sorry,Japanese only

『 自閉という ぼくの世界 』
なおき(東田 直樹)・さく れいこ(井村 禮子)・え エスコアール 定価:1600円+税
ISBN4-900851-30-2 C8795 \1600E

「僕が跳びはねる理由」の紹介の中で若干疑問を述べさせていただいた東田直樹くんの文章と、井村禮子さんの絵の組み合わせで生まれた絵本です。一つの作品として見た場合には、自閉症の少年の心の動きや歓び、葛藤、哀しみなどが素直に表現された秀逸のものだと思います。
水や砂を 見ながら
手で さわっているだけで
ぼくの体の中は
さらりと 風がふきぬける時のように
すがすがしく 軽くなります。

ただ、前著の中でも書いたように、この本もお母さんが手を添えて行なうFC(ファシリティーテド・コミュニケーション)の手法で書かれたというこですので、やはり信じる・信じないの話になってきます。
もしこれが、言われているように小学校3年生当時の直樹くんが、“本当に”自分の内面について語っているとしたら、自由に言葉をあやつれる小学校3年生のクラスメートよりは、はるかに感受性豊かで、しかも自らを冷静に内省できる大人びた世界で暮らしていることになります。
巻末の解説欄に、実際にFCで直樹が書いたとされる直筆が載っていますが、それを書いたのが学校ではなく、抱っこ法とFCを行っている「はぐくみ塾」(現在:休止中)であったというのも考えさせられます。
推薦のことばを書いているのも、日本抱っこ法協会長で癒しの子育てネットワーク代表の阿部秀雄氏です。
この種の表現支援の方法をめぐってアメリカでは、介助者が書かせているのにきまっている、いや百パーセント本人が書いている、といった賛否両論がやかましいようですが、少なくとも日本では、否定か盲信かという単純な二者択一をやめて、もっと柔軟な受けとめ方をしていきたいものです。
アメリカの学会でも、FCはすでに否定されていると思いましたが・・・
抱っこ法とFC、申し訳ないですが、私はどちらも支持する立場にありません。
小説と同じく、絵本も架空を前提としたものですから、過程はとりあえずおいておいて、出来上がった作品として評価させていただきたいと思います。秀逸な一品です。
(2008.8)

あるがままに自閉症です」のお薦め文や、「自閉症の僕が跳びはねる理由」にも注記させていただいたように、東田直樹くんの世界と感性、本物でしたね。
私の見識が間違っていたことは、素直に東田くんとお母様にお詫びしたいと思います。
・・・ただ、抱っこ法とFCについては、今も申し訳ないですが支持する立場ではありません<m(__)m> (2014.10)


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