3.11 東日本大震災
Higashi Nihon Daishinsai    Link Free
東京電力 福島第一原発事故
巨大地震に併発する原子力災害に関して
-
原発震災という視点-
GENPATSU-SHINSAI  

災害救援を阻み、被災者に多重苦をもたらす原発事故を繰り返すな
A lie called “souteigai” “souteigai“means the assumption outside or unexpected.  "souteigai" is an act that those who assume a dangerous situation should be excluded.


 Japan / Earthquake - Tsunami - Nuclear Crisis
          - since. 2011.3.11 -
  Museum of Morinaga Arsenic Milk Poisoning Incident.
         
森永ヒ素ミルク中毒事件 資料館
【English version commentary】Morinaga arsenic milk poisoning incident

 このページは2011年3月18日から2011年4月28日までの、約1ヶ月の間に限定して発表した資料館の見解です。現在では、優秀なライターが数多くの著作を発表されており、細かな更新は不要と判断しております。なお、書籍、記事、動画紹介などについては一部例外があります。
 また2012年1月5日現在においても、東京電力・福島第一原発事故の状況はまったく楽観視できない危険な状態が継続中であると認識しています。

2011.4.28時点までの資料館のコメント及び諸資料収録(PDF:2.34MB)

 『Die Fukushima-Lűge フクシマの嘘』ドイツZDF (30分番組)12/03/18 ZDF

本来は、東京電力福島第一原子力発電所事故のウソ、或いは、原子力ムラの嘘というべきだろう。投稿者 sievert311 同時に、下記を含めた「日本の大きな嘘」というべきかもしれない。
【目次】 
 ・速報資料① 米国 エネルギー・環境研究所
                アージュン・マキジャニ所長らの見解(3月14日~)
 ・速報資料② 英国「The Telegraph」 2011年3月16日午後10時52分
                  ゴードン・レイナー、マーティン・エヴァンス

「わが国は、食品の全国規模にわたる大規模汚染事件を、いまだに、かたくなに、“公害”とは認めていない国である。食品公害は、マスコミ用語では時々存在しても、国の言葉としては存在していない。食の安全は公害防止行政の範疇外に置かれたままである。この悲しむべき、驚くべき事実も、国民にはほとんど知らされないままである。このような食の安全に対するあまりに遅れた行政意識が放置されたままで、“食の安全”をいとも簡単に口にし、不祥事のたびに糊塗策に終始している姿勢は、形と場所を変えて、まじめな生産者や消費者に理不尽な災厄をもたらしているし、今後ももたらし続けるだろう…」(資料館コメントより)。

 ・3月18日時点での資料館のコメント 「すべての英知を救援と復興へ」
 ・3月20日時点での資料館のコメント 「想定外の本当の意味」 
 ・3月27日時点での資料館のコメント 「福島沿岸を棄民にする政治」
 ・4月4日時点での資料館のコメント  「政府は市民の声を聞くべき」
 ・4月9日時点での資料館のコメント  「責任あいまい化の科学論」
 ・4月12日時点での資料館のコメント 「官製アナウンスが信頼されない理由」
 ・4月18日時点での資料館のコメント 「風評被害防止の企画に浸透する言説」
 ・4月18日時点での資料館のコメント 「弱いものが、さらに弱いものを叩く」
 ・4月28日時点での資料館のコメント 「産業公害の無責任構造再来か」

(※今後も、形を変えこそすれ4月28日現在までと類似の繰り返しが続くかもしれない。負の歴史をなおざりにしてきた結末は、同サイト掲載の森永事件関連の諸論文に既述である。すべての関係者、科学者、言論人の努力で、産業公害の教訓が正確に読み取られ、今事態の正しい打開策に活かされることを切に期待したい)

 ・原発震災を警告した石橋克彦教授の見解とブログ (LINK情報)
 ・低線量域における被曝リスク NPO法人 市民科学研究室 (LINK情報)
 ・原子力災害に関する諸情報 (LINK情報)
 ・黒部信一医師から放射線被曝についての警鐘 (LINK情報)
 ・世界の主要な核事故事例 (LINK情報)
 ・グレゴリー・クラーク氏の日本論 (LINK情報)
 ・全漁連の抗議文 (LINK情報)
 ・モニタリング&地震津波関連情報 (LINK情報)
 ・首相官邸&原子力推進関係当局 (LINK情報)
 ・海外のエネルギー研究機関 (LINK情報)
 ・書籍紹介
 ・災害救援受付
 ・津波防災対策のコンサート
  
 【Reference】
 ・資料 IEER
 資料 The Telegraph    etc...
 資料 REUTERS 特別リポート:地に落ちた安全神話─福島原発危機はなぜ起きたか
ロイターが入手した資料によると、事故の直接の原因となった大津波の可能性について、実は東電内部で数年前に調査が行われていた。なぜ福島原発は制御不能の状態に陥ったのか。その背後には、最悪のシナリオを避け、「安全神話」を演出してきた政府と電力会社の姿が浮かび上がってくる。…(記事冒頭より)
 ・Songs 

 書籍紹介 【新刊】
「原発・放射能 子どもが危ない」
小出裕章 
黒部信一 共著
文春新書
文春新書刊 小出裕章 黒部信一 共著 「原発・放射能 子どもが危ない」
←原子炉工学の専門家と小児被曝の専門家が、身近で切実な質問に答えるQ&A。基礎知識が身につく一冊。
文春新書刊 小出裕章 黒部信一 共著 「原発・放射能 子どもが危ない」
『原発事故と子どもたち』放射能対策ハンドブック
黒部信一著
三一書房
2012年3月9日発売
「原発事故と子どもたち  放射能対策ハンドブック」 黒部信一著 三一書房刊
←放射線被曝から子どもたちを守るために家庭で地域で親は何をなすべきか?政府、行政に何を求めたらよいのか?福島現地で事故直後から健康相談に取組んでいる小児科医・黒部信一先生がわかりやすく解説する決定版。

--------- 【速報】 ① -------

「福島第一原子力発電所における津波後の状況―
          ―事実・分析・推測される結末」
 

Date: Thu, 17 Mar 2011 12:16:43 +0900

 
 首都圏の科学者より以下の情報が寄せられた。
 日本の政府発表と海外の専門家による分析のちがいがよくわかる。
 なお、下記の見解は、発信は3月17日だが、米国東部標準時間2011年3月13日午後9時時点での評価であり、どの情報も「その時点での情報」であって、のちに修正・追加等される可能性があることをあらかじめご了承いただきたい。市民自身の頭脳で現状を分析する必要がある事態との判断から紹介する。

***********************************************
           Enviro-News
         No. 1929 (2011.03.17)

***********************************************

福島原発事故では、原子炉だけではなく、同じ場所に保管されている使用済み燃料についても心配されています。
これに関して、エネルギー・環境研究所(IEER)が3月14日に発表した以下の論文をご紹介します。
Post-Tsunami Situation at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant in Japan
by Arjun Makhijani
http://www.ieer.org/comments/Daiichi-Fukushima-reactors_IEERstatement.pdf

福島第一原子力発電所における津波後の状況
   
―事実・分析・推測される結末

エネルギー・環境研究所(IEER) (米国)
アージュン・マキジャニ所長

2011年3月14日 メリーランド州タコマ・パーク発

2011年3月11日、福島第一原発と福島第二原発は激しい地震と津波に襲われた。
本分析では、執筆時点で知る限り(米国東部標準時間2011年3月13日午後9時)、より深刻な問題を抱えている第一原発に言及する。

外部電源からの電力供給が途絶え、原子炉は非常事態の一環として無事運転を停止した。しかしながら、原子炉の熱を取り除くためには、依然として施設を稼働させる電力が必要だった。

第一原発には稼働中の沸騰水型原子炉が6基ある。最も古いものが1号機で(部分的に燃料の炉心溶融が起こっているように思われる)、1970年に初臨界に達し、1971年には電力供給を開始した。

3号機も1号機と同様の問題を抱えているようだが、この原子炉は、燃料にプルトニウム・ウラン混合酸化物燃料(「MOX燃料」)を含み、1976年に初臨界に達している。両原子炉とも、形式は沸騰水型マークIであり、最新型の原子炉に見られる、厚さ数フィートの丈夫なコンクリート製二次格納施設を伴っていない。

(3月14日午前6時半現在:3号機も爆発。2号機が冷却機能を失った模様。ここで記述されている問題は、3号機にも当てはまるだろう。なお、2号機が同様の問題に向かっている可能性あり)

マークI形式の特徴は、利用された燃料(使用済み燃料)が、原子炉建屋内で保管されていることだ。この燃料は、原子炉格納容器上部付近の、水泳プールのようなコンクリート製構造物の内部にある。

原子炉に燃料が補給されるとき、使用済み燃料は大きなクレーンで原子炉から取り除かれると、プールへと移され、何年か水中で保管される。この使用済み燃料は、大量の放射能放出を避けるなどさまざまな理由から、水中で保管されなければならない。

使用済み燃料プールの冷却機能が失われれば、溶融だけでなく火災も発生する可能性が生じる。使用済み燃料プールの水と原子炉建屋の屋根が、使用済み燃料の放射能放出を阻む主な遮へい壁である。

1号機に関係する爆発は3月12日午後3時36分に発生した。当初、この爆発は原子炉建屋に隣接するタービン建屋で起きたものだと当局は発表していた。しかしながら、完全に吹き飛んだのは、原子炉建屋の屋根と、壁の一部であり、建屋の上部には鉄筋の骨組みしか残らなかった。

このことから、原子炉建屋内部で爆発が発生したことがうかがえる――おそらく水素爆発だろう。水素は空気よりもはるかに軽いため、建屋の上部に溜まるものだからである。そのため、この爆発は、マークI原子炉内の使用済み燃料プールが置かれている付近で発生したものと思われる。

日本政府当局は、原子炉格納容器はまだ無傷であると発表している一方、使用済み燃料プールの構造物の状態に関して、間接的に触れているものの、一切言及していない(下記参照)。原子炉格納容器は今でもまだ無傷なのか。原子炉事故の結末を予測するにあたり、これは極めて重要な問いである。

原子炉内の燃料が冷却水から露出すると、原子炉内に水素が発生する。燃料ペレットを収める燃料被覆管はジルコニウム合金製である。ジルコニウムは水蒸気と反応して、酸化ジルコニウムと水素ガスを生成する。さらに、これは発熱反応である。つまり、大量の熱を放出し、そのために、問題をさらに悪化させる自己強化型のフィードバックを生み出して、温度を上昇させる。

冷却水がなくなると、同じ現象が使用済み燃料プールでも起こる可能性がある。また、火災が起こる可能性もある。このような事故のメカニズムと影響はかなりよく知られている。2006年に公表された全米学術研究会議の研究は、長く引用するに値する。

===========================
(以下、引用)

水位が下がると、とくに燃料集合体の頂部より下まで低下した場合には、使用済み燃料から崩壊熱を除去する能力も低下するだろう。こうなると、燃料集合体の温度上昇が引き起こされ、酸化ウランのペレットを覆っているジルコニウム合金(ジルカロイ)製の被覆管の酸化が加速されることになる。

この酸化反応は、空気と水蒸気の両方がある場合に起こり得るもので、ひじょうに多くの発熱を伴う。つまり、この反応は大量の熱を放出し、それが被覆管の温度をさらに上昇させる可能性がある。また、この蒸気反応は大量の水素も生み出す……

[冷却水の減少に伴う]このような酸化反応は、酸素および水蒸気が供給されて反応の持続が可能になると、……局所的に自己持続的に高温(つまり、水の沸点の約10倍高い温度)状態が保たれることになる可能性がある……。その結果、酸化反応の暴走――本報告書では「ジルコニウム製被覆管の発火」と呼ばれている――が起こり得る。それは、燃料棒の軸に沿って、酸化源(空気や水蒸気)に向かって燃焼前線(例えば、山火事や花火に見られるようなもの)となって進んでいく……。

燃料棒の温度が上昇すると、内部のガス圧が高まり、ついには被覆管の膨張と破裂を引き起こす可能性がある。高温状態(約1800℃)では、ジルコニウム製被覆管は、酸化ウラン燃料と反応して、ジルコニウムと酸化ウランを含む複雑な溶融段階を形成する。

こういった事象は、被覆管の破裂に始まり、使用済み燃料プールを格納する建屋内に放射性の核分裂ガスや燃料の粒子状放射性物質の一部が放出されることにつながり、ことによると環境中に放出されることにもつながるだろう。1つの燃料集合体が燃えることによって発生する熱が散逸しなければ、プール内にある他の使用済み燃料集合体に燃え広がり、ジルコニウム製被覆管の発火の伝搬が起こる。

ジルコニウムと水蒸気の高温反応は、少なくとも1960年代前半以降、定量的に記述されてきている。
(以上、引用)
===========================

放出の程度は、冷却水がどのくらい失われているか、プール内に使用済み燃料がどのくらいあるか、使用済み燃料の一部が取り出されたのがどのくらい最近であるかによるだろう。

今回の事故のメカニズムは、同じく火災が起こったチェルノブイリとは大きく異なるし、放射性核種の混合も大きく異なっているだろう。短寿命放射性核種――とくにヨウ素131――の量ははるかに少ないであろうが、一方、セシウム137、ストロンチウム90、ヨウ素129、プルトニウム239などの長寿命放射性核種があるために、長期的な影響はより恐ろしいものになる可能性がある。

このような放射性核種は通常、原子炉そのものよりも、使用済み燃料プールの中にはるかに多く存在する。この点を考えると、日本の政府当局がこの問題についてほとんど触れていないのは驚くべきことだ。入手できるわずかな情報から判断すると、使用済み燃料の冷却に問題があるようだ。3月13日午後9時(日本時間)に発表された東京電力のプレスリリースには、以下のようにある。

===========================

現在、使用済み核燃料プールに冷却水を確保することについて、関係各所と調整を進めております。

===========================

これは、使用済み燃料の冷却に問題が生じていることを示している。だが、それがどのくらい深刻なものか、プールが損傷しているのか、漏えいがあるのかについての情報はまったくない。

外側から原子炉建屋への海水注入は、原子炉ではなく使用済み燃料プールに向けたものと推測するのが妥当だ。東京電力によれば、1号機の原子炉格納容器への海水注入はうまくいったという。これを書いている時点では、3号機についても同じであるようだ。臨界事故を防ぐために海水にはホウ酸が加えられている。

臨界は原子炉内または使用済み燃料プール内で起こる可能性がある。おそらく、原子炉から放射性を帯びた水蒸気を排出させる作業は継続しなければならないだろう。

1号機の使用済み燃料プールから放射性核種の排出があったかどうかは、この段階では不明だ。原子炉からの排気が行われたことは当局が認めている。発電所の外で、1,200マイクロシーベルト/時を超えるかなり高レベルの放射線――海抜ゼロの自然な環境における放射線量の1万倍以上――が報告されている。

このレベルでは、一般人の放射線の年間許容限度を1時間もたたないうちに超えてしまうだろう。この数値は、1号機で、あるいは、ことによると3号機で部分的な炉心溶融が起こっていることを示すものだ。

だが、放射線は原子炉格納容器だけから発せられていると広く考えられているようだが、その一部が、爆発で損傷を受けた可能性のある1号機の使用済み燃料プールからも放出されているかどうかは明らかではない。

米国の閉鎖された原子炉で起きた使用済み燃料プールの深刻な事故がもたらした影響について、ブルックヘブン国立研究所が米国原子力規制委員会のために準備した1997年の報告書で調査されている。

その結果によれば、米国の沸騰水型原子炉(BWR)のこのような事故がもたらす損害は7億~5,460億ドルになる可能性がある。これは現在の価値にすると、およそ9億~7,000億ドルになるだろう。小さい方の数字が当てはまるのは、貯蔵量を最大限にするために使用済み燃料が詰め込まれている満杯のプールに、古い使用済み燃料が1本しか存在しない場合であろう。

その他の変数は、取り出したばかりの使用済み燃料がプール内にあるかどうかであろう。それがある場合、放射能の放出量が大きく増加することになる。事故後数十年間に予想される潜在的なガン死亡者数は、発電所から50キロメートル以内で1,300~31,900人、半径500キロメートル以内で1,900~138,000人と推測されている。

第一原子力発電所の使用済み燃料プールの容量は、1号機が約50トン、2号機で約81トン、3号機で約88トンである。混合酸化物燃料(MOX燃料)は、3号機の使用済み燃料プールには含まれない。

米国の典型的な原子炉では、年間20トンの使用済み燃料が放出され、その場に貯蔵される。ほとんどすべての場合、湿式もしくは乾式貯蔵である。

日本における一連の結果は、ブルックヘブン報告書で概説されたものとは多少異なったものになるだろう。というのも、原子力発電所から50キロ圏と500キロ圏それぞれの人口密度やリラッキング方針(re-racking policy:稠密化=搬出先が確保できないために、やむをえず使用済み燃料の配置密度を高める方法)、その他いくつかの変数によって結果が違ってくるからだ。

また、第一原発の1号機の出力定格(power rating)は、米国にある多くの原子炉の約半分であるため、ほかの条件がすべて同じであれば、貯蔵プールの放射能量は通常の約半分だろうことにも注目すべきである。しかし、ブルックヘブンの研究が一般的に示しているのは、最も深刻な場合の被害規模は甚大になり得ることだと解釈できる。

1号機の使用済み燃料プールが水で満たされ、既に起こっている結果を上回る惨事にならないよう、ほかの原子炉は十分に冷却されてもらいたい(報道によれば、作業員のひどい被曝や、一部の国民の被曝がすでに起こっている)。

しかし、この事故で明らかになったのは、軽水炉が非常に深刻な結果をもたらし得るという情報や分析が十分あるということだ。軽水炉は、日本や米国、その他世界の多くの国々で使われている設計である。

使用済み燃料プールは、設計の細かい違いによって、それぞれ違った脆弱性があるのだが、すべてのタイプが、最悪の事故やテロ攻撃によって、深刻な結果を招くというリスクをある程度はらんでいる(この件については、米国学術研究会議による2006年の報告書で調査されている)。

米国は、できるだけ多くの使用済み燃料を、貯蔵プールから堅牢な地下サイロの乾式貯蔵庫に移すべきである。

日本での悲劇はまた、水を沸騰させるためだけに(これが原子炉の行っていることなのだが)プルトニウムや核分裂生成物を生成することが、電力を生み出す賢明な方法ではないことを思い出させてくれる。

(日本で起こった地震と津波による大災害からも明らかなように)安定的な電力供給のためには、当面は既存の原子炉が必要だろうが、新規の原子炉計画は中止し、現在ある原子炉も、石炭や石油とともに段階的に廃止していくべきである。

こうしたことを向こう数十年のうちに経済的に行うことは可能である。電力システムの信頼を維持し、その安全性を大きく改善しながら行えることは、2007年に刊行された拙著『仮邦題:化石燃料・原子力からの脱却――米国エネルギー政策のロードマップ』(Carbon-Free and Nuclear Free: A Roadmap for U.S.Energy Policy)や、その後の一連の研究(IEERのウェブサイトで公開中)で示した通りである。拙著は以下のURLより無料でダウンロードできる。
http://www.ieer.org/carbonfree/CarbonFreeNuclearFree.pdf

▲ページTOPへ 戻る


米国 エネルギー・環境研究所(IEER)の見解
2011年4月7日
For immediate release: Thursday, April 7, 2011
PRESS RELEASE (PDF)
More Stringent, Coordinated Fukushima Fallout Monitoring Needed to Determine Radioactive Iodine Risk to U.S. Milk and Water
Food, Water and Air Monitoring Should Continue in Government Shutdown;
U.S. Agency Claims on Radiation Danger and Risk Are Contradictory, Misleading
2011年4月14日
FUKUSHIMA FALLOUT: 45 GROUPS AND INDIVIDUALS PETITION NRC TO SUSPEND ALL NUCLEAR REACTOR LICENSING AND CONDUCT A “CREDIBLE” THREE MILE ISLAND-STYLE REVIEW
http://www.ieer.org/comments/041411_NRC_license_suspension_news_release.pdf

U.S.NRC
http://www.nrc.gov/about-nrc/radiation/around-us/doses-daily-lives.html
U.S.EPA
http://www.epa.gov/radon/healthrisks.html

------------ 【速報】 ② ---------

英国「The Telegraph」 2011年3月16日
Japan nuclear plant: Just 48 hours to avoid 'another Chernobyl'

日本の原発:
「もう一つのチェルノブイリ」を回避するための残り時間はわずか48時間


昨夜、日本が急速に深刻化する核の危機を48時間以内に制御しなければ「チェルノブイリ以上」の大惨事になる、との懸念が示された。

ゴードン・レイナー、マーティン・エヴァンス
2011年3月16日午後10時52分


フランスの原子力安全当局は、福島原子力発電所の使用済み燃料棒を含むプールが過熱され、燃料棒が露出した後に、作業員が炉心融解を回避できる可能性について、「悲観的な」見解を示した。先日の爆発の影響で損壊した建屋の昨夜の放射能レベルは「非常に高く」、放射能が大気中に飛散する可能性もあるという。
東電によると、現場では、作業員のうち5名が死亡、2名が行方不明、21名が負傷している。

米原子力規制委員会(NRC)のジャツコ委員長は、昨夜、日本政府の住民への勧告は不十分であると述べ、「非常に高い放射能レベル」がさらに上がれば、作業員は避難せざるを得ず、作業の継続は不可能になる」と警告した。
ヘリ放水など、日本は次第に捨て身の手段に出ているが、今では「制御不可能」との声もある。

事態を受けて、英外務省は東京と北日本に住む英国民に避難するよう勧告した。さらに、EUは、加盟国に対して、日本からの輸入食品の放射線量を検査するよう通達を出した。

公式発表によると、先週金曜日に発生した地震・津波による死亡者は4,314名、行方不明者は8,606名に上っている。大雪に見舞われた北日本の被災地では、今も数千名が食料援助を待っている状態だが、日本政府は福島原発の3つの燃料プールの温度上昇を憂慮しており、すべての目は原発に注がれている。

冷却装置の故障により原発全体の機能が損なわれ、4号機のプールの水が沸騰した。NRCは、昨夜、「(4号機の)第2格納容器が破壊され、使用済み燃料プールには水がないと思われる。放射能レベルが極端に高くなっており、作業に影響を行うことに影響を及ぼしかねない」との見解を述べた。水がなくなれば燃料棒の温度上昇に歯止めが利かなくなり、最終的には融解する。また、燃料棒の外殻が燃焼すると内部の放射性燃料が広範囲に飛散する可能性もある。

英国のブラウン外務大臣は、「福島原子力発電所の状況が悪化していることは明確だ」と述べている。

ヘリコプターによる海水投下も、上空の放射能が危険レベルに達したために断念された。警視庁の放水車も配備されたが、時すでに遅しとの懸念もある。フランスの放射線防護原子力安全研究所(IRSN)の安全担当シャルル氏は、「これから48時間が明暗を分ける。日曜から講じられてきた対策がほとんど成功しなかったため、悲観している」と述べた。事態が「大きなリスク」であると述べた上で、「すべてがなくなったわけではない」と続けた。さらに、放射能の放出量は、最大で「チェルノブイリと同程度になるだろう」と語った。

1986年4月にウクライナのチェルノブイリ原子力発電所で起きた事故では、事故によって57名が死亡、ガンによって約4,000名が死亡している。

仏政府のバロワン報道官は、「最悪の場合、チェルノブイリよりも悲惨な影響が生じ得る。明らかに制御不能に陥っている」と述べた。

英国のシンクタンク、チャタム・ハウスのグリムストン氏は、「福島はチェルノブイリとは異なる」と大惨事の懸念を一蹴し、「核分裂過程が止まってから5日近く経過し、放射性ヨウ素のレベルも当初の約2/3しかない。他の半減期の短い高放射性物質もすでになくなっているだろう」と語った。

フランスのコシュースコ=モリゼ環境大臣は、「最悪のシナリオも可能で、おそらくそうなるだろう」と述べている。

発電所の放射能レベルは一時危険レベルに達し、全作業員が避難した。180名余りのチームはその後燃料棒の冷却作業に戻ったが、日本政府は、「事態を考慮すると避けられない」との理由で、作業員の被爆限度を年間100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げた。

米国国防総省は、救援活動のため日本に派遣している米軍に対し、原発から50マイル(約80キロ)圏外への避難命令を出した。これは、日本政府が出した20キロの避難範囲の4倍以上に当たる。

国際原子力機関(IAEA)の天野事務局長は、事態は「非常に深刻」であるとして、今回の危機について直接説明を受けるため、今日、日本へ発つ。

(以上)
▲ページTOPへ 戻る

資料館の所感--- 3.18

すべての英知を結集し、救援と復興へ全力を挙げよう

 3月11日に発生した東北関東大震災(現・東日本大震災)は未曾有の被害をわが国にもたらしている。この地震と津波で被災された方々に対し、衷心よりお見舞い申し上げ、引き続き、全力での救助と救済の努力を支援すると共に、資料館としても、すでに現在取り組まれている各種の募金・資金援助や、災害救助および復旧ボランティア活動への支持を表明し、最適な時期と手段を選択して、積極的に取り組んでいく。

おいうちとなる原発大事故と、硬直化した政府機能。

 この未曾有の被害に対して、被災者からは、情報がない、食料がない、ガソリンがない、避難先がないなど、多様な要望が噴出している。すぐにこれに応えなければならない。幸い当地岡山をみても青少年団体をはじめとして、各種団体がすばやく支援に動いている。
 しかし、政府レベルでみると、これらの善意や、協力申し出に的確に対応するための情報収集能力、エリア・縦割り行政の枠を超えた情報共有と整理能力、迅速な意思決定能力、統治能力が根本的に欠如しているようにみえる。また、孤立した被災地との連絡手段や、広域での連携能力、また被災地への物流体制の柔軟な展開など、すべてが後手後手に回っているようだ。与野党とも団子になって党利党略の政争に明け暮れてきたツケか? 

政治は、党利党略、面子を捨て、救援・被害拡大阻止のため働け。

 霞ヶ関で駆け引きをしている暇があれば、体を動かして走るべきであろう。核事故に関しても、東電や、他の施設から、原発施設の詳細な配置図や、予測されるあらゆる危険情報、隠された事実を引き出してくるくらいの行動力が必要だ。こんなときくらい「我が党は~」の売名をやめるべきだ。震災の被害を利用した政治家の売名行為は醜悪の一言に尽きる。お互い真面目に協力し、黙々と仕事をしなくてはいけない。当初は「想定外」の言葉が踊っていたが、そのような言い訳ではすまない被災者の生死の境目がそこにある。

 幸い、国民の助け合いの精神は十分に発揮されている。周囲でも、日本赤十字社へ思い切った募金をする方、街頭でのカンパ活動に汗を流す青年団体、救援物資の集配の陣頭指揮にたつ各組織のリーダーなど、多くの善意あふれる人々の行動がある。そのかいあって、全国から豊富な物資も寄せられているようだ。しかし、それを阻むものとして、硬直化した制度と、明白に人災といえる原子力事故の追いうちがある。特に後者の影響は大きい。官邸も、そのような内容で忙殺されているようだ。原発事故に関しては多くの危険性が指摘されていた。いまここでそれを指摘しても、被災者の苦しみを緩和することはできない。だが、原発事故による放射性物質漏洩も、これからじわじわと新たな被災者を生み出す重大な人災である。今気づいたことを記録することも、将来に禍根を残さないため、多少の意味があろう。

科学技術の両面を冷静に見よ。

 公害と災害は一見議論のカテゴリーが違うように見える。だが、本質はまったく同じだ。現代の自然災害は、すでに高度に発達した多様で複雑な社会インフラを大規模に破壊することで、多重災害に発展しやすい。その場合は、緊急対処においても、また、復旧においても、そして原因追求と対策構築にまで、大いに関係者の利害という形で真実が歪められ、「人災」が混ざりこんでくる。自然現象への解明の限界性もあるが、仮に有意な情報が得られても、それを技術展開に反映させるところで人災がすでに発生しやすい。危機はすでにだいぶ前から蓄積されている。
 長期にわたって問題点を無視する行為の果てに被害が大きくなるという点でも今回の原発大事故には教訓がある。森永事件でも普通の営利企業がためらう、えげつないほどの利益追求の姿勢が、政治的圧力にまで拡大し、ヒ素が原因であるとの発表さえもが遅れ、さらに、その後、なんら反省もなく、真因を覆い隠すことに国家と原因企業は公然と癒着した。結果、20年間にわたり被害者と被害実態の圧殺に全力を挙げてしまった。今回の事態には、悲しいかな、形を変えたその片鱗を垣間見てしまう。

 発達した科学技術を便利に使うことに馴れ切った人間は、その技術がもつ神話的魅力にとりつかれ、その裏面の危うさや恐怖を忘れがちである。自然の脅威を忘れ、あるいは忘れたふりをして、目前的利害から、安全科学的に無理のある内容を技術化し、したがってその運用に関しても無理を生じさせるケースがあとを絶たない。しかもそれによって生じた結果に対しての責任は誰もがあいまいにして、次への教訓を生み出そうとしない。
 公害事件でもたびたび云々されるところの、「予見可能性」論議は、今回は「想定外」というフレーズに形を変え、一見「自然の驚異」を強調しつつ、現実世界の人間の怠惰を覆い隠すために悪用されている。それは以前から繰り返されていたことだ。そのツケは、いとも簡単に現実の悪夢となって、無辜の人々の頭上にふりかかる。

これは果たして「想定外の事故」か?


 今回の原発事故の初期において、「想定外の事態」を連発して、対処の遅れを説明したこと、炉心内部に残存している核燃料の量や、使用済み核燃料の保管場所が把握されていないか、あえて「わからない」ふりをしているかのような実態は、意図的な情報隠しと指摘されても仕方がないようなしろものである。

 ちなみに、使用済み核燃料の保管位置が建屋内部の格納容器に隣接して存在していることは、一般科学雑誌を読んでいる市民にさえ周知の事実である。(例えば、すぐに手近にある雑誌「Newton」2007年10月号でもp46に柏崎刈羽原発の沸騰水型炉BWRの断面構造図が掲載されており一目瞭然である。)
 
 建屋崩壊の瞬間に、使用済み核燃料そのものの飛散、使用済み核燃料の貯蔵システムそのものの崩壊を警戒しなければならないはずである。正立しているはずの燃料棒が、ぐしゃぐしゃになり、一部はデブリ化し、核反応が開始されることは容易に想像できた。圧力容器内の制御棒はなんのためにあるのか考えれば危険性は明らかであろう。
 また核燃料の総貯蔵量も発表されてしかるべきだろう。国民が貯蔵量を知ってパニックとなるような施設なら公益的なサービスで保護されている電力会社としては最初から作らないほうがよい。
 
 一部の向きは、お茶の間の画面で、大して意味もなく、しきりに「安全です」と繰り返しつつ、一転、建屋爆発崩壊すると、その直後、「あれが原子炉が入っている建屋でないことを私は祈ります」と叫んでしまった。この学者は、「原発は心配ない」と繰り返しつつ、福島第一原発の原子炉圧力容器の配置すら知らなかったのか? その後、崩壊したのが原子炉建屋だと「わかってしまう」と、今度は開き直ったかのように、それがまるで格納容器を守るための危機回避の“自爆”であるかのように簡単に言ってのけて、「爆発することで安全になりました。圧力容器は分厚いステンレスだから、これしきのことは大丈夫です」といったようなことを一言で述べてしまっていることには驚愕せざるを得ない。一体、この人たちは原子力を語りながら、本当のところは現実の原発施設の基本構造や脆弱性を知らないのではないか? 水素爆発がいかに重大な事故か理解しているのか? と素人目にも疑ってしまう。よくその後も、反省もなく、画面に登場し続けることができるものだ。もう、うんざりである。

 建屋爆発崩壊後、いよいよ使用済み核燃料が問題になるに及んでも、あきもせず「重大な事態に陥らない“システム”になっています」と適当な発言を繰り返し続けてきた向きがお茶の間にしつこく顔を出すその裏で、“システム”自体の崩壊が継続するであろうことは、スリーマイルやチェルノブイリ、あるいは東海村JCO臨界事故を見聞きしたものにとっては、ごく当然の心配であるはずだ。

なにも学ばない体質

 1999年9月30日午前10時35分に発生したJCO事故の際にも、周辺住民への対処はブレ続けた。屋内への退避(自宅待機)か自宅外への遠隔地への避難かの判断が長時間にわたってあいまいで、多くの中性子被曝を生み出している。当初長時間にわたりだされていた政府の「屋内待機」指示は疑問であった。
 当資料館からは、建屋の爆発痕から(写真だけはいち早くネット上に公開されていた)放射性物質外部飛散の可能性を含んでみても、どちらかというと中性子線照射源とみられる施設から一刻も早く距離をとる緊急退避の広報が必要ではないかとメディア各局にも通報した。いくつかのメディアからは、取材陣も現場から締め出しをうけており、事実関係の確認ができず、政府の指示を流すしかない状況との苦しい説明が返ってきた。当方は退避が緊急に必要との見解を残して電話を終えた。
 その後、「周辺からの退避が必要ではないのか」との内容は、TBSの「ニュース23」で最初に故・筑紫氏からの警告として発信されたように記憶している。それは、事故発生時刻の午前10時半ころから実に12時間以上たってから公に提起された最初の疑念だった。
 驚くべきことに、施設からの中性子線照射であるか、線源である何らかの放射性物質の飛散か、その両方なのかといった、基本的な情報提供すら行われなかったのである。時間だけが経過し、多くの住民が、当初出されていた屋内退避の指示のもと、家の中で中性子線の直撃をうけ続けた。事故現場付近をたまたま観光などで通過した人々も同様である。
 素人でも、少し核物理の知識を学んだことのある人たちなら、初期の「青い光をみた」という作業員からの証言が重要なキーワード(チェレンコフ光かどうかの厳密な判断は別として)であり、それが臨界の可能性を示すものであることは容易に想定できたと思う。そして、同時に発生している強力な中性子線の照射(被曝)を避けるため、周辺地域数キロ範囲程度の住民緊急退避が優先度の高い選択肢となるべきであると考えたはずである。
 ちなみに、中性子線は、他の放射線と異なり、困った追加作用を引き起こす。低速中性子線はナトリウム原子に衝突すると、それを放射性同位体に変化させる。人体には、塩分として多数のナトリウムが含まれている。低速中性子線は人体を通過するとき、染色体を破壊するとともに、人体中のナトリウム原子をNaの放射性同位体・原子量24のNa(半減期14.96時間)に変える作用を持つ。この作用は、同様に、マンガンやコバルト、金などで発生し、通常の土壌成分や家の中に置かれている貴金属を放射線源に変化させ、そこから人体に有害なレベルで放射線を照射する場合がある。それは現実にJCO事故で検出された事実である。

 使用済み核燃料に関しても、それがいかに脆弱なシステムに依存するかは、すでに経験済みである。
 最近でも、前述の柏崎刈羽原発(BWR)では、2007年7月に発生した「新潟県中越沖地震」で、使用済み核燃料保管プールから放射性物質を含む水が地震動によってあふれ、建物外へ漏洩した。同プールからの水漏れ事故は同原発の全号機で発生したところの重大事故である。また同事故では、点検中の原子炉建屋でも亀裂による放射能漏れ事故が発生している。点検中で停止中でも巨大地震の場合は危機的状況になりうるのである。同プールは簡単に冷却水がなくなりうる施設である。

 どうも、一部の向きは、これら事故のこともすっかりお忘れになっていたようだ。負の歴史を風化させ教訓を真剣に学ばないことに関して、わが国は天才的である、というと少し言いすぎだろうか?

放射性降下物のどこが「安全」なのか?

 また、被曝に関して、一部公的解説の中で、放射線量の値を航空機搭乗の際での宇宙線照射量などと単純比較して「安全」だとしている向きがあるが、線源である放射性物質が粒子として日本周辺に拡散しており、着地した地点から長期間にわたって放射線を放出し続けるという重大な事態を的確に伝えているとはとうてい言いがたい。放射線の影響を過少評価したがる「しきい値有り」の思想を前提としていけば、政府が恣意的に(あるいは国家は絶対であるという認識で)決めた安全値なら、まったくもって安全、問題なし、という新たな練金術的神話が登場することになる。
 各自治体でも、ようやく環境放射線量のデータが公開されはじめたが、放射線量測定器などの付近で一時的に計測される線量が異常値を示した。ということは、浮遊する放射性物質(放射線源粒子または放射線源を含んだチリ=「放射能のチリ」)から発する空中放射線を検地したわけで、それらが、すべて風に乗って通過するわけではなく、降下した場合、その地域の地表面に、線源となる物質が堆積し、放射線を長期間にわたって出し続けることになりはしないか。そういう事態は、住民にとって、かなり深刻な状態なのではないか、というのがチェルノブイリ原発事故を知るものにとっての危機感であろう。(線源の寿命の目安となる半減期は、ヨウ素131で8日、コバルト60で5.3年、ヨウ素129は1,570万年、セシウム137で30.1年、ストロンチウム90は29.1年、プルトニウム239は2.41万年、核燃料のウラン235に至っては7億年である。)

 放射能災害に関して情報を小出しにして絞るようなやり方は、より重大な被害を、しかも長期にわたって固定化することにもなりかねないことを肝に銘じるべきであろう。
 放射性物質漏洩による放射能被害は、 「線源から継続的に照射される放射線量×被曝時間」 であるからだ。線源から出る線量を測定して基準値と比較する作業も、線源自体がどれほど降下しているか、降下汚染している線源の核種がどういったものかの解析と公開を抜きにしては語れない。放射性物質を拡散した場合の原発事故や、中性子線を照射する事態となった核事故において、「レントゲン何回分だから大丈夫」などという例示をしても、むなしいだけである。
 今後、地表面や、地表面から採取されるさまざまな産品・物質から放射線が検出される事態になるだろう。その場合は、検体への線源の付着や、検体が線源を取り込んでいることによる直接汚染である可能性が高い。
 その場合の危険性は、

①直接照射による被曝(外部被曝)のケース

②線源そのものを経口摂取した場合の内部被爆のケース

③動植物の食物連鎖により生態系で放射性物質の濃縮が促進される。
 それにより、食物連鎖の頂点にたつ人間が、まったく想定されない
 飲食物の摂取により内部被爆にいたるケース


 人体に絶対に取り入れないために、あらゆる調査と対策が必須となるが、そんなアナウンスも現時点では、まったく聞こえてこない。

政治がパニックになっているだけ。
市民には正確で体系的な情報を公開せよ。


 “パニックを防ぐ”という旗印で、事実と事態の性格を正確に伝えなかったり、意図的に過少評価するやり方は、危機管理の手法上でも、さび付いた発想である。今回の巨大津波で、すでにそういった教訓が生まれているのに、である。
 だいたい、パニックというものは、統率する指導部がしっかりしていない場合に発生するものだ。正確な事実を伝えず、それを、そもそも把握できないリーダーが、パニックの最たる発信源である。「パニックにならないで」とは、事態が把握できないことへの言い訳である。
 今、パニックになっていないのは、日本人の逃げ場がそれほど無いことへのあきらめにも似た「閉塞された情況感」と日本人自身が戦争や災害から何度も島国を復興してきた粘り強い経験があるからだ。
 社会の各機関の責任者たちは、正しい情報の取得と提供にこそ全力を注ぐべきで、自らの情報不足に泡を食うあまり、国民の判断能力を過小評価し、それを見下げるような態度をとって自らの失態の責任転嫁をしてはならない。あまりに連続的に原発が爆発、炎上しすぎて、一種開き直り状態ではないか。しかもこれを糊塗しようとするあまり、「安全」「安心」を連発しすぎて、今回の核事故の重大性の認識に関して「自己暗示的麻痺状態」に陥っているのではないか。これでは昔の日本軍部の姿と大差ない。

「地方は首都圏の犠牲になっても当然」との前提論理は再検討を。

 最近のある説法を拝聴してみよう。
 「今回の事故は、チェルノブイリとはまったくちがう。放射性物質の大半は敷地周辺にとどまる。まして首都圏壊滅などない」…。

 首都圏は壊滅などしないだろう。放射線は見えないし、匂いも色もない。核事故に伴う放射能汚染は、十分な情報公開の前提の上に、十分な知識と市民の健康と安全を守る確固とした姿勢がなければ、危険性など感知されようもない。福島の原発をオペレーションしていた東電の社員自体が「安全だと聞かされていたから、安心していたのに驚いて逃げた。もう戻らない」と言っている有様である。 ましてや、科学を語りつつ、御用学者が「安全神話」を演出してきた原子力業界では、市民に警鐘を鳴らす人間は放逐されている。わずかに原子力資料情報センター(CNIC)などから警告を発信するチャンスしかない。
 都市は壊滅などしない。たとえば、かつて米国で開発された中性子爆弾は、まさに都市を無傷のままにし、兵員だけを殺傷して占領時に敵陣のインフラを徹底活用することを目的に開発された冷酷極まりないものだ。都市は見た目になにも壊滅しない。じわじわと生身の人間だけが、ある確率理論に基づいて侵食されるだけである。放射能汚染は、火事や洪水と違って、情報収集・分析の行為そのものが恣意的に操作されれば住民に感知されようがない。だから市民は、自分の頭で考えなければならない。
 首都圏壊滅をどういう意味で使うのかにもよるが、極端な言い方を対置、一転否定し、ぬか喜びの別の結論に導く言説は、こういう時に使うべきでない。
 放射性降下物が大量に降り注ぐ状態になるかどうかは、事態がある程度推移してから懸命の調査を行って初めてわかることである。原子力が非常に危ういサイクルの中で成り立っているという前提認識がないのだろう。果たして、今回の原発事故の事態を正面から危機感をもって直視している姿勢といえるだろうか?この間の実際の動向は、絞られた情報に右往左往させられている姿ではないか。
 また、「従来どおりの安全な首都圏」という意味では、その評価は、実際の知識ある首都圏住民のなかでも見解は分かれるだろうし、実際に、その評価は、かなり後退しているのではないだろうか。
 見えない放射線に対して、「安全」→「危険」→「爆発」→「沈静」→「安全」→「危険」→「爆発」のむちゃくちゃなローテーションで、二転三転する情報に振り回されるしかない市民は、どうやって自分の身を守ればいいのだろうか。
 「放射性物質は敷地周辺にとどまる」などという、「専門家」の意見を奉って、見てきたかのように「絶対大丈夫」などと断定的に展開する姿勢が、現実と大きな乖離を見せるケースは少なくない。すでに米国のメディアは、最悪の場合、日本の死の灰がジェット気流に乗って米国本土に到達するかもしれないというシミュレーションを描いている。不安として当然であろう。日本国民だけが、「大本営発表」を再び見さされているような気がするのは考えすぎか?
 ましてや、施設周辺とはまぎれもなく、福島のことであり、福島県民など地方の住民にとっては、このような言説は都市住民のエゴイズム以外のなにものでもない。福島は現実に、復興支援が滞る三重苦に見舞われている。
 “大都市住民のパニックを防ぐ冷静な視点”がこのような、他人の犠牲、相対的な少数者の犠牲を前提に平然と語れるレベルではなんとも心もとない。


人災によって、犠牲者をこれ以上増やしてはならない。


 今回の地震・津波で、日本の原子力発電への甘い運用の実態があからさまとなっている。
 今回の事態を安易に「予想外の地震と津波」というフレーズに求めれば、逆に、人類が築いてきた科学技術の根幹を否定したことにも等しい。なぜなら、以下に示すように、この事態はあらかじめ良心的な科学者が予言してきたことであるからだ。問題は、「国家的利益」やその裏に見え隠れする目前的利益追求の姿勢から、政治権力を動員してまで、少数者の意見、「カナリア」の声に耳を傾けようとしない風土がある限り、災厄は終わらないという現実である。
 

 わが国は、エネルギー政策を根本から問い直さなければならない事態に直面しているのだろう。また情報公開についての理念も問われている。ドイツから送り込まれた民間救援隊は、「日本政府は事実を隠蔽し、過小評価している」と抗議しつつ、日本を撤退してしまった。これは異例の事態である。メルケル首相までが「日本からの情報は矛盾している」と記者会見で繰り返した。(2011.3.17読売新聞朝刊13版国際面)。
 しかも外国政府が自国民を退避させる声明を出したことに対して、これに「保守的」という形容をおこなう感覚がよく理解できない。(2011.3.17夜)INES尺度で最悪の水準である「レベル6に近く、レベル7に達するかもしれない」と米国ISISが発表したにもかかわらずである。(2011.3.17読売新聞朝刊13版3面)

 今回、地震と津波、そして原子力事故の三重苦にみまわれた被災住民、そして放射線被曝を省みず救援にあたっている医療関係者・自治体職員・施設職員・警察官・消防隊員・自衛隊員など、前線で奮闘する人々の尊い犠牲を考えざるを得ない。原発にあえてとどまり、死を覚悟で建て直しに今も取り組んでいる人々の英雄的精神にも敬意を表したい。しかし彼らの決死の活動を軽々しく美談として扱う向きには自戒を促したい。私たちのある種の怠慢が、彼らを犠牲にしたのだという認識がもっと必要だろう。 
 ましてや現場の指揮官の揚げ足を取る暇があれば、東電や政府、原子力安全委員会や保安院のありかたをみすごし、原子力に頼りきりになってきたことを反省すべきだろう。しかしこの現実もまた、従来の私達の価値観やある種の知的怠慢が招いたものでもある。

 これを契機に日本人は多くの点で従来の価値観を反省・見直し、真に信頼される国家とは何か、正しい科学・技術への姿勢とは一体なんであるのかについて、歴史的転回点にたつことになるだろう。(以上-3.18)

3.20
毎日洪水のように流されるところの
「直ちに健康に影響はないが…あまり継続的に摂取しないほうがいい」 
素人には大変わかりにくい説明。なぜ詳しく明瞭に解説されないのか?


 科学者の一部はこういう。
 「“直ちに…影響はない”というのは“急性放射線障害”を発症しないという意味にすぎず、白血病や悪性腫瘍などの晩発性疾病の発症率に影響がないという意味とは異なる」と…。

 健康に直接影響が考えられる重大事故において、「急性」のみの安全アナウンスをし、「遅延的発症」に関してはあいまい表現を行う姿勢の横行は、かつての公害事件の惨状を明瞭に想起させる。市民は自衛するしかないのだろうか?

  皆が、この国は、十分に高学歴社会になっていると思っていたはずなのに、国が定めた「基準」を十分に理解もせず、あやふやな安心を得て、「放射能は怖くない」という自己暗示をかけないと、私たちは冷静な生活ができないのだろうか。

正しい知識をもった市民は十分平静を保っている。

 最低限の知識をもっている市民は十分、自己判断で冷静を保っている。冷静に行動している市民の行動は、あいまい表現をあいまいに信用しておとなしく従っている姿ではない。上から目線の人々は、庶民をおとなしくさせるには、「あまり知らせないことが肝要だ」と考えているのであろうか? この有様では、これまで散々国民が騙されていると指弾してきたはずの、どこかの「万年非常事態の国」とおなじではないか?

 このような事態になっても、なおかつ、私たちは、放射性物質の危険性を多角的に検討するということをせず、言葉での安心を得たいのだろうか。
 最近、ろくな情報公開もせずに「安心」を繰り返す大本営的発表を、それでも鵜呑みにする一部の人々が、独自に情報を発信する市民を取り上げて、「権力は信用ならないとする輩」といった切り口から叩こうとする傾向が登場している。確かに、デマや、非科学的な認識をネットで垂れ流す向きはおびただしくおり、大変問題だ。だが、それらは具体的例示をもって科学的視点から指摘すべきで、市民の活動に対して投網をかけるような攻撃をするのは、時代錯誤の統治手法だ。自らは「冷静で正確だ」、と胸を張っているが、中身をみると結局は有名大学の教授や、政府機関の公式見解に頼っているだけの内容であったりする。

御用学者の言う「専門知」

 公害事件のときに、全国に跋扈する「御用学者の言う専門知」(※)を振りかざして、被害者救済運動を徹底的に叩き潰したときのやり方に酷似している。ちなみに森永事件の時には、御用学者は、被害者家族一人ひとりを各個撃破までして「後遺症」をなきものにした。その自慢話を原因企業の社史に堂々と書き連ねているし、いまだにそれを訂正もしない有様だ。

(※ 「素人というものはモノを知らないから勝手に不安がって困る。俺たちが安心させてやる。」というロジックが常套手段。人間の生物としての本能的危機感からくる疑問とそれによる正常な追跡調査を「科学の名」によって押さえ込み、ごく一部のものの現世の利益を庇護する行為)

海外の反応は決して過剰ではない。


 自国民の80キロ圏内からの退避を命じた海外の反応までをも、「無知な過剰反応だ」とこき下ろす向きも出ている。だが、100キロ圏内以上の距離からヨウ素やセシウムなどによる汚染が次々と発見されるにつれて、あながちその判断が的外れでもないことが遅ればせながら判明してきているのではないか。さまざまな場面に登場する、権威ある学者や解説者は、何万という人命にどの程度の責任をもって発言しているのだろうか?

 すでに何基もの原発が同時的に破綻している連鎖的な異常事態である。その瓦礫内部で、核燃料がどの程度拡散され、冷却系を中心とした繊細な諸々の駆動系がどの程度ダメージを受けているかほとんど不明な段階である。
 前述したとおり、今後は、放射性降下物の影響は甚大なものとなる。チェルノブイリ事故にときに直面したホットスポット現象(放射能汚染が極端に強くなる地域)が発生し、新たな問題となるだろう。土壌汚染に関しても、ほとんどあらゆる地点をくまなく精査しなくてはならなくなる。これらもすでに20数年にすでにわかっていたことだ。

実感の伴わない評論家の感性

 現時点では、被災地住民の救済と、それを阻む形で進行する原発事故のエスカレーションの阻止が緊急課題である。しかし放射性物質の降下で汚染されている現実は、現地に近づけば近づくほど実感せざるを得なくなる。それが被害の実感というものだ。バーチャルで悪意をもってデマを垂れ流す人は問題外だが、「安心」を繰り返せば、みなが正しい判断をした気分になるというのも、同じバーチャル社会の傾向だ。被害の実感がどこまで言っても感じられない他人事意識の「評論家」の感性である。人間は生物である。生物が直感的に感じる恐怖や危機感は非常に大切だ。肩書きのある人間の「うそぶき」はいつか見破られる。
 
 地震学者がそのことを以前から警告していたのが原発震災という視点であるが、原子力産業とそれからおこぼれをもらっている人々はそれを「お笑いぐさ」と長年月にわたって簡単に無視してきた。

森永事件と原発震災理論圧殺の奇妙な共通点


 今回は、神戸大学の石橋教授が1997年に原発震災というフレーズで警告を発してから14年目にあたる。
 森永事件では、被害の封殺は14年間にわたって続き、さらに加害企業が罪を認めるまで何年もの歳月を要した。国と企業は、事件直後の急性症状は認めざるを得ないものの、赤ちゃんがヒ素を飲んでも後遺症などは一切発生しないと宣言し、後遺症があるのだとの親を素人の遠吠えと決めつけ、医学的検証が報道されるまで14年以上もかかった。逆にいうと国も、企業も、学会もメディアも、数名の少数者の声を、14年間封じ込めたのである。それにより被害は確実に重症化した。

 反対を旗印にするなかにもいろいろあることにも釘をさしておきたい。
 森永事件では、自主・民主・公開という旗印のもとに、被害者団体が反対する「官製検診」に参加し、「後遺症なしアナウンス」に協力した自称「民主的医療機関」というものがある。
 同じことは、原発問題にもいえる。原発推進団体はもとより、表面的に原発を批判する一部野党の中には、「三原則を守ってやればいい」という折衷案を展開し、いかにも徹底的に反対しているかのようなパフォーマンスと宣伝を行いつつ、その裏の目的である党利党略の組織化活動のもと、住民運動をたびたび混乱させてきた「わが党だけが正しい」が売り物の自己中心的勢力もある。そもそも「民主集中制」なる、自党内部に関して情報非公開の独裁支配を続ける政治勢力が、原発問題を云々すること自体が巨大な自己矛盾である。科学に既存・旧来型の党派勢力がしゃしゃり出ると、政治利用ばかり考え、最後は、改革先の勢力と勝手に出来レースを展開、取引癒着する。ろくなことにならない。
 これからの日本には、イデオロギー党派のの党利党略による市民運動への介入ではなく、環境保護や、市民的民主主義の成長、情報公開の促進を中心課題にする取り組みが登場してもよい時期だろう。
「想定外」とは、実際には、「危険を想定する人を除外」する行為である。

 いずれにしても、誠実なカナリアの警告を少数意見として無視してきたことを恥じるべきだろう。
 「人知も及ばぬことがある」「想定外」「神のみぞ知る」という言葉を感傷的に使う向きもあるが、時にそれは、金と権力と欲に目がくらんだものによる長期にわたる歴史的で不当な政治的抹殺行為を免罪する効果に繋がることがあるのが、「人災」を取り巻く醜悪な現実だ。「想定外を想定する防災とはなんと難しい」といった論調を展開するむきもある。だがそんなセンチメンタルなフレーズを考える暇があるのなら、想定外とは「想定する人を除外する」行為に他ならない醜い現実をあからさまにし、そのおろかな人間の所業をいかに防止するかを考えるべきだろう。

福島への救援体制の構築を加速度的に進め、情報公開せよ。

 現在、支援物資も人も、三重苦に苦しむ福島を避けるように通過しているとのことである。誰もが納得できる必要な対策を十分に講じて、福島現地へ物資と人の応援をどう行うか、これを考え、国民へ公開し、実施することが緊急に求められているのではないか。
 当館の周辺でも福島への救済の遅れ、情報の薄さを心配する人々がいる。現状にどう対処するのか? 納税者である国民を守る責務があるはずの「公的セクター」からは、原発に関する重箱の本体ではなく隅の情報ばかりが流布され、福島の被災民への救援の方策も情報もほとんど聞こえてこない。

 一方で、私たちは、今後も御用学者の言説を信じ、それをメッセンジャーとして伝え、針路変更の議論の努力もせず、現状に拘泥し、電気を惜しげもなくたっぷり使える生活を最優先していきたいのだろうか? わが国の大体の原発が活断層を避けずに立地され、現実に見合った十分な耐震構造ではないということは公知の事実にもかかわらず、国から安全だといわれると安心しなくてはいけない義務でもあるのだろうか?
 これだけ科学技術が発展しているにもかかわらず、こと安全だけは、繰り返し犠牲者がでなければ、改善や改革を考えようともしない、という愚かしい習慣は早急にかえるべきだろう。

▲ページTOPへ 戻る
---------------------------------------------------------------

3.27
二重の責任回避のため?  福島沿岸を棄民にする政治


 福島および同県臨海地域への救援、たとえば、南相馬市は、人災・原発事故のせいで、取材陣も最近までほとんど近づかず、情報は絞られ、棄民状態におかれている。東電の関係者など誰一人やってこないという。
 政府は、「自主避難」というあいまいな言葉で、現地住民に判断を委ね、事実上、生命の安全を現地住民の自己責任にしてしまった。これは責任転嫁であろう。加えて、政府が退去させれば、原発事故が広大なエリアを不毛地帯にしてしまうことを国が認めたことにもなる。補償にもつながる。これはまずいですよ、と入れ知恵した向きがあるのかもしれない。これでは、住民がいくつにも割れ、社会的インフラが自然崩壊し、残るも去るも…、という事態にもなりかねない。

 「すぐには健康に影響はないが、継続的にはさけたほうがいい」、という言説をもとに考えるなら、原発付近でも「自主的判断」になるのだろうか。じっくり考えてくれ、というロジックになるのだろうか。少なくとも厳しい決断は後手後手になるだろう。5年後10年後に晩発性の疾病が発生しても因果関係をどう証明するのか? 知らぬ存ぜぬ、を決めこまれたら、住民はどうなるのか。とにかく安全だ、という人は、その因果関係を明確に立証する責任を果たすつもりなのか?そんなもの立証できません、の一言でおわるのではないか? 

 一方、最近は、評論家も、安全を繰り返してきたことにさすがにバツが悪くなってきたのか、「情報が足りませんから…」としきりに強調し始めた。もともと、情報がほとんどない状態で「安全です」と繰り返してきたにもかかわらずである。

 安全を連発する人々が、彼らが安全だという30キロ圏外隣接地域には決して、あるいはなかなか、なかなか、行こうとしないのはなぜか?それほど安全な原発をなぜ大都市の港湾に建設しなかったのか? 政府は、30年前に発せられたこの質問に、今後は明確に答えるべきだろう。

 「今回の事故はチェルノブイリとはまるで違う」「日本の原発はチェルノブイリとは構造が違う」などと繰り返し「極端な例を対置し、それを一転否定して、事の本質を隠す」詭弁的手法をあらゆる事象に適用し、原発事故の深刻さを過小評価し続けた結果、レベル6以上の未曾有の事態に追いやっている。

 少なくとも、浜岡原発や中央構造線の真上に位置する伊方原発などは緊急に停止されるべきだろう。プルサーマルしかり、六ヶ所村しかりである。原子力安全・保安院などの監督・規制組織を同じ省庁に組み込んで平然としていることも、である。


海洋放射能汚染は、「海水で希釈されるから大丈夫」?

もう、“なんでもあり”の、無茶苦茶な状況になってきた。
思いつきの放言も、どこまでエスカレートするのだろう。


 福島第一原発の沖合い300m付近の海水が超高濃度の放射能で汚染されていることが判明したが、もはや驚くべき事実とは言えない。誰もが予想していたことで、直感的にその原因について理解できるはずである。
 ところが、一部報道に登場する学者は、「海水で希釈されるから大丈夫です」と一言で言ってのけた。私たちを“安心させて”やろうというはからいか?
 原発がたくさん破裂し、レベル6以上だと海外では早くから認識されていても、メディアに登場する頭の良い学者がいろいろ検討すると、「ほとんど大丈夫ですよ」「安心、安全」という共通した結論になるらしい。

 かつて、米国コロンビア川の上流で発生したハンフォード再処理工場からの汚染で一説として言われているのは、放射性物質は、川の水を1とすると、プランクトンが摂取して2千倍に濃縮され、そのプランクトンを摂取する魚ではさらに1万5千倍に濃縮され、それを食べる鳥でさらに4万倍へ濃縮されるという。虫を食べるツバメでは50万倍、水鳥の卵で100万倍ともいう。食物連鎖で濃縮されるというものである。(広瀬隆氏 『危険な話~チェルノブイリと日本の運命~』 1988年 8月書館刊)

 これに限らず、濃縮というのは水俣病でも経験済みの水質汚染に関する常識的な知見のはずだが…。「希釈」されるのなら、水俣病の有機水銀はなぜ水で薄まらなかったのだろうか? 四日市の大気汚染は、なぜ風で薄まらなかったのか。
 意図的に薄めて大丈夫と強弁した事例まである。
 いまだに清算されていない話でいえば、回収された数十万缶という森永乳業のヒ素入り毒ミルクのほぼ全量を当時の東京都がひな鳥のえさに混ぜて再流通・再販売し、その毒ミルク入り飼料の再販利益を資金の一部に充てて、後遺症被害を圧殺するための財団「森永奉仕会」をつくり、全国の大学に「研究費」と称してカネをばら撒いた事実。“ヒ素は薄めれば大丈夫、むしろ鳥の栄養になってよい”といったようなことが内部文書で書いてある。いまだにその財団は厚生労働省認可の組織として生き残って活動しており、この毒ミルク再販売行為はほとんどの国民に知られていない。永久に「知らぬが仏」にしておきたいのだろうか。この国は半世紀前から、どの程度変わり得ているのだろう。

海流の問題

 「希釈」をいうなら、海流の問題もある。千島海流(親潮)は、従来、宮城県沖で、高知県沖を経て北上する日本海流(黒潮)とぶつかり、大半は北太平洋海流として東に向かうとされてきた。だが、最近、親潮のなかでも東北地方の陸岸地形に沿う形で流れる親潮第一貫入は4月ごろに北緯40度付近へ異常南下している。一部は低温のため黒潮の下側にもぐりこみ複雑な潮流を形成していることがわかっている。この親潮第一貫入の南下は数年ごとに発生している。
 仮に海流を無視し、放射性物質がなぜか自力航行して広い太平洋へ一目散に逃げてくれるとしても、一方で沿岸部の生物での濃縮という効果を考えなければバランスがとれないだろう。海とそこに生きる生物も極小から極大サイズまでみな内部被曝するのである。都合のよい事実には触れても、都合の悪い事実には触れないという行為は隠蔽行為というしかなく、今後のアナウンスの信憑性が問われる事態となる。それはだれにとっても良い事態ではない。

汚染廃棄物処理の問題。原発はコストに見合わなくなっている。

 今後、原発の廃炉にともなう膨大な量の廃棄物、また数十キロ圏内で汚染された、さらに、膨大かつ様々な瓦礫をも厳密に選別管理しなくてはならなくなる。これらをドサクサにまぎれて処理すると忘れた頃に大変なことになる。
 台湾では、紛失した核物質がくず鉄業者経由で製鋼過程に混ざりこみ、マンションの鉄筋から人体に影響があるほどの放射線が出る事件が発生し、大問題となっている。
 このような後工程のコストが天文学的数字になりえることも含めて、どんな方策がありえるのだろうか?

「広い海」にはどんな毒物を垂れ流しても大丈夫

 「海は広いですから」「海水で汚染物質は希釈される」なら、海にはどんな有毒物質が流れ出しても問題ないということなのだろうか。科学といいながら、ひどく非科学的に聞こえる。狭い陸地にも、いろいろな科学者がいるものだ。クラス6から7の事故になっても、たいしたことない、と言い続ける感覚、原発事故を契機に失地回復を図ろうとする政治勢力や、それにたかって妙に活気づく政治勢力の動向などを見ていると、かつてのソビエト連邦とどの程度の差があるのだろうかと考えてしまう。

 ハンフォード核施設が河川に及ぼした影響については↓「中国新聞」

http://www.chugoku-np.co.jp/abom/nuclear_age/us/020224.html
http://www.chugoku-np.co.jp/abom/nuclear_age/us/020303.html



▲ページTOPへ 戻る

---------------------------------------------
2011.4.4
福島第一原発から高濃度放射能汚染水たまり
そこから漏洩が続く。
 1000ミリシーベルト/h以上
 



 「高分子吸収剤、おがくず、新聞紙を投入するも、いっこうに流出量減少の気配なし…」と報道にはある。

 海洋で希釈されるから大丈夫といいつつ、流れ出してはいけないという不思議な扱いを受けている高濃度放射能汚染水…。
 (毎時1000msv以上という数字はすさまじい内容だ。「以上」とついているところがクセものである。1000msvは1svであるから、それが実際には、数倍になっているとしたら、重症の急性放射線障害を受けるかもしれない汚染レベルだ。)


 ただ、そもそも、漏洩を塞いだ瞬間に、予期せぬ場所から水が溢れ出し、現在処置している別の作業自体も阻害される場合がある。「ポリマー剤や新聞紙をちぎっていれてある袋」などを流し込む処置が仮に「成功」していたとした場合も同じリスクだ。
 これは、下水道が詰まったとき共同枡の管理者が時々経験することである。

 一方、建屋が崩壊し、地震でコンクリート舗装がめくれて、地下施設のケーブル類までがむき出しになり、格納容器が損傷して冷却水が漏れ出している可能性がある最悪な状態下の中で、継続的に水を注入し、さらに建屋上部から大量に放水したからには、当然、どこからか、あるいは、「思いもかけないところから」、そして、「いたるところから」、高濃度に汚染された水が漏れることは、完全に想定されていたわけで、その対策を並行的に進めていなかったという事実には驚くほかない。
 
 実際には、東電は低レベル汚染排水を海に放出することにしたようだ。対策をサボり続けた結果の泥縄的判断が正しいか正しくないかは、「まったく誤っている」と単純に言うしかない。それ以前に、まともな判断はすでに麻痺し、それを通り越して、もはやなんでもありの状態だとしかいいようがない。海は強毒性の産業廃棄物処分場ではない。「海は広い」という前に「海は人類共有の財産」というべきだろう。

 漏洩水は、配管下の岩盤から漏れているらしい、地下水に漏れている、などの情報。初期の段階から想定されていたことだ。東京電力と国の責任ははかりしれない。日本のまとまった規模の広大なエリアを長期にわたって汚染し、そうでなくとも極限状態の被災者に更なるおいうちをかけ、生産物を汚染し、その風評被害を拡大し、隣国にまで不安感を与えている。日本人が数々の公害や環境破壊とたたかい、ようやく再生し、営々と培ってきた自然との共生の文化を一気に葬りかねないこの事態は、東電にまさるともおとらない、ずぼらな体質の国と、党利党略に明け暮れてきた政治の無策をも明瞭に示している。
 今、政府が真摯に聞くべきなのは、一般市民の声であり、市井にいる有能な職業人や、従来、抹殺の対象にしてきた良識ある科学者の提言と批判、そして、建設的な知恵と指摘である。まかり間違っても御用学者の声などではない。ましてや、日頃は自党の腐敗の隠蔽工作に終始しているくせに、対立勢力の不祥事に関してだけは、ここぞとばかりに声を荒げ、売名に走り回る政治勢力でもない。

 市民を信頼し、市民の叡智に耳を傾ける気持ちがあれば、市民に情報を公開することができるはずであるし、それがまた、絶対条件である。また、それができない政治勢力は、どこが政権をとっても、同じことの繰り返しである。今後の日本に必要なのは、すべての政治勢力とその政治姿勢を冷静に監視し、批判精神を持ちつつ建設的提案を行う独立市民の存在であり、それを政治が受け入れざるを得ないようにする世論の形成であり、それを促進するメディアの努力である。 

▲ページTOPへ 戻る
---------------------------------------------------------

■【疑問】
産業公害における責任回避の常套的「科学論(?)」を通じて原発事故の真因と責任を曖昧化か?
 2011.4.9


中部大学 武田邦彦教授(元・原子力安全委員会 専門委員)の言説

 なぜ、1ミリシーベルトが妥当か?→
  http://takedanet.com/2011/04/481_ecc3.html

 この小論に関しては、一見、放射線の影響に警鐘を鳴らす良心的研究者にみえる。ところが一方で、同氏のサイト中には、環境・公害問題、特に、水俣病に関するかなり大雑把な形でのチッソ弁護の言説があり、注意が必要だ。 
 公害事件に関していつも原因企業が主張するところの「予見不可能」の主張を、一見「謙虚」に見える独特の科学論から演繹的に「是」としている。これは悪質な原因企業の責任を軽減する言説に容易に転換しうるものだ。今回の福島の事故例のように、国家的大事故で、予見が既知の事実と化し、国民的批判が定着した後に、今後の放射能被害の危険性を「予見不可能性」で説明すれば、国民の生命擁護に気を配っているように見える。だが、一方で、「安全な原発は推進してもいいが、危険な原発には反対する」を声高に叫ぶのならば、氏自身が主張されるところの「予見不可能性」との自己矛盾である。

 最近は、「あと出しじゃんけん」で華々しく登場するのが得意な人が実に多い。一部メディアが精査もせず、あるいは、それと知っていてか、面白半分に取り上げるので、本人もその気になり調子付く。それまで危険容認の立場で動いていても、世論の動向やトレンドに合せて変わり身が早く、しかも、俺が俺がと表に登場し、そのくせ、巧妙に利害関係を維持して広告塔で動く人もだ。
 かつて、軍国教育を推進していた教師が占領軍が来たとたんに、民主主義を声高に叫んだ歴史。シベリア抑留で、天皇がスターリンにとって替わったとたんに、ソビエト万歳、共産主義万歳と叫んだ関東軍一部上層部の軍人の歴史…。べつに不思議な現象ではない。市民は冷静にそういう仮面のひとつひとつを見破らなければ、正常な判断はできない。転向や改心は大切だが、その場合は、自らの過去の言説全体を反省したり、見つめなおすことが必須だ。
 氏は、メディアに登場し、“東電はどちらかというと被害者だ、責任は保安院などの規制当局にある”といった類のことを主張されるが、この言説は同氏の水俣病におけるチッソ弁護のロジックと一致している。それはまた、かつての森永乳業の主張にも似ている。

 どうも氏は、世論が権力と御用科学者によって封じ込められているときは、“まだ経験していない危険の予測は学問には無理だ”、としつつ、アクシデントとして最悪の事態が露見すると、“今後の事態の予測は学問には無理”と、物質そのものの危険性を叫んで市民の味方を気取り、メディアの歓心をひき、「異端の科学者」として芸人的に登場し、「ネクスト環境大臣」にしてもらって発言機会を増やし、視聴者の感情にうまく浸透しつつ、役人たたきの側面を過度に強調し、最終的には企業責任を免罪あるいは過少評価しようという明確な長期プランと意思をお持ちなのだろうか? 同氏の論理的自己矛盾は、政治的立場というフィルターを重ねると、「原因企業には予測が無理だ。ちゃんと規制しなかった役人が悪い」という社会的言語としては矛盾が解消してしまうところがトリックだ。
 しかし、氏がいうところの「学問は予測がそもそもできない」という主張を前提にしながら、公的セクターが何を基準に規制をかけるのか、については明確な説明が行われているように思えない。むしろ、氏は、政府のリスクコミュニケーションの拙さにより市民が疑心暗鬼になって、「予測不能という心理的不安に陥って自衛するしかないような」情況に乗じて、自らの、「予見不可能性」理論の活躍のチャンスと捉えているのだろうか? 真意を聞きたいところである。
 放射性物質の影響に関しては、すでに現地に、リスクを覚悟で良識ある科学者が入って極めて科学的な調査を行い、データを出している。このような誠実で勇気ある科学者の姿勢に比べると、とてもわれわれ市民が冷静に傾聴に値する内容には思えない。

ちなみに、類似例として、もうひとつの仮面も指摘しておく。民主集中制もロジックとしては似たような折衷的言説を嗜好する。最近はなりをひそめているが、かつて主張していた「正しいやり方の原発ならいい」、(森永事件では)「正しいやり方で行われるよう官製検診に参加する」という姿勢にもだぶって見える。一見「手法を正す」との改善提案を行っているように見えて、現実にはカネと権力と社会システムを総動員して強行される悪しき国策に、正面から異議を唱える科学者や技術者、住民運動の前に煙幕をはる効果になる。党利党略からか、権力に媚びる意図から来ているのかは、諸説あるが、結局、抵抗する住民の邪魔をしてきたことには違いない。











 この日本の自然環境と地形学的バックグラウンドを前提にしたうえでの「安全な原発ではない危険な原発だけ」というものが明確に線引きできる形で存在するのなら、それこそ科学的に証明してもらいたいところだが、氏の論理からすると、「学問は先のことがわからないというのが正しい謙虚な立場」だから判断できないとなるのだろうか?そうだとすれば、その「安全ではない危険な原発だけ」を見極める明確な基準などありえないことになり、結局、危険な原発を排除し、安全な原発を推進することなど微塵も実現しそうもない。どうも、全国の原発を急にすべて停止することができそうもない社会環境をトレンドとして読み込んだ上での絶妙な言い回しであり、これこそが、市民を愚民視したロジックというものであるというと、いささか被害妄想にすぎるだろうか?

 
しかし、当面稼動する原発への耐震基準の強化を科学的立証を通じて要求した石橋克彦氏が短期間のうちに愛想をつかした原子力安全委員会が、安全な原発政策を推進しようという姿勢すらないことは明らかである。それは、石橋克彦氏がかつて異議申し立てをした原子力安全委員会の議事録(※ 第48回原子力安全基準・指針専門部会 耐震指針検討分科会 速記録)とそれに対応した技術文書の内容(※ 震分第48-6-1号 震分第48-6-2号)を読めば、同委員会自体がまやかしの巣になっていることは容易にわかる。

 そしてなによりも重要なことは、「予見不可能」どころか、核事故の現実的可能性を予見してきた科学・技術者はかなり存在するのである(“原子力に強い野党議員”などという陳腐なものではない)。せっかくメディア媒体に登場するのなら、核事故と放射性物質の危険性を科学的に検証し警鐘を鳴らしてきた先人の良心的科学者の存在こそを、そしてその声を意図的かつ計画的に押しつぶしてきた数多くの御用科学者や社会システム全般の行動原理といった部分こそを、深刻な反省をもって、もっと明瞭に指摘すべきだろう。
同氏の問題点を指摘するWikipedia  同氏のブログ→http://takedanet.com/ 


【武田邦彦 (中部大学)氏の水俣病に関するコメント部分 以下】
食の安全・安心 24 ー水銀=
日本人と金属
…(前略)…

日本が工業国となり、大量に物質を使うようになると、それまで長い日本の歴史の中で培ってきた様々な文化も姿を消していきました。その一つに水銀の文化もあります。今では水銀という名前を聞くと恐ろしいという感じを持つ人が多いと思いますが、それは水俣病で有機水銀中毒が特別な形で現れたからです。

水俣病はチッソという会社が危険を知りながら水銀を垂れ流してきたからと思っている人が多いのですが、チッソは昔「日本窒素」という一流の会社でしたから、わざと有毒な水銀を流すようなことはしません。後に水俣病と認定された最初の患者さんが病院に診察に訪れたのは1954年でしたら、その時の診断は「脳症」、つまり日本脳炎のような病気ということでした。

水銀がある程度の毒性を持っていることは知られていましたが、水俣病の原因となったメチル水銀が脳神経を犯すというところまでは知られていなかったのです。チッソは水銀がそれほどの毒物であることを知らずに排水していたといった方が正しいでしょう。人間は危険を知らなければ防御も出来ません。

このように水銀はある程度の毒性がありますが、その毒性も日本の文化日本の生活の中で使われてきたのです。それが2000年も続いたのになぜ20世紀になって水俣病というひどいことになったのかというと、それは自然の量を超えて使ったからと言うことが出来ます。

つまり、水銀が有毒という言い方は必ずしも正確ではなく、水銀はその土地の文化や風土に合わせて使えばそれほど有毒ではないが、人間が頭で考えただけの使い方は危ないということを水俣病は教えてくれます。

生物というのはその土地、その土地にある物を拒否せずに体に取り込み、何らかの役割を担わせてきました。魚の水銀が危ないということで厚生省が最近でもイギリスの例をならって注意を呼びかけていますが、その方が危険かも知れません。イギリス人の体と風土は日本人の体と風土とは違うからです。そして日本人の体の中で水銀がどのような働きを持っているか、まだ研究は進んでいないのです。

近代科学は何でも判っているようなそぶりをしますが、本当はほとんど何も判ってはいません。水銀のように研究をされたものでも、水銀を有機化合物の形で大量に摂取すると脳神経がおかされることは判っているだけです。本当の食の安全は非常に難しい・・・「これを食べれば健康になる」「あれは毒物だ」という断定的な判断は必ずしも食の安全にはつながりません。

…(後略)…
(C) 2007 武田邦彦 (中部大学) 引用はご自由にどうぞ
http://takedanet.com/2007/04/post_b55b.html  
以上 2011.4.8 現在掲載内容

【コメント】
 ウイキペディアにすでに公開されている内容、またリサイクル問題などでの氏のデータの扱いを見ていると、どうも、氏は自分の文章をフリーにすれば、他人の著作権も無視してよいというお考えのようである。(武田氏に対する抗議活動→ 古紙問題市民ネットワーク  PETボトルリサイクル協議会
 要するに、氏は自説を一方的に流布したいだけなのだろうか? 
 上掲の水俣病に関する記述も情緒的な文章で、読みすごしてしまいそうだし、科学の無力を認める一見謙虚な姿勢にも見える。だが、それでは終わりそうもない問題点が散見される。同氏の、“被害が発生して初めて既知の知見となる。それが近代科学というものだ”、というような内容の言説は、政治的には、「警告し、予見する科学者」の声を否定する効果につながりかねない。被害が発生した後に、やはり危険でしたね、では、彼のいう科学や学問は、カナリヤの声を押し潰してまで危険行為を強引に続ける組織体を支える下請け技術者といったカテゴリーに集約されてしまうのではないだろうか。
































































▲ページTOPへ 戻る
---------------------------------------------------------


2011.4.12 
福島第1原発 最悪レベル7 チェルノブイリに並ぶ
毎日新聞 4月12日(火)11時45分配信

 政府は12日、東京電力福島第1原発1~3号機の事故について、原子力施設事故の深刻度を示す国際評価尺度(INES)で、最も深刻なレベル7に相当すると発表した。1~3号機では東日本大震災に伴い、原子炉や使用済み核燃料プールの冷却機能が失われ、水素爆発などで大量の放射性物質が外部に放出される事態に陥っている。史上最悪の原発事故と言われた86年のチェルノブイリ原発事故(旧ソ連)と同じレベルに並んだが、経済産業省原子力安全・保安院によると、放出量は同事故の約10分の1とみられるという。

 チェルノブイリ事故で放出された放射性物質の総量は520万テラベクレル(ベクレルは放射線を出す能力の強さ、テラは1兆倍)。これに対し、今回の事故で空気中に放出された放射性物質の量を、保安院は37万テラベクレル、内閣府原子力安全委員会は63万テラベクレルと推定している。

 INESは、国際原子力機関(IAEA)が定めた世界共通の尺度。0~7までの8段階で評価する。数値が大きいほど深刻さを増す。INESでは、数万テラベクレル相当の放射性物質の外部放出がある場合をレベル7と定めている。

 安全委員会は11日、福島第1原発事故について、発生当初から数時間、1時間当たり最大1万テラベクレルの放射性物質を放出していたとの見解を示した。今回の事故では、計測機器の故障のため、原発から放出された放射性物質の総量は分かっていない。安全委は原発周辺で計測された放射線量などから、事故直後から4月5日までの間の大気中への放出量の逆算を試みた。各号機ごとの放出量は特定できていない。

 保安院は3月18日、福島第1原発1~3号機の暫定評価を「施設外へのリスクを伴う事故」のレベル5と発表していたが、今回の事故は数時間の放出でレベル7に相当すると判断し、評価尺度を引き上げた。

 原子力施設の事故を巡ってはこのほか、炉心溶融が起き、放射性物質が外部に放出された79年の米スリーマイル島原発事故がレベル5。国内では99年のJCOウラン燃料加工施設臨界事故がレベル4で最高だった。【河内敏康、八田浩輔】

▲ページTOPへ 戻る
-----------------------------------------
-------------------

2011.4.12
「レベル7」を受けての「専門家」のコメント

 東京電力の松本純一原子力・立地本部長代理は「事故の様相が違うとはいえ、放射性物質の放出量はチェルノブイリに匹敵、または超えるかもしれない。」と述べたという。

産業公害の構図。その見事な復活

 この一ヶ月もっとも重要な局面で、とことん、事態を見誤っている。今後も事態を見誤らせていくのだろうか。過去に学ばない習慣はかならず、それを繰り返す。
 情報を開示せず、異なる分野の専門家や、市民サイドで活動する研究者、従来の政策に批判的見解の人々の知恵を借りようとせず、国民をなめて、狭い世界の関係者だけで表向きうまく立ち回ろうとする戦後からの一貫した癖が大失敗し、深刻な事態を招いたのである。旧来のさび付いたやり方を撤回して、思考方法を変え、真因究明と責任を果たすことが出来ないところから導きだされるのは、命を単純に定量化して国民を統治しようという発想である。その源泉には、あるものは、産業公害を終わった話として過去物語にし、べつのあるものは、それを餌にして芝居がかった対決の構図を売り物にしながら権力を志向してきたという全体の腐敗がある。そのツケが一気にふきだし、巨大公害多発の時代に舞い戻った感を見せている。

 保身や政治的経済的利害関係にのみ目が行き、目先の富を最優先する発想から抜けきらない時代生活の果てに醸成されたところの、「国民の命に対する不誠実で怠惰な思考方法」こそを問題にすべきではないだろうか。すべての日本人がこの半世紀の経済的繁栄と成功の影に拡大してきた負の側面を直視する必要があろう。
 次の基準や政策に影響を与えるのは今後の国民の世論である。その世論の目くらましになるような「専門家のあいまいな一言」や「チェルノブイリと単純比較しての一喜一憂」というごまかしや「政治の点数稼ぎ」の醜悪な実態が、批判的視点なしに洪水のように流されている現状は憂慮に堪えない。


官製アナウンスが信頼されない本質的理由。信じがたいやりとり。

・キャスター: 「なぜ今急にレベル5から7へ上がったのでしょうか?」
・原子炉工学専門家:「(事故を起こしているのは)4基ありますからそれを合計したんでしょう」(…)
・キャスター:「そんな…最初から4基あるのはわかっているでしょう。いまさら4基あるからっていうのは…(絶句)…」

 誰が見ても戯画的である。
 枝野長官にいたっては、昼の報道番組で、「チェルノブイリと同じになってしまったが、経過も形態も違うことになる」「健康被害をださないようにする」といったような内容をコメントした。枝野氏が計算づくで発言していないとすれば、なおのこと危機感を感じてしまう。
 ある事故の見かけの形態が他の事故と異なるのは当たり前だ。健康被害は数十年後に確率的被害としてもちこされる可能性が高い。放射線障害に特段厳しいとは言えないICRPでさえ放射線による晩発性疾病発現の確率的影響について、しきい値なしでの正比例直線的増加説を支持しているのである。
 放射能汚染事故において、急性の被害を出していないことをあたかも成果であるかのように強調するという姿勢は、後遺障害を無視するか軽視する姿勢に直結するメッセージ性を持ちうる危険なアナウンスだ。政府は、今後の晩発性疾病の発病可能性に対応しようという用意(策)も危機感も、もしかしたら無いのではないかという疑いにつながる。良識ある国民はそれこそをもっとも恐れているというのに…。政府のアナウンスが信頼されない根本的要因はここにある。これは産業公害事件で実証済みの古くて新しい教訓だ。
 「東電の広報マンの仕事を代行しているだけ」と一部で揶揄される政府幹部が、国際基準を口にしながら、鎖国意識に迷い込むなかで、「大連立」がうわさに上るのも解せない話だ。

他局ニュースでも摩訶不思議・横並びのやり取り。

・アナウンサー:「なぜ今急にレベル5から7へ上がったのでしょうか?」
・回答者:「4基ありますから。でも必要以上に心配することはないでしょう。冷却し続ければ爆発しないでしょう。チェルノブイリに匹敵することにならないように続けているわけです」


 この回答者は、「的確な心配」ができる方のようだ。ならば、「必要な心配」とはいったい何なのかを的確に説明してもらいたいものである。それこそが理解できず、解決できずに多くの国民が苦しんでいるのではないのか。 
 畳み掛けるように回答者が続ける。「これからは一言で簡単に説明できる専門家が必要」「このままうまくいけば大事にはならないが、今後放射能漏れが起きたら、また発表がありますから」「逃げるかとどまるか個々人が自分で判断できるような情報がほしい」

 このような傍観者的発想と自己責任論でこれまでやってきたから、国民が被害を受けているのではないのか。

 かつて森永事件では、後遺症に苦しむ被害者の親が子供を連れて病院を訪れると、「おなかをポンと叩かれて、一言、“風邪”です、と言われ追い返された。被害者の親は、どこの病院にいっても、とりあってくれなかった」。この「追い返し」を原因企業の社史に公然と自慢げに書き連ねている有名大学の御用学者もいる。
 
 こういう「一言」を、二度と繰り返してはいけない。

 わが国は、食品の全国規模にわたる大規模汚染事件を、いまだに、かたくなに、“公害”とは認めていない国である。「食品公害」という文言は、マスコミ用語としてはかつて時々登場することがあっても、国の言葉としてはまったく存在していない。食の安全は戦後一貫して公害防止行政の範疇外に置かれたままである。この悲しむべき、驚くべき事実も、国民にはほとんど知らされていない。このような食の安全に対するあまりに遅れた行政意識が放置されたままで、“食の安全”をいとも簡単に口にし、不祥事のたびに糊塗策に終始している姿勢のもとでは、形と場所を変えて、まじめな生産者や消費者に理不尽な災厄をもたらしているし、今後も確実にもたらし続けるだろう。

各事業者は、独自の品質検査と説明責任の確立を。

 国が決めた基準値以下なら何の問題もないのではないか、という、「しきい値」的な発想でもって、それを恣意的に操り、説明責任を放棄し、「権威」でもって一方的に「統治」しようとしたのが、国民の本能的疑問や危機意識、消費者意識と大きな乖離をみせている。日本は被爆国であり、放射線の効果と恐怖について知る市民は多い。
 事業体は、消費者の良識とそれを前提とした購買欲求に依拠して商品やサービスの提供をしているのである。生産者は、すでにリスクコミュニケーションにおいて大方の信頼を失っている政府のアナウンス効果などに頼らず、独自の検査体制と検査網を構築し、消費者に信頼されるに足る良識ある科学者の見解に基づいて、より安全なレベルを設定し、細かな説明責任を果たす必要があるだろう。その上で、独自に市場動向を見極めるのである。生産者があらゆる見識と情報を集め、生産者自身が自信と信念をもって市場に安全な商品を送り出す姿勢を確立する必要があろう。消費者を守る行動を生産者が独立して発揮することが、このような事態では必要だろう。
 ましてや、ビジネスと無縁な場所で、責任逃れに汲々としている御用学者や中央政治機構構成員に大きな期待をしてはいけない。かつて公害発生の原因企業が被害者を捨て置き、自分だけの生き残りのために政治家を悪用して国民をだまし続けた時の負の手法が登場しているからである。
 原因者でない形で、被害をうけている事業体は被害者であり、原因者の論理で行動するのではなく、被害者の気持ちを共有する形で行動する必要があろう。まず、生きた実践を基礎に、消費者に信頼される事業活動の継続モデルを新たに模索し、事業継続プランを再構築しなければならない。そのような実務遂行能力は、市民・民間の知恵にしか存在しない。有名人などをあてにしてはだめである。消費者は半世紀前よりもずいぶん賢くなっているのだから。


現況の特徴と今後への危惧

 1.国民の生命を守るという前提から、早い段階で、危険性を素直に認め、被災者の救済を最優先に具体的に考えるという誠実で合理的発想に立たず、電力は絶対なり、東京は絶対なりの思想で、はじめから海と地下水、土壌と空気中に汚染物を垂れ流すという前提で対策を進めてきた。

 2.災害や事故に対して正確な事実の究明に基づく対策を広く開かれた市民や研究者からの助言をもとに考えるのではなく、取り巻き勢力の利益確保や、政権の延命や、ここぞと群がる有名人を使って国民をむりやり納得させようとする権威主義の発想と、それへの国民の反発を次の政権奪取の好機ととらえるだけの腐敗した諸政党の政治の存在。この状況下では、現実直視が必須となる科学的で合理的な対処は困難である。初期に見られた街頭演説風のコメントしかり、「対立野党」の一部にも見られる、“ほら見ろ我が党の主張が当たった”的振る舞い、“今が我々の出番”といった傘下組織へのプロパガンダも同根。国民・被災者の救済は、党利党略的売名行為のつけたしに堕している現状は、クライシスマネジメントにおいて、政治への期待はいたずらに時間を無駄にしてしまうことを示している。

 3.数々の産業公害、産業事故の歴史的経験の教訓を元に、緊急事態で何が必要とされるかを平時からほとんど考えてこなかった悪習が蔓延している。そこには、戦後以降一貫して、過去はすべて終わったもので、教訓を継承しようという意識に著しく欠けるこの国の風土がある。「起きてほしくない」という願望を、カナリアの声を圧殺してまで現状認識にしようとする戦前からの悪しき発想は、あいまいな戦後処理で決定づけられ、思想化し、「日本文化」の称号を与えられて大手を振って脈々と継承されるに至っている。それによる国家としての損失も甚だ大きいが、その潜在的損失・逸失利益に関しては見てみぬふりをして直視しようとしない。

 4.現場に立ってものを考え、現場の泥臭い現実から出発し、事態に直面する人々のありのままの現実と声を集約し、そこから出発して考えようとしないデスクワーカーの発想が社会の隅々にまで蔓延している。摩擦とその克服の先にある新しい解決を獲得しようとせず、予定調和を優先させる思考。こういった、手間と労力のかかる現場仕事を徹底的に忌み嫌う現在の政治と官僚機構の悪しき習性とそれにぶら下がって生活してきた一部の傾向の名残は大規模産業災害、公害などの緊急事態対処には致命的な障害となる。

 5.知的作業、実務作業の両面における怠惰な姿勢はいつも、どん詰まりの事態悪化をもらたすが、その直後から責任回避の工作も同時に始まる。御用学者や有名人の名前を並べた委員会を使って、一見もっともらしい数値と分厚い報告書をみせびらかし、当事者や被災者集団との合意形成のプロセスを省略し、権威と権力でもって無理やり市民をねじ伏せようとする物の考え方。

 6.これらの姿勢は、悲しいかな、事態の過小評価を絶えず生み出す。その政治目的は(だれかれの個人的意図とは別に)政策変更への抵抗と、将来予測される人的被害(いわば後遺症、今回では晩発性障害)への過少評価と責任回避である。

 7.事故・災害の進行中から、証拠隠滅も同時に進められる。事態が安定したあとには(今回はかなりの時間が必要となるが)収束宣言がだされ、メディアの追跡取材や調査報道も減少し、被災地や被災地のその後に続く窮状の潜在化は覆い隠されていく。とりわけ健康被害の証明努力は、被害者側に課せられ、泣き寝入りを迫られる。今の緊急事態の裏で、真因・背景の解明、それに基づく対策・政策の変更、それらもろもろを阻止するための画策がすでに始まっている。情報隠蔽がこれほど露骨化し批判を浴びても、お構いなしといわんばかりに変化がみられないのは、原因者が、今後の対策にすでに手を打ちはじめていることの証左である。したがって、市民は、現状の経過を正確に記録し、将来へむけて歴史資料として残していく必要がある。




 原子力安全委員会が、「3月23日の時点でレベル7に相当するデータをもっていたが」「評価するのは保安院の仕事」(毎日新聞4.13)と、早くも責任逃れを画策している。  一方、原子力委員会の委員長は「絶えずリスクを下げる努力をしながら(推進する)政策を進めていく」(同紙4.13 3面「推進政策変えず」)と発言した。
 かつての公害事件とのわずかな違いは、都市住民が農漁業の生産地にもっとも危険な発電所を置いて、そこから豊かな電力を基礎とした生活を築き、いざというときに電力供給地に壊滅的打撃をおしつけても、「がんばってね」という声援を送るだけで、危険地帯には「自己責任での退避の選択」を押し付けるという現実である。
 「天罰」を言うくせに、浜岡原発などには関心ないという知事が何度も再選され、原発事故のニュースのあとは、決まって電気が足りないと危機感を煽るニュースがくっつく。これではアンケートをとっても、当面原発は必要、となるだろう。一種の世論誘導を意図した仕掛けが進んでいると考えるのは、邪推だろうか。

 この歪んだエゴイズムが国全体を覆う中では、米軍基地の移転問題なども期待できない。これまで、与党政権を一見口汚く批判してきた野党も、軒並み内部は腐敗している。腐敗していても、政党政治の存在は重要だ。投票や、政権交代は議会制民主主義の必須条件でもある。だが、どこかの政党に一度政権を握らせてみれば、あとは政党や政治家が社会を変えてくれるのではないか、と期待するのは安易に過ぎるし、それは民主主義ではない。ドイツのナチスは合法的な選挙で政権を握って全体主義を実行した。情報を公開せず、隠すことにためらいを見せない政治は、いかなる看板を掲げていても信用してはいけない。市民の一人ひとりが日常生活の中から民主主義を実行し、タブーを恐れず、是々非々の議論をし、その過程のなかで苦労をしながら変わっていかなければ、この国は何も変わり得ない国となる。

 産業公害事件のときに隠蔽工作で活用した手法を見事に復活させ、国民は憤りを隠せないでいるが、社会諸機関の機能は十分によどんでおり、問題はどんどん先送りされている。歴史に学ばない習慣が、同じ過ちを、より大規模に、別の形で再現しているに過ぎない。

▲ページTOPへ 戻る

2011.4.18
風評被害対策」の努力に、こっそり浸透する「低量放射線礼賛」説。その真の意図は?

 この数週間、風評被害をなんとか防ぎたいという関係者の努力の中に、こっそりと「どうしたって放射線は怖くない」「まったく放射線は怖くない」「放射線は体によい」という独特の言説を広めたい向きが紛れ込んできている。曰く、「チェルノブイリ事故では甲状腺ガン以外の発ガン患者は一人も報告されていない」などという言説を流布する「学者」である。彼らの特徴は、科学的に立証されていない「ホルミシス効果」を、それが放射線への基本認識である「べき」であるかのように声高に主張することを特徴・背景にしている。この言説のよりどころはというと、少々アバウトになるが、「ラジウム温泉」を愛好する一部の人の嗜好や必要性によるところが多い。その一部の習慣を拡大解釈して、放射線の影響を過少評価してはばからないのが、最近にわかに生まれている動きである。これが、放射線への世界的な警戒感となじまないものであることは、ラジウムへの警戒感が日本と米国ではかなり食い違うことを知っている人や、「ホルミシス効果というものの実態」について丹念に調べた人では既知の事実であり、以下の文献でもそれは明らかである。

 低線領域におけるホルミシス効果を強調することの問題点について「NPO法人 市民科学研究室」の「低量線被曝研究会」が訳出している論文「低線量放射線被曝のリスクを見直す」 や、「BEIRⅦ報告書 【翻訳】 一般向けの概要」が詳しい。(BEIRV:米国科学アカデミー研究審議会「電離放射線の影響に関する委員会:Committee on the Biological Effects of Ionizing Radiation (BEIR)」

 福島の事故直前まで、世界中へ原発技術を輸出しようと息巻いていた日本では、「風評被害云々」とは無関係に、ICRPの「しきい値なし直線仮説」等を厳しすぎると攻撃する向きが、これまで大手を振っていた。まるで、世界基準を日本が変えてやるといわんばかりではないか。
 それでは、ICRP基準が世界で有数の厳しい基準値かというと決してそうではない。欧州放射線リスク委員会(ECRR)は、逆に、ICRPの基準値がゆるすぎると批判を加えており、ICRPは「中ほどを取っている」というのが実際だろう。ICRPの判断を厳しすぎるという指摘を加えることは自由だが、その人々の中には、大きな不特定多数の母集団に対して現れる放射線の確率的影響には決して責任をとりたくないという、「ある特定の立場」が紛れ込んでいると考えられる。

 ちなみに、電力関係者は、とくに「低線量被曝」に関して大学研究に資金を与えることに熱心なようだ。どうも「ホルミシス学派」として体裁をとりつくり、「低量放射線の影響には諸説ある」というイメージを形成し、百家争鳴状態に持ち込み、国際的な発言権を得ようとしているふしもある。長崎大学ではそれが過去に批判でつぶれたようだが、詳細は公開されていない。大学も情報を公開しない閉鎖空間のようだ。だが、資金を出す電力会社は、東電だけではないだろう。全国にはたくさんの電力会社があるから、「明日はわが身」とばかりに布石を行い、防衛線を張り巡らせるとしても、企業としてはそう不自然なことではない。利益を求める企業家としては一通り、そういうことは考えてみるものだ。がそこで良心の呵責に悩んで思いとどまり、また、社員からの指摘に耳を貸し、正常な軌道に戻る企業家のほうが圧倒的に多いものである。

 問題は、「事実を冷静に観察し、真実をありのままに直視している」と庶民が期待しそうな専門研究者が、実は、きわめて人間くさい生き物であり、金と名声と権力に目がくらみ、資金を大企業に求めることである。また、そうせざるをえなくさせるために、大学へ過度な競争を持ち込み、研究者の尻を鞭で叩くシステムをつくる。(ただし、御用学者はいつの時代にもわんさとおり、単にシステムが生み出すわけではない。最終的には科学者としての資質であり、その根底には真実への誠実な姿勢、さらにその根底には、人間にとっての科学とはどうあるべきかを深く考えてみる姿勢である)

 最近、「放射線に正しい理解を」というキャッチフレーズで、「低量放射線は体に良い」という言説を声高に主張(しかも人によっては見た目にもお下劣に)する研究者には、都合のよいデータだけを取り出してきて、恣意的な主張を展開するという点で、一見理科系的にみえるが、実は極めて非科学的で不誠実な姿勢がみえる。

 そのような考え方に基づいて動く方々が、なぜかしら、低線量問題に絡んだ形で、“チェルノブイリ事故は実はたいしたことはないのだ”といわんばかりに長年にわたって主張している「専門家」と同一人物であったり、或いは、歩調をそろえているようにみえる。

 そのような「専門家」が、「風評被害対策」の各種メディア企画のなかに、ここぞとばかりに、わき出てきている。その動向を、早晩問題となりえる放射線被曝影響調査(政府が責任をもって実施するのかどうかは不明だが)での後遺障害への補償責任問題に関して、何者かがすでに手を打ち始めている(世論操作)動きかもしれない、と捉えるのは邪推だろうか? すくなくとも森永ヒ素ミルク中毒事件ではそれが国家規模で行われ20年近くにわたって「成功」した。現在では、それがより手の込んだ形で、心理戦の様相を呈しているようにもみえる。

※森永ヒ素ミルク中毒事件の前史→pdfファイル参照
※森永事件初期の大学研究者の問題点については、能瀬英太郎氏の「森永ミルク中毒事件~発生から50年~」(pdf)(link free)にも昨今の事態との類似例が示されている)

 「風評被害」防止という確かに必要な対策が、それらの者たちの隠れ蓑にされているとしたら、また、被爆地の大学の被曝医療関係者に対して、しきりに低線量研究の寄附講座の打診が電力関係者によって行われてきたという経緯を踏まえるならば、メディアは、表向きの肩書に目を奪われることなく、警戒心を大いに働かせる必要がある。

意図的に忘れたフリをしている国際報告の骨子

 彼らがもし、どうしても、「チェルノブイリ事故も騒ぐに値しない」と言いたいならば、「あの事故に関しては国際機関の正式報告でも数千人規模でのガン死が今後の確率的被害として予測されている」と、その報告の全容をセットで正しく述べるべきだろう。

 2005年のIAEAによるチェルノブイリ事故評価の国際会議(ウィーン)では、20年間の事故影響研究をまとめて、放射線被曝にともなう死者数を、将来ガン死する人の予測値を入れて3940人であると報告した。ミソは、それが「予測値」であるということであり、予測の確率をどう設定するかで、数字はいかようにも変動しうる。つまり放射線障害や原子力への「政治的立場」でかなり変動しうる要素をもつものであり、このIAEAによる報告には、関係国から厳しい批判が寄せられ、一種恥ずかしい報告書と化している。それを裏付けるかのごとく、2006年のWHO報告ではガン死予測が、9000人となり、IARC(国際ガン研究機関)では16000人となった。グリーンピースは93000人という数字である。(出典:京都大学・今中哲ニ氏「チェルノブイリ事故による死者の数」)

 なぜか? これは簡単なマジックで、基本は、調査対象の母集団をどれにするかで桁までが違ってくるのだ。IAEAは、対象者を最初から、除染作業従事者と30キロ圏内、高濃度汚染地域居住者に絞っていて、それに被曝1Svあたりのガン死確率約0.11というものを設定し、予測を計算で出しているのである。そしていうまでもなく、IAEAは、はじめから原子力に好意的な機関である。(原子力にいかに好意的であっても、日本のような地震の巣が集中するバックグラウンドでは原子力には好意的になれないことが今回判明したと思うのだが…)

 チェルノブイリ事故評価では、2005~2006年にかけてIAEA以外でも、ベラルーシ、ウクライナなどで、国際検討会議が開催された。当然被害の想定は大きいものになった。ところが、IAEAとは異なる大きい数字を発表した機関に対して、「研究費の助成をもらいたいからだ」と毒つく、原子力推進研究者による「科学的な装いのレポート」までが、わが国には存在する。

 しかし、そいうった品性疑問の論文なども、敢えて先入観をもたずに読み、いろいろな報告書やアセスメントを見ればみるほど、結局、放射性物質拡散事故における晩発性疾病・障害の認定は「ごまかし得(どく)」がいまだに大手をふっている世界だという印象が残るのである。とすれば、放射性物質の被害に関しては、市民は「浴び損」になるのではないかという警戒心を、市民自身がもっていても不思議ではない。とくにチェルノブイリでの被害は「軽い」といいたがる一部「専門家」の論文は、数値を都合よく組み合わせているだけで、科学的姿勢が感じられないどころか、ほとんどプロパガンダ(宣伝扇動)文書の様相を呈している。それを、欧州も米国も、そして最近は、日本の市民も直感的に感じている。

「風評被害防止」を隠れ蓑にして、「放射線など恐るるに足りない」などという「学者」を跳梁させてはならない。

 風評被害に関して、被害をもたらしている原因を、危機感を「必要以上に」(?)抱く市民のせいだとか、「無知で科学的知識の欠如した」市民のせいだと短絡的に決め付けるフレームワークも一部で登場している。その異常な展開も、産業公害の経験をもつ市民には、あらかじめ予期されたことでもある。(曰く、かつては、「添加物なんて気にしていたら何も食べられないよ」という世論への仕掛けであり、食の安全に不熱心な行政とそれに加担する御用学者に抵抗しきれないことを前提とした「諦観のわな」である。実際、それに影響される人は今でも多い。もちろん、すべての添加物や流通経路を市民が知り尽くすことはできないし、仮に知っても、だからといって、商品を拒絶することはできない。だが、一方で思考し続ける必要がある。だが、「諦観のわな」に束縛されると、思考そのものを停止してしまうのである。
 
 さんざん官製発表に振り回されてきたことへの一遍の反省もなく、生産者・生活者の困惑をたてにとって放射性物質の危険性を過小評価する学者を、意図的に動員し始めている向きがあるとすれば、国の将来を担う子々孫々への責任感を考える時間を取ることをお勧めしたい。生産者は、消費者に怒っているのではない。汚染物質を撒き散らした者たちに怒っているのである。そして、原因者と癒着して原発を世界に輸出することで電力会社のご機嫌をとってきた思考から抜け出せない危機感のなさが、すべての政治判断を先延ばしにし、住民や生産者に「勝手にしてくれ」というむごい自己責任論をおしつけたのである。そのあとから、「すぐには影響はないが…ずっと続くと問題かも」が始まった。原発事故の中間的収束のめどもまったく立たないうちにである。


差別:「弱いものが、さらに弱いものを叩く」 のはなぜか?


 原発被害にさらされている現地住民は、政府のあいまいな態度で、いよいよ混乱させられている。
 泥縄的な対応に終始する政府によって、事態をどうみてよいのかわからずに混乱する人々の中には一部だが、いじめや忌避といった悲しい差別を行うケースがある。
 そこにもっとも欠落しているのは、また必要なのは、原子力災害に見舞われた被害者への想像力だ。
 その創造力を生み出すのは、単なる放射線への断片的な理科系的知識ではない。警笛を吹く人々を排除し続け、時には国家権力を傘にきて排除しつつ、今回の原発震災を生み出し、人々の暮らしと日本の自然を根底から破壊しつつある者たちが、長年にわたってその利己的発想を推進するために構築してきた、社会的システムの全容とその問題点をつまびらかにし、それを変えようとする意思がなければ、差別や排除の思想の呪縛からは解放されないだろう。福島のあとには浜岡や伊方や、島根が並ぶかも知れないのだ。放射能は健康によいかわるいか?それより先に、そもそもこれは、他人事ではない、というべきだろう。
 
 そして、そういう危険の推進の所業への怒りと、その軌道修正に力を発揮しきれなかった、ほとんどの社会諸機関、そして究極的には、日本国民の一人ひとりの思考の怠惰を深刻に考える過程こそが今後必要なのではないか。そこへの真摯で懸命な反省なくして、断片的理科系知識を振り回し、「放射線とは」という説明をいくらしてみたところで、人々の本質的な意識は変化しない。理系知識は、「人体にとってどうか」となると、それを解釈する立場でころころ変わってくるということが産業公害の教訓からも明白だ。その歴史の痛みを忘れれば、流布する知識自体が百家争鳴・意味不明なものになる。その犠牲になるのは、第一に被害者・被災者である。

 差別行為というのは、過ちや不正行為を行う者が仕掛けているシステムや本質と立ち向かわず、逆に、その精神的奴隷になった者がおこなう象徴的行為であり、両者はメダルの表裏である。これはすべての差別行為に共通してみられる傾向である。(時には被害者が被害者を叩くケースや、政府批判を生業にする勢力の隠蔽された不正行為も、同じ源泉に依拠しており、許されないことだ。)

 ましてや、それに対する方策といいつつ、原因者にぶら下がってきた「専門家」を連れてきて、原因物質を社会的背景から切り離して単独で取り上げ、その過小評価でもって「下々のもの」をなだめようとしたり、その行為を「美談」として宣伝するのは本末転倒もはなはだしい。「浅はかに過ぎる」を通り越して、「何らかの背景意図」を警戒してしまう人々が多いのは当然のことだ。
 産業公害隠蔽に手を貸してきたあらゆる勢力に見られるもうひとつの歴史の教訓であるからだ。
 
 良心的な動機から、言説の構築をはかる側も、産業公害の痛みやその歴史的教訓から断絶されているようである。

 その言説が、もっとも見落としていることは何か? 単純である。かつて、市民団体である森永告発の人々が語っていたことでもあるが、弱い人間ががさらに弱い人間を叩くという悲しい行為の背景には、大きいものへの隷属があるという事実だ。この単純かつ深刻な悲劇から生み出された経験を日本人はいつから忘れてしまったのか? 歴史継承の努力に極めて不熱心で、場当たり的騒動を繰り返しているわが国に特徴的現象である。
 
 動機は良心的であろうとも、折衷案はあっても、決断はない。したがって、問題の解決には向かわない。これでは、一般世論のねじれはもとより、現地住民はいたずらに翻弄されてしまうばかりである。組織への「忠誠心」を錦の御旗にして、改善の方向性を議論・提示する人々を押しつぶし、予定調和のぬるま湯につかりつづけ、おびただしい「ゆで蛙」を生み出し続けているこの国のあしき習性である。


再度 「しのびよる御用学者」

 このような現状を放置したうえで、生物としての危機感から慎重な姿勢を取っている生活者を、まるで生産者に対する加害者であるかのように、投網をかけるような形でイメージづけてしまう効果をもたらすかもしれない歪曲されたキャンペーンが一部で始まっている。

 そして、ここにつけ込んでいるのが、「長年にわたって」原子力擁護の立場から放射線の影響を常に過小評価し続けることを生業としてきた一部の放射線研究の「御用学者」であろう。そういった向きが、まさに、生き残りをかけたかのように、「風評被害対策」の旗印に隠れて登場してきている。

 チェルノブイリでは、数十万人という膨大な人口が避難した。事故処理に当たった作業員も203人が入院し、30人以上が死亡した。疫学調査では調査対象の母集団が一定地域から短期間で拡散してしまうと、その厳密かつ学術的価値をもつ調査自体が困難になるといわれている。これは森永事件でも明らかだ。晩発性疾病・悪性腫瘍に関しては、ソビエト体制下での貧困な調査(ソビエト政府は事故そのものを隠した)ではあまり期待できなかったし、その後のソビエト体制崩壊といった大きな社会変動は、ロシア人の平均寿命を大幅に低下させ、安定した科学的データを取ることを困難にした。

 また、放射線による晩発性疾病は、放射線以外のストレスやその他生活上の困難や食生活などからの要因との明確な区切りがつけにくく、そもそも、疫学調査による因果関係付けによる死亡者推定が難しい。涼しい顔をして安全だという向きは、これを逆手にとっている。

 歴史的文脈に目を移せば、実はこうした御用学者の積み重ねてきたごまかしの言説こそが、市民が官製アナウンスに警戒をもつ源になっていることを、すくなくとも言論人はもっと認識したうえで学者というものを捉えるべきだろう。

 一般市民は、必ずしもチェルノブイリと比較して今回の事態を考えているわけではない。にもかかわらず、必要以上にチェルノブイリ事故との対比をおこない、あえて、チェルノブイリ事故のデータを持ち出しておきながら、それに関しても、なおかつ放射線障害における晩発性疾病の「影響」を「まったくなし」と、いとも安易に言い切る人たちは、既述のようなバックグラウンドを忘れたフリをし、そもそもIAEAの報告書の予測値そのものを忘れたフリをしている。出来レースというか、マッチポンプというか、なんというのだろうか。

 再度、特殊な専門家の特徴的な言説をここに記録しておく。
「ヨウ素で子供の甲状腺がんが増えた以外に、放射性物質の影響でガンが増えたというデータはない」

 IAEAの少なめ見積もりのデータでさえ以下の内容である。

表1.チェルノブイリ・フォーラムによる総死者4000 人の内訳
これまでに確認さ
れた死者:
約60 人
放射線急性性障害 134 人のうちの死亡・・・・28 人
急性障害回復者 106 人のその後の死亡・・・・19 人
小児甲状腺ガン約 4000 人のうちの死亡・・・・9 人
ガン死者:
3940 人
1986-87 年のリクビダートル20 万人から・・2200 人
事故直後 30km 圏避難民11.6 万人から・・・・140 人
高汚染地域居住者 27 万人から・・・・・・・1600 人











出典:京都大学・今中哲ニ氏「チェルノブイリ事故による死者の数
(リクビダートルとは除染作業に従事した労働者)

 たとえ遠く離れた異国の人たちであろうとも、障害でどれだけ多くの人々が苦しんでいるのか、少しくらい想像力というものを働かせるべきだろう。子供の甲状腺がんが、その子供たちをいかに苦しめているのか、それへの想像力もなく、死者だけをカウントして「予想よりすくないでしょ」と、したり顔で評論する向きはもう少し人としての基本的な廉恥心を再建べきだろう。科学者や論説者としてどうかという議論以前の問題である。

 一次産業を守りたいという良心的な企画に、こっそりと入り込んで、それを自らの言説を広げるチャンスと捉えているのなら、自らの良心に問いかけをし、人間として出直すべきであろう。先日、元阪大のある医者が、お笑いニュース番組に登場し、あからさまに疫学を皮肉りながら「200mSvでもまったく問題ない」と涼しい顔で吹聴している番組を拝見した。いったい誰を相手に、どういう状況下で、どんな制限をつけて言い切っているのか? 世も末というべきか、いやむしろ、森永事件当時の再来だ。

(※ おことわり
4月18日現在までに表出した一連の動きの本質は、当サイト掲載論文にほぼ集約されているといえる。今後の推移が、森永事件がたどった経過をなぞるようになることだけは避けたいものである。)

▲ページTOPへ 戻る

世紀末的無責任主義。産業公害の構図が再来。この国は過去から何を学んだのか?


原発賠償、免責あり得る=報酬半減は「大変厳しい」―東電社長
時事通信 4月28日(木)16時41分配信

 東京電力の清水正孝社長は28日、福島第1原発事故の被害補償に関し、巨大災害の場合は電力会社の責任を免除する原子力損害賠償法の規定について「私どもとして、そういう理解があり得ると考えている」と述べ、東日本大震災による大津波が免責理由に該当する可能性があるとの認識を表明した。都内の本社で記者団に語った。
 また、役員報酬の50%カットを決めた東電の姿勢を海江田万里経済産業相が生ぬるいと批判したことに対し、「大変厳しい(リストラ策)と考えている」と反論。ただ、今後の対応は「未定」として、さらなる減額などに含みを持たせた。 

浜岡3号機の再開計画 中部電、7月までに
2011年4月28日 07時07分

 中部電力は、定期検査中の浜岡原発3号機(静岡県御前崎市)を、電力需要が高まる七月までの再開を前提とする本年度の業績見通しを決めた。二十八日に公表する。東京電力福島第一原発の事故後、東海地震の想定震源域に立地する浜岡原発の地震や津波対策を不安視する声は地元を中心に高まっており、再開には反発は必至だ。

 電力需要は例年、七月下旬から八月中旬にピークを迎える。3号機を再開せず、代替として火力発電でまかなった場合、経費は一カ月で六十億円増加するという。年換算では五百億円前後となり、中電の二〇一〇年度の黒字予想に匹敵する。

 東日本大震災後、中電は原子力安全・保安院の指示で、高さ十二メートル以上の防波壁の設置や、非常用発電機を二階屋上にも設置するなど総額三百億円の緊急対策をまとめた。保安院は二十一、二十二日に立ち入り検査を実施、今月中にその妥当性を評価する見通し。

 本紙の取材に、中電幹部は「緊急対策はあくまで『安心』のためで、現状も『安全』は確保されている。丁寧に地元に説明し、夏場までには稼働させてもらいたい」と話した。ただ別の幹部は「運転再開時期を盛り込むのは、投資家に収支見通しを示す必要があるため。実際に稼働できるめどは付いていない」とも説明。世論動向もあり、実際に七月に再開できるかは不透明だ。

 保安院の審査に通れば、3号機の再開に向けた法的な手続きは整う。一カ月の調整運転を経て、営業運転に移ることになる。

 ただ、御前崎市周辺の自治体に原発への不安感は強い。川勝平太静岡県知事は二十五日の会見で、津波の危険性などを強調し「対策が万全とは、素人考えでも難しい」と話し、現状では再開は受け入れがたいとの姿勢を示している。

 3号機は昨年十一月に定期検査を始め、順調なら、今年三月下旬から四月上旬に原子炉を再起動する予定だった。現在、福島第一原発事故の深刻化を受け、安全性の再点検のため、再開を見合わせている。

(東京新聞)

福島第1原発:「賠償は国が対応を」…経団連会長

インタビューに答える米倉弘昌・日本経団連会長=東京都千代田区大手町で2011年4月7日、塩入正夫撮影 日本経済団体連合会の米倉弘昌会長は7日、毎日新聞のインタビューに応じ、東京電力の福島第1原発事故に関する損害賠償問題に関して「東日本大震災が関東大震災の数10倍の規模に上ることも考慮すれば、東電だけに責任を負わせるべきではなく、国が(主導して)損害賠償に対応すべきだ」と述べた。原発事故の賠償を定めた原子力損害賠償法(原賠法)には原子力事業者である電力会社の損害賠償を国が分担したり、肩代わりする規定がある。福島第1原発の事故の被災者が周辺住民や農漁業者など多数にのぼり、損害賠償額が数兆円にのぼる見通し。米倉会長はこの事実も踏まえ、日本経済に不可欠な電力の安定供給体制を維持するため、国による東電支援を求めた形だ。

 米倉会長は「原賠法の目的は被災者救済と原子力発電事業の発展だ。東電は(大型の地震と津波による)被災者の側面もあり、政府が東電を加害者扱いばかりするのはいかがか」と指摘。国は東電の賠償支払いを最大限支援するか、「異常に巨大な天災地変」の場合に限られる免責規定を初適用するなどして、東電の経営を支えるべきだとの考えを強調した。

 原賠法では、国と事業者の補償契約に基づき、1発電所当たり最大1200億円分を国が負担するが、それ以上は原則として事業者が負担し、国は事業者への補助金などで支援する。ただ、福島第2原発などは大事故に発展しておらず、第1原発事故だけ免責規定を適用するのは難しいとの見方が強い。今回の事故で政府は当初、「一義的には東電が負担する」との立場を強調し、東電の賠償負担が巨額に上るとの見方から株価や社債の取引価格が暴落するなどの影響が出ていた。【山本明彦】

毎日新聞 2011年4月7日 21時42分(最終更新 4月7日 23時21分)

▲ページTOPへ 戻る


 以下に、いくつかの学術的・資料的サイトをご紹介する。   

---------------------------------------------------------------
★地震学者が14年前から警告していた「原発震災」という今回の事態 (「想定外」という名の嘘)

 神戸大学都市安全研究センター・石橋克彦教授による警鐘-「原発震災」-(大地震により、通常震災と原発災害が複合して被害が増幅し、救助も遅れ、被災者が幾重にもさいなまれる事態)は今回の事態を明確に予言したものである。さかのぼって2006年に石橋教授が辞任を突きつけた先の「原子力安全委員会」とはいったいなんであるのか、深い疑念が募る一方である。

■石橋克彦氏(神戸大学名誉教授・神戸大学都市安全研究センター)のブログ
http://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/

石橋氏は東海地震の主要震源域を駿河湾であると指摘し、東海地震のイメージを鮮明にした著名な地震学者。同氏の提言がきっかけとなり、1978年、福田内閣において、大規模地震対策特別措置法が成立したといわれる。

   同氏は原子力安全委員会専門委員を務めていたが、2006年8月に、同委を厳しく批判し
   辞任した。


  ●石橋氏辞任時の記者向けメモ ●朝日新聞オピニオン掲載記事
  http://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/bunkakai060919.html
  
  ●同氏が警鐘を鳴らした「原発震災」に関する予言的論文
  『科学』(岩波書店) Vol.67, No.10 (1997年10月号)
  http://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/9710kagaku.pdf
  上掲の他、ブログ内には示唆にあふれた論文が幾つか掲載されている。

■石橋克彦氏のプレゼンテーションファイル
Genpatsu-Shinsai:
Catastrophic Multiple Disaster of Earthquake and Quake-induced Nuclear Accident Anticipated in the Japanese Islands
Katsuhiko ISHIBASHI
Dept. Earth & Planet. Sci., Kobe Univ., Japan
Japanese new wordcoined by Ishibashi (1997)

■石橋克彦氏 (wikipedia ↓)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E6%A9%8B%E5%85%8B%E5%BD%A6


石橋克彦氏がかつて異議申し立てをした2006年8月28日の原子力安全委員会の議事録(※ 第48回原子力安全基準・指針専門部会 耐震指針検討分科会 速記録)と、それに対応した技術文書のいくつかの内容(※ 震分第48-6-1号 震分第48-6-2号)を読めば、同委員会自体がまやかしの巣になっていることは容易にわかる。
---------------------------------------------------------------

★低線領域における被曝リスクについても「警告済み」
■「NPO法人 市民科学研究室」はずいぶん前から重要な科学的検証作業をしている。
http://www.shiminkagaku.org/
市民科学研究室の「低線量被曝研究会」が訳出している論文「低線量放射線被曝のリスクを見直す」 や、「BEIRⅦ報告書 【翻訳】 一般向けの概要」は貴重かつ注目すべき学術論文である。ぜひご一読願いたい。
(BEIRV:米国科学アカデミー研究審議会「電離放射線の影響に関する委員会:Committee on the Biological Effects of Ionizing Radiation (BEIR)
---------------------------------------------------------------
原子力災害(原発事故)関連情報


■原子力資料情報室(CNIC)
http://cnic.jp/  ウイキペディア解説
 2011.3.25 19:00- 日本外国特派員協会 CNIC記者会見
 http://www.ustream.tv/recorded/13556497

■JCO臨界事故総合評価会議報告書
「JCO臨界事故・3年後に見えてきたもの」2002年9月発行
http://cnic.jp/jco/jcac/reports/2002/pdf.html
同事故の深刻な教訓を詳細に解明。同時に、原子力安全委員会とそれが組織した事故調査委員会の実態を指摘している。トヨタ財団の助成を受けて実施された調査プロジェクト。。

---------------------------------------------------------------

■黒部信一医師のブログ


放射線が人体に与える影響について、医師の良心に基づいて、その危険性への警鐘を鳴らしている。
チェルノブイリ子ども基金顧問、小児科医として、学校のX線検診をやめさせる運動にかかわった経験から、わかりやすい解説が掲載されている。

http://kurobe-shin.no-blog.jp/bk/


---------------------------------------------------------------

■京都大学原子炉実験所・今中哲二氏を代表とするプロジェクトチーム
(遠藤暁・広島大学大学院工学研究院  静間清・広島大学大学院工学研究院 菅井益郎・国学院大学 小澤祥司・日本大学生物資源科学部 浦上健司・日本大学生物資源科学部・飯舘村後方支援チーム)
3月28日と29にかけて飯舘村周辺において実施した放射線サーベイ活動の暫定報告(2011年4月4日)   【英語版】pdf
---------------------------------------------------------------

■京都大学原子炉実験所 原子力安全研究グループ
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/

---------------------------------------------------------------

■横浜農と緑の会
http://www18.ocn.ne.jp/~hamanora/index_hamanora.html

みまもりファームの栽培日記
「降り積もった放射性物質が再度飛散の可能性。花粉対策と同様に対応」
http://hamanora.blog.ocn.ne.jp/kaiin02/

---------------------------------------------------------------

■子供への対応や被ばく対策医療について。
 「緊急被ばく医療研修」のホームページ。医療関係者向けマニュアルも掲載。
http://www.remnet.jp/index.html

【ご注意】 上掲サイトの「多く寄せられるお問い合わせ等」コーナーでの
日本原子力技術協会最高顧問 石川迪夫氏寄稿(電気新聞記事(2011年3月18日)記事には
多くの疑問点が散見される。とくに事実関係(個別・全体含め)の正確な把握ができない情勢下で、チェルノブイリの事故プロセスと単純比較して、それとは異なる側面を指摘しつつ、一転・否定し、事故の本質的部分の重大性を過少評価する論理展開には根本的な疑念を感じる。プロセスは、構造や環境で当然のことながら変化するが、それが一致しないからといって、被害の甚大性や危険性が低いことにはならないからである。

(※ 同氏の推論が謝りであったことは、その後の一連の経過と事実で証明された。 6月1日現在記す)
---------------------------------------------------------------

■広島の中国新聞社が、世界の主要な核事故についての連載をweb公開している。
  「21世紀 核時代 負の遺産」
http://www.chugoku-np.co.jp/abom/nuclear_age/index.html

■英国 「The Telegraph」
Japan nuclear plant: Just 48 hours to avoid 'another Chernobyl'

ルポルタージュ研究所
http://www.rupoken.jp/
2つのお知らせがあります。
 2007年7月の東京電力・柏崎刈羽原発「震災事故」をルポし、原発立地を推進する御用学者の欺瞞的手法を暴いた『原発崩壊―誰も想定したくないその日―』を緊急電子化出版いたします。すでに当HP内にアップいたしました。
SHOPページ また、明日3月19日(土)発売の集英社『週刊プレイボーイ』の巻頭特集で、福島原発での事故発生直後からの活動を報告しております。福島原発で発生した「原発震災」は今もなお予断を許さない状況が続いておりますが、今後の皆様の行動の一助となれば幸いです。

---------------------------------------------------------------

■グレゴリー・クラーク氏の日本論
「放射能溶融と日本の文化 」
http://www.gregoryclark.net/jt/page82/page82.html

---------------------------------------------------------------
■全漁連(全国漁業協同組合連合会) 
http://www.zengyoren.or.jp/
↓国と東京電力への抗議文 2011.4.5
http://www.zengyoren.or.jp/oshirase/pdf/toudenkougibun.pdf

▲ページTOPへ 戻る

---------------------------------------------------------------
モニタリング&地震津波情報

■岡山県緊急情報
http://www.pref.okayama.jp/

■岡山県環境企画課
http://www.pref.okayama.jp/soshiki/kakuka.html?sec_sec1=238

■都道府県別の環境放射線量のモニタリング集計データ(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1303723.htm

■文科省の東北地方太平洋沖地震関連情報
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/index.htm

■文科省 福島第1及び第2原子力発電所周辺の簡易型線量計を用いた固定測定点における積算線量の測定結果
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1304002.htm

■文科省 福島第1及び第2原子力発電所周辺の放射線量等分布マップ
福島第1及び第2原子力発電所周辺の放射線量等分布マップ[平成23 年4 月24 日時点]  (PDF:726KB)

■気象庁 地震・津波情報
http://www.jma.go.jp/jma/menu/eqmenu.html
  気象庁パンフレット「地震を知る」 (14.76MB)
  http://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/jishin0903/jishin-all.pdf
--------------------------------------------------------------

■首相官邸災害対策ページ
http://www.kantei.go.jp/saigai/

■SPEEDI
(文部科学省 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による計算結果
http://www.nsc.go.jp/mext_speedi/index.html
5月2日になってこれまで非公開にしていたデータ数千件を5月3日から公表すると発表。

4月14日までに1回しか公開されなかったデータ↓

http://www.nsc.go.jp/info/110323_top_siryo.pdf

■原子力安全委員会
http://www.nsc.go.jp/

■原子力安全・保安院
http://www.nisa.meti.go.jp/

■東京電力
http://www.tepco.co.jp/index-j.html

 福島第一原子力発電所構内での計測データ
 http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/

 福島第一原子力発電所サーベイマップ
 http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/index3-j.html

 東日本大震災後の福島第一・第二原子力発電所の状況
 http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/
---------------------------------------------------------------
海外のエネルギー調査研究機関・報道

■ieer
http://www.ieer.org/
■U.S.NRC
http://www.nrc.gov/about-nrc/radiation/around-us/doses-daily-lives.html
■U.S.EPA
http://www.epa.gov/radon/healthrisks.html


■reuters
http://www.reuters.com/

■The Telegraph
http://www.telegraph.co.uk/

NuclearBailout.org
Nuclear power is uneconomical. Nuclear power is polluting. Nuclear power is a public health threat.
http://www.psr.org/nuclear-bailout/

--------------------------------------------------------------

■書籍紹介
専門家によるレポートはCNICのサイトに豊富
以下は書店で購入可能な書籍の一部をご紹介する。

広瀬隆 「 原子炉時限爆弾 大地震におびえる日本列島 」
ダイヤモンド社 2010年8月26日刊
(想定している規模は多少異なるが、シチュエーションとしては今回の事態を半年前に予言したかのような内容。前述の石橋克彦教授の警告を受け止めている。浜岡原発に関しても緊急に再考・停止すべきであると警鐘を鳴らしている)




▲ページTOPへ 戻る
--------------------------------------------------------------

■内閣府原子力委員会が原子力政策に対する国民の意見を募集
国民の皆様からのご意見募集について(HP入力 及び 郵送・FAX)
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/tyoki_oubo.htm
過去のご意見・ご質問
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/qa/iken/index.htm

原子力委員会が国民の意見を参考にして基本政策を策定し、不断の改善をしているとはみえない。むしろ世論対策程度に考えている可能性もある。だが、それでも市民は、意見を提示する必要があるだろう。委員会が無視しても、意見提出の過程で市民がじっくり調査・研究し、考える努力のほうが貴重である。また、パブリックコメント制度があろうがなかろうが、政府のあらゆる機関への自由な意見表明の権利を、市民は常時有している。また質問や意見提出後に、その意見が政策にどのように反映される見通しであるか、また反映されないとすれば、その理由はなにかについての詳細な説明責任を求める権利もある。さらに、市民の意見への誠実な対応や、パブリックコメント汲み上げの運営に対する政府機関の姿勢への継続的監視、意見提出も必要だろう。自由に、政党政派に関係なく、能動的に動くことができるのが市民という存在である。

▲ページTOPへ 戻る

---------------------------------------------------------------
3.11 東日本大震災
■OKAYAMA LOCAL

復興支援関連情報
東北地方太平洋沖地震に係る岡山県内からの救援物資の受付及び被災地でのボランティア情報について↓
http://www.pref.okayama.jp/kinkyu/detail-92481.html

↓岡山県災害ボランティア情報/岡山県社会福祉協議会
http://blog.canpan.info/oka_voc_saigai/
シンガーソングライター関島秀樹 オフィシャルサイト

津波の恐ろしさと、命の大切さ、多くの人々を救う人間愛の精神を「稲むらの火」を通じて歌で訴え続けてきたシンガーソングライター・関島秀樹氏のオフィシャルサイト。
http://www.natural.fm/

【関島秀樹プロフィール】
1979年4月25日「あじさい寺」(テイチク)でレコードデビュー。1981年「風のアルペジオ」(トリオ)。俳優、DJ、レポーター、キャスター、講演等に活動の幅を広げる。現在はシンガーソングライターとして“もっとやさしくたって生きてゆける”を信条に、故郷、家族、心のふれあい、自然や平和をテーマに、ギターの弾き語りを中心に全国でライブを続けている。津波の恐ろしさや命の大切さを子供たちに伝える彼の「稲むらの火」は、スマトラ沖地震復興の際、内閣府から世界に発信された。現在でも、日本各地のコンサートで披露されている。また、太平洋と日本海を桜でつなごうと人生を植樹に捧げたバスの車掌の物語「てんごの夢~桜のように生きた男の物語~」など、夢や希望を失わない元気が出る曲を数多くリリースしている。 島津亜矢の「帰らんちゃよか」を作詞・作曲。2008年、映画「荒木栄の歌が聞こえる」に出演。劇中、荒尾市万田坑で「仲間のうた」を歌っている。
1954年11月3日、熊本県荒尾市生まれ。滋賀県大津市在住。
「稲むらの火」 作詞・作曲 関島秀樹(日本語/英語)pdf-file

ヒット曲「帰らんちゃよか」の原曲「生きたらよか」 を歌う関島氏のライブ。
http://www.youtube.com/watch?v=znCs_ze6BQ0


▲ページTOPへ 戻る

---------------------------------------------------
A lie called “souteigai”
“souteigai“means the assumption outside or unexpected.

"souteigai" is an act that those who assume a dangerous situation should be excluded.
Museum of Morinaga Arsenic Milk Poisoning Incident.
【English version commentary】Morinaga arsenic milk poisoning incident


【Reference Document】

ieer
INSTITUTE FOR ENERGY AND ENVIRONMENTAL RESEARCH
Contact: Arjun Makhijani: 301-270-5500 (office) or 301-509-6843 (cell)
Post-Tsunami Situation at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant
in Japan: Facts, Analysis, and Some Potential Outcomes

Arjun Makhijani 
(1)

Takoma Park, Maryland, March 14, 2011 (completed at 11 pm, EDT, March 13, 2011, with notes at 6:30 am March 14 and later revisions): On March 11, 2011, the Fukushima Daiichi and the Fukushima Daini nuclear power plants (or Fukushima for short) experienced a severe earthquake, followed by a tsunami. This analysis relates to the Daiichi plant, which has experienced the more severe problems as of this writing so far as is known (9 p.m. March 13, 2011 Eastern Daylight Time, United States). Power from the grid was lost, and the reactors were successfully shut down as part of the emergency. But power to operate the site was still needed to remove the heat from the reactors. The Daiichi plant has six operating boiling water reactors. The oldest, Unit 1, which appears to have had a partial meltdown of the fuel, first went critical in 1970 (and was connected to the grid in 1971. Unit 3, which also appears to have had similar problems as Unit 1, whose fuel includes mixed plutonium oxide uranium oxide fuel (“MOX fuel”) first went critical in 1976. Both reactors are of the Mark 1 Boiling Water Design. They do not have the sturdy secondary containment buildings of concrete that is several feet thick typical of later reactor designs. (March 14, 6:30 a.m. note: Unit 3 has also experienced an explosion and Unit 2 appears to have lost cooling. The problems described here would likely apply to Unit 3; Unit 2 may be headed to similar problems.)

A special feature of the Mark 1 design is that the used fuel, also called spent fuel, is stored within the reactor building in a swimming pool-like concrete structure near the top of the reactor vessel. When the reactor is refueled, the spent fuel is taken from the reactor by a large crane, transferred to the pool, and kept underwater for a few years. This spent fuel must be kept underwater to prevent severe releases of radioactivity, among other reasons. A meltdown or even a fire could occur if there is a loss of coolant from the spent fuel pool. The water in the spent fuel pool and the roof of the reactor building are the main barriers to release of radioactivity from the spent fuel pool.

An explosion associated with Unit 1 occurred on March 12, at 3:36 p.m. 
(2) At first the authorities stated that this was in the turbine building next to the reactor building. However, it is the reactor building roof and part of the walls near the roof that were completely blown off leaving only a steel skeleton at the top of the building. This indicates an explosion inside the reactor building . probably a hydrogen explosion, since hydrogen is much lighter than air, it would accumulate near the top of the building. The explosion therefore seems to have occurred near the level where the spent fuel pool would be located in a Mark 1 reactor.

While Japanese authorities have stated that the reactor vessel is still intact, there has been no word regarding the status of the spent fuel pool structure, except indirectly (see below). Is it still intact? This is a critical question as to the range of potential consequences of the reactor accident.

Hydrogen is generated in a nuclear reactor if the fuel in the reactor loses its cover of cooling water. The tubes that contain the fuel pellets are made of a zirconium alloy. Zirconium reacts with steam to produce zirconium oxide and hydrogen gas. Moreover, the reaction is exothermic . that is, it releases a great deal of heat, and hence creates a positive feedback that aggravates the problem and raises the temperature. The same phenomenon can occur in a spent fuel pool in case of a loss of cooling water. In addition, there can be a fire. The mechanisms and consequences of such an accident are reasonably well known. A National Research Council of the National Academies study, published in 2006, is worth quoting at length:


The ability to remove decay heat from the spent fuel also would be reduced as the water level drops, especially when it drops below the tops of the fuel assemblies. This would cause temperatures in the fuel assemblies to rise, accelerating the oxidation of the zirconium alloy (zircaloy) cladding that encases the uranium oxide pellets. This oxidation reaction can occur in the presence of both air and steam and is strongly exothermic.that is, the reaction releases large quantities of heat, which can further raise cladding temperatures. The steam reaction also generates large quantities of hydrogen….

These oxidation reactions [with a loss of coolant] can become locally self-sustaining … at high temperatures (i.e., about a factor of 10 higher than the boiling point of water) if a supply of oxygen and/or steam is available to sustain the reactions…. The result could be a runaway oxidation reaction.referred to in this report as a zirconium cladding fire.that proceeds as a burn front (e.g., as seen in a forest fire or a fireworks sparkler) along the axis of the fuel rod toward the source of oxidant (i.e., air or steam)….

As fuel rod temperatures increase, the gas pressure inside the fuel rod increases and eventually can cause the cladding to balloon out and rupture. At higher temperatures (around 1800°C [approximately 3300°F]), zirconium cladding reacts with the uranium oxide fuel to form a complex molten phase containing zirconium-uranium oxide. Beginning with the cladding rupture, these events would result in the release of radioactive fission gases and some of the fuel’s radioactive material in the form of aerosols into the building that houses the spent fuel pool and possibly into the environment. If the heat from one burning assembly is not dissipated, the fire could spread to other spent fuel assemblies in the pool, producing a propagating zirconium cladding fire.

The high-temperature reaction of zirconium and steam has been described quantitatively since at least the early 1960s….
(3)


The extent of the release would depend on the severity of loss of coolant, how much spent fuel there is in the pool, and how recently some of it has been discharged. The mechanisms of the accident would be very different than Chernobyl,
(4) where there was also a fire, and the mix of radionuclides would be very different. While the quantity of short-lived radionuclides, notably iodine-131, would be much smaller, the consequences for the long term could be more dire due to long-lived radionuclides such as cesium-137, strontium-90, iodine-129, and plutonium-239. These radionuclides are generally present in much larger quantities in spent fuel pools than in the reactor itself. In light of that, it is remarkable how little has been said by the Japanese authorities about this problem. From the tiny amount of information available, it appears that there is a problem of cooling of the spent fuel. According to a TEPCO press release, issued on March 13, at 9 pm, Japan time:


We are currently coordinating with the relevant authorities and departments as to how to secure the cooling water to cool down the water in the spent nuclear fuel pool.
(5)


This indicates that there is a spent fuel cooling problem. But there is no information on how serious it is and whether the pool has been damaged and is leaking. It is reasonable to surmise that pumping seawater into the reactor building from the outside would be directed more at the spent fuel pool than at the reactor. According to TEPCO, the injection of seawater into the reactor vessel of Unit 1 has been successfully done. This also appears to be the case for Unit 3, as of this writing.
(6) Boric acid is being added to the seawater to prevent an accidental criticality, which could happen in the reactor or in the spent fuel pool. Venting of radioactive steam from the reactors will likely have to continue.

It is unclear at this stage whether there has been venting of radionuclides from the spent fuel pool in Unit 1. Venting from the reactor has been acknowledged by the authorities. Rather high levels of radiation, over 1,200 microsieverts per hour
(7) . which is more than 10,000 times natural background radiation at sea-level . have been reported outside the plant. At this level the annual allowable dose of the radiation to the public would be exceeded in less than an hour. Such levels indicate a partial meltdown in Unit 1 and possibly in Unit 3. However, while it seems to be widely assumed that the radioactivity has been emanating only from the reactor vessel (s), it is unclear whether some of it is also being released from the Unit 1 spent fuel pool, which may have been damaged by the explosion.

The consequences of severe spent fuel pool accidents at closed U.S. reactors were studied by the Brookhaven National Laboratory in a 1997 report prepared for the U.S. Nuclear Regulatory Commission. According to the results, the damages resulting from such accidents for U.S. Boiling Water Reactors could range from $700 million to $546 billion, which would be between roughly $900 million and $700 billion in today’s dollars. The lower figures would apply if there were just one old spent fuel set present in the pool to a full pool in which the spent fuel has been re-racked to maximize storage. Other variables would be whether there was any freshly discharged spent fuel in the pool, which would greatly increase the radioactivity releases. The estimated latent cancer deaths over the years and decades following the accident was estimated at between 1,300 and 31,900 within 50 miles (about 80 kilometers) of the plant and between 1,900 and 138,000 within a radius of 500 miles (about 800 kilometers) from the plant.
(8)

The spent fuel pools at the Daiichi reactors contain approximately these amounts: Unit 1, 50 metric tons; Unit 2, 81 metric tons; and Unit 3, 88 metric tons.
(9) No mixed oxide (MOX) spent fuel is in the Unit 3 spent fuel pool. The typical U.S. reactor discharges 20 metric tons of spent fuel per year and stores that on site, in almost all cases, in wet or dry storage. The range of consequences in Japan would be somewhat different from those outlined in the Brookhaven report, since the consequences depend on population density within 50 and 500 miles of the plant, the re-racking policy, and several other variables. It should also be noted that Daiichi Unit 1 is about half the power rating of most U.S. reactors, so that the amount of radioactivity in the pool would be about half the typical amount, all other things being equal. But the Brookhaven study can be taken as a general indicator that the scale of the damage could be vast in the most severe case.

One hopes that the spent fuel pool in Unit 1 can be kept full of water and the various reactors can be kept cool enough to prevent much more serious consequences than have already occurred (there has been serious worker exposure and some public radiation exposure already, according to news reports
(10)). But the accident makes clear that there is ample information and analysis that very graveconsequences are possible from lighter water reactors . which are the designs used in Japan, the United States, and most of the rest of the world. Spent fuel pools have special vulnerabilities that are different in different specific designs, but all possess some risk of severe consequences in worst-case accidents or worst-case terrorist attacks (which were studied by the National Research Council in its 2006 report).

The United States should move as much spent fuel out of the pools as possible into hardened and secure dry storage. The tragedy in Japan is also a reminder that making plutonium and fission products just to boil water (which is what a nuclear reactor does) is not a prudent approach to electricity generation. While existing reactors will be needed to maintain the stability of electricity supply for some time (as is also evident from the earthquake-tsunami catastrophe in Japan), new reactor projects should be halted and existing reactors should be phased out along with coal and oil. It is possible to do so economically in the next few decades, while maintaining the reliability of the electricity system and greatly improving its security, as I have shown in my book Carbon-Free and Nuclear Free: A Roadmap for U.S. Energy Policy published in 2007, and in subsequent work that can be found on the IEER website, www.ieer.org. Carbon-Free and Nuclear-Free can be downloaded free at http://www.ieer.org/carbonfree/CarbonFreeNuclearFree.pdf.


(1) Arjun Makhijani is president of the Institute for Energy and Environmental Research. He has a Ph.D. in Engineering from the University of California at Berkeley, where he specialized in nuclear fusion. He was elected a Fellow of the American Physical Society in 2007.

(2) Tokyo Electric Power Company, Press Release, “Plant Status of Fukushima Daiichi Nuclear Power Station (as of 9pm [Japan time] March 13th),” on the web at http://www.tepco.co.jp/en/press/corp-com/release/11031310-e.html. These press releases are referred to below as TEPCO 2011, with the date and time of the press release and the URL provided.

(3) National Research Council, Safety and Security of Commercial Spent Fuel Storage: Public Report. Washington, D.C.: National Academies Press, 2006, on the web at http://www.nap.edu/catalog.php?record_id=11263, pp.38-39. This report addressed the issue of terrorist attacks on spent fuel pools and the precautions that might be taken in light of the potential severity of the problem. See below.

(4) The Chernobyl reactor was a very different design . water-cooled and graphite moderated. The reactor itself exploded catastrophically due to a runaway accident in that case. That is not the case at present, where the reactor was shut down successfully almost immediately after the earthquake. At Chernobyl, the graphite caught fire and the fire lasted for ten days. In the case of the most severe spent fuel pool accident, it would be the zirconium that would catch fire, as described by the National Academies study quoted above.

(5) TEPCO Press Release, March 13, 9 pm. on the web at http://www.tepco.co.jp/en/press/corp-com/release/11031312-e.html

(6) TEPCO Press Release, March 13, 9 pm. on the web at http://www.tepco.co.jp/en/press/corp-com/release/11031312-e.html

(7) Hiroko Tabuchi and Matthew L. Wald, “Japanese Scramble to Avert Meltdowns as Nuclear Crisis Deepens After Quake,” New York Times, March 12, 2011, at http://www.nytimes.com/2011/03/13/world/asia/13nuclear.html viewed at 8:15 p.m. Eastern Daylight Time, March 13, 2011

(8) R.J. Travis, R.E. Davis, E.J. Grove, M.A. Azarm, A Safety and Regulatory Assessment of Generic BWR and PWR Permanently Shutdown Nuclear Power Plants, BNL-NUREG-52498 and NUREG/CR-6451, Brookhaven National Laboratory, 1997, link at http://www.osti.gov/bridge/product.biblio.jsp?osti_id=510336. Tables 4.1, 4.2.

(9) Aileen Mioko Smith, speaking at the Friends of the Earth press briefing, “Explosion at Japanese Nuclear Facility,” March 14, 2011, links on the web at http://www.foe.org/experts-comment-us-implications-japanese-reactor-crisis, to audio at http://www.foe.org/experts-comment-us-implications-japanese-reactor-crisis.

(10) Hiroko Tabuchi and Matthew L. Wald, “Partial Meltdowns Presumed at Crippled Reactors,” New York Times, March 13, 2011, http://www.nytimes.com/2011/03/14/world/asia/14nuclear.html (later called “Second Explosion at Reactor as Technicians Try to Contain Damage”), first viewed at 8:13 p.m. Eastern Daylight Time, March 13, 2011.


Corrections made at 11:30 am EDT, March 16, 2011


---------------------------------------------------

The Telegraph
Japan nuclear plant: Just 48 hours to avoid 'another Chernobyl'

Japan has 48 hours to bring its rapidly escalating nuclear crisis under control before it faces a catastrophe “worse than Chernobyl”, it was claimed last night.

By Gordon Rayner and Martin Evans 10:52PM GMT 16 Mar 2011
Nuclear safety officials in France said they were "pessimistic" about whether engineers could prevent a meltdown at the Fukushima power plant after a pool containing spent fuel rods overheated and boiled dry.

Last night radiation levels were "extremely high" in the stricken building, which was breached by an earlier explosion, meaning that radiation could now escape into the atmosphere.

Tokyo Electric, the owners of the plant, said five workers had been killed at the site, two were missing and 21 had been injured.

Last night, a US nuclear safety chief said the Japanese government had failed to acknowledge the full seriousness of the situation at the Fukushima plant and that warnings to citizens had been insufficient and understated.

Gregory Jaczko, the chairman of the US Nuclear Regulatory Commission, warned that if "extremely high" radiation levels increased it would become impossible for workers to continue to take corrective measures at the plant as "the doses they could experience would potentially be lethal doses in a very short period of time".

As Japan resorted to increasingly desperate measures ? including dumping water on the site from helicopters ? there were accusations that the situation was now "out of control".

The Foreign Office responded to the latest developments by advising all British citizens to leave Tokyo ? which is 140 miles south of the plant ? and the whole of northern Japan. The EU has even urged member states to check Japanese food imports for radioactivity.

Emperor Akihito made a rare address to the nation, urging the Japanese to pull together, but hinted at his own fears for the nuclear crisis saying: "I hope things will not get worse." In London, the FTSE?100 share index slumped as news of the latest emergency emerged, closing 1.7 per cent down.

The official death toll from last Friday's earthquake and tsunami stood at 4,314 last night, with another 8,606 listed as missing.

Thousands of people still waiting for food aid in the most remote areas of the disaster zone endured fresh misery yesterday as heavy snow began to fall across northern Japan. But all eyes were on the Fukushima Daiichi nuclear plant as Japanese authorities admitted concerns over rising temperatures in three pools containing spent fuel rods.

A failure of the cooling system that has crippled the entire plant led to water boiling in the No4 pool. Last night the US Nuclear Regulatory Commission (USNRC) said there was no water left in the pool, resulting in "extremely high" radiation levels. An earlier fire and explosion in the No 4 reactor building is thought to have breached the protective walls around the pool. A statement from the USNRC said: "We believe that secondary containment has been destroyed and there is no water in the spent fuel pool and we believe that radiation levels are extremely high which could possibly impact the ability to take corrective measures."

If the water has gone, Mr Jaczko warned, there is nothing to stop the fuel rods from getting hotter and ultimately melting down. The outer shell of the rods could also ignite with enough force to propel the radioactive fuel inside over a wide area.

Jeremy Browne, the Foreign Office minister, said: "There is clearly an evolving situation and things are clearly getting worse at the Fukushima nuclear plant."

Attempts to cool the site by dumping sea water from helicopters had to be aborted at one stage because of dangerous radiation levels in the air above the plant. A police water cannon was brought in to help blast water into the overheating reactors and pools, but there were warnings that it may be too late to prevent a disaster. Thierry Charles, a safety official at France's Institute for Radiological Protection and Nuclear Safety (IRSN), said: "The next 48 hours will be decisive. I am pessimistic because, since Sunday, I have seen that almost none of the solutions has worked." He described the situation as "a major risk", but added: "All is not lost."

Asked about the maximum possible amount of radioactive release, he said "it would be in the same range as Chernobyl".

The incident at the Chernobyl nuclear power plant in Ukraine on April 26 1986 is estimated to have caused 57 direct deaths, with some 4,000 additional deaths from cancer.

Francois Baroin, a French government spokesman, went further, saying: "In the worst of cases, it could have an impact worse than Chernobyl." He added: "They have visibly lost the essential of control."

Malcolm Grimston, a British nuclear expert at the Chatham House think tank, played down suggestions of an impending disaster, saying Fukushima was not like Chernobyl.

"We're nearly five days after the fission process was stopped, the levels of radioactive iodine will only be about two?thirds of where they were at the start, some of the other, very short?lived, very radioactive material will be gone altogether by now," he said.

Earlier, Nathalie Kosciusko?Morizet, France's ecology minister, had said that "the worst scenario is possible and even probable". At one point, radiation levels at the plant rose to such dangerous levels that all workers were evacuated from the site. A 180?strong team was later allowed back to continue attempts to cool the fuel rods, but the government raised the maximum allowable radiation exposure for workers from 100 millisieverts per year to 250, which it said was "unavoidable due to the circumstances".

Yukiya Amano, the International Atomic Energy Agency's director general, said the situation was "very serious". He is flying to Japan today for a first?hand briefing on the crisis.


---------------------------------------------------
ieer

For further information:
Arjun Makhijani 301-270-5500 (preferred) or (weekend) cell: 301-509-6843
For immediate release: Thursday, April 7, 2011

PRESS  RELEASE (pdf)

More Stringent, Coordinated Fukushima Fallout Monitoring Needed
to Determine Radioactive Iodine Risk to U.S. Milk and Water
Food, Water and Air Monitoring Should Continue in Government Shutdown
U.S. Agency Claims on Radiation Danger and Risk Are Contradictory, Misleading

Takoma Park, Maryland - Total releases of radioactive iodine-131 and cesium-137 from the damaged Fukushima Daiichi reactors in Japan now appear to rival Chernobyl. As a result, there is now fallout through the northern hemisphere, with hot spots appearing due to rain. For instance, rainwater in Boise, Idaho, on March 22, 2011, was reported by the Environmental Protection Agency at 242 picocuries per liter, about 80 times the U.S. drinking water standard if the level persisted for a prolonged time. The drinking water standard is a common reference number for water purity, even if the water is not used for drinking.
Preliminary risk calculations on the March 22, 2011, rainout event in Boise indicate that the risk from a single such event would be low, even if cows were mostly getting their feed from outdoor grazing, which may not have been the case. However, government agency measurements of milk contamination are limited and appear to be uncoordinated.

Ingesting milk contaminated with iodine-131 increases the risk of contracting thyroid cancer, especially for female infants. A low dose would produce a low risk; the risk increases proportionally to the dose.

"We don't have data on iodine-131 levels in milk samples taken from the same areas where polluted rain fell," said
Dr. Arjun Makhijani, IEER's president. "Such information is important for making reliable estimates of radiation dose and risk. We must ensure that fallout is not rising to levels that could repeat even a small part of the tragedy associated with atmospheric nuclear weapons testing in Nevada during the 1950s and 1960s."

IEER recommended that government actions should include:

Designating water, food, and air radiation measurements as an emergency function to be kept operational in the event of a federal government shutdown due to lack of a budget resolution.
Making coordinated measurements of Fukushima fallout in air, rainwater, milk, and drinking water, and making these data immediately available on a public web site. Air measurements should include results from charcoal filters or canisters to ensure that the gaseous forms of iodine-131 are captured.
Coordinating measurements of rainwater with weather patterns and estimated arrival of fallout from Japan over the United States, and making these data available in as close to real time as possible, on a public web site.
Advising those who might be using rainwater for drinking purposes by publication of rainout maps with iodine-131 data.
Developing contingency plans for advising farmers in case high milk contamination levels are anticipated. Such plans may include of sheltering animals and feeding them stored, uncontaminated grain and hay so that clean milk can be produced in the event of greater fallout than has been reported so far.
Publication of the protocol used for sampling air, water, and milk.
Use of consistent risk statements based on the 2006 risk study by the National Academies

(http://www.nap.edu/openbook.php?isbn=030909156X)

"It is lamentable that the U.S. government is not speaking with a coherent, science-based voice on the risks of radiation," said Dr. Makhijani. "There is no safe level of radiation exposure in the sense of zero risk. Period.

This has been repeatedly concluded by official studies, most recently a 2006 study done by the National Academies.

Yet there is no shortage of unfortunate official statements on radiation that may seek to placate the public about 'safe' levels of radiation, but actually undermine confidence."

As an example, IEER cited a statement by the Nuclear Regulatory Commission that "In general, a yearly dose of 620 millirem from all radiation sources has not been shown to cause humans any harm." (http://www.nrc.gov/about-nrc/radiation/around-us/doses-daily-lives.html).
This annual dose includes medical uses of radiation, including CAT scans, and other voluntary exposures, from which people get some benefits. It also includes indoor radon, which the EPA estimates "is the number one cause of lung cancer among non-smokers.... Overall, radon is the second leading cause of lung cancer [after smoking]. Radon is responsible for about 21,000 lung cancer deaths every year. About

2,900 of these deaths occur among people who have never smoked." (http://www.epa.gov/radon/healthrisks.html).

"While the NRC is saying the 620 millirem a year on average has not been shown to cause harm, the EPA is saying that only about one-third of this total average annual dose attributable to indoor radon, is responsible for thousands of cancer deaths every year," said Dr. Makhijani. "The NRC statement is an appalling misrepresentation of the science that underlies its own regulations as well as published statements on radon risks by the EPA. Using the

2006 National Academies risk estimates for cancer, 620 millirem per year to each of the 311 million people in the United States would eventually be associated with about 200,000 cancers each year; about half of them would be fatal."

Dr. Makhijani continued, "The largest risks by far are in Japan; the risks from Fukushima in the United States, based on the limited data so far, appear to be very low at the individual level. But they are being experienced by large populations, as they were during Chernobyl fallout. More intensive measurements, a frank portrayal of both individual and population risks, for children and adults using National Academies risk numbers, and prompt publication are essential. If the government does not provide accurate, science-based, trustworthy information, how can people make well-informed decisions for themselves and their families at a confusing time?"

---------------------------------------------------

splashlife

Counterpoint: It's Time to Close the Chapter on U.S. Nuclear Power
.Christina Mills April 1, 2011 ..

While the events unraveling at the damaged Fukushima nuclear reactors have sparked the debate on the merits of nuclear power, the history of the nuclear industry demonstrates that economic, environmental, and humanitarian risks are unavoidable with a technology that creates plutonium and other highly radioactive materials just to boil

water.

Is it practical?
Nuclear power is too expensive and too risky. Nuclear power is a “bet the company” risk that has a track record of cost-overruns, rate hikes, and bond defaults which led Forbes in the 80s to call nuclear power “the largest managerial disaster in history.”

Three characteristics of nuclear power exacerbate these risks. First, the capital costs are high ? current estimates are around $8 to 10 billion per reactor. Second, nuclear reactors often cost more than the entire company is worth. And lastly, it takes years, if not decades, to build a nuclear reactor, even in a best-case scenario.

This “nuclear power triple threat” requires significant financial outlay, with assurances for and commitment to a large, central power source ? all before the facility even produces one electron.

Wall Street refuses to risk investor money in nuclear power projects, so the only reactors that are currently moving forward rely on federal loan guarantees, or advance payments from ratepayers (as is already happening in places like Georgia and Florida), or both. And even then it’s not always enough. Last year in Maryland,

Constellation Energy pulled out of a proposed nuclear reactor project even after having been offered a $7.5 billion loan guarantee by the federal government. The reason? They felt the $880 million price tag of the guarantee was too onerous.

Is it reliable?

Nuclear power is not a flexible source of electricity. With fears of climate change, nuclear power is often touted as a necessary “base load” facility, which is just a fancy way of saying it is most efficient when operating at full capacity, 24 hours a day. Building these types of facilities require knowing, with certainty, what the need for electricity will be in 8-10 years ? very difficult in today’s unstable economy ? and, in effect, another gamble on top of a big bet. This is not the case for rapidly deployable wind or solar power. Plus the growth rate of electricity per unit of economic growth is only about one fourth the level of 1973 ? the same year that the last nuclear reactor completed in the U.S. was ordered.

What's the environmental cost?

Nuclear power is not a “clean” source of electricity. Mining uranium for reactor fuel has hugely harmful effects on the environment. In addition, the lifecycle of a nuclear reactor requires huge amounts of water, a resource that is more uncertain with larger weather fluctuations in many regions. About 10 to 20 million gallons are evaporated daily to operate a typical nuclear reactor.

It is possible to have a carbon-free nuclear-free electricity system that will reliably, efficiently, and cost-effectively keep our lights on. Studies show that if the wind isn’t blowing here, it’s probably blowing somewhere over there. Similarly, the sun often complements wind and is present during much of the peak period, such as hot summer afternoons. Wind energy is already an economically competitive source of electricity and is typically cheaper than nuclear, even with storage costs. The U.S. Dept. of Energy expects solar power to be cost-competitive by 2015. It will take time to make the change, but there is no need to build any more coal or nuclear plants to meet U.S. electricity needs.

What about the social and humanitarian costs?

Accidents are rare but the risks are huge. The events in Japan show that accidents, while mercifully rare, can cost hundreds of billions of dollars. An upper limit of about $700 billion in today’s dollars was estimated as the cost of a worst case U.S. spent fuel accident in a 1997 study by the Brookhaven National Laboratory. But the industry is only required to insure up to about $11 billion, leaving taxpayers on the hook for the rest of the possible damages. It is unclear when the federal government will meet their 1998 obligation to provide a repository for nuclear spent fuel, leaving over 70,000 tons of radioactive nuclear waste scattered across the country with no clear plan to dispose of it. The amount is projected to increase to well over 100,000 tons in the next 20 years. It will likely remain on site for decades, meaning continued risks of severe accidents or terrorist attacks.

Is it safe?

In addition to susceptibility to severe accidents and terrorist attacks, nuclear power is a proliferation risk.

Plutonium is a byproduct of all nuclear reactors and remains in the spent fuel. Reprocessing (sometimes mislabeled “recycling”) this waste actually creates weapons-usable plutonium, if it is separated, as France is doing. The technology and skills overlap between nuclear weapons and nuclear power, while not complete, is very large.

Nuclear weapons proliferation risks are inherent in nuclear power.Given the checkered past, the potential for significant harm, and the availability of clean, renewable energy technologies, it is time to close the chapter on nuclear power by phasing out existing ones instead of building new ones. We don’t need the financial and environmental risks that nuclear power imposes on ourselves and generations to come. The future is in our hands ? and it’s full of solar panels.

To learn more, visit Institute for Energy and Environmental Research (IEER).


Point: Nuclear Power is Our Best Energy Solution for a Better Tomorrow.
Christina Mills is staff scientist and policy analyst with the Institute for Energy and Environmental Institute (IEER), a nonprofit, nonpartisan technical institute based in Takoma Park, Maryland. She is a licensed attorney and telecommutes from Minneapolis, Minnesota.


---------------------------------------------------
energy NOW !

video: Carbon and Nuclear Free in 40 Year?

http://www.energynow.com/video/2011/03/25/carbon-and-nuclear-free-40-years

LENGTH 2:49
CREATED 03.26.11REPORTER Tyler SuitersArjun Makhijani, President of the Institute for Energy and Environmental

Research, believes the U.S. can get rid of nuclear and high-carbon fossil fuels within 40 years. In this interview with Chief Correspondent Tyler Suiters, he talks about his plan.

Makhijani says it can't be done overnight, but the dangerous or high emitting plants can be phased out. He says he got the idea from his friend and mentor, David Freeman, for former head of the Tennessee Valley Authority, who once advocated getting rid of nuclear, coal and oil and converting entirely to solar.

Skeptical at first, but Makhijani did a study of all technology to find out of the plan was technically or economically feasible. But to his surprise, he found that over 40 years, the U.S. could afford to phase out all energy sources that he says most people consider controversial -- a threat to the climate or public safety.


CHARTER FOR ENERGY NOW
Introduction

Energy Now is a new half-hour weekly TV news-magazine and opinion program designed to inform and engage Americans on the most pressing energy issues of the day. It was created in response to two overlapping crises.
First, America’s energy future is at a crossroads. The country faces multiple far reaching challenges that are both urgent and complex.
These include: addressing America’s unsustainable dependence on imported oil; meeting the need for reliable and affordable electricity under tightening environmental constraints (e.g., smog and greenhouse gas emission limits); winning the global race for clean energy jobs and investment -- that is, for leadership of the next “industrial revolution;” and ensuring that our energy resources are used as wisely and efficiently as possible.
How these issues are resolved will have a very large impact on America’s future place in the world -- its national security and the economic well-being of its citizens -- for decades to come.
Second, even as the country begins to confront these challenges, many people find that in-depth, scientifically grounded reporting on the key energy and environmental issues of the day is hard to find, particularly on TV and the Internet.
As President Obama recently put it at the annual dinner for the White House press corps:
Today's technology has made it possible for us to get our news and information from a growing range of sources. We
can pick and choose not only our preferred type of media, but also our preferred perspective. And while that exposes us to an unprecedented array of opinions, analysis, and points of view, it also makes it that much more important that we're all operating on a common baseline of facts.
That type of common factual denominator, the President implied, is falling by the wayside.

The Mission of Energy Now

Energy Now was created to use the latest television and digital media tools to fill this reporting gap on critical energy issues.
The program will focus primarily on the key challenges described above ? oil dependency, the future course of the electric power sector, leading the clean tech revolution and energy efficiency. The successful resolution of these issues is central to America’s future. Energy Now! will cover them week-in and week-out with the substantive and original journalism that these issues demand. And Energy Now! will put these issues into perspective, making them relatable to its viewers and focusing its reporting on how they impact our lives now and in the future.
From time to time, we will also address other subjects injected into the news cycle that influence the energy debate, such as international developments in Asia or the Middle East that affect U.S. energy options. In so doing, however, we will always keep our principal subject matter focus in mind.
Our reporting adheres to our energyNOW! News Standards and the ethical standards adopted by the Society of Professional Journalists. We disclose our sources wherever possible, per our Disclosure Policy, including the interests that sources represent.
We will pay attention to what happens in Washington, D.C. and foreign capitals -- after all, climate change and clean tech are global challenges. But we will also make sure that our news teams fan out across America, because we know that the solutions to the energy challenges we face are as likely to emerge first in the market place, before state legislatures, public utility commissions and town halls, as on Capitol Hill. That is why we will also stay connected to local businesses, energy consumers, entrepreneurs and research labs, and we will visit America’s drilling sites, wind farms and filling stations.In addition to reporting, we will also seek out informed opinion and commentary from a wide variety of sources.
These opinion pieces will be appropriately distinguished from news stories.
We expect that invited commentary ? including studio roundtables, debates, guest editorials and viewer opinions ?
will become an important part of our program. Together we hope that our news and commentary will fuel a vibrant, engaged community around Energy Now.

Energy Now Web Site
We aim to make our web site a central and equal partner of the Energy Now TV show. Our web site will be used to extend the scope of our original reporting. It will also offer previews of our weekly show and 7x24 Internet access to past programs. We will use our website to build communities and to provide an interactive destination for public discussion and commentary on the energy issues covered by the show.
Consistent with our goal of contributing to the global dialog on energy and the environment, all of the programming created by Energy Now is provided to you under a Creative Commons copyright license. With this license, we encourage you ? and give you the legal right ? to post Energy Now videos to other websites, share them with others, and incorporate our reporting into your discussions and debates on these critical issues. In return, we ask that you attribute our work to us, use it for noncommercial purposes, and share it without altering it.

Disclosure of Outside Interests By Program Guests
The program will provide on-air and/or online disclosures regarding the relevant financial interests and/or affiliations, including lobbying registrations, of major guests and interview subjects.
It is against the journalistic policy of Energy Now to provide financial or other compensation to any guest who appears in a news segment of the program. Persons who are invited to provide opinion or commentary on a regular basis may be compensated for their services.

Ombudsman
Andrew Heyward, former president of CBS News, serves as our independent ombudsman. The ombudsman has been established to monitor the program’s editorial charter on an ongoing basis. The ombudsman is authorized to review, investigate, mediate and opine on relevant matters that may be raised by the program’s staff, on-air guests, and TV and online audiences. The ombudsman is also encouraged to disseminate the results of his or her work on the program’s web site in an appropriate way.

Program Funding
Initial funding for Energy Now! is provided by the American Clean Skies Foundation (ACSF), a not-for-profit 501(c)(3) organization based in Washington D.C. Funding for ACSF is provided, in part, by Chesapeake Energy Corporation.
Additional underwriting for Energy Now! will be announced in connection with the national roll out of Energy Now!
in 2011.

---------------------------------------------------

National Journal


Monday, March 21, 2011
How does Japan's Crisis Affect America's Nuclear Industry?

By Amy Harder

NationalJournal.com

Just like the disasters at Three Mile Island and Chernobyl, Japan's crisis has exposed the great risks associated with nuclear power. In light of the catastrophe, other countries, including China and Germany are delaying construction of new reactors.
Are those actions warranted? Should the United States place a moratorium on new plants that could be at risk of major natural disasters such as earthquakes and tsunamis? What, if anything, should the Nuclear Regulatory
Commission do to reexamine the safety standards for all U.S. reactors and reassure policymakers and the American public? What lessons can we learn from Japan's crisis?

U.S. Response Lags Behind Germany, China
By Arjun Makhijani

President, Institute for Energy and Environmental Research


“The terrible Japanese accident should cause a serious and substantial timeout for nuclear power. Germany and China are taking actions that are prudent. The United States response so far has been vague other than the study ordered by President Obama with a so-far undefined charter and a review of seismic.
A study is all to the good, but we already have studies that indicate steps to greatly reduce some of the most serious risks. A 1997 Brookhaven National Laboratory Study concluded that the damage from spent fuel pools at closed boiling water reactors could range from $700 million up to $546 billion (yes, billion) ? or up to about $700 billion in today’s dollars. But the NRC did not order that these spent fuel pools be emptied. A 2006 National Academies study, examining risk to spent fuel pools from terrorist attacks, estimated that the very scenario know unfolding horrifically in Japan could happen here and recommended that spent fuel pools be emptied as much as possible and the fuel rods put into dry storage (fresh spent fuel must be kept underw...

“The terrible Japanese accident should cause a serious and substantial timeout for nuclear power. Germany and China are taking actions that are prudent. The United States response so far has been vague other than the study ordered by President Obama with a so-far undefined charter and a review of seismic.

A study is all to the good, but we already have studies that indicate steps to greatly reduce some of the most serious risks. A 1997 Brookhaven National Laboratory Study concluded that the damage from spent fuel pools at closed boiling water reactors could range from $700 million up to $546 billion (yes, billion) ? or up to about $700 billion in today’s dollars. But the NRC did not order that these spent fuel pools be emptied. A 2006 National Academies study, examining risk to spent fuel pools from terrorist attacks, estimated that the very scenario know unfolding horrifically in Japan could happen here and recommended that spent fuel pools be emptied as much as possible and the fuel rods put into dry storage (fresh spent fuel must be kept underwater for a few years so pools at operating plants cannot be completely emptied until a few years after the reactor ceases operation). The NRC has also refused to implement that advice as well. It seems reluctant to impose these costs on nuclear utilities, even though they would greatly reduce the risk of meltdowns and fires and also the consequences of potential accidents or attacks, should they happen, and even though nuclear power plants are mostly depreciated cash cows for their owners ? costly to build, relatively cheap to operate.

A study may indentify other measures, such as shoring up seismic defenses at some plants, but the ordering dry storage, in hardened configuration, of all spent fuel at closed power plants, as Germany has done for some time, and implementing the same for as much spent fuel as possible at operating power plants.”


---------------------------------------------------

The New York Times

Confidence Slips Away as Japan Battles Nuclear Peril

http://www.nytimes.com/2011/03/30/world/asia/30japan.htm?_r=1
TOKYO -After workers switched on the first set of control room lights at Japan’s crippled power plant in Fukushima last week, the Japanese government offered its strongest assurances yet that its nuclear crisis was close to being under control.

Heroic workers and firefighters continued to cool the volatile reactors by pumping in hundreds of tons of water a day. Much-awaited electricity had reached the plant after a rush to extend new power lines, ready to hook up to vital cooling systems and guide the plant to a long-term “cold shutdown.”

But less than a week later, a deluge of contaminated water, plutonium traces in the soil and an increasingly hazardous environment for workers at the plant have forced government officials to confront the reality that the emergency measures they have taken to keep nuclear fuel cool are producing increasingly dangerous side effects. And the prospect of restoring automatic cooling systems anytime soon is fading.

The recent flow of bad news from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station has undermined the drumbeat of optimistic statements by government and company officials who have at times tried to reassure a nervous public that significant progress is at hand ? only to come up short.
“The earthquake, tsunami and the ensuing nuclear accident may be Japan’s largest-ever crisis,” the Japanese prime minister, Naoto Kan, told Parliament on Tuesday, in his most sober message to date on the nuclear crisis. “We find ourselves in a situation where we can’t let down our guard. We will continue to handle it in a state of maximum alert.”

The setbacks have raised questions about how long, and at what cost, Japan can keep up what experts call its “feed and bleed” strategy of cooling the reactor’ fuel rods with emergency infusions of water from the ocean and now from freshwater sources.

That cooling strategy, while essential to prevent full meltdowns, has released harmful amounts of radioactive steam into the atmosphere and set off leaks of highly contaminated water, making it perilous for some of the hundreds of workers at the plant to further critical repair work.

Moreover, the discovery of radioactive elements that experts say could come only from the core of a reactor suggest that the government’s strategy may not be working and that partial fuel melting has not been completely halted.

The continuing crisis also underscores the unprecedented scale and complexity of the problems facing Fukushima: a plant ravaged by a magnitude-9.0 earthquake and 45-foot tsunami, and three reactors and four spent fuel pools with no proper cooling system yet and containing more long-lived radioactivity than the Chernobyl reactor, according to the Institute for Energy and Environmental Research, based in Takoma Park, Md.

This is why, despite the damage caused by the efforts so far, Japanese officials have little choice but to continue down the feed-and-bleed path. “The worst-case scenario is that a meltdown makes the plant’s site a permanent grave,” said Tetsuo Iguchi, a professor in the department of quantum engineering at Nagoya University. “In a small island nation like Japan, that’s just not an option. That is why the government is trying to prevent a meltdown at any cost.”

The events have been a quick turn for the worse for the Japanese government. Just last week, officials at Tokyo Electric Power Company, the Fukushima Daiichi plant’s operator, repeatedly hailed the extension of electrical wires to the plant, spoke of resuming electrically operated cooling systems and offered assurances that the situation would not get worse.

But late last week, three workers in a building next to Reactor No. 3 were injured when they stepped in contaminated water. Radioactive water was later discovered at two other reactors, making some areas of the reactor buildings dangerous for workers to approach.

Some of that water in the reactor structures also appears to be leaking out through damaged pipes or vessels, forming highly contaminated pools at the bottom of the turbine buildings adjacent to the reactors. On Tuesday, workers were forced to divert their attention to readying sandbags and pumps after the contaminated water was discovered in a tunnel leading close to the sea.


Compounding the matter, the government said Tuesday that the recent discovery of plutonium in the soil at the plant provided new evidence that at least one reactor was experiencing melting of its nuclear fuel, as happened in the early days of the crisis.

While the source of the plutonium found at the plant was unclear, all three kinds of nuclear fuel at the complex could leak plutonium.

Fresh signs of radiation leaks have raised questions about the sustainability of the government’s feed-and-bleed approach.

One major problem, said Murray E. Jennex, an associate professor at San Diego State University with 20 years of experience in examining nuclear containment structures, was that all the water the Japanese were spraying had soaked important machinery like generators and pumps, further hampering efforts to restore the reactors’ electricity supply. The use of helicopters in the first week to drop water on the rectors from above was especially ineffective in hitting the target and may have done more harm than good, he said.

“They dumped water all over the place,” he said. “They keep on generating more contamination. That’s the consequence of doing it. They got water on things that shouldn’t be wet.”

Hiroto Sakashita, an associate professor in nuclear reactor thermal hydraulics at Hokkaido University, said that though the fuel rods in the nuclear reactors had already lost over 99 percent of their heat, they were still giving off enough heat to evaporate an estimated 200 tons of water a day.

And the remaining heat, from isotopes with long half-lives, will take years to cool. “They will just have to keep on pouring and pouring,” Mr. Sakashita said, “but contaminated water will keep leaking out.”

“Handling this situation is getting increasingly difficult,” he said.

Another hurdle workers face, of course, is to keep pumping enough water to cool the fuel rods, while at the same time trying to minimize the overflow of contaminated water. Tokyo Electric is also struggling to replace workers at the crippled plant, who must be cycled out as they approach a cumulative radiation exposure limit set by the Japanese government.

The company is leaning on its contractors to provide more workers, sometimes offering many times normal wages for the increasing risks of working at Fukushima, according to local news reports.

The risks that Japan could export its nuclear problems by allowing radioactive contaminants to get into the air and sea are among the reasons why the government and Tokyo Electric have enlisted the help of experts from France, the United States and elsewhere to make sure conditions do not spiral out of control.

On Tuesday, Peter B. Lyons, a senior United States nuclear energy official, said the Energy Department was preparing a shipment to Japan of radiation-hardened robots, and the personnel to demonstrate how to use them.

In an admission of how long the cooling process may take, Hidehiko Nishiyama, deputy director general of the Nuclear and Industrial Safety Agency, Japan’s nuclear regulator, said late Tuesday: “We will have to continue cooling for quite a long period. We should be thinking years.”

Kuni Yogo, a former atomic energy policy planner in the Japan Science and Technology Agency, said: “There is some trial and error, but this is the beginning of a three- to five-year effort.”

Matthew L. Wald contributed reporting from Washington.

---------------------------------------------------

Light and Water in Fukushima

Mar. 29, 2011:

Issues of Water and Light in the Turbine Buildings at Fukushima Daiichi (Available in Japanese below)

Arjun Makhijani

Workers at the Fukushima Daiichi plant have been trying to reestablish electricity connections to pumps so as to restart the cooling system for the reactors at the plant. According to news reports, two of the major obstacles have been? a high radiation environment (on the order of 1,000 millisieverts per hour) due to contaminated water on the floor of the turbine buildings, and? a lack of light in the turbine buildings, which has forced the electricians to work in the dark.

The combination of these two factors has made it exceedingly difficult to accomplish the objective and has so far frustrated it. Pumping water out of the reactor buildings has not been possible since there are no empty tanks on site of sufficient capacity to hold the water, which is too contaminated to be pumped into the ocean. Recent
reports indicate that the water is also leaking out of the building on to the site, further contaminating the working environment and complicating efforts to bring the problem of cooling the reactors and spent fuel pools under control.

It is extremely difficult to suggest possible courses of action from afar; yet sometimes, the ability to bring the experience of other localities and technological challenges to bear on a problem may be helpful. In this spirit, we put forward a suggestion in the hope that it might be considered by those on site who are struggling with the very difficult and complex effort to bring seven major sources of radioactivity under control (three reactors and four spent fuel pools). The suggestions presented here may or may not be suitable courses of action. However, they may be worthy of consideration after which the authorities may decide whether they merit implementation or suggest alternative approaches. It should be understood explicitly, that we are not recommending that the steps outlined below be implemented, since we are not in a position to evaluate the various possible safety and feasibility issues associated with them. The responsibility for making and implementing decisions belongs fully and solely to the

Japanese government’s safety authorities and the Tokyo Electric Power Company.

A. Light

Punching holes into the roof of the turbine buildings (with due consideration to the hydrogen that may be in them) could provide an initial amount of light, which would enable much more work to be done in the 15 minutes to which workers are limited under the current radiation conditions (according to news reports). At that point, explosion-proof lights using small external generators could also be introduced into the buildings through the holes in the roof to further facilitate work. Any increased radioactivity in the atmosphere outside the turbine building is likely to be very minor compared to the radioactivity on site already, and puncturing the roof will reduce radiation doses greatly once the leakage onto the site is stopped and the water in the building evacuated. Any increased radiation will also likely be temporary since this method will facilitate the removal of water in the building provided the pumping is maintained while the source of the leak is being repaired (if possible).

B. Pumping out water

It is suggested that an empty oil tanker of sufficient size to accommodate the accumulated water and that anticipated to leak into the turbine buildings in the coming period be brought as close to the site as possible. (Alternatively, two tankers may provide a more flexible arrangement, since one could carry water away for unloading into tanks elsewhere in Japan.) The radioactive water can be pumped into the tanker, which can serve as a floating tank. Fresh water to cool the reactors and spent fuel pools is already being brought to site by U.S. barges. This would be the reverse of the process. Of course, it is recognized that the vessel would probably have to be written off, but in the scheme of damages that have already occurred and that may occur if the regular cooling system is not made functional soon, it would seem that this may not a major consideration. Since the water is extremely radioactive, pumping out water and putting it in a ship’s hold (like putting it in a tank on land) will involve some hazards that the authorities should evaluate and take the necessary precautions. For instance, there could be residual radioactive noble gases in the water; it is established that there are volatile radionuclides, notably iodine-131. Other iodine isotopes may also be present. Appropriate arrangements to protect workers pumping the water and those managing the filling of the holds on board, such as venting of the holds, should be made. Finally, given that the water contains a significant concentration of long-lived cesium-137, we stress that it should not be discharged into the ocean, into any other body of water, or onto land; neither should it be injected into the ground. It should be held in large tanks away from the site that are appropriately seismically qualified and checked regularly. The water should be held until all the short-lived radionuclides are decayed away so that the rest can be captured, for instance by ion exchange in resins, as is done with reactor primary water.

C. Conclusion

It appears urgent to devise ways of lighting the turbine building at least by daylight and preferably also by electric explosion-proof lamps. The suggestions above are for consideration and evaluation by the Japanese governmental authorities and by TEPCO. They are not recommendations for action, but could provide ideas that might be useful in an extremely difficult and dangerous situation; they may also be rejected if found unsafe or unsuitable for any reason. The responsibility for evaluation and implementation rests, of course, entirely with the Japanese governmental authorities and with TEPCO who may accept, reject, or modify them as appropriate. Our only desire is to be helpful at a very difficult time for the Japanese people and for the workers and managers who are trying their best to manage the unprecedented nuclear crisis at the Fukushima Daiichi plant.

This paper was reviewed by Dr. Ferenc Dalnoki-Veress and Dr. Patricia Lewis. I am grateful for their helpful comments. As the author, I alone take responsibility for its final contents and any deficiencies that remain.

Arjun Makhijani is president of the Institute for Energy and Environmental Research (www.ieer.org)

 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 

福島第一原発のタービン建屋の水と照明について

Arjun Makhijani
エネルギー環境研究所所長
アージュン・マキジャーニ

福島第一原発の作業員たちは原子炉の冷却システムに電源をつなぎ復旧するために尽力してきている。報道によると、次の二つの主要な障壁があるとされる。

・タービン建屋の床に溜まった水の汚染により、高放射線の環境となっていること(毎時約1,000ミリシーベルト)。

・タービン建屋に照明がなく、電気技師たちは暗闇で作業をすることを強いられていること。

この二つの要因が重なったせいで、目的を達成するのが極めて困難になっている。十分な容量のあるタンクが現場にないので、原子炉建屋から水を汲み出すことができず、水は汚染がひどく海に流すことはできない。最新の報告によれば、水は建屋の外にまで漏れ出しており、作業環境を更に汚染し、原子炉と使用済み燃料プール冷却の問題を制御可能にするための努力は難航している。
遠くにいながら解決策を提案するというのは大変難しいことではある。しかし、場合によっては、ある問題に対し、他の場所での経験や、別の状況で起こった技術的問題の経験を生かすことができるかもしれない。このような観点から、放射性物質の主な7つの発生源(3つの原子炉と4つの使用済み燃料プール)を制御するため、非常に困難で複雑な作業に携わっている現場の人たちに検討してもらえばと思い、ここに提案をしたい。

ここに提示する方策は適切なものかもしれないし、そうでない可能性もある。しかし関係者に検討してもらい、実行に移す価値があるか、または別の方策を取るか決めてもらえればと思う。私たちはこの提案に伴う様々な安全性や実行可能性を評価する立場にはないので、下記の方法を実行するように、勧めているわけではないことを明確に理解してほしい。意思決定と実行の責任は完全に、日本政府の原子力安全機関と東京電力にあり、他にはない。

照明について

タービン建屋の屋根に複数の穴を開ける(建屋内にありうる水素に十分留意した上で)ことで採光が可能になり、(報道によると)現在の放射線の状況下で許されている15分という作業時間でも、かなり仕事がはかどる。その時点で、屋根の穴を通して、小型の外部発電機を使って防爆性照明を導入できればさらに仕事はしやすくなるだろう。大気中に放出する放射線は増えるが、すでに敷地内にある放射線に比べたら大した問題にはならないだろう. また、いったん敷地内への水漏れが止まり建屋内の水も除去されれば、屋根に開いている穴が放射線量を大きく抑えることになるだろう。この方法は建屋内の水の除去を容易化するため、水漏れの元を修理(それが可能なら)している間もポンプ排水が続くのであれば、放射線の増加も一時的なものになるだろう。

排水について

すでに溜まった水と、当分漏れてくる水を収容するに十分な容量を持つ、空のオイルタンカーを現場のなるべく近くまで寄せる。(もしくは、二台のタンカーを使えば柔軟な対応ができるかもしれない。一台は日本の他の場所のタンクに運搬するために使える。)放射能を帯びた水はタンカーに流し込み、タンカーを浮遊タンクとして機能させる。米国の荷船がすでに原子炉と使用済み燃料を冷却するための淡水を持ってきている。これとは逆のプロセスとなる。もちろんこの船体は廃棄処分しなければならなくなるだろうが、既に生じた被害と、通常の冷却システムが速やかに機能しないことによって起こり得る被害に比べたら大事とは言えないであろう。

水は放射線量が特に高いので、排水を船倉に入れる作業は(陸上のタンクに入れるときと同様に)危険を伴うものであり、当局は注意深く予防措置を取らなければいけない。例えば、水に残留放射性希ガスがある可能性がある。また、揮発性の放射性核種、とりわけヨウ素131がある事は確実とされる。他ヨウ素同位体もある可能性がある。排水作業や船倉への注水作業を担当する人たちの安全を守るため、ホールドの換気等の適切な措置が必要である。

最後に、溜まり水に半減期が長いセシウム137が相当量含まれることを考えると、海に流したり、他の水域に流したり、陸上に流すといったことは避ける必要があると強調したい。現場から離れたところで、地震対応の条件を満たしたタンクに貯蔵し、定期的に点検する必要がある。半減期の短い核種が崩壊し尽くし、残りを、たとえば原子炉の一次冷却水でするように、イオン交換樹脂によるイオン交換といった方法で取り込むことが出来るようになるまで、水は貯蔵しておかなければならない。

結論

タービン建屋に少なくとも外の光を入れ、可能なら電気防爆性ランプを使って照明を緊急に確保する必要がある。上記にした提案は日本の当局と東京電力によって検討し評価してもらうものである。これらの行動を推奨しているのではなく、この極めて困難で危険な状況において、役に立つかもしれないアイデアを提供するものである。何らかの理由で安全性に問題があったり、不適切であるものならば却下されるべきである。評価と遂行の責任は当然、全て日本政府の当局と東京電力にあり、採用するか、却下するか、修正するかも必要に応じてするべきである。私たちは、日本の人たちにとって非常に困難な時期に、そして福島第一原発における未曾有の核の危機を切り抜けるために、最善を尽くしている作業員と責任者の皆さんの一助になれればと願うばかりである。

この論文はフェレンク・ダルノキ-ベレス博士とパトリシア・ルイス博士にレビューをしてもらった。両博士の助言に感謝する。著者として、私がこの論文の内容と、まだあるかもしれない欠陥について責任を持つ。

アージュン・マキジャーニはエネルギー環境研究所所長である。www.ieer.org

訳者注:この翻訳は正確を期したつもりですが、日本語版と英語版の間に解釈や意味の違いが生じる可能性があります。この文書については英語版が唯一の正式文書です。日本語訳は、あくまで参考として利用してください。


UPDATE (March 29, APJ Editors)

While taking care to downplay the possibility of a Chernobyl-like explosion and dispersion of radiation, The Guardian quotes scientists and observers who believe that a meltdown has already taken place at Fukushima.
Richard Lahey, head of safety research at GE when the Fukushima reactors were installed, is quoted as saying, "The reason we are concerned is that they are detecting water outside the containment area that is highly radioactive and it can only have come from the reactor core. It's not going to be anything like Chernobyl, where it went up with a big fire and steam explosion, but it's not going to be good news for the environment."


------------------------------------------

INSTITUTE FOR ENERGY AND ENVIRONMENTAL RESEARCH 
エネルギー環境研究所

6935 Laurel Avenue, Suite 201
Takoma Park, MD 20912
Phone: 1 (301)270-5500
FAX: 1 (301) 270-3029
Email: info@ieer.org
http://www.ieer.org
For further information:
Arjun Makhijani 301-270-5500 (preferred) or, for weekend, cell: 301-509-6843

問い合わせ先:
アージュン・マキジャーニ(電話番号301-270-5500か、週末は携帯へ 301-509-6843)

For Immediate Release Friday, March 25, 2011
RADIOACTIVE IODINE RELEASES FROM JAPAN’S FUKUSHIMA DAIICHI REACTORS MAY EXCEED
THOSE OF THREE MILE ISLAND BY OVER 100,000 TIMES
Institute Calls for More Intensive Contingency Planning by Japanese Authorities;U.S. Should Move as Much Spent Fuel as Possible to Dry Storage to Reduce Most Severe Risks and Suspend Licensing and Relicensing during Review

プレス・リリース 2011年3月25日
日本の福島第一原発から放出された放射性ヨウ素はスリーマイル島事故の10万倍以上のおそれがある
当研究所は日本当局に対し、より徹底した緊急時対応策を求める米国は、深刻なリスクを避けるために使用済み燃料をできるだけ乾式貯蔵に移動し、見直し期間中は認可や再認可を保留にするべきである

Takoma Park, Maryland ? The damaged Fukushima Daiichi reactors in Japan continue to release radioactivity into the atmosphere. So far, the accident has released far more radioactivity than the 1979 Three Mile Island (TMI) accident. While Chernobyl had one source of radioactivity, its reactor, there are seven leaking radiation sources at the Japanese site. Together, the three damaged reactors and four
spent fuel pools at Fukushima Daiichi contain far more long-lived radioactivity, notably cesium-137, than the Chernobyl reactor.

メリーランド州タコマ・パーク発 ―損傷した日本の福島第一原発の原子炉は大気中に放射線を発し続けている。現時点で、事故は1979年のスリーマイル島(TMI)事故を大きく上回る放射線を出した。チェルノブイリは放射線を出す元は1か所の原子炉だけであったが、日本の事故現場では7カ所から放射線が出ている。損傷を受けた3つの原子炉と4つの使用済み燃料プールは、チェルノブイリの原子炉に比べ、特にその影響が長引くセシウム137を含む。

The French radiation protection authority, Institut de Radioprotection et de Surete Nucleaire (IRSN), estimates the radioactive releases of iodine-131 in Japan had reached about 2.4 million curies by March 22, 2011. That is about 160,000 times the best estimate of the amount released during the TMI accident in Pennsylvania (15 curies) and about 140,000 times the maximum estimate of 17 curies. It is about 10 percent of the estimated amount released during the Chernobyl accident, according to the IRSN.

フランスの原子力安全機関であるフランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)は、2011年3月22日までに放出された放射性ヨウ素131は約240万キュリーであると推定している。(注1)ペンシルバニア州のTMI事故の一番正確とされる見積もり(15キュリー)の16万倍であり、最大の見積もりである17キュリーの14万倍である。IRSNによると、チェルノブイリ事故の約10%の放出量である。

Combined cesium-134 (half-life: about 2 years) and cesium-137 (half life: about 30 years) releases from Fukushima are estimated at about half-a-million curies, about 10 percent of estimated Chernobyl cesium releases. The TMI accident did not emit measurable amounts of radioactive cesium, according to the presidential commission that investigated the accident.

福島から出たセシウム134(半減期は約2年)とセシウム137(半減期は約30年)を合わせて50万キュリーぐらいであり、チェルノブイリのセシウム放出量の約10%である。事故を調査した大統領諮問委員会によると、TMI事故では検出可能な量の放射性セシウムは出なかったという。

“This accident has long since passed the level of Three Mile Island,” said Dr. Arjun Makhijani, president of the Institute for Energy and Environmental Research (IEER). “While the releases are still considerably below Chernobyl, they have already reached a level that could affect the region around the site for a prolonged period.

It is simply a fantasy and highly misleading for the official accident level to remain at level 5, given the estimated radioactivity releases and the extended evacuation, contamination of food and water, and other countermeasures that have already been ordered by the government.”

エネルギー環境研究所(IEER)所長のアージュン・マキジャーニ博士は「この事故はスリーマイル島事故のレベルをとうに超えている」と語った。「放出量はまだチェルノブイリより相当少ないが、すでに近辺地域に長期間の影響が出る可能性のあるレベルである。放出された放射線の推量、長引く避難、食品と水の汚染、政府によるその他の対策などを併せ見ても、公式の事故評価をレベル5のままに据え置くのは現実味がなく、誤解を招く恐れがある。」

The primary risk of concern with iodine-131 is thyroid cancer, with children more at risk than adults. A high enough intake of iodine-131 by children can also cause developmental problems and other thyroid diseases. Young girls are at greater risk than boys. Female infants have a risk of thyroid cancer 70 times greater than adult males for the same radiation exposure. Some iodine-131 deposits on land, including pastures.

ヨウ素131の一番の懸念は甲状腺ガンであり、大人より子どもの方がよりリスクが高い。ヨウ素131を多く摂取した子どもは発育問題や甲状腺の他の問題を抱えることがある。女の子は男の子よりもリスクが高い。同じ被ばく量でも、大人の男性よりも女の乳児の方が甲状腺ガンになるリスクが70倍高い。ヨウ素131は牧草地を含む地面に落ちる。

When contaminated grass is eaten by cows and goats, iodine-131 concentrates in milk. It has a half-life of about eight days, meaning that appreciable amounts will remain in the environment for a few months after large releases.
Cesium-137 will take a few hundred years to decay to very low levels. Some cesium-137 from atmospheric testing in the 1950s and 1960s is still present in soil all over the world. It causes all types of radiogenic cancers since it distributes itself all over the body, like potassium. Cesium-137 contamination is the main reason that a huge exclusion zone (about 1,000 square miles) still needs to be maintained around Chernobyl.

汚染された牧草を牛やヤギが食べたらヨウ素131は乳に凝縮される。半減期は8日間であり、大量に放出された後は相当の量が環境に数カ月間残る。セシウム137は非常に低いレベルにまで崩壊するのに数百年かかる。1950年、1960年代に行った大気圏内核実験から出たセシウム137は世界中の土壌にまだある。カリウムのように全身に行き渡るので、放射線によるありとあらゆるガンの原因となる。チェルノブイリの周辺に立ち入り禁止区域(1,000平方マイル=約2、590平方キロメートル)をいまだに維持しなければいけない主な理由が、このセシウム137による汚染である。

The radioactive fallout from the damaged Fukushima reactors has already covered substantial parts of Honshu, Japan’s main island. Japanese officials have warned citizens against consuming 11 types of vegetables found to have higher than the legal levels of radioactivity, as well as milk from regions near the plant. They have urged residents to avoid giving tap water to children and infants.

損傷した福島の原子炉から出ている放射性降下物はすでに本州の大部分を覆った。日本当局は、11種類の野菜と、原発周辺地域産の牛乳に法的基準以上の放射線物質が出たことを市民に警告した。子どもと乳児に水道水を飲むことを避けるように勧告した。

Despite these warnings, authorities in Japan have not been forthcoming about the actual levels of radioactive releases, which according to some reports are grave enough that additional, immediate public protection is necessary. The large radioactivity releases, large evacuation zone, and extensive contamination of food and water indicate that it should be raised to level 6, which is also the evaluation of the French and U.S. authorities. This would give a more realistic picture to the public in Japan and allow for appropriately intensified contingency planning.

こういった警告に関わらず、日本当局は実際の放射線の拡がり方についてしっかり伝えてきていない。いくつかの報告によると、放射線の放出の仕方は深刻で、急きょ市民の安全を守るために対処しなければいけないものである。この大量の放射線放出、広範囲に渡る避難区域、食品や水の汚染を考慮すると、フランスと米国がそうしたように、事故の度合いはレベル6に引き上げられなければいけない。そうすることで日本の一般市民はより現実的な認識を持つことができ、適切で、より徹底した緊急時対応策を可能にする。

Efforts to stabilize the damaged reactors have only been partly successful; cooling with seawater may have created its own problems. A significant blockage of the space between the fuel rods with salt deposits could slow cooling water flow even if fresh water can be pumped in. The re-start of normal pumping faces formidable technical and safety problems.

損傷を受けた原子炉を安定化させるための努力は部分的にしか成功していない。海水での冷却はまた別の問題を引き起こしている可能性がある。燃料棒の間の空間に塩が沈着し塞いで、淡水を注入したとしても冷却水が速やかに流れないおそれがある。通常の冷却ポンプを復旧する作業は大変な技術的、また安全面での問題に直面している。

“Tokyo Electric Power Company (TEPCO) and the Japanese government must inform the public of their estimates of the releases so far and the potential scale of additional releases, provide updates that are as complete as possible, and create appropriate contingency plans for the public.”

「東京電力と日本政府はこれまでの放射線放出量、そして今後どれぐらい放出されるかの予測をなるべく詳細に市民に知らせ、市民を守るための適切な緊急時対応策を打ち出す必要がある。」とマキジャーニ博士は提言する。(注2)

Last week, IEER noted that damages from severe spent fuel accidents in the U.S. could range from $900 million to $700 billion (http://www.ieer.org/comments/Daiichi-Fukushima-reactors_IEERstatement.pdf ). Vermont Yankee, for example, contains more spent fuel in its pool than all four stricken pools at the Fukushima Daiichi plant. Yet the Nuclear Regulatory Commission has not ordered any additional actions
to protect this material.

先週、エネルギー環境研究所は米国における使用済み核燃料の事故から生ずる損失は9億ドルから7千億ドル(http://www.ieer.org/comments/Daiichi-Fukushima-reactors_IEERstatement.pdf)であると予測した。例を挙げれば、バーモント・ヤンキー原発では、福島第一原発の問題を抱える4つの原子炉の使用済み燃料の合計以上の燃料を、その使用済み燃料プールに抱えている。それにも関わらず原子力規制委員会(NRC)はこの燃料を安全に保つための追加策を何ら(この原発に)命じていない。

“The Nuclear Regulatory Commission should order all aged spent fuel in the U.S. to be moved from pools to hardened dry storage,” said Dr. Makhijani. “It should suspend all licensing and relicensing proceedings until the long-term safety review is complete. It should also review the nearly certified reactor designs, like the AP1000. It is lamentable that the NRC extended the license of the Vermont Yankee reactor, which is the same design as the stricken Fukushima units, while the Japanese crisis is still going on and there has been no time to learn its lessons. I am shocked the NRC did not even order the emptying of all of Vermont Yankee’s older spent fuel into dry cask storage, as a condition of the license extension.”

「原子力規制委員会は米国中にある時間の経った使用済み燃料を全て乾式貯蔵に切り替えることを指示すべきである」とマキジャーニ博士は言う。「長期的安全性の見直しが完了するまですべての認可、再認可手続きを保留すべきである。AP1000といった認定直前の原子炉も見直すべきである。日本の危機が進行中でこの問題からの教訓をまとめる暇もないうちに、原子力規制委員会が今回被害を受けた福島の原子炉と同じ構造を持つバーモント・ヤンキーの原子炉の認可を延長したのは嘆かわしいことだ。原子力規制委員会がバーモント・ヤンキーの時間が経った使用済み燃料を全部取りだし、乾式キャスク貯蔵に移すことを再認可の条件としなかったことに衝撃を受けている。」とマキジャーニ博士は語った。
(Translated by Satoko Norimatsu)

1 この注釈は日本語版作成にあたり日本の読者にわかりやすいようにIEERと相談した上で訳者が付けている。この数値はフランスのIRSNの推計
(http://www.irsn.fr/FR/Actualites_presse/Actualites/Documents/NI-terme-source-22032011-tableau.pdf)にもとづいている。この文書のI-131(ヨウ素131)のところを見ると、9E+16ベクレルとあります。

1キュリー=3.7E+10ベクレルなので、換算すると240万キュリーとなる。ちなみにこの文書によるとセシウム134とセシウム137はそれぞれ1E+16ベクレル、合せると2E+16ベクレルとなる。これを換算すると約50万キュリーとなる。
IRSNは今、日本語でも情報提供しているので参考にしてください。
(http://www.irsn.fr/EN/news/Pages/201103_seism-in-japan.aspx
日本語書類へのリンクは下方にあります)
2 この部分の引用は、原文では誰が言ったかの記述がなかったので、IEERに、マキジャーニ博士の発言であると確認を取った。

-----------------------------------------
Kyodo News Service Op ed by Arjun Makhijani ? Japanese version

2011年03月21日 17:43:06 共A3T0372企画067S
識者評論「原発震災―海外核専門家の目」(オピニオン欄用)

燃料プールはテロに脆弱 米は新炉の認可停止を
米エネルギー環境調査研究所所長 アージャン・マキジャニ

【編注】地震朝刊メモ(11)、顔、政治部、内政部、外信部、経済部、社会部、文化部、海外部注意
悲しいことに、津波と地震がもたらした第2次大戦以降最大の惨劇的壊滅を被った日本は、放射能が引き起こすダメージに気付かせてくれた。 原子力エネルギーから脱却する道筋を描くのは複雑な作業だ。しかし日本人がそう決めた場合は、いくつかの迅速な行動が安全性を高め、コストを低減し、その道筋をスムーズにしてくれるだろう。 (使用済み核燃料からプルトニウムやウランを抽出する)再処理は液体状の放射性物質を生み出す。事故発生時の危険性は、東京電力福島第1原発でこれまでに見られた放射能放出に匹敵するか、それをしのぐ可能性がある。 青森県六ケ所村の再処理施設はまだ(本格)稼働していない。高速増殖炉原型炉「もんじゅ」は、ナトリウム冷却機能を備えているため、過酷な事故の場合は、火災や爆発を伴いうる。 六ケ所村の再処理施設も「もんじゅ」も電力生産には寄与しない。閉鎖することにより、安全性が高まる。 そして日本は原子力を段階的に廃棄し、再生可能エネルギーや天然ガス、水力による発電、(エネルギー)効率性と次世代送電網スマートグリッドによって、より安全なエネルギーセクターを再構築することができる。 米国はこれまでのところ、今回の危機にのんきに対応している。(米国内の)104基の原発にある使用済み核燃料プールはテロリストの攻撃に脆弱(ぜいじゃく)で、過酷事故に見舞われる可能性もある。 ブルックヘブン国立研究所の試算によれば、最悪のシナリオがもたらす損害は、約7千億ドル(約56兆円)に上り、10万人以上ががんで死亡する恐れがある。 しかしながら、米原子力規制委員会(NRC)はリスク低減が図れる、(使用済み核燃料を容器に入れて保管する)乾式貯蔵を命じてこなかった。 また新炉建設へ向けた認可作業を停止し、既存炉に対する認可手続きの見直しを行うことが良識的だが、そんな方向性は見えてこない。 米国は、石油輸出国機構(OPEC)諸国から輸入した石油よりも多くの再生可能エネルギーに頼っている。福島の惨事にもかかわらず、米国が再生可能エネルギーに全面依存した経済へ移行できなければ、ひどいことになるだろう。私は自著で、技術的かつ経済的にそれが実現可能であることを示している。 世界は、平和のハトを隠れみのに核爆弾の恐怖を覆い隠してきた「アトムズ・フォー・ピース(平和のための原子力)」を再考すべきだ。そして再生可能な道筋である「エネルギー・フォー・ピース(平和のためのエネルギー)」を構築しなければならない。
× × ARJUN MAKHIJANI 45年カラチ生まれ。インド・ムンバイ大を卒業後、カリフォルニア大バークリー校で技術工学、核融合を研究し72年に博士号取得。キャピトル大(メリーランド州)で助教授などを務め、87年から現職。
---------------------------------------------------

REUTERS
http://jp.reuters.com/article/wtInvesting/idJPJAPAN-20331820110330

特別リポート:
地に落ちた安全神話─福島原発危機はなぜ起きたか

2011年 03月 30日 11:23 JST

布施 太郎  

[東京 30日 ロイター]
巨大地震と大津波で被災した東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)・福島第1原子力発電所から深刻な放射能汚染が広がっている。
「想定外だった」と政府・東電が繰り返す未曽有の大惨事。

 ロイターが入手した資料によると、事故の直接の原因となった大津波の可能性について、実は東電内部で数年前に調査が行われていた。なぜ福島原発は制御不能の状態に陥ったのか。その背後には、最悪のシナリオを避け、「安全神話」を演出してきた政府と電力会社の姿が浮かび上がってくる。 

 底知れない広がりを見せる福島第1原発からの放射能汚染。敷地内で原子炉から外部に漏れたと思われるプルトニウムが検出される一方、1、2号機のタービン建屋の外に放射性物質が流出していることも明らかになった。核物質を封じ込めるために備えた安全策は機能不全に陥っている。経済産業省原子力安全・保安院の担当者は29日未明の会見で「非常に憂える事態だ」と危機感をあらわにした。 


  <埋もれた4年前のリポート、福島原発モデルに巨大津波を分析> 

 「津波の影響を検討するうえで、施設と地震の想定を超える現象を評価することには大きな意味がある」。こんな書き出しで始まる一通の報告書がある。東京電力の原発専門家チームが、同社の福島原発施設をモデルにして日本における津波発生と原発への影響を分析、2007年7月、米フロリダ州マイアミの国際会議で発表した英文のリポートだ。

 この調査の契機になったのは、2004年のスマトラ沖地震。インドネシアとタイを襲った地震津波の被害は、日本の原発関係者の間に大きな警鐘となって広がった。

 とりわけ、大きな懸念があったのは東電の福島第1原発だ。40年前に建設された同施設は太平洋に面した地震地帯に立地しており、その地域は過去400年に4回(1896年、1793年、1677年、1611年)、マグニチュード8あるいはそれ以上と思われる巨大地震にさらされている。

 こうした歴史的なデータも踏まえて、東電の専門家チームが今後50年以内に起こりうる事象を分析。その報告には次のような可能性を示すグラフが含まれている。

 ―福島原発は1―2メートルの津波に見舞われる可能性が高い。

 ―9メートル以上の高い波がおよそ1パーセントかそれ以下の確率で押し寄せる可能性がある。

 ―13メートル以上の大津波、つまり3月11日の東日本大震災で発生した津波と同じ規模の大災害は0.1パーセントかそれ以下の確率で起こりうる。

 そして、同グラフは高さ15メートルを超す大津波が発生する可能性も示唆。リポートでは「津波の高さが設計の想定を超える可能性が依然としてありうる(we still have the possibilities that the tsunami height exceeds the determined design)」と指摘している。 

 今回の大震災の発生を「想定外」としてきた東電の公式見解。同リポートの内容は、少なくとも2007年の時点で、同社の原発専門家チームが、福島原発に災害想定を超えた大津波が押し寄せる事態を長期的な可能性として認識していたことを示している。 

 この詳細な分析と予見は、実際の防災対策にどこまで反映されたのか。ロイターの質問に対し、東電の武藤栄副社長は「(福島第1原発は)過去の最大の津波に対して余裕をもっている設計にしていた」とは説明。それを超えるような津波がありうるという指摘については、「学会の中で定まった知見はまだない」との認識を示すにとどまった。 


  <従来の事故想定は機能せず>  

 大震災発生から5日経った3月16日。上原春男・佐賀大学前学長は、政府から一本の電話を受けた。「すぐに上京してほしい」。声の主は細野豪志・首相補佐官。東京電力の福島第1原発で発生した原子炉事故を受け、政府と東電が立ち上げた事故対策統合本部への協力を依頼する緊急電話だった。
 着の身着のままで佐賀空港から羽田空港に飛んだ上原氏は、統合本部のある同社東京本店に足を踏み入れ、思わず目を疑った。節電で照明を落とし、休日であるかのように薄暗い館内。その中を眉間にしわを寄せた同社社員や経済産業省原子力安全・保安院の職員たちがせわしなく行き来する。かつて彼らが見せたことのない悲壮な表情を目にして、上原氏はすぐさま事態の異様さを直感したという。

 上原氏の専門はエネルギー工学で、発電システムのプラントなどにも詳しい。6号機まである福島原発の原子炉のうち、3号機の復水器の設計に携わった。その知見を借りたい、というのが細野補佐官からの依頼だった。

 上原氏がかつて手掛けた3号機はすでに水素爆発を起こしていた。外部電源を失っているため、消防のポンプ車が海水をくみ上げ原子炉格納容器内に注入するという、なりふり構わぬ対応が続いていた。社内に危機管理のノウハウを持つはずの東電が、外部の専門家に救いを求める。それは従来の事故想定が機能しない段階まで事態が悪化していることを物語っていた。

 「危機対応も含めて安全管理のプロがそろっていたら、こんな状態にならなかったはずだ」と上原氏は悔やむ。 


  <遅れる判断、海水注入> 

 原子力発電の世界に「アクシデント・マネジメント(過酷事故対策)」という言葉がある。「コンテンジェンシ―・プラン(危機対応計画)」と言い換えてもいい。1979年の米国スリーマイルアイランド原子力発電所事故を踏まえ、欧米などで導入が進み、日本でも1992年に原子力安全委員会が整備を勧告した。「原発では設計や建設段階、運転管理などすべての段階で安全を確保しているが、そうした安全上の想定を超え、さらに大きな事故が起こった場合に備えての対策」(電力会社広報)だ。

 ここでいう大事故とは「シビアアクシデント(過酷事故)」、つまり原子炉内の燃料に大きな損傷が発生するなど、現在の原発の安全設計では前提にしていない緊急事態を意味する。その起こりえないはずのシビアアクシデントが発生しても、被害を抑える措置ができるように原子炉や冷却装置などのハードウエアを整備する。同時に、そうしたシステムをどう運用して対応すべきか、ソフト面の行動規範も定めている。 

 安全対策を二重、三重に講じて完璧を期したはずのその対策は、しかし、福島原発事故では機能しなかった。それは何故か。
 東京電力によると、アクシデント・マネジメントには、原子炉の暴走を抑えるために必要な措置として、注水機能や、電源供給機能の強化が盛り込まれている。ところが、地震後の大津波で、非常用ディーゼル発電機も含めたすべての電源が失われ、注水ができなくなった。この非常事態を前提とした具体的な対応策が、東電のアクシデント・マネジメントには存在しなかった。

 事故発生後の失策の一つは、1号機に対する海水注入の決断の遅れだ、と複数の専門家は見る。1号機の冷却装置の注水が不能になったのは11日午後4時36分。消防のポンプ車で真水を注入していたが、その真水の供給も途絶え、原子炉格納容器の水位は低下。冷却機能を急速に失って、翌12日午後3時半に1号機は水素爆発を起こした。

 現場にいた原子力部門の責任者、武藤栄副社長は「それ以前に海水注入の検討を始めていた」と話すが、実際に注入を開始した時刻は午後8時20分になっていた。

 海水注入の遅れが水素爆発を誘発し、それが現場の放射線環境の悪化を招く。作業員の活動は困難になり、対応がさらに後手に回る。初動を誤り、スパイラル的に状況が悪化していく悪循環の中で、福島原発は大惨事に発展した。

 武藤副社長は「想定外の津波が起こった。アクシデント・マネジメントは様々なことが起きた時に応用手段を取れるようにすることで、今回は最大限の努力を払った」と繰り返す。 


  <政府もコントロール機能が欠如> 

 「東京電力も政府も、アクシデント・マネジメントが不十分だった」。原子力工学が専門で、地球環境産業技術研究機構の山地憲治・研究所長はこう指摘する。「シビアアクシデントが起こった時にどのように対処するのか。技術的な対応だけではなく、発生した時に誰がトップに立って指揮し、どういう体制で動くのかなどについて訓練や準備が大幅に不足していた」と分析する。

 政府にさえ、緊急時対応をコントロールする機能が欠如していた。アクシデント・マネジメントという表現自体は日本の法律には明記されていないが、同じ事態を想定しているのが原子力災害特別措置法だ。原子炉に大きな問題が生じた場合、政府が電力会社に必要な指示を出すことができると規定している。
 だが、政府からは適切な指示が出ていたのか。「自らの考えで海水注入の判断を行った」(武藤栄副社長)というのが東電の説明だ。政府関係者らによると、水素爆発後、政府は東電に対して非公式に海水注入を「指示」したものの、それはあくまで東電の責任において行うとの暗黙の前提があった。

 「政府は海水注入の判断を東京電力に任せず、政府の責任でやらせるべきだった」と山地所長は主張する。海水を注入すれば、塩分で機器が使えなくなり、「廃炉」にせざるをえない。山地所長によると、福島原発の設備を新たに作り直すとすれば、費用は1兆円程度になるという。東電の経営にとっては重大な決断だが、「すでに事態は個別企業の問題という枠を超え、国や社会に対して大きな危険が及ぶ状況に変わっていた。原災法に基づいて、政府が海水注入の意思決定を行い、早く指示を出すべきだった」というのが山地所長の意見だ。

 そもそも、政府の対応を決める原災法自体が、原子炉が制御不能になる事態を想定していない。菅直人首相は11日、同法に従って原子力非常事態宣言を出した。「原災法のもともとの狙いは、原発事故の際の地域住民の避難や屋内退避をどのように行うのかという点にある。制御不能になった原子炉そのものをどうやって止めるのかは主眼に入っていない」と経産省のある幹部は明かす。「誰もリアリティを持って、法律を作らなかった」(同)のである。


  <問われる原子力安全・保安院の対応力> 

 政府の事故対応と状況の分析については、経産省原子力安全・保安院が最前線の責任を担っている。だが、今回の事故は、その役割と遂行機能についても疑問を投げかけた。

 今回の事故では東電や関連会社の従業員が発電所に踏みとどまって危機処理にあたる一方で、地震発生時に集まった同院検査官は15日には現場を離脱し、1週間後に舞い戻るなど、その対応のあいまいさが指摘される場面もあった。

 「安全性に問題があり、人間が暮らすには不便が多かった」と、保安院の西山英彦審議官は弁明する。しかし、ある経産省幹部は「保安院は大規模な原発事故に対応する訓練もしていなければ、それに基づいて危機処理にあたる能力も十分にあるわけではない」と打ち明ける。 

 同院は2001年の省庁再編により、旧科学技術庁と旧経産省の安全規制部門を統合、新設された。約800人で組織され、原発の安全審査や定期検査、防災対策などを担う。全国に立地されている原子力発電所に近接する場所に、オフサイトセンターと呼ばれる「原子力保安検査官事務所」を構え、検査官が発電所に毎日出向き、運転状況などをチェックしている。
 ある電力会社の技術系担当者は、検査官の働きについて「定期検査などは非常に厳しい。機器の寸法を図る測定器の精度までチェックするなど、検査は念が入っている」と説明する。しかし、民間の原子力専門家の中には「原子炉運転の仕組みなどは、保安院の検査官は電力会社に教えてもらうこともしばしば。検査と言っても、形だけのチェックをしているにすぎない」などの厳しい指摘も少なくない。 


  <安全基準への過信、リスクを軽視> 

 震災発生後、日本政府や東電から流れる情報に対し、海外各国は過敏ともいえる反応を見せた。福島原発からの放射線漏れを懸念した米国政府は、日本に住む米国民に対して、日本政府の指示を上回る避難指示を出し、同原発から80キロ以上の距離に移動するよう促した。仏政府は自国民に日本からの脱出を助けるため、航空便を手配。さらに多くの大使館や外資系企業が職員や社員の日本脱出や東京以西への避難を進めている。

 海外には、日本が原発に対して高い安全基準を課してきたという認識がある一方、その有効性に対する日本の過信を疑問視する見方も少なくない。

 ウィキリークスが公開した文書によると、国際原子力機関(IAEA)の本部があるウィーンの米国大使館は2009年12月、ワシントンに対して、1本の公文書を送った。そこには、通産省(現経産省)出身で同機関の事務次長(原子力安全・核セキュリティ担当)を務めていた谷口富裕氏について、「特に日本の安全対策に対決するという点においては、彼は非力なマネージャーであり提唱者だった(Taniguchi has been a weak manager and advocate, particularly with respect to confronting Japan’s own safety practices.)」と記されており、同氏の取り組みに満足していない米国の見方を示唆している。

 IAEAは昨年、「世界への警鐘」として、2007年の新潟県中越沖地震についての報告書を発表。そのなかで、これまでの原発の放射線漏れ対策は、主として装置の不具合や作業員のミスなど原発内部のリスク要因に目を向けていた、と指摘。さらに同地震の例を引きながら、「最大の脅威は原発の壁の外にあるだろう」として、地震や津波、火山噴火、洪水などの激烈な自然災害の発生を想定し、一段と備えを強化するよう求めた。

 その警告は、今回の福島原発の惨事において、どこまで生かされたのか。放射線被ばくの危険にさらされながら決死の注水や電源回復などにあたる現場の作業員の行動については、国内のみならず海外からも称賛の声が届いている。しかし、翻せば、それは危機への備えが十分にされていなかった日本の現実、と海外の目には映る。

 「私たちがいま目にしている英雄的な行動が何を意味するか、原発が直面している現実を改めて考え直すべきだ」と、世界各地で環境や安全対策の強化を提言している「憂慮する科学者同盟」(The Union of Concerned Scientists)のメンバーで、原発設計の専門家でもあるエド・ライマン氏は語る。
 「彼ら(政府と東電)は地震、津波、原発の緊急時に備えていたかもしれない。しかし、これら三つの災害が大規模に発生する事態を十分に想定していたとは考えにくい」と、もう一人のメンバーで電力事業のエキスパートであるエレン・バンコ氏も従来の日本の原発対応に疑問を投げかける。 


  <もたれ合う政府と業界、金融危機の構図と二重写し> 

 原発推進という利害のもとで、密接な関係を築いてきた経産省・保安院と電力会社。ともに原発の危険シナリオを厭(いと)い、「安全神話」に共存する形で、その関係は続いてきた。だが、監督官庁と業界の密接な関係は、ともすれば緊張感なき「もたれ合い」となり、相互のチェック機能は失われていく。その構図は1990年代の「金融危機」と二重写しのようでもある。

 かつて、旧大蔵省銀行局は、銀行の健全性を審査する検査官も含めて銀行と馴れ合い関係に浸り、バブル崩壊で不良債権が積み上がった銀行の危機的な状況は見過ごされた。背景にあったのは、銀行は決して破綻しないという「銀行不倒神話」だ。95年の兵庫銀行の破綻を契機に、金融危機は加速していくことになるが、大蔵省は銀行局の破綻処理スキームの構築などで後手に回った結果、金融危機を拡大させていくことになった。最終的に大蔵省は解体され、金融庁の発足につながっていく。

 国策として原子力推進を進める経済産業省に、安全規制を担う保安院が設けられている現状では、強力なチェック機能は期待しにくい。保安院が「原発推進のお墨付き与えるだけの機関」(電力アナリスト)と言われる理由はここにある。

 原子力安全委員会の班目春樹委員長は22日、参院予算委員会で「規制行政を抜本的に見直さなければならない」と述べた上で謝罪した。民主党も昨年の総選挙のマニフェストのもとになる政策集で「独立性の高い原子力安全規制委員会を創設する」とうたっており、現在の規制体制の抜本見直しは避けられない。推進と規制の分離が課題となり、保安院を経産省から切り離した上で、内閣府の原子力安全委員会と統合する案が現実味を帯びそうだ。 

  <競争原理働かぬ電力会社、ガバナンスの不在招く> 

 民間企業でありながら、地域独占を許されて電力供給を担う東電。特権的ともいえる同社のビジネス環境が、同社のガバナンス確立を遅らせる要因になってきた、との指摘は根強い。
 東京電力に緊急融資2兆円―。原発事故を受けて急速に信用が悪化している東電に対し、主力銀行の三井住友銀行など大手7行が今月中に巨額融資を実行するニュースは、市場関係者も驚かせた。ある銀行アナリストは「経営再建問題に揺れた日本航空に対しては融資を出し渋ったのに、今回は随分と気前がいい話だ」と話す。

 格付け会社のムーディーズ・ジャパンは東京電力の格付けを「Aa2」から2段階下の「A1」に引き下げた。A1は全21段階のうち、上から5番目だ。社債市場では、国債と東電の社債のスプレッドが従来の0・1%程度から1―2%に拡大。原発事故の成り行き次第では、さらに広がる可能性もある。

 東電が各大手行に融資の依頼に回り始めたのは、福島第1原発で爆発が立て続けに起きていた震災翌週のことだ。東電役員が「3月中に実行してほしい。おたくは上限いくらまで出せますか」と伝えにきた、とある大手行幹部は言う。しかも、当初提示してきた条件は格安のLIBORプラス10ベーシスポイント。経営危機に直面するリスクの高い借り手には、とても許されない好条件だ。「さすが殿様会社。自分の置かれている状況がどんなに悪化しているのか分かっていないようだ」と、同幹部はあきれ返った。

 原発処理の行方次第では、東電は債務超過も懸念される深刻な局面にある。そのリスクを負ってでも各行が融資に踏み切ろうというのは、「東電不倒神話」があるからだ。「独占事業を営んでいる東電は潰れないし、政府も潰さない。貸した金は返ってくる」と別の大手行幹部は言い切る。 

 全国9電力体制の下、料金自由化も進まない電力市場では、業界各社間の競争原理が働かず、「経営規律を厳しくして企業体質を強める」という普通の民間企業なら当たり前の課題も放置されがちだ。

 一つの例が、東電の役員構成だ。同社には代表取締役が8人おり、勝俣恒久会長、清水正孝社長の他に6人の副社長も全員代表権を持つ。他の日本企業では滅多にお目に掛かれない布陣だ。ある電力アナリストは「組織が縦割りで融合していないことの表れ。経営判断も遅くなる」と分析する。

 企業として取るべき行動の不備は、地震後の対応でもはっきりと表れた。今回の事故後、清水社長は地震発生2日後に記者会見を行っただけで、あとはまったく公の場所に現れていない。

 同社広報は「事故の陣頭指揮を取っている」と説明したが、一時、過労で統合本部から離れていたことも明らかになった。統合本部に入っている政府関係者は「リーダーシップを発揮しているようには見えない」と打ち明ける。清水社長は資材部門出身で、「原発事故の処理ができると思えない」(電力会社関係者)との指摘もある。こうした対応に、経産省からも「電力自由化の動きが進まず競争がないため、経営規律が働いていない」(幹部)との声が上がっている。 


  <エネルギー政策の構造改革に口火も> 

 今回の原発危機は、東電や電力会社の企業体質に大きな転換を迫るだけでなく、日本のエネルギー政策自体の構造改革に口火をつける可能性もある。政府の中には今回の事故をきっかけに、抜本的なエネルギー政策の見直しに取り組むべきとの声も出始めた。

 最大の課題は、原発の安全神話が崩れた今、今後の日本の電力エネルギーをどのように確保するのかという点だ。日本の電力供給に占める原発の割合はすでに約3割に達している。その一方で東電の供給力不足解消の見通しは立っていない。

 このままの状態が続けば、企業の生産回復を阻害する構造的な要因になり続ける可能性もある。電気事業法には電力会社による電力の供給義務が盛り込まれているが、「資源エネルギー庁と東電は法律に違反しない範囲でどのように計画停電を行うかに、すべての力を注ぎこんでしまっている」(政府関係者)という。 

 もう一つの焦点は電力自由化だ。国策である原発推進を二人三脚で進めてきた電力会社と経産省だが、電力自由化では対立を続けてきた。2000年初頭に経産省が水面下で進めようとしていた発電と送電を分離する抜本的な自由化案は、東電を中心とした電力会社の抵抗に会い、あえなくお蔵入りとなっている。

 原発のリスク負担を今後も民間企業に押し付けるのか。現在の全国9電力体制を維持し続けるのか。これまで避け続けてきたこうした難題に政府は緊急の回答を迫られている。

 東電は原発事故に伴う損失で経営自体が困難になることが予想されるが、その先には電力産業自体の構造改革とエネルギー政策の転換という歴史的な変化が待ち受けているかもしれない。 

 (取材協力:Kevin Krolicki, Scott DiSavino 編集:北松克朗)

-----------------------------------

REUTERS

Special Report:
Japan engineers knew tsunami could overrun plant

http://www.reuters.com/article/2011/03/29/us-japa-nuclear-risks-idUSTRE72S2UA20110329
By Kevin Krolicki, Scott DiSavino and Taro Fuse

TOKYO | Tue Mar 29, 2011 2:00pm EDT

(Reuters) - Over the past two weeks, Japanese government officials and Tokyo Electric Power executives have repeatedly described the deadly combination of the most powerful quake in Japan's history and the massive tsunami that followed as "soteigai," or beyond expectations.

When Tokyo Electric President Masataka Shimizu apologized to the people of Japan for the continuing crisis at the Fukushima Daiichi nuclear plant he called the double disaster "marvels of nature that we have never experienced before".

But a review of company and regulatory records shows that Japan and its largest utility repeatedly downplayed dangers and ignored warnings -- including a 2007 tsunami study from Tokyo Electric Power Co's senior safety engineer.

"We still have the possibilities that the tsunami height exceeds the determined design height due to the uncertainties regarding the tsunami phenomenon," Tokyo Electric researchers said in a report reviewed by Reuters.

The research paper concluded that there was a roughly 10 percent chance that a tsunami could test or overrun the defenses of the Fukushima Daiichi nuclear power plant within a 50-year span based on the most conservative assumptions.

But Tokyo Electric did nothing to change its safety planning based on that study, which was presented at a nuclear engineering conference in Miami in July 2007.

Meanwhile, Japanese nuclear regulators clung to a model that left crucial safety decisions in the hands of the utility that ran the plant, according to regulatory records, officials and outside experts.

Among examples of the failed opportunities to prepare for disaster, Japanese nuclear regulators never demanded that Tokyo Electric reassess its fundamental assumptions about earthquake and tsunami risk for a nuclear plant built more than four decades ago. In the 1990s, officials urged but did not require that Tokyo Electric and other utilities shore up their system of plant monitoring in the event of a crisis, the record shows.

Even though Japan's Nuclear and Industrial Safety Agency, (NISA) one of the three government bodies charged with nuclear safety, cataloged the damage to nuclear plant vent systems from an earlier earthquake, it did not require those to be protected against future disasters or hardened against explosions.

That marked a sharp break with safety practices put in place in the United States in the 1980s after Three Mile Island, even though Japan modeled its regulation on U.S. precedents and even allowed utilities to use American disaster manuals in some cases.

Ultimately, when the wave was crashing in, everything came down to the ability of Tokyo Electric's front-line workers to carry out disaster plans under intense pressure.

But even in normal operations, the regulatory record shows Tokyo Electric had been cited for more dangerous operator errors over the past five years than any other utility. In a separate 2008 case, it admitted that a 17-year-old worker had been hired illegally as part of a safety inspection at Fukushima Daiichi.

"It's a bit strange for me that we have officials saying this was outside expectations," said Hideaki Shiroyama, a professor at the University of Tokyo who has studied nuclear safety policy. "Unexpected things can happen. That's the world we live in."

He added: "Both the regulators and TEPCO are trying to avoid responsibility."

Najmedin Meshkati, a professor of civil and environmental engineering at the University of Southern California, said the government's approach of relying heavily on Tokyo Electric to do the right thing largely on its own had clearly failed.

"The Japanese government is receiving some advice, but they are relying on the already badly stretched resources of TEPCO to handle this," said Meshkati, a researcher of the Chernobyl disaster who has been critical of the company's safety record before. "Time is not on our side."

The revelation that Tokyo Electric had put a number to the possibility of a tsunami beyond the designed strength of its Fukushima nuclear plant comes at a time when investor confidence in the utility is in fast retreat.

Shares in the world's largest private utility have lost almost three-fourth of their value -- $30 billion -- since the March 11 earthquake pushed the Fukushima Daiichi nuclear plant into crisis. Analysts see a chance the utility will be nationalized by the Japanese government in the face of mounting liability claims and growing public frustration.

AN 'EXTREMELY LOW' RISK

The tsunami research presented by a Tokyo Electric team led by Toshiaki Sakai came on the first day of a three-day conference in July 2007 organized by the International Conference on Nuclear Engineering.

It represented the product of several years of work at Japan's top utility, prompted by the 2004 earthquake off the coast of Sumatra that had shaken the industry's accepted wisdom. In that disaster, the tsunami that hit Indonesia and a dozen other countries around the Indian Ocean also flooded a nuclear power plant in southern India. That raised concerns in Tokyo about the risk to Japan's 55 nuclear plants, many exposed to the dangerous coast in order to have quick access to water for cooling.

Tokyo Electric's Fukushima Daiichi plant, some 240 km (150 miles) northeast of Tokyo, was a particular concern.

The 40-year-old nuclear complex was built near a quake zone in the Pacific that had produced earthquakes of magnitude 8 or higher four times in the past 400 years -- in 1896, 1793, 1677 and then in 1611, Tokyo Electric researchers had come to understand.

Based on that history, Sakai, a senior safety manager at Tokyo Electric, and his research team applied new science to a simple question: What was the chance that an earthquake-generated wave would hit Fukushima? More pressing, what were the odds that it would be larger than the roughly 6-meter (20 feet) wall of water the plant had been designed to handle?

The tsunami that crashed through the Fukushima plant on March 11 was 14 meters high.

Sakai's team determined the Fukushima plant was dead certain to be hit by a tsunami of one or two meters in a 50-year period. They put the risk of a wave of 6 meters or more at around 10 percent over the same time span.

In other words, Tokyo Electric scientists realized as early as 2007 that it was quite possible a giant wave would overwhelm the sea walls and other defenses at Fukushima by surpassing engineering assumptions behind the plant's design that date back to the 1960s.

Company Vice President Sakae Muto said the utility had built its Fukushima nuclear power plant "with a margin for error" based on its assessment of the largest waves to hit the site in the past.

That would have included the magnitude 9.5 Chile earthquake in 1960 that killed 140 in Japan and generated a wave estimated at near 6 meters, roughly in line with the plans for Fukushima Daiichi a decade later.

"It's been pointed out by some that there could be a bigger tsunami than we had planned for, but my understanding of the situation is that there was no consensus among the experts," Muto said in response to a question from Reuters.

Despite the projection by its own safety engineers that the older assumptions might be mistaken, Tokyo Electric was not breaking any Japanese nuclear safety regulation by its failure to use its new research to fortify Fukushima Daiichi, which was built on the rural Pacific coast to give it quick access to sea water and keep it away from population centers.

"There are no legal requirements to re-evaluate site related (safety) features periodically," the Japanese government said in a response to questions from the United Nations nuclear watchdog, the International Atomic Energy Agency, in 2008.

In fact, in safety guidelines issued over the past 20 years, Japanese nuclear safety regulators had all but written off the risk of a severe accident that would test the vaunted safety standards of one of their 55 nuclear reactors, a key pillar of the nation's energy and export policies.

That has left planning for a strategy to head off runaway meltdown in the worst case scenarios to Tokyo Electric in the belief that the utility was best placed to handle any such crisis, according to published regulations.

In December 2010, for example, Japan's Nuclear Safety Commission said the risk for a severe accident was "extremely low" at reactors like those in operation at Fukushima. The question of how to prepare for those scenarios would be left to utilities, the commission said.

A 1992 policy guideline by the NSC also concluded core damage at one of Japan's reactors severe enough to release radiation would be an event with a probability of once in 185 years. So with such a limited risk of happening, the best policy, the guidelines say, is to leave emergency response planning to Tokyo electric and other plant operators.

PREVENTION NOT CURE

Over the past 20 years, nuclear operators and regulators in Europe and the United States have taken a new approach to managing risk. Rather than simple defenses against failures, researchers have examined worst-case outcomes to test their assumptions, and then required plants to make changes.

They have looked especially at the chance that a single calamity could wipe out an operator's main defense and its backup, just as the earthquake and tsunami did when the double disaster took out the main power and backup electricity to Fukushima Daiichi.

Japanese nuclear safety regulators have been slow to embrace those changes.

Japan's Nuclear and Industrial Safety Agency (NISA), one of three government bodies with responsibility for safety policy and inspections, had published guidelines in 2005 and 2006 based on the advances in regulation elsewhere but did not insist on their application.

"Since, in Japanese safety regulation, the application of risk information is scarce in experience ? (the) guidelines are in trial use," the NISA said.

Japanese regulators and Tokyo Electric instead put more emphasis on regular maintenance and programs designed to catch flaws in the components of their aging plants.

That was the thinking behind extending the life of the No. 1 reactor at Fukushima Daiichi, which had been scheduled to go out of commission in February after a 40-year run.

But shutting down the reactor would have made it much more difficult for Japan to reach its target of deriving half of its total generation of electricity from nuclear power by June 2010 -- or almost double its share in 2007.

The Ministry of Economy, Trade and Industry (METI) figured it could reach the target by building at least 14 new nuclear plants, and running existing plants harder and longer. Fukushima's No. 1 reactor was given a 10-year extension after Tokyo Electric submitted a maintenance plan.

Safety regulators, who also belong to METI, did not require Tokyo Electric to rethink the fundamental safety assumptions behind the plant. The utility only had to insure the reactor's component parts were not being worn down dangerously, according to a 2009 presentation by the utility's senior maintenance engineer.

That kind of thinking -- looking at potential problems with components without seeing the risk to the overall plant -- was evident in the way that Japanese officials responded to trouble with backup generators at a nuclear reactor even before the tsunami.

On four occasions over the past four years, safety inspectors from Japan and the International Atomic Energy Agency (IAEA) were called in to review failures with backup diesel generators at nuclear plants.

In June 2007, an inspector was dispatched to Fukushima's No. 4 reactor, where the backup generator had caught fire after a circuit breaker was installed improperly, according to the inspector's report.

"There is no need of providing feedback to other plants for the reason that no similar event could occur," the June 2007 inspection concluded.

The installation had met its safety target. Nothing in that report or any other shows safety inspectors questioned the placement of the generators on low ground near the shore where they proved to be at highest risk for tsunami damage at Fukushima Daiichi.

"GET OUT, GET OUT"

Japanese nuclear regulators have handed primary responsibility for dealing with nuclear plant emergencies to the utilities themselves. But that hinges on their ability to carry them out in an actual crisis, and the record shows that working in a nuclear reactor has been a dangerous and stressful job in Japan even under routine conditions.

Inspectors with Japan's Nuclear Energy Safety Organization have recorded 18 safety lapses at Tokyo Electric's 17 nuclear plants since 2005. Ten of them were attributed to mistakes by staff and repairmen.

They included failures to follow established maintenance procedures and failures to perform prescribed safety checks. Even so, Tokyo Electric was left on its own to set standards for nuclear plant staff certification, a position some IAEA officials had questioned in 2008.

In March 2004, two workers in Tokyo Electric's Fukushima Daini plant passed out when the oxygen masks they were using - originally designed for use on an airplane - began leaking and allowed nitrogen to seep into their air supply.

The risks also appear to have made it hard to hire for key positions. In 2008, Toshiba admitted it had illegally used six employees under the age of 18 as part of a series of inspections of nuclear power plants at Tokyo Electric and Tohoku Electric. One of those minors, then aged 17, had participated in an inspection of the Fukushima Daiichi No. 5 reactor, Tokyo Electric said then.

The magnitude 9.0 quake struck on Friday afternoon of March 11 -- the most powerful in Japan's long history of them -- pushed workers at the Fukushima plant to the breaking point as injuries mounted and panic took hold.

Hiroyuki Nishi, a subcontractor who had been moving scaffolding inside Reactor No. 3 when the quake hit, described a scene of chaos as a massive hook came crashing down next to him. "People were shouting 'Get out, get out!'" Nishi said. "Everyone was screaming."

In the pandemonium, workers pleaded to be let out, knowing a tsunami was soon to come. But Tokyo Electric supervisors appealed for calm, saying each worker had to be tested first for radiation exposure. Eventually, the supervisors relented, threw open the doors to the plant and the contractors scrambled for high ground just ahead of the tsunami.

After the wave receded, two employee were missing, apparently washed away while working on unit No. 4. Two contractors were treated for leg fractures and two others were treated for slight injuries. A ninth worker was being treated for a stroke.

In the chaos of the early response, workers did not notice when the diesel pumps at No. 2 ran out of fuel, allowing water levels to fall and fuel to become exposed and overheat. When the Fukushima plant suffered its second hydrogen blast in three days the following Monday, Tokyo electric executives only notified the prime minister's office an hour later. Seven workers had been injured in the explosion along with four soldiers.

An enraged Prime Minister Naoto Kan pulled up to Tokyo Electric's headquarters the next morning before dawn. "What the hell is going on?" reporters outside the closed-door discussion reported hearing Kan demand angrily of senior executives.

Errors of judgment by workers in the hot zone and errors of calculation by plant managers hampered the emergency response a full week later as some 600 soldiers and workers struggled to contain the spread of radiation.

On Thursday, two workers at Fukushima were shuttled to the hospital to be treated for potential radiation burns after wading in water in the turbine building of reactor No. 3. The workers had ignored their radiation alarms thinking they were broken.

Then Tokyo electric officials pulled workers back from an effort to pump water out of the No. 2 reactor and reported that radiation readings were 10 million times normal. They later apologized, saying that reading was wrong. The actual reading was still 100,000 times normal, Tokyo Electric said.

The government's chief spokesman was withering in his assessment. "The radiation readings are an important part of a number of important steps we're taking to protect safety," Chief Cabinet Secretary Yukio Edano told reporters. "There is no excuse for getting them wrong."

VENTS AND GAUGES

Although U.S. nuclear plant operators were required to install "hardened" vent systems in the 1980s after the Three Mile Island incident, Japan's Nuclear Safety Commission rejected the need to require such systems in 1992, saying that should be left to the plant operators to decide.

A nuclear power plant's vent represents one of the last resorts for operators struggling to keep a reactor from pressure that could to blow the building that houses it apart and spread radiation, which is what happened at Chernobyl 25 years ago. A hardened vent in a U.S. plant is designed to behave like the barrel on a rifle, strong enough to withstand an explosive force from within.

The U.S. Nuclear Regulatory Commission concluded in the late 1980s that the General Electric designed Mark I reactors, like those used at Fukushima, required safety modifications.

The risks they flagged, and that Tokyo did not heed, would come back to haunt Japan in the Fukushima crisis.

First, U.S. researchers concluded that a loss of power at one of the nuclear plants would be one of the "dominant contributors" to the most severe accidents. Flooding of the reactor building would worsen the risks. The NRC also required U.S. plants to install "hard pipe" after concluding the sheet-metal ducts used in Japan could make things much worse.

"Venting via a sheet metal duct system could result in a reactor building hydrogen burn," researchers said in a report published in November 2008.

In the current crisis, the failure of the more vulnerable duct vents in Fukushima's No. 1 and No. 3 reactors may have contributed to the hydrogen explosions that blew the roof off the first and left the second a tangled hulk of steel beams in the first three days of the crisis.

The plant vents, which connect to the big smokestack-like towers, appear to have been damaged in the quake or the tsunami, one NISA official said.

Even without damage, opening the vulnerable vents in the presence of a build-up of hydrogen gas was a known danger. In the case of Fukushima, opening the vents to relieve pressure was like turning on an acetylene torch and then watching the flame "shoot back into the fuel tank," said one expert with knowledge of Fukushima who asked not to be identified because of his commercial ties in Japan.

Tokyo Electric began venting the No. 1 reactor on March 12 just after 10 a.m. An hour earlier the pressure in the reactor was twice its designed limit. Six hours later the reactor exploded.

The same pattern held with reactor No. 3. Venting to relieve a dangerous build-up of pressure in the reactor began on March 13. A day later, the outer building - a concrete and steel shell known as the "secondary containment" -- exploded.

Toshiaki Sakai, the Tokyo Electric researcher who worked on tsunami risk, also sat on a panel in 2008 that reviewed the damage to the Kashiwazaki-Kariwa nuclear plant. In that case, Tokyo Electric safely shut down the plant, which survived a quake 2.5 times stronger than it had been designed to handle.

Sakai and the other panelists agreed that despite the successful outcome the way the ground sank and broke underground pipes needed for firefighting equipment had to be considered "a failure to fulfill expected performance".

Japanese regulators also knew a major earthquake could damage exhaust ducts. A September 2007 review of damage at the same Tokyo Electric nuclear plant by NISA Deputy Director Akira Fukushima showed two spots where the exhaust ducts had broken.

No new standard was put in place requiring vents to be shored up against potential damage, records show.

Masashi Goto, a former nuclear engineer who has turned critical of the industry, said he believed Tokyo Electric and regulators wrongly focused on the parts of the plant that performed well in the 2007 quake, rather than the weaknesses it exposed. "I think they drew the wrong lesson," Goto said.

The March 11 quake not only damaged the vents but also the gauges in the Fukushima Daiichi complex, which meant that Tokyo Electric was without much of the instrumentation it needed to assess the situation on the ground during the crisis.

"The data we're getting is very sketchy and makes it impossible for us to do the analysis," said David Lochbaum, a nuclear expert and analyst with the Union of Concerned Scientists. "It's hard to connect the dots when there are so few dots."

In fact, Japan's NSC had concluded in 1992 that it was important for nuclear plant operators to have access to key gauges and instruments even in the kind of crisis that had not happened then. But it left plans on how to implement that policy entirely to the plant operators.

In the Fukushima accident, most meters and gauges were taken out by the loss of power in the early days of the crisis.

That left a pair of workers in a white Prius to race into the plant to get radiation readings with a handheld device in the early days of the crisis, according to Tokyo Electric.

They could have used robots to go in.

Immediately after the tsunami, a French firm with nuclear expertise shipped robots for use in Fukushima, a European nuclear expert said. The robots are built to withstand high radiation.

But Japan, arguably the country with the most advanced robotics industry, stopped them from arriving in Fukishima, saying such help could only come through government channels, said the expert who asked not to be identified so as not to appear critical of Japan in a moment of crisis.

(Scott DiSavino was reporting from New York; additional reporting by Kentaro Sugiayama in Tokyo, Bernie Woodall in Detroit, Eileen O'Grady in New York, Roberta Rampton in Washington)

(Editing by Bill Tarrant)

▲ページTOPへ 戻る
-----------------------------------
www.gregoryclark.net  Gregory Clark's Web Site

             THE JAPAN TIMES - OPINION PAGE

Thursday, March 24, 2011

Nuclear meltdowns and Japanese culture

Japanese engineers have a much deserved reputation for efficiency. How else could they have created a car industry that could defeat the U.S industry on its home ground? But the crisis at the Fukushima No. 1 nuclear power plant suggests a partial rethink is needed. When it comes to nuclear affairs, maybe they are not as brilliant as they should be.

Some years back I found myself appointed to official committees and councils (shingikai) set up to consider nuclear energy policy and nuclear safety. What I saw and heard then gave me little confidence that Japan was on top of the safety question. The overall impression was one of pervasive, bureaucratic incompetence and complacency.

We were told constantly how Japan's high technical levels and attention to safety meant that accidents like the 1986 Chernobyl reactor explosion in the former Soviet Union or the 1979 Three Mile island meltdown and radiation leakage scare in the U.S. could not happen to Japan. Yet today we are looking at a disaster much worse than Three Mile Island. On the international scale of danger from nuclear accidents, Fukushima is said to be closing in on Chernobyl.

What went wrong? Attention is focused on the frantic efforts to ease or prevent radiation leakage from damaged reactor buildings. But the contradictions, obfuscations and attempted excuses in official statements are not reassuring. And when it comes to the original cause of the disaster, namely the mistaken location of the emergency backup equipment allowing it to be flooded by the tsunami, then no excuses are possible. It was a typically Japanese failure to engage in contingency planning ? a worthy trait at times but not when it comes to nuclear power.

The Tohoku coastline, including Fukushima, faces one of the world's more active areas of tectonic plate activity. It ranks with both Chile and Sumatra in its ability to cause devastating tsunami. The plant began construction just 10 years after the 1960 Chile-origin tsunami that had wiped out many Tohoku coastal towns and villages.

The deadly 2004 Sumatra earthquake would have been a good reminder of more tsunami dangers to come. Yet, both then and until now, the planners seem to have believed that the sea wall in front of the site was sufficient protection from a locally generated tsunami.

As it turned out, they were wrong; the tsunami swept across the wall and flooded the equipment, causing the present emergency. But if the emergency equipment had been placed on high ground or, even better, put underground, as seems to be the current U.S. policy, then the size of the tsunami would not have mattered. Yet, for some incredible reason, the equipment was placed above ground and close to the water's edge ? an open invitation for the trouble we now see. Whose decision was that?

At a recent press conference, Shiro Ogura, a retired Toshiba expert on nuclear plant design formerly involved with the Fukushima project, blamed U.S. company General Electric, which built the original plant. But why didn't someone on the Japanese side more familiar with tsunami point out the danger either then or later?

In the endless meetings on nuclear safety and policy I attended over three years as a member of those committees, such problems got little attention. Instead, voluminous situation reports constantly repeated the need for nuclear energy (with which I agreed) while giving bland assurances of its safety.

Glossy brochures and elaborate public meetings aimed to counter the strong antinuclear movement in Japan seemed the main objective. My suggestions that staff who pointed out dangers and lapses ? whistle-blowers as we call them ? should be rewarded got short shrift.

The suggestions were "contrary to the Japanese culture of enterprise loyalty," I was told bluntly. Pointing out that other well-known aspect of the same group culture ? a tendency to coverups and complacency ? did not seem welcome.

My suggestion that serious dialogue with the antinuclear movement, including permissions for spot checks on generating plants, would do more to convince and educate people than glossy pamphlets got nowhere. The paternalistic assumption was that the nuclear energy people knew what was best for Japan, and the rest of Japan had to accept that, period.

Even now officialdom does not seem to want to realize the extent of the disaster it has created. While U.S. experts issue deep warnings of impending meltdowns, Japan's officials and experts try to convince us and themselves that each stopgap measure will provide the answer.

The national ganbaru (try hard) mentality will conquer all, they seem to think, including those warnings by the foreigners. Or else some kamikaze (divine wind) will come to rescue Japan, once again. TV stations continue with their usual diet of cheap gag shows and food tasting. Similarities with Japan's fatalistic optimism in the final Pacific War days are not hard to find.

放射能溶融と日本の文化

 日本の技術者は効率のよさでは定評があり、実際たしかに評判どおりと思う。そうでなければ、どうして米国内で米国自動車産業を打ち負かすほどの自動車産業を作り上げることができただろうか。とはいえ福島第一原子力発電所の危機はこの定評を一部修正する必要があると教えている。こと放射能に関しては、彼らは十分に能力があるとはいえないかもしれない。
 何年か前になるが、私は原子力エネルギー政策と原子力の安全を考える委員会や審議会に参加した。そのときの見聞体験では、安全問題に関して日本がキチンと把握していると言える自信はなかった。
全般にわたる官僚的無力さと自己満足というのが、全体的な印象だった。
 日本のハイテクのレベルと安全への関心の高さを持ってすれば、1986年の旧ソ連のチェルノブイリ原子炉爆発、1979年アメリカのスリーマイル島の溶融と放射能漏れの恐怖のような事故は日本では起こり得ない、とわれわれはいつも聞かされていた。ところがいま目にしているのはスリーマイル島よりはるかにひどい災害だ。原子炉事故の危険度の国際的尺度によれば、福島はチェルノブイリに近づきつつあるといわれる。
 何がまちがったのか。いま損傷を受けた原子炉建屋から漏れる放射能を減らす、あるいは防ぐための必死の努力に注目が集まっている。しかし、公式発表の矛盾、わかりにくさ、苦しいいい訳を聞いても、安心できない。災害の根本原因については、つまり非常用バックアップ装置を津波に襲わせてしまったという建築場所のミスは、弁解の余地がない。不慮の出来事へ備えをしなかった― 時には役立つこともある特性だが、こと原発に関してはそうはいかない― という典型的に日本的なミスだ。
 福島を含む東北地方の海岸線は活断層が世界で最も活発な地帯に面している。巨大津波を起す能力はチリやスマトラと肩を並べる。そのプラントの建設が始まったのは、1960年のチリ沖地震津波が東北沿岸の多くの町や村をひとなめにした僅か10年後である。
 2004年スマトラ地震の惨事は、津波はまた来るということを教えるよい教訓になるはずだった。ところが、当時もそしていままでも、敷地の前の防波壁はその地域に発生する津波に対して十分な守りになると信じていた。
 だが彼らはまちがっていたことが判った;津波は壁を乗り越え、設備を水浸しにし、目下の非常事態を招いた。仮に非常用装置を高台に置いていたなら、そしてさらによいのは地下に埋めていたなら、― それが現在アメリカの方針のようだが― その場合は津波の大きさも問題にならなかっただろう。ところが、何か信じられないような理由で、設備は地面の上に、しかも海側に置かれていた。今回の事故を、どうぞと招いているようなものだ。これは誰の決定によるものか。
 最近の記者会見で、以前福島のプロジェクトに関わった、小倉志郎という退職した東芝の原子炉プラントデザインの専門家は、最初にプラントを作ったアメリカのゼネラル・エレクトリック社に責任があると言っていた。だがなぜ日本側の、津波により詳しい誰かが当時あるいはいままでに、このような危険性を指摘しなかったのか。
 私は3年間これらの委員会のメンバーとして参加した会議で、こうした問題はあまり注目されていなかった。その代わりに、大部の現状報告書が原子力エネルギーの必要性(これには私も賛成だが)を繰り返し強調する一方、安全については煮え切らない保証をしていた。日本で盛んな反核運動に反撃するための、ピカピカのパンフや用意周到な公聴会が主な目的のようだった。危険や不備を指摘する職員の内部告発― われわれは英語でホイッスル・ブローアー(警笛鳴らし)と呼んでいる― に報奨金を出してはどうかという私の提案は、あっさり却下。それは“会社に忠誠という日本の文化に反するものだ”、という一言で片付けられた。同じグループ主義文化の他のよく知られた面― カバーアップや自己満足に陥る傾向― を指摘しても歓迎されない雰囲気だった。
 原子炉施設のスポット・チェック許可もふくめて、反核運動と真剣に対話すれば、ピカピカのパンフ類よりも人々を説得し教育する力があるという私の提案も空回りするだけだった。日本にとって何がよいかは、原子力エネルギー専門家がいちばんよく知っているのだから、その他の一般人はそれを受け入れればよい、以上終わり、という父権主義的前提があった。
 現在でさえ、公的陣営は自分たちが引き起こした災害の大きさを自覚していないようだ。アメリカのエキスパートが差し迫った溶融の危機を深く憂慮した警告を出しているが、日本の官僚とエキスパートは、その時々に場当たり的対策を採ることで大丈夫だと、われわれを、また自分自身を説得しようとしている。
 国民的頑張る(懸命にやる)精神が、外国人からの諸々の警告を含めて、すべてを克服すると彼らは考えているらしい。あるいは神風のようなものが吹いてもう一度日本を救うと。テレビ局は相変わらず安いギャグのショーと食べ物番組を続けている。太平洋戦争末期の日本の運命的楽観主義との類似点を見つけるのは、難しくない。


▲ページTOPへ 戻る

-----------------------------------

【Songs】

忌野清志郎
Love Me Tender -The Timers-

RCサクセション サマータイムブルース LOVE ME TENDER
RCサクセション / サマータイム・ブルース ('88.12.31)歌詞
『君はLOVE ME TENDERを聴いたか?』 (フルバージョン)/RCサクセション
タイマーズ タイマーズのテーマ ~ 偽善者
原発音頭 タイマーズ
Kiyoshiro - イマジン

ブルーハーツ / チェルノブイリ ('88.8.6) 
甲本ヒロト君は岡山市出身
THE BLUE HEARTS 「チェルノブイリ~TRAIN TRAIN~リンダ リンダ」

●斉藤和義 『ずっとウソだった』 Ver.1  Ver.2
斉藤和義 『青い光』 『青い光』 歌詞

《番外編》
ずっとウソだった(歌詞&画像付き)1
ずっとウソだった(歌詞&画像付き)2
ずっとウソだった(音楽&画像つき)3

★斉藤和義
『歌うたいのバラッド』~弾き語りVer~ 『ずっと好きだった』 『おつかれさまの国』 『かすみ草』 『ウェディング・ソング』  東北大地震チャリティライブ

【以降 Songs へ】

▲ページTOPへ 戻る







資料館のトップページへ戻る To the cover page of this museum

JETRO’s english article about "morinaga arsenic milk poisoning incident"

       
【English version commentary】Morinaga arsenic milk poisoning incident


森永ヒ素ミルク中毒事件 資料館
総目次ページ
TOP PAGE / Museum of Morinaga Arsenic Milk Poisoning Incident
1-10-30 , Bancyo ,Kitaku,Okayama , 700-0811 , Japan