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平成16年12月31日

 

 第80号 

                   NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会

暖かい師走に
自閉症支援者養成セミナー報告
    次回「明石セミナー」の ご案内
16年度 育てる会臨時総会の報告
すすむっち report from Lincoln
    〜教えてよ の巻〜
お母さんからの体験談 「親の幸せ」
先生からの体験談
AAO活動
キッズルーム
サッカークラブ・水泳教室・OHAの会 の お知らせ
育てる会勉強会について
支援者養成講座
私のお薦め本コーナー
   「自閉っ子、こういう風にできてます!」
近隣の講演会等のご案内
掲示板 ・ 面白コラム ・ 事務局だより

暖かい師走のせいで、なかなか正月準備に取り掛かる気になれない・・・なんて言いながら時を過ごしている私です。皆さんはいかがでしょうか?「掃除をしなくたって正月は来る。12月31日がこの世の終わりじゃあるまいし、そんなにあせって忙しがることもないじゃないの」と居直りつつ、忙しさを理由に遣り残した家事が山積みの鳥羽家より、今年最後の会報原稿です。
今年も色々なことがありましたね。
自閉症児の親として興味深く見守りたいことは、特別支援教育の動向と成立したばかりの発達障害支援法の行方です。また、支援費の今後もいったいどういうことになるのか、支援費と介護保険との統合は行われることになるのか、見通しが立たないと、すごく不安です。
私はこれまで政治にはかかわらず、一生懸命子育てだけをしてきました。でも、本当にそれでいいのかしら? と思いはじめています。そこで自分に出来ることをしてみようと、まずは身近なところから、哲平の通っている養護学校の校長先生に会いに行ってきました。今まで高等部の教頭先生には、いろいろとお話しさせてもらっていたのですが、今度は正式にお願い文書を携えて、学校の方向性を決められる校長先生に私の思いと願いをお話ししてきました。
今の養護学校における、自閉症の子どもにとっての問題点と思われることや改善をお願いしたいことです。わが子のためだけではなく(もう高等部2年で、まもなく卒業です)、小学部に入ったばかりの自閉症の子どもや、将来この養護学校へ入ってくるであろう子ども達の為にお話ししなくってはならないと思い、思い切って校長室のドアをノックしました。
お願いしたことは、
・自閉症の特性や個々の発達レベルに配慮をお願いしたい。
・全ての教職員の、自閉症という障害に対する理解をもっと深めていただきたい。
・自閉症児に対する専門的な療育および教育を行っていただきたい。
・毎年行われる運動会や収穫祭・学習発表会等の行事を検討していただきたい。
などです。
養護学校が今後特別支援教育の支援校という形で地域の普通学校の支援に取り組まなければならないというのに、その養護学校自体に自閉症への理解が足りないというのはなんとも悲しいことではないでしょうか。
私たちは、自閉症の親になったとき、何とか子どもを理解したい、解かってやりたいと願い、障害についても必死で勉強してきました。先生が言われる「お母さん、色々教えてください」・・・そんなこと冗談で言われているんだと思っていました。一般校じゃあるまいし、養護学校の先生は、自ら学んで障害児の専門家であって欲しいです。
校長先生や学校の今後の対応を、期待をこめて見守りたいと思います。

さて、例によってわたしの息子の事をお話ししましょう。
今日の出来事です。夕方事務局で仕事をしていた私は、哲平に一足早く家に帰って、ご飯を炊いてくれるように頼みました。自転車で彼は帰っていき、私は、事務局で片付けをしたり雑用が次々あってなかなか帰れないでおりました。すると帰ったはずの哲平が血相かえてやってきて「おでん焦げた!ああ〜、焦げちゃった。もう、しょうがない。ポイ捨てる!!」と大きな声でいいます。パニックというほどではないけれど、困ってしまってどうしたらいいかわからなくなってやってきたのでしょう。
一緒に帰ってみると、朝仕込んでおいて後は夕食前に再度温めるだけにしておいたおでんは、真っ黒焦げになってしまい、残念無念な状態です。哲平がご飯を炊くとき一緒に火をつけて、うっかり忘れてしまっていたようです。「今晩の夕食はどうなるのだろう。何を食べたらいいのだろう」・・・そんな思いで、再び夜道を事務局までたどってきたようです。
哲平は、こんな風に困るとすぐに「しょうがない」といいます。諦めの言葉を口にします。自閉症の中でも(自閉症に限りませんが)、何かにこだわり続ける人は、しょうがないと思えないからいつまでも苦しむのではないでしょうか。哲平は早めに自分で決着をつけるために「しょうがない」を言うのではないかと思います。
せっかくのおでんを真っ黒焦げにされた私も、「しょうがないでは済まないのにな〜」と思いつつも「やっぱりしょうがないか〜」と諦めるのでした。
「しょうがない」本当にそうです。考えてみたって元に戻るわけじゃなし、くよくよ考えたって、しょうがない。そうやって早めに決着つけるのは、私の性格。これって、もしかしたら私の口癖だったかもと気づきました。そういえば決着つけられない哲平に「しょうがない、もうしょうがない」と諦めさせてきたようにも思います。
「しょうがない。我慢しようね」それがいつか哲平の口癖にもなっていたようです。
結局夕食は、哲平が改めて作ってくれたカレーライスと相成りました。お酒の肴におでんを楽しみに帰ってきたお父さんは、がっくりでした。
「でも、しょうがない。我慢しようね、お父さん」
育てる会 代表  鳥羽 美千子

自閉症支援者養成セミナー 報告

去る12月4日(土) 岡山ふれあいセンターに於いて 『自閉症支援のファースト・ステップ』〜連携と個別支援のアプローチ〜
という演題で、大阪府立藤井寺養護学校 教諭の重松 孝治先生による講演会が開催されました。
参加された佐藤さんから報告を頂きましたので掲載させていただきます。

講演では、まず 最初に自閉症の理解をするために、自閉症の特性についてお話を聞くことができました。

自閉症の人の得意なこと、苦手なことをしっかり把握した上で関わるのはもちろんのこと、ただ自閉症についての知識を深めるのではなく、自閉症がその人の生活に与える影響を知ることが大切であるということ、つまり生活をしていく上でどのようなことが困難なのか?を知ることが理解するということであることを学びました。

自閉症の特性について、たくさんの事例を通してお話くださいました。
一つ紹介したいと思います。

Aくん(自閉症児)はいつもボラさんと初対面時にトラブルを起こしていました。それが何故なのか、お母さんもボラさんも原因が分からなかったのです。

ボラさんはいつもAくんを見て「笑って」挨拶をしていました。

Aくんはボラさんに笑われた=自分はバカにされたと感じ不機嫌になったのです。
何故なら、Aくんは自分が人に向かって笑う時はいつも相手をバカにする時だったからです。

自分の経験にとらわれてしまうという特性が頭の片隅にあるとないのでは、関わり方が変わってきます。私達が歩み寄る姿勢を忘れずにいたいと思いました。

自閉症の特性に応じた支援として、

・子どもに合わせる(個別化する)
・評価から始める
・新しいことは1対1で教える
・視覚的な方法を用いる
・環境を十分に整理し、組み立てる
・視覚的な方法を用いる
・「時間」と「活動」を整理して提示する
・長所と興味関心を活かす(※自然に必要な部分に注意を持っていけるようにする)
・できるようになったことを他の場面でも計画的に行なう
・変化・変更を系統立てて行なう

ことが挙げられました。

意味理解の学習では、まずは一番最初にそれぞれの場所に意味があることを伝える。学習の場所、遊び・休憩の場所、グループ活動の場所、静かになるための場所など各スペースの意味を見て分かるようにする。
そして、時間の流れ・意味を個別のスケジュールを使うことで「いつ」「どこで」「誰と」「何を」するのかを予測可能なものにする。
そして、自立して活動を行なうことで「学ぶ」ということを学んでいく。

幼児期は限られた環境で生活習慣などの幅広い学習を行い、学齢期、青年期になるにつれ様々な環境で限られた内容を学習していく。早い段階から本人の生活に密着したものを具体的に、かつ意味のあるものを学習することが大切だと学びました。

コミュニケーションの指導では、例えばおやつのパッケージと実物を交換しておやつを要求することを学ぶなど、渡して伝えるという適切な要求の仕方を教えるためのアドバイスを教わりました。特に、コミュニケーションはストレスの要因になりやすいので、コミュニケーションしたいという意欲を引き出す為にも、成功体験がとても大事だということでした。

問題解決の場面を意図的に作り、「助けてほしい」「手伝って」など表すカードの使用や、自分の気持ちを話せる場を作ることも大切だと教わりました。

その他、自由時間における混乱を防ぐためにも、遊びやレジャーの指導、ソーシャルスキルの指導、日常生活スキルの指導、運動スキルの指導についてなど具体的な事例を交えた分かりやすいお話を聞くことができました。
家庭での取り組みについては、まず家庭の生活環境を整理整頓しましょうということでした。(皆さんのご家庭はできていますか?笑)

課題を明確にすること、優先課題は何なのか?具体的に取り組みたいテーマを絞り、一度にたくさんのことを教えない、変化をするときは、1回につき一つのことだけにするのがポイントだそうです。

一緒に活動をする人もお母さんとばかりではなく、お父さんにも協力をしてもらい、毎日の繰り返しの中で、繰り返し取り組み、子どもが成功し、自信が持てるようになることが大切だと言われていました。この時に、失敗から学ばせるのは逆効果であることも教えてくださいました。

連携における基本的な考え方として、親と専門家がお互いに協力することが子どもの利益につながるという信頼関係の確立、子どもの捉え方や援助の方針を共有するということでした。
連絡帳の書き方も、自分が子どもから学んだことを親と共有する、良い面だけでなく、困難な点についても報告する。そして、いかに自分がその問題に対処したかを報告することで、何故うまくいかなかったのかを考えるきっかけとなるからだそうです。
改めて子どものことは子どもから学ぶという姿勢を忘れてはいけないと思いました。

自閉症の人は、最初に経験したことが、後にずっと影響を及ぼしていくので、「忘れられない」ということがあるそうです。だとすると、早期から整理された教室や家庭で生活習慣などを含めた様々なスキルを学ぶことは、とっても大事だと思いました。

子ども達が将来地域で出来るだけ自立し充実した生活をしていくために、今出来ること、しなくてはいけないことは何なのか、まさにファーストステップを踏み出すヒントをたくさん与えてくださいました。
重松先生、具体的で分かりやすい講演を本当にありがとうございました。

(佐藤 三佳 : 社会福祉協議会 職員)


重松先生のご好意により、当日の講演会で使われていたレジメを育てる会事務局にて販売しております。
カラー印刷でたくさんの事例を紹介しています。送料込みで 800円です。


<保護者アンケートより

前半は「あっそうだった!」と改めて気付かされることがあり、復習にもなり良かったです。後半は具体的な課題(幼少期から自発的に行動できるように持っていく方法)を学ぶことができ良かったです。また 失敗から学ばせる方法は、本人にとって辛いことで、よくない方法だし上手く学べる方法ではないということを初めて知りました。
最後の質問への答えがとても良かったです。何事も将来のこと・先のことを考えて、一つ一つをファーストステップでしていかないといけないなと改めて思いました。とても自閉症児のことを考えられて子どものために働いておられる先生だなぁ。こんな先生の指導を受けておられる子どもさんや親御さんは幸せだなぁと思いました。

<教職員アンケートより>

ファーストステップについて具体的に示していただいたこと。
スケジュールを提示するまで、毎日のスモールステップの積み上げがあること。
今悩んでいるケースの問題点・改善点である事を知り、はっとしました。
コミュニケーションの取り方を知らせていくことで、パニック(分からないこと)などの問題行動を減らしていけることに対する具体的な説明。「待つこと」の大切さや心のゆとりが必要なことを改めて思った。初心に戻れた。
系統だった具体的な支援の仕方を教えていただきました。とても整理された話しでよく分かりました。
他の人にも薦めたいと思いました。とても良かったです。素晴らしい先生をお呼びくださり、ありがとうございました。
時期を待って支援を進めるのではなく、早期にできるだけたくさんのことを教えていくことが大切だということが分かりました。「今、しなければいけない」ということに気付いて、幼児教育の大切さ、責任の重さを改めて感じました。
学校という場で自閉症の子ども達、保護者の方と関わる者として、反省させられることが多々ありました。子どもの自立を目指す為に、毎日の積み重ねと短期・長期的な計画の大切さを痛感しました。また家庭・学校の連携について具体的に聞くことができたのは、本当に有意義なことでした。ありがとうございました。
養護学校の高等部の教員をしているのですが、今まで随分基礎として教えなければならなかったところが抜け落ちているなぁと思いました。特に意味理解の学習・場所や時間の意味の指導が必要なことは分かっていて指導していたつもりでも、最初の段階で、どう指導していくか、その後どうつなげていけばよいか。すごいなぁと思いつつお話をお聴きしました。

<福祉・医療関係者・学生アンケートより>

自分自身にとっての「ファーストステップ」がこの講演会であったことが、私にとっての最大の収穫でした。ありがとうございました。明日からの支援に役立つもの、そのヒントをたくさん得ることができました。
支援者として「今日その子(自閉症児)から何を学んだかを忘れない」ということをこれから忘れないでいたいです。
自閉症児にどういった支援を行えばいいのか、接した時にいつも考えることだったので、今回のセミナーで少し理解できた気がしました。これからは接する時に、意識しながら関わっていこうと思いました。



お母さんからの体験談


ある会員のお母さんに届けていただいた文章を紹介いたします。感想などありましたら育てる会へお寄せください。

「親の幸せ」

子どもたちに障害があるとわかった時
その障害が一生なおらないとわかった時
自分のなかで なにもかにもが崩れ去ったような気がしました。
子どもたちに 与えたかったしあわせ 子どもたちとともに分かち合いたかった 喜び・楽しみ 全部が無になったと思いました。
なにもかも すべてが終わりだと思いました。
それは おとうちゃんも一緒のようでした。
野球少年だったおとうちゃんは 息子ができたら 野球をさせたいと願っていたようでした。
でも その夢は あきらめなくてはなりませんでした。
だけど 先日 おとうちゃんが 「野球を見に行こう」と言い出しました。
「子どもたちに野球場の本物の迫力を味合わせてやりたいんだ」
初めての野球観戦は 子どもたちも私たち親も楽しいものでした。
そして 思いました。
なにもかも 終わったわけじゃない。
なにもかも あきらめることもない。
子どもたちに野球をさせることは無理でも一緒に野球を見に行くことはできるじゃないか。
粉々に砕け散ったと思った親として子どもたちとともに分かち合いたかった喜び・楽しみ。
形を変えて あるいは子どもたちとの日常のなかから また新たに発見していけばいいんだ。
なにも 終わっていない。
なにもかも これからの日々で つむぎだしていける。
わたしたち親が 子どもたちと歩んできた長い長い日々の間に 少しずつ少しずつ再生した心でやっと発見できた「親のしあわせ」です。
(ペンネーム:みいねこ)
みいねこさんのHP:「みいねこのねこのあしあと」

先生からの体験談

11月の支援者養成講座で講師をしてくださった金島先生からの寄稿文を紹介させていただきます。
養護学校小学部2年生担任だった昨年のエピソードだそうです。


「育てる会」の研修会で、トモニー療育センター・河島淳子先生より教えていただき、早速、A君に時計の指導を開始しました。
まずはマッチング教材を作って、針の形に注目しながら「○時」の指導です。
マッチングといえば、色や形、絵の教材、そして、時計といえば、それまでの普通校の指導のように、まずは模型の時計や直接、実物の時計を使ってしまっていた私にとって、「時計でマッチング??」目からウロコのスタートでした。
でも、これが、まさにAくんの特性に合ったすばらしい指導法・教材でした。ストレートに「○時」「○時半」を理解していく子どもの姿に、あたかも私自身が開発した指導法(あつかましい?)のように、鼻高々、意気揚揚と新たに時計のプリントも作り、指導を進めました。保護者の方には、山のような宿題でご協力いただきました。
             
A君は、マッチングやプリントでばっちりわかってきました。
「よっしゃー?」と私は、すぐに実物の時計に移行してしまいました。
すると、あらら・・・。実物ってとってもステップが大きいのですねえ。それまでの私なら「どすこい、どすこい」と実物時計で無理して押してしまったかもしれないのですが、教材のすばらしさに魅了されていた私は、A君の「できかた」ではなく、「できなかた」に注目してみました。
「できなかた」つまり「つまずき」「困っていること」です。こうやって書くと、いつも私がそうしているように聞こえるかもしれませんが、正直 やっぱり今まで私は子どものできないことを、その子の持つ障害のせいにしてたところもあったと思います。
今回の時計での「できなかた」は「長針と短針とを一度に見ることの難しさ」という障害の特性に関わる部分でしたので、一つずつ分けて、OHPシートやプリント等で丁寧にフィードバックしてみました。
指導のステップについては今回省略させていただきますが、「できなかた」を考えることで、改めて勉強になったことが幾つかありました。

        

その一つは、「わかった」瞬間のすばらしさです。「こうしたらできた」「こうしたらわかった」瞬間です。下の写真は、私の試行錯誤品ですが、A君の「こうしたらわかった」瞬間に寄与したプリントです。
短針は□欄に、長針は○欄に別々に記入していたことから、→→→プリントで□と○をくっつけて「□時○分」と合体させたら、時計の意味する「□時○分」なんだとわかった瞬間でした。それまで、□と○に別々に記入していたA君が「□時○分」と続けて記入しながら、顔中に笑みが広がっていった瞬間でもありました。
「A君、わかった」同時に私の目にも思わず・・・のアツイ瞬間でもありました。そして、次の問題からすらすら解いていったA君でした。
    
今、思うとA君の顔中に広がった笑みは、穏やかなほころぶような笑みでした。「わかった」というのは「ほっとする」のだと思います。逆にいうと、「わからない」というのは「不安」なんですよね。改めて感じました。
私たち教員は例えば「時計を読むことができる」という大きな目標を設定して指導します。その目標達成のための手段(支援)として細かなステップ、手立てを設定します。子どもさんにとって、その一つずつで「わかった」「できた」「わかった」「できた」体験を積んでいくこと、そして、そこに「なんかしらんけどできた」じゃなくって、「こうしたらわかった」「こうしたらできた」という確実なものを積んでいってもらえるよう、私たち教員が実践をしていきたいと思います。
(岡山東養護学校 教諭  金島 久美子)

AAO活動

いよいよ新年。ご家族そろって気持ちも新たに新年を迎えられることと思います。

まずは家庭から そして将来の仕事に向けて、自立に向けての療育をしっかりとしてこそ学校に対してもしっかりした姿勢でのぞめると思います。療育に取りかかるには新年は良いきっかけです。見通しの持ちにくい自閉症児たちにこそ、一年という見通しを持たせて、「今年は○○をがんばろう」という気持ちを盛り上げていってやりたいものです。

我が家では大晦日にはその年あった行事やイベントなどを、一年のカレンダーを見ながら振り返り、また新しい年のカレンダーを出して、次の年の行事を書き込んでいくことにしています。昨年までは、長男と長女がにぎやかに紅白歌合戦などを見ている横でやっていましたが、集中できないので今年は何とかしてそれまでにやりたいと思います。

本当は家族みんなで出来れば一番良いのでしょうが、お父さんは9時には寝てしまうし、長男と長女はテレビに夢中なので、次男と私だけの行事になってしまっています。しかし来年度から長男は大学生。今年は家族そろって迎えられる最後の年末になるかもしれません。何とか知恵を絞って、年越しそばを食べながらでもみんなで一年を振り返りたいものだと思っています。

さて、1月のAAOは参加者の都合で30日(日)に行ないます。場所はいつもの京山公民館で、10時からです。2月のありがとう集会に向けてみんなで話し合いたいと思いますので、皆さん出席よろしくお願いします。欠席の場合は必ずご連絡ください。

皆さんのご意見を生かしたすてきなありがとう集会にしたいと思います。一年間を通して頑張ってくださったボランティアさんによい思い出を作ってもらいたいものです。

思い起こせば4年前、初めてAAOに参加した年の活動は失敗だらけでした。

皆さん気づいておられるでしょうか、我が子は親が側にいる時といない時では態度が違うことに。私は最初そのことがどうしても理解できずにボランティアさんにとんでもないご迷惑ばかりかけていました。

ボランティアさんと町に出かけると言うことは、彼らが親の指示を聞くのと同じ態度でボランティアさんの指示が聞けなければいけないと言うことです。
また親は困った時にも大抵 魔法の呪文を持っているものです。ちょっと席を外してお菓子を買いに行くとか、彼らの気分を魔法のように変えてしまえる手段を長年の積み重ねで作り上げているのです。親は案外考えなくてもそのようなことができるものです。
しかしボランティアさんにはそれがありません。それでも一年を通して彼らに関わりたいと言っていくださるというボランティアさんがいてくださるというありがたさを思うと、私は自分の過ごしてきた学生時代が恥ずかしくなってしまいます。

私は自閉症という障害の存在すら我が子に告知されるまで知りませんでした。ましてや彼らがとても魅力ある存在だということに気づくのには、ずいぶんかかりました。「どうしてこんなに賢いのに、こんな簡単なことができないのだろう」そう思ううちに何年か経ってしまいました。3歳になった我が子が一言「できん」と言ってくれて初めて「ああ、教えればいいのか」と気がついた次第です。

しかしそんな頼りない私を我が子は本当に信頼してくれています。初めて会ったボランティアさんと態度が違うのは当然です。しかし一年経つうちには信頼関係ができてきて、ボランティアさんとも安心して町に出かけられるようになります。ましてや何年もついてくださっているボランティアさんとでは、それまで考えられなかったような企画でもできるようになりました。

そんなAAOの魅力にとりつかれてすでに4年。今年も何人かのボランティアさんが卒業を迎えます。仕事につかれたらこれまでのように自由にボランティア活動をすることはなかなかできないかもしれません。どうかよい思い出をいっぱい作って卒業してください。そして彼らの一番よい理解者になってください。

(AAO担当:H.T)

支援者養成講座

先月は第8回目として、岡山大学教育学部 障害児教育講座 助教授の佐藤暁先生が「発達障害のある子の困り感に寄り添う支援」と題して実践報告をしてくださいました。

いつもの佐藤先生の講演会とは一味違い、より実際的に「支援者とは」「プロとは何か」「どう関わっていかなければならないか」を話していただきました。

「支援者は苦手を作ってはいけない」「こういうタイプの子はちょっと」とか「こういう親とはなかなかうまくできない」ではプロとして失格。

目の前にいる お母さんの 一番ほしいサポート・言葉・支援をしてあげたいと考えているとのこと。指導方法や支援方法もお母さんにとってぴったりくるものでなければ意味がない、と話された佐藤先生の熱意に、一同共感するとともに、新しい気持ちになり明日から頑張ろうという気持ちになることができました。

佐藤先生、お忙しい中 貴重なお話をしてくださり、ありがとうございました。

                                (事務局:鳥羽)

第9回 支援者養成講座

日  時 : 1月8日(土)18002000
                  ※いつもと曜日・時間が異なります。ご注意ください!!
場  所 : 太陽の家 2階(育てる会事務局)
講  師 : 重松 孝治先生(大阪府立藤井寺養護学校教諭)
内  容 : 重松流 自閉症児との関わり方
           12月の支援者養成セミナーで講演をしてくださった重松孝治先生が多くの要望に応えて
          大阪から来てくださることになりました
参加資格 : 育てる会賛助会員
費 : 10,000円  ※年間10回講座(途中入会の方、ビデオあります)

面 白 コ ラ ム

先日MちゃんとMちゃんのお母さんら家族皆で「ハウルの動く城」を見に行った時のことです。Mちゃんは高機能タイプでとってもお喋りが大好きな面白い子です。ジブリ作品が大好きで、Mちゃんはとても楽しみに映画館へ足を運びました。

ところが、ハウル(主人公)が怒られて、これからどうなるのかワクワクドキドキの面白いシーンで急にMちゃんは
「こわい!外に出る!」と言います。
お母さんは「えええ、せっかく面白いところなのに・・・」と仕方なく一緒に外のロビーへ。そして落ち着いた頃を見計らって再び中へ入ったそうです。

Mちゃんは別に映画館が暗いとか、音が苦手とか、そういうことはなく(現に途中までは全然平気でした)、お母さんも一緒に行っていた家族も「どうして?」と首をひねっていました。

後日お母さんは「そういえばあの時どうして外に出たの?」と聞いてみました。するとMちゃんは「だって怒られるかと思ったんだもん」とのこと。お母さんはびっくりしました。その話を聞いた兄弟が「私もちょっとドキドキして怖かったよ」「でもね。私はドキドキしたけど、次がどうなるかワクワクしたから我慢できたの」と教えてくれたのです。

私達だって映画の怖いシーンとかドキドキするところって苦手ですよね。でも「大丈夫」とか「次どうなるか分からないワクワク」があるから我慢したりできます。でも、時にはそれが我慢できない人だっています。

例えば私はジェットコースターや超高層ビルのガラス張りの床、そしてホラー映画はすごく苦手です。出来ればそんなこと経験したくないです。無理強いされたら辛いです。

自閉症の子ども達は次への見通しが立ちにくい時の不安が他の人より強いという特性や、また怖い経験や辛い出来事をなかなか忘れられないという特性を持っています。「ドキドキ」が「ワクワク」に変わりにくい子ども達のつらさを子どもの言葉で伝えてもらったエピソードでした。

この話をしていた時、ある保育園での出来事を紹介してくれた人がいました。

そのクラスの高機能自閉症の子は色々な昔話をよく知っていて、ある時お遊戯で劇をすることになった時「これにしよう」と先生が言うと「ダメダメ!それは背中が燃えて可哀相だから!」「ダメダメ!それは最後に臼にサルがやっつけられて痛いから!」と物語の最後を知っていて痛い思いをするお話は辛いから嫌だ!と主張したそうです。

すると先生と周りの子ども達は「へぇ〜、○○くんはよく色んなお話を知っているねぇ。じゃぁ皆痛くなくて皆が幸せになって面白いお話を探そうよ」と皆で一生懸命考えてくれたそうです。

人が怒られたり泣いたりしていると、まるで自分が同じように経験しているかのように一緒に泣いてしまったりする自閉症の子達。人それぞれ感じ方が色々あるように、一人一人の子ども達を「わがまま」とか「うるさい」とかいう形ではなく「皆それぞれだよね」と受け止めてくれる環境があれば、もっと彼らだって伸び伸び生活できるのではないでしょうか。そんな社会になったらステキですね。 

     (事務局:鳥羽 紗代)

事務局だより

先日、朝のTVニュースで「母から子への手紙」というコンクールの入選作品として、自閉症の息子さんへ宛てた63歳のお母さんからのお手紙が紹介されていました。その優しい暖かな手紙に思わず涙が出ました。
急ぎインターネットを検索し、このコンクールを主催しておられる団体へ問い合わせました。
快く全文を教えていただきましたので、ここで紹介させていただきます。


「ひろちゃん、歯ミガキ終わってくれた?」
「ひろちゃん、その服後ろ前が反対になってるんとちがう?」
「ひろちゃん、もう髭そりせんとあかんね」

ひろちゃん、ひろちゃんと朝から晩までうるさいお母さんでごめんね。でも十年前は泣きの涙で言ってた世話焼きの言葉、今はとっても嬉しい気持ちで言わせてもらっています。だって同じ歳の人たちはもうとっくに「お母さん」を卒業させられているのに、私は今でも現役の「お母さん」をさせてもらっている。

ひろちゃん35才、私63才。

こんな歳まで子どもの世話を焼かせてもらえるなんて、ほんとに贅沢な話です。おまけにひろちゃんは障害者なりに働いて給料までもらってきてくれます。自分の力の120%も出してもらってきてくれるお給料。その給料袋からお金を出す度に、ありがとう、ありがとうと声が出てしまいます。

今 お母さんは普通のお母さんの二倍幸せです。ありがとう。

障害の有無に関わらず 全ての親子が暖かな絆で結ばれますように・・。

猪苗代町絆づくり事業「母と子の絆づくり事業」 (野口英世の里)
第3回 「母から子への手紙」コンテスト受賞作品 (Tel.0242-62-5688

(事務局:鳥羽 紗代)


以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
会の行事の予定は育てる会の「
今月の予定」に、近隣の講演会等の案内は「近隣の講演会等の案内板」に、また特にみなさんにお伝えしたい記事などは「育てる会ライブラリー」に載せるようにしています。
容量は小さくなりましたが、ご覧いただければ幸いです。
なお会報は正会員・賛助会員の方へは郵送でお届けしています。
もしご希望の方がおられましたら、ぜひ賛助会員に申し込みをお願いします。年会費 3000円です。
応援よろしくお願いします。
申込み方法の詳細は「
育てる会 HP」に記載しています。

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