すすむっち report

     from Lincoln


育てる会員で、現在は米国のLincoln在住の ”すすむっちのMom.” さんからの現地レポートです。
アメリカでのIEP事情など参考になることも多いと思います。
感想や質問などありましたら、お気軽にメールで・・・

 すすむっちのMom. yukiko@alltel.net 

   

〜いつの日か、日本で生活をする日のために〜

こんにちは。あっという間に、秋の到来です。
7月下旬から、一か月間の日本での生活(諸々の手続きや引っ越しのため)を懐かしく思う今日この頃です。ただ、3年という年月は、私たちにとって、とても長く、正直言って、ここへ戻ってきて、新学年もスタートをして、『いつもの生活にもどって、やれやれ…』という感じもします。
3年生となり、4度目の秋を迎え、私たちの生活も、定着してきた事を実感します。
今回は、最終回ということで、私の雑感などを、お話しようと思っています。

 《関空から電車で一人旅をしてしまった進》

サンフラシスコから関空への長旅を無事終え、やれやれと入国審査を終え、出口から出たほんの5分後、久しぶりに感じる日本の魅力をたどるかのごとく、私たちとは、別行動をとってしまった進。
無事2時間の旅を終え、大好きな特急電車が目の前を通過する時に、触ろうとしたところ、駅員に保護されました。よく、ここまでたどり着いたな?と、保護された京都府の警察署へ向かいながら、夫と思いました。たくさんの警察官と関係者の皆さんには感謝しながらの、6時間後の再会でした。困った事に日本語での名前が言えず、例え、英語で聞かれたとしても、ネイティブな発音でしか反応できず(私の英語も、彼には英語として扱われないことが多い)、保護してくださった警察官のみなさんも四苦八苦していたようです。もし、私たちが将来、日本で生活をするなら、やはり他の子どもと同様に、日本語を勉強し続けなければいけないとつくづく感じました。

 《大好きな先生との再会》

とても短い期間でしたが、私たちの雑用が少しでもはかどるようにと、保育園でお世話になった元保育士の先生が、ほぼ毎日、数時間でしたが、進を見てくれました。あまりにも退屈すぎる毎日の中、先生といっしょに過ごせるという時間は、宝石ぐらい大切な彼のスケジュールだったようです。
また、この先生との会話で、彼の日本語を拡大することもできました。この時間、進はほとんど、先生の自宅で過ごしていました。ところが、先生の家には、犬がいました。進は犬が嫌いではありませんが、苦手です。けれども、進が犬を触る時に先生が「ヨシヨシ…」と、言いながら、犬のご機嫌をとっていたので、今でも自分の機嫌が悪い時に、進が自分自身に『ヨシヨシ』と言っています。自閉症の子どもは、新しい人間関係をとるのは、とても大変ですが、しっかりと人間関係ができていれば、多少の困難でも、何とか彼らなりに問題を解決しようとしている事が判ります。

 《大好きなマーク》

交通標識からペットボトルのラベルまで、大好きなマークがまた、彼の前に現れました。
その中の一つが、大手の宅配便のネコマークです。アメリカでは見る事ができず、我が家のクローゼットの中の海外引っ越しの時に使った、段ボール箱に印されていることと、日本から送ってもらった、乗り物カードの中のたった一枚に宅配便として、記されているのみ。日本へ戻ってから、毎日外出の度に、このネコマークの付いている車を見つけて、喜んでいました。今まで住んでいた岡山の自宅の荷物を、実家の鳥取へ引っ越しさせたのですが、その時の業者も同じネコマーク。5、6人の作業のお兄さんやおじさんの作業着、また外に止まっているトラックに、ネコマークを見つけ、大興奮でした。
暑い盆明け、はしゃいでいる進を相手にしながら、引っ越し作業を安全に終えました。荷物がトラックに運ばれている様子を見て、何度もトラックの荷台へ乗り込もうとしたり(!)、ドアに付いているネコマークにシャボン玉を吹き付けたり(これは彼が大好きな意味)していました。

 《将来に向かって》

現在、進は8歳で、背丈も大きくなりました。自閉症と言うハンディを持ちながら、彼なりの成長ぶりを、この原稿を書く事で私自身、感じる事ができました。このアメリカでの生活が、あとどのくらい続くのか、今のところわかりません。けれども、将来、日本での生活が再開することを考えると、例えば、日本語での会話はもちろんのこと、紙芝居を読む事で何とかひらがなを覚え続けていくことなど…、きりがありません。大きな目標、それは、大好きなネコマークの制服を着て、その会社で働けることかな?
これからも、また困難な事が待ち受けていると思います。
けれども、その困難な事は、きっと私たち家族が乗り越える事のできるものであると信じて、また、周囲の人たちに助けてもらったり、支えてもらったりしながら、少しずつ前進して行きたいと思っています。また、みなさんに会える日を楽しみにしてます。
すすむっちのMom (yukiko@alltel.net) ( 「会報 101号」 2006.10)

〜「野球のキャンプに参加」の巻〜

こんにちは。
6月より、11週間にわたる、長い夏休みに入りました。
この夏休みも夏休み特別プログラムに、参加しています。
11週間のうちの8週間のプログラムですが、月曜日から木曜日の週4日、家の玄関まで(我が家はアパートの入り口ですが)送迎バスが、利用できます。3回目の夏休み、シャボン玉をしながら、アパートの玄関で待つことも、慣れました。週明けなど疲れのある時は、家を出る時は少々、ぐずぐずしていますが、スクールバスがやって来ると、登校する気分になって、ニコニコしてバスに乗っていきます。進にとって、正しい英語を聞くチャンスでもあり、(バスの中でも)英語で話しながら、席についているようです。
長い夏休み、一般の子どもたちは1週間単位のキャンプという名前の、デイケアに参加したり、スポーツキャンプに参加します。もちろん有料なので、夏休みの日程や料金を計算しながら、参加します。障害を持つ子どもは、その子次第ですが、あまり門戸は広くないようです。今夏は、毎週土曜日にある、障害児対象の野球キャンプに参加してみることにしました。まだ、野球に対して興味もなく、4月末に申し込む段階で、悩んだりもしました。何とか最近、「サッカーしてみて」と私が日本語で言うと、ボールを足で蹴ろうとするようになった進です。
初日、父親と離れ、ボランティアのおばさんといっしょに、各チームのTシャツと帽子をかぶって参加しました。参加費無料で、帽子も自分の名前入りのTシャツも、すべて用意されていました。ボランティアは、"Buddy"とプリントされたT シャツを着ています。ボランティアをする人たちは、小学生から60歳ぐらいの大人、さらに消防士のおじさんです。消防士のおじさんは、打者が打った時、すべての守備の子どもたちにボールを投げて、守備の子供たちに、ボールを受け取るチャンスを与えたり、打者がボールを打った時に、守備の子どもたちが受け取ると言うことを理解させるお手伝いをしています。もちろん、消防士のおじさん達は、勤務時間中で、途中、本業のため、消防車ごと、出動することもありますが、ボランティアが一般化しているアメリカならではの、活躍ぶりです。
さて、ゲームの開始です。進のチームは、初心者チームと言う感じの、年長から3年生ぐらいまでの子供たちで構成されています。最初、みんなが戸惑っていたようです。ホームベースの上に、ストライクの高さの支柱が置かれ(もちろん、走者が戻ってくるときには、すばやく移動させられます)、その上に置かれたボールを、自分で持ったバットで打つという感じで、打者の任務を理解します。年齢的に自分のチームが、攻撃になると、ヘルメットをかぶらないといけません。進はヘルメットをかぶることが、苦痛のようです。ボランティアの人がすばやく手伝ってくれ、いっしょにボールを打って、喜んで1塁へ進塁します。ベースそのものは、彼にとって、ここが自分の居場所であると言うことがわかるらしく、喜んで立っています。ルールの理解よりも、その場の雰囲気になれることが、要求されます。
ほぼ1時間ですが、回を重ねるごとに、彼なりに理解しているようです。野球が大好き!ではないのですが、このキャンプに参加すると、進が普段通っていた小学校の先生に会えることが、(現在小学校が恋しくなった進にとって)最大の魅力のようです。先生は、ボランティアで、応援に来てくれていて、進の場合、時々先生達が座っている観客席に行って、いつも先生達と交わしている、彼のお決まりの言葉を話して、気分をリフレッシュして、チームに戻ります。進にとって、意外なごほうびです。7月中旬までこの野球のキャンプが続きます。地元プロ野球選手といっしょにゲームをしたり、写真を撮ったりするチャンスもあり、親の私が喜んでいるキャンプです。
さて、夏の特別プログラムも、この野球のキャンプも7月中旬で終わります。
今年の夏は、進をはじめ、私達家族は、日本への帰国を控えています。今回は、デンバー(コロラド州)とサンフランシスコでの、飛行機の乗り換えで、長時間の大変さを乗り越えようと思っています。5歳4ヵ月で渡米したときよりも、ずいぶん成長しましたが、私もそろそろ、進のための長旅の準備を・・・と、考えている今日この頃です。
次回は、2回目の長時間にわたる旅の様子と、ほぼ3年ぶりの日本上陸について、お話しようと思っています。たくさんの電車や新幹線を、絵本でなくリアルに見ることができ、さぞかし、興奮の連続だと思います。
すすむっちのMom (yukiko@alltel.net) ( 「会報 98号」 2006.6)

〜「8歳になりました」の巻〜

こんにちは。
先日、進は8歳の誕生日を迎えました。体つきもたくましくなり、背丈も伸び、リビングのソファーでうたた寝をしてしまった時、私が抱えてベッドへ連れて行くことができなくなりました。
6月1日で2年生も終わり、長い夏休みの始まりです。例年通り、月曜日から木曜日の午前中は、夏季特別プログラムに参加する予定です。
さて、誕生日目前の5月中旬に、今年度のIEPの会議がありました。この6月をもって、定年退職される校長先生が会議の始めに、挨拶に来られました。進がこの学校に来てくれてよかった・・・というようなことを言われました。中規模レベルの小学校ですが、子供たちも先生たちも、給食をはじめすべての職員の人が知っており、進にとって学校での生活はとても楽しいものであること、なかなか立場上他の子供たちとは遊ぶ時間のない、校長先生や教頭先生も、時には進のバスケットボールに付き合っていることなども付け加えて話してくださりました。私はまだまだですが、全く英語の分からなかった進が、この学校生活、アメリカでの生活に馴染んでいるのは、皆さんのおかげだと感謝している私です。
この会議で報告されたこと、また来年度の学校での目標を簡単にお話しします。

 現在の社会的交友行動のレベル

・ペアーの先生といっしょに過ごすことができ、ペアーの先生といっしょなら、クラスルーム単位(彼にとっては大きな集団)での授業の参加時間が増えている。
                <1年前>   <現在>
小さな集団(5〜6人)   2時間/日   20分/日
大きな集団(25名程度) 1時間/日   4時間/日
---コメント---
クラスルームで、他の子供たちが今、どのような行動をしているか(席についてる、どの場所に座っているかなど)、自分で見て判断し、自分自身も同じ行動をするとのことでした。
<<ゴール>>
(1) 何も口頭で言われなくても、その場に応じた行動をすることができる(起立する、着席する、列に並ぶなど)。先生が見ている間に80%の到達をゴールとする。
(2) 学校で大人といっしょにいる時に、他人がさわられたくない体の一部分を触っていけないということを理解し、さわらない。80%の到達をゴールとする。

  現在のセルフケアと自己管理のレベル

・スケジュールどおり(つまりあらかじめ本人が予期できている時)一人でトイレに入って、排泄を行い、清潔行動を行える。
・給食時間、ランチルームで、順に自分のランチの準備(列にならぶ→自分の食べたいメニューを選んで、伝える→自分の選んだメニューのトレーをもらう→個人ナンバーを押す(6桁)→牛乳やフォーク、ナプキンなどをトレーに載せて、空いているテーブルに付く)をすることができる。食事の後も、決められたルールに従い、片付けることができる。
・周囲の状況に気が付く
・5つの体感と体の名称が言える
・質問されたときに自分自身の体の部分を指差すことができる。
・歯磨きをさらに充実することができる(オリジナル絵本を見ながらしています)
・鼻水を拭いたりするときに、助けを必要とする。
(鼻をかんだり、必要に応じてティッシュペーパーを自分でとりに行くことができない)
・教室間の移動は自分でできる。
・教室で自習学習の時間が増える必要がある。
<<ゴール>>
(1) 何も言われなくても、5回のうち4回以上、自分の鼻水を拭いたりかんだりすることができる。
(2) 教室でペアーの先生がいなくても自習学習を行うことができる。

  現在の学術的なレベル

・26文字すべての文字と、子音と母音の発音の組み合わせを正しくできる。
・485単語を読むことができ、213単語の言葉のスペリングをすることができる(ほとんど覚えているが、口頭で発音すると書くことができる)。
・1年間の月の名前や1週間の曜日の名前を順に言える。
・1から100までを順に言うことができ、999までの数を読むことができる。
・100まで10ごとに数を言うことができる。
・アナログ時計でもデジタル時計でも時間を言うことができる(何時)。
・コインや紙幣の名前を言うことができ、分けることもできる。
・3コマストーリー(内容理解はできていない)を順に並べることはできない。
<<言語面でのゴール>>
(1) 構造化された中で、絵や実物をみて、何をするものか、どの様な形をしているものか、どの様なグループに属するものか、理解するものことができる。
(たとえば文房具の仲間に属するとか)
(2) 3コマストーリーの内容を理解して(最初、次、最後は)、順に並べることができる。(現在、練習中ですが、内容の理解と言うよりも、記憶しているようです)
<<数学面でのゴール>>
(1) 構造化された中でアナログ時計でもデジタル時計でも「何時半」ということが理解することができる。
(2) たくさんの中から、言われた数量のものを、正しく取り出すことができる。
(現在、紙面上に示された物の数を数え上げることはできますが、例えばかごの中にある多数の積み木の中から、言われた数量取り出すことはできないようです)
誕生日を迎えた進。私の母が、毎年私の誕生日に、私を出産するときの気持ちに立ち返り、我が子への思いを新たに感じ、私の母であってよかったという思いと同様に、私も、4人の子どもの誕生日には、それぞれの子どもたちへの思いをいつもよりはゆっくり、じっくり、めぐらします。どうして、私の子どもの1人が障害をもつ子どもなのか?どうして・・・?と自問自答して、またまた落ち込んでしまったこともありました。今は、あなたのお母さんとして、私が選ばれてよかったと言う感謝の思いと、ベストを尽くせるか分からないけれども、自分に与えられた使命を私なりに果たしたいという思いで、またスタートです。
次回をお楽しみに。
すすむっちのMom (yukiko@alltel.net) ( 「会報 97号」 2006.5)

〜「2年半ぶりの再会」の巻〜

こんにちは。サマータイムとなり1ヵ月が過ぎました。
まだ時々とても寒い日もありますが季節は、新緑のきれいな季節へと変わっています。
春になったといっても花が咲いていなかった4月上旬に、突然日本から、子供たちの祖父母が、16時間(乗り継ぎのための待機時間も含める)の長旅をして、やって来てくれました。祖父母のみの写真がなかったので、どの様にして来訪を知らせようかな?と思っていたら、ただならぬ興奮状態の家族から、いつの間にか、妹が宮参りの時の写真を、アルバムの中から探し出して、シャボン玉を吹き付けていました。もちろんおじいちゃんもおばあちゃんも載っていました。到着した当日は、夜遅かったので、寝ていた進でした。朝起きて「あれ?」と、言わんばかりに、早速「紙芝居読んで!」と、次々に持ってきて、リクエストをしていました。「おばあちゃん」「おじいちゃん」と、はっきりと呼ぶこともできるようになりました。
とても短い滞在でしたが、2年半ぶりの再会に家族みんなで楽しく過ごすことができました。もちろん、祖父母たちの要望もあり、小学校での学習や給食、休憩時間も参観することもできました。
6月上旬で2年生も終わりとなりますが、3学期の成績表の紹介をしたいと思います。

  《 人格の発達 》

進は、現在、1日あたり(7時間のうち)4.5時間は、ペアーの先生を必要とし、残り時間は、自分の決められた行動を単独で行うことができる。彼は、行動を変更したり、待ったり、また新しい状況を受容することができる。・・・(略)彼は、与えられた自分のスケジュールカードを理解して、自主的に次の場所へと移動することができるようになった。
  《 数学的な分野 》
・・・(略)現在の時間(何時)をデジタル時計でもアナログ時計でも言うことができ、コインを金種別に識別することができる。また紙面上で、19から55までの数値の一致ができつつある。また自分自身で理解してから、数量を数字で書くことができる。注意深く扱いながら正確に、数の違いを考えながら手で物を扱うようになった。

  《 読むこと 》

進は、読書の時間に機嫌よく参加している。またグループ設定のときに、はっきりと口に出して読んだり、言葉を読んだり書いたりするための文字の音を使ったりすることができる。一文章または1ページ中に、読むことのできる語彙数が増加している。現在、年長・1学期レベルの25のうち22以上、1年生の頻度の高い単語を、読むことができる。・・・(略)

  《 書くこと 》

進はとてもよくスペリング(綴ること)ができる。今学期、同じ2年生を基準としたスペリングの得点が、80%まで到達している。たくさんの記憶から、時には発音の文字を使って、スペリングの能力を完成させつつある。上手に書くことについてはまだ努力中である。大人が彼の手を少し持つことで、読みやすく、その場面にふさわしいサイズの文字を、左から右へ、ページの上から下へ移動させながら書くことができる。キーボードの技術も進行中である。私たちは文字間のスペースを作ったり、シフトキーを使って大文字をタイプすることができるように働きかけている。また文字カードを使って、文章を作っていく学習も始めている。

  《 話すことと聞き取ること 》

一日の間、違った大人・回数の場合でも、他人とコミュニケーションをとる事を受容できるようになった。まだ同じ言葉遣いを繰り返そうとしたり、他人と交流する試みをしようとすることもある。導入の際のモデリング(模倣を具体的に見せて)や練習は、自発的なコミュニケーションの完成に到達しつつある。まだ視覚的な援助(カードなどをつかった援助方法)が、進が状態を理解するときに、手助けの中心となっている。

  《 統合した科目 》

進は、保健・社会・理科の活動は、ペアの先生と一緒に、クラス授業に参加している。

  《 図工、音楽、体育、技術 》

すべての特別活動に、指定の時間内、参加することができた。
前回、何とか散髪への理解を示しましたと、報告しました。今日も5分足らずでしたが(私はもっと切りたかったのです)、少し髪を切ることができました。確実に一歩一歩成長が見られます。先述した祖父母のアメリカでの私たちの生活について、聞いていた以上のすばらしい生活だったと言っています。こちらに来たときは、日本語と共通の「ドア」「バナナ」しか分からなかった進ですが、現在の彼の語彙力は1000語を超えていると言われています。次回は今年度のIEPの会議の報告をしたいと思っています。
すすむっちのMom (yukiko@alltel.net) ( 「会報 96号」 2006.4)

〜「さんぱつ」の巻〜

こんにちは。何とか春休み(日本の春休みと違って、3学期と4学期の間の1週間の休暇)が終わりました。我が家は、この春から(日本だったら)6年生の長女と、4年生の長男と、年中になる次女、そして2年生になる進の4人の子どもたちが、退屈な毎日を送ることとなります。もちろん、日ごろ現地校の学習で追われる他の子どもたちに、私は、この休暇中は、ぜひ日本語の教科書ぐらいは読んでほしいと思うのですが、なかなか親の思うようにははかどりません・・・。進は、渡米時に持ってきた紙芝居や、日本から送ってもらった幼児向けの紙芝居を読むことで、何とかひらがなを覚え続けているようですが・・・。
進のフラストレーションを、特にもうすぐ5歳になる妹にぶつけないために、かなり、念入りな計画を2週間前から作って、私の友人や同じ日本人家族のお母さんにも協力してもらって、無事終わりました。進にとっての一大イベントの“さんぱつ”を、私の友人(以下Toshieさん)が、レスパイトのプロバイダーとして来てくれる日に計画しました。Toshieさんも、普段の生活ではなかなか進と会うことができません。しかし今回は、私がアメリカ人の友人に定期的に英語を教えてもらう時間に、来てもらい、2人で留守番をすることとなりました。
学校の先生には以前から進のさんぱつに対して、私たちが苦労(もちろん進にとっては恐怖の時間と言っていいほどの苦痛な時間です)しているのは知っていました。
2月末の時点で、
A then B next(also) C (最初A、次はBとなり、最後はCです)
と言う、簡単な物語(見通すこと)ができるので、何とか以下のようにアレンジしてみました。    
|               |            |             |
|tume for hair cut     |   Toshie     |  Toshieさんの    |
|               |            |             |
|(櫛とはさみのイラスト)   |   としえさん    |  くるまにのります   |
|               |            |             |
私が帰宅して、昼食後、いよいよさんぱつの時間となりました。
最初はToshieさんが、言葉で「かみのけ、きろうね。」と言いました。よくわからないので、何も返事をしませんでした。私がカードを見せると、「しない」と拒否体制となりました。さんぱつ係を命じられたToshieさん、ちょっと戸惑い「嫌がって暴れないかな?はさみは危ないかな?」と言いました。
次に、「(今日のごほうびの)Toshieさんのくるまにのりますか?」と私が言うと、“Yes”と答えましたが、はさみを見て、また別の場所に座り込みました。紙芝居をじっと読んでめくっています。私たちも少々あきらめムードになりましたが、くしで、髪をといてもらいました。じっとしています。少しだけ、耳の上側にかかった髪の毛をつまんでもらって、はさみでカット!すごい!・・・進は、気づかないのではなく、じっと動かずに我慢をしている様子。
私たち2人は、舞い上がりたいぐらいうれしかったのですが、騒がずにその後3回ほど、部分的にカットしてしまいました。いつもは、バリカンでさんぱつしてしまうのですが、音とバリカンの感覚が嫌なのが、大泣きです。今日は、大好きなToshieさんの車に乗りたいためにじっと我慢していました。
まずは初回、何とかクリアしました。大好きなToshieさんの車に乗せてもらって、車で15分ほど離れた公園へ出かけました。とても満足していました。
3学期の成績表はまだ、もらっていませんが、簡単な物語(見通すこと)を理解することは、できているようです。3歳ぐらいからとても嫌がり、月1回とは言え、進にとって苦痛だった時間が、これから変化するようです。
1週間の春休みでしたが、予想外の大雪に見舞われ、最初の2日は外に出ることもできず、その後は、サンサンと春の日差しの中、子どもたちは「春休みに雪遊びだなんて・・・!」と、とても喜んでいました。
日本に住んでいたら、桜の開花で春を実感できるのですが、ここでは何かな?野に走るリスの姿を見るときかな?次回をお楽しみに。
すすむっちのMom (yukiko@alltel.net) ( 「会報 95号」 2006.3)

〜文字を覚えるということ〜

こんにちは。日の出の時間が7時ごろとなりました。サマータイム導入までまだ1ヵ月ほどありますが、確実に春が近づいていることを感じる毎日となりました。
先日少し雪が降りましたが、例年ほどの積雪もなく、子どもたちは残念がっていました。

2年生になって、2回目の授業参観にも参加しました。常時One of one(進の場合は4人)の先生が、ローテーションで付いてくれていますが、”K-2”という、教室と同じ大きさの部屋で、1日に3回ぐらい勉強もしているようでした。この部屋は、特別教育を受けている子どもたちのために、それぞれの子供にあった教材などが準備されていて、この部屋で繰り返し繰り返し、学習するようです。もちろん、理科や社会などは、2年生の教室で勉強(長い時間、他の子供たちと同じように学習することができないので、進の学習段階に応じたプリントなどが手際よくその都度与えられるようです)し、また体育や音楽などは同じクラスメイトと一緒に勉強しています。まだ手先の動きが十分でないので2週間に1回は作業療法の専門官が来校して、先生たちに適切なアドバイスをします。

ここで、通知表の簡単な紹介をしたいと思います。

《 人格の発達 》

進は、絵を提示されることで、学校やクラスのルールに従うことができ、事の経過を理解することができる。・・・今学期、自習学習などをやり遂げることで、彼の自信は増加した。
また、他人の感情がどのような状態であるかを明らかにすること(特に悲しいこと)できるようになったが、他の感情についてはまだ助けを必要とする。

《 数学的な分野 》

進は、999までのすべての数を読んだり書いたりすることを続けている。数字カードを使って、0から100までの数字を、(小さいものから順に)10ごとに並べたり、5ごとに並べたりすることができる。現在彼は、1から19までの数の数値と数量の一致に挑戦している。カレンダーの学習では、"今日""きのう""明日"、また何曜日であるか、何月であるか、何年であるか、の理解はできている。彼はデジタル時計の時間を読んだりコインの名前を理解することができる。

《 読むこと 》

進は、喜んで本を選んだり、物語を聞こうとし、さらに本の中から文章を読もうとしている。・・・(中略)・・・私たちは、物語についての質問に対して、彼が応答できるように働きかけるようにしていきたい。

《 書くこと 》

進が書くということは、コミュニケーションをとろうとする意味でもある。指でなぞったり、他人にスペルを要求したり、時にはキーボードによって、彼は書く動作をする。またピリオドや「?」も理解している。また自分ですべての文字を書いたり適当なサイズに書こうとしたり、紙の上から下へ、また左から右に向かって移動しながら書くことができ始めている。私たちはこれからも文字を読みやすく、また適当なサイズで書けるように、設問に対する答えを的確に○で囲んだりできるよう援助を続けていく。

《 話すことと聞き取ること 》

進は、視覚的なもの(絵で表示したもの)を利用することで、たくさんの利益を得ている。彼は、わかりやすくシンプルな話し言葉による指示に従うことができ、クラス活動でも、グループにとどまったまま参加することができる。彼は、自発的な言葉によって、他人との交流をしようとしている。(以下はノートより抜粋)
図書室で本を読んでいる友達に向かって進が"エミン"と、名前を呼びかけました。呼ばれた友達は、まだ雑誌を読み続けていました。進は"エミン"の近くへ歩いていって、背中をタッチして"ハロー、エミン(Hello,Amin)"と言いました。さらに進は"僕は元気(I'm good.)"と言いました。

《 統合した科目 》

進は、保健・社会・理科の活動は、ペアの先生と一緒に、クラス授業に参加している。たくさんの学習によって彼は知識の充実を図っているように伺える。

《 図工、音楽、体育、技術 》

今学期より図工の時間も参加するようになった。特に体育は彼の大好きな科目であるが、音楽も同じように楽しんでいる。

さて、私は今、念願の韓国語を英語(共通語は英語しかないですね、私にはとても日本語の上手な韓国人の友人もいますが)で習っています。教えてくれる韓国人の友人は、日本語を勉強したくて、お互い教え学び合っています。幸いなことに彼女の英語は、私よりも上手なので何とか勉強は進みつつあります。現在の日本の韓国ブームとは関係なく、私にとって、子供のときから、とても興味のある近い外国でした。最初は挨拶程度でいいと思っていたので、文字を覚える必要はないと思っていました。実際、母音が10音で子音が14音で、組み合わせての発音。英語でも、苦労の耐えない私には不可能なことだったのです。けれども、進が学校でスペリングの学習をしているのを実際にみて、文字というものは、ある意味(うまく単語を思い出すことのできないときなど)手助けになると実感して、私もただいま、ハングル語に挑戦中です。

すすむっちのMom (yukiko@alltel.net) ( 「会報 94号」 2006.2)

〜2年生の折り返し〜

こんにちは。年末年始と、日本列島とは違って、暖冬で過ごしました。
日本での年末年始(お盆も)は、私と夫の双方の実家巡りで、300kmのドライブをすることが恒例でした。こちらでは夫も3日から仕事始めだし、大晦日と言っても、特別な日でもなく、日本での忙しさを半分懐かしくも感じながら過ごしました。
2年生の折り返しを過ぎましたが、まだ成績表やIEPの評価をもらっていないので、最近の様子を簡単にお話したいと思います。
前回でも、少しお話しましたが、会話でのやりとり(レスポンス)ができるようになってきました。
「はい」「いいえ」だけでなく、例えば、給食のおばさん(日本的な表現ですが)に、「今日の主食は何にするの?」と聞かれたら、「サンドウイッチ」と、日ごとにメニューは違っても、答えることができるようです。もちろん偶然と言うこともありますが、その日の先生との交換ノートには、Mrs.Muggyが喜んでダンスをした…(かなり大げさ!)と、書かれていました。翌日も、違うメニューを答えたようで、偶然も重なると、ちゃんとした実績になり、目標を到達したようです。
家でも、今までは見たいDVD(器械が壊れることを恐れて、かなり高い場所に設定してあります)を、指差しをしながら「あれ」「これ」と言っていました。最近よく聞いてみると、たとえば、年末のサンタさんが持ってきてくれた(毎年製造されている)列車シリーズのDVDの設定を望んでいる時、小さな声で”two-thousands-five”(2005と英語で)タイトルを言っていました。他にも、YMCAに行きたい時(我が家から近く、週末は室内プールへ行くことが、恒例になっています)、私たちが理解していないと思えば、彼も必死になって伝えます。”Y-M-C-A, swim, pool”と言います。伝わっていないと感じたら、”S-W-I-M“(もう、いやになるな、英語のわからない母さんは!)と言うかのごとく、綴り(スペル)まで言います。
また一方で、朝の登校の苦労(私たち親も本人も)も、決して解決したわけではありません。何とか1週間のうち、週半ばの3日は、さっさと靴をはいて、出かけることが多くなりました。多すぎる言葉かけは、彼の行動の妨げになり、あまりゆっくりと朝の支度をさせていると、彼の”学校行かない日”ルールが出来上がってしまって、大抵抗となるので、そのルールを彼が自覚しないうちに、出かけることがコツか???
告知されてからすぐに、「音楽療法もありますよ」と言われた頃は、音楽は耳をふさぐ対象だったのに、今では、学校の音楽の授業にも参加し、何と(!) 家でも自分でCDを選曲して聞くようになりました。耳をふさいでいたときとは違って、聞くことで、彼なりにリラックスしているようです。
CDの内容を紹介すると、日本語の童謡や子供向けの音楽から、私が大好きな「世界にひとつだけの花」に「キロロ」。さらに、アメリカの子どもの聞く「アルファベットソング」や「子ども向けのクリスマスソング」…と、驚きです。因果性を考えていくと(もちろん本人は説明しないので私の予想ですが)「世界にひとつだけの花」は、私たちが来て、1年経ったころ、日本から知人(お姉さんです)が来た時に、私がどうしてもこちらでも聞きたいので、わざわざ買ってきてもらったものです。しばらくは、車で移動のときはいつも聞いていました。今、彼はこのお姉さんとの再会を心から望んでおり、彼にとって、お姉さんが我が家に滞在した1週間の思い出を、今まさにドラマを見ているように、思い出しているようです。他のCDについての、彼にとってのそれぞれの思いもあるようですが、省略します。
自閉症の母親となってもうすぐ8年。今でも当然ながら、将来の不安(やはり私たち家族の将来像と大きく関係すると思われるので)もあります。そんな時は、とても長かった昨夏のある日、公園で見かけた青年の様子を思い出すようにしています。高校生ぐらいの青年が、私たちがその公園に到着する前から、楽しそうにブランコをこいでいました。進もブランコが大好きで、2人でお互い負けないぐらい、幸せな顔で、ブランコをしていました。青年は耳にヘッドホンをしていました。30分以上もしていて、私はふと、何時までするのかな・・・と思っていたら、突然、ブランコを止めて、CDの入れ替えをして、自転車に乗って、どこかへ行ってしまいました。何となく、進の近い将来の様子が見れた感じがして、ホッとしたひとときでした。今でも時々、その青年のことを思い出すと力が湧いてきます。
さて、来月は、年長の時からどうしても、進が嫌がっていた図工の時間を参観をした時の報告をしようと思っています。ELLの授業がなくなり、彼の学校でのスケジュールは、ずいぶん変わったようですが、混乱なく、生活を送っているようです。
すすむっちのMom (yukiko@alltel.net)   (「会報 93号」 2006.1)

〜ついに宣告?〜

こんにちは。先日、まだ11月中旬だというのに、雪が降りました。
10月末のハロウィーンが終わったら、流れてくるラジオは、クリスマスミュージック。
ちょっと、待って待って、まだ早いよクリスマス!と思いながら、私は貴重な自分の時間で英語の勉強に通っています。

1学期が終わり、IEPの評価をもらいました。過去3ヶ月の会報と今回の部分でほとんど紹介が終わります。

【Fine motor  (上手く動作すること) 】

学校生活の中で、26文字中13文字をラインの上の枠に書くことができる。またハサミを使って、真っ直ぐに切ることができる。また様々な手触りを探求しようとする。すべて70%をゴールとする。
今まで学校で名前を書くときも、同じ場所に重ねて書くので、左から右へ、書く動作を移動させるように、練習してます。よく私たちが手のひらに単語を書いていたのが良くなかったのか?Mrs.Muggyにも、指摘されました。例えば、進が「Nonember」のスペルを、私たちに書いてほしいときに、紙と鉛筆がない時には、肩のあたりから、N-o-v-e-m-b-e-rと書くようにアドバイスを受けました。ちょっとした動作も工夫ひとつです。

【Expressive Language  (言葉の表現) 】

構造化された環境の中で、自分の意思を伝えるため、2つから3つの言葉を使って表現することができる。
まだゴールには到達していませんが、現在2つから3つの単語を使って答えようと真似をしたり、発声をしようとしている。ただ、新しい自発的な言葉はないが、同じ設定(場面)でなくても2つから3つの単語を使って練習している。

【Receptive Language  (言葉を受容できるということ) 】

構造化された環境の中で、言葉を理解し、的確な答えができる。具体的には、“What is”、“Where”、“Who”などに対しての答え方。
先日のコミュニケーションブックに、先生が書いてくれました。
teacher:“Susumu 、did you do a good job in music today?”
Susumu:“Yes”
いつも、この質問のときは“music”とリピートしていたようですが、質問の内容が理解できたという評価がされているようです。まだまだゴールには到達していませんが・・・。

一学期も終わるというころに、実は先生との懇談会がありました。他の子どもたちと同じ程度のものです。今回の面談で、兄(9歳、現在4年生に在籍)は、ELL(母国語が英語でない子どもたちのための英語の授業)の修了を言い渡されました。
進も同じ様に、渡米して丸2年、この英語の授業を受けています。進の場合は、自閉症の障害で、これ以上、上達の可能性が低いので、この授業を受けさせるよりも、小学校卒業時点に、将来の職業についての得意分野を見極めるために、特別授業の充実をする方が有効であると、学校より言われました。
日本語であっても、そんなに流暢に話せないだろうと心の準備はしていました。近い将来、このように英語の社会で、同じように言い渡されるだろうとは思っていましたが、いざ言われてみると、少し落ち込んでしまい、改めて自閉症という障害について考えさせられました・・・。

先日帰国された韓国人の家族に、別の韓国人(この方は日本語が堪能)が手伝ってくれて、『光とともに(戸部けいこ作)』の韓国版バージョンを、アメリカへ取り寄せて、帰国直前に手渡すことができました。韓国ではまだまだ知られていない自閉症・・・。帰国された韓国人と私の共通語は英語のみ。お互いそんなに的確な言葉を使えないので、本当に自閉症のことを説明するには、いつも四苦八苦していました。けれども、そんな私や家族を温かく見守ってくれたこの家族にどうしても説明したくて、この本のプレゼントを思いつきました。引越し作業で忙しい毎日なのに、家族で読んでくれたそうです。
私なら「英語(私の場合は韓国語かな?)がもっと話せたら・・・」と思うのですが、自閉症で障害のある人には、話せる言葉自体がとても少ないということです。限界という言葉は私は嫌いなので、自閉症を持つ人たちに、私は限りなく近づきたいと思う今日この頃です。

すすむっちのMom (yukiko@alltel.net)   (「会報 91号」 2005.11)


〜ドットは何?〜

こんにちは。やっと新学年が始まったかと思うと、早くも一学期が終わろうとしています。

先日、3時間ほどでしたが、授業参観をしてきました。2年生のクラスが、進の基本のクラスで、専用のコーナーも作ってありました。授業中も、他の子ども達と同じ様に、並べられた机に座って、One on oneの先生と一緒に学習をしていました。
私の参観した日はピンチヒッターの先生でしたが、カードに示された通りのスケジュールで、混乱もなく生活していました。学校の他の子ども達の様子をよく見ると、同じ様にOne on oneの先生がついている子ども達が、他に何人もいました。

さて、2年生になり、小さめのバインダーに、今までのカードの4分の1程の小さなカードで、スケジュールが示されるようになりました。一つのスケジュールが終わるごとにチェック、次の小さなカードを外していくという作業を、一日10回以上しているのでしょう、とてもよく慣れていました。進の移動する全ての箇所に(トイレの洗面所まで)バインダーと同じ色のグリーンの紙で作った特設スペースがあり、その場所に必ず置いて、また移動の時は、次の部屋にある特設スペースに置く・・・という手順です。とても手馴れていて、ほとんど先生の指示なしで、できるようになっていました。

1学期の評価はまだですが、2年生のIEPの紹介を少ししていきたいと思います。

  【社会で、他の人とコミュニケーションをとるために】

(1) 出会った時や分かれる時・・・“Hello” “Bye−Bye” “Give me five”もしくは“High five”
(2) コミュニケーションをとる方法
(3) 答え方・・・「はい」「いいえ」などの1単語と、「いいえ」の時、さらに付け加える言葉
(4) 友だち(クラスという大きなグループから、数人の小集団まで)と一緒に過ごす時間を増やすこと
Goal 1  学校で友だちや先生といる時に、他人が嫌がる体の部分を触ったり、他人の膝の上に座ったり、つねったりなどの攻撃を、先生が記録する時、80%我慢すること(やめること)ができる。
Goal 2  口頭による指示が与えられたとき、適正あるいはおおよその動作(例えば起立やジャンプなど)ができたり、自覚したりすることが、80%できる。

  【自己管理と自分で判断できるために】

(1) トイレでの様子
(2) ランチルームで、もっと自主性を持つために
(3) 休憩のときに外の天候を判断して、適切な服装が選べるように
(4) 周囲の状況に気付く
Goal 3  行動もしくは口頭による指示が与えられたときに、体の部分を指したり、もしくは体の名称で自分の状況を答えることができる。
Goal 4  行動もしくは口頭による指示が与えられたときに、5つの箇所の体の名称のうち、一つを正しく選ぶことを80%正解することができる。

先日、毎日持って帰ってきたプリント(Mrs.Muggyとの学習内容)を見るだけではよく分からないので、質問してみました。
細長い紙に、進が“This cap is yellow”と書いています。それぞれの単語の下に、一つずつ赤色の「・(ドット)」がつけてあります。これは、文章を読むときに、進は、好きな単語(この場合ならyellow)しか読まないので、先生がドットを示すことで、文章を読みきるということになるようなのです。

ここ一ヶ月、よく理由は分からないのですが、何故か毎朝登校することを拒みます。夫と私で、ある程度までは待つのですが、無理やり車に乗せたことも多々ありました。怒って登校した時は、車から降りない、毛布の中に隠れるということをして、例え学校の前まで到着しても、私達を困らせていました。そんな時、事情を学校に伝えると、Mrs.Muggyがあるカードを持参して、校舎の外に出てきました。簡単な朝の挨拶をした後は、黙ってカードを見せるだけ。10秒もすると、にこっと笑いながら車から歩いて出ます。そして、無事教室へ入るという日が何日も続きました。このカードは“walk with”というカード。
とても不思議なのですが、学校生活の中でこのカードが示された時は、一緒に移動するという意味になっているようで、進は単純にカードに従っているようです。次回までに、もう少し私なりに分析して報告したいと思います。

それでは次回をお楽しみに

すすむっちのMom (yukiko@alltel.net)   (「会報 90号」 2005.10)

〜ついに3回目の秋〜

こんにちは。もう、2年も海を見ていない私たちの生活ですが、今秋は、ひどいアレルギーで、ちょっと困った学年のスタートとなりました。アメリカの中部の私たちの住んでいるところは、今アレルギー体質の人にとっては、体調がひどくなる、真っ只中です。収穫前のトウモロコシ畑がよくないのかな・・・と思っている毎日です。それでも、学校生活も順調に軌道に乗ったようで、現在は3人の付き添いの先生が(シフトしながらですが)と一緒に、2年生のクラスの授業も受けているようです。

今回は簡単な1日の紹介です。

〜 8:10   学校に到着
〜 8:25   2年生のクラスで朝の会
〜 9:00   ELL1のクラスでカレンダーなどの学習
         (昨年の基本のクラス、同じ教室で同じ先生)
〜 9:30   2年生のクラスで、発声と綴りの学習
〜10:00   トイレ休憩や実際に外の様子をみて、天気の学習
〜10:25   ELL2のクラスで学習
〜11:15   Mrs.Muggyの教室で個別学習
〜11:25   給食
〜11:35   昼休み(天気が良ければ運動場でバスケットなど)
〜12:05   保健室で本を読みながら休憩
〜13:00   Special(進の場合、体育・音楽・コンピューター)
〜13:50   Mrs.Muggyの教室でOne of oneの先生と学習
〜14:45   2年生のクラスで、理科もしくは社会の学習
         (火曜日と木曜日は、個別のSTの時間が20分)
〜14:55   下校の用意、スクールバスに乗車

こちらの学校には、特に時間割が、あるわけではなく、「今日はAの日だから、Special(図工・体育・音楽の意味らしい)は、体育」「今日はBの日だから、Specialは音楽」、つまり各学年で算数や国語、理科や社会などは、毎日同じ時間に設定されていて、同じ時間のSpecialの時間のみ、図工・体育・音楽が、3日に1回、回ってくるという時間割のようです。国語や算数は、能力別に、学年単位で再編成され、早くも選択授業のようです。

1年生最後に評価したIEPの会議の際、午後1時から2時ごろまでが、どうしても体調が悪いのか、特定の先生に対して、かなり反抗するということもあり、現在は、給食→昼休み→保健室で本を読むというように、少し工夫されています。

この原稿を書いた日のコミュニケーションノート(連絡帳と言うべきか)には、

●音楽の時間は最後まで、クラスの友達といっしょに過ごすことができた。
  (音楽や体育の時間などクラス単位の)大きな集団 ・・・2時間半
  (ELLなど5〜8人程度の)小さな集団 ・・・15分から1時間
 新学年のそれぞれの新しい集団ですが、過ごすことができる
と、報告されていました。

近く、また私一人で授業参観(特に設定されていないので、いつでも基本的にはいつでも参観できます)に行こうと思っています。2年生のクラスでの、進の勉強の様子も、興味があります。さらに、コンピューターで、たくさんの単語のスペルをタイプできることもぜひ確認したいです(家では同じ文字ばかりを並べるのが満足)。学校から持って帰ってくる、進の学習成果を見ても、様子が想像できない私です。

9月から、新たにレスパイトの制度で、共に、日本人の大学生のお姉さんと、来年大学に進学するお兄さんにお願いすることになりました。
なかなかそれぞれの事情で、継続的にお願いできない辛さもあります(以前お世話になった人たちの写真をパソコンのファイルから自分で引き出して、嬉しそうな、懐かしそうな感じで見ているので)。けれども、ここアメリカに来て2年、私たち家族で過ごす時間はとても濃厚になった反面、たくさんの人と関わり合うことも大切です。夏休みにお願いしていた私の友人(8月で自己都合で辞退されました)は、「本当にうれしいときや、満足したときの笑顔が大好き!」と言ってくれます。うそをつくことのない純真な性格、周りの人たちをホッとさせてくれる進です。

父親が、海外(?) 出張にでかけました(イギリス)。10日ほどなので、出発前に口頭で説明しただけ。
2日目近くの公園で滑り台の上で、
“ Dad...おとうさん ” と、私に向かって言いました。
おとうさんがいなくて、ちょっとさみしいのかもしれません。

それでは次回をお楽しみに

すすむっちのMom (yukiko@alltel.net)   (「会報 89号」 2005.9)

〜2年生になります〜

こんにちは。皆さんがこの通信を読んでくださるころには、2年生が始まっています。
私はまた、毎朝6時に起きて、先生たちとのコミュニケーションブックの英作文です。
何とか7時過ぎにやってくるバスに間に合わないといけません。いよいよ始まりました。

1年生の学年末、何とか毎朝、夫が学校まで車で送ると、先生と手をつないで校内へ入っていくものの、車に乗るまで「行かない、行かない」と言う日も多々ありました。

ほぼ3ヵ月という長い夏休みで、懐かしくなったのか、夏休み終盤になると、偶然学校の近くを通ろうとすると、ちょっと期待している様子。思い切って、運動場でしばらく過ごしてみました。何度も何度もバスケットボールをして、滑り台を滑って・・・。
日中1時ごろ(正確には1時間早めたサマータイムなので、実質的には正午です)とあって、誰も遊んでいませんでしたが、終始微笑んでとてもすばらしい笑顔でした。
『何を考えているのかな?』『友達や先生と過ごしたことかな?』『もしかしたら、校舎の扉が開いて、”Hi! Susumu!”と、突然呼ばれることを期待していたのかな?』と、想像していました。

さて、学年末のIEPの会議で具体的に、2年生の目標が出されました。
今回は、日本で言うと国語にあたる部分の紹介と算数の紹介です。

Goals: LITERACY(読み書き)

【1】 構造化された活動のなかで、日常よく使われる単語を80%正確に、読んだり綴ったりすることができる。(レベルを1から3までに分けて、たとえば、レベル1は年長レベルで約30語)
【2】 構造化された活動のなかで、先生が言ったとおり、3文字の文字を認識し(読んだり書いたりするときに使う)子音と短かく発音する母音を使いながら、80%正確に発声することができる。
【3】 構造化された活動のなかで、先生の示す3つの関連した絵(写真)を見て、順に並べる見通しをつける。(例え:最初は…、次は…そして最後は…。)

自閉症という特徴から、見通しをつける大切さは、日々感じているものの、来年の5月までにできるのかな?とちょっと首を傾げてしまった私です。

Goals:MATH(算数)

【1】 構造化された活動のなかで、数字と数の一致を80%正確に理解することができる。
【2】 構造化された活動のなかで、10から100までの数字を、10ずつ順に数えることができる。
【3】 構造化された活動のなかで、10から100までの数字を、10ずつ順に数えることができる。10から100までの数字を、5ずつ順に数えることができる。(これは、時計の読み方につながりますね)
【4】 構造化された活動のなかで、コインの価値の比較ができる(一般的に1k、5k、10k、25kの4種類が、使われています)。

来月からも、また少しずつ紹介していこうと思っています。
この夏の終わり、海水浴が恋しくなり(もう2年近く、海を見ることもないのですから・・・)、ついに、州立公園の人工の湖で泳ぎました。京都出身の私は、琵琶湖では何度も泳いだ経験があります。海ほどでなくても、琵琶湖ぐらいなら・・・という考えはむなしくも、すぐに消えてしまいました。
この湖の水は、泥でにごっていて、足の裏はヘドロではないにしても、粘土質の砂でどろどろしていて、とても日本人感覚の海水浴とはかけ離れたものでした。
進は魚のように、ゴーグルもなく、泳いでいました(見えないのは同じか?)。
もちろん、現地のアメリカ人は、子どもも大人もとても楽しそうに泳いでいました。

それでは次回をお楽しみに。

すすむっちのMom (yukiko@alltel.net)   (「会報 88号」 2005.8)



〜何とか夏休みも折り返し〜

こんにちは。先月は、学年末のIEPの会議、あっという間に4人の子ども達それぞれの夏休み(毎日それぞれの予定があるので、頭の中は4次元のタイムスケジュールで行動しないといけません)が始まり、原稿を提出することができませんでした。

さて、7月4日の独立記念日の盛大な打ち上げ花火(もし日本だったら、有資格者しか、取り扱えないほど大きなものも、一般の家庭で打ち上げています。日本人感覚の私達は、とても驚きます)も2回目となりました。
また、道路のところどころに、とうもろこし即売の特設テントも見慣れた光景になりました。今夏は、この即売テントでとうもろこしを購入しています。10本で$3.50から12本で$4(30円から35円程度)、スーパーで購入するよりも少し高いですが、大きさもまあまあで、新鮮でおいしいです。えっ、そんなに安いの?という声が聞こえそうです(ガソリンも2年前よりも高くなりましたが、だいたい70円/?程度)。アメリカ国内にいれば、本当に平和な生活です。

進も2回目の夏休みを過ごしています。昨夏と同じように、夏休み2週目より、月曜日から木曜日の午前中は、特別プログラムに参加していました。スクールバスで登校する生活から、遠のいていたので(夫が始業時間に間に合うように、送っていました)、バスに乗って、慣れない学校へ登校できるのかな・・・と心配していました。けれども、2日目から、昨夏を思い出したのか、バスの待ち時間(アパートのそばの交差点で)は、大好きなシャボン玉をしながら、待っています。帰りは暑いこともあり、疲れた表情で帰ってきますが、午後からのアパートのプールで遊ぶことを楽しみしていました。最終日に、担当者から、簡単な報告書をもらいました。数字を読んだり、文字のスペルを読んだりしながら、学習していたようでした。このプログラムは、13週間ある夏休み中、5週間しかありません。けれども、本人にとっても、家族にとってもありがたいものでした。

アパートのプールで遊ぶ時、見慣れた顔の住人に、にこやかに"Bye"と手を振ります。相手の人が答えてくれるまでひたすらエールを送り、答えてくれたら、また何度もエールを送ります。"one time only (一回だけね)"など、その度に私も言いますが、とにかく社交的になりたいようです。
ハプニングも続出です。プールで、小さい1歳ぐらいの赤ちゃんのそばで、飛び込んで、結果的に驚かせたり(泣き出す場合もあります)、ビキニ姿の女性の腕のあたりをタッチするために、猛スピードで泳いでいきます。私は一時も目が放せない状態です。相手にかまってもらう(もちろん表情の変化)ことも期待していますが、私達が血相を変えて(大げさですが)"No"というのも楽しいようです。もちろん、行動が分かり次第、私も彼と同じ場所にいるようにしますが、魚のごとく、身体のばねを使って、思い通りにすり抜けていきます。育てる会の水泳教室に通っていたのですが、『泳ぎを学ぶ・覚える』ことは苦手で、自分の成長とともに、彼なりの泳ぎを得ているようです。
学校では、アメリカ的コミュニケーションで“Hi!Five!”と言って、お互いの手のひらをパチンと鳴らす握手みたいなコミュニケーションの方法をするように、教えていたようです。何とかこの方法で、相手に失礼のないように・・・と思っています(日本だったらどうすればいいのかな?)

家庭では、退屈な生活をしています。パソコンでゲームをしたり、姉や兄が日本版のゲームキューブをしている画面から、「の」などの大好きな平仮名を見つけることを楽しんでいます。(今までは、学習の時間を作っていませんでした)1年生の間学習した、たくさんの単語のスペルを毎日念入りに読んでいます。ちょうど、日本の保育園の時に、園長先生が進のノートに平仮名で、お友達の名前や物の名前を、根気よく、聞いて書き取ってくれた時と同じようなプリントのファイルです。英語の単語を、私に同じように(正しい発音で)リピートするように言ってきますが、ちょっと発音が悪いのか、時々首を傾げています。

『自閉症としてのこだわり』の中の生活、彼に連れそう私たちも彼の年齢と同じ7年を過ぎました。もちろん最初の2年ほどは、身体も小さく、私達は驚きの連発であっても何とかそれなりに(自他共にごまかしたことも多々ありました)、乗り越えていたように思います。7歳となり、身長も120cmを越え、興味の分野も少しずつですが拡がってきました。

一方、私たちは、育てる会へ入会した当時(3歳4ヵ月で告知された5ヵ月後に、何とか精神的に立ち上がり、前向きに共に生きていこうと決断して、育てる会へ入会しました)、「自閉症の特徴を使った教育方法をすれば、本人の混乱も減らされるし、生活しやすくなれる。そのままだったら、この状態(この当時いくつかの単語で自分の意思は表現していましたが、私達の言葉をどの程度まで理解していたのか、自分に直面する危険を全く理解できず、よく怪我もしました)で、大きくなるよ・・・」と、アドバイスを受けた当時よりも、彼達の世界に少しは近づいたかな?と思います。
どの子どもでもそうですが、子どもは小さいもの・・・といつも思っているせいか、5月末のIEPに出席した時に、Mrs.Muggyがアドバイスしてくれたうち、こんなことがありました。「学校生活で、時々私達のひざの上に座ろうとする。秋からは2年生になるので、必ず、椅子に座るように、家庭でも指導してくださいね。」写真を撮ったりするときも、なかなかじっとできないので、ついつい、手早いので私のひざに座らせたりしていました。反省を兼ねて改めて撮った写真を見ると、座高が高くなり、もう私のひざに座る年齢でないことを自覚しました。

親も子も退屈な夏休みですが、気力も体力も何とか無事に乗り越えたいと思っています。
それでは、次回をお楽しみに。

(「会報 87号」 2005.7)

〜レスパイト制度の利用スタート〜

こんにちは。6月からの長い夏休みを迎える直前に、諦めかけていたレスパイト制度の利用ができるとの通知が、州の担当課から送られてきました。月額 $125以内なら公費負担するとのこと。
レスパイト制度については、以前もお話しましたが、母親や家族の負担を軽減するために、あらかじめ登録されたプロバイダーという人と契約(1時間あたりの利用料金が$6〜10と幅があります)して、プロバイダーが代わりに介護をするという内容のものです。我が家の場合は、自宅や公園での遊びの相手や、アパートのプールの同伴を、要求しています。早速、面接をして、お互いの同意のもと、利用が始まりました。内容については、1年ぶりのIEP会議の報告を兼ねて、来月予定しています。

今月は2・3学期のIEP評価の続きです。

#3 学校生活の中で、排泄の後の始末や、手洗い、ペーパータオルで適切に清潔行動が行える。トイレや手洗い場所で遊ばない。大人がランダムに4回観察したうち3回はできる。

2学期の評価:B・・・タオルで手を拭くことは自分だけでできる。しかし、まだ、遊ばないように、大人の指示や観察が必要。
3学期の評価:B・・・排便の後、自分で拭くことができる。とにかく手を洗うことはできるが、大人が見ていないと、たくさんの石けんを使い過ぎたり、水を使いすぎたり、袖など不必要な場所まで、ぬらしてしまうこともある。

#4 学校で、他人からの質問に対して答えることができる。自分に関する行動を理解し、小さなグループ内で4つの設定で20分ずつ、4回のうち3回、混乱せずに3日連続でできる。

2学期の評価:B・・・"What is ...""Where is..."に対する質問に対して、1つの単語のみで答えることはできる。2学期は「はい」もしくは「いいえ」で答えるように学習した。2学期は大きな集団でも小さな集団でも、活動することが増えた。
3学期の評価:B・・・日々、質問に対して答えることができるようになっている。すべての質問に答えることもあるし、時々答えないこともある。"What is ...""Where is..."のような質問は「はい」もしくは「いいえ」で答える質問よりも簡単なようである。2学期からの集団生活がそれぞれ、5分間から45分間、混乱なく過ごすことができる。
  <<<参考までに、2学期以降の集団生活>>>
(1)ELLレベル1:約12人(30分)
(2)給食:100人(15分)
(3)休憩:1人か2,3人(10〜30分)
(4)ELLレベル1でのリサイクル活動:20人(8〜10分) 
(5)ELLレベル2:6人(50分)
(6)(7)音楽と体育:24人(学年の一般クラス5分から50分)
(8)学年のホームルームでの授業:24人 ((6)(7)と同じメンバー24人)

#6 学校生活の様々な場面で、視覚的指示(カード)を用いて、適切に言葉や行動の模倣を繰り返すことができる。

2学期の評価:B・・・列車のおもちゃなどは適切につなげたりして、ふさわしく遊ぶことができるが、それ以外には、まだ遊びが広がらない。絵で示された単一の言葉の模倣や、学校生活一部分の情報(ゲームや歌ったりする時、また、あいさつをする場面)を理解することを増やしつつある段階。
3学期の評価:B・・・本を読んだり手先を使った作業がよくできるようになった(ジャケットのファスナーなど)。大好きなおもちゃも適切な方法で遊ぶことができる。動作や言葉の模倣もできるようになっているが、目標の80%には達していない。

#7 構造化された環境の中で「何が?」「どこか?」 「誰か?」などの質問に答えることができる。

2学期の評価:B・・・視覚的な援助のもとで答えることができる。習慣化している生活の中で、知っている先生の質問には答えることが増えているが、彼にとって、新しい人物からの質問にも答える能力を高める必要がある。
3学期の評価:B・・・言語だけでの質問はまだ難しいようだ。絵や写真などがあれば答えることができる。予想以外の質問に対して答えることはまだできない。

#8 構造化された環境の中で5つのランダムな言葉の中から、自分の意思を伝えるための2つから4つの単語の発音を模倣することによって、言葉を適切に使う能力を高める。

2学期の評価:B・・・一番ふさわしい言葉を2つから4つの単語を使った模倣をすることができている。
3学期の評価:B・・・知っている言葉やフレーズはよく使えるようになってきた。新しい表現の仕方も学んでほしい。

#7と#8については、現在の私の英会話での状況ととても似ている部分がありました(お元気ですか?と挨拶の場面で言われても、同じ意味で違う英文になると、???となります)。自閉症の大変さ(応用力の乏しさや、状況の予測がつきにくい)を私もまだまだ体験中です。

それでは、次回をお楽しみに。

(「会報 85号」 2005.5)

〜早くも1年〜

こんにちは。日本では、新学年が始まったところですが、こちらは学年の最終の学期となりました。
各学期は8週間程度となっており、IEPの評価も、8週間の目途で、実施→評価されています。
思えば、IEPの内容が最終的に決定したのは、昨年の5月。9つのゴールが挙げられ、その一つ一つに、具体的な到達を示す評価基準も示されました。そして、それぞれの文章の最後に"・・・by May 2005." と書かれており、「1年で、本当にできるようになっているのかしら・・・?」と正直言って、想像できませんでした。3学期終了時点での報告を兼ねて到達の度合いを報告したいと思います。

#1 学校で(火災)警報がなった時、警報の音や光に気がつき、校舎外に(大人や他の子供たちといっしょに)避難することがわかる(2005年5月までに4回の訓練のうち3回、3日連続でできる)。

1学期の評価:B・・・4コマのお話を本にして、先生が毎日毎日繰り返して、読み聞かせていました。
2学期の評価:B・・・気が付くことはできているが、まだ到達していない。本読みを、楽しく聞くことができている。
3学期の評価:A・・・休憩時間でも気がつくことができる。ゴールに到達。
ところが、4月はとても天候が不安定な季節でもあり、私達がこちらへ来て初めて(1年半になりますが)、トルネード警報が学校終業時に(すでにスクールバスに乗っていたようですが)、発令されました。市内一斉に警報が鳴り響き、学校の子ども達は、校外でなく、教室の机の下に、20分近く避難しなければいけませんでした。もちろん公共の建物にいた人は、地下に避難するスペース(義務付けられているようです)へ。一般の家にいる人は、それぞれの家の地下室へ避難して、警報の解除を待ちます。進は、教室の机の下で、ミニカーで遊んで時間を過ごしたようです。ここでは台風も地震もありませんが、トルネードが最大の自然災害で怖いものとされています。火災警報ではありませんでしたが、どうにか過ごせてほっとしました。

#2 生活の中で、自分の名前が言えるように、またIDカードが提示できる(2005年5月までに4回のうち3回、3日連続でできる)。

2学期の評価:B・・・(視点は、A/C/P)クラスメートやよく知っている先生に対しては即答することができるが、知らない人に対しては、必ずしも答えない。
(A:先生の客観的評価、C:実際口頭でできている、P:親の記録から)という意
3学期の評価:B・・・(A/C/E)  "What is your name?" "My name is Susumu Yamanishi."と、答えるが、まだゴールに到達できていない。

#5 デジタル時計とアナログ時計を組んで、正しい時間を言えるようにする(正解率 75%)。

2学期の評価:B・・・(A/C/E)  自分のスケジュールを知っている。また、ある手のしぐさが、スペシャル・アクティビティ(ごほうびに相当する大好きな遊び)の時間を表していることも知っている。
9:00(STの先生の部屋へ移動する),10:00(1年生のクラス授業に参加する),11:00(給食)…アナログ時計で理解する。 
3学期の評価:A・・・(A/C/E)  スペシャル・アクティビティの時間を、時計の位置で指し示す。また、75%の正解率で、デジタル時計とアナログ時計を組んで、正しい時間を言うことができる。

#9 上手く動作することと、感覚的な操作(セラピストによるテストで最低25%をクリアすれば、ゴール達成)。

具体例 1: 指示された時に、26文字のアルファベットの大文字のうち13文字を読みやすく書くことができる。
具体例 2: 環境が変わっても、落ち着いて生活を送ることができる。
具体例 3: 慣れない手触りのものをストレスを感じることなくふれるようにする。

2学期の評価:B・・・(A/E/H_,H:の他の大人) 手を洗う時,石けんをつけて丁寧に洗うなど、助けを必要とする。多くの文字を少し支えれば、書くことができる。自分だけで書くと、とても大きく書いてしまう。
3学期の評価:B・・・(A/E/H_)  進は自分だけで文字を書くと、大きく書いてしまうが、線を書いた用紙を与えると、縮めて書くことができる。ボタン掛けやファスナーを合わせたりすることは上達している。

今回は9点の問題中、4点について報告しました。
いよいよ5月末には、最終的なゴールへの到達の確認と、2年生でのゴールの設定です。
進をはじめ、子ども達は確実にこのアメリカで生きていく手段を得ています。子ども達の無限大の可能性には脱帽しています(私は、あまり上達していませんね)。
それでは、次回をお楽しみに。

(「会報84号」 2005.4)

〜 春よ来い の巻 〜

こんにちは。日中の気温が何とか10℃前後という日も珍しくない今日この頃ですが、まだ木の芽はしっかりと閉じたままで、進の数少ない外遊びの自転車もまだまだ寒くてできません。先月は、原稿の締め切りに遅れてしまって掲載されませんでした。
年明けからの風邪に、進の学校での問題行動・・・と大変でした。今回はそのこともお話しようと思っています。

年明けから、毎日Mrs.MUggyをはじめ、進に関わるすべての先生とのコミュニケーションノートに、進の学校での問題行動が書き記されるようになりました。どんどんエスカレートしていて、ついに2月上旬、会議の招集がかかりました。しかし、出席する先生方の都合がつかず、やっと2週間後に実現しました。
会議の日にちがなかなか決まらないので、私は服薬について、数少ない人を次から次から頼って、メールにて在米の日本人の薬剤師の先生に相談しました。
進は、眠りにつくまで時間を要し、何日もその状態が続くと、体調不良で吐き続けるという状態まで陥ってしまいます。昨春ごろから、この症状が、日常的になったので、病院受診し薬を処方してもらっていました。
相談の結果、その薬を私が勝手に、学期末の休暇中に飲ませなかった事が原因の一つだとわかりました。私の英語力では、膨大な説明書を理解することができず、この薬本来の効用をわかっていませんでした。結局、毎日確実に内服することで血中の濃度を保つことができれば、昼夜問わず、進の混乱の度合いが軽減されるのに、休暇中に薬をのんでいなかった事が、学校生活での問題行動につながったようです。集中力が(9月から12月の頃ほど)持続せず、先生や友達をつねる、先生を頭で打ちつけたり、キックをする、部屋から走りだす・・・といった行動が頻ぱんになったようです。

もちろん、薬剤師さんのアドバイスがあった日から、1日も薬を欠かすこともなく、この会議のころには、とても態度もよくなり、事後報告会となりました。
この会議には、ELL担任、Mrs.Muggy,校長先生と教頭先生、私と通訳の先生が参加し、進の問題行動の原因と思われることを話し合いました。薬ほどの重大問題ではないですが、他の原因として、最近スクールバスの運転手が交代していて、道順にも慣れていないことから、他の子どもたちもバスの中で落ちつかず、かなり騒がしいと言うことも挙げられました。
バスについては、学校側が直接関与できないということで、状態が落ち着くまで、登下校時の利用を見合わせています。

さて話は変りますが、岡山市の支援費制度を、渡米直前の4ヵ月ほど私たちも利用していました。こちらでも休日など障害をもった子どもを見てくれる場所や人がいないか…と年末から学校の先生や、教会を通じて探してもらっていました。
やっと見つかった制度は、レスパイトネットワークという制度で、こちらのYWCAが、委託事業として行っているようです。1週間のうち、定期的にボランティアが派遣されて、無料で、場所を問わず、見てくれるようです。時間も場合によっては夜から朝までということも可能なようです。また、緊急時は定期的なレスパイト以外でも受け入れが出来るようです。

さらに、私が驚いたことには、障害をもつ子ども以外の子どもまで、母親自身の時間を確保するために、託児所などを世話してくれるということです。早速申し込みをしましたが、一つ大きな問題がありました。私たちは非永住的な住民であり、国籍もアメリカ国籍を持たないということです。半年前になりますが、高額医療費の公費負担制度を利用しようと思い、申請しましたが、先記の事情で、却下された経験があります。今回の件も、結果的には利用できるけれども、有料(1時間$5程度と軽費ですが)でした。何とか経済的な負担があっても、長い夏休みのこともあり、1週間に1回でも定期的に利用したいと思っています。

こちらの学校では1学年を4つに分けていますが、現在、3学期に入っています。そこで、2学期の成績表の紹介をします。

1.言語面では、たくさんの単語のスペル(例:January,Februrary・・・などの月)を言ったり、単語を読めるようになっているようです。"Yama○○”も、最初のころは、読む様に言っても"Y・A・M・A・・・"というスペルを言っていたようですが、名前と一致し、"ya-ma-○-○"と言うようになったようです。
IEPの課題でもあった、自分の名前を言うことも、"What’s your name?に対して答えれるようになったらしいです。
2.算数面では、足し算をしていますが、まだ理解できていないようです。しかし20までの数と10・20・30・・・100までは順に数え上げたり、読むことは出来るようになっています。
3.理科や社会などの科目では、ノンフィクションの本に掲載されている写真(図鑑かな?)は特に好むようです。理科や社会に関する本の読み聞かせにも、耳を傾けているようです。
4.芸術に関する科目では、年長の時には5分も音楽教室に入れなかった進ですが、30分ほど、進の与えられた課題をこなして、クラスメイトと一緒に音楽を聞いたり、音楽に合わせて、身体を動かしたりして過ごしているようです。大好きな体育では、他人の順番を理解したり、自分の順番を理解する課題が求められているようです。
5.社会的技能、手法、努力面では、自分の所属する集団がわかり、勉強時間も休み時間も、友達のいる集団で過ごしたいようです。ただ、自分の都合の悪い時はお友達に知らせたりもするようです。

この会報にも度々登場した、進にとっても私たち家族にとっても貴重な存在だった(ナンバープレートも覚えるぐらいですから)Tさん家族が、3月下旬に帰国されます。
とても残念だとこの会議で話したところ、Mrs.Muggyが、未来の予測の難しい進に、お別れの絵本を作るということになり、現在作成中のようです。
それでは、次回をお楽しみに。

(「会報 82号」 2005.2)

〜教えてよ の巻〜

 こんにちは。夏休みからパズルの意味がわかるようになり、パズルをして、自分の時間を過ごすことも多くなった進です。ところが、ここ1ヵ月ほどになると思うのですが、アンパンマンの46ピースのパズルを始める前に、いくつかの3桁の数字を並べて、得意そうに正面から斜めから・・・と、見る方向を変えてまで楽しんでいます。このパズルには1から10までの数字が含まれています。私たちも何とか進と楽しみを共有したくて、謎の3桁の数字の解明にあたります。思いつくものや予想外で難題のもの・・・、様々です。答えは教えてくれないので、答えのないなぞなぞのようなものです。

 以前も紹介したことがありますが、兄の日本人のお友達のお母さんから、このような相談がありました。・・・自分の子どもを迎えに行くために、学校の前で車を止めていたら、いつものように進くんがone of oneの先生と手をつないで、玄関から出てきて、いつものようにバスに乗車しようとした時に、突然、道の反対側に止まっている私の車を指差して、何か言っていました。先生も突然の事態に、非常に困った状態になってしまい、事態が大きくなっていくことに見かねて、私は車から降りて、進くんに手を振ると、とても納得した様子でいつものように、バスに乗っていきました。私は車に乗っていたし、車は進くんから見て、バックの方向しか見えなかったのに・・・ということでした。

 私は、その話を聞いてとても驚きましたが、このお母さんとの解明が始まりました。車の色か?どうして、バックからそのお母さんが乗っていることがわかったのか?読んでおられる皆さんの中には、答えがわかった人もおられると思います。ナンバープレートの番号でした。私たちの住んでいるLincolnは6桁で最初はアルファベットの大文字、その次は3桁の数字です。ちなみに、このお母さんの車の最後の3桁は"286”で、パズルの謎の3桁の数字"286”と一致したわけです。時々、そのお友達のお宅へ遊びに行かせてもらっているというもの、その記憶力のすごさを、改めて感じました。

 さて、進が1年生のクラスで授業時間を過ごすことが始まりました。その教室には動物がいるらしく、進は見てきた動物のことを、ELLの教室で、文章を書きます。初日は”I saw a snake.”でした。さすがアメリカの小学校!と思ってしましました。今週は”I saw a gold fish.”で、これなら納得です。単語も話せるようになり、文章も勉強しています。

 残りのIEPも2つとなりました。

Expressive language(言葉の表現)
構造化された環境の中で(以下省略)5つのランダムな言葉の中から、自分の意思を伝えるための2つから4つの言葉の発音を模倣することによって、言葉を適切に使う能力を高める。
具体例【1】  物や行動に名前をつける作業が5つのうち3つできる。
具体例【2】 3つから4つの単語を使うようにする。
            例:”give Tommy the ball”     “push the car  fast”
具体例【3】 言葉と絵を使って1語から3語で伝えることができる。
            例:”open door please”                “Mom in car,Dad eats corn”
        ⇒1学期では2語から4語の発声を模倣しても、社会生活の中で必要とされ幅の広い発声をすることはなかった。彼にとって心地よいと感じ、よく分かっている環境の中で同じようなコミュニケーションをとる方が、いいと思っているようだ。
Fine motor and sensory processing(上手く動作することと感覚的な操作)
具体例【1】 指名されたときに、26文字のアルファベットの大文字のうち13文字を    読み安く書くことができる。
具体例【2】 学校で、環境が変わっても落ち着いて生活を送ることが出来る。
具体例【3】 慣れない手触りのものをストレスを感じることなく触れるようにする。
        ⇒1学期では自分の名前を書こうとしている、またSは最小限の大人の補助で書くことができる。

2005年は1月3日から、授業開始ですが、2週間経つと、2学期が終わりです。先日、日本から小学校就学についての問い合わせがありましたが、こちらでは半年早く、もう1年生の折り返しです。今回でIEPの紹介は終わりですが、次回は2学期終了時点での評価もお話したいと思います。お楽しみに。

(「会報 80号」 2004.12)

〜描画の巻〜

 こんにちは。2回目のクリスマスを迎える準備もでき、子ども達は1日も早くクリスマスが来て欲しいと毎日首を長くして待っています。
住宅地のあちこちで競争するかのように、夜になると派手な飾りが目立つようになってきました。

 さて、11月に入り、先生たちとのコミュニケーションブックに、進の学校での生活がとても充実していることを知り、登校時から給食まで参観に行くことにしました。
1年生になってから、午前中のone of oneの先生が新たに加わり、その先生との生活の様子や、他のELLの子ども達との勉強の様子を見たかったからです。

 最近はスクールバスで、朝登校することもなくなりました(起きることはできるのですが、3階の窓から姉と兄だけを乗せたスクールバスが出て行くのを見ています)。
 けれどもまた再開できるかもしれないので、担当のone of oneの先生は毎朝、玄関で進の登校を待っています。

 この日もいつものとおり、先生が出迎えてくれると、私の存在とは関係なく、校内へ入っていきました。他のELLの子ども達と一緒に、朝の会(今日は何月何日で何曜日、天気、色や形の復習など)に参加しました。進のその日の体調にもよりますが、Septemberなどの月の名前のスペルが言えたり、出席票などを友達と一緒に事務所まで持っていったり・・・。想像以上によく頑張っていました。
one of oneの先生との課題でも、以前 専門のMrs.Muggyと行っていた難しそうな課題をしていました。文字(スペル)と物(色)のマッチングは出来ているようです。"green"と書かれた部分には緑色のクレヨンを選んで、ちょっとおおざっぱですが、色を塗ろうをしていました。

 ところが、この新しい先生は進がよく頑張っている様子を私の前で披露しようと思い、同じ課題を自主学習のプログラムに入れていました。私は、まだ少し早いかな・・・と思いながら、様子を見ていました。初めのパズルの自主課題を終え、色の塗り分けの課題の番となりました。

 けれども進は、紙をみたら、思いっきり縦向けの線を書きたくなり、"green"や"yellow"の枠とは関係なく描き始めました。先生はとてもショックを受けたようでした。見かねた私が(準備していない英語で)、ゆっくり描くことや色を塗りつぶす作業は、今の進にとってはまだ難しいことだと伝えました。
 まだ進との生活時間も少ないのか、とても期待をしていたのか、先生のショックはなかなかおさまらず、結局、昼前に進の教室へやって来た、年長からのone of oneの先生に話して、その先生からも説明をもらっていたようでした。

 私は、進がこの新しく担当になったone of oneの先生を信頼しているのが分かったし、天気の勉強もしていた(窓のところで外の様子をカードを見せながら伝えて、寒いからコートを着ようね・・・と言う内容を毎日根気よく教えている)ので、そんなことは気になりませんでした。

 さて、1学期の終わりに早くも9つのIEPの評価も通知表と共にもって帰ってきました。今回は9月の会報で掲載したSelf care goal #1(火災警報が鳴ったとき)の評価も合わせて報告します。

Self care goal #1(火災警報が鳴ったとき)

⇒とても前進し、本人の理解する能力はあるが、まだ出来ていない。

ストーリーの本(5ページぐらいの手作りの本)を毎日先生が読み聞かせています。
コメントによると「突然行われる避難訓練のときは、一緒に歩いて学校の外に出ることは、自覚しているようです。自分でストーリーの本のとおりに話しながら、避難するようです。
けれども、自分に対する危険を回避するということは理解できていないということで、まだ到達できているとは言えない」ようです。

Receptive language(言葉を受容できること)

構造化された環境の中で「何か?」「どこか?」「誰が?」などの質問に答えることができる。
具体例【1】 文の中の動きを表す言葉を理解し、適切な応答ができる。
具体例【2】 文の中の前置詞(on,under,over,around)言葉を理解し、適切な応答ができる。
具体例【3】 簡単な応答に答えることができる。
        "What do you see?"→"I see a..." "What is this?"→"It is a..."
具体例【4】 自ら機能する言葉を使って応答することが出来る。
        "My name is... My favorite color is... The bus is.... My brother likes..."

⇒1学期の段階では出来ていないとの判定でした。

コメントとして「前進しているが、質問に答える時に、視覚的な記号などに頼っている」らしいです。
難しいですが、英文を理解しつつあるのはびっくりです。

先日、私たちの住むLincolnでも、雪が降りました。まだまだ積もるほどではありませんでしたが、いよいよ本格的な冬の到来です。
次回をお楽しみに。

(「会報 79号」 2004.11)


〜遠足の巻 〜

 こんにちは。先日木枯らしの中、1年生は遠足でした。
行き先は、70キロほど離れた、オマハ(リンカーンは州都ですが、町の大きさは州境にあるオマハの方が大きく、聞いたことがある方も多いと思います)にある アメリカ国内でも有数と言われる動物園へ行くことになり、私と妹の利奈も一緒に出かけて来ました。

 動物園と言えども、規模は大きく、全てのゾーンを見れば、1日かかります。
 砂漠ドームの建物や水族館、ゴリラ館、ジャングル館など、それぞれいくつかの大きな建物もあり、大人でも楽しめる場所です。ところが、私達は昨冬からこの秋まで、メンバー会員でもあるので、よく出かけていました。

 姉と兄が日本語補習校で勉強している間に行って、待ち時間を過ごすことも多々ありました。その日の前日に担任の先生からの連絡があり(いつもの通訳の先生を経由して)、どうしても私にもついてきて欲しいとの事。
何かあれば車で1時間後(もちろん高速道路を120キロぐらいで走ります)に迎えにいくことが可能だから・・・と断りましたが、専門のMrs. Muggyは、一緒に行かないから、自信がないとのこと。
進だけ、いつものように学校で過ごすことはできるけれども、お友達が誰もいなかったら、進も楽しくないだろうし・・・ということで、承諾しました。

 結局他の子ども達とは違って、私たちの車で出かけました。1年経って、先生にも慣れていると思っていた矢先のことだったので、少々納得もできなかったのですが、実績をつくれば、次からは私が連れて行かなくてもいいかも知れない・・・と気分を入れ替えました。
とても大きな場所で他の子ども達との合流が心配でしたが、先生の携帯電話の番号も聞いたことだし、どうにかなるかな・・・と思ってました。
 けれども、家を出るのが15分も遅れてしまい、予定時刻には間に合わないという連絡を、高速道路を120キロぐらいで走りながら、英語で伝えなければいけなくなりました。私の英語は日本の中学生レベルで、ほぼ一方的。
話が一方的というのは自閉症の人とよく似た体験を、私は毎日しているわけですね。何とか伝えられ、到着後も、電話をして合流できました。

 到着した時は、妹はとても喜びましたが、進は大好きな石おとしができるところというものの、あまり嬉しそうではありませんでした。私たちがいつも制止するので、ちょっと複雑だった様です。
けれども、one of  oneの先生やELLのお友達や先生の姿を見るととても喜んでいました。進次第で、途中で帰ればいいと、気楽に参加していましたが、(進にとっては珍しい場所ではないのですが、考えかたによっては、慣れた場所かな)時間にして4時間近く過ごし、最後まで参加できました。

 今まで私たち家族で過ごすことのできた時間(2時間が限界)をはるかに超えた時間でした。進にとってのお友達(このときのはELLのクラスだったので、進を含めて9人でone of one含めて、3人の引率)は、本当に大切な存在であることがわかりました。

引き続きIEPの紹介です。

Social communication goal

  学校生活の様々な場面で、視覚的指示(カード)を使って、適切に言葉や行動の模倣を繰り返すことができる。

具体例【1】 1日の中で、5回のうち4回 視覚的に他人のすることを理解できる。
具体例【2】 遊んでいる時、そのおもちゃをそのおもちゃにふさわしい遊び方で遊ぶことができる。
具体例【3】 色々なおもちゃを与えた時に、5回のうち4回、それぞれのおもちゃにふさわしい遊びができる。
具体例【4】 知っている歌を歌ったり、ゲームをしている時、また遊んでいる時に、
       動作や言葉の指示で5回のうち4回繰り返すことができる。
具体例【5】 学校生活の様々な場面で、"こんにちは"また"さようなら"など、
       社交的な言葉を4回のうち5回は出来る。
先生たちとの毎日のコミュニケーションブックによると(私の読解力なのでどの程度かはよく分かりません)、具体例【1】で言うと、クラスの仕事(掃除はしませんが)で、簡単なごみ回収は、お友達がしているのを見ていて、自分も一緒にしているようです。
積み木と一部の本(兄の日本の国語の教科書も犠牲になりました)をちょっと高いところ(カーテンの上)へ放り投げたりしていた時期もありました。
だから、おもちゃでそのおもちゃにふさわしい遊び方をするという目標が提示されたのだと思います。具体例【5】は少しずつ定着しているようです(もちろん英語で)。
先日も日本人のお母さんが、進を見かけて「バイバイ」と日本語で言ったらしいのですが、返事は"See you"だったようです。

それでは次回をお楽しみに

「会報78号」 2004.11)


〜秋の到来〜

 こんにちは。
 すっかり秋となり、毎日日差しはきついものの 涼しい毎日です。
思えば、ここでの生活も1年を迎えます。・・・ということは残りの生活も、あと2年。
進にとっても兄弟にとっても、有意義な年月であって欲しいです。

 さて、先月に引き続き、進のIEP(個別計画)の紹介をします。
先月は緊急時の避難が分かったり、自分の名前を聞かれた時に、応答できたりするようにする内容のものでした。他の自己介護についての項目(排泄時に始末が自分で行うことができ、さらに手洗い場所で、遊ぶことなく、石けんをつかって、清潔になるように手洗いが出来る)がありますが、今回は社会性のゴール と 学業のゴール について、お話します。

 先日、1年生になった進の授業の様子を参観に行ってきました。クラスに所属している子どもは、進を含めて3人です。もちろんELLレベル1の先生一人は、終日クラス担任です。さらに進には、年長の時と同じようにone of oneの先生が、常についています。トイレに行く時など、カードで自分の要求を示しますが、とても早く走っていくので、先生も素早くついて行きます。

 男性用のトイレに入るので、先生はドアに 《今、女性の教師が入っていますので、ご注意 と書いたポスターを、すばやく貼ります。私は、進が男性用のトイレを使うということで、少し安心しましたが、共同生活の場では、それなりの準備も必要だと、改めて感じました。

教室では時間によって、同じ1年生のレベル2の子どもたちも一緒に勉強するようです。6人ぐらいのグループですが、進にとっては、この小さなグループで、決められた内容のことをする時間が、必要とされています。どの子どもも休み時間、グランドで進を見かけたら、一緒に遊ぼうとしてくれて、とてもほほえましく感じました。

  Social goal

学校で、他人からの質問に答えることが4回のうち3回、三日連続出来るようにする。さらに自分に関する行動を理解し、小さなグループ内で、4つの設定で20分ずつ、4回のうち3回、混乱せず、三日連続出来るようにする。
具体例 【 1 】 学校で"はい"または"いいえ"、もしくは一言で質問に答えることが出来るようにする。
具体例 【 2 】 設定された活動の中で、行動を混乱せずに小さなグループの中にいることを4つの
         設定の中で20分ずつ、4回のうち3回、三日連続できるようにする。
学校生活では常にスケジュールをカードで示され、進は混乱することなく過ごせています。
家庭では、次々にカードで示すことは、簡単ではなく、何とか時計がわかれば、少しは見通しのもった生活を送ることができるのではないか?と思っています。インタビューでもその点について、私が強く望んでいることを言いました。
渡米時の飛行機に乗っている時間(あまりにも10時間は、たとえ予告していても長すぎますが)も、どうにかならないか・・・と思っていました。
そのことをふまえてのゴールの設定が次のものです。

  Academic goal

デジタル時計とアナログ時計を組んで、正しい時間を言えるようにする(正解率75%)。
さらに自分のスケジュールを時計を利用して、4回のうち3回、3日連続できるようにする。
具体例 【 1 】 デジタル時計かアナログ時計を使って、正しい時間を言うことができる(正解率75%)
具体例 【 2 】 自分のスケジュールをアナログ時計を利用(理解)して、4回のうち3回、3日連続、
         活動できる。
具体例 【 3 】 デジタル時計とアナログ時計をペアにして、正しい時間を言うことができる
        (正解率75%)

 夏のプールが終わり、何とか夕方の遊びを増やせないか・・・と思っていました。
ちょうど、昨年の夏に、OTの訓練で自転車に乗ろうと言う事になりましたが、結局できないまま、こちらに来てしまいました。アメリカの子ども用自転車は、ブレーキがハンドルについていません。べダルを反対にこいだら、ブレーキがかかるらしく、練習も大変でした。けれども、今では30分ぐらい、大好きな貨物列車の良く見える場所までこいで行きます。
もちろん進の目当ては、それだけではありません。大好きな石落としのための穴まで、とても速いスピードで走って行きます。ずっとそのスピードなら、私もダイエットできるのですが、穴のところで、急に止まるので、私も止まります。参ります・・・。

 それでは次回をお楽しみに

(「会報77号」 2004.9)


〜新1年生の巻〜

 8月24日から新学年がスタートしました。前日に1時間ほどオープンスクールがあり、それぞれの子ども達のクラス担任や教室の確認をしました。

 進は 新1年生になりました。もちろん年長から同じ学校なので、入学式もありません。
桜の花もないし、ちょっと日本の「1年生おめでとう!!」という雰囲気は感じられません。さらに年長からの継続で母国語が英語ではないので、ELLのクラスに所属します。

 進はELLレベル1というクラスで、ほぼ1日(進はIEPの会議で毎日体育の授業があります。体育は体育館です)この教室で勉強します。昨年度この教室で勉強した新3年の兄や新5年の姉は、何とかレベル2に進級しました。レベル2になると、該当の学年でのクラスで受ける授業も多くなる様です。

 このレベル1のクラスの特色は、母国語が英語でない子どもが転入してきた時に、まずこのクラスに所属するということです。一定のレベルに到達するとレベル2のクラスへ移動します。

 学年もさまざまで半流動的な状態なので少し不安はあります。 しかし 準備はすでに整い、教室の一角に、Mrs.MuggyとELLの担任の先生が、進のワークデスクとフリースペースを設けてくれました。生徒数も進を含めて現在のところ3名で、教室にゆとりもあります。実際の生活は始まっていますが、どうにか毎日、充実した生活を送っているようです。

 ここで進のIEP(個別計画)の紹介をします。項目が多いので毎月関連することを、少しずつ紹介していくことになると思います。

今回は“Self Care(安全を確保した自立)について お話します。

このゴールが設定された背景には、進は自分の氏名を繰り返すことはできるが、氏名・住所・電話番号などを第3者に提供できることができない(迷子になった時など)。また、緊急時警報(火災警報など)に気づくこともなく、反応もなく、また危ない状態を確認できず、避けることも出来ない・・・という、これまでの生活上で、親の私も、学校の先生も認めたうえで、ゴールに設定されました。

Self care goal #1
学校で火災警報がなった時、警報の音や光に気がつき、校舎外に大人や他の子供たちと一緒に出ないといけないことがわかる(2005年5月までに4回の避難訓練のうち3回、三日連続で出来る)。
具体例:火災警報が鳴った時に、それを理解して校舎外に大人や他の子どもと出る(先生や他の大人が記録する)。
具体例:危険性のある物、またその事態を理解するために、絵や文を使って、繰り返し学習することによって、自分自身を守るための技術を身につけることができる(4回のうち3回、三日連続でわかるようにする)。
Self care goal #2
(安全を確保した自立の意識を持って)4回のうち3回、2005年5月までに三日連続自分の生活の中で、自分で氏名が言えるように、またIDカードが出せるようにする。
具体例:4日間4人の人から「名前は何ですか?」または「誰ですか?」と聞かれた時に、答えることが(4回のうち3回、三日連続で)出来るようにする(先生や他の大人が記録する)。
具体例:4日間4人の人から「名前は何ですか?」または「誰ですか?」と聞かれた時に、IDカードを出すことが(4回のうち3回、三日連続で)出来るようにする(先生や他の大人が記録する)。

 他にも社交性や精神的な発達状況やコミュニケーション、感覚的なことについて、学校生活での問題点をあらかじめ会議で列挙しており、それぞれについてゴールが設定されています。また次回から追って紹介していきます。

 最後に、ついに下の前歯(乳歯)が抜けました。本当に身体もたくましくなってきました。抜ける3日前に偶然、乳歯の色が変わっているのを発見しました。歯の抜けた日の朝、家族全員で抜けた乳歯を捜しました。何とか3日後に偶然、兄が見つけました。こちらの習慣では、抜けた乳歯を枕の下に入れて寝ると、いいことがあるらしいです。
進にとって いいことは その1週間後にやっと念願の先生や友達と再会できた、ということでしょうか?

 それでは次回をお楽しみに

(「会報76号」 2004.8) 

〜牧場の巻〜

こんにちは。
始まる前は本当に不安だった 12週間の夏休みもいよいよ終盤です。
昼間の時間(太陽が出ている時間)が やっと日本の夏並みになってきました。
昼間の時間が長いと、夜9時でも 外がしっかり(?)明るいので、パジャマを着ても子どもたちは なかなか寝ることができません。何とか外が暗くなる10時を待って、それぞれの部屋に入る生活。
今は少し暗くなるのが早くなり、9時でもまだまだ明るいですが、夕ぐれという感じになってきました。新学期が始まる8月24日を、子どもたちも親も楽しみにしています。けれども、登校のバスの時間が7時前なのでそろそろ時間の調整をしようか…と思っている今日この頃です。

さて、ここはアメリカの中部で、人も穏やかで治安もよい地域です。そして車で郊外を出ると、広大なとうもろこし畑や大豆畑が広がっています。これらの大部分は私たちの食料用ではなく、牛の餌用のためのものです。
退屈な夏休みの行事ということで、先日知人のご実家が牧場をされているということで、訪問させてもらました。実は今回が2回目で、1回目の時はまだ大地には何もない、4月の終わりのことでした。
初めて乗馬して以来、進は動物園の馬やドライブ中に見かける牧場の馬を「おうま」と言えるようになり、今回もお邪魔させてもらいました。今回は見渡す限り緑の大地の中を1時間あまり車で走って到着しました。2回目なので今度は人参を馬に食べてもらおうと、あらかじめ買って行きました。

到着をする寸前に迂回したところから、進の機嫌が悪くなり(本人は直進すると思っていたので)、結局お目当ての乗馬は最後まで出来ませんでした。他の子どもたちはとても軽装で乗馬できるチャンスなので喜んでいました。トコトコとゆっくりな足取りで馬が歩いてくれました。さて、お礼の餌やりの時間となりました。普段の餌として人参を食べていないことがないとわかり「ちょっと無理かな…」と思いながら与えましたが、やはり食べませんでした。この辺りの馬のえさもコーンだということが初めて分かりました。人参を食べない馬なんて、ちょっと意外でびっくり。

さて、乗馬をしなかった進ですが、もう1つのお目当ての自称「うみのえき」との再会はよかったようです。渡米の時に持ってきた絵本の中に登場する、「うみのえき」と似ているのでしょうか?馬小屋(?)と思われる大きな建物があります。中に入るととても天井が高く、途中からはしごを使って2階部分にあがれます。かなり危険で、1回目は進についてはしごを上るのが怖かったのですが、今回は1人で勝手に上ったり降りたりしていました。2階部分から外を見るととても眺めがよく、進は気に入っていました。他にもトラックの荷台に載って、1000頭ほどの牛たちがいる牧場(真冬氷点下20度でも外にいます)を回って見たり、日本ではなかなか見ることの出来ない光景でしたが、進も私たちも楽しんだひとときでした。

こちらの子どもたちは、夏休みといっても宿題があるわけでもなく、とてものんびりと過ごしています。進ものんびり…といきたいところですが、スケジュールの掲示をうっかり忘れていると、何度も進の時計(家の中にはいろんなところに時計がありますが、進の場合は電子レンジの時計)を確認します。
私が気付いて、急いで時間と絵を提示します。新学期からは時計の理解をする計画がすでにIEPに繰り込まれています。
理解できる日も近いかな?

昨年度、私が個人的に行った時の学校参観(2回)の時に、デジカメで収録したシーン(先生や先生としたワークのシーンや友達との学習のシーン)を、毎日PCのファイルから取り出して見ています。もちろん私の声以外は全て英語なので、進にとってはとても良いヒアリングの勉強になっています(進は英語を忘れてはいないと思いますが…)。
それでは次回をお楽しみに。

(「会報75号」 2004.7)


〜夏休みがやって来た〜

こんにちは。渡米して8ヵ月が経ちました。今 日本に帰ったら、進はなつかしいお友達や先生に会えて、どんなに喜ぶのかな…と思ったりもしますが、ここでの生活も進にとっては、楽しくとても貴重な体験であることは、確かな様です。
何とかたくさんの人に助けてもらって、夏を迎えることができました。本当に春のないあっという間の夏の到来です。朝起きてみると10℃ぐらいしかない気温が、夕方には40℃を超えてしまうような日もあったり、半そでではちょっと寒いなあ…と思う日もあったりします。

6月4日をもって、学校は12週間の夏休みに入ってしまいました。
昨年10月のハローウィンの直前から編入した子どもたちも、とても英語が上達しました。進も、200語以上の単語を正しく発音できるそうです。100語以上の単語の意味(行動に関することや、もちろん物の名前など)を理解できているようです。
アルファベットの大文字も小文字も理解しているらしく、夏休みに進が何もすることがなくて、困らないようにMrs.Muggyが、特別に用意してくれた、シートも入っていました。年長の担任の先生が、進のために子ども向けのCDをオリジナルで録音してくれました。
このことでも驚いたのですが、Mrs.Muggyがその歌をわかりやすくするために、絵本を作ってくれました。ELLの先生も進が書いたものを判りやすくファイルしてくれました。

さて、長い夏休みですが、12週間のうち、前半の5週間は特別な教育を受けている子ども対象のプログラムが、市内5校ぐらいに分かれて開催されます。午前中2時間、月曜日から木曜日までですが、バスの送迎もあり、とても楽しみに通っています(費用は全て無料です)。今まで学校へ通っていた時のバスドライバーではないし、年長のお友達も乗っていないので、最初は少し嫌がっていましたが、何とか定刻になると自分の身支度をして、出かけます。
このプログラムが終了した後は、他の子どもたちが参加するようなキャンプにも参加できず、私も思案しているところですが、先週やっとアパートの専用プールが完成して、利用できるようになったことと、Mrs.Muggyにアドバイスしてもらったワークなどを、自宅で何とかこなしながら、新1年生を待つ予定です。

新学期の進の生活はすでに準備完了です。進は母国語が英語ではなく、まだ年齢相当の英語力が不足しているということで、ELLレベル1のクラスに所属します。朝から下校まで基本的にはこのクラスに所属します。
普通の子どもはPEと美術と音楽の授業が3日に1回やってきますが、進の場合は毎日同じ学年の子どもたちといっしょにPE(体育)の授業を受けれるようです。いろんな配慮や本人の興味などから、最終的にIEPの会議で決定されました。もちろんMrs.Muggyの時間も1日50分あります。給食も食べます。もちろん8時から14時50分という今までよりも長い時間を他の1年生の子どもたちと同じ様に過ごすので、大丈夫かな…と心配ですが、One of oneの先生も2人体制となり、安心です。
何よりも来年の5月のIEP(進の個人的な教育目標を決める会議)で進の目標が達成できるように、具体的な手順などが提示され、本当に進が1年後どんなに成長しているか、楽しみの方が大きい私です。(具体的な内容については保護者宛の文章をもらいましたが、HPで見ることもできるようです。内容は英文なので、現在日本語訳を教育委員会にお願いしています。)

私が英語を話さないので、進は上手く使い分けていることは前々回からの報告でみなさんもご存知ですが、日本語は持ってきた図鑑のタイトルを読んだり、本文を読んだり、また大好きな紙芝居のお話の文章をところどころしっかりと覚えていて、日本にいた時と同じように日本語を話します。
夏休みに入ってから、(私の発音ではあまり良くないのですが、)"tree"と私が試行的に言ってみると、とても気に入って"tree"と言います。

「おかあさんも、えいごがはなせたのか…」という感じで、学校で覚えた単語を絵本などの絵を指差しながら、次々に話します。
私が英語で同じように言うと、とてもうれしい笑顔をします。英語のフレーズも気に入っているようです。
一方で、私の英語が上達しないことが最大の悩みですが、何とか子どもたちに助けてもらっています。
次回をお楽しみに

「会報74号」 2004.6)


すすむっち report from Lincoln

こんにちは。
大統領選挙に関して 街のあちらこちらにあった芝生の上に立っていたポスターもなくなりました。
新緑の季節から初夏へと季節は変わりましたが、日本の夏のようにとても蒸し暑い日があります。日差しは日本では考えられないほど強いので、日本の真夏並みの日もあります。
けれど、子ども達が登校する朝7時ごろでも、気温が10℃を下回ったり、季節の変わり目で、サンダーストーム(とても激しい雷雨)やトルネード(竜巻。Lincolnではここ何十年もない)もあるようです。
私の英語力でも理解できるので(自閉症の子ども達と一緒で、字幕や絵は、わかりやすい)、天気予報やニュースを観ています。

先日2回目の参観に行きました。

週2回STの先生の授業があるとのことでその日を選んで行きました。
STの先生は、障害をもった子どもだけでなく、発音が上手く出来ない子ども達にも、個別的に援助しているようです。
進はかなり早い時期から、担当のSTの先生が大好きで、(登校した時に、進のスケジュールをカードによって提示されます)STの授業があるときやPEの授業があるときは、とても楽しみにしながら、他のワークやELLの授業に参加するようです。STの先生は、進の大好きな汽車のおもちゃなどを教材に利用しているので、本当に楽しみにしています。
レゴのブロックや粘土あそびやこの汽車のおもちゃを通じて、発音できる言葉の数を増やしたり、D,W,Mなどの子音の正しい発音も教えたりしてくれています。

もう1つの私のお楽しみは、自習スタイルで勉強している様子をみることです。
カードで、自習スタイルのスケジュールが示されると、上の棚から順番に、自分のワークをやり終えていきます。
もちろん最後は、"Susumu plays"で自分の好きな遊びをチョイスして、遊ぶことが出来ます。鉛筆で点と点とを結んだり、自分のジャンパーに見立てたファスナーを閉めたりしていました。

それぞれのワークの後、"Susumu plays"で自分の好きな遊びをチョイスして、遊んでいますが、"Next schedule"と先生に聞いています。
家でも、夕食後、私も何とか片づけを終えて、ほっとしていると、「おかあしゃん、なにするの?」と最近は言うようになりました。言葉で、「シャワーしようか?」と答えますが、進は「いらない」と言います。
先生にもらったカードやデジカメで撮った写真などで、我が家でも何とか、彼のスケジュールを明確にしていかないと、我が家や週末、これからは、夏休みに、進が困った状態になってしまうのに・・・、と反省しています。

もちろん、進は学校(家でもアメリカ人の人が来たときも)では、ネイティブな発音で、話しかけます。私には日本語です・・・。
しっかり使い分けているところが、歯がゆいのですが、英語の単語もどんどん話しているようです。自閉症専門教官のMrs.Muggyが5段階(リピートか、ラベリングか、要求として言っているか・・・など)に分けて、毎日記録しています。家では言わないのですが、ちゃんと英語の質問に答えているようです。(先生:" What does a duck say?" 進:"quack,quack.")

アルファベットを順に並び替えたり、公園の名前を書いた木の看板の文字を言いながら、指でなぞったりしています。英語で20までは、数えられるようになっています。アルファベットも数字も、ネイティブな発音です。
もちろん、日本語での要求も家では少しずつ、出来るようになっています。けれどこだわりもあり、最近はだいたい岡山市と同じぐらいの面積の街なのですが、ほぼ場所がわかっているようです。どの角度からでもわかるようで、自分の思う道順を「まーがって!」「まっすぐ!」など言います。

来月4日で、この学年も終わりです。8月24日からは、1年生になります。
もちろん、同じ学校なので入学式などもありませんが、1年生から5年生まで、基本的に同じ時間、学校で過ごすようになります。
また今までは、午後子クラスだったので、給食は食べていませんでしたが、食べることになります。
IEPの目標も、皆さんにこの文章が読まれるころには、決定していると思いますが、まだまだ課題はありそうです。

子ども達の成長とは関係ない私ですが、次回も楽しみにしてくださいね。

「会報73号」 2004.5)


すすむっち report from Lincoln

こんにちは。
Lincolnでは、"daylight saving time" (夏の日照時間が長いので、有効利用するために1時間時計を早くする制度。採用していない地区もあります)が、4月4日から導入されました。

今までは11時に寝ていた進も、12時ということになります。なかなか調整が難しいです。この制度を採用しても8時半ごろが日没です。夕方が長い生活になっています。私も、最近になって やっとリズムがとれるようになりました。睡眠障害のある進にとっては、体調も崩しやすくなり、日本で受診するようなわけにも行かず、色んな人に情報やアイデアをもらい、何とかこのピンチを乗り越えつつある今日この頃です。

先月お話しましたIEP(個別プログラム)を選び出すためのCOACHという、聞き取りがありました。漠然とこんなことが出来るようになって欲しい、というように目標を設定するのではなく、多角的に現時点の進をとらえて、問題点を明確にしていく方法のようです。

最初に、現在の問題(たとえば健康面など)から将来(どんなところで生活させたいか、させたくないかなど)にわたって、簡単な項目に答えました。

その次に、進の場合は6つのカテゴリー

(1) Communication Priorities コミュニケーション優先事項
(2) Socialization Priorities 社会性優先事項
(3) Personal Management 個人としての行動の統率
(4) leisure/Recreation 余暇やレクレーション
(5) SelectedAcademics 学術的なこと
(6) school 学校     

・・・では、にわたって、それぞれ 5から10近くの質問項目があります。

「Yes」か「No」で答えて、更にそれについての獲得の必要性を「Need」か「not」で答えてから、カテゴリー内で、優先順位をつけていきます。どれも1をつけたかったりして、大変な作業でした。
最終的に6つのカテゴリーの中から選んだものを全て拾い出して、最終的に ここ1年のIEPのゴールにしたいものを8項目選びました。
私が選んだものは(訳が適切でない場合は英語を読み取ってください)

○ adjust to unexplained changes in routine 日常生活のうえで予告なしの変化に適応できる
○ recognize and avoids danger  危険を認識して避けることが出来る
○ care for bowel and bladder  排泄の始末ができる
○ respond to emergency alarm  緊急のアラームに応答できる
○ give self-identification  自己同一視がわかる
○ use a clock  時計が使える
○ participated in small groups  小さな集団へ参加すること
○ travel to and from school safely  学校から安全に出かけること

大変な作業でしたが、IEPのメンバーの先生それぞれに、この内容を検討してもらい、最終的に会議で近く決定する予定です。

話はかわり 4月に入って早くも夏休みに向け、小学生以上の子ども向けキャンプの申し込みが始まっています。
宿泊のものや、1週間朝から夕方まで、内容も、スポーツをしたり、クラフトをしたり…と色々なものがあります。子どもには色んなことを体験させたいと思いながら、料金も安くないので、長い夏休み、参加の内容や期間をうまく吟味しながら申し込んでいきます。
一般的には知られていませんが、公的に障害児のためのプログラムがあるようです。

市内で4校の小学校であるようで、3日ほどのプログラムかと最初思っていましたが、月曜から木曜日まで5週間あります。時間は9時半から11時半なのですが、このプログラムに参加する日はどうにか規則的な生活が、送れるようでホッとしていました。
早速、小学校から申し込んでもらいました。

近くといっても、自家用車でしか交通手段がないので、毎日送り迎えを覚悟していたら、スクールバスでの送迎の対象でした。
なぜかというと、まだIEPにはなっていませんが、先ほど選んだ項目の中に、学校から安全に出かけることが含まれていたからだそうです。IEPはこんな学校外での生活にも法的拘束力があるようです。びっくりしました。
障害児の兄弟のためのプログラムもあり、先日長女が参加しました。

順調にいっている反面、帰りのバスの中で、勝手にシートベルトを外し立ち上がり、何度も道中、運転手さんを困らせたり…。自家用車で迎えに行くようになるのか…など、私なりに心配したこともありました。まだまだ全てのことが順調ではありませんが、次回はおそらくIEPが決定してると思われるので、報告しますね。

「会報72号」 2004.4)


すすむっち report from Lincoln

こんにちは。

何とか春になったと思うと、また寒かったりと落ち着きませんね。

けれども芝生の緑が少しずつ回復していく様子を毎日見ていると、やっぱり春が来たなあ…と思います。もちろん こちら(アメリカ)では新学年のスタートは8月下旬なので、新学期の感じもしません。ここは2学期制で かつ 前半後半、つまり4つに分かれています。

ないと聞いていた春休み(1週間)が終わると、いよいよ学年の総仕上げです。

今回は11月20日にあった1回目のIEP (individualized Education Program:個別教育計画 ) を決めるための会議 (MDT:Multidisciplinary Team 多分野にわたる療育チームメンバー )、先日3月18日にあった2回目のMDT会議について、お話しします。

そもそもアメリカでは1990年に全障害児教育法によって、IEPの制定が法律によって義務付けられています。長くても1年後の目標を決めて、その目標に到達するための短期目標を決めて、到達できているかどうかを会議で確認、再調整をするそうです。

前回にも、お話しましたが、入学後 45日間、進が自閉症であるかどうかを観察した結果、多分自閉症であろうという結果となり、1回目のMDTの会議では、自閉症であることを前提として、発達テストなどを行うことになりました。日本での(渡米することを前提にお願いしていた)検査結果を、こちらで英語に訳してもらいました。同時進行で、COACHと言う自閉症の度合いを見るテストを、教師(進の場合、自閉症の専門の先生Mrs.MuggyとELL担任)そして保護者(私)が答えました。

2回目のMDT会議では、COACHの結果その3人のそれぞれのポイントがアメリカで言う、自閉症の域に到達していたという報告と、さらにそれぞれの内容の結果を、ST(週に2回)、クラス担任、one of one担当の先生、そして学校の責任者の教頭先生に、説明がなされました。保護者の私が認めたので、初めて進が自閉症としてアメリカでの学校教育の中で、教育されることになりました。もちろん、冬休みなど休みが入っていますが、個別の課題は教室やELLですでに行われています。そして英語の単語も、とても短い期間で(私が家で話さないと言うハンディもありながら)100を超える、単語を話すようになっています。

話は戻りまして、進が自閉症としてアメリカでの学校教育の中で教育されることに同意すると言うサインをして2回目は終わりました。この書類をもって、学校での様子をPTやOTが観察のために来校したり、Mrs.Muggyの指導教官であるUNL(ネブラスカ州立大学リンカーン校)の先生が、この会議のメンバーへ説明するために来校したりするようです。

なお、日本においても、自閉症について保護者が療育場面で、よい指導者に恵まれている場合もあるようです。この方法が軌道に乗ると、家族も学校も療育者も目標に向かって、それぞれの分野での役割を効果的に果たせるようです。

進は2月より、自習スタイルの課題もスケジュールの中で、始まっています。3月より定期の時間(3時間)を過ごし、自信をもった笑顔でバスを降りてきます。学校でもみんな進の名前を呼んでくれ、人気者のようです。

何かご意見、ご質問があればどうぞ!それでは次回をお楽しみに…。

「会報71号」 2004.3)


すすむっち report from Lincoln

こんにちは。早いもので こちらの生活も もう5カ月になろうとしています。
先日、初めて我が家に来てくれたLincolnで生まれ育った夫妻の話によると、今冬の大雪は近年まれにみる大雪だということがわかりました。

【すすむっち kindergarden へ編入する】の巻

さて、事前に夫が、Lincoln Public School(教育委員会)を訪問した時に、通訳を要する(特にすすむの自閉症については、細かい話も必要だったため)と判断され、面接とテストの日は、日本語通訳の人と時間調整のうえ、決まりました。
子ども達の時差ぼけがなくなりつつある10日目でした。

小3の姉や小1の兄と同様、ほとんど英語が理解できないので、ELL(6校に1校の割合であります)のある、Zeman Elementary schoolへ通学することになりました。面接やテストの間、進は待つことができず、オフィスの電気を消したり、最後は玄関で外の自動車を見て、何とか時間を過ごしました。

他の2人より1日遅れて、午後のkindergarden(日本では幼稚園年長でアメリカでは義務教育)に通うことになりました。
すすむも例外なく、玄関までスクールバスが、迎えにくるまで待つだけで、初日から、本人1人のみが乗車すればよいと言われました。
本当にこれだけの打ち合わせでいいのかな…と思っていたら、2日前にZemanより電話がかかってきました。しかし、私も英語がわからず、Faxで事前の学校訪問を伝えられました。

ドキドキして放課後、本人と夫と行きました。けれども、初めての場所で建物から出ようとするばかり。たまたま、目の前にあったボールを放り投げ、棚の上のものが落ちてきたり…。応対に出てくれた校長先生もびっくり。ひたすら"No"と言われていました。

夫と教頭先生は教育委員会からの資料をもとに、話をしていました。最後にサインを求められました。
内容は、45日間、すすむが自閉症であるかどうか、観察期間として設けていること、もし、そうでなかったら(…こんなことは無いと思いましたが)、他の子供と同じ教育を受けさせます。
もう1点は、薬などの内容について、日本の主治医に問い合わせをしても良いか…ということでした。

そして2日後、バスの時間になりました。玄関で待っていても来ません。15分待っても来ません。
2日前の学校での打ち合わせで、簡単なスケジュールを絵本にしてもらって事前に知らせていました。すすむは事態がわからないままに、部屋に戻ってしまいました。

何とか私の英語で、今から連れて行きますと連絡をして、Zemanへ行きました。
ところが、すすむにとってまだ魅力もなく、車から降りません。何とか降ろして校内に入りました。

「いかない、いかない」「まっすぐ、まっすぐ」の連発で、すぐにMrs.Muggy(自閉症の専門の先生)が来てくれました。

Mrs.Muggyは、だまってカード(これからの簡単なスケジュール、3項目)を示しながら、すすむの大好きなシャボン玉を見せました。
すすむの one of one 担当の先生も一緒にいて、すすむの気持ちが静まるのを待ちました。
そして、そのシャボン玉にひかれるように、登校時の玄関に案内され、かばんを下ろし、大好きな帽子を脱ぐ様に、カードで示されました。この間、教頭先生や校長先生も見ていました。Mrs.Muggyは時間を計っていましたが、一言も話しませんでした。
ただ、うまくすすむができたときに、ちょっと大げさにうれしい表情をするだけです。

待つことができないと、事前に言っていたので、ストップウオッチで、待つ時間を示されました。
私はすすむがストップウオッチを好んでいることは知っていましたが、こんな風に使うとは思ってもいませんでした。すすむはとても喜び、時間のカウントダウン(…を意識していたのかどうか?)を、この日を境に、理解するようになりました。

kindergardenの部屋へ入って、1つの机に1対1で座って、Mrs.Muggy は、1・2・3・All doneのカードを見せながら、簡単なパズルや描画などのワークを次々としました。その手技は、とても手馴れていて、すすむの気持ちが変わる一瞬も無かったほどです。
そのうち、Mrs.Muggyといっしょに、別室へ移り、私は一足先に、家に帰りました。午後のkindergardenなので、帰りは、姉達と同じバスで、帰って来ました。自分の思う方角でないと、「まっすぐ、まっすぐ」と、大声を出すすすむは、初日から、大変だったようです。翌日の金曜日(その後1週間の秋休みが控えていました)は、定刻に、何とかバスに乗って登校しました。

その日の夕方、通訳の先生を通じて、電話がかかってきました。すすむにとって、正規のkindergardenで過ごす時間(3時間)は、大変困難なこと。しばらくは1時間で下校しますとの事でした。
今まで(仕事をしていたとは言え)1日10時間近く、保育園で過ごしていたことを思うと、1時間はあまりにも短すぎましたが、初日の様子から、すすむにとっても大変な思いをしていると判りました。

すすむにとってのkindergarden、どんなに大変なことだろうと思っていましたが、日本へ送るために、写真を撮ろうと言うことになり、2日後の日曜日に、休日のZemanへ出かけました。すると、不思議なことにすすむは「マーギーせんせい」と言いました。
誰もこの学校で『せんせい』とは言いません。
しかし、Mrs.Muggyを「マーギーせんせい」と、すすむは理解したようです。そして、大好きな標識のそばで、とてもすばらしい笑顔で写真を撮りました。


次回は 11月20日にあったIEPの会議(私も通訳の先生と参加しました)についてお話します。
このkindergardenでのたった1時間の生活、いつまで続くかと、途方にくれましたが、3月からは3時間の定期の時間を過ごすことになっています。現在のすすむにとってのkindergardenでの生活は、戸惑うこともなく、英語も理解しつつあり(!)、とても快適なようです。

何かご意見、ご質問があればどうぞ!それでは次回をお楽しみに…。


日本からの渡米が決まった時、
「すすむくんはまだ小さいから、きっと英語の吸収が早いよ」
「そのうちお母さんと他の人との通訳になれるかもね」

なんて冗談半分でお話していたのですが、最近は、時々ですが英語の単語を話す時は、かなり正確な発音で話すようになってきているそうです。
本当にそうなる時もなんだかそう遠くないかも・・・?

国を渡って手紙のやりとりが、インターネットで簡単にできる時代、不思議ですね。ぜひご感想やご意見を、「すすもっちのお母さん」まで。
メールがない方は事務局から送りますので、どうぞご遠慮なくご連絡ください。
ちなみに、日本語で送って大丈夫ですので、どうぞご安心を。次回も楽しみですね。

「会報70号」 2004.2)


すすむっち report from Lincoln

昨年10月に渡米したすすむっち。

その後の様子を、会報を通じて報告しています。
先月は紙面上と私の都合でお休みしましたが、前回に引き続き「9時間50分」の機内での様子を報告します。

成田空港は、時々しか(いないときもある)飛行機が止まっていない岡山空港とは大違い。大好きなANAもJALも Korean Air も、飛行機待ちのときも、機内に座ってからも見えました。ルンルンの進でした。

しかし、シートベルトを嫌がり、怒ってしまいました。もちろん、大好きな(夏合宿でも注目だった)布あいうえお絵本も、メイシーちゃんも、その他いろいろグッズは重かったにもかかわらず、機内持ち込みをしました。
North West Airだったので、唯一の日本人スチュワーデスさんに事情を話したところ、『何かお手伝いしますけれど…』と言われました。とても心丈夫になりましたが、今のすすむにとって、早く離陸して、シートベルトを外すことしか、思いつきませんでした。
通路をはさんで、隣のアメリカ人男性は半袖姿でちょっと、怖そう。その後ろの日本人か中国人かの男性は「こんな席、最悪…」と言う表情。

何とか軌道に乗って、シートベルトを外して、みんなやれやれ。機内食も出て、いよいよ消灯の時間。離陸して4時間後なので、日本時間ではまだ7時過ぎ。眠れるわけがないです。事前に脳波などの検査のときに眠くなる薬を処方してもらっていて、家でも飲んだので飲ませようとしましたが、水薬で量も多く、飲まずに服が汚れてしまいました。けれど、時間が経つにつれ、眠くなってきました。

けれど、車でもほとんど眠ることのないすすむが、エコノミークラスの座席で眠るということを、納得できず、通路側の席で寝ている夫の前は通れないので、座席の下から通路に脱出したり、大きな声で怒ったり…と、寝ている夫とは裏腹に私は、どうしたらいいのか、困ってしまいました。
こんな時間が過ぎて、偶然、成田空港までの様子をデジカメで撮影した中に、すすむの好きなETCを通過するシーンを見せて、何とか落ち着き始め、餞別にもらった大好きなメイシーちゃんの本を抱いたまま眠りました。乗り継ぎのMinneapolisに着くまで、座席でくの字になって、寝ていました。

いよいよ、入国審査。長い列でしたが、成田空港から急遽決めた目印のシルバー色の機内持ち込みのスーツケースがすすむの座る場所。列が少しずつ前に進みますが、このスーツケースも少しずつ、前に進めて、やっと順番が来て、通過できました。とても緊張した時間でした。次の便への手続きをして、広い空港内の移動です。
もう日本人はいないし、すべて英語(当然ですが)の表示(店の看板も)で、日本語を話すのは私たち家族だけ。何回も長い、moving walk を乗ったり、降りたり・・・。そして、出発のゲートに着きました。着いてからも1時間ほど、時間があったのですが、疲れていて、店などに行く気もなく、餞別でもらったクッキーやお菓子を食べていました。

この頃、すすむは大好きだったメイシーちゃんの本も放り投げて、落とすということを、しきりにし始めました。もう本をdropすることしか、興味がなかったようです。けれど、スーツケースに座るように言うと、「はい」と言って、座りました。

日本時間の翌日の早朝4時ごろ、こちらでは昼2時ごろ、lincolnへの国内便に乗りこみました。小さな飛行機だったため、横2列通路はさんで2列だったため、とてもよく外が見えたようです。小1の兄は「ジグソーパズルみたい」と言っていました。すすむもとても楽しんでいたようです。私はすぐ、眠ってしまいました。

そして、1時間ほど経って、目的地Lincolnに到着。日本時間で、翌日の朝6時、こちらでは同じ日にちの4時でした。自家用車で(もちろん左ハンドル)我が家へ着くまで、見慣れない交通標識に、日本とは全く違う町並み…、すすむは少し戸惑いながらも、楽しんでいたようです。

次回は、日本では年中(保育園では4歳児)だったすすむが、(9月から新学年)こちらでは来年9月に就学と言うことで、Kindergardenに編入した様子を報告します。何かご意見、ご質問があればメールにてどうぞ。


ご主人のお仕事の関係で、昨年10月にご家族全員で渡米された会員のYさんからのお便りでした。
息子さんの「すすむっち」くんも新しい学校へ通い始めたり、言葉の通じないアメリカで頑張っている様です。
私達も頑張らなくては!と励まされます
ね。次回もお楽しみに。

「会報69号」 2004.1)


すすむっち report  from Lincoln

こんにちは。育てる会 会員の ”すすむっちの母 Y・Y”です。
この度 会報に 父親の仕事の都合で、アメリカへ家族ごと引っ越した私たちの生活を載せていただくことになりました。

ご存知の人もおられますが、簡単な紹介から。
このコーナーの主人公、自閉症児の「すすむ」は5歳(平成10年5月生まれ)です。
姉小3・兄小1・妹・2才の4人兄弟と両親の6人家族です。

夫は鳥取、私は京都出身で、結婚を機に岡山で暮らし始めて、10年が過ぎた6月のことです。
夫が「アメリカのネブラスカ州立大学へ仕事に行く」と言いました。
当初、「短期かな・・・」と思っていたら、3年ほどとのこと。
留守番もたいへんだなあ・・・。生後10ヵ月から通園している保育園の先生方やお友達、そしていつも温かく見守ってくれる保護者のみなさん、近所の人たち、そして、7月から支援費でヘルパー派遣をお願いしようと思っていたこと・・・など、色んな迷いはありましたが、偶然見つけた「アメリカ障害児教育の魅力」を読んで、渡米を決意しました。

決意してから まず困ったことはパスポートの写真です。
パスポート申請の窓口で夫が相談したら「写真屋さんで相談してください」とのこと。
相談するにもまず、雰囲気的に狭かったり、暗い空間は嫌がるので、そんなことがわかれば苦労しない・・・と言いたかったらしいですが、デジカメで家でとって、後はちょっと夫がPCで小細工をして、無事に受け取ることができました。今は子どもも(2歳の妹も)自分のパスポート1冊が必要です。

先に出国する夫にできるだけ、すすむが具体的に「こんなところに行く」と言うことがわかるように(機内の様子も含めて)デジカメで写真を撮ってくるように準備していたのですが、思うように撮影できなかったことと、私たちと渡米するのに一時帰国したものの、準備ができなかったことであまり大したことはできませんでした。

すすむは飛行機が好きで、1週間に1・2回ぐらい(週末とあと1回)岡山空港の駐車場で飛行機の離発着を見せに行っていました。だから、岡山空港から出発するプランには何も抵抗もなかったし、いつも塀の外から見ている飛行機が目の前にあって、とても喜んでしました。

保育園最後の日、いつもと同じように「せんせい、またあした」と言うすすむを見て予告してあげていない(もちろん話はしていても、本人には渡米について理解できていない)ことを、すまないと思いました。
当日、空港まで、おじいちゃんとおばあちゃんの他に、お友達のお母さんや休暇をとって保育園の先生が見送りに来てくれました。
私たちは多動のすすむが途中でいなくなることが最大の心配事でもあり、姉や兄のうきうきした状態とは逆に、とても緊張した1日が始まりました。

飛行機が旅立って(東京行、ANA)しばらく私は涙が止まりませんでした。
たった10年の岡山での生活でしたが、家族が増え、いろんな人と知り合え、またすすむの自閉症告知の後、周りの人が私達親子を見守ってくれることで人生の大きな転換を乗り越えつつ(まだ乗り越えていませんが)あった矢先のお別れ。機内では「どうして東京に行くことで泣くことの?」と思った人もいるかもしれません。
すすむは少し疲れも出たのか、別離が分かったのか、少々ぐったりしていました。
(後で分かったことですが、自動車に乗るときは絶対にシートベルトをするのですが、飛行機のシートベルトは予想していなかったことだったので、嫌だった様です)

東京から成田までの高速バスは大好きな高速道路でたくさんの種類の車や標識が見えて、他5名は昏睡状態のなか、すすむは るんるんで過ごしていました。成田空港近くになると大好きなANAやKorean Airが見え、しきりに言葉にしていました。空港では迷子にならないように(余裕の時間もあまりないことから)かつ、トイレに行くと本人が言ってから、5分ぐらいしか猶予がないので、父親が手続きをする間、大好きな本をロビーの床の上において、時間を過ごしました。

さて、手荷物が多く、家族も多いので出国の手続きも思ったよりも時間を要し、やっと出国のゲートを通過して、成田から乗り継ぎ地 Minneapolis までの10時間の飛行機の旅。この様子は次回、お話します。

「会報67号」 2003.11)