第10号
岡山県自閉症児を育てる会
「目次」
バレンタインデー
3月例会「施設・作業所 見学会」のお知らせ
自閉症児のための水泳教室
親たちの勉強会
今月の電話相談
お母さんのための絵画教室
近隣の講演会等の御案内
二つの勉強会に参加して
「すずらんセミナー」に参加して
『岡山DRの会 1月講演会』のビデオを見て
施設情報 「吉備の里 能力開発センター」
「 自 閉 と 向 き 合 う ’99 〜2〜」
バレンタインデー
暖かくなったかと思うと、また冬の寒さがぶり返したり・・と、不順な天気が続いています。岡山県下でもインフルエンザが猛威をふるい、アチコチの学校で子ども達を苦しめているようです。我が子たちは、風邪をひいてもそれを訴える語彙を持たない子の方が多いように思います。特にこの時期子どもの体調には、注意してみてやりましょう。
ところで、私ごとですが我が家の息子、熱がでると急に賢くなって、ことばも増えるように思うのですが・・、息子だけの現象でしょうか? 熱が脳にいい刺激を与えているのなら、いつもおでこにホカロンを巻いておけば賢くなるのでは・・・と、これは冗談。
さて、バレンタインデーも終わり、お父さん方、義理チョコいくつ位もらわれましたか? “おかしな習慣”と言ってしまえば、それまでなのですが、我が子たち、将来義理チョコのやりとりをするようになるのでしょうか・・・・そう思うと、ちょっぴり複雑な気持ちになります。
本命チョコは無理にしても、せめて義理チョコをあげたり、もらったり、そんな人間関係、ネットワークを作っておいてやりたいですよね。少なくとも義理チョコをあげるくらいには、子どものことを気にかけていてくれる、関心を持っていてくれる、そんな人を大勢作っておきましょう。
先日、総会の時に少し触れたのですが、インターネットで育てる会のホームページを立ち上げようという話、今テスト中です。とりあえずは事務局、鳥羽の「てっちゃん通信」のURL(アドレス)を使っています。まだまだ本と首っ引きでやっていますので、わからないことも多く、おかしな表示になったりして苦労しています。
それでも見えるページも少しは出来てきたので、パソコンをお持ちの方は、一度のぞいてみて下さい。サーチエンジンに登録(一般公開)するまでに、いろいろ会員の方の御意見もお聞きしたいと思っています。http://ww3.tiki.ne.jp/~teppey/ です。
いままでの会報を中心とした構成になると思いますので、お名前等はイニシャルにしたほうがいいかな?と考えているところです。
それに関連して、名簿の配布の件でみなさんのご意見を伺っておきたいと考えています。会報9号でお知らせしたように、これから賛助会員は広く募っていくつもりです。その際気になるのが、正会員の方のプライバシーの問題。
一人でも多くの方に子どもと、その障害について知ってもらいたい、と全くオープンの人もいますが、まだ決心がつかなくて近所や親戚には自閉症という障害のことを話していない、というお母さんもおられるそうです。(それを聞いて、昨年秋より会報を送る際の封筒の裏も、ただの「育てる会」としています。)
そこで、正会員(ご家族)の方には、電話連絡網と名簿を同封しましたが、賛助会員の方には、実はまだ名簿はお送りしていません。賛助会員の方には、名簿は必要ないと言えば、必要ないんでしょうが・・・ でもどんな子いて、どんな子のことを自分が応援しているのか、知りたいと思われるのも当然の事のようにも思えます。知っていていただきたいとも思います。
そこで、賛助会員の方お送りするのは、「子ども達の、氏名と学年だけの名簿」にしてお配りしようかという案が出てきました。また、会の主旨に賛同してくださる方にが賛助会員になっていただいているのだから、従来通り、正会員に配っているのと同じ名簿を配ってもいいのでは、という意見もあります。もちろん、いずれにしても世話人の名簿と賛助会員の方の名簿はそのままお送りするつもりです。
いろいろ意見がありますので、「私は名前を出してもらっては困る。」と思われる方がどれくらおられるのか。それをまず知っておきたいと思います。みなさんのご意見を事務局までご連絡ください。できれば次号ぐらいには、賛助会員の方にもなんらかの形で名簿をお届けしたいと思っています。
『すずらんセミナー』に参加して
I.M
1月26日、佐々木正美先生の講演を聴きに行ってきました。テーマは「発達に遅れのある子どもの子育てについて 3 自閉症・LD編」でした。
目から鱗の話ばかりでした。自分の中だけに留めておくにはもったいない話だと思いますので、思いつくまま書いてみます。
連続体の問題
子どもが告知を受けて、自閉傾向、軽度の自閉症、自閉症、高機能自閉症、LD・・いろいろ診断名がつきます。
子どもが成長するにつれて、症状が好転したり、後退したり、親は一喜一憂しますが、その子の障害が変わったのではなく、ましてや、診断名が変わったのではないのです。 自閉症、LDといわれる子どもたちは“人間の行動発達におけるネットワーク機能が不十分である”という、同じ機能障害の上にいる、一つの連続体として見ることができる。皆一緒の問題を抱えているのだ、という話でした。
ただ、自閉症児の親としては、少しでもまわりに自閉症という障害についての理解が広がることを願い、また我が子の障害がわずかでも改善されて欲しいと願い、日々療育に励んでいます。
そういう意味から言うと、自閉症のことを、「自分の殻に閉じこもってしまう病気」などと先入観を持っている人に、今までのように『脳の機能障害なんですよ』と説明するのと、『LDなどと同じ、人間の行動発達における一連の連続体としての問題を持っています』と説明するのは・・どちらも同じように判りづらくて、なかなかみんなの理解は得られないだろうと思いました。
情報伝達が弱い
狭い範囲で特定の神経を働かせるのは不自由でなく、むしろ得意なのに、身体の広い部分へ同時に神経を働かせようとすると、とたんに困難になる。
たとえばピョンピョン跳んだり、手をクルクル回したり、運動能力的には大丈夫なのに、それを組み合わせて縄跳びをしなさい、となると出来なくなってしまう。同時に手と足の神経を連動させて、縄を回しながら跳ぶという動作が困難なのである。
あるいは両目をいっしょに開く、閉じるできるが、交互に片目を開けたり閉じたりは出来ない。また両手を同時に開いたり閉じたりはできるが、交互にグー・パー、グー・パーと開いたり閉じたりは出来ない。
脳の広い部分を同時に働かせようとすることが難しく、自分の中で統制を行なうことが困難なのだ、というお話でした。
言葉は曖昧な世界 その曖昧さがつらい
“何度言えばわかるの” “そんな事しちゃいけないと言ったでしょ”
子どもに向かって言ったことはありませんか? 言葉というものは障害をもつ子にとってはとても曖昧な世界なのです。
また、言葉が「分かる」ことと、「分かり続ける」ことは違うということなのです。
【目で見えない事はあやふやになる】
耳から入った言葉は消えてしまうため、すぐに忘れてしまう。
【目で見ることは消えにくい】
紙に書いて伝えると、視覚認知はいいのでしっくり入り、分かり続けることがきる。
“この子をわかろう”という発想を持って、どう教えればいいのかを考える。“こちらの気持ちをわからせよう”ではダメである。子どもがイメージできるように教え方の工夫を知らなければならないのである。わかるように教える。言葉は短く具体的に、絵や文字などを使って目で見えるような形にして伝える。
いろいろな障害に対しては、その不自由さに対応した方法が考えられてきました。
例えば、 目が不自由な人、近視、遠視の人・・・・点字ブロック、眼鏡
耳が不自由な人、難聴の人・・・・・・・手話、補聴器 等です。
では、不自由の本質が見えないといわれる自閉症児たちはどうでしょう。彼らは実は言葉をイメージする速度に限界があり、時間がかかってしまうのである。その意味で消えることなく、いつでも本人が繰り返し確認できるように
自閉症・LD・・・・文字カード、絵カード、写真 なのである。
よく何をして良いのかわからない時や、予測がつかない時にこの子たちは不安になり、落ちつかなくなると言われてきました。 実は私は今まで、絵カード・文字カードの効果にあまり期待していませんでした。我が子の場合、こちらの言葉をある程度理解している、と思っていたからです。
しかし、今回の講演を聴いて少し改心いたしました。我が家でも一日のスケジュールなるものを作ってみました。(夕食から〜寝るまで)
1. ばんごはんをたべる
2. おもちゃをかたづける
3.
おふろにはいる
4. デザートをたべる
5. えほんをよむ
6. はをみがく
7.
おやすみなさい
この様な簡単なものですが、毎日少しずつ変化をもたしてやってみると、わずかですが以前よりスムーズに事が運んでいるような気がします。あまり几帳面でない親としては、これが逆にこだわりとなって身に付いてしまうと、少々くたびれるスケジュールになってしまいますが、今のところそういうこともなく良い方向に向かっています。
今度はもう少し欲を出し、園生活のスケジュールも作っていきたいと思っています。
叱らないけど譲らない
子どもには明らかにこちらの意志が伝わっていると思われるのに、こだわりとか固執を持って自分の世界にこもってしまったり、パニクってしまうことがあります。とくに外出先とか、急いでいる時にこのような状態になると、どうしてもお母さん方は声を荒げて叱ってしまうようです。
でもこのような時こそ、「子どもは気持ちの切り替えに時間がかかるのだから」、「イメージ処理する速度がゆっくりなのだから」と穏やかな気持ちで待ってあげてほしい。 怒りながら言っても、子どもには伝わりません。穏やかに、言葉は短く、しかもきわめて具体的に、と心がけて、けれどあくまで譲らないでメッセージを伝え続ける。“コレ”をしないと次には進めないんだ、と習慣づけてしまいましょう。
習慣づけには、時間がかかるかもしれませんが、その間絶対譲らない。“叱って…譲る”は最悪パターンなのでくれぐれも気をつけて下さい。
このことが、今一番のテーマだと思っています。ほとんど子どもとの真剣勝負になります。親の心に余裕がなければ、どうしてもイライラして怒ってしまいます。まだ世間の目がある時は冷静になれても、身内だけになってしまうと、つい声高になってしまいます。
穏やかに、短い言葉で伝えようと思うと、やはりイエローカードではないけれど、絵カード・メッセージカードなどの利用が良いのかも、と考えさせられました。
以上、報告がてら、思いつくまま書いてみました。
施 設 情 報
<吉備の里能力開発センター 編>
Y.U
ここ吉備の里能力開発センターは、子ども達の感性を大切にしながら、個々の適正能力を見つけ出し、自立(社会参加)のための支援、訓練を行なっている所です。
説明役の浅田先生から、センターの概要を聞いた後、早速その日の作業の様子を見学させていただきました。午前中は陶芸の時間で、十数名の方々が熱心に、しかも生き生きと作業に取り組んでいらっしゃいました。
浅田先生のお話を伺っているうちに、どうしてみなさんこんなに落ち着いて作業を続けられているのかが分かってきました。
それは、各々が興味を持っているもの、自分でやってみたいものを“選択できる”という所にあるように思えます。別室では、センター内にあるハーブ園でできたハーブをハーブティーに加工する作業を、こちらでもみなさん楽しそうに行なっておられました。
では、ここからは浅田先生のお話の中から印象に残っていることです。 たとえば、切り絵が上手だから・・・・ たとえば、ステキな絵が描けるとか・・といって、それがすぐに職業に結びつくか、というと、それは大変難しい事。でも、親が、何か我が子に向いているもの、何か得意とするもの、子どもの中にキラッと輝くものを見つけてあげるのは大切!
また、こんな例も話してくださいました。
親が木工をやれというから、木工の訓練校に行った子がいて、やっているうちに少しは木工が好きになってきた。就職は木工関係の職につけました。
そしてそこで働き、そのお給料で自分の好きな物が買えるという喜びを知った。その時になって、はじめて「木工をやっていて良かった」そう本人自身思えた・・そんな方もいらっしゃたそうです。
浅田先生から、「将来の目標は何ですか? やっぱり就労ですか?」と尋ねられた時、最近目先の目標ばかりにとらわれていた私は、改めて考えさせられました。
自立して、働きながら、“生きがい”というか“楽しみ”というか、なにか自分をいやす物を見つけて暮らして欲しい。それが願いです。 「これをしている時、この子は生き生きしている」 そんな趣味を持って、自分なりに楽しめる余暇の過ごし方ができれば、生活がなおいっそう豊かになるでしょう。今はいろんな事を経験させてあげながら、手さぐりでそれを見つけていこうとしているところです。
吉備の里能力開発センターは、義務教育を修了した方で、通所可能な方が入所できます。もちろん、定員はありますが。 親と一緒になって、子どもに何が向いているのか見つけだしてくれる。そして、個人の総合的プロフィールを把握した上で個別プログラムを立て、感性を育てるための作業訓練を行なっていく・・こんなセンターにとても魅力を感じました。
もっともっと県内にこの様な施設が増えれば、と思いました。
吉備の里には、この能力開発センターの他にも、岡山県立精神薄弱者授産所、生活支援センター、通勤寮などがあります。 関心のある方の為に、場所を少し細かく紹介します。
バス利用:岡山駅より中鉄バス吉備高原行き 1時間30分
吉備松下前 下車 徒歩3分
自家用車:山陽自動車道 岡山I.C.から 空港経由で約30分
電話:0866−56−8216
これまで「育てる会会報」はHPに全文をUPしていましたが、容量等の事情により、一部抜粋とさせていただいています。
今後は、会報は会員の方への郵送でお届いたしますので、ご希望の方は賛助会員に申し込みをお願いします。
詳細は「育てる会 HP」に記載しています。