Japanese version only
令和 5年 5月31日
第301号
NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会
301号 目次
五月の風の中
自閉症啓発セミナーの報告
「武藏博文先生 講演会」
即実践講座・夜間連続講座 の お知らせ
育てる会総会、タッチ・アシスト開所式、はやぶさの会 の 報告
スポーツクラブ、キッズルーム、AAO活動、水泳教室 の 報告とお知らせ
お母さんコラム
ちゃーちゃん日記
私のお薦め本コーナー
「発達障害 サバイバルガイド」
ぐんぐんだより
「ぐんぐんぴっぴ、赤磐ぐんぐん、ぐんぐんキッズ、ぐんぐんタッチ」
寄付 の お礼とお願い
五月です。
かぜよふけふけ〜 かぜよふけふけ〜 ぼくもはだしでかけだそう
かぜよふけふけ〜 かぜよふけふけ〜 わたしもことりととびだそう
かぜよふけふけ〜 かぜよふけふけ〜 ちいさなけんかふきとばそう
かぜよふけふけ〜 かぜよふけふけ〜 ちいさななみだふきとばそう
五月のそらには〜 五月のそらには〜 かぜがとってもにあうから〜 にあうから〜 ♪
(『かぜよふけふけ』 作詞:山元護久、作曲:小森昭宏)
そんな歌がありましたが、覚えている方はいるでしょうか?
確か、50年ほど前、NHKの「みんなのうた」から聞こえてきた歌でした。
5月は、季候も良くて寒くも暑くもない、風が心地よい季節ですね。風が吹くと、私は思わずこの歌を歌ってしまいます。
さわやかな風と言っても結構強くて、洗った毛布を竿ごと飛ばしていきました。なかなかいたずらな風さんでした。
小さな涙吹き飛ばし、裸足で駆け出したくなるような、そんな5月の風が、今日も外で吹いています。いいお天気で、気持ちの良い昼下がりです。
さて、5月と言えば、小学校では運動会が行われるところも多く、新学期早々疲れている小学生の子どもたちも多く見かけます。
私は今年から、ぐんぐんキッズでお仕事しています。そこへ放課後に通ってくる子どもたちが少々疲れているのは、気になります。そんな子どもたちが、「ああ楽しかった」と思ってくれるようなぐんぐんキッズにしたいな〜と、思いながらお仕事しています。
楽しい中からしか学びは生まれてこないと思うからです。楽しいと思えることは、“分かること”を学ぶからでしょう。
その子に合った支援の仕方で学ぶからこそ、楽しいし、疲れた放課後だけれど、来ると元気になっていく・・・そんな風だといいなと思って色々工夫しています。
ぐんぐんキッズの職員室には、『視覚的に、具体的に、肯定的に』という文字が書いて貼ってあります。日々それを見ながら、子どもたちに無理のない、支援を確実に行いたいと考えています。
ぐんぐんキッズは、小さい頃から母子で通っていただいた児童発達支援の「ぐんぐんぴっぴ」→「赤磐ぐんぐん」→そして「ぐんぐんキッズ」と長いお子さんでは、5年から6年も通って来てくださっています。毎年新しく新入学の多くのお子さんからの希望があるため、小学3年生までがやっとの受け入れです。その短いぐんぐんキッズの1年から3年生までの彼らに何を教えていけるか・・・将来に役立つ何かを彼らに残したい。いつもいつも考えながら、支援をしています。
親だけでは出来ない、学校だけでは足りない・・・そしてもちろん週1回のぐんぐんキッズでは足りないのですが、それでも3者が協力してこそ、子どもの育ちを考えて行ける・・・、力は及びませんが、一生懸命に支援を考えて行きたいと思う私です。
もう私の人生、先はあまりないかもしれないけれど、もうしばらく脳みその続く限り頑張っていきたいと思う私なのです。
皆さん、どうか、よろしくお願いしますね。そういう訳で、しばらくは代表と放課後等デイサービスのスタッフとしての2足のわらじを履いてのお仕事です。足りないところがあるかもしれませんが、温かいご支援よろしくお願いいたします。
育てる会としては、今年の総会も終わり、いよいよ今年度の本格始動です。様々な企画が目白押しです。
なんて元気な会でしょうね。
26年目でこんなに活発な会ってありますかね。自分たちで自分たちを褒めているところです。
まずは、5月20日(土)に行われた武蔵博文先生の講演会についてのお話しから始めましょう。
当日の報告は、後のページに詳しい報告がありますので割愛しますが、武蔵先生は、先月号でもお伝えしたように、4月から岡山県自閉症児を育てる会の職員として働いてくださっています。
保育所等訪問事業という子どもたちの通う学校や保育園幼稚園へ訪問して、直接子どもたちへの支援も出来るし、先生方にも支援が出来るという事業です。その3者を繋いで、一貫した支援を行っていただけます。
厚労省が出している資料に、こんなのがありました。
保育所等訪問支援の効果は何ですか?
【事業効果】子どもには自己肯定感が、訪問先には支援力が高まり、移行後の支援に継続性が保たれます 保育所等訪問支援は、集団生活での適応を目的とした支援です。効果としては、@不適応が生じている集団生活場面に直接入り込み、不適応の要因となっている環境(スタッフや周囲の子どもの関わりを含む)に直接介入できる点、 A早期支援又は円滑な移行支援を行うことで集団生活の不適応を未然に防ぐことができる点、 Bスタッフに対して、子どもへの専門的関わり方及びその効果を直接見せることでモデルとなることができる点、 C保育所等訪問支援計画(個別支援計画)を訪問先と共有することで、訪問先での個別の保育や教育に関する計画の参考にすることができる点などが挙げられます。これらによって最終的には、対象となっている子どもが集団場面で安心して生活や様々な活動に取り組みやすくなることで、できたという達成感・満足感、できるという自信を感じることができ、ひいては自己肯定感を高めることが期待できます。
自己肯定感を高めることが出来る事業ということです。先生の今回の講演会も「自己肯定感を高めるための支援」というモノでしたが、奇しくもという感じです。
先生は他にも私の仕事場である「ぐんぐんキッズ」のお母さんたちに、お子さんをお預かりしている時間を利用して、勉強会を開いていただいております。15時から17時30分までの2時間半、先生の長年の教育現場で培われた事例からの知識、アイデアなどをお母さんたちにお話ししていただいています。なんという贅沢な時間でしょう。お母さんたちには、先生の出版された書籍をお一人お一人に差し上げています。これは、スペース96さんからご寄贈いただいたモノです。
本の中には、私たちの子どもが小さかったときに参考にさせていただいた多くの日記や活動のヒントが満載です。先生とお話しをされて、お母さんたちが和やかな顔つきになられていくのを、日々感じている私です。
これからも、お暇な折を見つけては、お教えをいただけたらと願っています。
さて、続いての講演会は、児童精神科医の門眞一郎先生の「自発的な表出コミュニケーション支援について 〜PECSを中心に〜」という講演会です。
先生のPECSの講演会は昨年に引き続きです。昨年は、全国の支援学校への案内状送付と、無料講演会でしたので、1500人を超える参加者で大盛況でした。
今年は、毎回無料というわけにもいかない育てる会の台所事情もありまして・・・、有料となりますが、皆さんどうか、価値ある講演会にぜひご参加ください。
去年も「無料でお聴きするのはもったいない、申し訳ない」と、色々な方から言われました。
そんな風におっしゃっていただいて、とても嬉しかったですし、門先生のお話を熱心に聞いていただける方がこんなに多いというのにも感動しました。
今回の講演会は「ぐんぐんタッチ」という私どもの療育事業所としては4つめの児童発達支援事業所の開設記念といたしまして、PECSの講演会をお願いすることになりました。PECSという画期的なコミュニケーション支援のプログラムを多くの人たちに紹介したいという想いでいっぱいの育てる会としての講演会です。
詳しくは同封のチラシをご覧ください。ぜひお誘い合わせの上、申込をしてください。お待ちしています。
http://sodaterukai.org/policy1.html
その「ぐんぐんタッチ」と、武藏先生の「ぐんぐんアシスト」の開所式が5月10日(水)に行われました。
大安吉日お天気も良くて私たちの会の出発を祝ってくれているようでした。
友實赤磐市長をはじめ、大勢の議員の先生方、行政の方々、赤磐市内の事業所の方々など、大勢ご参列いただき、とてもあたたかい開所式となりました。
詳しい報告は後のページにありますのでご覧ください。
また、毎年行っています「現場の先生のための即実践講座」、今年は志賀利一先生にお願いしての10回講座と、赤磐市との共同開催の坂井先生の「発達障害支援夜間連続講座」も、共に第1回目が盛況のうちに終わりました。残り9回が、楽しみで仕方ない私です。
この講座は、保護者は参加できない講座ですが、代表としての役得で、毎年色んな先生の最先端のお話しをうかがえる私は幸せ者です。
支援者の方で、まだうっかり申し込んでいないという方は、後日配信もありますので、どうぞ、申し込んでください。お待ちいたしております。詳しいことは育てる会ホームページにのせていますので、ご覧ください。
さて、会の活動としては、お母さんたちが熱心に取り組んでおられる「さをり織り教室」の活動を今月は紹介したいと思います。
月に1回「さおり織り」という木製の織機を使って織物をする集まりを、現在は5人のお母さんたちが続けておられます。
自分で先に縦糸を決めて、横糸は自由に選んで織るのですが、どんな色合いに仕上がっていくのか、縦と横の色の交差が生み出すハーモニーがたまらない魅力です。
私も以前はとても熱心に行っていました。哲平も自宅でとても上手に織り上げていました。今は、色んなことが忙しく、取り組めていませんが、そのうち(引退させていただいたあかつきには・・・)私の組んだ縦糸で哲平が横糸を織り上げていくのを楽しみたいと思っています。
そんな子どもに教えたくて始められたさおり織りは、今やお母さんたちの楽しみになっているようです。色んなモノを家から持ってきてお野菜やお花の交換会もされているようです。
楽しそうでうらやましいですね。参加したい方は、どうぞ事務局の方におたずねくださいね。
さて、続いての新しい事業は、「新クローバーの会」のお話しです。
「はやぶさの会」は男の子たちの会ですが、クローバーの会は女の子たちの会です。
以前のクローバーの会に参加していた女の子たちは、今はもう社会人になっている人や大学生になって、岡山を離れて暮らしている人もいます。時々は連絡取り合ったりしているそうですが、「新クローバーの会」は、小さい小学生くらいの女の子たちの会です。
思春期に向かい、少しずつ大きくなっていく間、一緒にお友達として過ごしていけたらいいな、なんていうお母さんたちが、何人かで企画中です。乞うご期待でございます。
会員になると色んな楽しい企画に参加できますので、お誘い合わせの上、正会員になってください。
お待ちしていますよ。
さて、いつものように締めは、哲平君の話題となりました。
5月7日日曜日、シティライトスタジアムで雨の中、今年も障害者スポーツ大会が行われました。
かつては大勢の知り合いが参加していて、なんだか同窓会のようなスタートラインでの風景でしたが、コロナ禍以後、参加者がとても少なくなってしまいました。哲平が参加した成年の部の1500メートルも、知っている人がひとりだけでした。ちょっぴり寂しい大会となりました。
いつものように競り合っての優勝ではなく、今年はダントツ一位となった哲平君でしたが、なんとなんと最後まで2レーンを走っているではありませんか。とぼけた哲平君でした。まだまだ、ほってはおけません。
レース後出会った瞬間に言う言葉は「1000円」そして、手を差し出します。お金をもらえる楽しみで雨の中モノともせずに走った哲平君でした。 ご苦労さん!!
今日は、コロナのワクチンの6回目を打ちました。朝の9時30分に注射して、現在午後9時です。
なんだか熱っぽいなと思って体温測ってみると、37.5℃まで上がっています。今日はもう寝ますね。
来月号でまたお会いしましょう。ごきげんよう、さようなら。
(鳥羽 美千子)
育てる会 自閉症啓発セミナー の 報告
令和5年5月20日(土)、令和5年度第1回目のセミナーとして、前 香川大学教育学部教授の武藏博文先生をオンライン(Zoom)にお迎えして「第122回育てる会 自閉症啓発セミナー」を開催いたしました。
武藏先生は、今春より育てる会にて、保育所等訪問支援「ぐんぐんアシスト」を担当していただいています。
今回のテーマは「発達障害児の自己肯定感を高める支援」ということで日々の暮らしの中や、周囲とのかかわりを通して、どのように自己肯定感を高め、それを維持していけばよいか、その支援の方法についてお話しいただきました。
それでは参加したスタッフからの報告と、みなさんからのアンケートが届いていますので紹介します。
「発達障害児の自己肯定感を高める支援」という今回の講演会のタイトルを聞いて、ASD児の保護者で、支援者でもある私が最初に思ったのは「自己肯定感って何だろう?」ということでした。
ネットで調べてみると「自分の存在そのものを認める感覚であり、ありのままの自分をかけがえのない存在として肯定的、好意的に受け止めることができる感覚」「欠点や失敗なども含めて肯定し、自分を無条件に愛する気持ち」「自尊心」「self-esteem」などと紹介されていました。
わが子に「あなたはあなたのままで素敵」と伝えていき、のびのびと成長していってほしいと思うのは親心。日々大小さまざまな事件やトラブルがあり、「こんなことまで教えねばならんのか」と頭を抱えたり、同年代の他の子との違いにはそこまで落ち込まなくなってきたとはいえ同じASDの診断がある他の子との違いでは改めてショックを受けたり、笑えないような失敗に数々遭遇します。「あなたはあなたのままで素敵」と言ってやりたくてもなかなかしっかりできていない自分に改めて気づき、「これじゃだめだ」「ちゃんと勉強しなくては!」と気合を入れて講演会に参加しました。
講演会の最初に、武蔵先生から「自己肯定感を高めて、続けるにはどうしたらいいと思いますか?」という投げかけがありました。
褒める?認める?慰める?応援する?・・・皆さんのチャットのコメントのどれもが正解なようで難しいようで・・・具体的に何をしたらいいのかなぁと考えながらお話を聞いていました。
「肯定感に気づいて感じるための支援」として「うれしい日記」「大好きブック」の紹介をしていただきました。
嬉しかったことや楽しかったことやうまくできたことに加え、毎日していることや周りの人を喜ばせたことや誰かにしてもらったことなどをたくさん溜めて、それを思い出せるようなものを作ろう、という提案でした。ASDのお子さんの場合、視覚的に残ったものを見返せることは特性にもあっていますし、具体的思考だからこそ、具体的エピソードがある方が自分自身も納得しやすいんですよね。
これ、私にはすごくタイムリーな話でした。ちょうどこの4月から小学校に入学したわが子のために、4月から取り組みだしていたことだったんです。
わが子は新しい環境に慣れるのに時間がかかり、失敗に弱く、怒られると結構引きずるタイプです。
「毎日偉いね」「よく頑張っているね」と声をかけても「何が?」「何を?」とピンときません。言葉で具体的に褒めようとしても長文になると、飽きてしまって、ふらっとどこかに行ってしまいます。
そこで4コマ漫画ノートを買ってきて、その日一日の中で頑張ったことを絵と文字で描いてみました。
1コマに1つ。一日4つ「いいこと」を書きます。
「廃品回収を頑張った」「こけたけど泣かなかった」「ご飯がおいしくて、お皿をピカピカにした」など、本当に日常の些細な出来事を貯めていく「いいことノート」です。
本人はニヤニヤニコニコしながら描き貯めてあるものを読み返したり、「今日は〇〇のことを描いて」と自分から言ってきたり、「自分でも描きたい」と描いてみたりもしています。
毎日描くのはなかなか大変なのですが、振り返って考えると「一日4つのいいこと」を描くためには、わが子のいいところ探しをしないといけません。すると「できたこと」「頑張ったこと」だけでなく、「こんなこともあったけど、こういうことは頑張れたな」というような感じ方ができ、ちょっと優しくわが子を見つめられる自分に対して、「私って偉いじゃん」なんて親自身の自己肯定感も高まっているように思います。
そして、「肯定感に気づいて感じるための支援」がしっかり身についてから、次のステップとして「肯定感を高めて続ける支援」についてお話がありました。
最初は「大人が主導しながら進めていき、仕組み・システム・枠組を作る」という経験を積み、そして「徐々に本人が自分から実施し大人に見せる形で賞賛を自分から求めるようにしていく」という段階に進めていくというお話でした。
ASDのお子さんの実行機能の苦手さである「どこからどんな手順でどんな風に進めていったらいいかを自分で計画・実施・振り返りがしづらい」特性への配慮としてとても分かりやすいステップだなと感じました。「よかったよランキング」「ハッピー日記」などの具体的な例を見せていただき、「『できた』『楽しかった』の前に、たくさんの色々な過程を経ているはず。そのことに注目できるよう背景やプロセスにも注目できるよう、取り上げてみてほしい」とお話がありました。
まさに白黒思考のASDのお子さんには大切な視点ですよね。
わが子も「もう無理だ! もうだめだ!」状態と「簡単すぎ! 余裕じゃし」と妙な自信過剰というかナルシスト的状態になりやすく、人間関係でも「この人嫌だな」と一度でも思うと「大嫌い」になるし「この人良い人」となると「大好き!!!」となりすぎる極端さがあります。
そんな白黒思考ではなく、例えばお出かけに行ったとしたら、「お出かけに行くよ」と言われた瞬間は「やった!」だろうし、道が混んでいてなかなか着かない時には「えーもーなんでー」の気持ちだろうし、ほしかったお菓子を買ってもらえた時には「ありがとう!!」って気持ちだろうし、途中でお兄ちゃんと喧嘩したら「最悪!」の気持ちだろうし、帰りにお寿司屋さんに寄れたら「超HAPPY」だろうなと思うんです。
そういう余白にも気づかせてあげることで「急にブチ切れ」「急なハイテンション」「急な大泣き」も減ってくれるんじゃないかな? そうだといいなぁと思いました。
本人とこういう一つ一つを確認をしていき、「そういう風に感じたんだね」「教えてくれたから分かるよ!」というやりとりに繋がっていくのってすごく理想的! そして、それをいつかは自分で「こういう気持ちになったからこうしたよ」「こういう時に自分は嬉しいんだよ」というような話ができたり、相談できたりもするようになってくれたらいいな、なんて思いました。
武蔵先生からは「焦らなくていいんですよ」「簡単にポンポンと段階を超えていくものじゃない。積み上げていくものなんです」と穏やかに後押ししてもらえたのもとても心強い思いでした。
武蔵先生のお話を聞きながら私がしみじみ感じたのは、良いも悪いも『自分の今の状況を知ってもらいたい』『気持ちを分かってもらいたい』という段階にあるからこそ、自己肯定感を高める支援が実施できるのかな? ということでした。
自分自身もそうですが、安心や自信がない状態では、人から見られている・観察されている・評価されているという状況は負担でしかありません。「見ないでほしい」「ほっといてほしい」という段階にある時には、どんな褒め言葉も慰めも応援も届かないように思います。もしそんな状態にあったとしたら、安心や自信を育てていくためには、まずは「視覚的に」「具体的に」「肯定的に」わが子を見つめ、支援を丁寧に積み重ねた上にこそ、今回の自己肯定感のお話が積みあがるのかもしれません。
先生の書かれた書籍の中に今回のお話で紹介された具体的な事例の細かい内容もたくさん紹介されていてこちらも大変参考になりました。
講演会が終わった後、「そもそも親である私自身の自己肯定感って高いだろうか?」「私は私でいいと思えているだろうか?」「仕事人としてはどうだろうか?」など、改めて色々なことを考えるきっかけとなりました。
ASDのわが子にも、家族にも、職場の仲間たちにも、そして自分自身にも、「よく頑張っているよね、私たち!」「今のこれを積み重ねていけば、『自分は自分でいい』と思えるようになるんだから、きっと大丈夫さ!」と優しい気持ちになるきっかけをたくさんいただいた講演会でした。
「私って頑張ってる!」と思いながら、楽しみながら子育てを頑張っていきたいと思います。
武蔵先生、元気になる講演会をどうもありがとうございました!
(療育スタッフ:M)
参加された方からのアンケートの一部です。
○ 大変勉強になりました。自己肯定感を高めるという言葉はよく使うのですが、それを高めていくためのプロセスが整理できて、ストンと腑に落ちました。
これまでの実践の中でうまくいかなかったのは先を急ぎすぎて手順を踏んでいなかったことも原因の一つだったのだなとわかりました。ありがとうございました。
○ 丁寧なお話と、先生の優しい口調でとても分かりやすかったです。自分の子どもは、今、どの段階なのか考えながらお話を聴いていました。私からのアドバイスに対して反発したり暴言を吐いてくる子どもにイライラしていましたが、まだ、受け入れ態勢ができていない。というお話が出てきて、まさにこれだ!と思いました。私が先走ってしまい、段階を踏んでいなかったんだと反省させられました。生活していく中で見直していこうと思います。ありがとうございました。
○ 本日は貴重なお話をありがとうございました。私は6月に特別支援学校へ教育実習に行きます。
2週間という短い期間ではありますが、その中で自分が子どもとどう関わりたいのか考えていました。そんな時、大学で今回の講演のチラシを見つけました。2週間でできることは限られますが、今回聞いたお話の内容を、どこかで活かせないか考えながら取り組もうと思います。
また、発達障害児でなくても、自己肯定感が低い子どもは多いと思います。将来、私は小学校の先生になろうと思っています。子どもの自己肯定感をあげられるような関わりができる先生になりたいと強く感じました。
○ 自己肯定感について、しっかりお話していただいて、大事なことを考える機会になりました。障害あるなしに関わらず、小さな頃から良かったことや嬉しかったことプラスの感情に気づいて貯めていくことは、自己肯定感を育てていくのに大切なことだと思いました。
日記法は消えないし、思い返して共有できるので、いい方法だなと思いました。
令和5年度 支援者対象 現場の先生のための即実践講座
令和5年度の即実践講座が講師に社会福祉法人横浜やまびこの里 相談支援部部長の志賀利一先生をお迎えして始まりました。
第1回では、先生ご自身の自己紹介や、これまでの自閉症の歴史やその変遷をていねいにお話しいただき、これからの1年間の講座が楽しみになりました。背筋がピンとなったような感じでした。
2回目は早速、「自閉スペクトラム症の “無理解” の事例」ということですので、これまであまり触れられなかったようなお話しがお聴きできるのでは・・・とワクワクしています。
1年間よろしくお願いします。
『 第2回 現場の先生のための即実践講座 』
日 時:令和5年6月13日(火) 19:00〜21:00
場 所:WEB開催(Zoom)
テーマ:「自閉スペクトラム症の無理解の事例」
「乳幼児期の発達と自閉スペクトラム症の特徴と二次障害」
講 師:志賀 利一 先生(社会福祉法人 横浜やまびこの里 相談支援部 部長)
対 象:自閉症・発達障害に関わる支援者(保護者対象ではありません)
主 催:NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会
参加費:一般 23,000円、賛助会員 20,000円 全10回分
申込・問合せ:Tel.086-955-6758、Fax.086-955-6748
http://sodaterukai.org/policy1.html
第1回の講座の参加者の方からの感想です。
○ 自閉症支援の歴史は、なかなか聞くことができないので、とても勉強になりました。多くの方々の力があり、現在があることに感謝しました。また、すごい勢いで、様々なことが変化していること数字を示していただくことでより理解できました。
ありがとうございました。スキーのエピソード良かったです(笑)
○ 今回の講座では現在に至るまでの歴史を丁寧に説明していただきました。初めて知ることも多くありとても興味深く聞かせて頂きました。のこりの9回の講座も楽しみにしています。
講座を受ける事で自閉スペクトラム症の理解を深め、日々携わっている自閉スペクトラム症の方々をより一層理解できるようになりたいなとも思います。
○ 『自閉症』が、社会的にどのような位置づけて認知されていたか、歴史的な背景を振り返る機会を改めて与えていただき、有難く思いました。そして、これからも社会や文化に合わせて、その捉え方は変わっていくのだろうと感じました。
私が自閉症支援を始めた頃には、アスペルガー、広汎性発達障害、軽度発達障害などの多様な診断名がついた子どもたちがいて、アスペルガーと軽度発達障害がどう違うのか? 自閉症と広汎性発達障害がどう違うのか? などと必死に勉強していました。
でも今日学んでいく中で、整理がついたことは『自閉症』について様々なことが分かりだした過渡期であったこと、またそれらを受け入れていく社会的スティグマを考慮した策の一つであったことが、あのように複雑な状況を生んでいたのかということでした。
今は(当時より少しは)ASDが何かというより、ASDであるこの子がどうかといった目線で支援に当たることができるようになったのではないかと感じています。次回の講義も楽しみにしております。どうぞ一年間よろしくお願いいたします。
令和5年度 支援者向け 発達障害支援 夜間連続講座 in 赤磐
香川大学教育学部教授の坂井聡先生プロデュースによる、赤磐市との共催による「令和5年度 発達障害支援 夜間連続講座 in 赤磐」が始まりました。
今年度は、主に教育現場における合理的配慮という視点から、普通学級、支援学級、支援学校、そして高校、大学など、それぞれの現場で指導、支援に当たられている先生方からの問題提起や支援方法を話していただきます。
第1回は、5月18日(木)に、坂井先生に「合理的配慮はなぜ必要なのか?」というテーマで、参加者のみなさんとのベクトル合わせを行なっていただきした。 これから、1年間一緒に学んでいきたいと思います。
次の第2回目は通常の学級での合理的配慮についてです。
途中参加の方には、第1回の講座の視聴もご案内できます。まだ間に合いますので、多くのみなさんの参加をお待ちしています。
『 第2回 発達障害支援夜間連続講座 in 赤磐』
日 時:令和5年6月15日(木) 19:00〜21:00
場 所:WEB開催(Zoom)
テーマ:「通常の学級におけるICT活用と合理的配慮」
講 師:鈴木 秀樹 先生・佐藤 牧子 先生(東京学芸大学附属小金井小学校)総 括:坂井 聡 先生(香川大学教育学部 教授)
対 象:自閉症・発達障害に関わる支援者 (保護者対象ではありません)
主 催:赤磐市、NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会
参加費:赤磐市在住・在勤者 無料、一般 13,000円、賛助会員10,000円(全10回分)
別途 資料代 各7000円(10回分)
申込・問合せ:Tel.086-955-6758、Fax.086-955-6748
http://sodaterukai.org/policy1.html
それでは、第1回の坂井先生の講義に参加された方からの感想の一部です。
○ 学校に合理的配慮を求めた時に、「この子だけ特別扱いは出来ません」と言われたことがあります。「えーなんでよ」と思ったけれど、きちんと先生に説明が出来ませんでした。合理的配慮をされないことが、差別に当たりますよとお伝えできるようになりました。私自身が一歩前進出来ました。
○ 本日は、このような素敵な講義を開催いただきありがとうございました。
「障がいがある子を変えようとするのではなく、障がいがある子の周りにいる人たちが、理解するためにどうするか」ということを考えていく必要があると学びました。この言葉が、本日の講義で一番心に残っています。
一人一人のお子さんを理解すればするほど、合理的配慮が浮かんでくることを忘れず、お子さんに夢や希望を与えられるよう過ごしていきたいと感じました。次回からも、楽しみにしております。本日は、ありがとうございました。
○ 生まれてきてよかったと思える社会に、生まれてきた誰もがそう思える社会になればいいと、私も心からそう思います。やる気や愛情だけではできない、「技術が必要」という言葉、ずしっと響きました。だからこそ支援の原則があり、それを常に頭に置いて療育に携わらないといけないと改めて思いました。
障害の害は、周囲の環境であるという言葉に、本当にそうだなと思います。
『無気力は学習の成果』、わが子のエピソードで、先生の口頭指示が聞こえなくて「もう一回言って」と言ったら怒られたというエピソードを思い出しました。そらそんなことされたら、今後聞き直すことはなくなるし、そもそも指示を聞く気もなくなるよね・・・生まれつき無気力な子どもはいない。無気力にさせているのは大人ですね。
令和5年度 育てる会総会 の 報告
令和5年5月24日(水)に、みなさんのご協力のおかげで、委任状も定足数に達し、育てる会総会を開催することができました。
議案もすべて参加した方々の満場一致で、提案通りに可決いたしました。
ありがとうございました。
正会員のみなさまには、当日の総会資料を同封しておりますのでご確認ください。
今年度もよろしくお願いいたします。
令和5年度 代表理事 鳥羽 美智代(重任)
副代表理事 松田 紗代 (新任)
ぐんぐんタッチ・ぐんぐんアシスト 開所式の報告
5月10日(水)、好天にも恵まれ、赤磐市上市の新事務所で「ぐんぐんタッチ」と「ぐんぐんアシスト」の開所式が行なわれました。
「ぐんぐんタッチ」は、PECSRを療育に取り入れて、自閉症児のコミュニケーションを伸ばしていくことを目的にしています
(詳しくは、後のページの「ぐんぐんだより」を参考にしてください)。
「ぐんぐんアシスト」は今回のセミナーの講師をお願いした武藏博文先生による、保育園や学校現場における支援を行なっていく事業所です。
開所式では、鳥羽代表の挨拶、友實武則赤磐市長、小倉博県議会議員のご祝辞のあと、ぐんぐんタッチの児発管河野先生と武藏先生による、具体的な指導法などの説明も行なわれました。
大勢の赤磐市議会議員の方もご参列いただきましたので、これからの自閉症の療育や理解に対するご協力もいただけるのでは・・・と期待を持たせていただきました。
いい天気だったので、庭に出て、みんなで写真撮影。
赤磐市内の事業所や保育園の先生、正会員の方も参加いただき、賑やかな開所式となりました。
みなさまありがとうございました。
その後の事業所の内見や療育内容の説明にも、保護者や事業所の方たちだけでなく、議員のみなさまも多く残って聞いていだだけました。
当日の山陽新聞の記事です。
はやぶさの会 報告
先日5月14日(日)に、5家族6人の子どもたちで、イオン岡山の映画館に「スーパーマリオ」の映画を見に行きました。
当日は朝一番の上映時間ということで、映画館が空く前からスタンバイ。
待ちが苦手なわが子たちは、映画館の隣の放送局のスタジオで流れているアニメに釘付けでした。ありがたいシステムでした!
「俺らだけで大丈夫」「小さい子たちも世話できるし」「母さんたちおらん方がリラックスして楽しめる」と言う中学生たち。
ほんまか? 大丈夫か? 小さい子たち以上にあなたが心配なんですけどー! と心配いっぱいの母心。
座る座席間違えても気づかないかも。 ポップコーンやジュースこぼすかも。トイレに行く時に通路から遠い方から出ようとして皆に迷惑かけるかも・・・
などなどあれこれヤキモキしていましたが、入場の合図でさっさと入っていってしまうわが子たち。
そもそもどの部屋か、見てないままにGOしていきましたけどー!!?
慌てて入り口の係の人に伺うと、「お見送りカード」なるものを渡してくださり、見届けさせてくださいました(映画が始まるまでは付き添えますよ、のカード)。
追いかけると皆きょとんとした顔でちゃんと席に座っています。
ホッとするのと同時に、前回のラウンドワンでも思いましたが、本当に皆少しずつ大きくなっているなぁと感動。
(ちなみに、参加された家族の中に、他のきょうだいも「観たい」という方がいたため、実は離れた場所にお父さんがきょうだい児に付き添って入場してくださっていて、それも感謝で安心でした)
映画が終わった後は、フードコートでご飯を食べながら子どもたちはあれこれトーク。
お母さんたちも、中学の部活の話やクラスの話や休みの日の過ごし方など、色々盛り上がってあっという間の時間でした。
環境が変わる春。でも変わらずここに「はやぶさメンバー」がいてくれる安心感は、子どもたちにとっても私たち親にとっても、すごく貴重だなぁとしみじみ思いました。
参加されたご家族からの感想(一部)です。
★ 今日ははやぶさの会お世話になり、ありがとうございました。我が子も楽しかったと話していました。
恥ずかしがり屋でなかなか初めての人とは話しづらかったのに中学生のお兄ちゃん達が優しく、本人が楽しそうに話していて嬉しくびっくりしました。
次回のはやぶさの会も楽しみにしています。ありがとうございました。
★「みんなと映画を見れたの、楽しかった?!」と言ってました。
久しぶりに会えたのも、嬉しかったようです。また宜しくお願いします♪
★我が家は「映画を見に行くなら、母さんとじゃなくて友達とじゃろ」「そのうち『ご飯とかも母さんついてこなくてもいいよ』ってなるで」と言われてしまいました(笑)。
こんな風に色々経験できて自信がついてきたのも、はやぶさの会のおかげです。ありがとうございます。
次はどこに行こうかなと本人たちが楽しみにしてくれているのが嬉しいです。今後もよろしくお願いします。
引き続きメンバー募集中!!です。
小学生以上のASD診断のある男の子・友達がほしいなと思っている子が対象です。
(兄弟で参加したいという場合、その兄弟にASD診断が出ている場合のみ参加可能です)。
ぜひ事務局(086-955-6758)までお問合せください♪(正会員限定)
そしてそして、はやぶさの会とは別に「女の子の会」も久々に開催しようかなと検討中。
お楽しみにです!
(担当:松田)
サッカー&ドッジ スポーツクラブ の お知らせ
今年度、第1回のサッカー&ドッジボール スポーツクラブを、岡山大学児童文化部のみなさんの協力をいただき開催します。
日 時:令和5年6月17日(土) 10:00〜12:00 (9:45〜受付)
場 所:岡山大学 体育館
参加費:体験 1回 300円(年会費 全6回分 1500円)(正会員限定)
詳しくは正会員の方に同封のチラシをご覧ください。
キッズルーム の 報告とお知らせ
前年度分として2月に行う予定でしたキッズルームを、4月30日(日)に開催しました。
(コロナの影響で、12月のクリスマス会が2月のバレンタイン会に変更となったため、2月のキッズルームが4月に延期となりました)
13名のお子さんと、18名のボランティアさんが参加してくれました。
毎回参加してくれているお子さんが、次第にその場に慣れ、輪の中に入れることが多くなったり、リトミックを踊れるようになったり、次の活動に素早く移動することができたりと、どんどんいろんなことに参加できるようになるのを見て、嬉しく思いました。
毎回足を運んで来られているお母さんお父さんが素晴らしいなーと感じています。
そして、毎回楽しみにしてくれるようになってるとお聞きして、また次も学生さんと一緒に楽しいキッズルームを続けていこう!と、思っています。
(事務局:K)
次回の開催は、7月9日(日)を予定しています。(正会員の方は別紙チラシ参照)(正会員限定)
お楽しみに!
AAO活動 活動報告と参加者募集のお知らせ
〜AAO活動とは〜
親が企画した内容に沿って、子ども1人とボランティアさん2人とで活動します。
一年間、同じボランティアさんと活動します。
親が企画するので、わが子に合わせた無理のない活動ができます。親や親戚ではない人との関わりや、公共の場でのマナーなどを学ぶ良い機会にもなります。親にとっても、わが子の新たな一面を知ることができ、勉強になります。
令和4年度活動報告
参加人数 7名
活動回数 1〜4回
活動内容 映画、電車に乗る、お買い物、公園で遊ぶ、カラオケ、温泉、スポッチャなど
感想・要望
保護者
・家族以外の人と関わる良い体験が出来た。
・優しいボランティアさんで、年齢も近い方との活動は子どもにも、親にも良い経験になった。
・慣れた頃におしまいなのがさみしい。
・ある程度の企画案や、選択肢があるとありがたい。
・毎回企画を作って活動するのが大変だった。 など
ボランティアさん
・とても楽しく良い体験となった。
・保護者の方がていねいに対応してくださり安心して活動できた。
・もっと活動したかった。
・自らその子の気持ちを分ろうと努力する、寄り添っていく姿勢が大切だと学ぶことが出来た。 など
令和4年度はたくさんの方が参加してくださいました。ありがとうございました。
アクシデントなどもあったと思いますが、それぞれに楽しい体験が出来ていたようです。
今年度もAAO活動を続けていきたいと思っております。
活動に参加してくださるご家族、ボランティアさんを募集します。
◆令和5年度 参加家族の募集について
対 象: 小学2年生以上、(兄弟児の参加はできません)
活 動 日: 7月〜3月の間で、年2〜3回を予定しています。
(参加家族数が決まってからボランティアのお願いに回りますので、活動開始時期が遅くなる場合もあります。
ご了承ください。)
活動時間: 10時〜12時くらいまで
※活動日・時間は、活動内容や都合により各家庭で決めます
活 動 例:ボウリング・映画・公園で遊ぶ・電車,バスなどを利用して買い物をする 等
活 動 費:● ボランティアさんのボランティア保険代を最初に集めます。
● 活動にかかるお金や、ボランティアさんが活動場所に来られるまでの往復交通費などは親が負担します。
活動内容により、金額は各家庭で異なります。
◆参加申し込み期限:6月15日(木)(正会員限定)
◆AAO活動説明会について
お申し込み下さったご家族には、個別で活動についての説明を行う予定にしています。
まずは、育てる会事務局( 086-955-6758)までお申し込みください。
みなさまの参加をお待ちしております。
★ボランティアさんの募集について★
一年間を通して一緒に活動してくださるボランティアさんも同時に募集しています。
活動に興味を持ってくださった方は、事務局へご連絡ください。よろしくお願い致します。
(担当:M)
水泳教室のお知らせ
日 時:令和5年6月18日(日)15:30〜17:30
場 所:OSKスポーツクラブ(岡山市北区絵図町1−50)
連絡先:育てる会事務局(086-955-6758)
★新たに参加されたい方、体験されたい方は事務局までお問い合わせください。
体験してみたい方は、2回までOKです(1回 1000円)。(正会員限定)
プールは正会員限定で、育てる会の貸し切りで使っていますので、安心してお越しください。
★欠席される方は6月15日(木)までに事務局に連絡してください。
(担当:I & S)
お母さんコラム
中1でASDの診断のある特別支援学級(自閉症・情緒学級)に通う息子と、小1でASDの診断のある通常学級+通級指導教室(自閉症・情緒)に通う娘を持つ母が、普段の我が子との日々をつれづれに書いているコーナーです。
どうぞ気軽な気持ちで読んでください。
まずは兄(中1)の最近の様子。
先日一泊研修がありました。四年生の時に同じ場所で「山の学校」があったのですが、その時はあいにくの大雨。
今年こそは!と気合を入れて臨んだ子どもたちでしたが、なんと朝から土砂ぶり!(警報が出るかどうかのギリギリのラインでした)朝から「うがー!」と怒っているのやら絶望しているのやら・・・という様子でした。
一泊だけなのに大荷物です。何がこんなに入っているの!?と確認していくと
「『シャツ1枚』ってなっていたけど、汗をかくかもしれないからもう1枚入れている」「『タオル2〜3枚』ってなっていたけど、雨も降っているから、5枚入れている」などなど、こまごまとしたものが増えていきます。
「そんなにいらないでしょう」と言うと「家と違って、足りない時に困るでしょう」とのこと。
また「ナップサックまたはリュックサック」に体育館シューズとしおりと筆箱とお茶、と言われると旅行用か!?というぐらいのサイズのリュックサックを準備しています。
「大は小を兼ねる」とは便利な言葉ですね(笑)
そのくせ「雨天に備えての『折り畳み傘』で、今の土砂降りを乗り越えられるか」「普通の傘を持参していいものか」で悩んでいる。おもろ。
「これぐらいの大きさで」「この箱に入るぐらいで」というような例や実物があればいいのでしょうが、それがないとイメージで何とかしていくしかないってなかなか大変です。
可愛いなぁとも思うのは親バカなのでしょうかね。
妹(小1)の最近の様子。
4月から毎日「いいことノート」を親の私が描いています。
本人にとって嬉しいことが貯金のように貯まっていくのが嬉しいようで、毎日見返してはニヤニヤしている娘。頑張りが「見える化」されていること・コレクションとして増えていくことで、楽しみになっているようです。毎日描くのはなかなか大変ですが、続けられる限りは頑張ってみようかなと思います。
そんな娘との毎日は「いかに具体的に伝えるか」がカギを握っています。
先日、私が皿洗いをしている最中に、娘が「ママちょっとこっち来て!(できたパズルを見せたかった様子)」と言ってきたので、「これ洗って終わったら行くわ」と言うと、それを見に来ていた娘。手に持ったお皿を洗い終わって、次のお皿に手を伸ばした瞬間に「え!?まだなの!?」「終わったら行くって言ったじゃん!」と怒られました。
「これ洗って終わったら」
娘の理解=「今手に持っているお皿だけを洗って終わったら」
私の言いたかったこと=「ここにあるお皿や食器を全部洗って鍋とかも片付けて、洗い物が全部終わったら」というズレ。
そこで「この流しにあるお皿や食器やらを全部洗って終わったら行くからね」「大体15分ぐらいかな」「洗い終わったら声かけるから、それまでテレビ見ながら待っていてね」など伝えてみたところ納得して待ってくれました。具体的って大事!
そんな毎日なので、先日職場でちょうど洗い物をしている時に「ちょっといいですか?」と尋ねられた時にも「ごめんね、このお皿とタッパーとお箸洗ってごみ捨ててからでいい?」と癖でかなり具体的に伝えてしまい、「『ちょっと待ってね。これが終わったらね』ぐらいで分かりますよ」 と言われてしまいました。
トホホー(笑)
(cyacya)
ちゃーちゃん日記 (あるASDの女の子のお話)
ASDの子ども二人を育てる母親であり、AS当事者でもある私のこれまでの日々や現在の様子を紹介するコラムです。脈絡ない話や時系列が昔だったり今だったりで、分かりづらいかもしれません。思い出したままをお伝えしていくので、整理されていませんが、お気軽な気持ちで読んでいただき、良ければ「おもろいな!」「不思議!」と皆様の身近にいるASDの人たちの感じ方や暮らし方を知ることに少しでも繋がればと思っています。
新年度の変化の弱さについては先月の会報に紹介しましたが、今回は「疲れてくると実行機能が落ちる」です。
この4月から任される仕事の範囲が広がりました。
それ自体はこれまでの実績や成果への信頼と期待値の表れということでとても嬉しいのですが、今までの仕事の流れでは体験していなかったようなことが増えてきていて対応に苦慮することが多くなっています。
私は周りから言わせると「段取り魔」らしく(『期待や想像していたこととの違いに耐えがたい』というAS特性が影響しているからだと思うのですが)、自分のスケジュールや活動を細かく準備して計画して実施していくタイプです。
今までであれば、「この仕事はこれぐらいの時期からこういう段取りですれば余裕で間に合うな」と思ってテキパキやっていたところから、従来の仕事に加えて新しい仕事が増えたことで「この新しい仕事にどれぐらい時間や労力がかかるのか・優先順位をどこに置けば良いか・いつもの仕事はどの時間に割り振るか」などをその都度考えながら自分で考える必要があります。
また、今までの仕事場だけでなく、それぞれの場所でそこで働く人たちとの連絡調整もしながら、その人たちとやりとりをする必要も出てきました。
そうすると、簡単に「キャパ越え」になってしまう私。
疲れてくることによって、いつもできていたようなことも余裕を見失う始末です。
「うわぁ!このままじゃダメだ!」となった時、私がいつもやるのは「TO DOリスト」の作成です。
忘れないようにメモを作って消していくことは元々習慣としてやっているのですが、こういうピンチの時に私がするのは、「やれている感を感じるための『TO DOリスト』」です。
普段の「TO DOリスト」だと「〇日までに講演会レジメ作成」「〇日までに勉強会アンケートまとめ」などやるべきことを締め切りと共に書いていき、それを消していく形にするのですが、こういうピンチの時に「やれている感を感じるためのTO DOリスト」になると「職場の玄関のカギを開ける」「タイムカードを打つ」「メールやLINEの確認をする」「窓を開けて換気をする」「朝の挨拶をする」「利用者さんのファイルを鍵ロッカーから出す」・・・などのいつもやっていること全部を書きだしていきます。
そして、それを一つ一つ「これはした」「これもできた」「これを今からやろう」と丁寧に確認していきます。
これをすることで「ちょっとした『できた』を積み重ね」られます。そうすることで、「やれているやれている」「えらいえらい」「すごいすごい」と自分を褒めてあげられます。
人から褒められたり認めてもらえたりも嬉しいですが、「自分の機嫌は自分で取る(byみやぞん)」というか、誰かに認められなくても、自分のことを自分で認められて自信を復活させていけるんです。
この「TO DOリスト」のもう一つの利点は、消したりチェックをつけたりしていくことで、目に見えて仕事が消費・消化されていくことが分かることです。
たくさんの仕事があると感じる時は、私の中で脳のキャパがない状態でプチパニック状態というか「あれもこれもしなきゃなのに!!」と焦るばかりで生産性が上がりません。
でも、こうして確認していくことで、「確実にやれている」と感じて冷静になることができます。
家庭であれば「子どもを保育園に迎えに行く」「先生から様子を聞く」「帰りの挨拶をする」「洗い物を流しに出す」「ハンカチを取り出す」「残ったお茶を捨てる」「郵便ポストの中身を確認する」「パントリーに缶詰を片付ける」みたいな感じです。一つ一つは小さいこと。でもこんなにやることがいっぱいなのによく頑張っているよなー、と思うんです。
大体3日ほどこの「TO DOリスト」を書きだすと、脳が落ち着きを取り戻して、良いパフォーマンスができる状態にまで持っていくことができます。暗示のようなものかもしれませんが、AS特性のある私なりの工夫でした。
皆さんは忙しくて焦りがちな時、どんな方法で解決していますか?
(ちゃーちゃん)
ぐんぐん だより |
ぐんぐんぴっぴ (就学前)
徐々に暖かいから暑い、と感じる日が増えてきました。
ぴっぴのお庭の草たちもお日様と雨のパワーで成長スピードがぐんぐんと速くなってきているように思います。容赦なく抜いていますが・・・(^_^;)
今回は療育の中でお子さんの「スポットライト」を探る楽しさに気づいたエピソードをご紹介したいと思います。
ぐんぐん&ぐんぐんぴっぴでは「ミニスタッフ勉強会」が毎日、15分程度行われていますが、その中で「子どものスポットライトの中に入る、子どもの注意を捉える」という単元がありました。子どもがより多くのことを学ぶ機会を得るために、大人は子どもが他者に注意を高める工夫をしなければいけない・・・とのことです。
この学びをした時に、舞台鑑賞が趣味の私は「スポットライト」という単語を使った例えがとてもイメージしやすく、分かりやすく感じました。舞台での照明が果たす役割というのは本当に興味深いと思っていたからです。
通常、俳優が動いたり、セリフを言うと自然、そちらに観客の注目が向き、そこにスポットライトが当たることで、舞台上に複数の俳優がいても観客は「やっぱり、今注目すべきなのはこの人物なんだな」と無意識に判断しています。が、時々、「観客が予想していない所に注目させるためのスポットライト」もあります。
先日観た舞台では「主役3人が難関小学校の入試を終え、ひとまずお疲れ様の乾杯をしている」という場面で、急に壁に貼られた写真にスポットライトがあたりました。そして、その絵に観客が注目したとたんその家族写真が落ちて「落ちた・・・入試に・・・落ちる?」というちょっとしたギャグシーンを兼ねた暗示シーンとなりました。
照明は、決して「ここを見て!」「こういう感情を感じて!」等を声高に訴えることはないけれど、タイミング、強さ、色、場所・・・その他様々な要素でさりげなく、無理なく観客を誘導しているように思います(舞台専門家ではないのであくまでも私見です)。
療育でのエピソードです。
Aちゃんは机上課題に高いモチベーションを持って取り組んでいました。療育のねらいには、スタッフとの相互的な遊びを通してスタッフに注意を向けることも含まれています。色々な玩具や、手遊び歌を試してみますが、そこにはあまり興味なさそうに机上課題エリアへ向かおうとするAちゃん。Aちゃんのスポットライトは、スタッフではなく机上の課題にあたり続けているようでした。
そこで、Aちゃんが机上課題の特にどこが気に入っているのか、Aちゃんの好む刺激は何か?をご家族にお聞きしたり、今までの記録を見返して考えてみました。
Aちゃんは「ボールを入れたら落ちる」「パズルをはめる」等「自分が何かをしたら、何かが起こる、そしてその起こることは一定」という予測性や信頼性に惹かれているようでした。また、ご家族からは「なんとゆうか・・・リアクションが派手な芸人さんのギャグが好きみたい」との情報をいただきました。
そこで、「Aちゃんがスタッフにタンバリンを渡すと、スタッフが歌って躍る」という活動をしてみました。Aちゃんが笑いながらスタッフを見ています。よし! Aちゃんのスポットライトが私に当たっているぞ!
しばらくは、Aちゃんのスポットライトがあたり続けるように、歌も踊りも変えずに一定のテンポや声量でやってみました。何度もタンバリンを渡して、繰り返し要求をしてくれています。
そろそろ・・・と歌のテンポを途中からゆっくりにして、「タメ」を作り、Aちゃんの反応をうかがうと「ウフフフ・・・」と笑いながら、スタッフにスポットライトをあて続けてくれています。テンポをもとに戻すと「アハハー!」と大笑い。途中でAちゃんの予測と違うであろうことをしても、Aちゃんのスポットライトがスタッフにあたり続けることで、「次はどうなるのかな?」とワクワクしながら他者に注意を向けることができました。
まだまだ、最初の1歩ですが、大きな1歩だなあ、と嬉しく感じました。
Aちゃんとの関わりを通して、スタッフが「ここ!スタッフにスポットライトをあてて!!」と訴えかけるより、子どもが自然にスポットライトをあてているところを見つけ、働きかけることで子どものスポットライトが他者にあたるようになることを実感することができました。
子どものスポットライトがどこにあたっているのか(どんなことに関心や注意を向けているか)を知るためには、しっかりとした観察が欠かせません。1時間のみの療育では把握しきれないことが沢山あると思いますので、同室のご家族に「今、その子のスポットライトがよくあたっていること」を教えていただきながら探っていきたいと思います。
(ぐんぐんぴっぴスタッフ:O)
赤磐ぐんぐん (就学前)
赤磐ぐんぐんの窓から見える山々にも新緑が目立ち、吹き抜ける風も心地よい季節となりました。
4月当初は、新しい場所・新しいメンバー・新しい先生といった環境の変化にちょっぴり緊張気味だったお子さんたちの表情も和らぎ、笑い声や笑顔が増えてきました。
私自身も、4月から人事異動により2年ぶりの赤磐ぐんぐんでの勤務となり、約2か月が経ちました。
少しずつ赤磐ぐんぐんでの療育やリズムに慣れてきたかなといったところです。
4月からの約1か月間、様々な研修の一環として、直接支援ではなく、客観的に様々な場面を見学させて頂きました。
スタッフとご家族が勉強場面の振り返りをしている場面・本人への関わり方を相談されてご家族と一緒に本人にとって有効な手立てを考える場面・ご家族が療育時間中に松田先生の保護者座談会に参加されている場面といった、様々な場面を客観的に見せて頂きました。
赤磐ぐんぐんは「家族同室型」療育ですので、療育の様子を見ながらご家族からコメントをいただいたり、相談でお子さんの気持ちを想像したりご家族の考えを語ったりする場面もたくさんあります。
お話しておられる様子を見学させていただいていて驚くのは、お子さんの良さや強みをたくさんご存知なこと・「本人が今これをしたのは、あれが見えたからだと思う」「前に経験したことをよく覚えているからだと思う」などお子さんの思考の流れや視線の動きを追っておられること・「〇〇なところは苦手だからこそ、△△するとうまくいきやすい」などの手立てや工夫や配慮を把握しておられること・そして、それらをご家族自身の言葉で、スタッフや他のご家族に説明できることです。
私自身はというと、学級懇談会などでわが子のことを人に伝えようと思っても、その場で思いついたことを話すので、言葉が足りずに伝わりにくかったり、自分の主観だけで話すので、聞いている人がイメージしにくかったりするよな…と話した後でちょっと反省…となることが多いです。
どうしてご家族がお子さんたちのことをこんなに分かりやすくお話できるのかなと考えてみると、お子さんの行動をよく観察し、その行動に対して「どうしてそうしたのか?」「何を見ていたのか?」「直前に何があったのか?」「本人なりの思いとしては何が言いたかったのか?」など、行動の背景を療育の中でスタッフと考え、それに対して有効な関わりでどのようなものがあるかを一緒に検討し、実際にやってみる…という試行錯誤を常にやっておられるからこそ、手応えと共に語ることができているのではないかと感じました。
そして、このような実践が積み重なっていくことで、今後お子さんが関わっていく中で新しい環境や新しい人(たとえば就学や放課後等デイサービス・おじいちゃんおばあちゃん・近所の人など)にも説明していき、理解者を広げていくことにも繋がっていけるんだろうと思います。ご家族が自分の言葉で話すということはとても大切だなと感じました。
以前赤磐ぐんぐんで勤務していた時も、異動先の法人内の別の事業所でも、ご家族がお子さんのことを説明してくださることは多くありました。どの方も深い愛情とお子さんのためにと考えて色々行動される姿が素敵だなと思っていました。
また、先生と勉強の中で、お子さんが適切な行動ができていた時に、ご家族が後ろからそっと「〇くん、今の良かったよ!上手!」とその場ですぐにフィードバックしておられる姿がありました。そのお母さんに「なぜその場ですぐに後ろから声をかけたんですか?」とお聞きすると、「時間が経ってから本人に『さっきの〇〇良かったよ!』と褒めても、本人はもう忘れてしまっているから、『何のこと?』となるんです。だから、覚えているうちにすぐに褒めるようにしていて、そうすると、本人の何が良かったのか?なぜ褒められたのかが本人がピンときやすいと思うんです」と答えてくださいました。
今までお母さんとスタッフたちで確認してきた支援や関わりのコツが、その都度実際の場面で確認してこられ、実践されていることが伝わってきました。また、それを続けておられ、その中でご家族が手応えを感じておられるからこそ、実践に繋がっているんだなと感じました。
もう一つの勉強の機会として、この研修期間中、ASDの支援について動画や勉強会などを通じて学ばせて頂く機会がありました。
その中で「なぜASDのお子さんにとって視覚的な情報提示が良いのか?」ということについて学びました。
先日の松田先生主催の療育スタッフ勉強会でも、アメリカの動物学者のテンプル・グランディン(ASD当事者の方)の本「自閉症の才能開発」という本からの引用として 『絵で考えるのが私のやり方である。言葉は私にとって第二言語のようなもので、私は話し言葉や文字を、音声つきのカラー映画に翻訳して、ビデオを見るように、その内容を頭の中で追っていく』というお話が紹介されました。
原著のタイトルは「Thinking in Pictures」まさに「絵で考える」なんですね。
「写真やイラスト・文字などの視覚的な情報は、自分のペースで情報処理できる」「説明されているどの部分に注目すればよいかが書いて示されていると本人にピンときやすい」ということも教えていただきました。動画の中では、ASDの成人期の方の日常の様子も紹介してあり、その方の幼少期・学童期からの取り組みを経て、現在の様子についてみていく中で、視覚的な物を用いて自立して自信を持って毎日を過ごしておられること、そして「分かる」「できる」環境があるからこそ、対人やりとりの力を培い、適切な学び・適切な経験を幼少期に多く積むことで、学童期・成人期のコミュニケーションの基礎になるのだと実感しました。
また、同時に人と一緒に〇〇したい・コミュニケーションを取りたいといった動機の部分につながるのだということも実感しました。
5月になり、実際に自分も療育現場で支援を開始していく中で、動画の内容と目の前のお子さんの姿と今までのその子の療育の記録を読み進めていくと、「なぜこの個別支援計画が立ったのか」「なぜこの子にこの視覚支援が必要になったのか」「この取組みが園・家庭での対人やりとりの場面でこの子にとってどのようにつながり、どのような結果につながっていくのか」などの理由や根拠が少しずつ見えてきたように思います。
自分の中で整理をしたり、考えを模索したり、他のスタッフの先生方に質問したりする中で、お子さんたちが普段生活する家庭・園などでの具体的な日常場面を想定しながら取り組みを進めていること、スモールステップで取り組み、一人一人のお子さんの“できた”という成功経験を大切に保護者の方と共に進めていっていることが伝わってきました。
研修期間にご家族やスタッフの先生方から学んだこと・動画で学んだ内容を生かし、ご家族と一緒に目の前のお子さんの様子を確認しながら、ASDの視点とお子さん一人一人の気持ちや考えを大切に「こういう理由だったのかもしれませんね」「この方法は本人にとって分かりやすいかもしれませんね」「普段のこういう場面でも使っていけるかもしれませんね」という発見を、理由も併せて整理しながらご家族やお子さん本人と共有していきたいと思います。
赤磐ぐんぐんでの時間がお子さん一人一人の成長とご家族にとってのたくさんの喜びに繋がっていけたらと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
(赤磐ぐんぐんスタッフ:T)
ぐんぐんキッズ (小1〜)
新緑の美しい季節となりました。ぐんぐんキッズは小学1年生から3年生までのお子さんが通ってこられる放課後等デイサービスの事業所です。
ぐんぐんキッズでは、先生と勉強する時間、グループで活動する時間、ひとりで勉強する時間などがあります。今回は、グループ活動について紹介しましょう。
今月のグループ活動は、「プレジャーブックを作ろう」というものでした。
プレジャーブックとはスクラップブックと同じようなものですが、ぐんぐんキッズのプレジャーブックでは、絵を描いてもいいし、自分の好きなイラストや、写真、キャラクターのシール、お友達からもらった手紙、自分で折った折り紙を貼る子もいます。 とにかく自分の好きなものを描いたり貼ったりすればいいのです。
落ち込んだりイライラしたとき、このプレジャーブックを見て、元気になれたらと思っています。これを見ることで、楽しい気持ちになったり、モチベーションが上がったり、そんなその子にとっての大好きな幸せな気分になれるお助けノートになればいいなと思っての取り組みです。
昨年までもこの活動はやっていましたが、お子さんの好きなキャラクターを聞いて、イラストなどはこちらで準備していました。
けれど、本当に好きなものは、私たちでは分からないことが多く、お子さんたちの興味もドンドン変化していきます。
そこで今年からはご家族に協力をお願いして、お子さんの好きなものを親子で話し合って、持ってきてもらうというような形にしました。親子で考えてもらい、子どもの好きなことをお母さんも知って、その準備をする・・・そのことによって親子のコミュニケーションも生まれると考えました。
また、他の人が持ってきたものが、自分とは違う自分の興味関心とは違うのだ、ということにも気づけたらいいなと思っています。
自閉症の特性として、「他者の視点に立つことの難しさ」「人への興味関心の乏しさ」などあります。
自分と人は違うんだという感覚は、自閉症の人たちには、特に小さい頃は育ちにくいもののようです。そういう意味でも同じものが好きな人、自分とは違うものが好きな人、こんなものがあるのかという発見。お母さんと一緒に決めたイラストなどは親子と友達との関係にも大きく影響を持つのでは、と考えての活動です。
私が担当しているAちゃんは、抽象的な意味理解が難しいお子さんですが、視覚的に学ぶことで理解を助けることが出来ます。そこで、キッズタイムの前の時間、私との1対1での勉強の場面で、事前に、彼女が分かるやり方で、視覚的に具体的に何をやればいいのかを教えることにしました。
@ 自分の持ってきたイラストを見せるときには、お友達に見えるように持とう。(人に見せるという行為が分かりにくいので)
A お友達が発表しているときは、お友達が持ってきたイラストを見よう(今何をするべきかを教えておく)
B お友達の発表が終わったら、拍手をする(タイミング、 取るべき態度を教えておく)
以上3点をイラストつきで説明しました。
いざ本番です。このグループの子どもたちは3人です。
Aちゃんは、一番目に発表しました。自分の好きな「すみっこぐらし」のキャラクターのシールを他のメンバーに見えるように持って、「私の好きなキャラクターは、すみっこぐらしです」と台詞もばっちり。また他の人の発表も見せられているイラストに注目することが出来ました。そしてお友達の発表が終わる度に拍手をすることも出来ていました。
いつもは、人の発表時にもお話をしてしまったりしていたAちゃんが、しっかり私との約束を守って、適切に人の話を聴き、自分の発表もきっちりとできていた様子に、嬉しくて、思わず私も拍手をしていました。
これまで、適切に振る舞えなかったのは、その時何をしていいのか、タイミングややり方を教えられていなかったからではないかと思いました。
事前に私との勉強の場面で、何をどうするといいのかを具体的に伝え、実際にモデルを見せて練習をしたことで、自信を持って、グループ活動に参加できたように思いました。
これからも、一人ひとりの特性に配慮して、お子さんの「わかった、できた」の経験に繋げていけるように取り組んでいきたい。
そして、キッズで出来るようになったことを、ここだけでなく、ご家庭や学校での生活にも広げていけたらと願っています。
(ぐんぐんキッズスタッフ:N)
ぐんぐんタッチ(児童発達支援・放課後等デイサービス)
2023年4月3日に、岡山県自閉症児を育てる会が運営する新事業所、『ぐんぐんタッチ』が開所しました。
ぐんぐんタッチは、就学前のお子さんを対象にしている児童発達支援事業と、学齢期のお子さんを対象にしている放課後等デイサービスの、多機能型事業所になります。ぐんぐんタッチも、赤磐ぐんぐん、ぐんぐんぴっぴと同じく、保護者の方同室の療育を行う事業所です。
ぐんぐんタッチは、コミュニケーション支援に重点を置いて療育を行っています。
“自発的な表出コミュニケーションスキル(自分から、相手に伝えるスキル)と理解コミュニケーションスキル(相手から伝えられたことを正しくキャッチするスキル)、どちらか一方だけを伸ばすのではなく、表出と理解、両方のコミュニケーションスキルをしっかりと身につけていくことで、本人の生活が安定し、家族の方など、本人と関わる人とより豊かな生活が営んでいけるように、本人を中心に置き、家族の方と協働して療育を行っていく事業所です。
ぐんぐんタッチでは、コミュニケーションの支援の方法として、PECSを取り入れています。PECSは“英語で、Picture Exchange Communication System、日本語で言うと、絵カードコミュニケーションシステムですが、英語の頭文字をとって、P・E・C・S PECSと呼ぶ、コミュニケーションを教える方法です。
1985年に、アメリカのデラウェア州で開発されたプログラムになるのですが、コミュニケーションを学びやすい順序で教えていく方法で、世界でも効果検証がされていて、コミュニケーションを教えるための、エビデンスのある有効な方法とされています。
(PECSについて詳しく知りたい方は、ピラミッド教育コンサルタントオブジャパンのホームページをご覧ください。各種オンラインのワークショップも多数開催されています)
PECSは、要求のコミュニケーションを学びやすい順序で教えていくために、フェイズ1から6までの6段階に分けた教え方があります。
その6段階を進めていくだけではなく、表出のコミュニーションとして、“援助を求める”方法を教えたり、肯定と拒否を教える、休憩を要求するスキルを教えることも各段階の途中から教えることになっています。
また、理解コミュニケーションとして、欲しいものがすぐにもらえなくても待つことができる、今は駄目だよ、と伝えられてそれを理解する、相手からの指示に応じるなどのスキルを教えていくことなども入ってきます。
ぐんぐんタッチでは、表出と理解のコミュニケーションをしっかり伸ばしていくために、お子さんの今のコミュニケーションスキルを確認しながら、目標にするスキルを決めて、保護者の方と一緒に考えながら進めていきたいと思っています。
PECSを支援に取り入れていくためには、スタッフのスキルも必要です。私も今までに、レベル1、レベル2、9つの重要なコミュニケーションスキルなど、ピラミッド教育コンサルタントオブジャパンの研修を受けてきましたが、ぐんぐんタッチ開所前に、スタッフ全員がPECSレベル1のワークショップを受講することもできました。
現在は、スタッフ同士で、コミュニケーションパートナーやプロンプターの役割を交代して練習を行ったり、4月から始まった、門眞一郎先生のPECSマニュアル通読会にもスタッフと参加しています。(門先生の通読会の最後のコメント「お仕事頑張ってください。」に励まされています!)
4月3日に療育がスタートし、はじめてお子さんを迎える日は、“来ることを嫌がらないかな” “楽しく過ごしてくれるかな?”と不安な気持ちもありましたが、はじめてぐんぐんタッチに来てくれた子どもたちはどのお子さんもとても楽しく過ごしてくれていて、とても安心しました^^
年中のお子さんや、小学生のお子さんは、赤磐ぐんぐんや、ぐんぐんぴっぴでPECS使ったコミュニケーションの練習をしていたお子さんもいたので、早速、自分のPECSブックを使ってコミュニケーション!
場所が変わっても、伝える相手が変わっても、自分が伝えたいことを、伝えることができていました^^
4月から新しく通ってきている3歳のお子さんは、PECSのフェイズ1から早速取り組みを開始しました。フェイズ1からフェイズ2へと進んでいます。
自分が伝えたいことを相手に伝えることができることで、何よりもお子さん自身の生活が豊かになり、そして、何が言いたいのかがわかることで、ご家族の方など、本人と関わる人たちにとっても、本人とよりよい関係を作っていくことにつながっていくと思います。PECSの最優先の目標は機能的コミュニケーションを教えることです。コミュニケーションを教えていくためには“できることを増やしていくこと”も大事になってきます。何ができるようになることを目指すのか、その目標の選び方については、本人の今のめばえスキルから目標を選んでいき、そして、本人の強みを活かした教え方を考えていきたいと思っています。
今後はこちらの会報で、療育の中での子どもたちやご家族の方とのエピソードや、“こんな取り組みをしてみました!”と、活動内容の紹介などを行っていけたらと思っています!
まだまだ始まったばかりの事業所です。スタッフ一同、しっかり学びを深めていきながら頑張っていきたいと思っています。ぐんぐんタッチをどうぞよろしくお願いいたします。
(ぐんぐんタッチ児童発達支援管理責任者:河野)
寄付のお礼とお願い
今月はグループホームへの寄付に加えて、大勢のみなさまから「ぐんぐんタッチ」や「ぐんぐんアシスト」開所へのお祝い、寄付もいただきました。大切に使わさせていただきます。
ご支援、ありがとうございました。
【育てる会へご寄付をいただいた皆様】(R5.4.26-R5.5.25)
〇 武藏 博文 様(赤磐市)
○ おひさま母の会 様(赤磐市)
○ U.T 様(岡山市)
○ I 様(赤磐市)
○ (有)創和 様(赤磐市)
○ すずらんクリニック 様(岡山市)
○ ことのはフレンズ 様(赤磐市)
○ 岡山こども協会 様(赤磐市)
○ 山陽いろは保育園 様(赤磐市)
○ 清風いろは保育園 様(赤磐市)
これからもよろしくお願いいたします。
寄付金 受付口座 中国銀行 赤磐支店 普通預金 1321755
岡山県自閉症児を育てる会 代表者 鳥羽 美智代
以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
なお会報は正会員・賛助会員の方へは郵送でお届けしています。
もしご希望の方がおられましたら、ぜひ賛助会員に申し込みをお願いします。年会費 3000円です。
応援よろしくお願いします。
申込み方法の詳細は「育てる会 HP」に記載しています。