sorry,Japanese only

『 サポートブックの作り方・使い方
     
   ― 障害支援のスグレもの ―
丸岡 玲子:著 おめめどう 自閉症サポート企画 定価:1200円+税
ISBN4-915594-26-2 C0337 ¥1200E

以前、育てる会でも「サポートブックの作り方」とのテーマで講演をお願いした、丸岡@REIKOさんのサポートブックについての思いが本になりました。
これを読んで、作成フォームに自分のお子さんのことをアドバイス通りに書き込んでいけば、支援者に伝えられるサポートブックが出来上がるようになっている、これまた“スグレもの”の本です。
「サポートブック」はREIKOさんが、息子さんであるノブくんのことを支援者にしっかり伝えて、ノブくんと支援者が時間を有意義に共有してラクに過ごせるようにと考えて作られ命名されたものです。
もちろん、それまでも私たちはキャンプやガイドヘルプの際に、子どものことを知ってもらうために文書を渡してはいました。いわゆる「プロフィール表」です。その従来のプロフィール表とREIKOさん発案のサポートブック、共通の部分もありますが、違っている箇所もあります。そしてその違いがこそが “スグレもの” の所以です。
その第一は携帯できること。
それはこのサポートブックが、子どもの特性や行動を知ってもらうという以上に、「共に過ごす」「時間を共有する」ということを目的にしているからでしょう。いただいたプロフィール表が、例えばA4版の資料だとしたら、一通り読んだあとはカバンの中にしまって、次に開くのは夜の反省会の時かもしれません。
サポートブックだと常に持ち歩いて、困った時にはすぐにその場で開いて見ることができますね。
『サポートブック』はそれ自体は、はがきホルダーであったり、システム手帳であったり、またもっと進んだ電子手帳(PDA)であったり、携帯電話であったり、ドンドン進化しますが、その中に収められた情報には、確実に「本人に向けての作成者の愛」を感じます。そして、「本人の楽しい生活」が見えてきます。
主人公は「本人」です。でも、『サポートブック』をうまく活かして「本人」との楽しい時間を作り出すのは「支援者」です
もう一つの大きな違いは、サポートブックでは、各項目が統一した様式で記載され、支援者はとりあえずページの一番下の欄を見れば、その項目(例えば、「コミュニケーションの取り方」「パニックの対処法」など)を読めば、それぞれに対する対応・対処の仕方が具体的に分かるようになっています。先の例では、もらったA4のプロフィール表を折り畳んでポケットに入れて持ち歩いていたとしても。そのままでは、項目を探すだけで即時の対応までは無理と言えるでしょう。
これがサポートブックだと(ここはあくまでREIKOさんの雛形ですが)、例えば
項目
「パニックの対処法【1】 (小パニックの場合)」  では、
「原因になりそうなもの 
@見通しが充分でないとき 
@赤ちゃんの泣き声 
@大人の咳払い(特に男性)・・・以下続く」、
「パニックの状態 
@服をかむ 
@物をたたく など」  の欄の下に、
「対処の方法」として
@他の人との関係で、問題がなければそのまま知らん顔をしていてください。
過剰に反応すると、もっと大きなパニックを誘発することがあります」 と書いてあります。
支援者は、とりあえずは、各項目の最後の枠の中の対処法を読み、安心して(?)知らん顔を決め込んでいればいいわけです。そしてパニックがおさまってから、改めて「原因になりそうなもの」の中から今回の小パニックの原因を推察し、もし見当がつけばそれを取り除いてあげればいいわけです。
そううまくいかなくても・・・例えば、その原因が「@嫌なことを思い出したとき(フラッシュバック)」なんかだとしたら、分かったとしても簡単に対処はしてあげられませんね・・・とりあえずは、パニックを大きくしないでおさめられたので、よしとしましょう。
こんな風に支援者が安心して接することができ、また正しく対応してもらうことにより本人も楽しく過ごすことができますね。
『サポートブック』のキャッチフレーズは「本人がラク・支援する人がラク・そして預ける親がラク・・・〜三方みーんなラク!〜のために・・・」です。
最後にこの本がお薦めなのは、パソコンを使えない方でもすぐにサポートブックが作れるようにと、巻末に無地の作成フォームや雛形の無地がついていますので、切り取って書き込めばOKということもあります。
サポートブックは完成品である必要はないのです。
REIKOさんも書かれているように、むしろ常にバージョンアップする未完成品を目ざすべきだということです。
あなたも、みんながラクになるように、まずこの本を参考にして最初の試作品VerTを作ってみませんか。
(「育てる会会報 86号」 2005.6)

  目次

1. サポートブックの作り方・使い方
2. サポートブックはなぜいるの?
        香川大学教育学部障害児教育講座 助教授 坂井 聡
3. サポートブック作成フォーム@REIKO
4. 誰でも作れるサポートブックの雛形@REIKO

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