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仕事について思う事

鳥羽 紗代

 この四月から私も社会人になり、現在M町の三校ある小学校の学校司書として子ども達と接しています。
それぞれの学校には一人一人個性豊かな子ども達が多く、休み時間になるとたくさんの子ども達が図書室を訪れてくれて、本を読むだけでなく、おしゃべりしに来てくれたり、自分の書いた絵を見せに来てくれたりしてくれます。子ども達と関わるのも本と関わるのも大好きなので、この仕事ができて本当に良かったな、と思っています。

そんな私が先日、ある小学校の遠足に参加する事になりました。全校児童参加の遠足だったので、小学校に子どもが誰もいなくなるのは寂しいし、お願いして付いていかせてもらったのです。そこの小学校には二人の自閉症児の子どもがいました。一人の子はおとなしいタイプ、もう一人の子はおしゃべりなタイプで、どちらの子どもも楽しくてかわいくて、「こんなところで君達に会えるなんて♪」という気持ちでいっぱいでした。その時に子ども達と日頃関わっておられる先生にこんな事を言われました。

「先生は子ども達の扱いがとっても上手だわー。障害のある子どもだけではなくて、普通の子どもに対しても、話の聞き方とか接し方とかがすごく自然で、とってもいいわー。どこで憶えて来られたん?」

 私としては普通にやっているつもりだった事が他の先生方にそんな風に誉めていただいて、ありがたいやら、てれくさいやら、何だか変な気分だったのですが、何故そんな風に言っていただけたのか、自分なりに考えてみました。
考えた結果、それはこの自閉症の子ども達との長いボランティア生活が功をそうしているのではないかな、という結論に達しました。


子どもと向き合う事。子どもの話をじっくり聞く事。子どもの気持ちになって考える事。子どもの意見を尊重する事。そして自分の意見を子どもに分かりやすいように伝える事。

 どれもこのボランティア生活で私なりに学び得た自閉症の子ども達との接し方です。でも、これは別に自閉症に限った事ではなく、どんな子どもにも有効な手段だったのですね。

よく「若い時の苦労は買ってでもしろ。いつか役に立つ事がある」と言われますが、今回身を以ってそれを体験し、「ボランティアやっていてよかったなぁ!!」と綺麗ごとじゃなくて、本当に思いました。

 社会人一年目でボランティアに学生のころのように毎回毎回参加するという訳にはいかなくなると思います。(なにせ分からない事だらけで勉強勉強の毎日です)でもこれからもたくさん勉強させてもらうためにも、色々な子ども達と関わっていくボランティアをさせていただきたいと思っています。だって勉強云々の前に、私は何より子どもが大好きですもの。

育てる会 会報 38号」より


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