sorry,Japanese only

   家庭との連携で  就労=自立を実現する教育 』

上岡 一世:著 明治図書 定価 1560円 + 税
ISBN4−18-128405-0 C3337 ¥1560E


これまでも、『 指導年令がわかる 社会的自立のための指導プログラム 』『 こうすれば伸びる自閉症児の指導法 』『 就労自立を果たす指導法 』 などでも紹介させていただいたように、上岡先生の指導の視点は、いつもこの「就労=自立を実現する教育」ということににあると思います。

下手に紹介するよりも、下の目次に書かれている項目を読んでいただくだけで、大切なことはすぐにわかっていただけると思います。
我が家でも、哲平のIEPを作る時や、日常の指導の際などにおおいに参考にさせていただいています。

特に「3章 生活力向上のための指導」の中の、お金(買い物)についての、計算よりも支払いの仕方を教える机上よりも実際の場面で頭の働く指導を目的ある買い物を・・・ 
毎日目的を持った買い物を続けさせているうちに、なんとか1人で買い物できるようになってきています。

自主通学の項では、早期に交通機関の利用に取り組むことの大切さや、トラブルが適応力を増すことや、自立の力を信じることなど教わりました・・・
こうして哲平もJRでの自主通学ができるように「なったのですが、次の課題は本書にある「自力外出」への取り組みですね。

他にも外食については、「本物に触れさせる」、“一流の場所だからこそ、緊張感が生まれ、正しいマナーが身につきやすいのです” そうですね。
将来自立した時には一流の場所で堂々と食事できるようになるには、練習もきちんとしたレストランでやらないといけませんね。
あとは「1人で外食できる」 これも自立に向けては欠かせませんね。

この本を読んでいると、まだまだ 就労=自立 までには教えていかなければならないことが、いっぱいあるのに気づかされます。
生活の質の向上を目指して ”あせらず、やすまず“ 将来の自立を見通した指導を、続けていかなければいけませんね。

(2002.05)


  目次

まえがき

1章 重視すべき指導

1 生活年令を重視した指導を

2 将来の自立を見通した指導を

3 家庭生活を重視した指導を

4 実社会での訓練、指導を

5 主体性を引き出す指導を

自分の生活が出来るようにする
自由と自主性は区別すべきである
押しつけでなく、できる援助をする
任せて待つ指導を大切にする
自主性は人間本来性のものである

6 社会的スキルを身につける

(1) 基本的生活に必要なスキル
     着替え
     排泄
(2) 基本的相互交渉のスキル
     あいさつ・返事
(3) 職業・地域生活でのスキル
     電話の使用
(4) 認知的・対人関係のスキル

 

2章 基本的生活習慣の確立のための指導

1 食事

(1) 基本指導
     欲求
     量の調節
     食器の扱い
     食事マナー
     M子さんの事例
(2) 偏食・過食への対応
     偏食
     過食

2 衣服の着脱

(1) 実態把握をしっかりとする
     指示、援助をしないときの実態把握
     指示、援助をしたときの実態把握
(2) 指導の基本
     意欲を引き出す
     できる工夫をする
     生活の質を高める
     早期の指導が決め手となる
     思いつきの指導が子どもをだめにする
     意識を育てることが大切である

3 排泄

     基本動作の指導を徹底する
     実社会で通用するマナーを身につける
     清潔心を育てる
     マナーを育てる
     正しい行動を育てる
     実社会での評価を重視する

4 清潔

(1) 指導の基本
     きれいを実感させる指導を
     何よりも、まず気づかせる指導を
     子どもに気づきやすい状況づくりを
     適切なことばがけを
     心地よさを実感させる
(2) 家庭への働きかけ
     課題を明確にする
     家庭へ働きかける
(3) 具体的指導
     手洗い・洗面

5 就寝・起床

     昼間の生活を充実させる
     基本的生活習慣を確立させる
     就寝前・起床後の活動を重視する
     生活のリズムを作る

6 生活のリズム

     N君の事例

 

3章 生活力の向上のための指導

1 基本的考え方

2 集団・移動

     対症療法的指導は効果はない
     集団を質的に向上させる
     外での訓練を取り入れる

3 遊び

     遊びの楽しさを教える
     自ら遊ぶ活動を用意する

4 応対

     返事・あいさつがなぜ必要か
     あいさつの指導
     返事の指導
     受け答えの指導

5 礼儀

     自他の区別
     生活のマナー・ルール
     ことばづかい・態度

6 指示の理解

     真剣に対応する
     意味のあることばがけをする
     理解の確認をする

7 身だしなみ

     身だしなみがなぜ必要か
     自分で整える
     自立に向けた援助を行う
     行動の仕方を教える

8 持ち物の整理

     自分の物を意識させる指導を
     時間をかけて徹底した指導を

9 対人関係

     問題解決
     創意・工夫
     ユーモア感覚

10 手伝い

(1) 家事手伝い
     親任せでは効果は上がらない
     重視して欲しい指導
(2) 指導の実際
     買い物
     掃除
     食事づくり

11 お金(買い物)

(1) 指導の基本
     現場での指導を重視する
     計算よりも支払いの仕方を教える
     机上よりも実際の指導を
     頭の働く指導を
     目的ある買い物を
(2) 指導の実際
     小学1年生のT君の事例
     中学部のN君の事例
     高等部のH君の事例

12 自主通学

(1) 自主通学
     自立の力を信じる
     トラブルが適応力を高める
     自力外出へ発展させる
(2) 交通機関の利用
     早期に取り組む
     現場での指導を重視する
     いろいろな乗り物を利用させる

13 自己決定・自己選択

     子どもの主体性を確保する
     子どもの意志、気持ちを大切にする
     体験を積み重ねる

14 余暇

     学校で指導すべきこと
     家庭で指導すべきこと
     地域社会で指導すべきこと

15 外食

     食事マナーを身につける
     外へ連れ出す機会を多くする
     1人で外食できる
     本物に触れさせる

16 コミュニケーション

     コミュニケーションマインドを育てる
     状況が把握できる子どもを育てる
     子どもの興味・関心を大切にする

 

4章 就労の実現のための指導

1 実社会で通用する子どもを育てる

     15年目に入った自閉症児のO君
     単身赴任した自閉症児のN君

2 就労事例に学ぶ

     事例1
     事例2

3 就労を目指すための指導のポイント

     主体的行動の差
     認知的対人行動の差
     指導者の指導の差

あとがき


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