「新1年生になりました」
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今春、我が家の長男、Kは、地域の小学校の障害児学級の一年生になりました。
長い交渉の結果、3月末にやっと、小学校の先生、教育委員会の先生、議員さん、応援してくださった大勢の人の力を集めて、加配の先生がひとりついてくださることになり、とてもいいスタートをきることができました。
一生で一番、つらい日になりそうな悪い予感のする入学式の日。前もって、綿密にたてた打ち合わせと、自閉症児を指導した経験のある先生の的確な判断とタイミングの良さで、Kは、私の手を離れ皆と一緒に花のアーチをくぐり、入学式に最後まで、参加することができました。
途中でピアノの音がすると 床に座ってしまったり、「バイバイ」と言う声がきこえてきたりしたけれど、Kにしては、上出来でした。
写真撮影の時も 普通の子より、おりこうさんに座っていて、二度ビックリ。
校長先生に100点だと、ほめていただきました。
体育館にさえ入れないと思っていたのに。
つらい入学式になると、覚悟していたのに。
小さな奇跡が起きました。
言うことをきかない変な子だと、登校班の子に嫌われたり、いじめられたりしたらどうしよう・・・、いう不安も、とりこし苦労でした。上級生の子は、
「おばちゃんも 大変じゃなあ。K君が、砂をパラパラせんようになったら ぼくらだけで行けるかなぁ。大丈夫じゃ。絶対大丈夫。」
「そうよ、わたしたち みんなでめんどうみるから 絶対大丈夫よ。」
3歩 歩いてはすわりこんで砂をパラパラしたり、歩道橋で下の車に見入ったりするKの両脇をかかえ、坂道を登っていくお兄さん、お姉さんの額には、汗が流れています。
なんていい子達に出会えたんだろう。本当にありがとう。
校内放送で朝の音楽が流れ出すと、両手の荷物をドサッと落として立ちすくんでしまうKですが、それでも少しずつ少しずつ、確実に新しい世界に入っていこうとしています。
がんばれ! がんばれ! K。
お母さんも あきらめないよ。
みんな、みんな、本当に ありがとう。
「会報24号」(2000.5)