平成16年11月2日
第78号
NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会
新潟県中越地震
自閉症支援者養成セミナー報告
次回セミナーのお知らせ
すすむっち report from Lincoln
〜遠足の巻〜お母さんからの体験談
AAO活動 ・ キッズルーム
サッカークラブ ・ 水泳教室
OHAの会 ・ 育てる会勉強会
支援者養成講座
私のお薦め本
『 発達障害のある子の困り感に寄り添う支援 』掲示板 ・ 面白コラム ・ 事務局だより
急に寒くなってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
先日の台風では、我が家のある山陽町も随分と風がふきました。
朝起きてみると、なんと折れた竹が自動車の車体の下に入り込んでいるのです。七夕飾りを作れる位の大きな竹が、ぐいぐいと押し込まれるように入っているのです。山も竹やぶも、木がたくさん折れて、アチコチの山肌で土砂が崩れておりました。
空前の大きな台風は、日頃平和な岡山にも大きな爪あとを残して去っていきました。
玉野市をはじめニュースでたくさん亡くなった方や家を失った方があることを知りました。
そしてその報道が続いている中、今度は新潟で突然の地震が起こりました。次々に被害の状況がテレビに映し出されました。
台風でも地震でも家を失われた方々が、避難所での生活を今も余儀なくされています。
それにつけても思うことは、自閉症の子ども達やご家族は、こんな時どうされているのだろうという事です。
避難所は、一人当たりの空間も狭く、見通しが持てない状況に、自閉症の子どもは、耐えられるのでしょうか。きっと混乱して泣いたり騒いだりしてしまうに違いありません。
私なら起こるであろう困難の数々を考えると避難所には入らず、車の中ですごすことになるだろうと思います。こんな時、親は、子どもの混乱もさることながら、同時に周りの人達に迷惑をかけてはいけないと思う習性が身についているのです。
日頃、泣き叫ぶ子どもに 買い物や病院での診察室でも、身の縮むような経験をしたことが、私達 自閉症児の親にはあります。
周りの「どうしたんだ!」「なんてしつけの悪い子なんだ!」という、きびしい視線に辛い思いをしたことがあるからこそ、とても避難所では暮らせそうにありません。
子どもにとっては突然何の前触れもない災厄です。私達は、起きてしまった出来事をいつかは、腹をくくるしかないと諦めていくこができますが、自閉症の子どもは、気持ちの切り替えが、難しくショックな出来事は、繰り返し繰り返し思い出し、彼を苦しめます。地震で家がつぶれたらと思うと、我が息子だったらどうするだろうか、考えるだけでも恐ろしく不安です。TVのニュースを見ながら、自分がこの事態に見舞われたらどうするか・・・と考え続ける私でした。
日本自閉症協会から、義援金の呼びかけの文章が参りました。この義援金は全額自閉症協会の新潟支部へ届けられるそうです。
私たちも、同じ自閉症児の親としてこの呼びかけに応えたいと思います。育てる会の会報は、当会の正会員・賛助会員・ボランティア・学校・施設そしてお世話になった方々へお送りしております。一刻も早く少しでも多くの義援金を効果的に自閉症児を持つ家族へ届けたいと思います。
皆様のご協力をよろしくお願いいたします。詳しいことは、同封のチラシをご覧ください。
さて、先日、門慎一郎先生のセミナーが行なわれました。その休憩時間に先生と色んな話をする中で、歯科の診察や耳鼻科での診察についての話がでました。
先生が講演会でも触れられた、視覚的に伝えれば自閉症の子ども達も診察を受けやすくなる、という話にでてきた視覚支援の絵カードが話題になりました。
講演でのパワーポイントの絵を見ての長谷川副代表の感想です。
「絵はもうちょっと優しい感じの物の方がよいと思いますね」
すると先生が、「岡山でも作ればいいでしょう」と言われました。
京都ではすでに医療カードとして販売されているものもあるそうです。
そこで、早速育てる会でも、優しい感じの物を作ろうという話になりました。
私が内容を考えて、絵の得意な長谷川さんが描いて、門先生が監修してくださる・・・なんて話にまでなりました。
それと同時に就学時検診においても視覚支援が必要と言う事を感じています。
元ボランティアのAさんから聞いた話です。
彼女が現在勤めている学校の就学時検診の際に、自閉症の子がどうしても検診を受けることが出来なかった話をしてくれました。
これも視覚支援があれば、どんなことをするのか、どれくらいで終るのか、そして終った後、どうなるかを子どもに伝えられると思うのです。
内科検診では、白衣を着たお医者さんは、ただ聴診器を当てるだけなのに、そんなことを知らない子どもは、注射があるのかもしれないと不安になるかもしれません。
耳の検診は、聴覚過敏や触覚過敏の子には、意味も分からず耐えられないことでしょう。少しでも不安を和らげる工夫がなんとか出来ないものでしょうか。
私達はこれまで我が子にどのように伝えればいいかを考えて、色々工夫してきたことがたくさんあります。小さい子どものお母さん達にそれを伝えていけるのではないでしょうか。
就学時検診には、自閉症の子どもだけではなく色んな分かりにくさを持つ子ども達が来ます。そういう意味で視覚支援は、学校にとっても助かる支援グッズに違いありません。
さて、話変わって、いつもの我が家の話題です。
哲平の通学カバンは、じゃらじゃらと色んなもの(おまけで貰った携帯のストラップやお守り、マスコットなど)が重たいほどぶら下がっています。
高校生の通学カバンにしては少し異様な感じがするのですが、本人はいたってご満悦な様子。本人なりに、よりかっこよく見えるように時々アレンジしなおしているようです。
通学途中の道すがら「少し減らしたほうがいいのじゃないの?」と、遠慮がちに言ってみたところ、なんと答えは、「いいじゃん!」という確固たるものでした。
「あんた、いつそんな横浜弁を覚えたん?」
それにしてももう母親の言う事なんか聞きゃしない。いっぱし高校生らしい反抗的な態度です。大人しくて素直で可愛くて 気のいい哲平君はどこへ行ったやら・・・。
一ヶ月前よりも なお一層親離れしていく哲平君に、母は戸惑っているところです。
さてこれからどうなりますことやら・・・、乞うご期待!!
育てる会 代表 鳥羽 美千子
自閉症支援者養成セミナー 報告
去る10月24日(日) 岡山県生涯学習センターに於いて
『高機能自閉症・アスペルガー症候群へのサポート』
〜自閉症スペクトラムの基本を踏まえて〜
という演題で、京都市児童福祉センター 副院長の 門(かど)眞一郎 先生による講演会が開催されました。
定員以上の方が「立見でも聞きたい!」とお申込みくださいました。
秋も深まり、冷房はとっくに終わった季節でしたが、多くの参加者の熱意と熱気で、部屋は大変暑くなり、参加者の皆様には大変ご迷惑をおかけいたしました。
参加された方からの報告を頂きましたので掲載させていただきます。
去る10月24日、門眞一郎先生の『高機能自閉症・アスペルガー症候群へのサポート 〜自閉症スペクトラムの基本を踏まえて〜』という講演をお聴きしました。申し込み多数のため 当日は椅子持参の方も多く、私もその一人でしたが、興味深いお話に夢中で耳を傾けました。
午前中は『自閉症スペクトラムの障害特性と視覚的構造化』という題で、自閉症スペクトラムとはという基本から、その特性や対応の原則についてのお話でした。中でも 演題の通り、特に高機能自閉症・アスペルガー症候群の人について詳しくお話しくださいました。
自閉症の人は、「言葉を耳で聞いて理解することは苦手で、目で見て理解することは得意である」というのはよく知られていますが、高機能自閉症・アスペルガー症候群の人で、話し言葉が得意な人に対しては ついつい言葉だけのコミュニケーションに頼りがちです。しかし、視覚的な手がかりがある方がより理解しやすいのは誰しも同じことです。構造化はどのような場面にも存在しています。そして、場面の意味と見通しを理解しにくい自閉症スペクトラムの人には、徹底的に『百聞は一見にしかず!』=視覚的構造明確化が重要であることを再確認しました。
午後は『高機能自閉症・アスペルガー症候群へのサポート』という題で、主にソーシャル・ストーリーについてのお話しでした。ソーシャル・ストーリーは、対人関係場面(ソーシャルな場面)の意味や他の人の心理を理解しにくい人たちのために、キャロル・グレイによって、1991年に創始されたものです。
これは、指示に従い服従させるために使うのではなく、ソーシャルな理解を教えるために使われます。相互理解ではなく一方的な押し付けになると、書かれた物や視覚支援を拒否するようになるので、その人のことをよく知っている人が、その人の視点に立って作ることが大変重要になってきます。また、私たちは問題行動ばかりに目が行き、それを改善しようとしがちですが、普段からその人のよいところを見る目を養うことが大切であると思いました。
さっそく私もソーシャル・ストーリーを作ってみました。
門先生、実例をたくさん挙げてのとてもわかりやすい講演をありがとうございました。
日和 智子
<保護者アンケートより>
本当の意味のソーシャル・ストーリーについての説明が事例をあげて実際に説明を聞けてよく分かりました。
やはり児童精神科医というドクターの方ですので、データ・理論に基づき、結果と原因がよく分かり、説得力・迫力があり、とても勉強になりました。特にソーシャル・ストーリーについて、今までよく知らなかった私にとってはとても興味深く聞き入ってしまいました。先生の本、ぜひ買って読んでみたいです。
エピソードの量と質がGOOD!ソーシャル・ストーリーに興味があったので、具体的に教えていただけて勉強する意欲が湧いてきました。
書いてみようという気持ちになりました。
今日の講演を我が子の保育園の先生にご案内したら、6人も(園長先生・担任の先生含め)参加してくださり、本当に涙が出るぐらい嬉しかったです。こういう機会を与えてくれた育てる会のお陰でもあります。本当にありがとうございます。
次回もぜひお誘いしようと思います。
知能検査の活用の仕方はとても参考になりました。
先生がHPでおっしゃっていた「ジョークがなかなかウケない」の感覚が分かりました。一生懸命考えて、あとから説明して遅れて笑いを取る。この慎ましさが門先生のたまらない魅力だと思いました。
医療の現場から親や教育者のところへお出かけくださって、啓蒙活動を続けてくださっている姿に頭が下がります。
ファンになりました。
<教職員アンケートより>
とても分かりやすかったです。視覚的な構造化がなされているからだけではなく(笑)、言葉一句に対しての解釈や定義が細かくあるので、全体のことがよく分かりました。
具体例も多く、身近に感じやすかったです。
しっとりとした 聞きやすいお声でした。今まで聞いていた言葉(専門的な)も、改めて意味がよく分かりました。
また、ソーシャル・ストーリーや構造化についてじっくりお話を伺えたことも良かったです。「ハウツー(どういう対応をすべきなのか)」ではなく、子どものニーズに寄り添った視点でお話をしてくださったことが暖かかったです。
自閉症に関する本はいくつか読みましたが、今関わっている子どもとピッタリくる事柄は少なく、毎日どうしていいか分からないことが多いです。自分で見つけなければ完璧な答えはきっとないのだと思いますが、明日からまたがんばってみよう、と思えるお話が聞けて良かったです。ありがとうございました。
障害児クラス(2〜5才児)担任でありながら、デイリープログラムをきちんと立てていませんでした。そのことで、子どもも不安になったことがたくさんあったと思います。個々に合わせたプログラムを立てていきたいです。
明日から少しずつ実施していきます。ソーシャル・ストーリーも少し使っていきたいです。話を聞き、本当に勉強になりました。
先生のお人柄が素晴らしく、迷子の対応については「好きなんだな、自閉症が」とつくづく感じました。熱心に突き進めて追求されている専門家の方は、本当に愛情を持っていることが伝わってきて、お話を聞くのも楽しいです。
質問(お薬の有効性があるかどうか、不登校になっている子への対応などについて)も大変良かったし、とても勉強になりました。門先生の人間性にも感激しました。
柔らかい口調でありながら、厳しく細かいチェックのポイントを話してくださり良かった。今ソーシャルストーリーを取り入れている子どもがいるので、自分の過ちに気付き、良いことを取り入れたストーリーをぜひ作りたいと思います。
レジメと同じものをスクリーンに出していただきながら進めてもらえて良かったです。文字ばかりだと難しく思えてしまうのですが、今回は要点だけあって、とても分かりやすかったです。ソーシャル・ストーリーのことを知れて良かったです。褒め方の一つとして伝えられたらと思います。
<福祉・医療関係者・学生アンケートより>
「視覚的構造化」というと難しいことのようだが、一般生活の中にヒントが多くあるということに気付きました。
実際の症例に即した話で分かりやすくて良かったです。
専門的な内容が分かりやすかったです。職場(歯科)で絵カード・ジグなどを使用していこうとしていますが、なかなか困難です。
痛みなどの不快な刺激があるので難しいとは思いますが、今回のお話を参考にして、今後も継続していこうと思います。
すごく分かりやすかったです。ボランティアで子どもと活動する上ですごく使えそうだし、大切なところのポイントを押えてのお話だったので、分かりやすかったし、実践してみたいです。
今 大学で障害児教育を学んでいるのですが、授業で学んできたことを改めて自分の中で整理するとともに、具体的な手立てについても聞けて良かったです。
ありがとうございました。
自閉症スペクトラムについての理解を深めることができた一日だった。とても勉強になった。
たくさんの書籍も用意しておられて、また本を読んで知識を増やしていきたいと思う。
今後自閉症の人たちと関わる時に活かしていきたいと思うし、自分の周りの人にも伝えて、皆で一緒に色々と考えてみたいと思った。
次回のセミナー ご案内
10月24日に開催された「第2回自閉症児の自立を果たす為の支援者養成セミナー」へ、多数の方のご参加をいただき、ありがとうございました。
定員の関係で椅子に座っていただけなかった方も多く、大変申し訳ございませんでした。
どうぞ皆様 早めのお申込みをよろしくお願いいたします!!
第3回 自閉症児の自立を果たす為の支援者養成セミナー
【演題】 「自閉症支援のファースト・ステップ」
〜家庭と学校の連携の中で早期からの支援を〜
【講師】 重松 孝治 先生(大阪府藤井寺養護学校 教諭)
【日時】 平成16年12月4日(土)14:00〜17:30
【場所】 岡山ふれあいセンター(岡山市桑野)
「個別支援」「特別支援」・・・最近よく聞く言葉ですが、どうやって「個別支援」をしたらいいのか、悩んでおられる方はいらっしゃいませんか?「長年の勘」や「その人の力量」だけでは、たくさんの子ども達に対応できなかったり、担当の先生が変わってしまうと全く違ったものになったり・・・。限られた学校生活の中で、その子の将来を見据えた支援をしていくために、一体どういう視点を持って関わればよいのでしょうか?
また幼児期・学齢期の子ども達にとって、家庭と学校の連携があるのとないのでは、その子の成長の可能性は全く違ってきます。家庭でしか見えないこと、学校でしか見えないことを埋めていくために、どんな風にお互いを高めあっていけばよいのでしょうか?
「自閉症の子と関わるのが楽しくて仕方ないんです(^^)」
そんな風におっしゃられる重松先生に、子どもと関わる時のポイント保護者や学校の先生と関わる時のポイントなどを、お話いただきます!
秋も深まり、朝晩の冷え込みが、身に凍みる頃になりました。
体調を崩さず子ども達共々元気に過ごされていますか?今年は各地で台風や地震の災害に見舞われ、辛いニュースの連続になっています。幸いにも私の住んでいる町では大きな被害もなかったのですが、被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。
私達自閉症児を抱える親や周りで関わっている人達にとっては当たり前のように言われている「視覚的に訴えること」「目に見える形で示し、本人に分かるように構造化すること」の大切さ・・・私の職場で試みた 小さな出来事をここに紹介させていただきたいと思います。
私は、A病院の透析室に勤務する看護士です。現在関わっている透析患者の年齢は高く、痴呆症を抱えている方も少なくありません。
Hさんという患者さんは高齢で、痴呆を伴った方です。この方は右足 才一趾〜二趾と踵部に懐死を抱えておられ、痛みも伴うためか、いつもガーゼや包帯を取ってしまったり、傷口に直接手で触ったりして、何度言葉で注意しても同じことの繰り返しで、清潔に保つことができませんでした。一度 抑制帯を軽く使用してみたのですが、反対にイライラして、無理に身体を動かすなどして透析中に抜針する可能性もあり、危険なため中止したこともありました。
そんな中、ふと「聴覚や抑制がダメなら、視覚ならどうだろう。娘達に使う物ではあるけれど・・・」と、足に包帯を巻いた絵を描き、絵の上に「包帯を取らないようにしましょう」とメッセージを書き、Hさんが顔を向けている方の、透析機械の横に貼って、注意を促しました。すると、なんとその日一回も包帯を取らず、無事に透析が終了したのです。
まさに「視覚に訴えることの有益性」が証明された日でありました。
それ以来、痛みの激しい時や包帯の巻き方がきつかったりすると、取ってしまうことも見受けられますが、今現在それも週一度あるかないか、というくらいになっています。
もちろん 必ずしも、絵を描いたということだけがHさんの問題行動を軽減させたとは思いません。
痛みがある場合には、足を撫でたり、包帯を巻きなおしたり、包帯の種類を変えてみるなどした中で、視覚的に情報を出し、それを受け止める能力がHさん自身にもあり、色んな行為がプラスされ、今回のような結果が出たのではないかと思います。
私は今まで視覚的に 娘にアプローチすることは(恥ずかしいのですが)あまりできていませんでした。勝手に聴覚での指示で上手にやれていると思っていたのです。娘も学年が上がってくるにつれ、環境の変化も伴い、知的レベルも上がり、周りのことがより鮮明に理解するようになりました。
しかしその反面、それが娘にとっては混乱の原因となり、しばしば友達や学校でトラブルを起こすことも、少なくはありませんでした。
遅まきながら、私もHさんのエピソードや6月にあった坂井聡先生のセミナーの頃から「どんなに上手に喋れていても、聴覚での情報処理に限界があるのでは」と思い、写真カードやスケジュール表を休みの日に作ってみたりして、少しずつではありますが、家庭から学校へ そして地域へ、娘が少しでも生きやすい場所作りをしようと歩みだしているところです。
あの小さな出来事が私と娘の「はじめの一歩」になっています。
ペンネーム チェリー・ママ
チェリー・ママさん、投稿をありがとうございました。私達も毎日の生活の中で、自閉症に関わっていると当然のことと感じてやっていることが、実はいろんな人に役立って、はっと驚いたりすることがありますね。
「自閉症児の弟や妹が、お兄ちゃんやお姉ちゃんのためにと作ったジグや課題で、どんどん自立してくれて、逆に親の代わりに教えてくれるので、とても助かる♪」なんてお話もよく聞きます。
自閉症児にとって分かりやすい支援は、どんな子にだって分かりやすいみたいです。
今後も「はっ」と驚く発見や、「ほっ」とするエピソードがありましたら、どんどん事務局まで教えてくださいね。(TEL/FAX 0869-55-6758)
台風やら地震やら大災害が続きましたが、皆さんのうちは大丈夫でしたか?
我が子は台風23号のものすごい風の音にも、ちっとも反応しませんでしたが、猫とインコはひたすら怖がっていました。
何せドアの前にあった傘におびえて、猫はトイレに行くのをやめたほどでしたから。
猫のトイレを家の中に作るのをやめたため、彼女は渋々嵐の中でていきましたが、一番激しい時間帯だったので、さぞかし怖かったことでしょう。
さて、7月のAAOについて、Oくんとボラさんが感想を書いてくれましたので紹介します。
Oくんは小学校1年生で、字を書くことが苦手だとお母さんがおっしゃっていましたが、そんな風には思えないほどしっかりと書かれていますね。
実は写真に隠れた下の部分に秘密が隠されているのだそうです。矢印が見えますが、そこには「いつ」「どこで」「何を」・・・と書いてあったのだそうです。そのヒントに従ってOくんが感想を書いて、書けたらヒントの上に写真を貼るわけです。
ボラさんはお二人とも大学4年生のベテランです。AAOもあと3回ですが、いろいろな企画を楽しめそうですね。
┏━━━━━━━━━━┓「りょうりめいじん 2」
┃ ┃→ にちようび、
┃ ┃→ りょうりきょうしつで、
┃ ┃→ ぼくとぼらさんと、
┃ ( 写 真 ) ┃→ ぎょうざとごはんとすうぷをつくってたべました。
┃ ┃→ おいしかった。
┃ ┃→ じょうずにできて、うれしかった。
┃ ┃
┗━━━━━━━━━━┛
7月のAAO活動では、初めて調理室を利用しての活動でした。
こういう形で料理をするのは本当に久しぶりで、しかも五目ご飯、餃子、スープという本格的な献立だったので、実は内心ドキドキしていました。
しかし作り出すと、Oくんが率先して私達をリードしてくれました。また手順カードを用意してくださっていたので、最初は不安でしたが、割とテキパキと作っていけたように思えます。餃子の皮を包む時も皆で包み、食器を並べたり協力してできて、とても楽しかったです。
今回、Oくんのご両親とボランティア2名の5人でこの活動ができたことで、また一歩近づけたような気がします。
宮崎 直子
では11月のAAOについてお知らせします。
時 間:平成16年11月28日(日)
場 所:子ども達はそれぞれの活動場所、親は京山公民館2F第1講座室
※料理講座室を使われる方は早めにご連絡ください。(AAO担当:H.T)
先月の会報でもお知らせした通り、いよいよ11月14日(日)に、第3回キッズルームが開催されます。
毎回学生さん達が「自閉症の子どもにもっと分かりやすいように」「楽しめるように」と工夫をしてくださり、「参加しやすくなりました」との声も多数寄せられています。
今回はスケジュールを更に工夫して字が読めない子でも分かるものにしてくれています。
まだ参加したことのない子どもさんも、ぜひ一度覗いてください。
兄弟にもちゃんとボランティアさんがついてくださるので安心ですよ♪
日 時 : 平成16年11月14日(日)
12:00受付 14:00終了予定
場 所 : 岡山大学 清水記念館(場所が分からない方は事務局へご相談ください)
参加費 : 本人1,000円 兄弟400円
申込先 : 11月8日(月)までに育てる会事務局へ
キッズのスケジュール表を作ってくれた岡大の吉田さんから原稿を頂いたのでご紹介します。
皆さんこんにちは。
私は今、療育やキッズルールの課題作りのお手伝いをしています。
課題作り、楽しみながらやっています。図工の時間を思い出しながら作っていっています。
課題の写真がカラーで載っている本を見本に作るので簡単ですし、本にはたくさんの課題が載っているので自分の勉強にもなります。工作は楽しいし、自分が作った課題が療育の役に立つんだなぁ、と思うと何だか嬉しくなります。私は課題作りのお手伝いに行って「ラミネーター」という透明なフィルムをかける機械を初めて知り、課題を作りました。
これがまた楽しい楽しい(笑)。山陽町の気持ちいい風に吹かれながら、おやつを食べつつ(!)、こどもたちに「おかえり〜」と声を掛け、優雅に課題を作る。今では、事務局にお手伝いに行くのが私の楽しみになっているかもしれません。「療育の課題を作る」「活動の構造化をする」というと難しいと感じる方がいるかもしれませんが、ほんとにそんな難しいことじゃないし、かなり楽しいです。
どうするともっと子ども達に使いやすいか、分かりやすいか考えながら作りますが、事務局の方とかとお話しながら、わいわいと作るのもまた楽しいものです。みなさんもぜひ1度、やってみませんか(^o^)吉田 碧子
吉田さん、原稿ありがとうございました。いつも器用にカッターやはさみを使って様々な教材やキッズのスケジュールなどを作ってくれるので、不器用な事務局員としても、本当に感謝です。
キッズだけでなく、育てる会でのセミナーによって、少しずつ色々な活動が構造化されていきます。子ども達にとって、過ごしやすい場所を作っていけるといいですよね。
今後もお手伝いをしてくださる方を募集していますので、興味のある方は事務局までご連絡ください。
サッカークラブのお知らせ
<11月の予定>
日 時 : 平成16年11月28日(日)10:00〜12:00(9:45集合)
場 所 : 旧出石小学校(雨の場合は、同体育館)
持ち物 : マイボール、ゼッケン(ボラさんの分も)、お茶(ボラさんの分も)、
個人ノート、出席カード、親リーダはグループノート
(雨の場合は、体育館シューズ)
★ 11月の活動の欠席連絡は、11月14日(日)までに。
(サッカークラブ担当:Y.S)
水泳教室のお知らせ
先月の水泳教室から、視覚的支援のために出席ボードを使いました。どうだったでしょうか。
本人だけでなく、親の方やボランティアさんにも役にたったのではないでしょうか。
さらに子どもが自分でしゅっせきカードを貼ることで、少しでも自分から行動するということに意識が向けばよいと思います。
1. 各コースの出席ボードの写真にしゅっせきカードを子どもが貼ってください。
2.時間まで椅子に座って待っていてください(コースごとに長椅子に座ってください)
支払いのある人(ボラさんをつける、兄弟参加等)は済ませてから座ってください。
※ボラさんをつける人
ボラさんに挨拶をして、待ち時間に子どもの様子等、話しておいてください。
出席ボードの子どもの写真の下段のボラさんが当日担当してくださる方です。
また、当日の流れは、時計と絵と文字でスケジュールにして貼っておきますので、お子さんと一緒に確認しておいてください。
それから、みんな水に慣れてCコースの人数が増えてきたので、Cコースを2つに分けたいと思います。
11月の水泳教室の時、コーチに見てもらって、12月からC1コースとC2コースで行いたいと思います。
(これからは A→B→C1→C2→D→E とすすむことになると思います。)
<11月の予定>
日 時 : 平成16年11月21日(日)15:30〜17:30(15:15集合)
場 所 : 岡山OSKプール
持ち物 : 水泳帽(子ども:赤、ボラ:水色)・水着・タオル・ゴーグルなど
連絡先 : 育てる会事務局★ 欠席される方、ボランティアさんが必要な方は必ず 11月12日(金)までに 事務局へ。
★ 当日の急なキャンセル等は13:00までに事務局にご連絡ください。
★ 新たに参加されたい方は事務局までお問い合わせください。(水泳教室担当:A.K)
育てる会正会員の中で、高機能自閉症やアスペルガー症候群と言われる子ども達をもつお母さん達の勉強会です。
OHAの会にも、最近新入会員さんの参加が増え、自分達の経験や子どもの現状を話していくうちに、子どもの成長に気付かされることも多くなりました。
今一度、親として子どもに望むもの、子どもにしてやれることはなんだろうと考えてみることも必要だと皆で感じあいました。
・・・とは言っても、楽しいこともいっぱいしたい!ということで、今月は12月に予定しているクリスマス会の予定などを考えてみたいと思います。
<11月の予定>
日 時 : 平成16年11月15日(月)10:00〜12:00
場 所 : 岡西公民館(10月と同じ会場です!場所は先月の会報参照)
参加費 : 300円
申込先 : 11月11日(木)までに育てる会事務局へ
(OHAの会担当:S.F)
育てる会勉強会について
11月の育てる会勉強会は、先月色々な事情で流れてしまった長谷川さんの子育てについてのお話です。
長谷川さんから、お誘いの原稿をいただきましたのでご紹介します。
お久しぶりです。昨年ゆりかごを担当していた長谷川です。
最後のゆりかご講座から半年ほど経ちました。
我が子も4月より、花の中学生(岡山市立C中学校個別学級)になり
慌しい生活を送っておりましたが、最近ゆとりができてまいりましたので、勉強会を開きたいと思います。今回は私の通ってきた道をお話しながら、皆さんの悩みもお聞きできたらと思っております。
多数の問題行動(自傷、他傷、大声)を抑えながら、なんとか落ち着くまでのお話になると思います。
まだまだ子育て真っ最中ですが、失敗談などは特に参考になるのではと思っております。
よかったら、気軽にお茶を飲みに来てください。
<11月の予定>
日 時 : 平成16年11月19日(金) 10:00〜12:00
場 所 : 東山公民館 研修室
参加費 : 300円(当日徴収)
申込先 : 11月15日(月)までに育てる会事務局へ
先月は第6回目として、養護学校教諭の 岸本 和美 先生にお願いして、「―家庭・社会― 生活につなげる支援」 と題した実践報告を行なっていただきました。
自閉症児が行動で問題がある場合、私達はつい『どうしてこんなことをするの?』と考えてしまいがちです。
岸本先生は「そうではなく、『どうしたらしなくてすむのか?』と考えてほしい」とお話されました。子どものせいにしないで、自分に出来ることは何か?どうすればうまくいくのかを考える視点が大切だとお話されました。
聞くだけなら簡単にも思える話なのですが、実際にそれをしようと思うと難しいのです。
例えば、「休憩時間になるとある特定の友達を追いかけ回して困る」という子どもがいた場合、『自閉症の特性での原因は』『それに照らし合わせた本人の状態は』『どう対応すればよいか』をワークショップ形式で参加者一同考えあい、様々な意見が出ました。
また、スケジュールやワークシステムを実例を紹介しながらお話いただきました。
「スケジュールは時間の概念を持ちにくい自閉症児にとって、必要不可欠な見通しの手段」「ワークシステムや構造化は、本人に使い方を伝えていけば般化しやすいし、学校現場では何よりも具体的で確実な引継ぎができる」と熱意をこめてお話くださいました。
とても分かりやすく、参加者一同改めて自閉症の子ども達への支援について考えさせられました。岸本先生、貴重なお話をありがとうございました。
<11月の予定>
第7回 支援者養成講座
日 時 : 平成16年11月19日(金)19:00〜21:00
場 所 : 太陽の家 2階(育てる会事務局)
講 師 : 金島 久美子 先生(養護学校 小学部教諭)
内 容 : 「養護学校における時計や算数の指導について」
参加資格 : 育てる会賛助会員
年 会 費 : 10,000円 ※年間10回講座(途中入会の方、ビデオあります)(事務局:鳥羽 紗代)
○ 川福招待イベントについて
毎年恒例の「川福招待イベント クリスマス会」を今年度も開催されます!
日時・内容・お申し込みなどについては、次回の会報で詳しくお知らせしますので、どうぞお楽しみに☆
○ 過去の会報、さしあげます
育てる会で毎月発行している「会報」ですが、事務局が手狭になってきたため、保管していた過去の会報を処分することとなりました。
昔の活動や講演会の報告、お母さんお父さんの思い、ボランティアさんの体験談、書籍案内など、読み応えのあるものばかり。
無料でお分けしますので、欲しい方は育てる会事務局までお問い合わせください!
○ 新潟県中越地震義援金協力のお願い
10月23日(土)に新潟県中越地区を襲った大地震について、自閉症児者の方々のための義援金の協力依頼が、日本自閉症協会より発信されています。
巻頭文にもありますように、「子どもが混乱したり騒ぐと、他の方に迷惑だから・・」と避難所にも行けず、車の中で過ごされる家族が多数おられ、避難物資もそういう方へはなかなか届かず、自閉症児を抱えた家族の心労も深まっているそうです。
詳しくは同封のチラシをご覧ください。(入金先と関連記事を掲載しております)
今回は自閉症の子ども 2人のお話を紹介します。
ある障害児クラスに、担任のA先生、支援員のI先生、自閉症児Kくんがいました。
・・・ある日、担任の先生が出張、I 先生が一人で大忙しだった時のことです。
I 先生が応援に来てくださったB先生に自閉症児:Kくんのことを頼むことになりました。
I 先生「Kくん、今日だけB先生と一緒に勉強してくれますか?」
Kくん「う゛〜(納得していない様子)」
I 先生「Kくん、だいじょうぶ?」
Kくん「・・・だいじょばない!!」
と大きな声で主張したKくん。
「だいじょうぶ?」⇒「だいじょうぶじゃない」⇒「だいじょばない!」という3段階の変換でした。
自閉症の子ってこういう不思議な変換の仕方することありますよね。
他にも「お父さん、あった(お父さんがいたよ)」「玉葱、いない(玉葱がない)」なんて変換(?)をする子もいるみたいです。
笑い話のようですが、一つ一つ教えてあげたいですね。
もう一つのお話は毎度おなじみのTくんエピソードです。
今、Tくんは「本物の画家さんと障害のある子のコラボ作品」を作成しているのですが、その中で「毎日の日記を絵で描く」という課題がありました。
ある日、Tくんパパ「今日何したっけ?」
Tくん「掃除機、しました」
Tくんパパ「じゃあ掃除機描こうか。あー、でも描けるかなぁ?」と言いながらTくんに紙を渡すと・・・
Tくんはなんとその絵を3秒で書き上げたのです!
私も偶然それを横で見ていたのですが、筒の部分を上からすぅっと描き、車輪、胴体と本当に迷いなく一瞬で仕上げたのです。
本物の掃除機はその場にはありませんでしたから、頭の中にある物をそのまま絵にしたのでしょうが、本当にびっくりしました。
自閉症児の記憶力・視覚でどれだけ物を受け止めているかを見せ付けられた瞬間でした。
(会報に載っているのがその時の絵です・・ぜひ、会員になって一緒に驚いてみてください)
すっきり晴れた秋空を見上げても、多くの苦しんでおられる被災地の方々のことが思い出されて、心から楽しめない気持ちです。
岡山の山陽町という山間の田舎に住んでいるとなかなか接することのない天災ですが、本当に台風や地震の被害をうけられた皆様にはお見舞い申し上げます。
変化が苦手な自閉症の子ども達が、早く落ち着ける場所に帰れることを願うばかりです。
さて、10月31日(日)、吉備国際大学ボランティア部が招待してくださった招待イベント「OH ! 月見だピョン」に参加してきました。
毎年色々なアイデア満載のこの企画、実は参加するのは初めてで、かなり楽しみにしていました。
(それは参加する子ども達も同じだったようです ^^)
詳しい内容やみなさんからの感想は、次回の会報で掲載しますが、色々なプログラムを立ててくれていただいて、下準備も一生懸命頑張ってくださっていただきました。
「何でもやってみないと」と労苦を感じさせないような笑顔。お礼を言うと「僕達の方こそ楽しい時間をありがとうございました!」なんて言ってくださって・・・、本当に感謝・感謝・感謝でした。
帰りには大雨の中、駅の改札口までカッパ着用で送ってくださり、また列車が出るまで(20分も)手をふってくれたボランティアの方々、冷たい雨だったのに、心がとっても暖かくなりました。事務局スタッフとしてだけではなく、自閉症児の弟を持つ家族として、ボランティアさんに足を向けて寝れないなぁと思った一日でした。「来年もぜひ!」「また来年来てね!」と学生さん達が口々に言ってくださった声が今でも私の胸の中で響いています。
帰りの電車に揺られながら、育てる会の色々な活動に関わってくださっている学生さんや社会人の方々の顔が一人一人浮かんできて、とってもありがたくて、泣きそうになりました。
本当に皆さんありがとう!!感謝でいっぱいです。これからもどうぞよろしくお願いします。
(事務局:鳥羽 紗代)