寒波」の名前の通り、1月下旬はすごい寒さに驚きました。
県北の方は全国ニュースに取り上げられるほどの雪だったそうです。
赤磐ぐんぐんのある赤磐市も、坂や影があるところでは車のスリップ・坂道で登れないで立ち往生・JRの遅延への不安や自転車で通学通勤できないための車移動での大渋滞などなど、大変でした。幸いにも、事故などはそこまで大きいものは起きていないそうで、一人一人が気を付けて運転してくれているおかげだなぁと思います。
さてさて、今月のテーマは、「保護者同士の仲間パワーはすごい〜保護者座談会〜」です。
赤磐ぐんぐんでは、年に3〜4回、保護者座談会を行っています。
以前は、ぐんぐん・ぐんぐんぴっぴ・ぐんぐんキッズで集まって、一つの会場内で保護者勉強会&座談会スタイルなどで、不定期で開催していました。
3年前のコロナ禍からこっち、なかなか大勢で集まって・・・ということがしづらいので、赤磐ぐんぐんでは、療育中にいつもと同じ療育部屋の中で、お子さんたちの様子もチラチラ見ながら、短い時間で行っています。
テーマは、保護者の皆さんから希望も聞いて、ラフに話しやすい形で実施しています。
先日は「家庭でのわが子〜こんなこと頑張っています&困っています〜」をテーマに、我が子がハマっていることの話・困っている悩み話・サポートブック作成や就学に向けての家庭での取り組みなど、お互いに色々な話をしあいました。
司会進行として松田が入らせていただいているのですが、毎回ざっくばらんに色々なぶっちゃけ話が出てきて、松田もすっかり一 参加者ポジションです。
「分かる分かる」「うちも!」「えー、それもう少し詳しく教えて」「それはお母さんがすごい頑張ってるってことよー。えらいー」など、皆さん色々積極的に話しあってくださるので、聞いている松田も楽しくて勉強になっています。
松田は、この「保護者座談会」を、実はすごく大事に思っています。
ASDの診断が出るお子さんは、まだまだ少数派(先日の文科省の発表によると、決して少なくはないとも思いますが)。保育園などは元々そこまで保護者同士のつながりがお迎えの時にちらっとぐらいなのに、同じASDの保護者の立場の人に出会えて、わが子のことを話せることって、なかなかないのが現状です。
そうではないママ友的な人や自分の親戚や知人に意を決して「うちの子、実は診断が出ていて」と話をしても「考えすぎじゃない?」「厳しく言いすぎない方がいいよ」「まだ小さいんだし」など良かれと思ってではあるのでしょうが、耳に優しくても役に立つ訳ではないことしか聞けなかったり、逆に「そ、そうなんだ」「大変だね」と言われ、少し遠巻きにされたりすることもあると聞きます。
考えてみれば、一緒に暮らしている保護者であっても、なかなかわが子のどういうところがASDなのか、どういう支援や関わりをしていけばいいのか、まだまだ手探りである時期に、深刻に取られすぎるのもしんどいし、楽観的すぎる話をされるのも、しんどいものです。
療育の同じ立場の保護者の方たちとの「保護者座談会」はどうでしょう?
もちろん 「そこまで普段一緒にいない人に、あれこれわが子のこと話すことにはちょっと・・・抵抗あるかも・・・」 「こんな話をしたら『え!?』と驚かれちゃうかも」 「人見知りだから、うまく話せないかも」  など、ドキドキする方もおられます。
経験したことがない・見通しがないことは、ASDに限らず私たちだって不安ですもんね。
でも、一度参加すると皆さん「参加して良かった」「同じASDの子どもを持つ親同士で話せる場って貴重ですよね」などポジティブな嬉しい感想をくださいます。そして、座談会前より、少し元気になってくださいます。
それは親同士の仲間(ピア)感というか「ピアカウンセリング」的な要素も影響しているのかなと感じています。
「同じ立場の仲間がここにいる」「私は一人じゃない」ということは、保護者座談会の大きな良さです。
「そりゃそうでしょう」「ぐんぐんはASD特化型で、ASDの子ども以外通わないんだから」と思われるかもしれませんが、普段の療育では、スタッフと話したりわが子と遊んだりグループ活動で一緒にアセスメントしたりと忙しいので、他の保護者の方とゆっくりお話しする時間が取りきれていません。
そのため、こういう場を設定するメリットは大きいなと思います。また、直接的な「分かる!大変だよね」という共感も、同じ立場であるからこそ、「分かる!」という言葉に血が通うように思います(実際、「定型発達の子どもを持っているママ友からの『分かる!大変だよね』というのは、こっちが普段感じている大変さとは質が違うし深刻さが違うように思います」という保護者の方のお話も聞いたことがあります。なるほど感がすごく強かったです)。
そして、同じ立場の親同士だからこそ、他の人の話している内容・相談内容が、自分の子育てでも困っていることと似ていることもあり、アドバイスを参考にできることで、引き出しがどんどん増えていくこと。
「私も同じようなことがあって、○先生にこういう風にアドバイスもらったよ」「我が家ではこういう風にしているよ」と自分の話とつなげ合わせて話すことによって、誰かの役に立てたという保護者自身の自己肯定感にもつながります。
そういうことって、普段のスタッフとの関わりだけでは、どうしても超えられない壁とでもいいましょうか。「やっぱり保護者の方同士の支え合いには、適わないなぁ」「私たちスタッフにできること、しっかり頑張らなきゃ!」とも思います。
少しだけ参加された保護者からの感想を抜粋で紹介します。
・普段なかなか聞けない他のご家庭や松田先生のお話を聞くことができ、参考になりました。困っていることも悩んでいることも似ていたので、我が家だけ大変なのではないと分かりました。松田先生が「悩んでいる時点で正解」と言ってくださったので、気持ちが楽になりました。毎回座談会は楽しいので、もっと頻繁に開催してほしいくらいです。
・今回も楽しくお話しができて、とても良かったです!困っていることは皆一緒で安心しました。松田先生も毎日大変というのにも、私だけじゃないんだ!とホッとしました!頑張っていることはたくさん褒めて、小学校入学に向けてぼちぼち頑張りたいと思います。
・イライラしてしまった時に、親としてどうしてもっと寛容になれないんだろうと自己嫌悪に陥ることがあるのですが、うまく行かないことや不安なことがあっても、子どもも親も、皆それぞれに頑張っている。それでいいんだと思えました。
・アットホームな雰囲気の中、我が子の困っていることや近況報告などざっくばらんにお話をすることができ、ホッとする時間となりました。それぞれの家庭で、上手くいったりいかなかったり試行錯誤しながら我が子と向き合っていることが分かり、これからも支え合いながら共に頑張りたいなと思いました。
・入学に向けての準備で、不安に思うことやなかなか気持ちがついていかないことが多いのですが、赤磐ぐんぐんの保護者さん達に聞いてもらえて、少しガス抜きができました。共感できる環境におられる保護者さん達と話ができて、いつも心が救われています。もっと話しがしたいです!!次回も楽しみにしています!
・松田先生のお話・皆さんのお話に共感できることが多々あり、自分だけではないんだなぁと安心したのと同時に嬉しかったです。自分の話を真剣に聞いてくれ、褒めてくれ、共感してくれることがとても嬉しい時間でした。なかなか園のお母さん方とはこんなお話はできないので、とてもありがたかったです。とても楽しい時間でした。
・松田先生のお話や皆さんのお話を聞けたり相談できたりと、とても楽しい時間でした。日によっては、沈んでしまって先が不安になったりする日もあるけれど、皆さんのお話を聞いて、たくさん共感できるところや悩みを話しているときに、皆さんが「分かる分かる」と頷いてくれたりと、すごく救われました。私も頑張ろうと思えました。色々とお話を話してくださり聞いてくださり、ありがとうございました!また座談会に参加したいです!
・座談会で他の保護者の方の困っていることを聞いてすべて同じことを悩んだ経験があることだったので「私だけじゃないんだな」と思い、心が軽くなった気がしました。頑張っていることも共感していただいたり、頷いていただいたりしてこれからも頑張ってサポートしていこうという力をもらえました。
・皆さん、それぞれ悩みがあったり、子どもへの愛情を感じ、しっかりと子育てに向きあっているんだなと感じました。兄弟がいる家庭は同じような悩みだったり、感じ方も似ていたなと思いました。子育てに正解はないと思いながら自分なりの子育てをしていますが、やはり一番は愛情がしっかりと子どもに伝わっているといいなと思います。仕事、家事、育児と忙しい毎日ですが、引き続き頑張っていきたいと思います。
「赤磐ぐんぐんは家族支援に力を入れています」といつもお伝えしています。
それは「家族同室型」の療育スタイルのことだけでなく、このような「保護者座談会」もまた、家族支援として大切にしていきたいことだと私は思っています。
コロナがもう少し収束してきたら、以前のように他の曜日の方々とも一緒に、皆でわいわいやりたいですね。お茶菓子なんかをつまみながら、ね!(笑) 今後とも、どうぞよろしくお願いします。
(赤磐ぐんぐん療育スタッフ:松田)

ぐんぐんキッズ (小1〜) 

新しい年を迎えました。
年の初めには「今年は○○をやろう!」「○○ができるようにしよう」等の目標を立てている方もいますよね。
目標を持って過ごす1年。 ぐんぐんキッズでもただ過ごすのではなく、個別支援計画書をもとに目標をもって活動しています。
ぐんぐんキッズでは、上手くできない時や困った時に「手伝って」と伝える目標を取り入れているお子さんが多くおられます。「手伝って」と言えない時のお子さんの反応は実に様々です。
「もう絶対無理!」「もう!やらない!」とあきらめる。「なんで、もう!できないの!」と怒る。じっと見つめて固まっている。周りをきょろきょろ見る。「これ面白くない」と言い始める。などなど、他にもあると思います。
お子さんが困る場面でうまく手伝ってと言えないのはなぜだろう?お子さんの持つ特性がどんなふうに影響しているだろうか?
私たちはお子さんの持つ特性とお子さんなりのそれぞれの理由を考えています。
今回は、「もう絶対無理!」「もう!やらない!」と上手くできない時、すぐにあきらめてしまうA君が「手伝って」と伝えられた事例を紹介します。
工作が大好きなAくん。大好きな活動を療育の中に取り入れることで、安心して通えるようになりました。工作をしていると、自分で思うようにできない時、度々「もう絶対無理!」と、本当は作りたいのに途中で投げ出してしまうことがありました。
「もうやらない!」という言葉を受けて、「もうやらないんだね」というと、泣き始めて「もう絶対無理だから」とより混乱してしまう・・・一度気持ちが高ぶると、途中で手伝って上手く作れたり、声をかけても、より混乱するようでした。
Aくんには “他にもうまくいく方法がある予測のしにくさ”、“見通しの持ちにくさ”、“言葉の理解の難しさ”、“特定のことに注意が向くと外しにくさ”などの特性が見られました。
そして、Aくんは工作が上手くできない時、他にも上手くいく方法があるということを知らないようです。
そこで、活動の始めに「上手く作れない時には、先生が手伝うよ。一緒に作ろう。」と視覚的に「一緒に作る」ことを書いて伝えてから活動する。上手くできない時、「手伝うね」と言葉かけを少なくして手を差し出し、本人が知らない別の方法を本人に見せることを繰り返しました。
最初は「もう絶対無理!」と同じように言って泣いていましたが、繰り返していくうちに、泣かなくなり、徐々に先生がするのをじっと見るようになりました。
先生が手伝っているのを落ち着いて見れるようになってから、「これをこうすると、上手にできるよ」と説明してみせると、Aくんは真似をして自分でできるようになっていきました。
他にも方法があると知ってからは、「先生、手伝って」「先生、こうしたいからやって」等、自分から伝えるようになりました。
次は、違う場面でも「手伝って」と伝えられるように、違う先生にも伝えられるようにと般化を目標にしていく予定です。
「手伝って」と伝えにくいお子さんの反応は様々です。一人ひとりのお子さんの特性やお子さんなりの理由を考え、これからも個々にあった支援をしていきたいです。
楽しみにぐんぐんキッズに通ってきてくれるお子さん、保護者の方々、今年もよろしくお願いします !
(ぐんぐんキッズ T)

グループホーム寄付のお礼とお願い

みなさま方から温かいご支援をいただき、「ほっぷ1」と「すてっぷ1」で、みんな楽しそうに暮らしています。
ご支援、本当にありがとうございます。

  【グループホームへご寄付をいただいた皆様】(R4.10.26-R4.11.25)

        〇 U.C 様(津山市)

これからもよろしくお願いいたします。
寄付金 振込口座  中国銀行 赤磐支店 普通預金 1321755
               岡山県自閉症児を育てる会 代表者 鳥羽 美智代

以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
なお会報は正会員・賛助会員の方へは郵送でお届けしています。
もしご希望の方がおられましたら、ぜひ賛助会員に申し込みをお願いします。年会費 3000円です。
応援よろしくお願いします。
申込み方法の詳細は「
育てる会 HP」に記載しています。

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