sorry,Japanese only

平成15年1月30日 

 第57号

NPO 岡山県自閉症児を育てる会

目次

一年の計は元旦にあり

支援者養成講座報告

AAO活動のご案内

AAOありがとう集会

キッズルーム

勉強会のお知らせ
   OHAの会・つくしんぼの会・ゆりかご講座

サッカークラブからのお知らせ
水泳教室のお知らせ
女の子の会からのお知らせ

私のお薦め本 『 母よ 嘆くなかれ 』(パール・バック)

近隣の講演会のお知らせ

掲示板

気がつけばもうすぐ2月ですが、会報は今年初めての発信になりますので、皆様、新年あけましておめでとうございます

どのような冬休み、お正月を過ごされましたでしょうか。

我が家は初日の出を見る会に参加するところから始まりました。
境港にある夢港タワーに上りそこから東を凝視する事30分。残念ながら雲が多くて姿は見えませんでしたが、きれいな光の筋が四方八方にひろがり厳かな気持ちになりました。

子どももなんだかきりっとして見えます。ああ、今年も頑張ろう!!と決意したそのとき「ちょっといいですか?」の声。
振り向くとテレビカメラ。『あ!取材だ。どうしよう』(心の声)

「初日の出を見られていかがでしたか?」
「はい、雲が多くて見られなくて残念でしたぁ〜」と私。

「今年に思うことがありますか?」
「はい○○才になりますので、10キロは痩せたいです」と恥ずかしげも無く私。唖然とする取材の人…。
「すみません、こんな事しかいえなくて」と小さくなる私。

そして去っていくテレビカメラにはっきり書かれていた○HKの文字。そうです。私は今年もう恐いものなんてないのです。
羊のようにひと膚脱いでみましょうかね。
(ちなみにその映像は昼と夕方のニュースで流れました。救いは地方だけだったこと)
 

さて、お笑いはこのくらいにしまして、本題へ参ります。

一年の計は元旦にありです。
やはり、ただなんとなく一年を過ごすのではなく長期目標をしっかり持った上で、この一年をどのように過ごすかを決めるといいかもしれませんね。

目標と一口に言ってもどこに焦点を合わせるかで随分違ってくると思います。ただ、今すぐ何とかしなければいけない問題と目標とはちょっと違うかなという気がします。
もちろん、それがいけないということではありません。念のため。

みなさまはどのような目標や決意をもたれましたでしょうか。
勉強会などで発表し合うのはいかがでしょうか。
公言すると気持ちが揺らがないような気がします。

本当に時間は水のように、砂時計の砂のように流れていってしまうものです。
流れていった時間のかわりにどれだけ子どもに生きる力が蓄えられていったかですよね。

確かに困ったことがあると、その目の前の問題をなんとかしなければ・・・という事に追われてやろうとすることができません。
そんな時、母は「この問題はいつまで続くのだろう」とか、「なぜ止めさせることができないのだろう」「やろうとしてもうまくいかない」とかあれこれ憂いて焦ったり落ち込んだりではないでしょうか。

私の場合ですが、このジレンマから脱却するために必要だと思うことは少しだけ想像力を持って一貫性のある柵になること。

さて私が何を言わんとしているか、想像力をもって考えてみて下さい。
ヒントは柵です。柵は昔、城を守るための砦でもありました。頑丈だけれど木でできていて向うが見えます。
(訳わかんないという皆様からの声が聞こえます〜)

私達は経験しないと理解できないということを頭では分かっていても、想像力があるから理解しているという気持ちになれます。だから、子どもが日々の暮らしの中でどんな事に困っているかまた、暮らしにくくしている原因は何なのかを想像します。
けれど想像ばかりしていても問題が解決するはずはありません。
それは特撮のヒーローが変身しているときのようで、その間敵が攻撃すればやられてしまうのと同じだと思いませんか。たくさん想像している間に問題行動は高じてくるかもしれません。ましてや想像のし過ぎは、先回りして手を出しすぎる事になりかねません。
(ヒント終り)

話は変りますが、同じように、私たちは他の家庭で起こる問題や大変さを想像します。
同じ「自閉症」という言葉でくくられていてもそれぞれタイプが違う子どもたちです。

各家庭での大変さ暮らしにくさは、その子どもと暮らしてみないと分からない事でしょう。自閉症児と暮らしていても他の家のことは分からないのですから他の人に理解を求めることの容易でないことは言うまでもありませんが、ごく身近な人でも分かってもらう事は難しいと感じます。見た目が普通の子どもと変らない事が一番の原因のようです。

変らないから良い状態を想像されてしまうのでしょうか。
だから私たちがこうして集まっているのは、まずお互いの子どもを理解しその理解の輪を外へと広げていくためなのかもしれません。

(文責:K.H)

支援者養成講座 報告

第一回療育者支援講座が、1月22日に太陽の家で行われました。

午前中は河島淳子先生の講義、午後はMさんのお子さん(2歳)のコミュニケーションシーンの再現の考察を河島先生がされました。まだ若いお母さんであるMさんが、「子どもにどう対応していっていいかわからない」という切羽詰った気持ちがよく伝わってきました。

私たちも通ってきた道です。

「がんばり過ぎないで、子どもとの毎日をもっと楽しんで関わりを増やしたほうがいいですよ」という先生のアドバイスに、何だかホッとさせられました。(勇気を出してコミュニケーションシーンの再現を提出してくださったMさん、ありがとうございました。)

その後、高橋先生による課題学習の実際を、子どもとのやり取りを通して見せていただきました。
当日は、N君(小1)と I さん(中3)が参加してくれました。N君とのセッションでは、タイル算の導入からたし算のやり方までを詳しく見せていただきました。N君は初めてのタイル算とは思えないくらいスムーズに学習できて、「すごい!」と会場から感嘆の声やため息が聞かれました。

一方、中学3年生の I さんは思春期を迎えた女の子です。
「将来子どもが働く大人になってほしい。自立して暮らしてほしい。誰かの役に立ちそれによって認められ幸せを感じる人生を送ってほしい。」(これはどの親も共通の想いですね)そんな想いをこめて毎日
I さんのお母さんは子どもと向き合って子育てをされていました。

しかし、思春期を迎え、子どもの抵抗にあい、どうすればいいか解らないで困っておられました。「何とかしなくてはいけないけれど、どのようにすればいいのか解らない。講義を聞くだけでは、実際の子どもとの生活の中では、そのことを生かしきれない。」そんな彼女の思いに応えてのセッションでした。指示を聞きたくない I さんと高橋先生とのやり取りは、凄いものでした。「やりたくない!」と意思表示する彼女に、「がんばってやろう」と、ひとつひとつ手をとってさせていかれました。

ビーズ通しとボールペンの組み立ての様子を、みんな固唾を飲んで見守りました。


I さんは、本当にがんばりました。ボールペンを10本組み立てました。今までやったこともないことでした。ビーズを50個指示どおりに色を変えて通しました。

セッションの間、先生は子どもを細かく褒めていかれます。「よくがんばっているよ」「そうだよ、働く大人になろうね」「いい姿勢だね」「よく働くいい手だね」「怒っていてもイスから離れないね。いい子だ」
そして我が儘には決して屈さず、「やろう!!」と促していかれます。高橋先生は、I さんが叩いてきても意に介さず、どんどん進めていかれます。私たちは、子どもの泣き声や、反抗ひとつひとつに反応してしまいます。でも「そんなことは、何でもない事」とやり過ごしていくと、子どもはあきらめて、課題をはじめます。

そのやり方は、譲らないでやらせきることでした。「私たちは、脅してもいないし、怖がらせているわけでもありません。ただ、我が儘は通らないこと、指示を聞くこと、それを伝えたいのです。課題をやる中で大切なことを学ばせたいのです。」

嫌がってもやらせきることで、I さんの可能性を母親である I さんのお母さんに伝えてくださいました。「私がやらねば誰がやる。」そんな想いで彼女は、これからを過ごしていかれると思います。そしてまた私たちも同じ想いです。

「何か質問はありませんか?」といわれる先生に会場内は、圧倒されて言葉もありませんでした。そして、その後からゆっくりと波のように母親たちの「がんばるぞ!!」との想いが伝わってくるのでした。

本当にすばらしい講義でした。次回が待ち遠しいです。


参加者の感想

先生の講義を受けると、自閉症児の子育ても健常児の子育てもそんなに変わりがないと感じてしまいます。学習の取り組みや日常生活の教育は兄や姉たちにも当てはまると思いました。

 生活の中で子どもをほめる事。言えていないのではないかと反省しています。出来ない事ばかりに気をとられ、イライラの連続になっています。私が成長して彼女の良き柱になれるよう、がんばっていきたいと思います。

(5歳女児の母親)

自分の子どもへの接し方を反省させられました。私が過保護にしている点があり、気をつけていこうと思いました。

Mさんのお話は私と似ている気がして、先生がアドヴァイスされるお話は、そのまま私に当てはまる気がしました。

我が子は、6歳になります。少し遊んでやっていない事が気になります。教える事ばかりに気持ちが行っていたように思います。もっとあの子の気持ちに沿って遊んでやろうと思いました。

(6歳男児の母親

学習する場、機会を作っていく事、課題は最後まできっちりとやらせきる事の大切さをとても感じました。課題には見える目標があることが、重要だという事も感じました。

自分では一生懸命しているつもりでも、見えていない部分がたくさんあったり、全くピントがずれていたりしている事があるのではと思いました。親だからこそ見えていない部分があるような気がします。

12歳男児の母親)

Mさんのコミュニケーションシーンの再現のお話、ありがとうございました。Mさんもありがとうございました。

幼児期にしっかり母子関係を築きましょうという話、あらためて確認することができました。

課題の提示も、本人に目的や完成時のイメージを、理解させておく事が大切だと思いました。

我が家の2歳になる息子にも、こだわりや好き嫌いが強い傾向がありますが、上手に興味を発展的な遊びに持っていくように工夫したいと思います。

(2歳男児の母親)

本当に勉強になったというのが正直な感想です。

特に午後の実践でN君がスムーズに理解していくのには驚きました。
さらに、Iさんのがんばりは、〈ビーズが一本になった時〉
「よくやったね!」としみじみ思いました。きめ細かな手作り教材の工夫にも感心するばかりの私でした。

(6歳男児の母親)

すごく楽しい一日でした。本当に充実した時間でした。

魔法にかかったように指示に従えるようになったふたりの子ども達が、生き生きしている姿を見てうれしかったです。

でもそれ以上に自分の子どもの明るい未来を見るようでがんばろう!!とあらためて思いました。

(8歳男児の母親)

ハードかつハートフルなメニューでした。「やらないから」「見ようとしないから」「まねをしないから」といって、やらせてこなかった、学ばせてもらっていない実情を河島先生は指摘されました。私自身の意識改革が何よりも急がれます。そうでないと学び取れないと思いました。

午後からの実践は、私にとって貴重な体験でした。発達検査をすでに受けたお子さんの適性と生活年齢に合わせた個別の課題学習と取り組み方は、本当に納得のいくものでした。

個々のお子さんの非常に細かいところから、全体的な状態像まで見たうえで、生きていくのに必要と思えることを具体的な形で提示してくださり、親子の歯車を合わせながら、心を育てていくヒントを与えてくださいました。

療育者とは、臨床家とは。真髄に触れたおもいです。
こんなにも真剣に子どもと向き合って、可能性を見つけ出してくださるんだと感激でした。

そして、お子さんたちの純粋で健気で一生懸命な姿はとてもかわいらしくて、心を暖かくしてくれました。

ハートフル・・・、心にポッポッと灯りをともしてもらいました。

(10歳女児の母親)

「何から書けばいいんだろう」と思うくらい、得るものが多かったです。 涙がいっぱい出そうになって必死で抑える場面も3回もありました。

一回目はMさんのコミュニケーションシーン再現の場面で、河島先生がおっしゃった「余裕がないのよ」「楽しい事子どもといっぱいしてる?」の言葉を聞いた時。はっとしてその時やっと気づいたのです。彼女の姿は、告知を受けた当時の私の姿とダブるのです。無期懲役刑として息子を教育していこうと決心してしまっていて、楽しい事をする事など思いつきもしなかった当時を思い出して、泣きそうになりました。

二回目は I さんがボールペンの組み立てをしている時、 I さんが何度も高橋先生の顔色を窺っている時。先生はいつもポーカーフェイスで同じ、冷静で無表情です。私が息子に教える時は、多分にらみつけています。怒っている言葉や暴力はないけど、表情で威嚇していると思います。
だって、私の眉間にはクッキリと二本の縦皺ができていて、こりゃちょっとマズイと思うくらい、普通の時も目立ちすぎて、コラーゲン注射しようかと考えた事があるほどにまでなっているのだから!!
この時、ちょっと息子がかわいそうになって泣きそうになりました。

そして三回目は、その時河島先生が「やらせているけど、怖がらせていない」「譲らないけど怒らない、脅さない」と解説された時。今までの私の「こえーお母さん」を反省して泣きそうになりました。帰りの車の中でも何度も思い出しては涙が出そうになりました。

(10歳男児の母親)

参加ご希望でそれが果たせない方々が、多数おられます。育てる会会員に限って、ビデオは貸し出しますから、事務局のほうへ、直接お問い合わせください。

当日は、30名の親の参加者に加えて、自閉症児について学びたいと、ボランティアの横内さんと丸山さんが参加されました。

自閉症支援者養成講座では、自閉症を知りたいもっと学びたいという支援者希望の方の参加を、募集しています。まだ、若干名募集します。
参加希望の方は、担当〈鳥羽〉までご連絡ください。面談・レポート提出していただいて決定いたします。

支援者養成講座担当:鳥羽美千子 teppey@mx3.tiki.ne.jp

掲 示 板

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 賛助会員になってくださる方を募集中です。

 今年度の目標200人まであと11人となりました。
 学校の担任の先生や友人やご親戚の方など、一人でも多く子どもたちのことを理解して 私たちの活動に協力してくださる方をお誘いしてください。

  賛助会員の特典

  ○ 毎月の会報で子ども達の成長や、講演会などの情報が得られる。

  ○ 育てる会主催の講演会などの参加費が一般の方より割引。

 年会費は、3000円です。よろしくお願いいたします。

 入会申し込みは、事務局までお問い合わせください。

以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
会の行事の予定は育てる会の「
今月の予定」に、近隣の講演会等の案内は「案内板・伝言板」に、また特にみなさんにお伝えしたい記事などは「育てる会ライブラリー」に載せるようにしています。
容量は小さくなりましたが、ご覧いただければ幸いです。

なお会報は正会員・賛助会員の方へは郵送でお届けしています。
もしご希望の方がおられましたら、ぜひ賛助会員に申し込みをお願いします。年会費 3000円です。
応援よろしくお願いします。
申込み方法の詳細は「
育てる会 HP」に記載しています。

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