sorry,Japanese only

平成18年2月28日

 

 第94号 

NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会

 春は近くに
 自閉症支援者養成セミナー 報告
 すすむっち report from Lincoln. USA
        〜文字を覚えるということ〜
 支援者養成講座
 AAO活動
 サッカークラブ ・ 水泳教室 の お知らせ
 私のお薦め本コーナー
      「 言葉のない子と、明日を探したころ
 近隣の講演会等のご案内
 掲示板
 子育てコラム
      「 二度目の葛藤 そして 決断 」
      「 息子の発表会 」
 事務局だより

心なしか吹く風までも優しく感じられ、春が近付いてきたように思える今日この頃ですが、皆さまお変わりありませんか?
2月も今日で終わり、いよいよ3月です。
いつも6時15分に家を出る哲平です。今までは真っ暗な中、自転車のライトを点灯させながらの登校でしたが、今日は東の空がうっすらと明るくなっていました。冬もそろそろ終わりですね。
さて、「支援者養成セミナー」が先日、2月26日にありました。
藤村出先生に、ず〜っと前からお願いしていたセミナーで「青年期・成人期の自閉症支援」という内容でした。施設職員の方や、デイサービスの事業所の方、また大きくなられた自閉症の親の方など、日頃私たちの会の参加者とは違う方たちの参加が多かったように思います。
小さい子を持たれた保護者の方は少なく、学校の先生方の参加も養護学校の大きい人担当の先生や、よほど興味をもたれた方に限られたように思いました。
とても良いお話だったので、もっと多くの方に聞いてほしかった内容でした。
小さい時にこそ、大きくなった時にどうなるかを考えた子育てが大切と、よく言われています。それには、大きくなった自閉症を知る必要があると思います。
昔々哲平がまだ小さかった頃、自閉症の親子が参加するキャンプがありました。そこに参加して、大きな自閉症の人たちと私は出会いました。
15年も前です。今のように個別療育プログラムもない時代です。親がそれぞれ一生懸命子育てをされていた時代でした。受容療法や抱っこ法など情報はいろいろありましたが、どれがいいものやら分からなかった時代です。キャンプでは大半の大きな自閉症の人はとても大変そうに見えました。無理もなかったのだと今から思えば分かります。
でも、そんな中にも落ち着いておられる青年たちが、少数でしたがいらっしゃいました。
言葉もない方でも、しっかりキャンプの手伝いをして、マイペースではあっても自分のことはきちんとできる人たちです。
私は、何が違うのかと思い注意深く観察させていただきました。そこで感じたのは、落ち着いて過ごしている要因は、本人の知的能力ではなく、お母さんの子どもに接する姿勢ではないか、ということでした。その中でも、とても熱心に愛情深く丁寧に子どもさんと係られておられるお母さんに気がつきました。一つひとつ見本を見せて、教えておられる態度に、すっかり敬服した私は、そのお母さんのようになりたいと思いました。そのお母さんとは、育てる会でも以前お呼びした自閉症協会兵庫県支部の田中涼子さんです。(とても田中さんのようにはなれませんでしたが、影響は大いに受けました)
大きな子を知ることで、どんな子になって欲しいかを考えられるように思います。
多くの小さい子どもを持つお母さんたちにも、今回のセミナーを聞いてほしかったなと残念な気持ちでおります。
そういう訳で、来年も再び青年期・成人期支援の講演会を行います。おしまコロニーの寺尾孝士先生に10月には来ていただきます。ぜひ今度こそ小さいお子さんをお持ちの保護者の方に参加いただきますようによろしくお願いします。また、先生には学校教育の重要性についてもお話いただく予定ですので、学校の先生方にも、お誘いをよろしくお願いします。
さて、話は変わって・・・
平成18年3月10日、我が家の哲平君は、ついに高等部卒業の時を迎えます。
思い返せば、社会へ出るこの日を目指し、日々子育てをしてきた私達夫婦でした。
哲平の高校入学の時に書いた私の文章が「てっちゃん通信のホームページ(当時自閉症協会に寄稿した文を転載)」にありましたので少し紹介します。

小さい時、彼はいったいどんな大人になるのだろう。どんな人生が彼にあるのだろう。息子の将来が心配で、当時はよく落ち込んだものでした。
でも、いつしか精一杯生きて育てるしかないという様に思うようになりました。
障害告知も、明日を憂えて泣いていた日々も、今は遠い昔。すぐそこに大人への最大の難関が、大きく口をあけて待っているのです。3年後には高等部卒業。「どんな大人になるのだろう」と心配したその時が、いよいよやってくるのです。
障害は仕方がありません。誰かが言っていましたが、「いくら頑張っても、僕はボブ・サップには勝てない。同じく自閉症という障害をもった息子も、いくらがんばっても健常児と同じにはなれない。」そのとおりです。
彼にはこの不況の中、就職先はおいそれとは見つからないでしょう。でも、出来るならこの社会の中でその持てるだけの力を発揮して、自分の居場所を作って欲しい。そんな風に願わないではいられません。
そのために赤磐郡内の障害児を持つ親たちで、「作業所を作ろう」と、準備中です。
2年前には、お金を出し合って家を購入しました。現在は、14人のメンバーで2年後の開所を目指しています。パン作りの勉強をしたり、子どもの織り上げた「さをり織」で製品を作って販売も始めました。その家は、「太陽の家」と名づけました。
「地域の中で普通に暮らして生きたい。」
そんなほんの小さなささやかな親たちの願いをこめたその家は、我が家から300メートルほどの、田んぼの中にそっと立っています。
メンバーたちが楽しみながら毎日集って掃除をしたり、花を植えたりして、地域の皆さんにも少しずつ理解されてきているのを感じます。
実は私たちは、将来は作業所ではなく、もっと大きな授産施設をも目指しています。
そしてそこにはグループホームなども併設して、親も安心できる子どもの将来を託せる場所をと夢見ているのです。
現在のメンバーは、自閉症児が9名を占めていますので、それはそれは大変な作業所になることでしょう。今から心して子育てをして行かなくては、仕事を出来る大人にはなれません。
どんな仕事が出来るだろうか、どんな仕事が向いているだろうか、親は色々考えます。まだ小さい人も多いメンバーの中にあって、我が子は3年後に高等部卒業です。健常児であれば、大学も行かせてやれたはずですのに、彼は18歳の春には社会の中に巣立っていかねばなりません。
もうすぐ出口はそこに迫っていますね。まだまだ、できることも少なく、一人で自立とは程遠い彼の進む道は限られていることでしょう。
苦労して作る作業所ではあっても、我が子が通うとは限りません。もう少し選択はさせたい。
こんな願いを持つこの母は、卒業時の出口を作業所だけとは考えず、「目指せ一般就労!」などと、身分不相応な夢をも持っているのです。
作業所は、自宅から300mしか離れていません。彼がここへ通うとしたら、たった300mの社会としか彼は触れ合えないという事です。18歳の青年としては、少々悲しいように感じます。せめて、バスに乗ったり、電車に乗ったりするような場所にあればよかったのにと、本当に贅沢かもしれませんがそんな事を考えます。
また、作業所で良いというような気持ちでの子育てであったら、子どもの伸びも限られてしまうような気もします。この高等部の3年間が、彼の生涯の最後の学校教育だとしたら、精一杯その能力を伸ばしてやりたい。その手伝いが出来るなら、もうひとふんばり老骨(?)に鞭打ってがんばりましょう。例えやっぱり作業所に行くことになったとしても、そこにはきっとちゃんと立派に育った鳥羽哲平君がいることでしょう。
私のモットーは、「あきらめない。夢は持ち続ければ必ず叶う」です。
そして、「目指せ就職!目指せ結婚!」 なんてね。あんまり夢が大きすぎるかしら?   (一部略)

これは、哲平が高校へ入る年に書いた文章でした。
その哲平、いよいよ私が心配していた社会へ出る、その時がきたのです。
皆さんここで嬉しい報告をさせていただきます。
哲平の就職が決まりました。
正式な採用通知書が、やっとやっと届きました。
NTNテクニカルサービス株式会社(備前市)という会社が、哲平を雇用してくださることになりました。
採用通知には、「必ず就職してください。」と書いてありました。
「もちろんですとも、喜んで!」
思い返せば、自閉症の診断を受けて15年、不安だらけの子育ての中で、目標を持たなければ、生きてこられなかったように思います。
我が家の目標は地域での就労自立。
この子を幸せにしたい。
そのためには、どんな可能性があるだろう。
私はこの子より先に死んでいくしかない。
その後、この子の人生はどうなるのか。
生きていく場は、どんなところだろう。
周りの理解や支援があるだろうか。
自閉症は一生涯続く障害なら、それなりの特性を生かしたできることを見つけて育てることが親としての義務ではないか・・・。
障害を告知された当時の私は、気負っていました。
これからの自分の全てをこの子にかけよう!!
そんな思いで暮らしていたように思います。
少しずつ私自身も大人になったこともありますが、哲平の成長が何より救いとなって、そんなに気負わなくても自然体で子育てできるようになったのは、小学生時代だったと思います。
自閉症児にとっては、「小学校生活が黄金期」とよく言われますが、その通りでした。
「支援さえうまくいっていれば、小学生の高学年には大抵の子は落ち着いてきます。」
何かの本で読んだ一文です。・・・でもその後はどうなのかしら?と心配でした。
小学校6年の頃、思春期を前に主治医の笹野京子先生(現:なのはなクリニック 院長)にお尋ねした時の先生の一言は、私には忘れられない励ましになりました。
私「先生、哲平は思春期どんな風になりますか?とても心配なのですが・・・」
先生「私の経験では、鳥羽君の今の状態ならたぶんうまくいきます。思春期もうまく乗り切ると思いますよ」
不安だらけの思春期突入前の、先生のこのひと言に励まされた私は、焦ることなくゆったりと 子育てできたように思います。
先生のおっしゃるとおり、中学・高校と哲平は、ゆっくりではありましたが、成長し続けてくれました。
また、明石洋子さんが、言ってくださった言葉も大切な宝物のように覚えています。
「てっちゃんは、就職できますよ。徹之だって初めはIQ判定不能でしたもの。大丈夫、きっときっと大丈夫。公務員だって夢じゃないですよ。」
公務員は無理でしたが、就職が叶いました。
一生懸命育ててきた・・なんて言いながら、本当はお会いした皆さんのおっしゃる「良い言葉」はしっかり心に刻んで、「悪い言葉」はあえて気にしないで、私はのんびりと生きてきたのかもしれません。

今回の就労は、「哲平は哲平のありのまま」なのに、周りの支援が整ってきたから、実現したのだと思っています。
10年前なら哲平の就労はなかったことでしょう。
1年前でも、求職と求人がかみ合わず、NTNには就職できなかったかも知れません。
今、このときだから入れていただけたのだと、思うのです。
運が良かったのも事実ですが、就職に関して一番に思うことは、何より養護学校の役割のありがたさです。
担任の先生は言うに及ばず、校長先生や進路の先生は、親の就労への思いを受け止めてくださり、懸命に実習先をさがしてくださいました。なにしろ知的障害を伴う自閉症です。言葉も通じにくく、コミュニケーションにも大きな問題を持つ哲平です。果たして実習先すら見つかるだろうか・・・。不安でした。案の定、やっと見つかった実習候補先に、直前で実習すら断られたこともありました。面接で自閉症のもつコミュニケーション障害の困難さに驚かれたのかもしれません。
そのためやむを得ず、高等部3年の前期の実習は学校近くの備前焼の工房で、無理をお願いしてさせていただいきました。哲平は、がんばって根性のあるところや、コツコツ仕事をやりとげる真面目さ等を見ていただき、事業主さんからも高い評価をもらいました。
でも、そこの事業所は、人手が足りているということで、就労へは結びつかないことは最初から分かっていました・・・。
それからも先生方の奔走は続きました。
哲平も途中の夏休みには岡山職業センターで就労の為の訓練に通い、秋の実習に備えていました。
そして、後期になってやっと実習を受け入れてくださると、NTNさんからのお返事がありました。実習の機会がいただけるだけでもありがたく、先生と小躍りして喜んだことを昨日の事のように覚えています。
実習に先立って、会社の担当者の方が、先生からだけでなく、親の私にも時間をとってくださって丁寧に自閉症の障害特性や支援の仕方を聞いてくださいました。
そして、いよいよ実習の始まる朝、哲平は張り切って「お仕事がんばります!」と明石徹之さんとおんなじ言葉を言って出かけました。
実習の3週間の間、先生方は何度も何度も会社を訪問してくださって、会社と哲平の間のサポートをしてくださいました。こんなことは、養護学校だからこそできたことでした。
そして、実習現場にお訪ねするたび、今度は会社からのサポートに驚きの連続でした。
仕事は大好きでも何をやれば良いのか分かりにくい哲平のために、実習現場ではしっかり視覚支援をしてくださいました。
今何をするのか、どんな風にするのか、どれだけするのか、終われば次は何をするのか・・・。
パーテーションで仕切られた哲平の仕事場所には、哲平に分かるように、デジカメで手順書やスケジュールが作られ、見やすい位置に提示されていました。
昔から学んではいたけれど、岡山には実現しないだろうとあきらめていた支援をこんな形で我が子が体験させていただけるなんて・・・。嬉しさに涙がでました。
トレイに袋をきっちりかけていくという仕事は、先生や私がやっても難しく、どうなるかしら? と思っていましたところ、なんと次の日には、担当のTさんがジグを作ってくださり、哲平でも上手に袋かけができるようになっていました。それでももっともっと能率が上がれば良いからと、ジグの工夫が続きました。おかげでスピードは少々劣るものの、手直しをしなくてもそのまま現場で使える仕事ができるようになりました。
やっぱり製造の会社はすごいです。ジグ作りが大切だということ、どんな仕事も能率が大切ということを知っておられるからこその発想でした。
後で知ったのですが、この会社は、大掛かりな冶具・工具などの制作も請け負っておられるとのことでした。
   会社のホームページ(http://www.ntn-ts.co.jp/environment/index.html
サポートしてくださる専門職の方もつけてくださって哲平の実習は順調に進みました。
こんなサポートがあれば、自閉症の子でも就労ができる という見本のような形で哲平の就職は決まりました。
会社のご理解、そして運、それから養護学校の先生方の努力の数々、そして本人の仕事をすることが好きという思いが、この就労へと結びついたのだと思います。
支えてくださった、皆様に心からの感謝を申し上げます。
この幸運に、今私は感謝の感謝の毎日です。
育てる会 代表  鳥羽 美千子

自閉症支援者養成セミナー 報告

1月29日(日) 国際交流センター国際会議場にて 『ライフステージを見通した自閉症児者への支援〜幼児期・学齢期への支援〜 』 という演題で、大阪府立藤井寺養護学校の重松 孝治 先生による講演会を行いました。
参加された方から感想をいただきましたので紹介させていただきます。

育てる会の主催されるセミナーをいつも楽しみにしています。招かれる講師の方が毎回著名な方ばかりで、その内容も多岐に渡り「お金を払ってきた甲斐があった」というものばかりです。今回の重松先生のご講演も同様に期待を裏切るものではありませんでした。
午前中は基礎的な自閉症の理解とその支援についてのお話でした。今まで自閉症について基礎的なことは大体学んできているつもりでしたが、改めて 自閉症は「発達障害」という名はついているが「劣っている」のではなく、私たちとは「違っている」のだという視点で学ぶことができました。自閉症の人を「できない」という視点で見るのではなく「別の得意なことがある」という視点で見るならば、「苦手なことを得意なことで補う」という支援の仕方を考えるのは至極当然のことです。また「自閉症の人は経験から学ぶ」ということ。幼児期からの失敗経験が、その後の活動への参加や支援の受け入れをより困難なものにするということを、教育に携わるものとして、私たちは謙虚に受け止めなければならないと感じました。そして自立に向けて、できる限り一人で行う機会を増やすという支援の方向性というものが見えてきたように思います。
午後からは支援について具体的に示していただきました。基本的には、構造化された支援の土台というものがあって、その土台なくしては全てのスキル獲得は成り立たないということだと思います。また、構造化するということは彼らの意味理解を支援するもので、形だけ構造化のまねごとをしても支援にはなり得ないということです。そしてその支援の目指すものは「地域に根ざした教育」であり、将来に向けて、「地域で出来るだけ自立して力を発揮できるようにするため」に現在の「整理された教室」でのスキル獲得が必要なのだということを忘れてはいけないと思いました。
学校・園生活の中での具体的な支援についても数多く示していただき、すぐに現場に戻って生かしてみたいと思われるような内容ばかりでした。その中で特に印象に残っているのは「本人の気持ちに沿った支援を考える」という点です。スケジュールの変更にしても変更のカードを教師が差し替えて示すのではなく、自分で変更カードを取り、「本人と一緒に確認し、本人が変更に関わる」そういう大切なことが今まで充分に配慮できていただろうかと改めて反省させられました。
近年、自閉症の方たちがご自分を語る出版物が数多く出るようになりました。どの方も自分の尊厳を傷つけられるような周囲の言動に対して大変厳しい思いを語られています。今回の重松先生の講演で「劣っているのではなく、違っている」自閉症圏の人たちに対して、私たちは相手を尊重するという、人との関わりとして基本的なことを忘れてはいけない、そう心に刻むことができました。ありがとうございました。
(M・T)

<保護者アンケートより>

これまで何気なく本で見たように見よう見まねで構造化をしていましたが(それぞれに意味があるということはあまり意識していなかったような気がします)、重松先生のお話で、「おー、そんな意味があったのか!!」とびっくり!本当に勉強になりました。
本人に合ったやり方をしっかり見極めなければ、支援のつもりが支援になっていないという状況を生んでしまうということにも気をつけたいと思いました。
とても分かりやすいお話で、大変勉強になりました。それぞれの時期に必要な支援、幼児期から青年期へと、どのような比重で、ということも分かって良かったです。担任の先生にも聞いていただきたかった(涙)。学校生活の様子があまり把握できていないことに気付きました。担任と、もう一度細かいところを見直す必要があるなぁとヒシヒシと思いました。今日は本当にいい意味で、今までの取り組みを考え直すきっかけになりました。ありがとうございました。
午前中の基礎のお話は、忘れてしまっていたことをまた学びなおすことができ、復習にもなって、分かりやすくとても良かったです。また午後からのお話は、家や園でも色々と見通しが持てるようにしているつもりが、変更の表示を以前はきちんと貼って、提示したままにしていたのに、怠慢になり、カードを張り替えて伝えるようになってしまっていたりと、慣れからくる傲慢さが出てしまっていたなぁと深く反省できるきっかけになりました。
具体的な実践方法で理解しやすかったです。手立てだけが一人歩きするのではなく、障害特性を踏まえての具体案だったので良かったです。子どもの気になっていた姿が、自閉症を持つその子にとっては当然の姿ということが確認できました。自分の考え方や子どもに対する理解の仕方を改めて考え直す機会になりました。
自閉症という一つの観点ではなく、地域・社会など、幅広い面での勉強がとても参考になりました。重松先生のお話はとても分かりやすく、実際的支援・意味が明確に分かり、今まで色々な講演会に行きましたが、今回初めて意味が分かったことがたくさんあり、感動しました。
学校の先生・地域・医者など、一人でも協力者を多く作って、共に尊重・支えあいながら、主役は子どもという意識を常に持って、より向上した生活・支援していくことが大切だと思いました。

<教職員アンケートより>

自閉症の基礎理解がとても分かりやすく、深めることができ、自閉症者の側に立った理解・支援の大切さについて考えさせられました。午後は色々な具体的なアイディアを教えていただき、支援のあり方の幅広さや深さを学びました。学ぶところも多く充実した4時間半で、時間の経過も忘れるほどでした。
基礎的なことから具体的な支援の方法・例・考え方をたくさん説明され、頭の中が整理できたことが良かったです。まとまったお話が聞けて、本当にありがたかったです。また指導などの評価・判定などはしていなかったことを、お話を聞いてから気付き、これからしていきたいと思いました。
自閉症のことをとても真剣に考えておられる先生の講演だったので、今週から子どもと関わるためのエネルギーになりました。講演自体も、大変分かりやすく具体的で自分が知りたいと思っていたことを的確に学ぶことができました。ありがとうございました。
支援のプロセスのお話で、今一度自分の指導やアプローチを考えてみようと思いました。そして「自立」の意味を「全てできる」ことではなく、「出来る限り一人で行う機会を増やす」ことを教えていただきました。スケジュールの作り方など、具体的に写真を見せていただきながら、教えていただけたのでよく理解できました。
具体的な支援・援助の仕方やアイディアをたくさん紹介してくださったので、実際生かせそうなヒントがあり、見直したいと思いました。また「ライフステージを見通した自閉症児者への支援」ということで、この時期に身につけることが、次にどんな風につながっていくのかも知ることができて良かった。
「ライフステージを見通して」ということで、幼児期→小学校→中学校→高校と各段階の指導や支援のあり方の見通しを持つことができてとても良かったです。

AAO活動 

        AAOありがとう集会の報告

去る2月12日に京山公民館にて、今年最後のAAOとありがとう集会が行われました。
午前中のAAOには、ほかの日に振り替えた方も多く、あまり参加がありませんでしたが、午後のありがとう集会には2名のボランティアさんをのぞいてすべての方が参加してくださいました。ボランティアさんとお母さんの感想をご紹介します。

【ボランティアの方からの感想】

今回初めてAAOのボランティアに参加させていただきました。私が担当についたのはR君という男の子で、それまで私は自閉症についての知識があまりなかったので正直、最初の活動ではどのように接すればいいのかなどの不安がありました。しかし、いざ活動して見ると私と何も変わらない、どこに障害があるのか分からないといった感じで、私も活動というよりも、R君とは友達のような感覚で、一緒に遊んでいました。本当に楽しく活動できたし、良い経験にもなりました。ありがとうございました。
(秦 由尚)

【保護者の方からの感想】

今年初めて参加してみました。親が付き添わなくても本当に大丈夫なのかな?と最初は心配でしたが、子ども(小4)は、ボランティアのお姉さん二人に付き添われて、にこやかにバスに乗ってボーリングに行き、バスに乗って帰ってきました。戻ってきたときの笑顔を見てほっとしました。1回目より2回目のほうが、やるべきことがわかっていて、少しは楽しめた様子です。ボランティアさんはさすが現役大学生!はつらつとしていて、もたもたしている親とはフットワークが違います。愛情たっぷり、丁寧に子どもの気持ちを汲み取り、きめ細やかに子どもの様子を教えてくれました。残念だったのは、諸事情で、年間2回しか実施できなかったこと。これをもっと毎月、積み重ねていけば、確実に、子どもの余暇活動の幅を広げることへ、役立っていくと思います。来年度も継続して、参加してみたいです。
(Mさん)

皆さん一年間本当にご苦労さまでした。卒業して行かれるボランティアさんは、社会に出られても障害者と関わりを持ち続けてくださるとうれしいです。育てる会の賛助会員になられるという方法もありますので考えてみてください。

また来年も子ども達に続けて関わってくださるというボランティアさんは、今年の経験を生かしてより強い信頼関係を築けるよう頑張ってください。今年お母さん達は、子どもとボランティアさんが実り多い時間を過ごせるように、企画の段階でよく考えてくれたのだと思います。来年も子ども達が課題を一つずつ克服出来るように頑張りましょう。

(AAO担当:H.T)

  掲 示 板

○ 赤磐ぐんぐんスタッフ&ボランティア募集について

前回の会報で「児童デイサービスセンター 赤磐ぐんぐん」の正規職員を公募した結果、新しい方が決定いたしました。
次回の会報でお知らせいたします。応募くださいました皆様、ありがとうございました。
また、前回同様、ボランティアの方も随時募集しております。時間や曜日は相談に応じます。
内容は子どもの様子を保護者に伝えるためのビデオ撮影・部屋の設定や片付け・課題作成のお手伝いなどです。興味のある方は事務局:鳥羽までお問合せください。
今後ともご支援よろしくお願いいたします。

○ 赤磐ぐんぐんからのお願いとお知らせ

ご自宅で使用していないビデオカメラはないでしょうか?
療育中の子ども達の様子を撮影したり、別室でお母さん方にモニターしていただくためのビデオは、今現在5台設置してフル稼働しているのですが、別の視点からも・・・と考えると、まだ数が足りません。
旧型でも結構ですので、ご自宅で眠っているビデオカメラがありましたら、ぜひ事務局までご連絡ください。
赤磐ぐんぐんのボランティアをしてくださっていた方々の中で、このたび卒業&就職・進学のため、旅立たれる方がいらっしゃいます。皆様、本当にお世話になりました。
これからも、その暖かな眼差しと真剣な姿勢で、どうぞご活躍くださいませ!
   ☆ 松浦 友輝 さん  ☆ 藤江 基樹 さん  ☆ 吉田 碧子 さん ありがとうございました!!

  子育てコラム
前回のコラムで、「チェリーママ」さんから、障害告知についての投稿をいただきました。
今回はその続編です。どうぞお読みください。

「二度目の葛藤 そして 決断 」  
                       (チェリーママさんより)

時は流れ、娘は小学2年の2学期(12月)を迎えていました。
1年の3学期より随分落ち着きが見られるようになり、トラブルも減少していきました。2年生から新しく通級教室へ通い始めたり、下の学年のお世話をするなど、頑張れるようになった反面、全学年で行われる活動に少しずつ参加できなくなっていき、同学年の友達との活動についていけなかったり、勉強の方もクラスの中で授業を受ける難しさが表面化し、娘も時折友達の言動に傷ついたりしていました。
そして、12月の親睦会の日、その出来事は起きたのです。
その前より、娘の言動に担任の先生もイライラした様子が見受けられました。娘のことを理解していても、一人では対応できないこともあると言われ、パニックになって担任も同じレベルで対等に戦ってしまい、とうとう最後には廊下に一人出され、ドアを閉められる状態でした。
担任も娘も疲れ果てていたと思われます。私はこんな状態は危険と思いました。一週間後に、校長・教頭先生との話し合いの場が設けられていていたため、その時にでも娘に支援の先生をつけていただけないかと頼むつもりでした。
しかし、時はすでに遅く、この日娘は、5時間目体育の授業で跳び箱やマット運動で、指示された運動をこなした後、先生の指示で好きなことを選んで自由時間になったのですが、何をしていいのか分からなくなった娘は、先生に誘いをかけたのです。でも「先生はしない。自分でしなさい」と言われ、そこから状態を崩し、体育館隅のカーテンの中に入り込み、その後授業に参加できなくなり、授業が終わって教室へ戻るように指示されても、切り替えられず、先生と体育館扉の前で押し問答となって、パニックに陥り、扉のガラスを足で蹴って割ってしまいました。幸いにもほとんどの子どもは教室に戻っており、先生・娘にも怪我がなかったことが救いでした。
何も知らず、兄の行事に参加して、娘を連れて帰ろうと職員室に顔を出すと、すぐに校長室にて事情を説明され、話し合いを持ち、普通クラスにいることのリスクと、公表していないために担任の対応できる許容範囲について何度も説明されたことを覚えています。
私の中では、2年生になってからいずれは公表・そして本人への告知をと考えていましたが、まだまだ先、せめて兄が小学校を卒業するまでという気持ちでした。
しかし話し合いが進むにつれ、娘を守るためには、地域で生かしていくためにはと思い、3学期には公表するという方向で話し合いがつきました。でも私自身、どんな風に公表すればいいのか。頭の中は不安だらけで、約束をしたものの大きな宿題をどう解いていけばいいのかと思い悩み、代表の鳥羽さんに相談しました。そこでまた新しい宿題をもらうことになりました。
それは、「あなた自身が100%娘さんを受け入れているのか?」それ以上に「自閉症で生まれてきてくれた娘だから良かったと、心の底から思わないと、公表をすべきではない。それに公表は本人に対する告知であること、友達の保護者の口から間違った形で子ども達に伝わった場合、娘に対して自閉症が悪い形で認知され、自分自身を拒否してしまう可能性がある」とのことでした。
親が今やること、それは自閉症についてもっと勉強し、娘の言動を理解し、きちんと代弁できるようになること。生まれてきてくれて良かったと娘に伝えること。
鳥羽さんの言葉に、公表をあまりに簡単に考えていたのではないか?自分が楽になるための手段としか思っていなかったのではと、とても恥ずかしい気持ちになりました。
私は学校側へ公表の話を、一度白紙に戻すことを伝え、もう一度娘を受け入れ理解するための勉強に励むことにしたのです。
私自身、どこかで宿題の提出する日を決めなければいけない。その時期・チャンスを逃さないようにと願っていました。そしてそれから一年の時を経て、たくさんの協力者に恵まれて公表にたどり着いたのです。
(・・・次号に続く・・・)

チェリーママさん、ありがとうございました。
いよいよ次号では、学校での公表についてです。子どもさんや保護者の方々へ、一体どのように説明されたのか。どのように乗り越えられたのか・・・。チェリーママさん、次回も続きを楽しみに待っています。
続いての投稿は前回の「りょうパパ」さんの奥様から、お子さんの幼稚園での発表会の様子について投稿してくださいました。

「息子の発表会」  
        (りょうママさんより)

先日、息子の生活発表会がありました。幼稚園生活最後の発表会です。練習は毎回私か夫が付き添いでしていますが、年長の発表会となると息子にとっては難易度が高くほとんど参加できませんでした。初めのうちは「参加が無理であれば、私の傍で皆の様子を見るようにすればいいかな」と思っていました。けれどもそういう形にしてもやはり息子は辛そうでした。「本人にとって『自分も参加できた』という誇りや自信を持てることが一番大切なのではないか。はなから諦めるのではなく、息子にとって無理のない形での参加の方法を考えよう。」と思いました。
出し物は、歌・劇・リズム(踊り)・合奏がありました。
息子にとって一番難しかったのは歌でした。歌を4曲も覚え振り付きで歌わなくてはいけないのです。練習中歌えない事が辛く舞台に立っている事さえもできませんでした。園の先生方と夫婦でたくさん話し合いました。療育先の先生や先輩お母さんからもアドバイスを戴き、パソコンでパワーポイントを使って本人へ歌詞を見せてはどうかというアイディアが出、夫が作りました。そのパソコン画面を見ながら笑顔で楽しそうに振り付けまで踊りながら4曲全てその場に立って歌えたのです!感動でした!
劇では、昨年と同じ男の子を見て習いながら出来るようにと配慮して下さり、そのお子さんを見本にさせてもらいながら、立ち位置に貼ってある足形を目印に笑顔で参加できました。短い台詞ですが、先生の言葉掛けで言うことができました!
リズムでは、ソーランロックを踊ることになりました。が、リズムが速くてこれも息子にとっては難しく参加できませんでした。練習中、息子が先生の鳴らす太鼓に合わせて大太鼓を叩いたのです。そこから、本人の希望もあり大太鼓で参加する形にしました。本番でも、皆と同じ衣装を着て音楽に合わせて自分流に大太鼓を叩いて参加できました。
合奏は、中でも一番得意なもので、立ち位置に足形を貼るだけで、安心して自信を持ってタンバリンや鈴で参加できました。
行事の度にたくさん悩まされますが、その分、ゆっくりだけれども着実に成長してくれている姿を見せてくれていて、毎回大きな感動をくれています。そう感じることができる私達は本当に幸せだなあと感じています!かなりの親ばか夫婦ですがf(^^;
今回の発表会での息子の様子を園長先生が保護者向けのお便りで次のような紹介をして下さり取り上げて下さいました。
『りょうくんは、自閉症です。しかし、ご両親は自閉症だからあれができないとか、これができないと考えられているのではありません。自閉症の特徴を理解され、その特徴を生かして、できることをよりのばしていけるようにと考えられ、生活発表会に向けて担任といろいろ工夫しながら取り組んできました。このご両親のりょうくんへの思い、かかわり方は、子育ての原点だと思います。』と。
それに対して園長先生宛にお便りをくださった保護者の方がおられたそうです。
「自分の子育ては完璧だと思い、今まで夫や周りの人の助言に耳を傾けたことがありませんでした。でも、この記事を読んで、私のこの思いは“おごり”だったのだなと気付くことができました」と。
私達は、ただただ「息子のために」と我が子のことだけを一生懸命やっているだけなのに、こんな風に色んな方が色んなことを感じてくださっていて、本当にすごくありがたいことだなぁとしみじみ感じています。人間捨てたもんじゃあないなあと思っています! (^-^)
最後に、こんな親ばか脳天気な夫婦ですが、夫が「『父親の会』を作りたい」と言い何やら行動し始めました!
同封のチラシに詳しいことが書かれていますので、是非とも賛同してやってください!まずは、好きな時間に気兼ねなく参加できるメーリングリストで集い、のちのちは、オフ会をしたり父親ならではの活動をしたりできる会にしたいそうです。よろしくおねがいします! (^^)v
(りょうママ)

りょうママさん、ありがとうございました。
発表会の様子をDVDで貸してくださったのを見せていただきました。
りょうくん用に作られたパワーポイントを、他の園児も皆見ている様子や、皆に合わせて手拍子をしている姿がとても可愛らしかったですし、園全体の雰囲気も暖かくて、とても微笑ましかったです。
また、りょうパパさんのメーリングリスト「父親の会〜さにぃでいず〜」に、早速、お薦め本担当の「トチタロ」さんも会員第1号で参加されたそうです。
皆さん、ぜひお父さんにチラシをお渡しくださいね♪

 事務局だより
いよいよ3月。少しずつ暖かくなってきました。まだまだ風は冷たいですが、春はもうすぐ。
そろそろ花粉症対策もしなくてはなぁと思っている今日この頃です。
先日、2月11日に、吉田友子先生のセミナーを聞きに、東広島市へ参加してきました。
以前育てる会にも来ていただき、自閉症を持つ子ども達への暖かな眼差しと、真剣なプロとしての仕事ぶりに、感激したのですが、今回のセミナーで、ますます吉田先生のファンになりました。先生がおっしゃられた言葉で印象に残った言葉を紹介します。
「自閉症児の兄弟の結婚話になった場合、本人の存在を相手に隠したり、『もしかしたら兄弟の子どもも自閉症になるかも』と心配することがあると言います。でも、兄弟が自閉症だからといってダメになるような結婚だとしたら、きっとそれ以外にもそういう要因がいっぱいある相手なのだと思いませんか?」
・・・本当にその通りです。大切な家族の存在を隠さなくては結婚できないような相手なんて、それ以前にたくさん問題がありそうです。兄弟として何だかホッとするような新鮮な気持ちになりました。
「学校でいじめにあっていると告げたお子さんに対して、『相手に嫌ってはっきり言えばいいのよ』と言われるお母さんがおられますが、それがどれほど難しいことか・・・。お母さんに言われたことも実行できなかったと考える彼らは、次にいじめられても『何で嫌って言わなかったの?こないだ教えてあげたでしょう』と言われてしまうのではと、お母さんにさえ言えなくなってしまいます。『辛いことがあったら、お母さんに言えばいいのよ』と伝えてあげてください」
・・・そうですね、学校の先生やいじめてくる子に「嫌」って言えるぐらいなら、そもそもいじめの標的になんてなりません。お母さんは責めてくる相手ではなく、安心できる存在でいてほしいですよね。
一つ一つのお話に新しい発見と再認識、そして納得のいく理由のあるお話で、時間があっという間に過ぎました。ぜひまた吉田先生のお話を伺いたいなと思いました。
(事務局:鳥羽 紗代)

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