平成16年2月29日

第70号
NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会
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キッズルーム・・・
「TEACCH カンファレンス in 大阪」に参加して
「木工教室」 報告
AAO ありがとう集会
「キッズルーム」報告
サッカークラブ・水泳教室・女の子の会 お知らせ
勉強会のお知らせ
OHAの会・つくしんぼの会・ゆりかご講座・将来を考える会私のお薦め本コーナー
『「障害児なんだ うちの子」って言えた おやじたち』 町田おやじの会各地の講演会のご案内
掲示板・事務局だより
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月日が経つのは早いもので、今年度もあとわずか。
陽ざしも和らぎ 春めいてまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
先日、今年度最後の「キッズルーム」に参加しました。
寒い時期で体調を崩されている方が多いのか、いつもよりはちょっぴり少ない人数でしたが こじんまりと落ち着いた雰囲気の中で時間がゆっくりと流れていきました。
子どもたちが遊んでいる様子を見ていて、随分 小さい子どもさんが増えたなぁ〜と思いました。はじめは「一才健診」と勘違いして泣いていた兄弟の子も楽しいところだと気づくと夢中で遊んでいます。
ふと、我が子が初めて参加した時のことを思い出しました。たかしは小学校1年生、弟の司は4才でした。みんなが楽しく遊ぶ中、たかしは初めての場所でどのように過ごせばいいのかわからず「帰る!帰る!」と大騒ぎでした。それだけでも大変なのに、司もボランティアさんと遊ぶことに慣れていなくて不安そうな表情でいつも私の居場所を確認していました。
「お母さんはここに居るから大丈夫。つかちゃんはお姉さんと一緒に遊ぼうね」
と声をかけながら たかしをなだめていました。
小さい子のための楽しい行事のはずなのに、親子で苦痛な時間を過ごし、家に帰るとクタクタで何もできませんでした。
“みんな楽しんでいるのに、どうしてうちの子だけ・・・ここでダメならもう行くところはない・・・” と落ち込み、しばらく閉じこもっていました。
でも、諦めたくなかった。どこも出かけられない子にはしたくないと思い、続けて参加することにしました。
楽しい雰囲気の中に泣く子を連れていくのは迷惑かも知れない・・・”でも「育てる会」だからこそ許されるのではないか”
と自分に言い聞かせ勇気を持って出かけて行きました。
“はじめは何もできなくてもいい。会場の隅っこで見るだけでもいいから・・・”
キッズルームの空間で過ごすことを目標にし、私自身が気持ちを楽にして参加するように心がけました。私が落ち着くと子どもたちにも変化が見られました。回を重ねるごとに人形劇が見られるようになり、好きな遊びも増えてキッズルームはどんどん楽しいものになっていきました。
キッズルームに参加して4年が経ち、今ではたかしはボランティアさんと過ごせるようになり、司は「今日はお兄ちゃんかな?お姉ちゃんかな?」と、とても楽しみにしています。キッズルームではおなじみの兄弟として(それだけ目立っていた・・・?)
直接担当しなくてもいつも笑顔で迎えてくださるボランティアさんには本当に感謝しています。はじめは見ているだけでハラハラ、ドキドキだったと思います。
担当してくださった方は大変な思いをされたことでしょう。
優しく、温かくお付き合いくださり ありがとうございました。皆さんに支えられ頑張ることができ、夏合宿やAAO活動(今年度はお休み)そして家族で温泉など色々なことに繋がっていき生活が広がってきました。
私たち家族にとって、いきなり一般社会に飛び込むことはかなり難しいのですが前段階として育てる会で練習できる場があり、それに協力してくださるボランティアさんがいると言うのは本当に心強く、ありがたく思っています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
まだ3月の活動が残っていますが、ここでご卒業されるボランティアの皆さん おめでとうございます。
本当に色々とお世話になりました。
お別れするのはとても寂しいですが、自分の道を自分の足でしっかりと歩いていってください。また、機会がありましたら遊びに来て子どもたちの成長を見てやってくださいね。
(M.K)
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「 TEACCHカンファレンス in 大阪」に参加して
去る2月7日・8日、大阪にて「TEACCHプログラム研究会 15周年記念事業」が開催されました。1000名を越える参加者に向けて、TEACCHの本場アメリカ ノースカロライナ州から、ゲーリー・メジボブ教授と、キャサリン・フェハティ先生が来日され、ご講演されました。
育てる会 会員のTAさんより、このメジボブ教授のお話を聞いてのレポートが寄せられていますので、ご紹介いたします。
とても分かりやすく書いてくださっていますので、「自閉症ってどんな障害なの?」と言われる皆様、講演を聞けなくて残念だった皆様、ぜひ読んでみてください。
〜自閉症を持つ人達と接するにあたってもっとも重要なのは何か?〜
T 自閉症を理解すること
自閉症とは?・・・脳の神経障害であって、親の子育てのせいではないこと。
視覚処理に強い(目で見ることのほうが理解しやすい)
聴覚処理に弱い(耳で聞くことは苦手)
その結果、普通の人とは違った学習の仕方をする ⇒ それに合わせた教え方が必要。★ 自閉症を理解し、自閉症を持つ人に対し敬意をもち、その人に愛情を感じる。好きになる。
U その上で、環境の整備を行う。
物理的構造化を行うだけで、自閉症を持つ人は随分安定し、落ち着くことが出来る。
1. 場所を区切って自分の居場所をわかりやすくする。
「僕の場所はここだよ」と目で見てわかる。
机の前に衝立をして目隠しにする。又は、壁の方に向いて机を置く。隣と区切る。
床に絨毯をしく。座布団(マット)を敷く(本人が座る場所に)2. 場所によって活動を区別する。
ワーク(自分一人で机の上で遊んだり、学習をしたり、作業をしたりする)場所、視覚支援(スケジュール等の提示、次に何があるのかを本人にわかりやすく説明)、1:1で先生に何かを教わる場所、グループ活動の場所、余暇活動(自由時間を過ごす)場所など。
その場所に行けば自分が何を期待されているかを理解することができる。
―体験から意味を引き出す。常に改善する。(あきらめないでやりつづける)Bestを求め続けること。
個別のプログラム、個別の情報提示(スケジュール提示)
スケジュール提示は本人の発達レベルに合わせて
それには本人をよく観察すること。 (記録をとること、情報の共有化)
本人の「出来た!」を増やす。「もう少し出来るかな?」のところでやめておく。
なぜできなかったのか? ⇒ どうすればできるのか?(記録をとること)
本人に自信をつける。自己肯定感をはぐくむ。 ⇒ 人生に希望が持てる。
V コミュニケーションの指導
高機能自閉症
自分が自閉症であるということを理解することから始める。(事前準備を念入りに)
「こんなにいいところがたくさんあって、でもこんな部分もあるから、一緒に勉強しようね」(肯定的)
その後の専門家によるきちんとしたフォローがあること。・ ソーシャルストーリー(成功体験を作る ― 本人との約束事)
「ゲームはたのしくやります。相手が勝っても怒りません。」・ コミック会話(場面、状況の理解に向けて漫画的に状況を説明する。相手の気持ちを考える)
音声言語の弱い人
・ コミュニケーションブックの活用
本人専用の絵カードの入った手帳サイズ位のもの。要求を指差しして相手に伝える。
・ ビックマック(何秒間かの声をワンプッシュで再生する機械)による要求「トイレに行きたいです」
☆ 物理的構造化の次に・・・
スケジュールによる構造化の例
・ スケジュールの提示(場所の提示)
トランジッションエリアを決める(スケジュールを確認する場所)個別のスケジュール
・ 理解の仕方は人それぞれ。
手帳サイズのスケジュールを持って歩く人もいれば、1枚ずつの絵の人もいる。
一度に提示する枚数が多すぎて理解できない人もいるし、ずっと持って歩きたい人もいる。スケジュールの目的
・ 本人の状況理解(本人の「わかった!」)
・ スケジュールをルーチン化しないこと。日によって、内容や量、順番の変更がある。
直前の変更はペンで書き込む。柔軟性をやしなうこと。手順書の作成
・ 「ひとりでできる」を手助けするもの。めくり式のものが多いが、本人に合わせて作成。
・ ひとりでできること(能力がある)が、本人の自信につながる。→明るい未来。希望
支援者の役割はその能力を引き出すこと。(やり過ぎない。がんばらせ過ぎない)
(支援者:自閉症の人にかかわるすべての人。親、専門家、保育者、教育者(教師)、行政)
ワーク(自分ひとりで作業する活動)システムの例
・ 左から右、上から下の順で行う。(どんな場合も同じ)
量は少なめにして、その中から日によって選ぶ形もよい。好きなものを1つは入れる。(楽しみ)
本人が一人でできるもの。 終わりを解りやすく。(次にこんないいことがあるよ)
これもスケジュールと同じく、日によって、内容や量、順番の変更をする。柔軟性をやしなうこと。
一つの決まったやり方・決まった順番にこだわるのではなく「柔軟性を養うため、急な予定変更やいつもと違うことがあっても『大丈夫!』ということを教えてあげるためのスケジュールです」という考え方、目からウロコでした。
子ども達が暮らしやすい毎日のために、今後も勉強していきたいですね。TAさん、素晴らしいレポートをありがとうございました。
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木工教室 報告
2月1日(日)岡山県生涯学習センターにて、木工教室が開催されました。
7家族、子ども8名の参加があり、木工作家・川月 清志先生のご指導のもと、手作り時計に挑戦しました。
自分の好きな形(○・□・クマ・魚・など)の時計を、親子で真剣に楽しく作れました。
ご協力いただいた川月先生、ありがとうございました。
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突然5月の陽気が続きましたが、皆さん花粉症にはなっていませんでしょうか。
我が家の自閉ちゃんは花粉症で、にぎやかにくしゃみを繰り返しています。
困ったことに人の顔に向かってくしゃみするようになり、今対策を考えているところです。
さて、今年度最後のAAO活動と毎年恒例「ありがとう集会」が2月22日に行われました。
AAO活動では4組が岡山駅集合で、カラオケや電車に乗る、散歩するなどの活動を行いました。当日は雨の予報でしたが、幸い一日天気が持ち、楽しく活動できたようです。
お母さん達はその間に京山公民館に集まって、ありがとう集会の準備をしました。
遅れましたが、半年間お茶を提供してくださった本地さん、ありがとうございました。
AAO ありがとう集会
1月の話し合いの結果、今年は初めてホテルで、コース料理をいただくことにしました。
他のお客さんに気を遣わなくても良いように、『サンルートホテル』で部屋を借り切って行いました。
一年間頑張ってきたかいがあって、みんな行儀良く座って、ウエイターさん達にサービスしていただきました。そのウエイターさんは昨年 聾学校の生徒さんにもサービスしたことがあると言うことで、心のこもったサービスをしていただくことができました。
サンルートホテルの皆さんありがとうございました。
フォークとナイフとを間違わずに使うことができるかと心配だったのですが、図に合わせて、みんな上手に使い分けていました。
自閉症であっても、知的障害を併せ持っていても、ちょっとした工夫でみんなと楽しく暮らしていくことができると実感した時間でした。
ホテルの方にも、子ども達の練習をかねているとあらかじめ話しておいたので、一つ一つキチンと説明してから、お皿を引いたり、新しい料理を出してくださいました。
安心感のある演出だったと思います。
食事をおいしくいただいたあとは、ボランティアさん達に一年間の感想を伺いました。
一年目のボランティアさんもたくさんいらっしゃったので新鮮な感想をいただくことができました。
初めて障害のある子どもさんに接して、別に変わったことはないのだ、一人の健全な心を持つ人間なのだと感じてくださったそうです。その感想を伺ったときには、AAOに参加して良かったと心から感じることができました。
子ども達と世の中の橋渡しをしてくださるのがボランティアさんの存在だと思います。親ではできない真剣な接し方をしてくださるからです。日常にかまけていては、できない接し方に気づかせてくださることが度々ありました。
長い方だと4年間AAOで同じ子どもさんを担当してくださって、今年卒業を迎えられた方もいらっしゃいました。本当に長い間ありがとうございました。社会に出られても、この経験を忘れないで、新しい生活に頑張ってください。
ボランテイアさんにとっても、一人の子どもと深く関わることができるので、やりがいがある活動だったのではないでしょうか。
ぜひ来年度もよろしくお願いします。
本当にボランテイアさん、ありがとうございました。
(AAO担当:H.T)
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勉強会のお知らせ
私たちの会は、自閉症の子どもを持つ親の会です。
でも、同じ『自閉症』といっても、本当に色々なタイプの子どもがいます。
知的障害を伴った言葉のない子どももいれば、高機能でお喋りや勉強はぐんぐんできるのに、お友達とのコミュニケーション作りがとっても難しい子ども、そして就労前の青年となった子どもから、告知を受けたばかりの小さい子どもまで多種多様です。
そこで、私たちの会では、それぞれのタイプ別に勉強会を開いています。
同じような子どもを持つ親同士、悩みや思いをしっかり相談しあってみてください。
◎OHAの会 (アスペルガータイプや高機能的な自閉症児の親対象)
◎つくしんぼの会(カナータイプ、知的障害も伴っている古典的自閉症児の親対象)
◎ゆりかご講座 (告知を受けてすぐの方や、悩んでおられる方のためのまずは自閉症を理解しようという勉強会です)
◎将来を考える会(将来子ども達をどういう大人にしたいか。将来への不安や夢を皆で語り合い、解決方法を探る勉強会です)
OHAの会
2月のOHAの会は、岡山大学教育学部助教授 佐藤 暁 先生に「特別支援教育」についてお話をしていただきました。
いつものOHAの会は、数人という少し寂しい人数のこともあるのですが、当日は定員一杯(24名)という盛況で、担当二人もビックリ。
みなさんの「特別支援教育」への関心の高さを物語るものでした。
佐藤先生には、県内の学校の巡回や個別支援計画の手助け等、大変お忙しい間を縫って来てくださり、2時間という限られた時間でしたが、参加された方々にとっては、とても有意義なひと時になったのではないかと思います。
「特別支援教育」への取り組みは、岡山県は他県に比べると遅れていて、また県内でも地域によってかなり差があるとのことでしたが、先生の「岡山は遅れていると考えるのはやめよう。遅れないように親、教師、専門家、みんなで今から作っていくんだという気持ちが大切なんです」と話されたことや、保護者からの質問に丁寧に答えてくださる言葉や態度の端々に、先生の気さくな人柄や子どもに対する温かい思い、教育者の熱い思いが自然とこちらに伝わって来ました。
素晴らしい先生が身近にいてくださるんだと心強く思えてくると同時に、私達も もっと頑張らねばと元気をもらえたような気がします。
当日参加の方々からは「実際の教育現場を見て、現状を踏まえてお話してくださるので、とても分かり易く、アドバイスもありがたかった」と好評だったようなので、今回のような企画を1回限りで終わりにすることなく、回を重ねて行けたらと思っています。
(OHAの会担当: I & M)
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梅の花がほころび、何だか 歌いだしたくなるほどの陽気。岡山は暖かくて本当に良いですね。
いよいよ今年度もあと1ヶ月を残すばかりとなりました。随分仕事にも慣れ、事務的なことだけでなく、人として大切なことをたくさん教えていただいていることを実感しています。1年間で、たくさんの子ども達や家族の方と出会いました。育てる会は「自閉症の子どもを持つ親の会」です。困っている人や悩んでいる人を助ける会です。でも、そこにいるのは、親だけではありません。家族もいればボランティア・先生・お医者さん・行政の関係者の方など色々です。
これだけ色々な人がいても、一人一人が思うことは「困っている自閉症の子どもやその家族のために何かできないだろうか」という、優しい気持ちです。
「我が子のために何かできないだろうか」「隣の○○ちゃんのために何かできないだろうか」
そういう気持ちがたくさん集まっている優しい会だと思うのです。そして、同じように大変である自閉症の子どもの親である会員さんでさえも、「新しく入ってきた△△さんの悩みを解決するため、皆で何か考えたいね」と親身に相談に乗ってくださっています。
こんな風に、皆の中に 身近な人への優しい気持ちがあるからこそ、子どもたちが地域の中で暮らしていけるようになるのですね。
暖かくて優しい岡山の地と同じように、岡山に住む自閉症の子ども達とその周りが、暖かい気持ちを持って毎日過ごしていけるように、今後もお手伝いをしていきたいと思っています。
(鳥羽 紗代)
2月も終わり、極端に寒い日もなくなって過ごしやすくなってきました。いよいよ春が近づいてきたように感じます。それでも惰性なのか、必要ないのについつい暖房機具をつけっぱなしにしてしまいます。
思えば、この事務局にきたのは一年前のちょうどこの頃でした。梅の花も今と同じような感じで咲いていたのを覚えています。ただ、今年よりはもう少し寒かったでしょうか。
それにしても一年間はあっという間でした。まだこれだけしか日にちが経っていないのかと思えた時期もありましたが、過ぎてみればやはり速いものです。この一年間、私自身ほとんど成長することができず、ずっと皆さんの足を引っぱり続けました。しかし、皆さんの暖かい気持ちに支えられ、助けていただいたおかげで、私にとっては幸せで充実した一年を過ごせることができたように思います。この場を借りて感謝いたしま。
(菅田 尚樹)
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