sorry,Japanese only

平成18年1月31日

 

 第93号 

NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会

 女優になる時
 第4回・第5回 支援者養成セミナーの案内 & 報告
 第3回 支援者養成セミナー 報告
 赤磐ぐんぐん だより VOL★4
 すすむっち report from Lincoln, USA
     〜 2年生の折り返し 〜
 支援者養成講座
 育てる会 勉強会
 AAO活動 ・ キッズルーム
 サッカークラブ ・ 水泳教室
 私のお薦め本コーナー
    『 アスペルガー症候群の子育て 200のヒント 』
 近隣の講演会等のご案内
 掲示板
 子育てコラム
    『 初めての葛藤 』
    『 大江健三郎さんんと私 』
 事務局だより

今日は、雨が降ったりしてなんだか一月とは思えない暖かい一日でした。
でも、こんな時は油断大敵、きっとドカーンと北から寒気団が降りてきて、またまた寒い底冷えのする日が来ることでしょう。風邪など引かずに、用心ですよ、皆様。
インフルエンザが大流行しているそうで、友人の子どもさんたちも次々かかって大変なようです。中には、特効薬という“レイ”のタミフルで幻覚症状の出た子どももいて、救急車で運ばれた子どもまであって、大騒ぎでした。すぐに症状は治まったらしいのですが、驚きますよね。親もそんな時はパニックです。タミフルは置いとくとしても、今からでもインフルエンザの予防注射ができるかしらと、注射をしていない私は、一人焦っております。
さて、今日もまた、ある日のお話から始めましょう。
その日は出かける用事があって、学校帰りの哲平を連れて、そのまま家に帰らずに出かけることに決めました。そこで哲平の帰りを、JRの駅近くの駐車場で待つことになりました。
向こうから哲平が走ってきます。この機会に哲平の普段の様子も見たいと・・・こっそり様子を見ている私の前を、気づかずに通り過ぎていきます。楽しそうになんだか、「ふふ〜ん」って言いながら通り過ぎました。ほんの小さな声でしたが、近くを歩いていた、女子高生が「ふふ〜ん、だってェ〜」と馬鹿にしたように二人で笑いました。
私は彼女たちを追い越して、哲平を呼び止めました。振り返ってみると、ちょっとバツが悪そうに2人は急ぎ足で去っていきました。
昔から、哲平といると、どこからか視線を感じます。
「あの子何?」「見ちゃダメ」と言うような重苦しい雰囲気が、ジワーと感じられることがあります。哲平は、ため息ひとつついても少し声のトーンが違ったりします。いわゆる定型発達の子どもたちとは、明らかに違います。一人で通う電車の中でも、今みたいにバカにされたりしているのでしょうか。ちょっと悔しい気持ちになりました。
でも、そんな時は、私は急に女優さんになります。差別に立ち向かう健気な、ヒロインになります。
黒木瞳さん なんて、はかなげでいいですね。
がんばるヒロインは、弱音をはきません。辛い涙を見せないで、健気に息子をかばいます。差別的な視線を跳ね返しながら、「ありのままの君がステキだよ」と言ってあげます(心の中で・・・このあたりナレーションです)。するとさっきまでの悔しい気持ちはどこへやら、自分でもチョイいい気持ちになって、気分はすっかり前向き思考へ変わってしまいます。
昔から、スーパーの中や、学校の行事なんかで、哲平が混乱したり、わがままをいったりした時に、自分を励ますためにも、私はよくこの手を使ったものでした。
恥ずかしくても、悔しくても、哲平のこれからのためにも、めげずに色んなルールを教えたりする必要がありました。小さい時は、それこそパニックを起こすことも多く、そんなときの周りからの白い視線は、痛いほどでした。
その中をやり過ごす時、私は女優さんになりました。イメージとしては、昔は松坂慶子だったのですが、最近は黒木瞳さんにしています。本当は、泉ピン子さんあたりが、一番近いかもしれませんが・・・。
それはさておき、とりあえず役になりきってその場を過ごします。
女優ですから、人の目は平気ですよ。同情や迷惑そうな目もこうなったら気になりません。
例えばスーパーで「このお菓子を買ってくれ〜!」と、「これを手にいれられなかったら死んでしまう〜!」みたいに泣き叫ぶ哲平(実際には言葉はなかったのですが)に、毅然と買えないことを伝える時、ともすれば腹立ち紛れに鬼のようになってしまいそうな私の気持ちを抑えるために、女優になる必要がありました。女優になると冷静になります。言ってはいけないことは言いません。
「このアホ、何回ゆうたら判るのじゃい!」などというような下品な言葉は出さずにすみます。
睨み付けたり、ましてや叩いたりは、できません。「だめなものはダメ」と、ただ一言言いながら、はっしと抱きしめて、その場を立ち去る。
現物から引き離すのが一番の解決策だった当時でした。実際は、それほどかっこよくはいかず、無理やり引きずるように行くのですが・・・。
でも、そんなことを繰り返すうち、だめなことと、していいことを哲平は学んでくれました。
周りの方も、少しずつ知ってくださって、がんばっているお母さんと言う雰囲気で見てくださるようになったのではないかと思います。
最近になって、「大きくなったね〜。大変だったのに、落ち着いて立派になったねぇ〜」と見ず知らずの方から声をかけていただくこともあります。どこかから、私の女優振りを見てくださった方があったのでしょうか。
味方が、ここにもいてくださったと思えて、そんな時とっても嬉しく思います。
私が、女優になる時、実はとっても辛い時なんです。心は泣いていて、とても傷ついているのです。でも、それを気取られたくない、それでもう一人の自分を演じてやり過ごしています。そんな時、まだまだ哲平の障害を受け止めきっていない自分を感じていました。
今回の事は、本当に久しぶりだったし、突然だったので少し悲しくなりました。可愛い女子高生にバカにされているのを見て、ムラムラ腹が立ちました。女優にならないと、女子高生に何かきつい言葉を言いたくなってしまう私がいました。まだまだ、修行が足りない私ですね。
そんな私のムラムラも全く気づかないで、哲平はマイペース。堂々と前を歩いていきました。そんな彼を、やっぱり誇らしく感じた私は、昔より、ちょっぴり大人になれたのでしょうか?
今回も哲平の話からのスタートで申し訳ありません。
自閉症関係の誰かとお会いする度に、「会報読んでいますよ。楽しくてっちゃんの事、見ています」と言われます。哲平の話題ばかりで申し訳ないので、少しは真面目な話題も入れないと、と思うのですが、こんな風に言われると調子づくのが、鳥羽さんです。
一ヶ月に一度の会報は、私の思いを書き込める所として、とっても貴重な場所になりつつあります。
文章を書いていくと、哲平との暮らしが結構おもしろく、その時には感じなかったことも書くことで整理されて、辛い思い出まで楽しく幸せなものになってしまうのは不思議です。そして、つくづく考えさせられます。この子と出会えていなかったら、私は何をしていたでしょうか。
平凡な普通の暮らしをしていたでしょうか。それとも、バリバリ仕事をしていたでしょうか。判りませんが、きっと今が一番ステキに違いないと思うのです。
何でもいい方に考えたい私の思考回路は単純です。
「今が一番」「岡山大好き」「元気ハツラツ!!」「これでいいのだ!!」
さて、ここで真面目に一つ。
先日「よこはま発達クリニック 冬のセミナー」へ赤磐ぐんぐんスタッフと1月8〜9日と研修に行ってきました。
今回のテーマは「高機能自閉症・アスペルガー症候群の理解と支援」、中でも私は吉田友子先生のお話が特に印象深く、皆様にも紹介したいと思います。吉田先生はとても想いが暖かくて深くて私大ファンです!!
「思春期に受けることの多い相談・あれこれ」の中で、先生のおっしゃった言葉の一部を紹介します。
● からんだ糸は必ず解きほぐせる。「逃げ出さないぞ」という決心を支援者が持つことが大切
● 「君の良さが分かる人は少ないんじゃない?」(この言葉、誰かに言ってほしかった!)
● 思春期は全てのツケが回ってくる時期。
● 本人が「辛い」というなら辛いんです。それを信じること。
● 一人遊びに介入しない。「立派な孤立型に育てましょうね」(一人で仕事が出来る人になれる)
● 「君は大人並みに毎日頑張っているから、休んでいいんだよ」
● 「あの子たちに誇りを持って生きていってもらいたいために、今私はここにいます」
同感です!自閉症の子どもとその親の幸せをサポートするために、私は今ここにいます。そしてこれからも生きていきたい。一年の初めに良いお話を聞きました。鳥羽美千子。53歳。まだまだボケる訳にはいかないぞ!頑張るぞ!!
育てる会 代表  鳥羽 美千子
息子ネタはたくさんありすぎるくらい。ただ、あまりに多くて、私一人では書ききれないのです。ブログをお父さんが作っているので、それを読んでいただくと、我が家のアレコレが、出てきます。
「自閉の北斗星 」哲平が、自転車で事故を起こしたこと、マフラーを4本も編み上げてくれたこと、映画の話や、料理の事など面白い話がいっぱいです。

第4回・第5回 支援者養成セミナーの案内 & 報告

先日1月29日に国際交流センターで開催された重松孝治先生による 「ライフステージを見通した自閉症児者への支援 〜幼児期・学齢期〜」へは、多くの方にご参加いただき、ありがとうございました。
将来を見通した幼児期・学齢期の子どもたちに必要な支援とは何かということについて、幼児期・小・中・高校まで、幅広いお話を系統立ててしていただきました。保護者・学校関係者・施設職員らにとって、明日からの実践に即使える具体例はもちろん、どう考えていくべきか、原点に帰るきっかけにもなるお話でした。(詳しい内容は次回の会報で)
次回の「第5回 支援者養成セミナー」は、この「幼児期・学齢期」のあとにやってくる 「青年期・成人期への支援」をテーマに、藤村出先生にお越しいただきます。
ぜひ皆様お早めにお申込みくださいますよう、よろしくお願いいたします!
日 時  平成18年 2月26日(日) 
場 所  くらしき健康福祉プラザ
講 師  藤村 出先生(障害福祉コンサルタ
ント)

第3回 支援者養成セミナー報告

12月25日(日) 生涯学習センター 大研修室に於いて 『ちょっと気になる子どもたちへの支援〜子ども達の困った行動や言動には理由がある!!〜』という演題で、愛媛県の「つばさ発達クリニック」の院長:藤岡 宏先生による講演会を行いました。
満員のお客様で、何人もの方をお断りするほどの盛況でした。お断りしたみなさんには申し訳なく思っています。
さて、今回 「チョット気になる子どもたち」 という演題でお願いしたのには、訳がありました。
実はこれまで、保育園の先生や、学校の先生から、「お母さんが気づいておられないケースがあるのですが、でも、コチラから先に『お宅のお子さん発達障害があると思うのですが・・・』と言い出すわけにもいかないので」というようなお話を、時折伺っていました。
また、お母さん同士でも「あの子もしかしたら、自閉症かも・・・」と思っても、「言えば気を悪くされそうで言えない」というような話しも聞きました。
気になるけどと思いながら日を過ごしておられる方が、きっとあると思いました。そこでお忙しい藤岡先生に無理を承知でお願いしてみました。
いつも参加されるメンバーとは違っておられる方の申し込みも多く、「こんなセミナーに参加することがなかった。もっと早く知りたかった」というような方もありました。また、「やはり受け入れかねる」と思われた方もあったようでした。
でも、何事もまずは正しく知ることから始まると思います。
「社会は構造化(子ども一人一人に合わせた支援)されていないのだから、構造化など無理だ、必要ない」というような意見を主張される方がいらっしゃいますが、それは近視の人に「眼鏡をかけるな」といったり、足の不自由な人から車椅子を取り上げて、「さあ、立って歩いて!」と言うようなものです。これは虐待と同じです。こんな主張をされておられる方は、今回のこの藤岡先生のお話をどう聞かれたのでしょうか?
もしも、構造化が必要ないとしたら、何をしていいのかわからない環境におかれた時、その子たちはうまくやっていけるのでしょうか?「わからない」ということをパニックや自傷行為で訴えるしかない子どもたちや、固まってしまい指示がないと動けなくなってしまった子どもたちの姿が見えるような気がします。
自閉症の特性を正しく理解するところから、初めて子どもたちの助けとなる療育が始められるのだと思います。
それを改めて感じさせられた藤岡先生のお話でした。
(鳥羽 美千子)

以下に、参加された方から内容と感想が寄せられましたので、紹介します。
去る12月25日(日)の藤岡宏先生による講演会に参加しました。
学校現場では今 演題にもなっている「ちょっと気になる子ども」が増えているそうです。そういう子どもの多くが発達障害を抱えているのではないかと思います。
その中でも自閉症の子どもたちへどのような関わり方が有効であるか、そして他の発達障害のある子どもたちにとっても、いかに効果的かという点をお話ししてくださいました。
自閉症の人たちは私たちが想像も付かないようなところで困っている場合があります。感覚刺激に弱い人、予測の付かない動きをする物に対して弱い人がいます。社会的な情報を読みとることが苦手なこのような人達に対して特性を考えてあげることこそが支援につながります。彼らの特性を理解することから支援につなげる、また支援することによってより彼らの特性を理解することができる。コミュニケーションの意味とは相手の気持ちを正しくくみ取ることができると言うことです。
また、藤岡先生は「構造化」についてもお話くださいました。構造化とは支援者側が伝えたいことを、本人に分かりやすく受信してもらうための工夫です。そして、同時に本人から支援者へ思いを伝えるためのものです。
構造化には物理的構造化、一日のスケジュール、個別化されたシステム、視覚的な構造化があります。構造化を用いることで、本人が理解することを助け、落ち着いて行動することを助け、うまく学習するのを助けてくれます。そして、自立を支援するための道具、やるべき行動を自信を持ってやり遂げるという力をつけることができます。
私が家でやっている我が子に対する支援は、先生のお話をお聞きするうちに、とても部分的にしか正しくないと感じました。自分なりの理解で視覚支援やスケジュールを取り入れることには一種怖さがあります。我が家では子どもに対して発する言葉の8割は指示の言葉です。これでは自立にはほど遠いと言わなければなりません。
藤岡先生のお話をお聞きして一番思ったのは 本当に彼らの視点に立って自立できるように支援する。こちらの都合のよいように彼らを動かすためのカードではないのだと言うことでした。

「ちょっと気になる子ども」のほとんどが発達に障害を持った子ども達であり、その多くが自閉症スベクトラムに即すると言うことを知ってショックを受けて帰られたお母さんもいるかもしれません。
しかしどんな子どもでもその子を育てるのには彼らの特性に留意して理解しにくいことをうまく乗り越えられるように工夫することは当たり前のことではないでしょうか。
私はかえって力をいただいて帰ることができたと思っています。
藤岡先生、ありがとうございました。
( H・T )

<保護者アンケートより>

具体的な色々なケースを紹介してくださり、とても分かりやすかったです。家庭でも出来そうなヒントをたくさんもらえたので、早速やってみようと思います。ありがとうございました。
病院で診断を受け、途方に暮れておりましたが、雲を掴むような思いが少し薄れました。自分の子どもだけではないんだと、親としてどうあるべきかを、考えさせていただきました。
「構造化」について、詳しく聞くことが出来たことが良かったです。また自閉症のみならず、ADHDやLDの子どもに対しても有効な手段として教えてもらったことが良かったです。自分でもやってきたつもりでしたが、今回の講演を聞いて、漠然としていたことが、具体的によく分かった気がしました。
午前・午後ともに大変良かったです。今日は担任の先生も参加していただけて、いつも先生が言われていること(例:言えば分かります・本人は分かっています、など)なかなか私が伝えても理解していただけなかった特性のところを分かりやすく、詳しく話していただけたので、先生にも伝わっているのではと期待しています。
日頃は親の欲目で「うちの子は話していることは分かっている」と信じていたけど、講演会で冷静に客観的に支援していくことが分かり、良かった。日々右往左往しているので、よい指針になりました。
今日の講演会では、終始「なるほど〜」と納得したり今後に生かしていくことばかりで、本当に良かったです。
ついつい今の現実にばかり目が行きがちですが、将来の子どもを見据えて関わっていかねばと改めて思いました。育てるための自信がつきました。

<教職員アンケートより>

一人一人のその子に応じた支援をすることが、将来的に本人の自立を助けるのだから、周りで関わる者として、責任と意識を持って接していかなければと思いました。先生の子どもを見る視点や温かさを見習っていきたいです。
教育現場では、診断名だけが先走って、「この子はLDだから」「ADHDだから」と一義的に捉えられているところが多くあります。時間や空間の構造化(整理)は、自閉症だけでなく、どの子どもにも必要なのに・・・と残念に思っていました。今回、藤岡先生からその部分についてお話してくだったのもとても良かったです。
私達の見方や考え方と、自閉症の人の見方や考え方が結びつくようにお話くださったことで、理解しやすくなりました。良かったです。また、午後は具体的な技法について、細やかに丁寧に説明してくださり、誤解されていることの多くが訂正されることに繋がったと思います。
私は長年障害児教育の現場にいますが、通常学級の先生たちが特別支援教育の実践ができるようになるのは、まだまだ時間がかかると思っています。子どもの全体を見る力、将来を見通す目、制度的な援助と課題は多いですよね。子どもたちの発達を色々な切り口から見て、総合的に判断する力を周囲が要求されていると思っています。
長時間でしたが、内容は本当に濃いものでした。理解するには自分がこれからしっかり実践していくことが必要だと改めて感じています。幼稚園で働いていて、今のクラスには自閉症の子はいませんが、しっかりと勉強しながら、将来出会うかもしれない子どものために支援できる体制を整えていきたいと思います。
学生時代、障害児保育を学び、今は福祉施設で勤務しています。今まさに担当している人への構造化支援をしていますが、色々な方法と、もう一度考える機会を与えてもらえる内容でした。ありがとうございました。

赤磐ぐんぐん だより  vol★4

「赤磐ぐんぐん」の近況をご報告いたします。
1月8〜9日と「よこはま発達クリニック」主催の冬のセミナーに行ってきました。
題目は『高機能自閉症・アスペルガー症候群の理解と支援』です。
今後の療育に活かしていける内容が盛りだくさんで、ワクワクしながらしっかり学べた2日間でした。子どもの行動を見るときには表に表れている行動だけでなく本人が内面的にどのように納得し、あるいはどのように意味付けをして行動しているのかという行動の奥の部分に目をむける必要性を感じました。子どもの問題行動やパニックの現れ方を氷山モデルで表すことがあります。これは表に現れている問題行動そのものだけに目をむけるのではなく、水面下にある問題行動の本質にアプローチして問題解決をしていく考え方です。
私たちは現れている行動だけに目を向けるのではなくちゃんと納得できているのかというところに注目して支援していきたいと考えています。出来ているから理解している。しゃべれているからわかっているのとは違うこともあるかもしれないという視点でお子さんの様子をとらえ、療育していきたいと思っています。
1月16日に『赤磐ぐんぐん見学会』がありました。今までで一番たくさん、総勢10名の方が見学に来られました。
今後の療育を希望される保護者の方や療育関係者、園の先生が来てくださいました。大勢の方に対してスタッフ2名の対応で行き届いた説明が出来なかったところもあるかもしれません。ご了承ください。
「ぐんぐんの療育がお勧めだから」というわけではなく、「今現在どんな療育をしているか」を見ていただいています。お子さんにとってわかりやすいこと、研修で学んだことなどを常に意識し、試行錯誤を繰り返しながら必要に応じて変化しているぐんぐんです。同じ人が次に見学しに来られたときに、より良くなっていたいと考えています。
10月20日より香川大学教育学部の藤江基樹さんが、12月27日より岡山大学特殊教育専攻科の吉田碧子さんがボランティアに来てくださっています。お子さんの様子を見ていただき一緒に支援を行なったり、裏方のスタッフの仕事の手伝ってくれています。ボランティアさんの協力あっての赤磐ぐんぐんです。本当にありがとうございます。今来てくださっているボランティアのみなさんは3月で卒業されますのでそれまでのお付き合いですが、あと2ヶ月どうぞよろしくお願いします。
赤磐ぐんぐんではこれから私たちのお手伝いをしてくださるボランティアさんを大募集しています。
興味のある方はぜひ育てる会事務局までお電話ください。お待ちしています。
(赤磐ぐんぐん スタッフ)

支援者養成講座

自閉症の子どもの担任になったけれどどんな風に関わって行けば良いのか、困っていらっしゃる先生はおられませんか?この講座はそんな先生方のための勉強会です。
年間7回予定です。第6回・第7回の講座は、現在講師の先生の日時を調整中です。
3月頭と3月末に開催予定です。受講者には追って日時をご連絡しますので、お待ちください。
さて、第5回の講座では、1月20日に岡山大学:佐藤暁先生をお招きして開催しました。
参加された方から感想を寄せていただきましたので紹介します。

いつもお世話になります。今回もとっても勉強になりました。特殊学級担任として、もちろん知っておかなくていけないことも多いのですが、これから普通学級にももっと校内研修などで私達が知った情報をお伝えしていく必要があるなぁと思いました。岡山県の実情などを知ることができ、先を明るくするために私にできることはないかなぁ・・・とふと思い、今目の前にいる子ども達と一日一日を大切に過ごすこと。先は明るくなると信じて、子ども達と学んでいきたいと思いました。岡山しっかりして!!皆で頑張っていきましょう!!
佐藤先生のお話はいつうかがっても、心がほわっと暖かくなります。今ここを生きる。今が本番。向かす先がステキな楽しい時には頑張れる子どもたち。しかしその向かう先が見えない時、毎日が空白だらけ。たまたま1月23日付の山陽新聞に載っていた見出し(川崎医療福祉大特別講座)「支援の前に理解を」。ともすれば見失ってしまいそうにもなるけれど、忘れてはならない大切なことを佐藤先生の優しい語り口で教えていただくことができ、とても充実した時間でした。子どもを外からだけ眺めるのではなく、正しい支援のために、まず正しい理解をと改めて心しました。
仕事が終わり、疲れた身体に鞭打って参加した研修でしたが、研修が終わる頃には充電でき、明るく帰宅できました。特にいつも私達は「自閉症の子の立場に立って」と言いながら定型の方へ立っていないかということについて、改めて考えさせられました。また、私たちのレベルでどうこうできる問題ではない部分もあり、ハード面・ソフト面を考えていく大切さを感じました。技術面だけでなく、子どもの生の姿を捉えるようにならなければ、と思いました。私の立場でできることを精一杯がんばります!
「困り感」を持っている子どもにとって、特性を理解したフォローは絶対不可欠です。
そしてその上で、子ども一人一人に合わせた支援を考えていく必要性。学校の子ども達との関わり方を再確認となった講座でした。佐藤先生、ありがとうございました。

育てる会 勉強会

今年度、育てる会の勉強会では「先輩のお母さんからお話を聞く」という形で行ってまいりました。今回お迎えしたのは 自閉症児者のお父さん でした。
1月22日(日)、きらめきプラザにて、アリスの会(岡山広汎性発達障害児・者親の会)代表の伊丹英徳さんを招いて勉強会を行いました。今回は初めてアリスの会との共催という形をとっての勉強会でした。アリスの会の方たちとも、交流もできたのはとても良かったように思います。
伊丹さんは、自閉症協会岡山県支部の支部長でもあり、その上今年度からは、自閉症協会本部でも高機能委員会の委員長も兼任されています。そんなお忙しい中、勉強会に来てくださって、ありがたいことでした。
日曜日の開催の為、お父さんたちの参加も多く、とても良かったように思います。参加者の中であるお母さんが、「うちのお父さんも連れてきたかった。伊丹さんのように、子どものことを全力で守ってみせる、というようなお父さんになってほしい」と言われていたのが、印象的でした。
小さい子どもたちも大人になるにつれ、ましてその子が男の子であれば尚更お父さんの出番がやって来ると思います。
どんどんお父さんを引っ張り出してきて判ってもらいたいなと思いました。そういう意味でも日曜日開催は良かったと思いました。
勉強会では、伊丹さんの息子さんの誕生から、今 成長されて自立の道を模索されていくところまでのお話を聞かせていただきました。伊丹さんは、終始、温かな柔らかいお話しぶりでしたが、息子さんが小さかった頃のエピソードの中には、辛い経験もたくさん持たれていらっしゃいました。聞いていて私も思わず、力こぶができそうになりました。
その当時のお話には、伊丹さんとは一つ違いの息子を持ち、同じ時代を生きてきた私としては、特にいじめのお話や、判っていただけない学校や園のお話に、自身の子育てを重ね合わせて、思わずフラッシュバックしてしまいそうになりました。
伊丹さんの「もしまた子どもが持てるとしたら、この子が良い。わたしは息子を誇りに思っています」と言われたのが私には一番印象的でした。
最後に、「みんなで岡山を自閉症の子どもたちが安心して暮らせる地域にして行きましょう。力を合わせて行きましょう」と、これからも協力を約束しながらの有意義な勉強会でした。
(鳥羽 美千子)

  子育てコラム
今回は、保護者の方お二人からの投稿をいただきましたので、紹介させていただきます。
コラムでは、皆さんからの投稿をお待ちしております。どうぞお気軽にご連絡ください。

「初めての葛藤」  (チェリーママさんより)

寒い日が続いていますが、皆様風邪などひかれていらっしゃいませんか?冬はまだまだこれから、体調を整えて親子共々乗り切りたいものですね。
先月私は、娘の障害を、同学年の保護者及び子ども達に伝えました。初めての葛藤から、2年半。今の想いをここに残せたらと思います。
私が初めて「公表」という言葉を胸に刻んだのは、小学校入学から1ヶ月、初めての参観日の後に行われるクラス懇談の際に、「彼女の問題行動のことを他の保護者に質問された場合、どのように答えたらいいですか?」という担任の先生からの相談でした。
その当時、娘は診断を受け半年間の訓練が終了し、やっとの思いで小学校に入学。確かに学校の集団生活の中でトラブルやパニックを引き起こすことも多かったのですが、親の心中では、娘が自閉症であることを表面的には受け入れているものの、「学校生活にももう少し慣れれば、友達ともうまくやれるのではないか?」「娘に努力させれば、頑張ることができるのではないか?」と考える日々が続き、娘の人権を守ってあげたい、いや 娘よりも姉兄、そして私自身の立場を守りたい、普通の子どもとして育てたいと考えていたことも多分にありました。
そのため「公表するということですか?」と開き直り、泣きながら 今そのような気持ちがないことを伝えたと記憶しています。
その時は正直言って、学校の先生は障害児を持つ親の気持ちなんて、何も理解していないんだな。世の中で障害児を育てることは大変なことなんだな。と思い知らされた気がしました。
その後、クラス懇談の中で娘のことが問題として取り上げられることはなかったのですが、トラブルやパニックは増減を繰り返しながら学校生活は続いていき、行事などに参加する際には「どうか落ち着いて当日は終了してほしい」「変な子と見られるのではないか」と気にする日々は続いて行ったのでした。
私は先ほど書いたように、公表できない理由として、それ以外にも、今まで友達として付き合っていた人たちが離れていくのではないかと思うところもありました。
今思えば、浅はかな考えであり、子どもを守ることの本当の意味を理解しておらず、自閉症の知識の面に関しても、他人に伝える能力、そして勇気が不足していたためと、反省しています。
(・・・次号に続く・・・)

チェリーママさん、ありがとうございました。
高機能自閉症やアスペルガー症候群などの知的には問題がないタイプの子どもさんの場合、自閉症という障害そのものは、知的のあるタイプの方と変わらないにも関わらず、一見出来る部分が多いため、障害をどのように告知し、周りに理解していってもらうか・・・。学齢期の大きな課題の一つになってきますよね。そして、本人にどのように障害を伝えていくのか・・・。「ぜひ皆さんに私の経験をお伝えしたい」とメッセージをくださった チェリーママさん、次回も続きを楽しみに待っています。

「大江健三郎さんと私」  (りょうパパさんより)

先日、TV番組の『たけしの誰でもピカソ』に作家の大江健三郎氏とその御家族が出演されていました。大江氏は言わずと知れたノーベル文学賞作家ですが、もうひとつ (ご存じの方も多いとは思いますが) 障害者の父親でもあるのです。息子さんは、大江光さんといって知的障害がおありです。クラッシック音楽の作曲家で、CDを出していらっしゃったり、音楽会も開かれているほどの方です。
私は、(もう随分も昔になりますが) 以前放送されたNHKの特集かなにかで、大江健三郎氏と光さんのことは見て知っていました。私がそのTV放送をいつごろ見たのか (私の息子に障害があるとわかる前か、それとも後なのかも) まったく覚えていませんが、その内容だけはとても強く印象に残っていました。障害があっても、興味のあることを発見して、伸ばして、育てていくということに、当時とても関心を抱いたことを覚えています。それもあってか、私は自閉症の我が子に音楽を学ばせたり、水泳をさせたり、絵や習字をさせてみようと積極的になっていた感もあります。
また最近、私は偶然にも大江健三郎の小説を立て続けに読んでいました。『新しい人よ眼ざめよ』と『静かな生活』という、光さんをモチーフにした私小説です。ただ、ノーベル賞作家の文章はとても難解で、私の読解力では半分も読み込めていないとは思うのですが、読み終えた後には不思議と心が暖かくて、なんとも言えない後味が残るのです。小説の中でも、息子に障害があることへの作者の心の葛藤や抑うつ、受容そして前進という、ネガティブな面とポジティブな面が、ときには直接的に、ときには隠喩にて描かれています。障害者の父親という部分に共感してのことなのかどうかは解りませんが、知覚に訴えてくる不思議な感覚を、大江文学から私は受けていました。
今回の番組でも、大江健三郎氏は常に光さんの後ろから支えるように手を差し伸べられており、作家大江健三郎ではなく、心から我が子を愛する父親としての姿が映し出されていました。また光さん自身もとてもリラックスして、優しくて穏やかないい笑顔をされておられました。『光さんを中心とした生活』が、大江家での当たり前の生活であり、そして家族みんなが支えあっている様子がうかがい知れました。
『自閉症の息子中心の生活』、いつしか我が家もそうなっていました。今後も変わらず息子を中心にして私も妻も成長していくのでしょう。大江健三郎氏とその御家族がそうであるように・・。
(りょうパパ)

りょうパパさん、ありがとうございました。
先日の勉強会で伊丹さんもお話されましたが、自閉症の子どもを持つ家族にとって、お父さんの役割は本当に大きいものだと思います。(勿論それ以外の家族も同じですよね)
子育てはお母さんだけではできません。お父さん・兄弟・祖父母・地域の人たち。負担や責任を皆で分担して、一緒に子育てで喜びあえたら、ステキですね。りょうパパさん、今後も投稿お待ちしています★

 事務局だより
寒かったり暖かかったり、着る服に悩む毎日が続いております。皆様いかがお過ごしですか?私は昨日ついに初ダウン。「風邪かなぁ」と思ったらどうやら貧血。そんな ひ弱になっているとは・・・。もっと身体を鍛えていかねばと痛感しています。
「事務局だよりなんて、きっと誰も読んでないよね」と思い、これまで好き勝手なことを書かせていたのですが、何と意外と大勢の方が読んでくださっているそうです。
昔の職場の同僚や友達・母の知り合いなどから時々声をかけていただきます。
驚いたのは講演会に来てくださった講師の先生方も読んでくださっていたこと!
そしてもう一つ、こんな私の文章が、インターネットのうちの会のHP上にアップされていること!勿体ない・・・。こんなのを公共の電波(?電波じゃないか、回線かな?)で発信していていいのだろうか・・・。
皆様読んでくださってありがとうございます。暇つぶしにでもしていただければ幸いです(^^)

最近 また時間が少しできてきたので、色々な本を読みました。
昔から読書は大好きで、昔は「学校司書」だった関係もあり、今でも時間さえあれば本をよく読みます。(先日やっと「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」を読む機会を得ました♪ 2日で上下巻読んでしまいました^^;)
でもここはやはり会報なので、「自閉症関係」で面白かった本を紹介しようと思います。
「わかってほしい!気になる子 〜自閉症・ADHDなどと向き合う保育〜」(田中康雄著:学研)という本です。
12月の藤岡先生の講演会前に「今回のテーマに合うかなぁ」と読んだのですが、これがなかなかタメになる本!しかも読みやすい(偉そうですみません><)
この本は、自閉症やADHDなどの「発達障害」を持つ子ども達やその保護者に対するまなざしについて、ある保育園の実践を中心にまとめた「保育士の方のための」本です。
ですが、保護者の方でも学校の先生でも療育スタッフの人にも、とても分かりやすい本になっています。「HOW TO本(=対応策本)」や「障害理解の本」という面もありますが、それ以上に「誤解されやすい状況の中で、しんどい思いをしている彼らのことを分かってほしい!」という作者の思いが全面に表れている本だと思います。
「発達障害についてしっかりした基礎知識 編」
「クラスの中で気になる子へのサポートのケース紹介を園の現場と医療現場からのアドバイス 編」
「保護者のとの関わり方(=先生との関わり方)についてのアドバイス 編」
「これからの保育の形・ネットワーク作り 編」
といくつかの章にも分かれており、時間のないお母さんや先生にとっても、すぐに読める本だと思います。
中でも、私が参考になるなぁと思った点をいくつか紹介させていただこうと思います。
例えば、ADHD。
自閉症の方の勉強は自分なりに深めてきたつもりなのですが、ADHDについてはどのような診断基準があり、どのような症状が見られるのか。そしてどのように関わっていけばいいのか、分かりやすい項目別に紹介されています。
「関わり方のポイント」を見ると、「あせらない」「視覚に訴える」「見通しが持てるように」「思い出し、気付かせる言葉かけ」「漠然とした表現ではなく具体的に」「不必要な刺激は少なく」「スモールステップで」「成功体験を増やす」「くどくどと叱責せず短く伝える」「褒める時は皆の前で、注意する時は個人的に」・・・
あれ?これってADHD?自閉症への関わり方じゃないの??誤植??(笑)
そう思えるぐらい、実はADHDの子どもとの関わり方のポイントって、自閉症の子どもにとっても有効かつ的確なのです。(勿論自閉症児の関わり方のポイントは別にちゃんと書いてありましたよ。誤植にあらず^^)
私がここで思ったのは、「発達障害のある子どもへの関わり方の基本って、同じなんだよね」ということ。診断基準やもっと詳しく見ていけば、違う部分も多いのですが「基本」という部分では、本当に同じだなぁと感じました。
そして、同じように、きっとこういう関わり方の基本って、定型発達の子ども達にとっても、いやそれ以上に大人になっている私たちにとっても、適切なんではないのか、ということ。
誰だって、見通しは欲しいし、上手にできたら誰かに褒めてもらいたいし、うまく出来るようにどうやったらできるか教えてもらえたら嬉しい。
だから発達障害のある子には「特別な支援」って言うけど、彼らにわかりやすい支援をすることは、きっと他の子ども達にとっても有効なんだよね、と再確認しました。
また、障害についての知識を深めることは必要だけど、障害についての知識を得たからと言って「AちゃんはADHDだから」などと、障害名で子ども達をひとまとめにしないこと。障害を知った上で、子ども達一人一人を人間的に見るという視点を忘れないでほしい、ともあります。
そして「早期発見・早期対応」とはまず保育者は子どもの日常に接しながら、子どもの言動を不思議がり、生きにくさを実感している子ども達に気付いてほしい。一人一人の特性に応じた環境調整をしてほしい。そのためには発達障害の知識が役立つでしょうし、保育者や保護者・医療の専門家が協力するシステムも考えられる。その中で子ども達一人一人に合わせた接し方が見えてくる、とありました。
この本は「発達障害は大変」「問題だ」とは書いてありません。
就学前の子どもたちにとって、早期に最善の対応によって支援することで、その子どもなりの成長・発達を見ることができる。その可能性を見出すことが保育する側の専門性と責任である。「『気になる子』は問題児ではない。理解を支援を必要としている子どもなのだ」という田中先生の言葉は、私たち子どもと関わる全ての人へのメッセージではないでしょうか。
もし興味を持たれて読まれた方がいらっしゃったら、また感想教えてくださいね。
(事務局:鳥羽 紗代)

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