CMでよく見る保険を知ろう(訂正版)

 当バーチャル事務所宛てに次のようなメールをいただきました。

 

(ご本人の了解を得ていないので、お名前は伏せております。)

フト目にとまって、プリントアウトまでしてしまいました。

それでお願いです。

「アクサ生命」のアビー21を解説していただきたいのです。
終身の医療保険のパイオニアとして、それなりに売れている商品と思います。
他社の終身医療保険との比較もしていただけるなら幸いです。

それでは、よろしくお願いします。

 分かりました。調べましょう!

ということで、今回は「アビー21」を中心に、医療保険の気になる商品のパンフレット&HPを調査しました。

とは言っても、「アビー」が終身型であるため、比較商品も原則として終身型を中心にしました。

10年更新型や長期契約タイプでも70歳満了型という商品もあるのですが、今回は除外しました。

その一方、有期タイプであっても90歳満了のものについては調査対象としております。

 

なお、以下につきましては先日、アクサ生命にお勤めの方から誤記部分についてご指摘をいただきました。

その部分につきましては赤字&下線にて訂正しております。

アクサのIさん、ご教示ありがとうございました。

ホントは各保険会社に確認すべきだとは思うんですけど、一般消費者寄りの視点、

つまり「分からないけど相談したら契約させられるかもしれない、だからパンフレットだけで考えよう」

というスタンスで書き続けたいもので、その点はご容赦ください。

したがって、偏見も多分にあると思います。

随時ご指摘ください。

 

取扱会社

アクサ生命保険

商 品 名

アビー21(ヴァンテアン)

保険期間

終身

まずは「セールスポイント」から

 パンフレットやアクサ生命HPでは、「アビー21」のセールスポイントを5つの「大きな安心」として説明しています。

1 さらに割安な保険料を実現。

 「低払いもどし金特則」と「保険金額指定特則」を併用すると、同じ保障を割安の掛け金で利用することができます。

 「低払いもどし金特則」とは、掛け金を安くするかわりに、「払いもどし金」つまり解約返戻金は半額しか戻しません、というものです。

中途解約といった急な資金需要のない限り、保障そのものが薄くなるわけではないので、ほとんどの場合、大勢に影響はないかもしれません。

 一方、「保険金額指定特則」では、掛け金を安くする代わりに死亡保障を低く抑えるというものです。

具体的には、通常の場合「アビー」の死亡保険金は入院給付金日額の100倍、つまり入院給付金日額を1万円で契約した場合の死亡保険金は100万円となるわけですが、「保険金額指定特則」では給付倍率が10倍(災害死亡ならば20倍)と、通常の10分の1に抑えられてしまいます。

 死亡保障は生命保険で手当てしているから、アビーはあくまでも生存中の医療保険で利用する、というきちんとしたリスクプランをお持ちの方にとっては、これらの特則を付加するメリットがあるでしょう。

2 1泊2日の短期入院も手厚く保障。

 「アビー21」の主契約で保障される入院の条件は、事故の場合5日以上、病気の場合8日以上の継続入院です。

ということは、本人の日頃の摂生やレベルの高い医療技術によって短期入院で済んでしまった場合は保険が使えないということになってしまいます。

そこで、「初期入院給付特約」を付加することによって、2日以上という短期入院に対して1回につき入院給付金日額の4倍(日額1万円の契約ならば4万円)の一時金が支払われます。

早い話が、1泊以上の入院であれば、4日以内だと一律入院給付日額の4倍、5日以上はそれにプラスして入院給付日額×入院日数(初日からカウント)でカバーされるというわけです。

3 あなたを支える一生涯の医療保障。

 「終身」医療保険ですから、保険料払い込みが満了した後も、入院、手術、死亡について給付金が受けられます。

4 介護にも備える充実の特約ラインナップ。

 「アビー21」の特徴は「特約の多様さ」にあります。

これは、「主契約は必要最小限の保障にとどめる」ということを意味してもいます。

他社の保険であれば主契約に当たり前のようについている保障であっても、「アビー21」では「特約」として別途追加しなければなりません。

「本当に必要な保障だけチョイスしたい」というニーズにはマッチすると思います。

5 大切なご家族を守る特約もご用意。

 1番目のポイントに「保険金額指定特則」がありました。

「すでに生命保険で死亡保障が手当てされているから、医療保険の死亡保険金は少なくてもいい」という人のための掛け金抑制サービスです。

 これとは逆に、「医療保険のついでに死亡保障ももう少し増やしてしておこう」という人のための遺族保障に目を向けた特約もあります。

 「定期保険特約」では、特約期間中に死亡した場合に、主契約の保険金とは別に特約分の死亡保険金が一時金として支払われます。

「家族収入特約」では、特約期間中の死亡に対して5年または10年に分けて、年金という形で保険金が毎年支払われます。

ちょっといじわるなツッコミ

 前述したように、「アビー21」の特徴は「特約の選択肢が多い」というところにあります。

これは「基本的な保障が少ない」ことの裏返しでもあります。

たとえば1泊2日の短期入院でも給付金が受け取れる保障は、安田火災ひまわり生命の「ワハハ21」では主契約で保障されています。

しかし「アビー21」では、これも「特約」で別途掛け金を支払う必要があります。

ちなみに33歳の私が60歳まで掛け金を支払い、入院給付金日額1万円つまり初期入院給付4万円の保障を受けようとすると、この「初期入院給付特約」に対する月額の掛け金は1072円となります。

つまり、短期入院もカバーしようと思って医療保険の見積もりをする場合、「アビー21」では見た目の主契約掛け金が安くても「特約」分の金額アップを考慮して検討しなければなりません。

 同様に、GEエジソン生命の医療保険などでは標準オプションになっている、ガンなどの3大疾病や生活習慣病による入院では給付金が上乗せ支給される保障も、「アビー21」では「特約」で別途契約する必要があります。

 さらに、入院給付金が支給される通算日数は700日です。

オリックス生命や前述の「ワハハ21」などでは1000日まで保障するのに比べ、長期保障という観点からは「保障が薄い」と言えるかも知れません。

結局どうなのよ?

 再三繰り返しますが、「アビー21」の特徴は特約の多さにあります。

つまりそれだけフレキシビリティー(自由設計度)が高いと言えます。

きちんとしたライフプランを立てた場合には、必要十分な保障を最小限の掛け金でカバーできるという「オーダーメイド保険」のメリットが活かせるでしょう。

逆に、「病気もケガもすべて保障」と考える場合、特約という「オプション」が増えるばかりで、結局他社の医療保険よりも割高な設計になってしまう恐れもあります。

 現在加入している保険で何がどれだけ保障されているのか、将来の生活においてどのような傷病リスクがあって、それに備える保障がいくら足りないのかを事前に把握できる場合には、「アビー21」は検討する価値があるでしょう。

しかし、「とにかく人気があるらしいから」という安易な考えだけで「アビー21」の契約を検討するのは危険です。

単体で保障される内容は

【事故5日、病気8日以上の入院に対する1日ずつの給付金】

【死亡・高度障害に当たっての一時金(通常は入院給付金の100日分、事故死亡は200日分)】

【手術を受けた場合の一時金(手術内容に応じて入院給付金の15日分、30日分、50日分)】

の、これだけに過ぎません。

追加情報

 今回ご指摘いただいたIさんは前述したとおりアクサ生命のれっきとした社員さんです。

その方から「うちの商品の欠点」ということで次のようなご指摘もいただきました。

いや〜、誠実ですねぇ。

誠実すぎて、このままコメントを載せてよかったものかどうか・・・・・・。

でも、載せときます。

『死亡した場合、解約返戻金がどんなにあっても、決められた保険金額しか払われない』

『積立型なのに、契約者貸付・払済・自動振替貸付などが受けられない』

『返戻率が高いとはいえ、全体的に保険料が高い』

「アビー21」保障内容のまとめ

 「アビー21」で最低限保障されるのは次の内容です。

【主契約】

給付名称

支払事由

給付額

備考

死亡・高度障害保険金

通常の死亡や
高度障害

入院給付金の
100日分

「保険金額指定特則」を
適用すると10日分に減額

災害保険金

事故による
死亡・高度障害

入院給付金の
200日分

「保険金額指定特則」を
適用すると20日分に減額

疾病入院給付金

病気で8日以上
継続入院

入院給付金日額
×入院日数

1回の入院で120日まで、
通算で700日までで
給付終了

災害入院給付金

事故で5日以上
継続入院

手術給付金

所定の手術を
受けたとき

手術の種類によって
入院給付金の
15日分
30日分
50日分
のいずれか

同時に2種類以上の
手術を受けると、倍率の
高い手術1種類だけを
保障

 上記以外の保障はすべて「特約」として別途追加契約しなければなりません。

【特約】

特約名称

支払事由

給付額

備考

初期入院給付特約

2日以上の入院

入院給付金の
4日分

通算で10回の
給付で終了

長期継続入院
給付特約

121日以上の
入院

入院給付金日額
×超過日数

1回の入院において
120日を超える日数が
240日まで、
通算で700日までで
給付終了

通院給付特約

退院後の通院

通院給付金日額
×通院日数

1期間の通院で30日、
通算で700日までで
給付終了

女性疾病入院
給付特約

女性特有の疾病
によって8日以上
継続入院

入院給付金日額
×入院日数

1回の入院で120日まで、
通算で700日までで
給付終了

高度先進医療
給付特約

厚労相承認の
高度先進医療を
受けたとき

技術に応じて
入院給付金の
5日分〜305日分

通算で700日分までで
給付終了

健康保険の高度医療の
対象であれば給付なし

特定疾患給付特約

所定の難病で
8日以上
継続入院

入院給付金の
30日分

同一の難病につき
1回限りで給付終了

成人病入院
倍額支払特約

成人病で
8日以上
継続入院

入院給付金日額
×入院日数

1回の入院で120日まで、
成人病入院と長期入院を
通算して700日までで
給付終了

成人病で
270日以上
継続入院

入院給付金の
100日分

ガン倍額支払特約

ガンで8日以上
継続入院

入院給付金日額
×入院日数

1回の入院で120日まで、
通算で700日までで
給付終了

ガンによる死亡
・高度障害

入院給付金の
100日分

 

介護終身保険特約

死亡・高度障害

特約所定の金額

 

所定の要介護状態が180日継続

 

 

 以上が「アビー21」の概要説明です。

ここまでで今回分がかなり多くなったので、他社の医療保険との比較は別ページに移動します。

 

【他社商品との比較】

アイエヌジー生命    「ニューメディファ」

オリコ生命        「フレックス医療保険 一身お助け」

オリックス生命      「総合医療」

GEエジソン生命     「医療保険(終身型)」

セゾン生命        「医療保険90」

日本生命         「生きるチカラEX」

安田火災ひまわり生命 「ワハハ21」

 

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