基金事業の実態
【8月24日の出来事】
昨日は2週間ぶりに基金訓練の講師をしてきました。
したがって、今日は講師担当日ではありません。
でも、本日の担当講師から相談TELを受けました。
いわく
「受講生で大学時代に法学の講義を受けていた人から質問があったんです。
宅建と直接関係ないことなので、教えてください。
“債権者と債務者がいて、債務者が海外旅行で長期間日本を離れていた場合、
債務の時効は中断(停止)すると聞いた記憶があるんですけど”
という質問なんですけど、そうなんですか?」
さすがウロ覚えの受講者ですね。
刑事訴訟法第255条の「公訴時効の停止」と民法第147条の「時効の中断事由」あるいは「時効の停止」をグチャグチャに記憶しています。
刑事訴訟法第255条(第1項)の条文は次のとおりです。
「犯人が国外にいる場合又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかつた場合には、時効は、その国外にいる期間又は逃げ隠れている期間その進行を停止する。
」
つまり、この条文の趣旨は
「日本にいなければ捕まらないだろう」
という「逃げ得」を排除する目的で制定されたものです。
一方、民法で債権の消滅時効とは、「一定期間が経過したら、債権は時効で消滅するから債務者は弁済(返済)する義務はなくなる(消滅する)んですよ」という趣旨です。
その消滅時効が中断するということは、時効中断事由が発生するたびにこの世から債権・債務が消滅するまでのカウントダウンタイマーがゼロにリセットされる、すなわちリセットが繰り返されると永久に債権・債務関係はこの世に存在するということになるのです。
今回の受講生の質問は、債権者、債務者双方の観点からも「支離滅裂」です。
まず、債権者の視点から受講者の主張どおりとすれば、債務者が日本国外に移動する都度消滅時効のタイムリミットがリセットされるということです。
つまり、債権者としては、債務者がどんどん海外旅行をしてくれる限り、安心して自分の債権はこの世に存在するということになります。
しかし、そんなことを保証するような条文は民法にありません。
常識的に考えても、海外旅行するカネがあるならこっちの債権の弁済に回せよ!と言いたくなります。
では、債務者の視点から考えてみましょう。
債務者は、自分が国外脱出するたびに自分の借金の永久存続が保証されるようなものです。
そんな法的状況下で海外旅行するバカがどこにいるでしょうか?
本日のことわざです。
「生兵法はケガの基」