sorry,Japanese only

平成18年4月30日

 

 第96号 

NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会

 96号 目次

 風馨る日に
 支援者養成講座のお知らせ
 18年度 育てる会総会のご案内
 ボランティア研修会のご案内
 すすむっち report from Lincoln, USA
        〜「2年半ぶりの再会」
 キッズルームのお知らせ
 サッカークラブ ・ 水泳教室 のお知らせ
 私のお薦め本コーナー
       『 発達障害とメディア 』
 近隣の講演会のご案内
 掲示板
 子育てコラム
 事務局だより

風薫る5月。鯉のぼりがあちらこちらで元気よく泳いでいます。
風をいっぱいはらんで泳ぐこいのぼりは、男の子のいる家庭の証しです。
我が家にもこいのぼりを上げた頃がありましたが、哲平が大きくなるにしたがって、毎日上げたり下げたりの大変さに、いつしか倉庫の中でほこりをかぶって、仕舞い込まれたままになりました。
そういえば長女のお雛様も出さなくなったのは、哲平がいじって壊してしまいそうだったからのように思います。
哲平の子育てが大変で、季節ごとの楽しい行事なども後回しになり、そのうち滞ってしまったように思います。なんだか他の兄弟をほうりっぱなしにしてきたようで、申し訳なかったなぁ〜と思っています。今、ほとんど子育てが終わってからの私の反省です。
でも、大きくなってしまった私の息子や娘には、あの頃の日々の取り返しはききません。まだお子さんが小さく子育て中の皆さんは、どうか兄弟の方にも気をかけてあげてくださいね。
そんな私の思いを少し前に娘に話したところ、「しょうがなかったよ。お母さんもがんばったじゃない」とやさしく言ってくれました。いい子に育ってくれたものと、感無量です。
親はなくとも子は育つ。背中を見ながら子は育つ。(・・・ただし、これが自閉症児の場合はサポートが必要なのは、みなさんご承知の通りですが・・・)
自閉症の弟の子育てに懸命な母を見ながらこの子は、自分なりにがんばってきたのだなと思いました。今、娘は育てる会の事務局で膨大な事務量と療育部門のサポートをもこなす、今の育てる会にはなくてはならない人になってくれています。
今日は新緑のまぶしい中、やっとGW中に一日休みが取れたお父さんと8連休中の哲平は、県北の毛無山へカタクリの花を見に朝から出かけていきました。黄砂の影響で遠くはかすんで見えますが、どんな登山とあいなりますか・・・、この間に私は、ゆっくりパソコンに向かいこの会報を書いています。

さて、この一ヶ月の間、それはそれはめまぐるしい日々を私は過しました。
育てる会については、決算時期を迎え会計処理の膨大さは、とても私たち素人ではできるものではありません。経理部門で長年働いていたトチタロさんに手伝ってもらいながらの、経理事務作業です。何とか監査も終わり、やれやれです。
次は、総会への準備です。
合わせてNPO法人としての法人税の申告や、県庁への書類提出準備など、事務局はこれからもしばらく大忙しです。
またそれと同時に、赤磐ぐんぐんの新年度が始まりました。4月から新しい子ども達が通ってきています。これがみんな、ほとんどちっちゃい子ばかり、可愛い子ども達です。みんな楽しくって面白いのですが、なにしろ多くは自閉症なので、お母さん達も大変です。
私も補助スタッフとして療育に入ったり、お母さん方とお話したり、待合室が急遽子育て相談室みたいになったりと、とにかくあっという間に一日が過ぎていきます。
家を出るのが、10時過ぎで家に帰るのは、夜7時ごろという生活が毎日毎日続いています。50ン歳の誕生日を過ぎ、本音は「たまにはチョットゆっくりしたいな」というところでしょうか。
ところでそんなことができるのも、哲平が朝早くから夜の7時くらいまで、お仕事に行ってくれているからなのです。
そうなんです。ご心配いただいているお仕事、続けて行けています。
初めのヤマ場は、給料日までと思っておりました。お給料は、毎月25日と決まっています。このお給料日を越えるまでが大変でした。
彼は、これまでお手伝いをしたらすぐにお金をもらえる生活でした。お米洗いをしたら20円、食器洗いをしたら20円というようにすぐに手間賃がもらえました。
ところが、会社のお給料は25日にならないと貰えません。入社が20日で、次の月の25日までの一ヶ月を越える長い期間を、どのようにモチベーションを高く保ったままで、乗り切るかがとても大変でした。
いままでのように、途中で、例えば一日1000円とかのお金を渡していけば、毎日がんばれるとは思いました。本人としても、そうしたほうが、がんばりやすいかなとも考えました。
でもそれだと、お金は私があげていることになります。会社からお給料をいただくということが、伝わりません。がんばって一ヶ月働いたから会社からお給料はもらえるのだということを、伝えることが大事だと思いました。
「お金もらえる?」と何度も聞いてくるテッペイは、それが不安だから聞いてくるのです。
お母さんは、もらえるというけれど、本当にもらえるのだろうか? もしかしたらもらえないのではないだろうか? “お金が命”の哲平にとって何より心配なことが、「お金もらえる?」という何回もの問いに現れています。そこでカレンダーにも大きく、25日のところには給料日と書きました。毎月毎月のカレンダーの25日(25日が土日の時は、その前の金曜日になる)のところにも印をつけて給料日と書き入れました。
それでも本当にお金がもらえるのかが、心配だったようで、25日には、帰るなり「お金下ろす」と一言。急ぎまだ開いているスーパーのATMへ行ってお金を下ろしました。お金をしっかり財布にしまってから、にやりと笑った哲平は、やっと仕事をするということはお金がもらえることなのだと判ったようです。これでやっと一つのヤマを越えました。
次のヤマ場は、もしかしたら5月の連休明けでしょうか? 新入生や新入社員の5月病は有名ですものね。本当は、楽天的な私もここのところは取り越し苦労の絶えない毎日を送っております。久しぶりに胃が痛いような毎日です。
お仕事についての報告のもう一つは、そんな哲平の会社での様子を、NHKが取材放映してくださったことです。4月20日夕方と23日朝、5月2日昼と三回も放送してくださいました。
前回の会報にも少し触れましたが、テレビの取材を別件で何度か受けて、その折、就職できたことを担当のディレクターさんにお話したのがきっかけとなり、NTNで働く哲平の様子が、テレビに放映されたというわけです。
「障害者主役の職場づくり」という題で繰り返し放送されました。私は、偶然3回目の放送の時、それと知らずに哲平と病院の待合室でテレビを見ていました。大勢の皆さんと一緒に見ていると哲平の放送が始まったので、びっくりしました。思わず「この出ているのがこの子なんです」と待合室の皆さんに言ってしまいました。親バカの極みですが、がんばってお仕事している哲平を皆さんに見ていただけてチョット誇らしい気持ちでした。
放送後、多くの友人や知人、昔なじみから電話や手紙をいただきました。「観たよ」「がんばっていて、涙がでたよ」「桜並木がよかったね。大きくなったね」「苦労した甲斐があったね」などたくさんの皆さんが見守ってくださっていることを感じました。
励ましや力添えをいただいての今があることを改めて実感しました。
テレビの放送が、たくさんの障害のある後輩たちに就労の場を提供することに繋がるといいなと思います。哲平だけが幸せでは、困ります。自閉症の律義さを知っていただいて、「そんな子ども達なら雇っていこう」と他の企業でも考えてくださるところが増え、もっともっとたくさんの人が、就労できる世の中になることを願っています。
その為にも哲平君にはしっかり働いてもらわなければいけません。いい加減な仕事をしていて、「やっぱり自閉症の子は使えない」と言われてしまっては大変です。それを知ってか知らずか、飄々とマイペースの哲平君に、私の胃は、またまた痛むのでありました。
何はともあれ、無事に就労が続いていることの報告をさせていただきました。会社の皆様の温かさがひしひしと伝わってくる毎日を過ごしています。先ほどのテレビの中でもそれを感じましたが、いつも書いてくださるお便りにもいつも励まされます。
会社や人に恵まれました。でも、なぜこんな幸運に会えるのか。それは考えられるのはただ一つです。
私が良く使う言葉に、「私らには、神さん付いてくれてはる」。
神様からいただいた自閉症の息子です。「あなたたち家族ならこの子をきっと育てて行けるでしょう」と、神様が私たち家族のもとへ哲平を授けてくださったのなら、きっと見守ってくださっているに違いありません。誰よりも心をかけなければ育たないこの子に、どれほど多くの愛情を神様が注いでくださっていることでしょう。何もかも神様にゆだねて、ただただ育ててきただけの私です。何かあるたびに、チョットしたテレもあってこんな風に私は言います。
「私らには、きっと神さんついてくれてはるから、大丈夫。きっと、きっとうまく行く。」
本当にそのとおりでした。今の哲平があるのは、神様が見守ってくださっていたからにほかなりません。
これからもいろいろなことが起こるでしょうけれど、「きっと神さん、見てくれてはる。」「何とかなるから大丈夫!!」「心配せんとやっていこう!」
哲平の就労も、自閉症児を育てる会も、赤磐ぐんぐんも、何とかかんとか無事に続いてきているのも、神様がやっぱり見守ってくださっているのに違いありません。
感謝をこめて、今日の筆を置きましょう。 See you next time
育てる会 代表  鳥羽 美千子

支援者養成講座

自閉症の子の担任になったけれどどんな風に関わって行けば良いのか、困っていらっしゃる先生。
この講座はそんな先生方のための勉強会です。
18年度は 重松孝治先生による「自閉症児への支援:実践編」を講義と演習のセットでお願いしています。
即!実践につなげることのできる先生対象の講座です。
おかげさまで大好評につき、定員に達しましたので、申し込みを締め切らせていただきました。
その後、多数の方をお断りしましたこと、申し訳ございませんでした。

<第1回講座>

日 時 : 平成18年5月13日(土)19:00〜21:00
場 所 : 岡山県生涯学習センター ミーティング室(岡山市伊島)
参加費 : 16,000円(一括)  ※育てる会賛助会員限定
        ★欠席の場合にはビデオをお送りしております★

ボランティア研修会のご案内

「自閉症児ってどんな子だろう」
「ボランティアってどんなことをするのかな?」
「いきなり子どもと関わるのはちょっと緊張する」
・・・そんなボランティア初心者の方への研修会をこの度育てる会では企画しました!
「自閉症の簡単な説明」から「活動の様子の紹介」、「どんな活動でボランティアが必要なのか」などなど、初心者の方にこそ分かりやすく説明させていただきます★
「自閉症」「ボランティア」「経験」などのキーワードが気になる方、ぜひご参加ください!
【日 時】 平成18年5月20日(土)13:00〜15:00
【場 所】 岡山県生涯学習センター
【参加費】 無料
【内 容】 「自閉症とその支援方法について」
            師:岸本和美先生(養護学校教諭)
      自閉症を取り上げた映画やドラマの上映
      ビデオによる育てる会活動紹介  
【申込先】 育てる会事務局 (電話086-955-6758 ・ メールacz60070@syd.odn.ne.jp)
研修会には参加できないけれど、ボランティアに興味のある方も、事務局までお気軽にお問い合わせください。
資料をお送りいたします★

  子育てコラム
前回のコラムで、ついに保護者やクラスの子どもたちへの「告知」をした「チェリーママ」さん。告知されてから周りはどのように変わったのでしょうか。どうぞお読みください。

「 投げた石の波紋 」  (チェリーママさんより)

春爛漫、新学期が始まり一ヶ月が過ぎ、子ども達は新しい先生に新しいクラス、そして多くの行事変更の毎日の中、頑張っている事でしょうね。もちろん我が家でも例外ではなく、なるべく環境を整えていただき、3年生の時と同じように本人のクラスの隣に娘の部屋を準備してもらいました。担任の先生は替わりましたが、3年生の時の支援の先生が引き続き個別学級のように担当していただき(個別の学級は申請したけれどみとめられませんでした)、現在穏やかな滑り出しです。
さて、私の投げた石の波紋は、意外と早く反応が見受けられるようになりました。子ども達に話をした次の週も、小さなトラブル発生。でも、友達もすぐ怒る態度ではなく、先生に相談したりしてくれ、先生の方からも「この前○○チャンのお母さんの話、覚えているかな?」と投げかけられると友達の方も、やや興奮気味の状態から、す〜っと落ち着いてくれ、娘の方もそれ以上に爆発することがなくなりました。
先生の方からも以前であれば、もっと大きなトラブルになっていた事が、子ども達にお母さんの気持ちが伝わったんだなと思いますと、言ってもらいました。
ただやはり、娘のこだわりの部分でのトラブルで叩いてしまう事が何度かあり、娘自身の中でも、「どうして、叩いてしまうのかな?」と苦悩しクッションを学校に持参し、いらいら時にこれを叩くように促したりと、トラブル対策には今後も継続対処していかなければいけません。
そして2学期最後の日、クラス全員からメッセージカードをもらい、「クラスに戻ってきて。待っているから」「1月には工場見学一緒にいこうね」と優しい言葉が綴ってありました。
3学期には図工や音楽時間に、クラスの中で活動が娘のペースで出来る様になりました。
2月後半からは、数人の女の子が娘の部屋で給食を一緒に食べてくれるようになりました。また、朝娘を待っていてくれたり、友達と過ごす時間が増えてきたりしていき、トラブルの方も先生から伺うことが、しだいに無くなっていきました。
ただ、他の学年の交流や同じ学年でも、自分のクラス以外との合同の活動には、まだまだ時間がかかりそうで、視線が気になると言ったり、以前のかかわりで嫌な思いをした事や人に対しては活動を嫌がることもありました。また、時折遠い公園、スーパーで私のことヘンな子だと思って見られていると訴える時もありました。
まだまだ、娘と一緒に歩く道のりは前途多難ではありますが、あれ以来、私は娘のことを、勇気を持って人に伝えることが出来るようになりました。それはきっと、周りの方々の支えが表面化してきたからだと思うのです。
現在4年生になり、今も登下校は親子一緒に行っています。娘の思いを大切にし、周りの環境を整えながら、これからも頑張っていこうと思います。
それに校長先生から嬉しいお話がありました。支援センターの先生の研修を、学校として今年度も継続して頂けるとの事、感謝です。
去年、一緒に歩いて頂いた担任のS先生は、残念ながら移動となられました。
「あともう少し○○ちゃんやこの学年の子ども達を担任以外の立場でも良いから、見守って行きたかった」との言葉を残し去っていかれました。
S先生の存在無くして、この皆さんへの公表は無かったと、今でも思っています。クラスの子ども達も担任に愛されてはじめて、子ども達も娘に優しい気持ちがはぐくまれたのですから。
公表に関しては、人それぞれで必ずしもその子どもに対し、ベストではないかもしれません。ただ私の娘の状態や環境を考えると、本人が考え行動する時期に差し掛かってきていると思います。また本人に何故学校で、上手く行かないのか個別のクラスで勉強したほうが生活しやすいのか、何故療育に行くのか、通級に行くのか等、娘の疑問にきちんと説明が出来るようになり、親として重かった背中の鎧を脱ぎ捨てられ、娘との生活が楽しく、充実した日々へと変わりつつあります。
先日娘の友達のMチャンが、「私は、○○ちゃんの味方だよ。いつでも相談してね」と言ってくれたそうです。その時の娘の笑顔と「お母さん、私いいでしょう。こんな風に言うてもらえて」の言葉が親にとって最高の宝物になりました。
これまで、4ヶ月に渡り長々と書かせて頂いたコラムも今回で終了です。
こんな私的な想いをと思いつつ、最後までたどり着くことが出来本当に嬉しく思います。ありがとうございました。
チェリーママ

 事務局だより
5月に入り、一気に暖かくなりました。今日は27度という相当な蒸し暑さがあり、5月だというのに、クーラーの必要性を切実に感じながら仕事をしています(^^;)
さて、通常であれば5月と言えば事務局も一応落ち着いてくる時期・・・のはずなのですが。
何故か全く落ち着く気配がありません。
というのも、今年は私も療育スタッフとして赤磐ぐんぐんのお手伝いをしているからです。全部で7人の子どもたちのスケジュールを組んだり課題を考えたり療育をしたり・・・。ちょっとしたパート職員並みですね(><)
子どもたちがどの子も可愛くて楽しいので、自分としては療育できることは嬉しいのですが・・・。
保護者の方へ領収証用意したり契約したり市町村への請求をしたり・・・。育てる会の事務局として、総会や法務局の登記やらボランティア研修会、セミナーの準備など・・・ただでさえ年度始めというのに、本当に忙殺されています。
切実に事務局お手伝いしてくださる方募集してます(:_;)
療育をしてくださる方も募集しているのですが、なかなかじっくり研修してあげる時間がないので、とりあえずは事務局が先かなぁというところです。どなたか紹介してくださいね。
そんな風に忙しい4月5月ですが、プライベートでも忙しい毎日を送っています。
5月4日には「加古川踊っこ祭り」というお祭にチームで踊りに行き、見事「金賞」(1位)をいただきました★(^▽^)
5月27日には「備前鰆祭り」というお祭でも演舞しますし、6月10〜12日には北海道のYOSAKOIソーランの視察にも行く予定です。
8月頭の「うらじゃ」本番に向けて、ますます忙しいながらに楽しい毎日になっていくと思います。
仕事だけじゃ爆発しそうなストレスの絶好の捌け口になっています。メリハリメリハリ。
こんな形で頼りない事務局かもしれませんが、今年もガンガン張り切っていきますので、どうぞ応援お願いしますね♪
(事務局:鳥羽 紗代)

以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
会の行事の予定は育てる会の「
今月の予定」に、近隣の講演会等の案内は「近隣の講演会等の案内板」に、また特にみなさんにお伝えしたい記事などは「育てる会ライブラリー」に載せるようにしています。
容量は小さくなりましたが、ご覧いただければ幸いです。
なお会報は正会員・賛助会員の方へは郵送でお届けしています。
もしご希望の方がおられましたら、ぜひ賛助会員に申し込みをお願いします。年会費 3000円です。
応援よろしくお願いします。
申込み方法の詳細は「
育てる会 HP」に記載しています。

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