Japanese version only
令和 6年10月31日
第318号
NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会
318号 目次
次のグループホーム建設に向けて
即実践講座、夜間連続講座、支援ツール勉強会 の 報告とお知らせ
やまのぼりの会、キッズルーム、クリスマス会、座談会、OHAの会 の 報告とお知らせ
はやぶさの会、、クローバーの会、水泳教室、スポーツクラブ、木工教室 の 報告とお知らせ
お母さんコラム
ちゃーちゃん日記
私のお薦め本コーナー
「自閉症の僕が家を建てた理由」
ぐんぐんだより
「ぐんぐんタッチ」
寄付のお礼とお願い
稲刈りを終えた田んぼと、まだ黄色い稲穂が揺れている田んぼは、空から見たらパッチワークのように見えるのではないでしょうか?
今年は台風も来なくて、岡山は豊作のようですが、どうでしょう。全国的にはお米の値段が高くなっているようで、新米が待ち遠しいのですが、値段が気になる私です。いつもお世話になっている農家さんからお値段の提示が来るのが怖いです。何しろグループホームの入居者の食費に直結するお米代です。
電気代に食費にと、経費が様々に上がっている為、ドキドキします。
朝晩が少し涼しくなってきましたが、涼しくなったと思って、長袖にカーデガンなんて着ていたら、昼には真夏日の30度近くまでなって、とても長袖なんか着ていられなくなり、急いで半袖に着替えたりします。いったい何を着たらいいのか迷ってしまう今年の10月です。
暦の上では、秋。なのに、まだ衣替えが出来ないでいる我が家です。
さて、11月がやってきます。
11月23日(土)〜24日(日)には、川崎医療福祉大学にて、「自閉症ネオカンファレンス2024」という2日間にわたるTEACCHの学びの集まりがあります。
2002年から20年間に渡り、早稲田大学で開催されていた「自閉症カンファレンス日本」の元実行委員の方々を中心に、その中でも若手の支援者の方たちが結集して、新たに立ち上げたカンファレンスです。以前、チラシを送らせていただいていると思います。
この度、岡山の親の会として育てる会がこの会に協力させていただくことになりました。そして24日のパネルディスカッションに、志賀利一先生と坂井聡先生と共になんと、私鳥羽が登壇することになりました。光栄で今から足が震えております。
もしご都合つくようなら、いらしていただければと思います。岡山県自閉症児を育てる会がどのように出来て、どのような経緯をたどり今に至るのか、そして、親の会の果たす役割について私なりにお話し出来たらと思っています。
さて話は変わります。
SO(スペシャルオリンピックス)陸上の地区大会が10月26日(土)に神崎山陸上競技場でありました。この大会に哲平は参加して、5000メートルを走りました。
写真を撮り忘れましたが、とてもかっこよかったんです。
哲平は、走っているときは自閉症という障害から解き放たれたように、伸び伸びと素敵に走ります。
毎日毎日雨さえ降らなければ、走り続けた小学6年からのトレーニングの日々。その成果が活かされて、今の走りが有ると思うと、なんともいいようのない愛おしさを感じます。
自閉症って、まじめで頑張り屋で一度決めたことはやり通す意志が強い人たちだと思います・・・って書いたら、そんなことはないよ、という人が結構いました。でも哲平はそういう人です。まじめで一生懸命努力します。
何でかというと、まじめに取り組めば素晴らしい強化子(きょうかし)があるからです。
彼はお手伝いをしてお金をもらいます。走って大会に出ると、お金がもらえます。毎日トレーニングをすればお金がもらえます。頑張ることには報酬が必要です。
我が家は小さい頃から将来の働く時を見据えてお金を払ってきました。
以前、育てる会でお呼びした篁一誠先生は、「自閉症とは意欲の障害」であるとおっしゃられていました。
大人になって、働く意欲を持ち続けるには、それにふさわしいご褒美、対価が必要ではないでしょうか(これは、私たちも同じですね)。
そして、そのご褒美を手に入れるためには、お金がいることが多く、要はお金を手に入れ、そして使うことが強化子になるわけです。
それが、確実に働く意欲にもなってきています。同じように走ることの意味にもなっているようです。
昔何でもお金で“釣る”ようなことは、やめた方がいいと言われた方もありました。それよりも、褒め言葉や家族からの感謝の方がいいと、おっしゃるのです。
でも、私はこれには賛同できませんでした。感謝の言葉だけでは意欲に繋がらないと思っていたので、せっかくの忠告でしたが、そのようにはいたしませんでした。
哲平はお金が大好きです。お金のためにお手伝いをし、お金のために走ります。
そして、お金のために働きます。就労して18年。頑張る意欲はお金が支えてくれています。
・・・もちろん、我が家でも料理や庭掃除など、哲平がお手伝いしてくれたら、「ありがとう」と言うのは忘れません。
でもそれと一緒に料理1食 50円、庭掃除 1時間 100円をもらうのが哲平のなによりの強化子になっています。
ちなみに、「哲ちゃん、ありがとう!」と言うと、「いいえ、どういたしまして」と答える哲平ですが、「ありがとう」だけでは何も答えてくれません。「哲ちゃん、ありがとう!」と言って、はじめて「いいえ、どういたしまして」が返ってきます。おもしろい子です。
まあ、そんなこんなで、彼の走りを見て感動した母でした。記録は、5000mを17分34秒だったそうです。素晴らしい!!
本当に走っているときと、お仕事しているときは、自閉症じゃないみたいな哲平です。かっこいいのです。「惚れてまうやろー」と何度も言ってしまう私です。
そんな哲平はグループホームに入っています。ホップ、ステップ、ジャンプの「すてっぷ 1」に入居して、2年半が経ちました。
そろそろ「じゃんぷ」の計画を考えるときが来ました。
「すてっぷ 1」に現在入居しているお母さんたちに集まってもらい、次の「じゃんぷ」への夢を語る会を20日の夜に行いました。
でも、みなさん具体的には、まだあまり考えていない様子でした。
そこで私は言いました。「私の夢は、安心して死ぬことです」
いつかは逝く時が来ます。その時のために、彼を安心して残していけるところを作るために、育てる会で次に作る「じゃんぷ」の形を考えたいと思っています。
70歳を過ぎると、間近に迫る死へ向かって生きているという感じがします。まだ私以外のお母さんたちは若いので、そこまでは考えられないかもしれないのですが、いつ来るか分からないその時へ向けて、出来るだけのことをしておきたいと私は考えています。
ついこの間までそんなことは考えていなかったのに、最近よくそのことを思います。
兄弟に哲平の面倒を頼むのは、難しいです。私もそれは望んでいません。
出来るだけの自立する力をつけるため、グループホームで過ごしていって欲しいと思います。
以前の会報では「じゃんぷ」には、民間アパートを、と言っていました。
「ほっぷ 1」入居からの8年半の支援を続けたおかげで、自立度は格段に上がりました。そしてコミュニケーションも上手に支援員さんが引き出してくださって、報告や援助もお願いできるようになってきました。
でも、一般の民間アパートでは、隣の入居者との関係や地域社会との付き合いで、たぶん無理なんじゃないか、と思える「すてっぷ」の住人たちです。騒音トラブルやゴミ出し当番、回覧板や地区集会・・・難しいことも多いですね。
そこで「じゃんぷ」はやっぱり自分たちで作るしかないかと、「じゃんぷ」用の土地を買いました。
その契約が先日ありました。将来に向井、「ジャンプ1」「ジャンプ2」と何棟も建てることが出来そうな土地を購入できました。
食事が作れなかった時や、もしもの時には、すぐに支援もできるようにと、現在の「ほっぷ」や「すてっぷ」の隣の土地です。将来の安心へのステップを一段上ることが出来たように思います。
(右側の整地した部分が、そのグループホーム用地です)
そして、少しずつ、少しずつ彼らも成長しています。
朝が起きられなかったO君は、今は一人で起きれるようになりました。
掃除が苦手だったM君の部屋もいつ行ってもきれいに片付いているのです。
コミュニケーションが苦手だったI君は、PECSを使うことで日々のコミュニケーションが出来るようになりました。
援助要求は出来ない、しないと思っていたもう一人のI君は、自分で対処できないことは、しっかりPECSで伝えてくれます。
みんな身辺自立や家事能力だけでなく、余暇もスタッフの努力でたくさん身につけています。そろそろ、「じゃんぷ」に向けて始動の時が来そうです。あと2年後くらいにと考えているのですが、どうでしょう?
がんばって、親が作るグループホームのモデルケースになればいいなと考えています。
先日、グループホームの見学に来た方が言われました。
「こんな丁寧に視覚支援したら、そりゃ〜出来るようになるわな〜」、「うちは、世話人さんがそこまでやってくれん」と言われていました。
確かに、うちのスタッフは、よく考える、そして、すぐやる、でもうまくいかなければ、すぐ改善する。PLAN・DO・SEEがばっちり出来ているので、優秀なんです。
ドンドン出来ることが増えて、落ち着いて暮しが安定していく、訓練ホームなんです。
もう2年すれば、「じゃんぷ」に移る人もいて、空きが出来ると思いますので、入りたい会員の人は今から早めに申込をしておいてください。申込順にご案内をさせていただきます。
話がずいぶん広がりましたね、グループホームの話をもう少し・・・。
T君は、前に行っていたお仕事をやめてから、少し運動不足になっていました。前の職場はとても体力を使うし、忙しい仕事でした。少し体調を崩し、次の職場に移るまで、ゆっくり休養をとったT君でした。走るのも速くてすらっとしていた彼が、少しぽっちゃりしてきました。
新たに、運動をして欲しくて、私は哲平がいつも走っているコースを走ることを提案しました。
「走ってもいい」と言ってくれたので、彼は走る、私は自転車で伴走をするという形で練習することにしました。
速い速い! 私が自転車で必死に追いかけても、おいていかれてしまって、伴走とは名ばかりの後ろを追いかけているという形です
が、彼の走りが少しずつ伸びていって、現在は、毎日3km以上を走るまでになりました。
走りながら、季節の移ろいを感じたり、空の夕焼けの美しさに感じ入ったりする時間になっていて、私にとってもいい時間になっています。秋の夕暮れは、雲が燃えるような赤い色に染まって素敵なんです。
普段は外に出ないで室内にばかりいる私にとって、T君のサポートは、こんなご褒美がもらえる時間にもなっています。
T君に「見てみて! 夕焼けがきれいだよ〜」というと、チラッと見てくれます・・・が、それがどうしたって反応です。
哲平とおんなじ反応に思わず笑ってしまいます。IQは、T君は正常域で、哲平は重度域ですが、同じ自閉症。かわいいです。
話は変わって・・・・10月の終わりに高校時代の友人と神戸の三ノ宮で集まることになりました。
忙しくて同窓会に全く行けなかった私でした。最近は、引っ越しをしたせいで案内がちっとも来ません。それで、古い住所録にあった友人の電話番号にかけてみました。すると奇跡的に通じたのです。彼女が知っている同級生に連絡をしてくれて、会うことになったのが5人です。
先月は短大の友人たちと会いました。今月は高校時代の友人との同窓会です。
なんだか、今会っておかないと次はないかもしれないという急ぐ思いがしてなりません。
楽しみで、そしてなんだかほろ苦く悲しい気持ちもしています。
連絡取れた人の中に、病気で来れそうもないという人もいました。保育園から一緒だった人でした。
さびしいな〜と思いつつ、元気になってほしいものと思います。
今回の会報に12月7日(土)の平木先生のセミナー案内を入れています。
「自閉スペクトラム症の人の性と生〜幸せな人生を保障するために〜」です。講師の平木真由美先生は、育てる会でお招きするのは5年ぶりになります。
長年障害児への正しい性の知識の普及に力を注がれ各地でセミナーの講師を務められるかたわら、養護教諭や医療福祉コーディネーターとして、自閉症や発達障害の特性を持つ生徒の相談や支援にあたられてこられました。
ASD児たちの、性の悩みや迷いについてアドバイスしていただくには、これ以上はないという先生だと思います。
障害を持たない子ども達にとっても、思春期の性の悩みは大きいと思いますが、まだ私たち自身の体験から相談にのってあげることもできるでしょう。でもASDを持つ子どもたちには、その特性をしっかり理解したうえでの支援が必要となってきます。
思春期の方には待ったなし、まだ小さいお子さんをお持ちの方にもぜひ聴いておいていただきたいセミナーです。
正会員の方なら500円、Zoomで家から視聴できますし、お子さんがいてリアルで聴きにくい方には後日配信もありますので、ぜひ申し込んでくださいね。
暑い暑いといいながら、それでも季節は少しずつ動いているのでしょう・・・先日いつも通る道にススキの穂が白くなっていました。このススキは外来種でとても立派な穂が出来る品種のようです。今年の穂は少し勢いがないのですが、それでも一生懸命穂をつけてくれています。そんな秋を感じる一瞬は空気がすっと涼しく感じられるのは不思議です。
稲刈りの終わった田んぼがアチコチに増えて、刈り取りが終わった田んぼに秋の始まりを感じます。
皆さん、コロナがまたはやり出したようです。インフルエンザやマイコプラズマ肺炎などトリプル感染した人もいるそうです。コロナが5類になって、マスクをつけない人が増えているようで気になります。
くれぐれもお大事になさってくださいね。では来月号でまたお会いしましょう。
(鳥羽 美千子)
令和6年度 現場の先生のための即実践講座
令和6年度の、今治のライフサポートここはうす所長の桑原綾子先生による「現場の先生のための即実践講座」です。
第5回は「他機関との連携について」というテーマで、自閉症支援にとどまらず、いかに他機関とコミュニケーションをとって、包括的支援につなげていくか、というお話しでした。
アサーティブコミュニケーションやDESC法など、耳慣れない言葉もありましたが、理解していくと、それこそ明日からの即実践に使っていけそうなスキルでしたね。
次回は、他機関に続いて「職場内のコミュニケーション」。うまくいっていると思われている方も、そうでない方も、ぜひ役立てていただきたい「即実践講座」です。お楽しみに。
『 第6回 現場の先生のための即実践講座 』
日 時:令和6年11月8日(金) 19:00〜21:00
場 所:オンライン開催(Zoom)
テーマ:「 職場内のコミュニケーションを考える @
〜チームで統一した支援をするために〜 支援計画から考える」
講 師:桑原 綾子 先生(NPO法人ライフサポートここはうす 所長)
主 催:NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会
参加費:一般 23000円、賛助会員 20000円(全10回分)
申込・問合せ:Tel.086‐955‐6758、Fax.086-955-6748
http://sodaterukai.org/policy1.html
第5回「他機関との連携について 〜連携って何、何のため、今一度考えて見ませんか?」に参加された皆さんからのアンケートの一部です。
○ とても勉強になりました。連携って大切であり、するべきことと思いつつも事業所間での情報交換になると上手くいかないこともあります。子どものニーズや課題に対して、各事業所でのできていること、これからどのような課題に対してアプローチするかちぐはぐしますね。今回の講義で準備期間、自分の力をつけることで連携の方法のあり方などよりよくしたいと思いました。
○ 連携については、いつもどうしたらよいのか考えますが、桑原先生のお話の中にあった具体的な手立て、工夫などを伺うと「あーそうだなあ」と納得させられるものがありました。相手の気持ちを考えながら話しているつもりでも、いつの間にか自分ペースで話してしまい、相手を黙らしてしまうこともありました。アサーティブコミュニケーションも初めて知りました。会議や面談等、自分の伝えたいことしか考えず、話し合いの場所で自分の伝えたいことを早く言おうとするために、相手に合わせる余裕をなくしていたのだと気づきました。「私たち一人ひとりには、今自分が抱えている状況を好転に変える力を持っている!」という言葉を励みに、アサーティブな考え方を実践していきたいと思います。
○ 自閉症の特性や関わり方についての講義ではない、コミュニケーション、連携についての話が聞くことが出来ました。
「人の目を恐れるのではなく、問題が未解決であることをおそれなさい」という桑原先生の言葉を聞くと、私は問題から目を背けているんだと気づくことができました。直接相手に伝えるわけではありませんが、他者非難・他者否定している自分がいるので、アサーティブコミュニケーション、DESC法を実践したいと感じました。
○ 今回は連携の話だったので、職場のことや他の機関との会議のことを思い出しながら聞くことができました。
様々な方と関わりを持つ中で、コミュニケーションスキルを磨いていかなければと思っていたので、どういう所に意識を向けたらいいのか、や相手の意見を聞くために気を付けたらいいことなど知ることができ、実践していきたいと思いました。
令和6年度 発達障害支援 夜間連続講座 IN 赤磐
赤磐市の共催をいただいて開催している「発達障害支援 夜間連続講座」です。
今年度はよこはま発達クリニック・相談室で、発達障害児・者の支援にあたられている佐々木康栄先生をお招きしての講座です。
第1回の「そもそも支援って何だろう?」から、共通して自分が行なっている支援について考えさせられる佐々木先生の夜間連続講座ですね。
第5回は視覚支援についてでした。今では視覚的に支援する、というのは自閉症支援の常識になってきましたが、ともすれば支援者自身がそれに慣れてしまって、当たり前のように同じ視覚支援のツールを示して、それでよしとしてしまっているのでは・・・・本当にそれが、目の前の○○くんにとっての、意味のある視覚支援になっているのか、突きつけられた講座でした。
次回は第6回、相談についてのお話です。今度も「支援に潜む誤解」、また反省させられることも多そうなタイトルですね
『 第6回 発達障害支援夜間連続講座in赤磐』
日 時:令和6年11月20日(水) 19:00〜21:00
場 所:オンライン開催(Zoom)
テーマ:「よりよい相談になるために支援に潜む誤解」
講 師:佐々木 康栄 先生(よこはま発達クリニック・相談室)
主 催:NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会、赤磐市
参加費:一般 20,000円、赤磐市在住・在勤者 7000円(全10回分・各資料代含む)
申込・問合せ:Tel.086‐955‐6758、Fax.086-955-6748
http://sodaterukai.org/policy1.htm
それでは、第5回「意味のある視覚支援と意味の薄い視覚支援」に参加された皆さんからのアンケートの一部です。
○ 視覚支援が大切なのは以前から言われていますが、自分の視覚的表示を振り返ってみた時に、はたして支援が必要な幼児にとって本当に必要な支援となっているのだろうかと考えます。先生のお話の中で、「見せるから見るのではない」とお聞きし、自分がしている表示は、自分自身の自己満足なだけであるのかもと思いました。支援しているようで、実は支援になっていないのかもしれない…。支援を必要とする幼児が理解できるような、そして他児にも役に立つような視覚支援にしていきたいと思いました。
また、説得しようと思うのでなく、相手が納得できるような支援を心掛けていきたいです。ついこちらの動きがスムーズにいくように管理したいと思いがちですが、コントロールしようとするのではなく、こちらの意図が伝わるよう、また、互いに思っていることをやり取りできるよう、分からないことの押し付けにならないようにしたいと学びました。
○ 「意味のある視覚的支援と意味の薄い視覚的支援」とても刺さりました。まさに今日、一人のお子さんに意味の薄い視覚的支援をしてしまったなあと反省させられる内容でした。帰りの準備をする時間に、感覚刺激を求め部屋を走り回ったり、寝転んだりしていたお子さんにトランジションカードを渡し、スケジュールを確認してもらおうと何度も試みましたが、気分が高揚していたお子さんは無関心。カードを渡すタイミングを計ることもなく、ただこちらの都合で早く帰る準備をして欲しいと焦っていたことを見透かされてしまっていたのだと思います。
「目で見てわかる」ことだけでなく、「本当にわかっているのか」を考えることに欠けていました。「見てほしいものを見やすいように」ということの中に「タイミング」ということも含まれていたのだと学びました。グッドタイミングな内容のお話を聞かせていただき、とても嬉しかったです。ありがとうございました。
○ 本人の視点に立って、本当に伝わっているかを確認すること、意味がある支援になっているかをよく考えることにもっと気を付けていこうと思います。
これまで療育事業所のスタッフや保護者にスケジュールの説明をするときに「いうことを聞かせるためではないですよ」と一生懸命お伝えしてきましたが、「フェアにやりとりをするため」という表現がいいですね。私もその言葉を使わせていただこうと思いました。
○ 支援のアイデアを教えていただくとともに、いつも、その取り組みは当事者の方の立場に立ってどのような意味、目的があるのか?こちらの意図を押し付けようとしているだけではないのか?その方にとってどう楽しみや便利さや豊かさ生きやすさにつながるのか?を問うことの必要性を繰り返し伝えていただいていることを感じます。
支援者としての人間性や豊かさを高めようとしているか?ほんとにその方たちの役に立ちたいと思っているのならちゃんと学び知識や技術も磨く努力を続けることを追求しているのか?と考えさせられる時間となっています。少しでも歩みを続けていきたいです。
支援ツール勉強会の報告 と 次回のご案内
武藏博文先生にお願いしている、令和6年度の支援ツール勉強会です。
10月3日(木)に、第3回目の支援ツール勉強会を開催いたしました。
今回は、「スケジュール・手順書を作ろうA」です。
参加者の方からの声がたくさん届きましたのでご紹介いたします。
● 皆さんと交流できて楽しかったです。
● 作ってやってみているものを、武蔵先生にみてもらい、より良くなるアドバイスをいただけてまたやる気もでました。あまり作れてなくても、必ずいいところを褒めてくださるので頑張って行って良かったなぁと思います。
● 勉強会に行くことで “やらなきゃと思っていること” を、ちゃんと考えて見ようかなあと思ったり、刺激になります。勉強会を通じて色々な方と出会えるのも財産だなあと感じています。
● 支援ツールの勉強を始めたばかりの5・6年前は、何をすればいいのかわからないまま、「とにかく何かやってみよう」と作ってみては我が子に合わず撃沈することが当たり前でした。それでも続けていると、なんとなく我が子に合いそうなアイデアが浮かんでくるものですね。これも、先生や皆さんにアドバイスをいただける勉強会のおかげだな。と思っています。「これがあれば僕は出来る!」と自信が持てるようなツールをこれからも作っていきたいです。
● 子どもは中学生&小学生と大きくなってしまいましたが、まずはチャレンジ日記を継続できたらいいなぁという初心者です。
● 皆さん家庭ごとに工夫がこらされていて、うちにも取り込みたいアイデアがたくさん発見されます。
次回は、第4回目の支援ツール勉強会は、11月7日(木)です。途中からの参加も歓迎です。
正会員無料ですので、是非興味がある方は事務局までお問い合わせください。
途中からの参加も歓迎です。正会員無料ですので、是非興味がある方は事務局までお問い合わせください。お待ちしています。
『令和6年度 第4回 支援ツール勉強会』
日 時:令和6年11月7日(木) 10:00〜12:00
場 所:事務局 大広間(赤磐市上市355-2)
テーマ:「ソーシャルストーリーをかこう @」
講 師:武藏 博文 先生(ぐんぐんアシスト相談員:前 香川大学教育学部 教授)
参加費:正会員 無料、 ぐんぐんグループ療育利用者・賛助会員 年間 3000円
おやじの会 山のぼり の お知らせ
ようやく涼しくなって、山登りには気持ちの良い季節になっていたので、おやじの会で秋の山登りを企画いたしました。
場所は、備前市の「夕立受山」、なにより名前にロマンを感じますね。
瀬戸内海に面しているので、天候さえ良ければ、秋の瀬戸内海やそれに浮かぶ島々が一望できる山です。
これまで育てる会で登った山々、昔の大山や毛無山から始まり、熊山、高倉山、龍ノ口山、操山・・・と、毎回、付き添いの大人の方のご要望により、次に登る山がだんだん低くなっているように思えるのですが・・・気のせいでしょうか (^-^;
というわけで、今回は更にぐっと楽に登れる山を用意しました。お気軽にご参加ください。
日 時:令和6年11月16日(土) 11:00〜13:00 頃
場 所:夕立受山(瀬戸内海国立公園:備前市穂浪)
持ち物:昼食(弁当)、飲み物、動きやすい服装・靴
申込先:育てる会 正会員LINE、Tel.086-955-6758 (正会員限定)
詳しいことは、同封のチラシをご覧ください。集合場所等は、参加者の方にお知らせします。
キッズルームの報告 と クリスマス会のお知らせ
10月26日(土)に岡山大学の体育館にてハロウィン キッズルームを開催しました!!
次回は「育てる会 クリスマス会」です。
日 時:令和6年12月21日(土)13:00〜15:00
場 所:岡山大学 体育館
詳しくは、同封のチラシをご覧ください (正会員限定)
座談会の報告と予告
10月 クッキング座談会
あきよさんのクレープ会
10月17日(木)に、クレープ座談会を開催しました。
小さいお子さんをお持ちのお母さんから、成人になられているお子さんのお母さんまで、8名のお母さんが参加してくれました。
就学前のお悩みを抱えたお母さんへ、先輩お母さんから、“先生との上手な関わり方”や“小学校でより良い支援をしていただく方法”を伝授していただいたり、小学校でのちょっとしたお悩みを抱えるお母さんへも、“先生への伝わる言い方”や“連絡帳の有効な使い方”などを、しっかりと伝授していただいたりしました。
個々にタイプの違う自閉症のお子さんですし、困っていることは個々に異なりますが、どこか共通するとこがあって、共通する方法があって、皆の悩み事に、皆で向き合っていく、育てる会正会員さんの とってもいいところだなーっていつも思います。
ツナマヨレタス・チョコバナナにアイスのせ
クレープにあきよさんの自家製ジンジャエール
追いバターやウインナーを持ってきてくれた方もおられて、みんなでおなかいっぱいまで思いのままに巻き巻きして、美味しくいただきました。
次回は、こんな座談会したいなー! なんて話もしながら
新規の方も、是非、足をお運びくださいね。
以下、参加者さんからの感想をいただきましたので、ご紹介します。
楽しい息抜きの時間になりました。
クレープを作るのも楽しくて、それだけでワイワイと話が弾みました。
美味しいクレープをいただきながら、それぞれの近況を聞いたり話したり、代表のおもしろ話で爆笑して楽しかったです。いつも頑張っている母同士、お互いに労りの言葉を交わしながらクレープをほおばりました。本当に美味しかったです。
いつも準備をありがとうございます。次はお餅の会ときいて今から楽しみです。
またみなさんで美味しいお餅をたべましょう〜 o(^o^)o
11月 テーマ別座談会
『家族間で意見が違った時の伝え方』
日時:11月21日(木)10:00−12:00
参加費:無料
12月 クッキング座談会
『みちこさんとあきよさんの おもちつき座談会』
日時:12月19日(木)10:00-12:00
参加費:500円
※ 場所はどちらも:NPO法人岡山県自閉症児を育てる会事務局 1階大広間(赤磐市上市355−2)
※ 座談会 詳細は、別紙チラシにてご確認ください。 (正会員限定)
OHAの会 の お知らせ
OHAの会は、知的障害を伴わないタイプの自閉スペクトラム症(ASD)のお子さんを育てる保護者のための会です。
次回は、今年度第3回目となりました。
11月17日(日)10:00-12:00 ZOOMにて
講師:利守愛子 先生(臨床心理士)
※ 後日配信はございません。 (正会員限定)
はやぶさの会 の お知らせ
はやぶさの会は、ASDを持つ男の子たちの会です。
次は12月か1月頃あたりで企画を考えています。
はやぶさの会は小学生以上のASD診断のある男の子・友達がほしいなと思っている子が対象の会です(兄弟で参加したいという場合、その兄弟にASD診断が出ている場合は参加可能です)。
ぜひ事務局(086-955-6758)までお問合せください♪ (正会員限定)
クローバーの会 の お知らせ
クローバーの会は、男の子たちの「はやぶさの会」と同じように、友だちが欲しいと思っているASDの女の子たちの会です。
ASDの診断のある女の子は男の子に比べて少ないので、貴重な場になるのではと思っています。
こちらもメンバー大募集中!!
小学生以上のASD診断のある女の子で、友達がほしいなと思っている子が対象です(姉妹で参加したいという場合、その姉妹もASD診断が出ている場合には参加可能)。
気になる方は、ぜひ事務局(086-955-6758)までお問合せください♪ (正会員限定)
水泳教室のお知らせ
日 時:令和6年11月17日(日)15:30〜17:00
場 所:OSKスポーツクラブ(岡山市北区絵図町1−50)
連絡先:育てる会事務局(086-955-6758) (正会員限定)
★新たに参加されたい方、体験されたい方は事務局までお問い合わせください。
体験してみたい方は、2回までOKです(1回 1000円)。
プールは正会員限定で、育てる会の貸し切りで使っていますので、安心してお越しください。
★欠席される方は11月14日(木)までに事務局に連絡してください。
(担当:I & S)
サッカー&ドッジボールスポーツクラブのお知らせ
今年度の第4回スポーツクラブのお知らせです。
日時:11月23日(土) 10:00〜12:00
場所:岡山大学体育館にて (正会員限定)
途中参加可能です(月割りあり)ので、興味がある方は、事務局までお問い合わせください。
木工教室 の お知らせ
令和6年度の木工教室は、11月9日(土)に開催予定です。
今年度分の募集は定員に達しました。
これから申し込もうと思われていた会員の方、申し訳ありませんが、また来年をお待ちください m(_ _)m
報告は来月号にて・・・
お母さんコラム
中2でASDの診断のある特別支援学級(自閉症・情緒学級)に通う息子と、小2でASDの診断のある通常学級+通級指導教室(自閉症・情緒)に通う娘を持つ母が、普段の我が子との日々をつれづれに書いているコーナーです。どうぞ気軽な気持ちで読んでください。
10月は息子も娘も誕生日なので、お祝い続きになります。
先にやってきた娘の誕生日。「お休みの日に、誕生日プレゼントを買いに行く時に、一日早いけどお祝いしよう(平日だとなかなかお祝いご飯にも行けないしということで)」ということになりました。
我が家の誕生日は「誕生日の人が食べたいリクエストの物を食べる」ことになっています。
年によって、自宅でパーティご飯にすることもあれば、寿司や焼き肉に行くこともあります。
さてさて、今年は何だろう?
「何食べたい?」と聞くと「銀だこ!」と即答の娘。
えええ、誕生日にタコ焼き?!確かにおいしいよ? でもさぁ、なんていうかさぁ、つい2週間前も食べてたじゃん?
てか、なんなら2か月に一度は食べてないかい? などなど言ってみましたが、「ママたちは、タコ焼きじゃなくていいよ? フードコートで好きなやつ注文しようよ。私はタコ焼きがいいの!」と。まぁ、本人が食べたいっていうならいいかってことで、フードコートでそれぞれに食べたいものを別のお店で注文し、乾杯して食べました。
すごく幸せそうに食べる娘を見ながら、ちょうど一年前も同じやりとりをして、その時には親が説得して別のレストランに行って、娘がすごく不本意そうだったことを思い出しました。
ブレない・・・。私も、少しずつ許容範囲が広がったのかしら。ある意味「娘は一度言い出したら聞かないし」と諦めただけかもしれませんが・・・。
これを書きながらふと考えたのですが「誕生日なんだから、いつもは食べないものを! ちょっと豪華なものを!」というのは、最初に示した「誕生日の人が食べたいリクエストの物を食べる」ルールと相反するんですよね。
そう考えたら娘の主張はすごく正しい。反省です。
そして、その少し後。今度は息子の誕生日。
これまた平日でした。テニスの練習日だったので「どうする?」と聞くと「その当日でも別の日でも、どっちでもいいよ」と答えた息子。娘に聞くと同じように「誕生日当日でもいいよ」と言うので、それならば、とその日のテニスは兄妹ともお休みしてご飯を食べに行こうと息子と相談していました。
ところが、その当日の朝、娘に予定を伝えると半泣き。
どうやら「練習の日にお祝いするとしても、テニスには行ける」と誤解していた様子です。
確かに、「誕生日当日にご飯食べに行くなら、テニスはお休みだよ」とは娘には伝えていませんでした!(息子は経験上、イメージが湧いていた様子)
息子を急遽説得するため、夫と相談して、
@持ち帰りで、息子の好きなお寿司とケーキを昼休みの間に注文
A帰りにお店に取りに行く
B帰宅して、寿司を食べる
Cテニス
D帰宅して、ケーキを食べる
という旨を息子に「ちょっと残念なお知らせ」「でも大丈夫なお知らせ」としてLINE。
学校から帰宅後に息子は自宅のスマホでLINEを確認し、「分かった。それで大丈夫だよ」と返事をくれて一安心でした。
ちなみに息子は「俺、今特別ほしいもの、ないんよなー」「ゲームも今やっているやつをもう少しちゃんとやりたいし、しいて言えばほしいやつはswitchのドラクエ3だからまだ出てないし」「必要なものは買ってもらえとるし」と言い、結局なんと漫画を10冊買うということに。誕生日なのにー!?それー!?となりかけましたが、それはそれ!
我が家らしい誕生日プレゼントになりました。
ここでも、「ほしいものを予算内であれば買ってやる」はずなのに私の価値観が!固定観念が!邪魔をしていました。
反省反省。笑
(cyacya)
ちゃーちゃん日記 (あるASDの女の子のお話)
ASDの子ども二人を育てる母親であり、AS当事者でもある私のこれまでの日々や現在の様子を紹介するコラムです。
脈絡ない話や時系列が昔だったり今だったりで、分かりづらいかもしれません。思い出したままをお伝えしていくので、整理されていませんが、お気軽な気持ちで読んでいただき、良ければ「おもろいな!」「不思議!」と皆様の身近にいるASDの人たちの感じ方や暮らし方を知ることに少しでも繋がればと思っています。
先日、娘の小学校の参観日に行ってきました。
普段から「学校支援ボランティア」に参加しているため、学校内には顔を見知ってくれている子どもたちが多くいます。
本当に、びっくりするぐらい顔を覚えられない私なので、「おー」ぐらいしか返せないのが申し訳ないのですが、声をかけてもらえること自体は嬉しく思っていました。
「あとで○組にも見に来てや!」と声をかけられたので、「行けるかどうか分からんわー。今日は娘の参観日だからねー」と返しつつ、「まぁ、ずっと娘のところにいなくてもいいだろう。他のクラスの子たちも、チラッと見には行けるかな?」と思っていました。
授業前の休み時間にクラスに着いたので、娘に「他の子のクラス、チラッと見に行ってもいい?」と聞くと「駄目だよ」「ママは、私のママなんだから、他の子のクラスに行かないで、ここでずっと見ていないと駄目」と言われてしまいました。
「ずっと見ていないお母さんたちもいるんじゃないの?」と聞くと「○ちゃんのお母さんは兄弟が他の学年にいるから。△くんのお父さんは仕事だから少ししかいられないって。□ちゃんのお母さんはここでしか会えないママ友さんとお話するから見てなくても仕方ないの。でもうちは小学生に他の兄弟いないし、お仕事は休んできているし、そういうお話したい相手は学校に別にいないでしょ」と。最後、辛辣すぎん!?(笑)
「学校支援ボランティアしている時とかも、本当は『他の子のクラスに行かないで』って思ってたの?」と尋ねると、「学校支援ボランティアの時は、『皆のためのボランティアさん』なんだから、他のクラスに行かないとお手伝いできないでしょう?」「私のクラスに来てくれる時も、私のママだけどそういう日は「ボランティアさんなんだから」って我慢しているし、それは別にいいの」「でも今日は?ボランティアさんじゃないんでしょう?今日は私のママとして来たんでしょう?じゃあ、他の子のクラス見に行かなくていいはずよ」と。
私は「学校」「教室」という「P=Place(場所)」で判断していましたが、娘は「立場」「役割」という「O=Occasion(場合や状況)」によって判断していたようです。
TPOに合わせて、求められる言動や取るべき行動は変わるということ、それには臨機応変に色々な条件によって複雑に変わっていくのだということを、改めて娘から学んだ気持ちになりました。そこが毎度毎度、私には難しい。
たとえば、自分の実家で「くつろいでね」「のんびりしてね」と言われたとします。
自分の親と自分しかいない・わが子がいる・夫もいる・お客さんがいるでは違いますし、届けるものがあって一瞬立ち寄った時・相談があって1時間滞在する時・お正月などで半日過ごす時などでも違います。私が急いでいる・相手に用事があるなどでも違います。
今がどの場面でどういうことまでが許されるのか、実家でさえもよく分からない。
外出なんかではより一層分かりません。だから、市内へ買い物行くだけで、ヘロヘロです。
「仕事とか大変でしょう?」と言われますが、これが不思議とそういう面ではちっとも疲れない。「TPO」がガチッと「お仕事モード」として決まっているからなんだろうなあ。
「定型の人たちは、こういうことを瞬間的に判断しているのがすごいな」と常々思うのですが、先日友人と話をしていた際、「いやいや、そこまで考えてない。皆なんとなくよ」「逆に、そこまで物事をきちんと理路整然と話せるのが、不思議だし、すごすぎるんだけど」「普段からそういうことを考えて生きているから、頭の回転が異様に速いんだし、多角的な物事の見方ができるんじゃないの?」「せっかくの良さなんだから、もっと自慢していい」と言われました。
考えなくていいことを考えすぎることを「うーん。特性だけどなかなかに大変なものよ」「定型の人ってすごいし、うらやましいわな」と感じることもあるのですが、そういう私の特性があるからこそ、色々な今の生活や仕事にもつながって役に立っているのであれば、むしろ良いんだろうなーなんて思ったりしています。何事も面白い。
(ちゃーちゃん)
ぐんぐん だより |
今月の「ぐんぐん便り」、担当は「ぐんぐんタッチ」です。
ぐんぐんタッチ (児童発達支援・放課後等デイサービス)
季節が移り変わり、やっと秋らしい風を感じられるようになってきましたね。
ぐんぐんタッチが開所して1年半たちました。そして、私のぐんぐんタッチでの療育のお仕事も同じく1年半になりました。
日々の療育の中で、言葉が無かったり、言葉はあるけど場面にあった言葉を使うことが苦手で、コミュニケーションに難しさがあるお子さんたちが、自分ができる方法を何かしら使って相手に伝えようとしていることは何だろう、何が伝えたくてこういう行動をしているんだろう、、、という視点で、子どもたちの行動を見るようにしています。
そして、言葉は無くても、行動で示したり、ちょっとした仕草や、手の力加減の違い、泣くのをやめる瞬間など、お子さんによって違いますが、そうした“ちょっとした行動の違い”が起こる瞬間が必ずあり、それに気が付くことが大事であることも毎日感じています。
今日は、タッチに来ている2人のお子さんのエピソードを紹介いたします。
言葉の出ていないAさんは、タッチに来たばかりの頃は、好きなアイテムは木べら1つしかなく、そして、抱っこで過ごすことが殆どでした。
色々な玩具を彼女に見せてみたり、触ってみてもらおうとしましたが、ちょっとは触るけど、積極的に手を伸ばすものは“木べら”だけ。
興味の幅が広がらない。しかし、抱っこをして欲しくて泣いたり、木べらが欲しいから手を伸ばすし、取られてしまうと泣いて嫌がるので、この2つへの要求の強さは十分に確認ができました。
“抱っこして”と“木べら”のこの2つの絵カードを準備して取り組みを始めました。
その要求が出ているものを絵カードで相手へ伝えられるよう、2人制プロンプトで繰り返し取り組んでいきました。
はじめは、絵カードを取ることをプロンプターがプロンプトしようとしても、その手がとても固く、コミュニケーションパートナーの先生へカードを渡すことが2人制でも難しい状態でした。
しかし、毎週繰り返し行い、家でも同じように取り組んでいただくことで、抱っこしてほしい時に、自分から絵カードへ手を伸ばすようになっていきました。絵カードを掴む力も弱いので、持ちやすいように、カードにペットボトルの蓋をつけて持ちやすいように工夫もしました。
自分から絵カードに手を伸ばし、コミュニケーションパートナーに渡せた瞬間、「すごいじゃーん!」「えらいねー」先生同士、お母さんも含め歓喜でした。
その後も、カードを自分から取り、2・3歩歩いて先生の手のひらへ渡したり(フェイズ2)、好きなアイテムの絵カードと興味のないものの絵カードの弁別(フェイズ3―A)もできるようになってきました。
彼女が興味を示しそうなことも、毎回全力で探していきます。
トゲボールには手を伸ばしたり、足で感覚を確かめる姿が見られたので、感覚刺激が好きかもしれない。だったら、水が流れているのを触るのは好きかも?? そうして探っていき、ペットボトルからスタッフが流す水に自分から手を伸ばして水に触れていたので、“水を流す”のカードを作りそれを手渡すことを教え、要求できたり、抱っこされているときに、“ぐるぐる回して”を要求できるようになってきました。
また、「音楽番組を見ていたら人気グループの曲の時は、前に行ってみている」と、お母さんから情報をゲットしたので、すかさずBTSの曲を流してみたり、試してみます。そうすると音楽がとまったら、スタッフの方に近づいてくるので、“音楽”のカードを使って、カードで要求して、BTSの音楽が再び流れると、体を揺らしたりする姿も見られるようになりました。
その日どんなこと、どんなものに彼女が興味を示すかわからないですが、どんな要求があったとしてもすぐにコミュニケーションの機会を作れるようにとスタッフみんなでカードの持ち運びの仕方についても試行錯誤しています。
今やっている方法は、腰にコミュニケーションブックのページを1枚、紐でくくりつけて、そこに絵カードを複数枚貼っています。
じっと一つの場所にとどまっていないので、いろんな場所でコミュニケーションの機会が生まれます。
その時に絵カードが無くて大慌てな状況がずいぶん解消されました!
これからも、彼女の興味関心を探っていきながら、コミュニケーションの機会を作っていけたらと思っています。
Bくんは、単語の言葉が少しずつ出てきている元気いっぱいな男の子です。
色んな事に興味があり、目に見えたものへ一目散。
タッチに通い始めて1年弱、PECSでのやり取りもとても上手になり、文カードで属性語なども交えながら「大きい●●ください」などと、要求することもできるようになってきました。
そんなBくんがスケジュールの移動中に、“ゆらゆらゴマ”で遊んでいる他の子の姿が目に入りました。即座にBくんはその“ゆらゆらゴマ”に飛び乗ってしまいました。
今は、「○○くんが使ってるよ」と、伝え手を引いて連れて行こうとすると、癇癪を起して泣きました。「やりたいね」と寄り添っても、泣いていました。
しかし、お勉強の時に使っているトークンボードへ“ゆらゆらゴマ”の絵カードを貼ると、瞬時に表情が変わり、泣くことをやめ、自分のスケジュールを見てお勉強の席へと座ることができたのです。
Bくんは、トークンボードを使って、赤丸がたまったらご褒美活動ができるという取り組みをやっていたので、そのトークンボードに“ゆらゆらゴマ”の絵カードが貼られたことで、きっと、『ゆらゆらゴマがしたいことが伝わった!』『後でできるんだ!』という気持ちの切り替えができたのかな、と思います。
PECSを使って表出のコミュニケーションに取り組むとともに、スケジュールやトークンシステムを使って、“今すぐには要求は叶わないけど、いつやりたいことができるのか”それを伝える理解コミュニケーションの支援も合わせて取り組んできたからこそ、Bくんに伝わった瞬間でした。
もっともっと思いを伝えることが出来るよう、そして、”理解のコミュニケーション“の取り組みも合わせて取り組んでいきたいと思うエピソードでした。
コミュニケーションのスキルを教えていくためには、お子さんの感じていることや思いの、ほんの少しのサインを、その瞬間を逃すことなく、キャッチしてあげることがとても大事なのかなと最近感じています。
大きくなって、自分の想い(欲しい物や、したいこと)が、相手に伝えられるようになるために、困ったことをコミュニケーションで解決できるために、今何ができるのか、今私たちが教えられることは何なのかを日々考えてお子さんやご家族の方とこれからも関わっていきたいと思っています。
(ぐんぐんタッチ:K)
寄付のお礼とお願い
みなさま方から温かいご支援をいただき、グループホーム「ほっぷ1」と「すてっぷ1」で、
みんな楽しそうに暮らしています。ご支援、本当にありがとうございます。
【育てる会・グループホームへご寄付をいただいた皆様】(R6.9.26〜R6.10.25)
○ U.T 様(岡山市)
これからもよろしくお願いいたします。
寄付金 振込口座
中国銀行 赤磐支店 普通預金 1321755
岡山県自閉症児を育てる会 代表者 鳥羽 美智代
以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
なお会報は正会員・賛助会員の方へは郵送でお届けしています。
もしご希望の方がおられましたら、ぜひ賛助会員に申し込みをお願いします。年会費 3000円です。
応援よろしくお願いします。
申込み方法の詳細は「育てる会 HP」に記載しています。