sorry,Japanese only

少しずつ・・・

                            季節はずれのたんぽぽ

アスペルガー症候群と診断されて、2年が経ち、今、娘は小学3年生。普通学級に在籍しながら、通級に通っています。
人見知りが強く、初めての場所には決まっておなかが痛くなるという繊細な彼女も、診断を受け家族で色々活動していく中で、今は別人のように人が大好きになりました。

2年生までは学校で出来ないことがあっても何とかやってきましたが、3年生になり試練がやってきました。
進級し教科書を持ち帰った日、「これじゃ国語の本読みが出来ないよ」と訴えてきます。よく見ると、そのページは「ありの行列」。
3ページに渡って、リアルなありが何十匹も描かれています。
娘は大の虫嫌い。
幼稚園に通う時、道の木に巣を張っている蜘蛛を見つけるのが異常に早かったけど別に怖がらなかったのに。
「どうして?」と聞くと、「蜘蛛は動くと知って怖くなり、ありは体育のとき足に上るのを見てびっくりしてから嫌いになった」。
なるほど・・・。

実は担任の先生は初めての男性、しかも、理科が大得意な先生です。最近の子供は生き物に触れる機会が少ないからと、色々考えて下さっていて、家庭訪問でそのことを相談すると、「そうか。そんなに嫌いか」と娘と直接話し、最後は「でも、がんばってみようか」励まして帰られました。

通級の先生は「アリとキリギリス」のお話をされて、「ありはがんばりやさんなんだよ」といいますが、受け入れられません。
話題にはしたくないのか、いつも書く
4こまマンガにアリを飼っているポケモンの話が登場しました。

悩んでいるんだな、どうしようかと思っていたところ、娘のほうから、「お母さん、本を読んで」と教科書を持ってきます。
23日私が読み、一緒に別のアリの本も読みました。

その次は眼鏡をはずして遠くからそのページを眺めました。

次は学校でとなりの子供の教科書を眼鏡をはずして見ました。

次は、絵を手で隠して音読しました。

そして最後には何とか自分の教科書を学校で開いて勉強が出来るまでになりました。


少しずつですが、どれも娘が自分の苦手を乗り越える為に考えた工夫。
報告を聞き、私は感激して思わず抱きしめてしまいました。
その時の嬉しそうな顔。昨日のことのようです。

教科書では見られても、まだ本物のありや蜘蛛・花は苦手です。
蜘蛛はガラス越しにお店の外に見えるだけで、その席には座りたくないし、花は「なんとなく嫌い」と言います。
教科も内容が難しいから苦手というより、準備や片づけがみんなより遅いので苦手(書写・図工・体育の後の給食当番)といいます。
みんなと違う自分も少しずつ見えてきているのでしょう。

障害を持っている子もいない子も一人一人苦手はあるでしょう。でも、本人が乗り越えたいと思ったとき、がんばる気持を親として応援したいと思います。

先日参観で、娘がヘビを手に両手で握っているビデオを見ました。先生の飼っているヘビなのでおとなしいのですが、順番を待ち、笑ってヘビを握っています。先生、周りの子供の影響はすごいと改めて感じました。
この
1年で、虫嫌いがどれだけ変わるか少し楽しみです。

「会報39号」(2001.7)


私達の子どもの障害は様々です。古典的(?)自閉症の子どもは、最近少なくなったと聞きます。

早期療育のせいでそうなのか、また他の要因が考えられるのかはわかりません。最近育てる会に入会される人の中にも、高機能の自閉症児が増えてきているようです。
アスペルガーと診断されたたんぽぽさんのお子さんは素直でかわいいお嬢さんです。私は、たまに会う彼女とお話をするのが大好きです。
色々なことを話してくれます。でも時には相手の興味とずれてても気づかないようなところがあって、「やっぱりアスペルガーなんだな」と思える部分はあります。子ども同士の付き合いの中で今後彼女が苦労する事は想像できます。

さりげなく、こちらのペースへ引き戻してあげたり、判らないところを聞いてみたり、そんな風に人との付き合い方を、気づかせてあげたい―そんな風に思って話をします。同じような障害であっても、知的に高いか低いかで、親の悩みどころは違います。でも、どちらがどうと言えない困難さをみんな抱えているのですね。

障害に重いい軽いはない。つくづくそう思います

みんなでお互いをよく知りましょう。そして、せめて私達だけでも、理解しあいたいそう思います。 

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