sorry,Japanese only

平成11年5月30日

第 13 号

岡山県自閉症児を育てる会


目次

木の芽どき・・・?
6月例会『障害のある子の歯を守るために』のお知らせ
絵画教室・水泳教室・勉強会・・etc
『ボランティア研修&交流会』のお知らせ
『夏季合宿』のご案内
近隣の講演会等の御案内
合同体育の一日 
私見ですが・・
新刊本のご紹介  『 ふつうの場所で ふつうの暮らしを』 『 こんにちは、上田豊治です』
姿勢
自閉と向き合う 5

 木の芽時・・?

 新しい年度が始まって、2ケ月が過ぎました。
もうお子さんは学校に、園に慣れられましたでしょうか?
 四月、新学期を迎えるたびに、親は“今年はどんな先生になるかしら?”
“子どもはちゃんとやれるだろうか?”、毎年毎年思うのではないでしょうか。
 あるお母さんから、こんな話を聞きました。今までになく荒れ始めた、お子さんの担任の先生が
  「春ですから、しょうがないですよね」
  「皆、そうなんですって」
  「木の芽どきだから・・・」
 そう言われたそうです。
本当にそうでしょうか? 春だから荒れているのでしょうか? 春の陽気のせいでしょうか?
ちょっと違うのでは・・子どもの立場で考えてみましょう。
 新しい学年、新しい先生、今までとは違うクラスメート。
どうして教室が変わるのか・・、
毎日会っていた先生が突然いなくなってしまったのか・・、
隣で話しかけてくれてたAちゃんが、なぜ同じクラスに見当たらないのか・・
周りのことが判りにくい子ども達にとって、混乱するのは当たり前ではないでしょうか?
 新しい環境、新しい関係をどう理解させていくか、子どもの判りにくさをどのように援助していけば良いのか、周りの大人たちの力量を問われているのではないでしょうか。
 それを、「春ってどの子もそうなんですよ」「そのうち良くなりますよ」、との一言で周りが納めてしまったら、子どもの立つ瀬がありません。
 もう一度、“混乱しているのは、周りの大人の対応がまずいせいでは?”と考えなおしてみたらどうでしょう。
 『子どもの立場で考える』 この視点を忘れないで、対応していけば、子どもとの関わり方、援助のしかたは随分変わってくると思います。
 「春だから・・・」ではなく、どうすれば前のような落ち着いた状態へ戻せるのか、本気で子どもと向き合っていきたいと思います。
 自閉症の子どもは、こちらからの関わり方一つで、直後の行動は大きく変わります。
問題行動がおきた時、「自閉症だから、しかたがない」と考えるのではなく、「どうしたら解決でいるか、どうしたら助けてあげられるか」と考えてつきあっていけたら、子ども達も救われるのではないでしょうか。
 春です。この良い季節を不安の中で過ごすのではなく、親にも子にも本当に良い季節としたいものです。
 今、若葉がとても綺麗です。
 さて、育てる会会報13号をお届けします。今回は日程の関係で、会報と会報の間に例会がなかったため、いつもと少し趣向を変えて新刊本の紹介や、子ども達の自己紹介などを入れています。
 育てる会も今、正会員52家族と、賛助会員60名になりました。
正会員の方には名簿をお渡ししていたのですが、賛助会員の方には紹介が遅くなりました。
 題して
『うちの子って、こんな子です!』で〜す。
 紹介文をお母さん方にお願いしたら、「うちの子って、○○○が大好き!」という文がたくさん送られてきました。
そうですよね、自閉症という障害はもっていても、みんなかわいい子ども達。
お母さんの目からみて、一番関心あるのは我が子たちが喜んでくれるモノ、大好きなモノなんですよね。
 もっともっと“大好きなモノ”を増やして、子ども達の生活を豊かで楽しいものにしてやりましょう。
 自閉症児は一人ひとり、とても違っていて理解しづらいと言われますが、みなさんの紹介文を全部読み合わせたら、
“笑顔のかわいい、平和主義の、とっても純な子ども達”
の姿が浮かびあがってきたように思えました。
みなさんはいかがでしょうか。

合同体育の一日

H.T
 今まで、小学校に入学して4年間、いろいろありましたが、特に今年の春、この5月はとても大変で、そして私にとって大切な思い出の一つになった月でした。
 今日、5月18日は子供の通っている小学校の「合同体育」の日でした。学年別でする小運動会のようなものです。種目はリレー、二人三脚、フォークダンスです。どれも満足にできるものはなく、1週間前に内容がきまってから練習を始めたのですが、いずれも“何とか・・・”という程度。
 先生方は、交流学級の先生も、特殊の先生も、お二人とも「子供たちは、リレーを見て、一周も差がついても『Tちゃん、速く走るようになったネ』、と言ってますよ。」と励ましてくださいました。
 それはとてもありがたかったのですが・・。
 当日、いつもはそういう行事の時は、「お母さんも行くから、がんばって走ろうね。」と声かけをするのに、今日に限ってすっかり忘れていました。
 たくさんの見物人を前に、すっかり縮みあがった息子はリレーの順番がきても、かたまってまったく走れません。先生に手をとられながら、いやいや走って、チームは2〜3周も差がついてしまいました。
 見ていた私は気が気でなく、頭の中で一生懸命、「走れ・、走れっ・・、」と言っていましたが・・、どうしようもありませんでした。
・・・・・・・   
全部、競技が終わり、先生のご挨拶が全体に向けてありました。
どんな話か聞く気力もなく、ボーッとしていました。その時、主任の先生のお話が聞こえてきました。
 「・・みんながんばった。先生が一番良かったと思うことは、たとえ遅い子がいても、みんなで一生懸命、応援できたことです。リレーは競争だけれども、そういうみんなの思いこそ大事だと思います・・」
 今まで入学してから、“ T君のせいで、他の子がつらい思いをしている”などと言われたこともありました。
・・そんな私にとって、5年生全員がいる前で、しかもお母さん方もおられる所で、そんなふうに言っていただけたことはとてもありがたいことでした。
 そして、解散後、特殊の先生のところへご挨拶に行くと、
「回りの子供たちも『T君、いつもはちゃんと走れるのに、今日はどうしたんかなあ』と心配してくれてましたよ。」
「状況がいつもと違うから走れなかったんだよね。今度はきっと大丈夫!」と言ってくださいました。
 帰っている途中でも、出会ったお母さん方が、
「T君がんばっとったね。」「でも二人三脚はちゃんとできてよかったね。」「ダンスはいい顔して踊ってたね」
・・などと、言ってくださって、涙の出る思いでした。
 成功した時よりも、支えてくださる回り人たちの温かさを感じて、忘れられない一日となりました。これからもがんばろうという気力を回りの人たちからいただきました。

 


私見ですが・・

H.Y
 うちの子は、新二年生。まだまだ人にアドバイスできるほどの経験はないのですが、小さいお子さんをお持ちのお母さん方に、と書いてみました。
 私見ですので言葉が過ぎたら、お許しを・・
 この四月、入園されたり、新入学されたみなさん、落ち着かれましたか。
思い通りの園に行けた方、そうでない方、良い先生にあわれた方、そうでない方、いろいろだと思います。
 でも、どうか、ほっとしすぎたり、もうこれで十分と安心したり、逆に、これからどうなるのだろうと落ち込んだり、どうかそういうことの無いようにと思っています。
 小さい子どもを伸ばす原動力は、“やっぱり家庭にある”、と、私は思っています。
特に、お母さんをまだ“お母さん”と認めていないお子さんとは、しっかり“きずな”を結びましょう。
普通の子どもと同じように、この子達も、身近な人(大抵は母親)と認め合ってから、外の世界に出ていく――社会性を伸ばしていく ――ような気がします。
 “いっしょに何かをする事”に全く関心のない幼子を振り向かせるのは大変です。昼中、園に行かれている方は、その間に家事をすませ、帰宅した子どもと、たっぷりつきあってみてはいかがでしょう。
 もともと感覚のアンバランスさ、から、外の情報は入りにくい子どもです。いくら時間をかけても、かけすぎ、という事はないと思います。
 

姿 勢

ペンネーム 松山 千春

 教師として子どもを見るとき、何を思うのでしょうか。
 私は、子どものもてる力を引き出して、張りのある学校での生活を共に過ごしたいと考えているように思います。
 この頃は、子どもとのかかわりを表すときのことばは、「指導」から、「支援」とか「援助」とかいったことばにかわってきつつあるようですが、学校での教育の内容は、おおむね先生の方が子どものことを考え、設定します。子どもがうまくできないことに対して支援や援助をして、その内容が子どもの力として残っていくことを積み重ねようとしています。
 「この方向でいっしょにやろうよ。」と指し示し、導くという意味では、「指導」を常にしているわけです。
 日記の発表をします。(「します」とは言いながら、場と時間を設定して、先生が子どもに発表を「させています」。)
教師である私は、“ここに立って”、“これくらいの声で”、“上手に呼んで”、ほしいと思っているのです。
内なる声で(ここに立って、これくらいの声で、上手に読んでごらんよ。みんなもよく聞いてくれるよ。)と言っているのです。指し示し、導くという意味の「指導」です。ただし、すぐにはそれができない子どもがいます。
 立つ場所がわからないのなら、まず、そこに私が立って見せます。あるいは、立つ場所にテープを張ります。
 声の大きさがうまく調節できず、大きな叫び声で読むときには、口許に指を当てて、「ここに力を入れすぎてるよ。」と教えてあげます。
 ちいさな声でしか読めない時には、昔流行ったフラワーダンス(音センサーで踊り出す不気味な花)を目の前に置いて、それが動くだけの声を出すように励ます。
 指導が成り立つための具体的な手立てを、支援とか援助として考えます。
 私は教師として子どもと過ごすときに、そんな姿勢で接しているつもりです。
 
 ところで・・
 私は、最近、小学校の40才代の教師が主宰する学級経営の勉強会に参加させていただいています。参加するのは、おもに20才代の若き教師たちです。
授業をビデオで見たり、学級の課題を若い先生同士が意見交換した後、主宰の先生が、子どもの見方、援助の方法、解決の糸口など、時に厳しく、時に示唆に富むコメントなどで会をしめくくります。
 さて、その会に参加したとある青年教師。自分の考えもあり、今まで自分で勉強していたという自負もある、しっかりした青年です。
 主宰の先生の考えを、みなが一言一句逃すまいと、メモをとっている姿を見たからか、
「この会は、先生のクローンを作る勉強会ですか」と疑問を投げかけ、不満そうでした。
その疑問は、彼から見ると、“教祖的に話をまとめる先生とそのことばに傾聴する参加者”、に向けられたようでしたが・・・果たしてそうなのでしょうか。
 夜遅くまで、学級の子どものことを話すために毎週集まってくる若手教師は、誰もクローンになってしまう、などとは感じていないのですが。
 これも「姿勢」の問題です。指導的立場にある人が話す内容に、しっかり耳を傾けることと、そのことすべてに自分の言動が左右されてしまうこと、との間にある差こそ、姿勢の差です。
 耳を傾けたことを、自分が子どもの暮らしの中で確かめ、さらに良いものを自分で作り出そうとする姿勢でいたいものです。
 親は我が子にこういう子どもであってほしい、こういう人になっていってほしいという思いをもっています。私たち教師も、子どもへの願いをもって指導を行います。
 思いや願いがお互いのことばに耳を傾けさせ、お互いの考えを深め、広げながら、子どもとの暮らしを共に作っていきたいものです。
 子どもにあるべき姿を指し示し、導きながらも、子どもが自分に問いかけ、答える姿を思い浮かべながら語りかける。大変な時は、いつでも助けてあげるよ、いっしょにやってあげるよ、と励ましながら。
 指導も支援も援助も、またその方法も、その姿勢に支えられているように思います。

育てる会会員紹介

学年・年令は平成11年4月1日 現在 です

  学年・年令   お母さんの紹介する 「うちの子って、こんな子です!」
1 小学5年 絵をかく事、工作する事、食べる事大好き、ただ今しゃべり方に問題が少々有りのYです。
2 小学6年 お水が大好き。音楽のリズムに体をゆらす、元気いっぱいの笑顔のかわいい女の子です。
3 小学6年 かわいい笑顔は母ゆずり、優しい性格父ゆずり、のんびり、ゆっくり、てっぺいくん。
4 小学2年 ファミコン、お絵かき、ウルトラ怪獣人形あそび。もちろんステータスはウルトラマン。
5 小学5年 ちょっとガンコですが、よく笑う明るく元気な子です。
6 小学3年 気が優しくて、怒りっぽい、ちょっと太めの男の子です。
7 小学3年 少しこだわりがあります。ワンパターン化しやすいので、そうならない様気をつけています。
8 小学4年 歌や踊りが大好きなパワフルな女の子です。新しい場面になじみにくいのでそこを努力です。
9 小学2年 歌う事、踊る事が大好きで、ケガなどをした人の事を心配するやさしい子です。
10 小学3年 単語で自分の気持ちをずい分表現できるようになったが話すことはまだまだ苦手です。
11 小学1年 対人緊張の強い子ですが、家ではよくしゃべり、とても明るい笑顔のかわいい子です。
12 小学3年 泣いて、笑ってのくり返し。彼を見てると「幸せなんだね。」と思わず思わせる子です。
13 小学2年 おとなしそうですが、実はユニークで活発。公園や散歩が大好き。かわいい男の子です。
14 5才 白飯、広告、ブランコ、ドライブ大好き。色白で、ゴマアザラシのようなYです。
15 小学4年 県北の山奥の小さな小学校で、ノビノビと育ってます。サイクリングが大好きな男の子。
16 小学2年 知りたい、見たい、行きたい、触りたい、話したい、やりたい、僕が、僕が、の子です。
17 小学2年 のりもの、信号、追っかけっこ、ポケモンが好き。発想が豊かでとてもやさしい子。
18 小学2年 多動、かんしゃく、でも妹に優しく、ブランコ・砂場・水遊びが大好きな男の子です。
19 小学4年 プール大好き、食べるの大好き、笑顔がとりえの男の子です。
20 小学5年 うちの子は、書くことが大好きで、暗い顔や怒る声が大嫌いな、我家の太陽のような子です。
21 5才 こだわりがあったり、パターン化しやすいけど明るく元気な子です。
22 5才 待つ事が 大の苦手なので、やる気はあるけど空回りしてしまう女の子です。
23 5才 僕は遠くから、大きな声でドタドタとやってきて、その場の空気を変える事ができます。
24 小学5年 こわがりで初めてのことは何でも苦手。でもできるようになった時の笑顔は最高です。
25 小学4年 アンパンマン大好き!プール大好き!食べるの大好き!まあるい顔のYです!
26 4才 今キティのお絵かきにはまっている4才の女の子です。パパより上手に描けるんだよ!
27 小学4年 色白のぽっちゃりで、機嫌の波は大波小波。ニコニコしている時はとてもかわいいです。
28 小学4年 料理・地図・ファミコンが好きです。初対面の方と話しにくい様ですが、慣れると話します。
29 小学2年 のりものが大好きで、JR瀬戸大橋線が一番のお気に入り。笑顔が魅力の元気な子です。
30 3才 絵を描くこと、歌が大好き、そして一番好きなのは、母です。春より保育園生活が心配です。
31 小学5年 将来はおすもうさん?最近おなかのお肉が少し気になる、ちょっとおでぶで車好きの僕です。
32 5才 怖がりですが、妹の世話や手伝いをよくする優しい子です。お絵描きとケーキが好きです。
33 小学3年 とにかく、毎日、めちゃめちゃ明るく元気に生きてます。って感じが、救いです。
34 4才 毎日、元気に保育園の中を走り回っています。食べることと車が大好きです。
35 小学4年 とにかく食べることが大好きです。「おかわり ください」が口癖です。
36 小学3年 好きなことは、くり返しやっている毎日!いつの間にか一輪車に乗れるようになりました。
37 小学1年 とっても几帳面でやさしい子で、黙っていればハンサムでかっこいい小学一年生です。
38 小学6年 自分の考えている事や感じたことをうまく他人に伝えることができない子ども。
39 5才 双子のお兄ちゃんなのに、いつも弟にしきられてしまうSちゃん。お絵かきが大好きです。
39 5才 おしゃべりMくん。お母さんをいつも独占、Sくんと一緒によく動きお母さん泣かせです。
40 小学2年 自転車乗りと、ピアノと、唄う事が大好き。明るくて、わりとまじめで、甘えん坊です。
41 小学5年 学校が大好き、先生大好き、友達大好き。今、登校班の班長さんでがんばっています。
41 小学3年 学校が大好き、ファミコンが大好き、ロボット大好き、元気な子供です。
42 5才 食べるの大好き。ふだんは無口なのに食べたい時だけ言葉がでてくる冷蔵庫の見張り番!
43 3才 スイッチ、電気製品が大好きで、運動は大嫌いです。恥ずかしいのか初めての人は少し苦手。
44 小学5年 人の名前を覚えるのが苦手です。会話は少しずつですができるようになってきています。
45 小学2年 泣き声怒鳴り声が苦手。花や車が好きで、大きな声で歌を歌う元気いっぱいの男の子です。
46 小学3年 いつも元気溌剌、笑顔の可愛いM君です。まだ話はできませんが頑張って学校に行ってます。
47 小学1年 飽き性のA君と言われる程即熱中,即冷める。何でも自分でしないとだめというこだわり君。
48 小学2年 うちの子は、まだしゃべれませんが、表情はすごく豊かで、自転車が大好きな子です。
49 4才 外遊び大好き、癇癪も元気一杯(?)の4歳児。メガネをかけたお姉さんが大好きです。
50 小学2年 水遊びとコンピューターが大好きなAは今養護学校の2年生です。毎日元気いっぱい!
51 5才 ブランコに乗るのは誰にも負けない自信があるよ。サーカスの空中ブランコにも挑戦だ。
52 小学1年 のんびり屋でいつも弟にやられてますが、いざとなると強いです。今人物画に凝ってます。
52 小学1年 好奇心旺盛で、学校でもいつも楽しいことを探して走り回っています。運動も大好きです。

これまで「育てる会会報」はHPに全文をUPしていましたが、容量等の事情により、目次と巻頭文以外は
現在一時掲載中止にさせていただいています。
会の行事の予定は育てる会の「
今月の予定」に、近隣の講演会等の案内は「案内板・伝言板」に、
また特にみなさんにお伝えしたい記事だけは「
育てる会 ライブラリー」に載せるようにしています。

今後は、会報は会員の方への郵送でお届いたしますので、ご希望の方は賛助会員に申し込みをお願いします。
詳細は「
育てる会 HP」に記載しています。

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