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令和 6年3月31日

 

 第311号 

NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会

 311号 目次

     金婚式です

      育てる会 自閉症啓発セミナー
          「吉田友子先生講演会」 報告

      即実践講座、夜間連続講座 の 報告

     育てる会総会、フリーマーケット、AAO活動、OHAの会 の お知らせ

      水泳教室、クローバーの会、キッズルーム、スポーツクラブ の 報告とお知らせ

     お母さんコラム

     ちゃーちゃん日記

     私のお薦め本コーナー
         「自閉症の息子をめぐる大変だけどフツーの日々」

      ぐんぐんだより
         「ぐんぐんぴっぴ」、「ぐんぐんキッズ」、「ぐんぐんタッチ」

     近隣の講演会等のご案内

春の訪れがうれしい3月です。少しずつ太陽の沈む時間が遅くなって、戸外が明るい時間も増えていく時期はとてもうれしいものです。
でも、まだ気温は低い日も多くて・・・春は名のみの風の寒さや〜♪ なんて歌もありましたが、まさにそんな感じですね。
本当の春が待ち遠しい毎日です。でも、この会報が届くころには、きっと名のみではなく本当の春が訪れていることでしょう。
私事ですが、3月3日には、結婚50周年を迎えました。金婚式ですよ。
昔明治生まれの祖父母が金婚式を迎えて、市長さんから金杯をもらって、めでたいといっていたことを思い出します。その時の祖父母は、ずいぶんおじいさんとおばあさんでした。私たち夫婦もまわりから見たらそうなのかもしれませんが、まだまだ本人は若いつもりの二人です。
思い返すとずいぶん長い時が経ちました。21歳と22歳の二人でした。“一対のお雛様のようだ”とは、結婚式の祝辞の方の言葉です。そんな可愛いい花嫁だった私も今では、前期高齢者の一員です。
結婚して、ようやく3人の子に恵まれて、幸せを絵にかいたような暮らしだったな〜と思う年月でした。
そして、3人目に障害があると知らされた時、これまでの暮らしが消えてしまって、これからは不幸な人生が始まるんだ・・・と思えたものでした。
ところが、何の何の、そんなことはなくて、今でも私は幸せに生きています。幸せも不幸せも、自分の考え方次第だと思うんです。不幸だと思うと障害児を育てている暮らしは、なんとも辛くてやりきれなくて、子どもはどう育てていけばいいかわからないし、ドンドン不幸な気分が募って行きました。
でも、ある日気がついたんです。不幸も幸せも気持ちの持ちようで変えられるって・・・。不幸だと思うのではなく、私はこの子との暮らしを意味あることと考えることにしたのです。この不思議な何を考えているのかわからない・・・でも、すごくきれいな眼をしたこの子のことを知りたい、どうしてそんなことするのかを理解しよう・・・、と思い始めたのです。
面白くて、不思議で、楽しい・・・そう思えるようになるまで時間はそれほどかかりませんでした。
なんだかドンヅマリの気分になりそうですが、そんなことはありませんでした。
私はあの頃思っていたんです。 “きっと何とかなる”って・・・そう信じて生きてきました。そして今、私は、本当になんとかなるもんだな〜と思っています。
話がいつのまにか違うところに迷い込んでしまいましたが、この度、金婚式を迎えたという話です。
実にめでたいではないですか。結婚するとき、「この二人は何年も続かないに違いない…」なんて、友人たちが開いてくれたパーティーで言われたものでした。デモね、50年続いたんですよ。
そして金婚式です。そんなあの頃の友人たちに言ってやりたいものです。「50年、もったよ〜」ってね。
何にしてもめでたいことです。これから何年こんな風に二人で暮らしていけるかわかりませんが、きっと楽しく今まで通り幸せに違いないと思えるのです。
他の金婚式を迎えられたご夫婦と違っているのは、私たち夫婦は障害のある息子を授かったということでしょう。彼がいることで、私たちは同志になれました。
息子を中心にして子育てをしていく同志でした。

大江健三郎さんが、講演会でこんなことを話しされました。
大江さんには障害のある息子さんがおられます。名前を光さんといわれます。
その光さんには弟さんがいます。弟さんも小さい頃から、兄さんの光さんと同じように言葉を連ねる事は少ないお子さんだったそうです。
例えば 「いままで遊びに行った所で一番楽しかったのは?」 なんて尋ねると、おもむろにポケットから 『ディズニーランドの写真』 を取り出して見せるような子だったそうです。
だからポケットにはいろんな大切な宝物がつまっていて、それを時に応じて出すのだそうでした。
さて、小学校の入学試験の時の事です。先生が家族の事をたずねられたそうです。
「お兄さんて、どんな人ですか?」
彼は障害があっても、兄さんの光さんがとっても好きで、尊敬もしていました。
『障害があります。』 そんな言葉で表現したくはなかったのでしょう。
それにそんな言葉では表せないほどの思いを兄さんに対していだいていたのでしょう。
「僕の兄はこれです。」 と、プラモデルの部品である 『 Y 』の字の形をしたジョイントをポケットから取り出して先生に見せられたそうです。面接していた先生は意味が分からず困られたようです。
『兄はジョイントのようなもの。なくてはならない存在で、兄がいる為に愉快だったり、私達は家族なんです。』
そう弟は言いたかったのだと思う、と大江健三郎さんは話されました。
「家族のきずな」です。一人ひとりをつなぐきずな、まさにジョイントの役割を光さんが担っていると言われました。
弟は兄を誇りに思っています。小さい時から変わらずそうでした、と・・・・。
私とっても感動しました。
前から我が家にとっての哲平の役割や位置を、「とっても大切な宝のような子です。」 とか、「哲平がいるから元気だし、哲平がいてくれるからみんな仲良くやれるのよ。」とか言っていました。
けれどこれからは私もポケットの中からジョイントを取り出しましょう。「哲平はこれです!」 って。
哲平は私達にはなくてはならない、私達夫婦を、親子を、そして兄弟をつなぐ、大切な大切な家族のジョイントです。 (「てっちゃん通信 Vol.1」 1997.11 より)
そんな風に思っています。
私たち夫婦が、今でも仲良く暮らせているのは、彼の存在があったからではないかと思うのです。
「障害のある子は周りをやさしく変えていく」 これは誰から聞いた話だったでしょう・・・・ 確かにそうだと思うのです。
私たち夫婦を変えていったのは、哲平の確かな存在感でした。夫婦をそして家族をつなぎ合わせてくれた哲平です。本当に私たちのジョイントでした。これからもいろんな方をつないでいくのではないかと思います。

こんな文章を以前の会報178号で書いていました。
私たちが50年もの年月を仲良く楽しく過ごしてこられたのは、哲平がいてくれたからではないだろうかと、今も私は思っているのです。
彼が私たち家族を繋ぐジョイントとなって、固い絆で結んでくれたからではないだろうか・・・なんて思う私です。
50年は通過地点です。これから先60年70年と続いて一緒にお祝いできたらいいなと思いつつ、とりあえずは、50年の金婚式を喜びたいと思います。

先月、2月25日に行われた吉田友子先生の第1回の講演会については、私の感動は少しでも早くみなさんにお伝えしたいと、先月号の締め切り前にすべり込ませていただきました。そのセミナーの詳しい報告や皆さんからの感想は、今月号の後ろのページにありますからご覧ください。
そして吉田先生の連続講座の第2回『自閉スペクトラム「その子らしさ」を生かす子育て』の開催日、4月21日(日)が近づいてきました。
前回は、「自分のこと」のおしえ方というテーマで、本人への特性の説明の仕方や、診断告知をポジティブにそれからの支援に活かす手段などを教えていただきました。
今回は、初めてASDの子どもたちの担任になられた先生や、告知を受けたばかりのお母さん方の力にもなれるよう、基礎的なお話から具体的な支援まで、もう少し幅広くお話を伺えると楽しみにしています。
続きましてのお知らせは、即実践講座についてです。
今月の会報には、佐々木康栄先生による赤磐市主催の夜間講座の案内と、桑原綾子先生の即実践講座の案内が二つ同封されています。
2つとも、支援者の方対象の講座ですので、こちらはぜひ担任の先生にお渡ください。
先生方も対応に困っておられるかもしれない我が子のために、ご無理のない範囲で、そっとお渡しください。
各学校あてにも送っておりますが、担任の先生のお手元には届いていないかもしれません。そっと想いを込めて、連絡帳に入れてお渡しください。
この講座は、一年かけて学んでいただく講座です。担任の先生や療育事業所の先生方にぜひぜひお渡しください。一年間かけて、自閉症のことを丁寧に学べる講座です。一年後、先生方は、お子さんのこと、自閉症のことをかなり理解してくださっているはずです。
初めてASD児の担任になった先生は、どうやってこの子を理解し、特性に応じた指導をしていけばいいか、おそらくさっぱりわからないと思うのです。ASDは一人一人違います。特性もよくわからないまま、学校にはその子のことをアセスメントするような時間はありません。
それなのに、教えなければならないことは山積みでしょう。どうすればいいのか、誰も教えてはくれません。
そんな先生方に少しでも光をと思ってのこの夜間講座です。この即実践講座は、1ヶ月に1度あります。どうか、我が子のことを知って欲しいと願う方は、このチラシを先生にお渡しください。
一年後には、先生方の理解は格段に上がっていることでしょう。そして、皆さんのお子さんも先生と共に成長しておられることでしょう。
また、これを読まれている方で支援者の方は、この講座をひとりで聴くのではなく、同僚の方たちと一緒に受けていただけるとありがたいです。ひとりだけで学んで職場で実行しようとすると孤立してしまうこともあります。
仲間の方と、共に学び、共に仕事に活かそうとするとうまくいくことも多いと思います。詳しいことは、チラシをご覧ください。

盛りだくさんの講演会や講座、それとフリーマーケットのことなどなど、たくさんたくさんこれでもかという企画が目白押しです。それぞれに頑張って、スタッフたちが企画してくれています。
今年も忙しい毎日になりそうな育てる会の活動に皆さん、どうぞご期待ください。
あ、忘れてはいけませんね。
正会員の方には、5月の総会案内と欠席の方への委任状も入っていますので、欠席される方は返信をよろしくお願いします。
さて、今年度もまもなく終わりの時を迎えます。
今年度一年を振り返り、また新たな年度を始めて行こうとする時が来ました。新年度も様々なご意見をいただきながら、次の事業を考えることとなります。
令和5年度には新しく「ぐんぐんタッチ」と、「ぐんぐんアシスト」を立ち上げて、忙しい4月となりました。
今年度も何か私がやり始めたいというのではないかと、スタッフはどきどきしている様子です。
そこで期待(?)に応えて、「子育て駆け込み相談室」というものを始めよう、と考えています。
前の事務局は、主の道路からは奥に外れている場所にありましたので、「子育て相談室」の看板を作ったとしても、誰の目にも触れませんでした。
現在の事務局は、赤磐市の中の市役所にも近く、色んな方が気軽に立ち寄れるような場所にあります。
私がこの育てる会を作ったのは、まだ若くて子育てに悩みを待たれた方が、気軽に集まれるような場を作りたいと思ったからでした。
小さかった息子を連れて誰も相談相手がいなかった当時の私のような人がいるに違いないと思ったからです。
新聞などで大きく取り上げていただいた結果、多くの方が入会してくださいました。
最近は、相談支援室もたくさん出来て、障害のことも相談する場が出来たように思うのです。
でも、どうでしょう、お母さんの立場で話を聞いてくださるところは、少ないように思うのです。
そんな悩みに対応出来るような、そんな場所に私はなりたい。自分の子どもも大きくなって、自身の悩みは殆どなくなりました。
私の子育ての経験を若いお母さんにお伝えできたらと思うのです。
そして、悩まれていることの手助けが少しでも出来たらと思うのです。
昔悩んでいた私だからこそ、わかり合えることがきっとあると思うのです。そんな“子育て駆け込み相談室”です。
よかったらお会いしましょうね。対象者は、小さいお子さんのお母さん。大きくなった方の相談は、専門機関にお願いします。
さて、春はこんなに雨がふったかしら?? と思うくらい今年は雨が多いように思います。
月形半平太が、「春雨じゃ〜、濡れてゆこう」と言ったとか・・・。わたしゃ濡れると風邪引くので、傘をさしながら、桜の便りを待ちたいと思います。それでは、この辺で今日はさようならをしましょうね。
また、来月号でお会いしましょう。ごきげんよう、さようなら〜♪
(鳥羽 美千子)

育てる会 自閉症啓発セミナー の 報告

令和6年2月25日(日)、令和5年度第5回目のセミナーとして、児童精神科医で iPEC(子どもとおとなの心理学的医学教育研究所)所長、千代田クリニック院長の吉田友子先生をオンラインにお迎えして「第126回 育てる会自閉症啓発セミナー」を開催いたしました。
今回は、吉田先生による連続セミナーの第1回として『自閉スペクトラム 「自分のこと」のおしえ方 〜特性説明・診断告知という支援〜」と題してお話しいただきました。
それではセミナーに参加したスタッフからの報告と、みなさんからのアンケートが届いていますので紹介します。

先日、iPEC所長、千代田クリニック院長の吉田友子先生による『自閉スペクトラム「自分のこと」のおしえ方―特性説明・診断告知という支援―』のセミナーに参加しました。
当日の参加者は支援者、保護者、当事者の方と色々な立場の方がおり、私自身は支援者として幼児期のお子さん、主に診断間もないお子さんとそのご家族と関わる機会が多いため、日々の支援の中で支援者としていつの日か特性説明や診断告知するまでにどのようなお手伝いができるのかヒントを頂きたい気持ちで参加させていただきました。
まず初めに診断説明・告知のイメージ共有のため、先生が望まない、心配だと思われる告知について紹介くださいました。
トラブルや困難(例:いじめや喧嘩、注意など)の説明の糸口や何かを強要するためや諦めさせるため(例:支援級に行きたがらない子への説得のため)、クラスの子どもたちに診断名を公表するためや手詰まりな状況から一発逆転するために告知することを挙げられ、問題解決のための告知は子どもたちを深く傷つけ、自身の診断についてネガティブに捉えてしまうリスクがあることを教えてくださいました。
目の前で起きている問題に対しては周りの大人がこんがらがった糸をほどく決心をする必要があり、本人への告知という形での解決を図ることは子ども本人に責任を押し付けること、専門家として、大人として、親として恥ずべき行為であるという先生のメッセージから、子どもが抱えている問題に対して周りの大人がどのように対峙すべきかを改めて考える機会を頂きました。
次に吉田先生の著書『自閉スペクトラム「自分のこと」のおしえ方・増補版』にも掲載されている資料を用いながら、実際にどのように子どもたちに診断説明・告知をするのか紹介して下さり、説明の際にはお子さんが自覚していて受け止められる事柄をつかったり、お子さんによっては具体的な体験(エピソード)をつかって説明すると良いといった説明の際のポイントを教えて頂きました。
そして“長所と苦手はセット(表裏)だから苦手として表われない技術を磨けばいい”ということを伝えるためには私たち自身が言葉の上だけではなく、心からそう思っていることが大事だとおっしゃられました。
その後、心理学的医学教育についてお話くださいました。
心理学的医学教育の大きなテーマは『自己理解支援』であり、特性説明や診断告知するまでにどんな準備が必要であるかを教えて頂きました。
子どもたちが困っていることへの支援だけではなく、キーワード(例:なぜうまくいったかのコツ、どんなことが苦手だからこうした方がいいよね、こういうところが得意だからこう使ったらいいよねなど)を意図的に伝えていくことがいかに大切か、伝えるからこそ子ども自身が自分の特性(得意と苦手)や自分に合う工夫に気が付く事ができるということでした。
幼児期は保護者に、学童期は子どもにキーワード提供すると良いと教えて頂き、支援者として療育の中でどのようなお手伝いができるかのヒントを頂いたように思いましたが、改めて考えると保護者の方とこの行動はこういう特性(苦手)が影響してそうという共有は多くしているが、それに比べてこういう特性(長所)があるからうまくいきましたね!とお伝えすることが少なく、苦手の方ばかりに目が向いていたなと反省しました。一人ひとりのお子さんの長所についてもご家族と一緒に共有していきたいなと思いました。
また、キーワード提供することで、どんな時に相談すれば良いのかが分かり、相談者としての成長を支援することにもなるとのことでした。
どんなに技術を教え込んだとしてもこれで大丈夫!安心!ということはない。それにより、人に相談できる技術を身に着けていたら、どんな困難や新しい出来事に直面しても必ず乗り越える事ができる、相談して困りごとが解消した実体験が将来に繋がる技術であると教えていただきました。
人に助けを求めたり、相談するメリットを感じられていないASDのお子さんたちに出会うことがあります。
お話を聞きながら、もしかしたら、いつ相談すればよいのかピンときていないのかもしれないなと思いました。相談スキルは大人になってから自然には身につかないと思うので、幼児期から意識してキーワード提供を行い、人に助けを求めることや相談することのメリットについても体験的に伝えていきたいなと思いました。
診断告知で期待される効果には、診断を知ることで「自分だけではなかった」「自分が悪い子だからではなかった」と安堵し罪悪感から解放されたり、告知前よりもキーワードを受け取りやすくなること、少数派であることやなぜ技術を学ぶ必要があるかを説明できることなどがあるとのことです。
特別な練習をするのはあなたが間違ってるからじゃなくて、多数派の中の少数派だから練習をした方が便利。胸を張って技術を使うことを教えることが、自己否定的でない技術の獲得につながると教えていただきました。
続けて、副作用についてもお話しがありました。
トラブルが頻発している時期や苦手はあっても工夫によってうまくいく、自分の特性は強みにもなるといった経験がない中で診断告知をうけると、普通になることに執着し必要な支援を受ける事を拒否したり、診断名を印籠の様に使って回避するといったことに繋がることがあるそうです。
また、診断名を聞くだけで満足し支援が途切れてしまうことが一番心配される副作用とのことでした。
それから診断告知の時期は年齢では決められない、“自分はどうもみんなと違っているようだ”と気づき始めた時期を狙って説明するのがベスト。もし「僕自閉症なの?」と聞かれたら慌てずに、「そうだよ」と応えられるように準備しておくことが大切だそうです。また、それまでに受けてきた支援の実感やキーワード提供がどのくらいされているかが説明内容の理解しやすさにつながるということでした。
波風が立っている時の説明は副作用のお話しにもあったように、克服せねば!なくさなきゃ!となってしまうので安定した時期や環境変化が少ない時期をねらって説明することが好ましいそうです。保護者の方がお子さんのASに関して「やりようがある」「長所でもある」と実感できていて診断説明に同意しているということも大事だそうです。
そして、診断後に相談できる場があることで疑問が出たり、年齢や状況が変わった時に追加説明できるような状況が理想であるとのことでした。そして診断説明の時期をただ手をこまねいて機が熟すのを待つのではなく子どもに説明できる状況を保護者と専門家が協力して準備していく必要があるとのことでした。
最後に、吉田先生は「心理学的医学教育は、かけがえのない自分を肯定するための支援、ASであることは、その人の全てではない、一つであるということ。診断が自分のすべてだと思うとかけがえのない自分っていうものがなくなってしまう。ASであるということは自分のことを知る上で、あるいは周りの人を知る上でとても重要な情報。
それから自分に合ったことを選ぶ上で、自分の得意を活かすように工夫をする上でとても重要な情報だと気づいてくれることは、権利擁護の上でもとても重要。
あなたがASであるということを知ってもらうことが目的ではなく、かけがえのない自分であって、私を形作る一つとしてASがあるということを知ってほしい。」という言葉で締めくくられました。
実際の療育で、なぜだか怒られることが多い、うまくできない・・と感じているお子さんや我が子のペースでの頑張りや成長を認めつつも他の子とくらべて落ち込んだり他の子に追いつくにはどうしたら良いか悩まれる保護者に出会うことがあります。
少数派だからこその苦労や多数派に合わせるための涙ぐましい努力をどれほどされているかと思うと胸が痛みます。
支援者として療育を通してお子さんや保護者の方たちに特性説明や診断告知するまでの間に何ができるか本日の講演会の中でたくさんヒントを頂きました。私が関わるASやASDの子どもたち、そして保護者の方たちが “ありのままの自分” “ありのままのわが子”を肯定し、胸を張って生きていくためのお手伝いできるように今日の学びをしっかり療育の中で意識していきたいと思います。
吉田先生、素敵な講演会をありがとうございました。
(ぐんぐんぴっぴスタッフ:M)

○ 吉田先生のASやASDの方に対するきめ細やかな配慮の行き届いた支援内容が素晴らしいと感じました。
自分らしく自分に誇りをもって適応的に生きるためにどんなサポートが必要なのか考える良いきっかけになりました。先生が日々臨床される中で、自分のやってきたことを点検、修正、改良されている姿も見習いたいと感じました。
貴重なお話をありがとうございました
○ 中学校の通級指導教室の担当をしています。生徒たちが将来自立していくために、必要な「自己理解」の学習をすることをメインに、日々授業を行なっています。今日の吉田先生のお話を聞いていて、まず私たち教員がAS・ASDについてきちんとした知識を持っていること。「優劣ではない、「違い」がある。」その「違い」をポジティブに受け止められていることの大切さをまず実感しました。
また、診断があるなしに関わらず、その生徒の困り感を理解しようとする姿勢と、「なぜ?」起きているのか? という背景の理解、こんなふうにしてみたらうまくいくかもという実践方法の選択肢の提供、そして実践への作戦会議・サポート、実践後の整理(視覚的に)→キーワード提供と、自分が生徒たちにサポートできることの整理ができました。ありがとうございました。キーワード提供を、その生徒に関わる先生方やご家族と共有することで、サポートの輪も拡げていけるのも環境づくりとして大きいなと感じました。本当に学び多きお話をありがとうございました
○  少しずつ告知について考えていかないといけないなと思っていましたが、吉田先生の説明は本当に分かりやすく、これなら私自身も納得して我が子に話が出来そうです。
キーワードは今まさに集めている最中で、それこそが告知につながる大切な作業である事、だけどキーワード集めに必死になって、その子自身の全てにならないよう気をつけないといけない事、本当に学びと気付きの連続でした。ありがとうございました!
○ 自分の子育てや仕事を一旦立ち止まり、振り返る良い機会を頂きました。特に、既にわが子に告知をした(告知当時、吉田先生のご著書を拝読し、準備に準備を重ねて告知した)ものの、やはり準備不足だったなと思って今後悔していることもありますが、先生が、やり直しはいくらでもできるという内容のお言葉を下さったのがとてもありがたかったです。
日々の育児において、頂いた資料を参考に「困難の評価」「困難の改善」「キーワード提供」を丁寧にしたいと思います。貴重なご講演をありがとうございました。次回のご講演も楽しみにしております。
○ 吉田先生の、肯定的で優しい語り口調に引き込まれました。大変分かりやすかったです。
知的障害を伴う自閉症児を育てています。来年から小学生、毎日怒ってばかりで反省の毎日です。「保護者自身も泣き叫びながら育児しているようなもの」との吉田先生の言葉に、自分自身を認めてくださったような気がして、涙しました。子供にとって、周りの大人の適切なサポートが大切、ということは分かっているものの、やることが山積みで、なかなか自分自身の成長が追い付かず、手探りの状態ですが、キーワード提供は、意識してみたいと思います。本当に今日はお話が聞けて良かったです。ありがとうございました。
○ 前から吉田先生の本を読んでみたいと思っていたのですが、今回タイミングよくSNSで講演会の情報を知り参加しました。質問にも答えていただき大変感謝いたします。
まだ低年齢のため、告知は遠い先のことと思っていましたが、今からキーワード提供などできることがたくさんあることを知れて本当に良かったです。
また保護者である私も前向きに娘と向き合っていきたいと思いました。まだ診断されて間もなく、病院や療育などにも通っていますが、正直先生のように親身に話を聞いて下さる先生に出会ったことはありません。相談先もないです。今後、そういった場所と繋がっていくこともとても大事なのだと思いました。今回一般での参加でしたが、大変勉強になりました。ありがとうございました。

令和5年度 現場の先生のための即実践講座

講師に社会福祉法人横浜やまびこの里 相談支援部部長の志賀利一先生をお迎えしての1年間の即実践講座も3月12日に最終回を迎えました。
第10回は「自閉スペクトラム症の理解と支援 ] (障害特性の伝え方の変化)」のタイトルで、これまでの連続講座を振り返るとともに、幸福論・ウェルビーイング・QOLについてのお話でした。ASDの人にとって、何が幸せか・・・それは、支援する側の人にとっても同じ問いとなります。
それを哲学的に考えるだけでなく、実際の職場、生活の中でどう活かしていくか、最後に私たちに投げかけられた宿題のように感じました。
志賀先生、1年間ありがとうございました。
それでは、一年間の講座を振り返っての、参加者のみなさん方からの感想の一部です。

○ 志賀先生のお声がとても心地よくて、毎月聞けなくなるのは寂しいです。
今までは、どんな関わり方が…ということばかりを追いかけて来ましたが、志賀先生のおかげで自閉症の歴史を教えていただき、深く学ぶ事ができました。今があるのは、過去があったから。私たちはそのような背景も知っておかねばならないと感じました。
一年間ありがとうございました。
○ 知らないことがまだまだ多く、教えていただけたことに感謝しています。歴史的なこと、社会の動き、最後の幸せについて等、自分自身はどうだろうと考える時間はとても貴重でした。また、どこかで、お話を聞きたいと思っています。資料も読みごたえがあり、良かったです。ありがとうございました。
○ この講義を受けて本当に良かったです。1からいろいろ教わり大変勉強になりました。
他の初めて支援員として仕事をしている方々にも、こういう講座で勉強して知識を深めて支援に関わってほしいと思います。
zoomを使って家で勉強出来るのもありがたかったです。用事があり受講出来ない日や、時間に間に合わないこともありましたが、後日配信で受講出来たのもありがたかったです。今の時代、家で勉強出来るのはすごいですね
○ 毎回資料もたくさん作ってくださり、丁寧に説明していただき、聞きやすかったです。
35年以上障碍者福祉にかかわってきましたが、歴史的な流れや現在の状況、今後どのような状況に進もうとしているかなど、この時期にお話を聞けたことが、自分の現状を振り返り、今後の在り方を考える材料となりました。私自身年齢を重ね、バリバリ頑張れるということではありませんが、今後も学びながら自分にできることを少しでも広げ、続けていきたいと思います。

令和5年度 発達障害支援 夜間連続講座 in 赤磐

香川大学教育学部教授の坂井聡先生プロデュースによる、赤磐市との共催による「令和5年度 発達障害支援 夜間連続講座 in 赤磐」も3月14日(木)で最終回を迎えました。
最終回の第10回は、“まとめにかえて”ということで、坂井先生からの「確かな社会参加につなげるために 〜縦串と横串の連携〜」のテーマでのお話でした。
今年度は小学校の通常学級、特別支援学級、特別支援学校、高等学校、大学など、様々な教育現場で実際に支援、指導にあたられている先生方から、主にASDの子ども達への合理的配慮についてお話いただきました。今まで知らなかった現場からの生の声を聞くことも多く、とても新鮮な一年でした。
最後に坂井先生から「生まれてきてよかったといえる社会に」という言葉に、支援現場はそれぞれ違っていても、“まずできることから考えてみよう”と、明日からの意欲の素をいただいたような気になりました。坂井先生をはじめ、1年間貴重なお話をいただいた先生方、本当にありがとうございました。
それでは、発達障害支援夜間連続講座に参加いただいたみなさんからも感想をいただいていますので、一部ですが紹介させていただきます。

○ どの回も大変興味深く受講させていただきました。考えさせられることや自分自身の力量の足りなさを思い知らされることも多かったですが、やはり子どもたちに関わる仕事が好きなので、やりがいを持って学び続けたいと思います。
坂井先生のお話にはいつも元気をいただき、私でもできるかもと思わせていただくことができます。また何度もお話を伺いたいです。ありがとうございました。
○ 校長としてどのように学校の風土を変えていくか? ということを考えながら聞いていました。
「やりがい」というキーワード、令和6年度のグランドデザインにいれる予定だったので、1年間でどのように変わることができるか頑張ってみようと思いました。
○ 1年間、長いようであっという間でした。言及されてましたが、オンラインになったことで仕事終わりに気軽に参加できることが大変うれしく思いました。
みなさまの考え方や実践されていること、使われているツールがすばらしいものばかりで、まだまだ学校現場福祉施設等で支援が及んでいないのだなと実感いたしました。
自分の考え方もとらわれ、固執、柔軟性に乏しいものであると痛感しています。柔軟な思考で子どもたちと関わりが持てるようになれたらと思い、今後の仕事で活かしていきたいと思います。1年間ありがとうございました。
○ 合理的配慮の必要な方一人一人に合わせた支援を工夫されて実践されておられる先生方の発表から毎回「視点を変える」きっかけをいただきました。私は福祉に携わっていますが 坂井先生が最終回で語ってくださったような現場職員の課題をずっと抱えています。
それでも利用者様に意味ある時間を過ごしていただけるようにと努力している職員もいます。目前の支援を必要としている方が、安心して過ごしていくために教えられることがよいこと、役に立つこと、楽になることと感じられるように今後も支援を続けていきたいです。
また、学校教育を受ける中でどんな先生と出会うかはその方の一生にかかわるほどの大きな影響があると改めて思いました。ありがとうございました。

令和6年度 育てる会総会 の お知らせ

令和6年度の育てる会総会のご案内です。
【総会】 日 時:令和6年5月23日(木) 11:00〜12:00
      場 所:オンライン開催 &会場(赤磐市上市355−2 育てる会 事務局)
正会員の方には、議事次第と出欠連絡票および委任状を同封していますので、出欠のお返事をよろしくお願いします。
欠席される方は、FAX、LINE、メールでの委任状の返信をよろしくお願いします!

第3回 春のフリーマーケット お待ちしています

今年の育てる会フリーマーケットも近づいてきました ! 
今年は例年の「ふろしき市」に加えて、フランクフルトやフライドポテト、焼き菓子なども用意しています。もちろんいつものビンゴ大会やお菓子投げもあります。
どなたでも参加できますので、お友達も大勢誘って来てくださいネ!!
詳しくは同封のチラシをご覧ください。
日時:令和6年4月13日(土) 10:00〜12:00頃 (雨天の場合は、翌4月14日(日))
場所:おひさまハウス 中庭 (赤磐市和田194-1:赤磐ぐんぐん・ぐんぐんキッズ 中庭)

AAO活動 参加者募集のお知らせ

今年度もAAO(エイ・エイ・オー!)活動が始まります。
活動に参加してくださるご家族、ボランティアさんを募集します。
〜AAO活動とは〜
親が企画した内容に沿って子ども1人とボランテイアさん2人とで活動します。
一年間、同じボランテイアさんとです。
親が企画するので、わが子に合わせた無理のない活動ができます。
親や親戚ではない人との関わりや、公共の場でのマナーなどを学ぶ良い機会にもなります。
わが子の新たな一面を知ることができ勉強にもなります。
◆参加家族の募集について
対  象: 小学2年生以上(兄弟児の参加はできません)
活動日: 7月下旬〜3月末の間で、年2〜3回程度
           (参加家族数にあわせてボランテイアのお願いに回りますので、
            活動開始時期が遅くなる場合もあります。ご了承<ださい。)
活動時間:10時〜12時くらい
          ※活動日・時間は、活動内容や都合により各家庭で決めます
活動例:ボウリング・映画・公園で遊ぶ・電車,バスなどを利用して買い物をする 等
活動費:●ボランテイアさんのボランテイア保険代を最初に集めます。
      ●活動にかかるお金や、ボランテイアさんが活動場所に来られるまでの往復交通費などは親が負担します。
       活動内容により、金額は各家庭で異なります。
◆ 参加申し込み期限:5月31日(金)(正会員限定)
◆AAO活動の説明について
お申し込み下さったご家族には、個別に活動についての説明を行う予定にしています。
まずは、育てる会事務局にTel.086-955-6758・LINEでお申し込みください。
みなさまの参加をお待ちしております。
★ボランテイアさんの募集について★
一年間を通して一緒に活動して下さるボランティアさんも同時に募集しています。
活動に興味を持っくださった方は、事務局へご連絡ください。よろし<お願い致します。
(担当:M)

OHAの会 の ご案内

OHAの会は、正会員対象の知的障害のないタイプのASD(自閉スペクトラム症)の子を育てる親のための会です。
令和5年度には中断していましたが、会員の方からの要望もあり、以前講師をお願いしていた臨床心理士の利守愛子先生と相談して、年5回、日曜日の午前中で企画しました。
個人的な相談も入るので、後日配信はなく、リアルタイムでのZoomによる開催ですが、その分安心して参加いただけると思います。
なお、参加人数により参加費が変動いたしますので(大体1回 1000円〜2000円ぐらい)、参加希望の方は4月末までにお知らせください。
第1回は7月21日(日) 10:00〜12:00 の予定です。(正会員限定)
詳しくは、同封のチラシをご覧ください。

水泳教室のお知らせ

日 時:令和6年4月21日(日)15:30〜17:30
場 所:OSKスポーツクラブ(岡山市北区絵図町1−50)
連絡先:育てる会事務局(086-955-6758)
★新たに参加されたい方、体験されたい方は事務局までお問い合わせください。
体験してみたい方は、2回までOKです(1回 1000円)。(正会員限定)
プールは正会員限定で、育てる会の貸し切りで使っていますので、安心してお越しください。
★欠席される方は4月18日(木)までに事務局に連絡してください。
☆新年度からの水泳教室の新規会員の方、大募集中です!! 
年会費11000円(全11回 保険料含む:8月はお休み)です。
(担当:I & S)

クローバーの会 の 報告

3月17日(日)に、クローバーの会でカラオケに行ってきました。
季節柄、体調不良などもあり4家族での開催でした。
前回利用していた大部屋が人数の関係で使えなくなり、急な変更に戸惑ったりもしましたが、お菓子交換をしたりドリンクバーのジュースを飲んだりお母さんたちが歌ったりするのを見ながら、少しずついつもの笑顔が見られるようになり、親子デュエットなども楽しむことができました。皆様、ありがとうございました!
参加された皆さんからの感想です。
○ わが子は初めてのカラオケボックスでした。最初緊張して涙が出ましたが、皆がお菓子を分けてくれて嬉しかったと思います。みんな優しくしてくれてありがとう。
わが子の好きな「おジャ魔女ドレミ」「プリキュア」を歌ってくださって感謝です。帰ってきて、先程「カラオケ行きたくなっちゃったー」と言いました。明日行きたいらしいです。明日は学校じゃ!母も何年振りかのカラオケで楽しかったです♪
○ わが家はクセのある曲ですが、娘も初めてマイク持って歌えて嬉しかったです。ノリノリで歌ってくれた姿や、急な変更で不安も大きかった子があれだけの時間一緒に過ごしてくれてありがたかったです。
また今度は皆で、キッズルームで気ままに遊ぶ物も持ち寄って楽しめたらいいなと思いました。
○ 歌ったり、知っている歌でダンスしたりと楽しそうにしていて良かったです。「この曲知ってる!」と小さいリアクションもしていま
した。お菓子も分けてくださってありがとうございました。
自分からお裾分けに行けたのは良かったなと思いました。今回もありがとうございました。また一緒に遊んでください♪
○ 行くまでは「何歌おうかなー」とウキウキしていましたが、いざ始まると「ママ歌ってよ」と引っ込み思案が発動していました。でも徐々にいつも通りの娘になってきて、ノリノリでマイクを離さない勢いになっていました。
「次はいつ?」「ピクニックもいいし、公園で遊ぶのもいいし、桜のお花見もいいし、スイーツ会でもいいよね。あー、皆と何しようかなー。迷うー!」とワクワクしている娘です。マイペースな娘が自分らしくいられる場になっているようで、ありがたいです。いつも皆さん優しくしてくださってありがとうございます。
メンバー大募集中!!
ASDの診断のある女の子は、男の子に比べて少ないので、貴重な場になるのではと思っています。小学生以上のASD診断のある女の子で、友達がほしいなと思っている子が対象です(姉妹で参加したいという場合、その姉妹もASD診断が出ている場合には参加可能です)。
気になる方は、ぜひ事務局(086-955-6758)までお問合せください♪(正会員限定)
(担当:M)

キッズルームのお知らせ

令和6年度、第1回のキッズルームです。
岡山大学の児童文化部さんにも新しいお兄さん、お姉さんが待ってくれています。
正会員の方にはチラシを同封しています。
日 時:令和6年4月29日(月・祝)13:00〜15:00頃(12:45受付開始)
場 所:岡山大学 体育館
参加費:子ども一人につき 500円(きょうだい児の参加もOK)  
申込締切:4月22日(月)(正会員限定)

サッカー&ドッジ スポーツクラブの報告とお知らせ

3月9日(土)には、今年度最後の「第6回サッカー&ドッジ スポーツクラブ」を岡山大学体育館で開催いたしました。暖かくなってきたので、いつもに増してみんな元気に体育館を走り回っていました。
令和6年度の参加者大募集中です。年間5回の予定で、年1500円の参加費です。(正会員限定)
詳しくは正会員の方にはチラシを同封していますのでご覧ください。

  『令和6年度 第1回 サッカー&ドッジ スポーツクラブ』

日 時:令和6年6月1日(土) 10:00〜12:00

場 所:岡山大学 体育館

お母さんコラム

中1でASDの診断のある特別支援学級(自閉症・情緒学級)に通う息子と、小1でASDの診断のある通常学級+通級指導教室(自閉症・情緒)に通う娘を持つ母が、普段の我が子との日々をつれづれに書いているコーナーです。どうぞ気軽な気持ちで読んでください。
もうすぐ中2になる息子。
「筋トレ」「ストレッチ」にハマっています。
息子はソフトテニス部に入っていて、右利きなので右腕にはちょっと筋肉がついているのですが、左腕は使わないのでやわやわなままでした。
また、身体が固いのは母譲りで、前屈はマイナス20cmほどでした。
・ソフトテニスには身体のしなやかさがあると良い=ストレッチが必要
・体幹が安定していないと球を打つ時にぶれるため全身の筋肉のバランスが大事=筋トレが必要
・筋トレやストレッチはセロトニンなどが分泌されるため、気持ち面の安定にも有意義である・・・・ことも含めて、ネット情報を一緒に確認しながら説明しました。
本人も身体の固さを体育の授業中に同級生から指摘されたこともあり、必要性を感じたようで、毎日のお風呂上がりのストレッチと筋トレが自主的にスタート。
現在、1か月半ほど続いています。
最初は正しい腕立て伏せは2回が限度、腹筋もブリをつけないバージョンでは3回しかできていませんでしたが、昔取った杵柄(母はよさこい系踊り子だったので・・・)であれこれ教えてやることで、徐々に回数が増えていき、今ではゆっくりの腹筋でも親を超えてできるようになり、体幹もあるしっかりバランスの良い身体になってきました。
ストレッチも順調で、前屈したらつま先を握れるぐらいになってきています。
さすがASD。根拠を示されると納得しやすく、一度定着したことは「やらないと落ち着かない」ルーティン化して自然にやれるようになる。ASDの良さが活かされているなぁと思います。
思春期以降、身体を動かす習慣(運動とまでいかなくても)があるかどうかで、その後の生活の安定にも影響するという話も聞いたので、一挙両得ですね。
目指せ細マッチョ!(笑)
(cyacya)

ちゃーちゃん日記 (あるASDの女の子のお話)

ASDの子ども二人を育てる母親であり、AS当事者でもある私のこれまでの日々や現在の様子を紹介するコラムです。
脈絡ない話や時系列が昔だったり今だったりで、分かりづらいかもしれません。思い出したままをお伝えしていくので、整理されていませんが、お気軽な気持ちで読んでいただき、良ければ「おもろいな!」「不思議!」と皆様の身近にいるASDの人たちの感じ方や暮らし方を知ることに少しでも繋がればと思っています。
皆さんは人前で話すことに緊張しますか?
私は仕事上で講演会を頼まれたり、シンポジウムやコメンテーターのような形で話をしたりすることも多く、何かの会議でも「じゃあお願いします」「適材適所!」と司会などを頼まれることも多いです。
でも実は緊張しいで上がり症。
「そんな風に見えない!」とよく人から言われます。
どうして人前で話すことが苦手な私が、そんな風に見えないのか。それは「擬態しているから」です。
苦手なんだけど、それでもやるしかないって時が多いので、「あの人みたいにやったらできそうだ」という自分の身近な人を参考に、その人の言動をトレースするんです。
すると不思議と緊張が減り、難なくこなせるように見せかけることができる!のです。
でもこれには弊害もあって、終わったあと「ドッ」と疲れるんです。自分ではない誰かを演じるって結構疲れる。
それと、別の人前で話す場面として、自由意見を求められることもありますよね。
例えば学校でのクラス懇談とかで自由に「何か普段の生活で困っていることありますか?」と聞かれたり、講演会とかで「質問時間なのですが、どなたか質問ある方おられますか?」と振られたりした時、誰かがすぐに発言してくれていると落ち着いていられるんですが、誰も話さずに「しーん」となった時、司会の方や先生などが困っていそうだなと思うと、思わず「じゃあ私から!」と一番手をしてしまうんです。
沈黙に耐えられないというか、「私がくだらない話をしている間に、皆さん良い質問やコメント、考えていてね!」という気持ちになるんです。これも疲れる・・・。
「話したがりなんでしょう?」と言われるのですが、できれば人生の中では目立たず邪魔にならず、それでも仲間外れにはされない「モブ(群衆の一人)」になりたい私です。
「ASDの女性はカモフラージュする能力によってその障害特性が見えづらくなる」という論文を以前読んだことがあり、深く頷く私です。
でも、この擬態スキル、仕事でも私生活でも使える(初心者の支援者のフリ・深刻なお母さんのフリ・コンサルテーションに長けているアドバイザーのフリなど)ので、助かっています。これも一つの「生活の工夫」なのかもしれません。
まあ、私のことをよく知った相手からは「めっちゃ頑張っていたよね」「演技うますぎるじゃろ」と言われるので、わりとバレバレなんですけどね(笑)
(ちゃーちゃん)

 ぐんぐん だより 
今月の「ぐんぐん便り」は、「ぐんぐんぴっぴ」と「ぐんぐんキッズ」「ぐんぐんタッチ」です。

ぐんぐんぴっぴ (児童発達支援)

徐々に気温もあがり、春の予感にうきうきしますね。起きたときに外が明るいと目が醒めやすいのも助かりますね!
年度末の別れの寂しさと新たな始まりの期待を春風の中で感じる今日この頃です。
さて、この会報が発行されている頃には多くの保護者さんに「個別支援計画のまとめにコメントとサインをしてください」とお願いしているかと思います。
「個別支援計画のまとめ」とは何か?と言うと、療育はまずはアセスメントの結果、ご家族への希望調査等をもとに「個別支援計画」を作成し、それに沿って療育を進めていきます。
そして、概ね半年に1度その目標を達成したかどうか、達成できたのはどの様な取り組みが、本人のどのような学習スタイルと合ったからなのか。上手くいっていない時は取り組みのどのような部分が本人のどのような学習スタイルと合わなかったからのか、ご家族はどう感じられているのか等々・・・を振り返って結果を評価し、文章にまとめ「個別支援計画のまとめです」とお渡ししています。
この「まとめ」の文章を書くために、これまでの療育の記録を読み返していると、療育の様子やお家の方が教えてくださる普段の様子からお子さんの行動理由、見えている世界が少しずつ分かってきた過程が思い出されます。ついつい、ご家族に読んでもらうからには・・・と「あんなこともありましたね」「こんなこともありましたね」と全てのエピソードを取り上げて、そこから分かったことを書きたい気持ちになります。ご家族と一緒に可愛いお子さんの成長に携わらせていただいた分、更に思いも強くなってしまいます。
しかし、それでは膨大な量になってしまうため支援計画の目標に関わる代表的なエピソードとそこから考えられる本人の学習スタイルや有効な支援、ご家族と共有したこと、今後の課題などを書いています。色々な思いと共に分かりやすく、論理的に、具体的なものにするために推敲を重ねに重ねてご家族のもとにお届けするのが「個別支援計画のまとめ」です。
分量が多いと思われる方もおられるかもしれませんが、半年間、療育で・ご家庭でお子さんとご家族が頑張ってきたことの軌跡が詰まっていますのでぜひ!じっくり読んでいただけたらと思います。
支援計画のまとめを書きながら、育てる会ならではの「親子療育」だからこその支援者とご家族とのやり取り、ご家族が「宿題」としてご家庭で取り組まれた観察や工夫や支援と、その結果成長していくお子さんの様子が次々に思い出され、やはり療育は療育現場だけでやっても意味がない、日々の生活のなかでご家族の働きかけがあってこそのものだ、ということを改めて感じました。
個別支援計画の「家庭で取り組む目標」の評価欄からもご家族の普段の生活の中での地道な努力がうかがえ、頭の下がる思いです。
支援計画のまとめを読んでのご家族からの感想では
「親子でぐんぐんぴっぴの時間が楽しみだった」
「ぐんぐんぴっぴに通うことで親が本人について知ることができた。どうしてあげると良いのか分かった。」
「色んな課題が山積みですが、先生方が分析してくださった特性を基に新たな生活に向かっていきたい」
「本人の強みを活かし生活できると困り感も減り、生活しやすくなると思うので、親子でその場に合った工夫をしていけたらいいなと思います」
等聞かせていただきました。
楽しく通ってくださっていること、ご家族がお子さんの行動理由を考え、工夫を考えられるようになってきていること、それらの分析や工夫や支援の手応えを通して、大変さはあるにしても「どうしよう!」から「それなりにやりようはある」と感じてくださっていることが本当に嬉しいです。
支援者はあくまでもサポート役。親御さんから子育ての手応えや楽しみを奪うようなことはしてはいけない、とこのお仕事を始めた時にスタッフ勉強会で言われたことが改めて思い出されます。今後もぐんぐんぴっぴに通ってきてくださるご家族には、引き続き療育をサポートの場として上手く使ってもらいながら、日々の子育ての手応えを感じていただけるような支援を心がけたいと思いました。
また、4月から別事業所へ移るお子さんや、卒業するお子さんもおられます。
個別支援計画のまとめには上手くいったこと、上手くいかなかったこと、そしてそれぞれの考えられる理由が書かれています。これから先も「どうしてこの行動をするのかな?」「どうしたらいいのかな?」とお子さんの行動理由や支援を考える時に「そういば、ぐんぐんぴっぴに通っていた時はどうだったかな?」と読み返してヒントにしてもらえたらと思います。次のステージでのご家族とお子さんの成長をぐんぐんぴっぴから応援しています!
今年度もぐんぐんぴっぴでの療育への参加、本当にありがとうございました!
2024年度もぐんぐんぴっぴに通ってきてくださるご家族と一緒にお子さんの成長を喜びあえるよう、努力していきたいと思います。
これからもぐんぐんぴっぴをよろしくお願いします。
(ぐんぐんぴっぴ療育スタッフ:O)

ぐんぐんキッズ (放課後等デイサービス) 

今年度でキッズを卒業するお子さんとのエピソードを書かせていただきます
この春キッズを卒業するAちゃんは、ASDの診断があり、未就学の頃から育てる会の療育に通ってこられています。
感覚系の遊びが好きでスライムで遊んだり、手洗いをすると水の感覚が好きでなかなかやめられなかったりする姿が見られていました
そんなAちゃんの課題の一つに、余暇の過ごし方がありました。認知の発達に伴い、感覚あそびの他にカードゲーム(原子モデルゲームやウノ、トランプなど)もやり方を教えながら、できるものを増やしていきましたが、勝ち負けがつくことがネックとなり、負けを受け入れることの難しさから自らすすんで選んだり、楽しんだりすることができませんでした。
虫や生き物が好きで、トカゲや、バッタをつかまえたりすることもありましたが、生き物は毎回必ず捕まえられる保証はありません。余暇として取り組めることはないか模索していました。
3年生になり、夏休みにホットドックを作ったことがきっかけで、『食べることが好きで、Aちゃんが一定のクッキングスキル(卵を割る・剥く・混ぜる・炒める)を持っていること』が分かりました。
中でも卵を使った料理が好きということだったので、「スクランブルエッグ」「めだまやき」「ゆでたまご」「味付けたまご」を、レシピを見ながら一緒に作りました。
自分でお米を炊く練習をして、米を使った料理「ツナマヨおにぎり」「チャーハン」をしたり、包丁を使った料理「やさいいため」、「ソースやきそば」「塩やきそば」「ほうれん草の胡麻和え」も作ったりしました。
また、電子レンジの使い方を練習して簡単な調理にも挑戦し、「チキンナゲット」や「牛丼」も作りました。
自分の好きな味を見つける活動でとして冷凍食品の味比べをして、「鳥マヨ」がおいしいことも発見しました。
Aちゃんと作ったクッキングのレシピは毎回ファイルに綴じて、キッズで作った料理は家でレシピを見て作るという宿題を出してきました。ご家族の協力もあり、Aちゃんが作った料理を家族みんなで食べてよろこんでもらえる経験も積みました。
そしてキッズでのクッキングの集大成、サプライズ企画として、これまでつくったレシピを使ってお母さんにお弁当を作ってびっくりさせようという取り組みをしました。
お弁当は「ごはん」「やさい」「にく」「たまご」がはいっていればもう立派なお弁当になります。Aちゃんがこれまで取り組んできた料理の中からおかずを選んで作ります。
とはいえ、キッズの療育時間の限られた中なので、たまごは「スクランブルエッグ」、やさいのおかずは、「ほうれん草の胡麻和え」にくのおかずは、冷凍食品の「鳥マヨ」をつかってつくることに決めました。
初めて、お弁当におかずをつめたAちゃん。
同室児のBちゃんはお弁当を作ったことがあるようでつめ方を教えてもらう姿も見られました。
お母さんへのお弁当には「いつも ありがとう」というメッセージカードも添えました。
私は、療育の最後にAちゃんがお母さんにお弁当を渡す姿が見たかったのですが、Aちゃんは家で渡したい、それまで秘密と言っていたので、お母さんには「Aちゃんがお母さんにプレゼントを準備しているから、うけとった感想をLINEで教えてくださいね」と約束してその日は帰ってもらいました。
お弁当を受け取ったお母さんの感想です。
今日もありがとうございました!
受け取って食べました!教えて貰っていましたが、感動して泣いてしまいました
上手に盛り付けもしていたし、どれも美味しかったです!!
Aもとてもとてもとても嬉しそうでした
「先生とこうやってこうやって、、」と作った工程も楽しそうに話してくれました!
Aちゃんは、「おおきくなったら、お父さんのお仕事をするか、料理する人になる」と言ってくれます。お母さんも家でお手伝いとして、野菜を切ってもらったり、野菜炒めを作ってもらったりすることもあるそうです。
料理をつくることを通してAちゃんは、食べる楽しみのみならず、お米の研ぎ方、火の扱いかた(ガスコンロ・ホットプレート・電子レンジの使い方)、やけどをした時の対処方、包丁や計量スプーンなど道具の使い方、賞味期限と消費期限の違いなどを学びました。
また、家族や同室児に料理をふるまうことで、人を喜ばせたり驚かせたりする楽しみも学びました
本人がすすんで取り組める余暇を探していましたが、今ではこうして自信をもって取り組めることが見つけられて良かったと思える出来事でした。
キッズを卒業しても、この経験が生活や余暇や人との関わりへと発展し広がっていきますように・・・☆
先生はAちゃんのことずっとずっとず〜っと応援していますね。
(ぐんぐんキッズ 療育スタッフ:N)

ぐんぐんタッチ(児童発達支援・放課後等デイサービス)

少しずつ春の訪れを感じる今日この頃ですが、気温差も激しく、寒かったりちょっと暖かかったりが続いていますね。この会報が皆様のお手元に届くころには桜が咲き始めているかもしれませんね。暖かくなることが待ち遠しい今日この頃です。
先日、ぐんぐんタッチに門眞一郎先生が訪問してくださいました。
実際にお子さんが来ている時間を見ていただき、様々なアドバイスをいただきました。
“コミュニケーション機会の作り方”については、「ここでは、こうするともっとコミュニケーションの機会を作れますよ。」と、具体的なアドバイスをいただけたのは、実際の療育の場面を見ていただくことができたからこそのことだと思います。
京都から朝一番のバスと新幹線を乗り継いで来てくださいました。3時間以上の間、実際の療育を見ていただいて、門先生には感謝しかありません。門先生からアドバイスをいただいたことはしっかり実践をしています。
プロンプト方法を変えることで、お子さんの自立度が増しました。スタッフは、自分の行動を振り返るきっかけをいただきました。
私たちの教え方で、お子さんの行動が変わっていきます。
詳しくはこの会報では書ききれませんが、貴重な学びの機会をいただいて、スタッフ一同、門先生からたくさん励ましていただき元気をいただきました!ますますがんばっていきたい!そんな思いを持たせていただいた門先生とのお時間でした。
門先生本当にありがとうございました。
ぐんぐんタッチが開所して、1年が経とうとしています。
振り返ってみると、本当にあっという間の1年でした。日々勉強の毎日ですが、PECSを使ったコミュニケーション支援を丁寧に行ってきたつもりです。この1年、どうだったかをスタッフに聞いてみました。
・発語が増えたお子さんがたくさんいた。
→PECSを使うことで言葉が出なくなるということは無い。それを実感しています。
・PECSを使って、“相手に伝えるスキル”が伸びたことで、人への意識が伸びたことも感じている。
→コミュニケーションができることで、お子さんの、“伝えたい!”がしっかり伸びてきていることを感じています。
・強化子を探していく中で、様々な活動をお子さんと一緒にやってきたが、その中で、はじめは興味を持っていなかったあそびをやるようになったり、こんなことが好きなんだ!と、子どもの興味関心を広げていくこともできた。
→強化子無くして学習無し!強化子の大事さを実感しています。
・PECSを使って、自分の伝えたいことをしっかりと伝えることができているお子さんの姿がとってもかっこいい!自信満々に伝えることができている!
→伝えたいことが伝わるってとっても大事です。コミュニケーションが取れるようになるとたのしい!それを、もっともっと本人にもご家族にも伝えていきたいです。
開所して一年。大変なこともありましたが、振り返ると、ぐんぐんタッチに通ってきてくださったお子さんの成長をたくさん感じることができた1年でした。
伸び盛りの子どもたちと、お子さんのことをもっともっと理解して関わろうと思っていらっしゃる伸び盛りなご家族の方と共に^^
ぐんぐんスタッフもまだまだ伸び盛り! 新年度もしっかりと成長していきたいと思っています!
(ぐんぐんタッチ療育スタッフ:K)

以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
なお会報は正会員・賛助会員の方へは郵送でお届けしています。
もしご希望の方がおられましたら、ぜひ賛助会員に申し込みをお願いします。年会費 3000円です。
応援よろしくお願いします。
申込み方法の詳細は「
育てる会 HP」に記載しています。

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