『 レイルマン 〜自閉症文化への道しるべ〜 』
@ダダ母 : 著 山洋社:OMEMEDO 定価 1,500円 + 税
ISBN4-91559-417-3
タイトルを見られて「どっかで聞いたような・・・」、そうです、ダスティ・ホフマンが見事に自閉症の青年を演じた名作「レインマン」と、鉄道・電車が大好きな自閉症の少年ダダ君の思いが掛け合わされてできたタイトルです。
それにしても自閉症の青年や少年たちには鉄道ファンが多いですね。決められた時間通りに、決められたレールの上を走って行く新幹線や特急電車。自閉症の特性から安心して好きになれる趣味かもしれません。数字ばかりが並んだ時刻表・・いかにもこの子たちが好きそうな一冊ですね。数字の後ろに通過していく列車の姿が浮かんでいるのかも知れません。
さて、本書は、そんなダダ君の列車に惹かれる興味を横糸に、自閉症の特性を持ちながら誕生から現在まで育ってきた軌跡を縦糸に、ご家族とダダ君で織り上げてきた物語です。(もちろん全て実話です。)
ダダ母さん、そしてダダ父さんは、自閉症文化圏、ことにネットの世界では著名なご夫婦で「ダダ父通信」や「ダダ母だより」には一度は世話になった方も多いと思います。
そのダダ母さんにしても、回想シリーズで書かれているように、誕生から障害になんとなくおかしいと気づき、告知を受けて「帰り道、通い慣れた峠のカーブが、涙で曇ってよく見えず怖かったのを覚えています。」・・今ではスーパーウーマンに見えるダダ母さんも、通ってきた道はやはり同じなんですね。
本文の中にも随所に出てきますが、後半にまとめられたダダ母だより【療育資料編】は、実際の生活の中から生まれてきたアイデアや考え方など、本当に教えられることが多いです。「視覚的」「具体的」「肯定的」そこに流れているのは、いかにわかりやすく本人を助けようという思いです。自閉症の特性を理解した上で、どうすればまわりが支援していくことができるのか、という発想と工夫です。サポートブックしかり、コミュニケーションカードしかり、スケジュール表、またしかりです。
常に子ども・本人の立場に立って、味方になって考えていこうという姿勢です。ぜひみなさんに読んでいただきたい一冊です。
なお、この本自費出版ですので、育てる会会員の方は事務局まで申込んでください。
まとめて購入しましたので、送料は1冊あたり50円の計1,550円での販売です。会員以外の方は 発売所 山洋社
〒185-0002 東京都国分寺市東戸倉1-21-23
電話/FAX. 042-323-6321
E-MAIL 浅見 正夫 <PEE03261@nifty.ne.jp> までお申込ください。
(育てる会会報 「48号」 2002.4)
. 目次
まえがき
1 回想シリーズ 1〜9
2 ダダ母たより 【 物語編 】
・ 2000夏・ダダ、レイルスターに乗る
・ ダダのひとり旅日記
・ 広島市民球場、ダダ単に見る旅
・ まぼろしキャンプ
・ 加古川と西明石の旅 ー ダダ、ホントの一人旅 ー
・ 卵物語
3 ダダ母たより 【 療育資料編 】
・ 1歳半で、自閉傾向を示唆された親御さんへの手紙
・ 幼稚園、保育所への入所の際、お渡しした手紙
・ 同級生へのお話
4 質問にお答えして
・ はじめての資格支援
・ エレベーターへのこだわり
・ 反復質問びついて
・ 伝わるやすい声かけ
。サポートブックの作り方
5 TEACCH研研修講座
感謝をこめて