平成10年8月22日
第 4 号
岡山県自閉症児を育てる会
目次
夏休みに
水あそびの会 報告
Cooking 報告
一泊旅行の抽選終わる
世話人変更のお知らせ
第2回座談会「先輩のお母さんを囲んで」ご案内
第2回勉強会「個別教育計画(IEP)について」ご案内
近隣の講演会のご案内
編集後記
暑い夏休みをいかがお暮らしでしょうか?
学校が休みに入ると、何をして時間を過ごせば良いか・・・障害児をかかえた家庭にとっては頭の痛い毎日です。
けれど、休み中だからこそできる事もあるのではないでしょうか?
たとえば、偏食の子、過食ぎみの子には、徹底した食事指導のチャンスです。一日中いっしょにいられる今こそがんばり時です。
また、食事づくりやそうじのお手伝いなど、課題を決めて取り組ませるのはどうでしょう。
自閉症児は、教えなければ、指導しなければ、技能や態度は決して身につかない、という因果な障害を持っています。
「そのうち身につくだろう」「少し落ち着いてきたら指導を始めればよい」などと指導をおろそかにしていると大変な事になります。(上岡一世「こうすれば伸びる自閉症児の指導法」より)
一日一日の積み重ねが大切です。長い夏休みをただ漫然と暮らすのではなく、みのりあるものにしたいものです。
さて、育てる会では楽しい行事がいろいろと続いております。
まずはそれらの報告からスタートです。前号は少し固かったワ、という意見もあったので今回はみなさんのご意見を中心に、まとめてみました。でき映えはいかがでしょうか?
水あそびの会 報告
去る7月5日、瀬戸町のアクロポートで、第1回の水あそびの会が行われました。
当日は12家族の親子と(お父さんたちも大勢参加して下さいました)ボランティアさん3名の参加で、貸切りのプールの中、水の苦手な子も水の大好きな子も、それぞれに水とあそんでいました。
アクロポートからも3人のインストラクターがついてくださり、子どもたちに興味をもたせるようにとても上手に指導してくださり、楽しい時間をすごすことができました。
そのうえ、障害をもつ子のためになるなら、とアクロポートの社長さんのご好意でプールの貸切り使用料を無料にしていただき、本当に感激でした。
「参加費を集められた分は、会の今後の運営にでも役だてて下さい」と、支配人さんも言ってくださりましたが、せっかくのご好意、やはりみんなで感謝の思いを分かち合おうと、会費はそのまま参加者にお返ししました。
こんなにも、私たちの活動にたいして、理解をもって応援してくださる方がいらっしゃいます。
また、プールの中では、インストラクターの方やボランティアの方の協力もあって、とってもなごやかな水泳教室となりました。
まわりのみなさん、全てに感謝して報告とさせていただきます。
それでは、「水あそびの会」のアンケートのなかから、いくつかご紹介させていただきます。
水あそびの会 担当:S.I
○ 楽しかったです。子どもといっしょに、久しぶりに楽しく水あそびをしました。
泳げるようになる事も必要だと思うし、大事なのですが、たまにはいやだ〜〜と思う事なく水と遊びたいと思っていたので、よかったです。 H.Y
○ 現在、障害児の水泳教室に週1回通っています。そこでは、とにかく自由な感じで、自己コントロールの苦手なうちの子供にとっては、先生の言葉など耳に入らず、勝手な行動ばかりが目立って、毎回何か物足りない感じでした。
しかし、今回の水あそびの会では、ちゃんとしたプログラムにそって、先生が基本的な事を教えて下さったり、みんな一緒に練習するという事で大変充実した時間が過ごせたと思います。 また定期的にこういう会を企画していただければと思っています。 匿名希望
○ 子どもの物事に対する、また場所に対する見通しの悪さをひしひしと感じました。
私が入れなかったのでボランティアの方に子どもの事をお願いしたのですが、親以外の人の言う事を、まだまだ聞けない・・・これからの課題だと感じました。
インストラクターの方の指導がとても良かったので、ぜひ今後も続けて欲しいです。一般の水泳教室になかなか適応できない子ですので、ぜひお願いしたいです。 Y.U
○ よかった、楽しかったの一言です。他の子どもさんたちも我が子も本当にいい表情をしていました。
家族で参加させてもらいましたが、とてもいい一日になりました。指導してくださった先生方もいい人ばかりで、今後もどんどん活動にとり入れてほしいと思いました。 匿名希望
○ 初めての大きなプール。恐がるかとの心配をよそに、本人進んで着替え、コーチの話、体操もちゃんと並んで、まわりに合わせて一緒にシャワー。保育園での指導が良かったのかほとんどパニックなく、水に入って足バタバタ、ワニ歩き、そしてすべり台で頭まで水にもぐっても平気・・・
ここまできて母は決心しました。やっぱりスイミングスクールに入れようと・・。
思い込んだら、すぐ行動!! さっそく、昨日(9日)近くの町営プールのスクールを体験させました。兄の協力のもと(前後の着替えに少々不安)、70分間無事に14人の子ども達の中で、しっかり楽しんでいた様子。
保育園以外で、初めて集団生活(親元を離れて)を第三者の目で見る事ができました。親の心配をよそに、子どもには順応性が少しあるのかもしれない。 コーチと子どもの第1段階がピッタリときたラッキーにも恵まれて、楽しい夏をすごせそうな気がしています。
これも水あそびの会がなければ、ふんぎりがつかなかった事と思っています。
何ごともチャレンジを合言葉にがんばります。 I.M
Cooking 報告
去る、8月1日、「ゆめトピア 長船」のキッチンスタジオをお借りして、カレーライスとサラダ作りを行いました。
当日は18家族もの参加があり、4人のボランティアさんにもお手伝いいただきました。10人前後のグループに分かれて、楽しくにぎやかに夏休みの一日を過ごすことができました。
今回のクッキングの目標は、『できるだけ本人に作らせよう』ということでした。
その為に、事前に「今、子どもに何ができるか」「今回、何を担当させたいか」というアンケートをお願いしました。そしてその希望がなるべくかなえられるように、組み合わせを考えてグループ分けを行いました。
また、子どもが見通しを持って行動できるよう、TEACCHの技法も取り入れて、絵カードなども用意しました。
この「絵カード」については料理だけでなく、いろいろ応用がきかせられそう、と、とても好評でした。
当日、始まってみると、もうそれどころではなかったグループ、こちらでは親の予想に反して積極的に取り組めた子ども、などなど・・・ テンヤワンヤのうちに楽しく料理が出来上がっていきます。
予想以上に大勢の参加者でしたが、無事、時間以内にカレーとサラダができあがりました。みなさん、お味はいかがでしたか?
後片づけも、「来た時よりも美しく」と、各グループとも、とても丁寧にやっていただき、ゆめトピア長船の方からもほめていただきました。
本当にきれいな施設で、きもちよくすごせて感謝の一日でした。
食事のあと、アンケートをお願いしました。結果は以下の通りです。
最後になりましたが、みなさんのご協力に感謝して、Cooking の報告とさせていただきます。
世話人 Cooking 担当 Y.U
それでは、アンケートの集計結果(17名)から、
まずは、全体的な今回の Cooking の印象としては、楽しかったという意見が圧倒的(14名)でした。中には、大変だったという方も若干名いらっしゃいましたが、これも療育の一環と考えて、またがんばりましょう。
料理に取り組んでいる子どもの様子では、積極的に取り組んだ(7名)、介助付きで何とか(10名)、と分かれましたが、嫌がっていたという子どもさんがいなかったのには、ホッとしました。
また、次の質問、「家で料理をさせた事がありますか?」の答え、よく手伝ってくれる(5名)、時々(8名)、今回が初めて(4名)、とも関連しますが、やはり、積極的にとり組めた子どもさんは、普段から家でよくお手伝いしてくれているようです。 自閉症の子は初めての体験には慎重になりすぎるという所があります。日頃から家庭で、お手伝いの経験を(成功させながら)少しずつでも積ませていくことが、生活の幅を広げていく事につながっていく、ということを実感させられたアンケート結果でした。
今後、Cooking の企画があれば・・には、嬉しい事に全員が次回も参加希望でした。グループ分けの人数も今回ぐらい(16名)、ボランティアさんもいてくれて良かった(15名)という事なので、次回もできれば同じようなスタイルで行いたいとおもいます。
次回の料理の希望については、それこそ千差万別。多いものからあげてみると、
ヤキソバ(5名)、お菓子(4名)、サンドイッチ、ギョーザ、チャーハン、お好み焼き、と続き・・・以下、ハンバーグ、ホットドッグ、ホットケーキ・・・
・・・まだまだ、・・・うどん、たこ焼き、シチューにおでん・・etc.
ま、これにつきましては、世話人会で考えてまた提案させていただきたいと思っています。
乞、御期待、ということで以下、みなさんのご感想から。
○ 子ども(我が子)と他のお母さん達の関係が、おもしろい、というか、本当に大変なのだという問題点がよくわかりました。(母が相手だと結構いい子にしてるけど・・・。)
○ カレー作りを家で手伝ってもらっても皮むきぐらいです。一緒に作っていて楽しそうな顔をしていたので嬉しかったです。家でもカレー作りの時、色々手伝ってもらおうという勇気がわいてきました。また参加したいです。ありがとうございました。
○ お腹がすいて、途中で機嫌が悪くなってしまいましたが、ボランティアさんのおかげでもち直して、よくお手伝いしてくれて、カレーもおいしくいただきました。
○ 食べる事が大好きなので、つまみぐいをするかと心配でしたが、でき上がるまで食べることなく、よかったです。次回は切る事に挑戦させたいと思います。
○ ほとんど参加しないのではないか、と思っていましたが意外にやりたがっていたのでびっくり。もっと家でさせなくては・・・と、母反省。
○ 少人数だったので、安全にも十分気をつけて楽しくクッキングをすることができました。初めてお会いする方とも、いろいろ話ができ、良かったです。準備をして下さったお世話係のお母様、いろいろとありがとうございました。
○親子で楽しかったです。色々な人と親しくなれて良かったです。もっといろんな経験させたいと意欲にもえる Cooking でした。ありがとうございました。
こちらこそ、みなさんのご協力のおかげで楽しく終えることができました。ありがとうございました。
編集後記
みなさん、3Dという言葉をご存知ですか?
福祉施設の現場で、これだけは使わないようにしましょう、という「でも、だって、どうせ」という3つのDだそうです。(高松鶴吉先生より)
私たち自閉症児をもつ親にとっても、行政や学校、地域などでも、子どもたちにより良い環境を作ってやりたくて・・・あっちにぶつかり、こっちで叩かれ・・・
「でも、だって、どうせ」とつぶやく事も多いこの頃です。
でも、施設の職員ならやめる事もできますが、親があきらめたら、この子たちにもう立つ瀬はありません。そこで提案です。逃げたくなったら、4つ目のDで頑張りましょう。「でも、だって、どうせ、・・・でもネ」
今回の会報で紹介させていただいた、アクロポートの方たちのように、まだまだ世の中すてたもんじゃないです。いい人はいっぱいいます。人の善意を信じる事、その善意に支えられてこそ、この子たちも暮らしていけると思います。
今はお堅い行政の人も、きっと立場上そう振舞っているだけで、根っこにはきっと温かい思いが流れている。そう信じて努力を続けていきましょう。
くじけそうになったら、また「でも、だって、どうせ・・・ ・・・でもネ!」
鳥羽 俊郎
これまで「育てる会会報」はHPに全文をUPしていましたが、今は容量等の事情により、一部抜粋にさせていただいています。
今後は、会報は会員の方への郵送でお届いたしますので、ご希望の方は賛助会員に申し込みをお願いします。
詳細は「育てる会 HP」に記載しています。